デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正5年11月20日（1916年）

是ヨリ先、東京市郊外ニ於テ、田園都市経営ノ土地会社ヲ設立セントスル計画アリ、栄一、之ニ与ル。是日、東京商業会議所ニ於テ、其創立委員会開カル。栄一出席シテ、土地ノ選定及ビ軽便鉄道ノ敷設等ニツキ協議ス。爾後数次ニ亘リテ開カレタル同委員会ニモ、栄一、ソレゾレ出席ス。

渋沢栄一　日記　大正四年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
二月十八日　曇
午前七時起床入浴シテ朝飧ヲ食ス、畢テ畑弥右衛門氏ノ来訪アリ○下略
　　　○中略。
五月十二日　晴　午後雷雨
○上略　午前九時商業会議所ニ抵リ、畑弥右衛門氏ノ為メ開催スル田園都市経営ノ協議会ニ出席ス○下略
　　　○中略。
五月十四日　晴
○上略　畑弥右衛門氏来ル、市原求氏ヘ添書ヲ交付ス○下略

集会日時通知表　大正四年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
五月十二日　水　午前十時　土地経営会社ノ件（商業会議所）

渋沢栄一　日記　大正四年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
六月二十日　晴　暑気強シ
○上略　畑弥右衛門氏来話ス○下略
　　　○中略。
七月十一日　曇
午前八時半起床入浴朝飧ヲ畢リ○中略　畑弥右衛門氏来リ土地会社設立ノ事ヲ談ス○中略　星野錫氏来リ土地会社設立ノ事ヲ談ス○下略
七月十二日　晴
午前七時起床入浴朝飧ヲ畢リ、畑弥右衛門氏・山口順忠氏等ノ来訪ニ接ス○下略
　　　○中略。
七月十四日　晴
午前七時起床入浴朝飧ヲ畢リ、畑弥右衛門氏ノ来訪ニ接ス○下略
　　　○中略。
七月十九日　曇　暑気昨日ト異ナラス
○上略　午前九時事務所ニ抵リ、星野錫及畑弥右衛門氏等ト土地会社ノ事ヲ談ス○下略
 - 第53巻 p.353 -ページ画像 
　　　○中略。
七月廿四日　晴
午前六時起床入浴朝飧ヲ畢リ後○中略　畑弥右衛門氏来リ、土地会社ノ事ヲ談ス○下略
　　　○中略。
八月二日　雨
午前○中略　畑弥右衛門氏来ル、昨日預リタル書状ヲ返却ス○下略
　　　○八月一日ノ日記中ニ該当記事ナシ。
　　　○中略。
九月三日　曇夜ニ入リテ雨降ル
午前○中略　畑弥右衛門氏来訪ス○下略
　　　○中略。
九月八日　晴
○上略　午前十時事務所ニ抵リ、星野・緒明・服部・柿谷・市原・畑ノ諸氏来会シテ、田園都市会社ノ事ヲ協議ス○下略

集会日時通知表　大正四年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
九月八日　水　午前九時　土地会社ノ件（兜町）

渋沢栄一　日記　大正四年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
九月十四日　晴
午前○中略　畑弥右衛門氏来ル○下略
　　　○中略。
九月二十日　曇
午前○中略　畑弥右衛門氏来話ス○下略

集会日時通知表　大正五年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
六月十九日　月　午前十時　田園都市ノ件（商業会議所）
　　　○中略。
六月廿八日　水　午前九時　田園都市経営ノ件（商業会議処）
　　　○中略。
七月十一日　火　午前九時　田園都市ノ件協議会（商業会議所）

渋沢栄一書翰　諸井恒平宛（大正五年）八月一一日　（諸井恒平氏所蔵）
拝啓　益御清適奉賀候、然者過般柿沼君より御勧誘いたし候賢兄田園都市会社ニ御助力相願度と申事ハ、従来右会社之創設ニ尽力致来候団体一同之企望ニて、老生より特ニ御依頼申上呉候様と被申候を、柿沼君とも御別懇ニ付便宜上同君を労し候次第ニて、御依頼之順序其宜を失し候嫌有之候旨中野氏抔縷々意見有之候義ニ候、就而ハ老生ニ於て御別懇ニ付手数相省候義ニ付更ニ拝眉今一応切望之積ニ候処、御旅行と相伺候間、書中此段申上候、但し老生も十四日頃出立塩原へ参り廿日後ニ帰京之積ニ候も、柿沼君も十五日頃ニハ御帰京之由ニ付、賢兄本月十四日頃御帰宅ニ候ハヽ、今一応柿沼君と御相談被下、品ニ寄りてハ星野鍄三郎氏《（星野鏡三郎カ）》とも御会見被下、兎も角も会社設立之見込篤と御聞取被下、可成緻密ニ御考案被下度候、右ハ書中前段拝願まて匆々如此
 - 第53巻 p.354 -ページ画像 
御坐候　不宣
　　八月十一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
　　　　諸井恒平様
　　　　　　　　梧下
「本郷区真砂町一七」　諸井恒平様　親展　「日本橋区兜町二」　渋沢栄一
八月十一日

集会日時通知表　大正五年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
九月十六日　土　午後二時　田園都市ノ件（商業会議所）
　　　○中略。
十月十八日　水　午前九時　田園都市ノ件（商業会議所）

中外商業新報　第一〇九六五号大正五年一〇月一九日
　　　　○田園都市会社
　　　　　　資本金二百万円
田園都市株式会社創立に就き熱心の唱道者たる畑弥右衛門氏は、渋沢男・中野武営氏等の賛成を得て、池上附近の地に田園都市会社を設立すべく準備中なるが、十八日午前十時商業会議所に於て中野武営・伊藤幹一・畑弥右衛門氏等参集協議する所ありし結果、会社設立上の中心人物として伊藤氏を推し、創立事務の進行を図る事となりたり、会社設立の目的は土地建物の経営並に電車事業を営まむとするものにして、資本金は少くとも二百万円を降らざる範囲に於てせらるべしと也

集会日時通知表　大正五年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
十一月二十日　月　午前十時　田園都市ノ件（商業会議所）

中外商業新報　第一〇九九八号大正五年一一月二一日
○田園都市委員会　田園都市創立委員会は二十日午前十時より東京商業会議所に於て開会、渋沢委員長以下委員三名出席、前回に引続き郊外土地選定の件及軽便鉄道敷設の件に付調査したる事項を協議し、正午散会せり

竜門雑誌　第三四三号・第六八頁大正五年一二月
○田園都市創立委員会　田園都市創立委員会は十一月廿一日午前十一時《（二十日）》より東京商業会議所に於て開会、青淵先生を始め柿沼谷雄・服部金太郎各委員諸氏出席、前回に引続き郊外土地選定並に軽便鉄道敷設に関する調査経過等に付て協議する所ありし由。
 - 第53巻 p.355 -ページ画像 

渋沢栄一　日記　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月六日　快晴　寒
午前九時起床○中略　畑弥右衛門氏ノ来報《（訪）》ニ接シ、田園都市会社ノ事ヲ談ス○下略
　　　○中略。
一月九日　快晴　寒強シ
午前七時起床○中略　畑氏等ノ来訪ニ接ス○下略

集会日時通知表　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月十一日　木　午前十時　田園都市ノ件（商業会議所）

渋沢栄一　日記　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月十一日　晴　寒
○上略　午前十時商業会議所ニ抵リ、田園都市会社ノ発起人会ヲ開ク、中野・伊藤・柿沼・星野・市原・緒明・服部ノ諸氏ト会議ス○下略

中外商業新報　第一一〇五〇号大正六年一月一二日
○都市会社創立進捗　田園都市会社創立委員会は十一日午前十時より東京商業会議所に於て開会、渋沢男・中野武営、柿沼谷雄、伊藤幹一・服部金太郎・緒明圭造・市原求・星野錫諸氏出席、土地選定・買収価格其他重要案件に就き協議し、正午散会せり

竜門雑誌　第三四四号・第九六頁大正六年一月
○田園都市創立委員会　田園都市会社創立委員会は一月十一日午前十時より東京商業会議所に於て開会、青淵先生・中野武営・柿沼谷雄・服部金太郎・星野錫諸氏出席、土地選定・買収価格其他重要事件に付て協議し正午散会せる由。

渋沢栄一　日記　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月一日
午前七時起床○中略　畑弥右衛門氏来リ、田園都市ノ事ヲ談ス○下略
　　　○中略。
三月十二日　晴　軽寒
午前七時起床○中略　理髪中畑弥右衛門氏ト会見シ、田園都市会社ノ事ヲ談ス○下略

集会日時通知表　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
六月七日　午前九時　田園都市相談会（商業会議所）

竜門雑誌　第三四九号・第九四頁大正六年六月
○田園都市会社創立協議　東京市年々の膨脹発展迅速を極め、為めに市民をして経済及衛生上益々郊外生活の必要を感ぜしめつ々ありしが今回青淵先生を始め、中野武営・星野錫・服部金太郎・柿沼谷雄其他
 - 第53巻 p.356 -ページ画像 
の諸氏発起の下に、前記の会社を設立することに内定し、六月七日東京商業会議所に於て之が創立委員会を開きたるが、予てより敷地候補地として撰択中なる玉川千束池附近の土地五十万坪買収交渉中なるを以て、孰れ之が決定の上は、電車・水道・道路其他一切の文明的設備をなすの予定にして、資本金は三百万円乃至五百万円位となす見込なりと云ふ。

竜門雑誌　第三五一号・第三二―三三頁大正六年八月
　　　　○帝都に対する希望
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　青淵先生
　　本篇は七月一日発行の「日本魂」誌上に青淵先生の談話として掲載されたるものなり（編者識）
六月十二日　青葉の滴に、濛雨の詩趣いや深き、飛鳥山の邸に、青淵先生を訪ふ。
先生、二豎既に去り、風厲倍々壮なり。卒爾、先生に問ふに『帝都の将来に対する先生の高見如何』を以てす。先生曰く――『余は殊に斯る問題に知識無きもの、従て披陳すべき意見を有せず。唯だ、余が帝都に対する希望の三・四を語らん』
○中略
　私は又現に住居地として、欧米の所謂ガーデン・シテイの式を日本にも実現させやうと考へて居るが、殊に東京附近に田園的住居地の現はるゝことは、甚だ必要であると信ずる。
○下略

集会日時通知表　大正六年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
七月三日　火　午前　十時　田園都市ノ件ニ付御会合（麹町区下二番町四二、伊藤氏方）
　　　○中略。
十月五日　金　午前十一時　田園都市の件（日本橋クラブ）

渋沢栄一　日記　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月四日　晴　寒気昨日ト同シキモ風ナシ
午前七時起床○中略　畑弥右衛門氏玉川平塚地方ノ人々ヲ伴フテ来訪ス、田園都市ノ事業ニ付土地関係ノ人々ナリ、会見シテ事業遅引ノ理由ヲ説明ス○下略
　　　○中略。
一月九日　晴　寒強シ
午前七時起床入浴セス、直ニ洗面シテ朝飧ス
畑弥右衛門氏来ル、田園都市会社ノ事ヲ談ス○下略
一月十日　快晴　寒甚シ
午前○中略　伊東幹一氏来《（伊藤幹一）》リ、中野氏ト共ニ田園都市会社ノ事ニ付種々ノ協議ヲ為ス○下略

集会日時通知表　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月十六日　水　午後二時　田園都市ニ関スル会合（兜町）
 - 第53巻 p.357 -ページ画像 

渋沢栄一　日記　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
一月十六日　快晴　寒
○上略　十二時兜町事務所ニ抵リ書類ヲ調査ス○中略　田園都市会社設立ノ件ニ付評議員会ヲ開ク、中野・伊藤・服部・緒明・柿沼・市原・竹田・岩崎ノ諸氏来会ス、要件ヲ協定ス○下略
　　　○中略。
一月二十三日　朝来曇午前十時頃ヨリ降雪午後三時止ム寒気強シ
○上略　午後三時事務所ニ抵リ書類ヲ整理ス、竹田政智氏来リテ田園都市会社ノ事ニ付種々ノ談話アリ○下略
　　　○中略。
一月二十六日　晴　寒
○上略　竹田政智氏来リ田園都市会社ノ事ヲ談ス○中略　夜飧後竹田政智・三溝又蔵氏来リテ遊戯消閑ス○下略
一月二十七日　曇　寒威昨日ニ比シテ少ク減スルヲ覚フ夕方稍晴
○上略　午飧後竹田政智・吉岡新五郎氏等来話ス○下略
一月二十八日　寒　朝来雪降ル三四寸ヲ積テ歇ム十時頃ヨリ晴ル雪後寒威一段凛烈ナリ
○上略
竹田政智氏ノ携帯セル田園都市会社ノ趣意書及目論見書ヲ一覧シ、且ツ字句ヲ修正シテ返却ス
○下略
一月二十九日　曇　寒
午前○中略　竹田政智氏ト共ニ畑弥右衛門氏ノ来訪ニ接シ、田園都市会社ノ事ヲ議ス
○下略
　　　○中略。
二月十二日　晴　風ナクシテ天気快晴ナリ
午前七時起床入浴シテ朝飧ヲ食ス○中略　畑弥右衛門氏ノ来訪ニ接ス○下略
二月十三日　晴　寒
午前七時起床入浴シテ朝飧ヲ食ス○中略　畑弥右衛門氏来話ス○下略
　　　○中略。
二月十五日　晴　寒少シク減スルヲ覚フ
○上略　午飧後事務所ニ抵リ服部・緒明・竹田氏等ト田園都市会社ノ事ヲ談ス○下略

集会日時通知表　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
二月十六日　土　午前十時　田園都市の件（日清生命保険会社）

渋沢栄一　日記　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
二月十六日　曇　風強クシテ寒威昨日ヨリ加フルヲ覚フ
○上略　午前十一時日清生命保険会社ニ抵リ中野・伊藤・服部・緒明・竹田ノ諸氏ト田園都市会社ノ事ヲ協議ス○下略
　　　○中略。
 - 第53巻 p.358 -ページ画像 
二月二十六日　晴　寒威日々ニ減シテ春色漸ク加フルヲ覚フ
午前七時起床入浴朝飧畢リテ日記ヲ編成ス○中略　竹田政智・畑弥右衛門二氏来リ田園都市会社ノ事ニ付意見ヲ述ヘラル○下略
　　　○中略。
三月三日　晴　風ナク天気朗晴終日寒気減少ヲ覚フ
午前九時洗面シテ朝飧ヲ畢リ後○中略　竹田政智氏ニ面会シテ田園都市会社ノ事ヲ談話ス○下略
　　　○中略。
三月八日　曇
午前七時半起床入浴朝飧ヲ畢リ○中略　畑弥右衛門氏来話ス○下略
　　　○中略。
三月十三日　晴
○上略　竹田政智氏来ル、田園都市会社ノ事ヲ談ス、午前○中略　日清生命保険会社ニ抵リ中野・伊藤諸氏ト田園都市会社ノ要務ヲ談ス○下略
　　　○中略。
三月十五日　曇
午前七時半起床洗面シテ朝飧ヲ食シ後○中略　畑弥右衛門氏来訪、田園都市会社事務進行ニ関シ、伊藤氏トノ意見不一致ノ事ヲ陳述ス、依テ温言之ヲ説諭ス○下略

集会日時通知表　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月十九日　火　午前十一時　田園都市会社発起人会（築地精養軒）

渋沢栄一　日記　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月十九日　曇
○上略　午前十一時田園都市会社ノ事ニ関シテ築地精養軒ニ会同ス○下略

集会日時通知表　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月廿三日　土　午前十一時　田園都市ノ件（日清生命保険）

渋沢栄一　日記　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
三月二十三日　晴　風強ク途上砂塵多クシテ道路分明ナラサル事アリ○上略　午前十一時田園都市会社ノ件ニ付、日清生命会社ノ事務所ニ会シテ要務ヲ協議ス、中野・伊藤其他諸氏来会ス○下略
　　　○中略。
三月二十五日
午前○中略　畑弥右衛門氏来話ス
○下略

中外商業新報　第一一四九三号大正七年三月三一日
○田園都市計画
渋沢男・中野武営・服部金太郎・緒明圭造・大橋新太郎・星野錫・伊藤幹一・市原求等の主唱の下に資本金五百万円にて田園都市株式会社設立計画せられ、既に発起人に於て府下荏原郡玉川村及洗足池附近の
 - 第53巻 p.359 -ページ画像 
土地四十二万坪を廉価にて買収の契約成立せしが、先づ第一期に於て五百戸の中流階級者適応の家屋を建築し、尚ほ官鉄大井駅を起点とし同地を経由して新宿に至るの同電車敷設の予定なりと

集会日時通知表　大正七年　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
四月十七日　水　午前九時　田園都市会社ノ件（日清生命保険）
　　　○中略。
四月廿九日　月　午前九時　田園都市ノ件（日清生命保険会社）
　　　○中略。
五月十日　　金　午前十時　田園都市ノ件（日清生命）
　　　○中略。
五月十七日　金　午前九時　田園都市ノ件現場御見分
　　　○中略。
六月廿九日　土　午後一時　田園都市会社ノ件（日清生命会社）
　　　○中略。
八月廿七日　火　午前十時　田園都市会社ノ件（日清生命会社）