デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

1部 社会公共事業

9章 其他ノ公共事業
1節 記念事業
14款 其他 10. 松菊先生遺墨展覧会
■綱文

第49巻 p.179-181(DK490050k) ページ画像

昭和3年4月(1928年)

是月、国民新聞社長徳富猪一郎ヨリ、木戸孝允五十年祭ニ当リ、青山会館ニ於テ、当展覧会ヲ開催スルニツキ、特別協賛員タルコトヲ請ハル。栄一之ヲ受諾ス。


■資料

会員関係書類 【(印刷物) 謹啓 愈々御安康為邦家恐悦至極に奉存候…】(DK490050k-0001)
第49巻 p.180 ページ画像

会員関係書類               (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
謹啓 愈々御安康為邦家恐悦至極に奉存候、偖而本年は木戸孝允公の五十年祭に相当致候に付、朝野名流の御協賛を願ひ同公の高風を追慕し、併せてその偉勲を表彰せんか為め、青山会館主催本社後援の下に来る五月廿五日より別紙○略ス の如く松菊先生遺墨展覧会を開催仕候条何卒右趣旨御賛襄の上同公の遺墨御出品を仰ぎ度、此段伏而奉懇願候
                          敬具
  昭和三年四月       国民新聞社長 徳富猪一郎
 追伸 御出品の目録は乍御手数前以て御報奉願候
    (宛名手書)
    子爵渋沢栄一閣下


青淵先生職任年表(未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編 竜門雑誌第五一九号別刷・第二四頁 昭和六年一二月刊(DK490050k-0002)
第49巻 p.180 ページ画像

青淵先生職任年表 (未定稿) 昭和六年十二月調 竜門社編
                竜門雑誌第五一九号別刷・第二四頁昭和六年一二月刊
    昭和年代
  年 月
 三 四―松菊先生(木戸孝允)遺墨展覧会協賛員、顧問―昭、三、六。


会員関係書類 【(印刷物) 木戸孝允公五十年祭記念 松菊先生遺墨展覧会 特別協賛員芳名(承諾順)】(DK490050k-0003)
第49巻 p.180 ページ画像

会員関係書類            (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
  木戸孝允公五十年祭記念
    松菊先生遺墨展覧会
      特別協賛員芳名(承諾順)
  子爵渋沢栄一○外二三〇名氏名略ス


国民新聞 第一三〇七一号 昭和三年五月二五日 木戸松菊公の遺墨展開く 青山会館で今日は招待日 愈よあすから公開(DK490050k-0004)
第49巻 p.180-181 ページ画像

国民新聞  第一三〇七一号昭和三年五月二五日
    木戸松菊公の遺墨展開く
      青山会館で今日は招待日
        愈よあすから公開
屡報青山会館主催本社後援木戸松菊先生五十年祭記念遺墨大展覧会は愈よ本日を招待日として明廿六日から公開されるが、公は実に新日本を招来した維新の元勲であり一代の熱血児であつたゞけに、其の遺墨中には憂国の至誠に溢るゝものゝ多きは勿論ながら、又紅灯の下の粋人としての面影をしのぶべきものも多々あつて、多趣味に亘つた才人松菊先生を眼前にはうふつたらしめるものがある
 出品の四百点は青山会館の別館二・三階に陳列されてゐるが、先づ毛利・木戸両家の出品による三階には、劈頭故公と深い関係を有する西走七卿の遺墨、四条隆謌卿の書「忠誠貫於金石」や三条・壬生東久世・錦小路・三条西・沢諸卿の和歌・絵画、さては毛利敬親・毛利元徳両公の雄渾なる筆蹟、或いは楓湖画伯の七卿落の画等何れもそゞろに当時の状を偲ばしむるものや、嘉永六年以来其の年代を追うて記された松菊公の書翰及び詩歌の類が並べられ、突当り左の
 - 第49巻 p.181 -ページ画像 
小室には故公の肖像、右の小室には明治天皇より賜はりたる勅語並びに太刀玉趙十五の芭蕉の画等掲げられてゐる。
転じて二階に移ると、久原房之助氏出品の有名な公の都々逸「きのう二上り今日三下り」や、西幸吉氏出品の同氏が少年の頃琵琶師として故公の前で演奏した際公が筆を揮つた「曲是悲想第一曲、人是少年第一人」云々の長詩、或いは大橋新太郎氏出品の故公が柳橋芸妓の好みに応じて画いたといふ自画賛や、周布男爵出品の盃の絵
 井上侯爵・松井美氏・今井一氏・川上直之助氏・四谷雅照氏・楫取三郎氏・小池恵吉氏・三条公輝公・岩倉具光氏・大久保利武氏・後藤仙太郎氏・岩倉具栄公・山田梯一氏・時山弥八氏などの出品物が揃へられてゐるが、その何れをとつても吟味すればする程津々たる興味を覚えしむるものゝみで、更に故公と特殊の関係を有する小松清廉・西郷南洲・福原元澗・岩倉具視・中山忠能・勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟・坂本竜馬・中岡慎太郎・中谷正亮・吉田松陰・前原一誠などの人々から、故公の後進たる近代の政治家伊藤・山県・井上・品川・周布・山田・海江田諸公のものも何れも逸品中の逸品を撰択陳列せられ、殊に吉田茂子氏出品の松陰先生の絶筆並びに肖像は観覧者の胸を打たずにはやまない程のものである、今回の展覧会は史料として豊富なると、其の種類の多種多様なるとに於て、従来此種の展覧会にまれに見るものといふことが出来よう


国民新聞 第一三〇七二号 昭和三年五月二六日 木戸公遺墨展賑やかな招待日 きのふの青山会館 一般公開は本日から(DK490050k-0005)
第49巻 p.181 ページ画像

国民新聞  第一三〇七二号昭和三年五月二六日
    木戸公遺墨展賑やかな招待日
      きのふの青山会館
        一般公開は本日から
青山会館主催本社後援の木戸孝允公遺墨展覧会は廿五日朝九時を以て招待日の蓋を開けた、大久保利武氏夫妻を先頭に引続いて木戸侯の一門や児玉秀雄伯等打揃うて来観し、夫れより名士踵を接して続々と観賞したが、中にも木戸侯母堂は松菊公肖像の前に少時佇立し
 公は平素油揚を焼き大根卸しの醤油をつけていたゞくのが好きであつた、又こゝに陳列してある瓢箪は公の遺愛品中の最たるもので、暇さへあれば之を撫でて居つたのが眼についてゐる
と今更の如くに往時を追懐してゐた、休憩室には諸名士常に満員、公の懐旧談で持ち切り午後六時賑々しく閉場を告げた、尚故寺内伯の魯庵団にては今回の挙が世道人心に最も有益なりとて多大の後援賛助を寄せられることになつた
 明二十七日は午後六時から青山会館大講堂に於て講演会を開き、毛利公爵家輯纂主任妻木忠太氏の「公の三大事業」徳富蘇峰氏の「木戸松菊先生」と題する講演ある筈である