デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

1章 金融
5節 諸金融機関
2款 其他 1. 大日本勧業会社
■綱文

第51巻 p.367(DK510097k) ページ画像

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■資料

銀行通信録 第五一巻第三〇三号・第八一頁明治四四年一月 ○大日本勧業会社の設立(DK510097k-0001)
第51巻 p.367 ページ画像

銀行通信録  第五一巻第三〇三号・第八一頁明治四四年一月
    ○大日本勧業会社の設立
前韓国政府顧問たりし加藤増雄氏は渋沢・大倉・浅野等諸氏の賛成を得、資本金二千万円を以て大日本勧業会社を設立せんとし、其計画中の処恰かも田健治郎・神田鐳蔵氏等も内外有価証券信託会社の設立計画中にて、両社の事業中其目的を同じふするもの少からざるより、双方協議の上、信託会社の設立を中止して勧業会社に合併することに決し、十二月二十五日発起人総会を開き、加藤増雄氏座長となり、営業科目を決定し、創立委員の選定は加藤増雄・桂二郎両氏の指名に一任することゝし、尚ほ政府筋との交渉に当らしむる為め、発起人中より総代として加藤増雄・大岡育造・山中隣之助・土居通夫の四氏を推選せり、同社の営業科目左の如し
 一、不動産抵当貸附
 二、府県郡市町村其他法律を以て組織せる公共団体に対する無担保貸附
 三、起業資金の貸附並に仲介
 四、有価証券の売買
 五、国債証券・地方債証券・農工債券、其他の社債券の応募引受
 六、有価証券の委托売買
 七、国債・地方債及社債に関する信託
 八、有価証券の受渡代理行為並に代理交換
 九、保険に関する代理行為並に代理交換
 十、預り金及保護預り
 十一、手形の割引


銀行通信録 第五二巻第三一一号・第七六頁明治四四年九月 ○大日本勧業会社創立を確定(DK510097k-0002)
第51巻 p.367 ページ画像

銀行通信録  第五二巻第三一一号・第七六頁明治四四年九月
    ○大日本勧業会社創立を確定
幾度か紛擾を重ねたる大日本勧業会社にては、曩に発企人会の決議に基き委員を選定して、会社前途の方針につき調査の結果、九月十一日発企人会を開き多数を以て愈々会社創立のことに決定し、九月末迄に第一回未払株金の払込を為さしめ、十月中には創立総会を開く筈にて会社設立の上は予定資本金を半減して千万円となすべしと云ふ
  ○大日本勧業会社ハ初メ好人気ナリシモ、第二十七議会ニ不動産抵当貸付法ヲ通過セシメルコトニヨリテ、資本金十倍ノ債券ヲ発行セントスル計画消滅セシヨリ、会社ノ前途ニ不安ヲ生ジ発起人間ニ紛擾ヲ生ジタリ。(「銀行通信録」第五一巻第三〇七号・第六五頁、明治四四年五月一五日)其後井上角五郎・早川鉄治ノ調停ニ依リ妥協成立シ、紛擾落着セリ。(「銀行通信録」第五一巻第三〇八号・第六四頁、明治四四年六月一五日)