デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

大正15年5月31日（1926年）

是日栄一、当会社定時株主総会ニ出席ノタメ来日セル、専務取締役呂均ヲ飛鳥山邸ニ招待シテ、午餐会ヲ開ク。

右総会ハ、是月二十九日、日本工業倶楽部ニ於テ開カレ、取締役改選ノ結果、袁乃寛・高木陸郎・呂均等八名当選シ、総会終了後ノ取締役会ニ於テ、呂均、専務取締役ニ互選セラル。

中日実業会社書類（一）　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
拝啓　益々御清祥奉賀候、陳者当会社第十三回定時株主総会ハ、予テ御通知申上置候通リ、五月二十九日東京市麹町区永楽町二ノ一日本工業倶楽部ニ於テ開催仕候処、左ノ通リ決議相成候ニ付、此段御報告申上候　敬具
　一、第十三期財産目録・貸借対照表・営業報告書・損益計算書ノ承認、並ニ利益金処分ニ関スル決議ノ件
 - 第55巻 p.80 -ページ画像 
　　　右原案ノ通リ承認可決
　二、取締役及共同代表取締役改選ノ件
　　　取締役袁乃寛・高木陸郎・春田茂躬・呂均・倉知鉄吉・江藤豊二・楊毓瑊・文群ノ八名任期満了ニ付改選ノ結果、左ノ通リ当選相成候
　　　　袁乃寛　　　高木陸郎　　　春田茂躬
　　　　呂均　　　　倉知鉄吉　　　江藤豊二
　　　　楊毓瑊（以上重任）
　　　　魏鳳山（新任）
　　　次デ取締役ノ改選ニ伴フ共同代表取締役ノ改選ヲ為シタル処、左ノ通リ重任相成候
　　　　袁乃寛　　　高木陸郎
　三、監査役選任ノ件
　　　監査役加藤辰弥・袁永廉・于振宗ノ三名任期満了、一名欠員中ニ付、四名ノ選任ヲ為シタル処、左ノ通リ当選相成候
　　　　加藤辰弥　　袁永廉　　　　于振宗
　　　　（以上重任）
　　　　飯田延太郎（新任）
　　　　　　　　　　以上
　　大正十五年六月八日
　　　　　　　　　　　　　　東京市京橋区北槙町十八番地
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　中日実業株式会社
　　　株主
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢栄一殿
　　追而　総会後直ニ取締役会ヲ開キ、定款第二十六条ニ依リ、其互選ヲ以テ左ノ通リ選任相成候間御諒承被下度候
　　　　　　　　総裁　袁乃寛　　　　　　副総裁　高木陸郎
　　　　　専務取締役　春田茂躬　　　専務取締役　呂均
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（何レモ重任）
　　　　　　　　　　以上
　　　○当会社副総裁高木陸郎ヨリ栄一宛ノ六月一日付書状ハ、右ト同一内容ナルモ、「追而、取締役窪田四郎・鄭廷璽ノ二氏ハ尚任期中ニ有之候間、御含置被下度候」トノ追記アリ。

竜門雑誌　第四五三号・第八三頁大正一五年六月
　　　　青淵先生動静大要
　　　　　　五月中
廿九日　中日実業会社第十三回定時株主総会（日本工業倶楽部）○下略
　　　○中略。
卅一日　呂均氏招待会（曖依村荘）

集会日時通知表　大正一五年　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
五月十五日　土　午前九時　春田茂躬氏来約（アスカ山邸）
　　　○中略。
 - 第55巻 p.81 -ページ画像 
五月廿五日　火　午前九時　春田茂躬氏来約（飛鳥山邸）
　　　○中略。
五月廿九日　土　午前十時　中日実業会社第十三回定時株主総会（日本工業クラブ）
　　　○中略。
五月卅一日　月　正午　　　呂均氏招待会（飛鳥山邸）

（窪田四郎）書翰　渋沢栄一宛（大正一五年）六月一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
昨日は呂均氏に陪して御寵招を忝ふし奉謝上候
実は先年藤瀬政次郎氏並に高木陸郎氏の懇嘱により不得已就任致候も内容更に不明の為、自分直接調査致候結果、過去の事業は全然失敗に帰し、其為資本金に対し何倍と云ふ損失ある事を発見致、此儘に致置候事は、会社株主に対しては勿論、尚対支関係将来の為にも不面白と存、断然決意、事実の計数作表して郷・大橋両相談役に示し、急速に善後策を樹立可致旨申出候処、両氏の容認せられたるを以而、当時小生の愚案を当局者に示し候も、実行せられず、例の手数料受領と同時に整理に着手致す事に決定せられたる旨、当局者の立場として其間同情に不堪る点も有之、今更何とも致方無之候、然し若し其手数料が今日の行悩の儘推移致候様の場合は、同社の運命も或は見込相立致不申哉も測られ候と存じ、何卒此上とも閣下ノ御同情にすかり、万死に一生を得るの方法を講するの外何等の考案を見出し不申候、斯る場合に先輩を煩はし候事は如何にも難堪、心外千万に存候得共、事情御酌量此上とも御配慮に預り度、特に御願申上候、先は御礼旁得貴意度如此に御座候　敬具
　　六月一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　四郎
　　　　渋沢閣下侍曹