デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

3編 社会公共事業尽瘁並ニ実業界後援時代

2部 実業・経済

6章 対外事業
2節 支那・満洲
6款 日華実業協会
■綱文

第55巻 p.209-217(DK550041k) ページ画像

大正12年7月8日(1923年)

是日、華族会館ニ於テ、対支国民同盟会・全国商業会議所聯合会・東京実業組合聯合会及ビ当協会ノ各代表者相会シ、排日問題ニ対スル輿論喚起ノタメ、右四団体共催ニヨル対支聯合大会ノ開催ニツキ協議ス。栄一出席シ、実行委員ニ挙ゲラル。

十三日、東京会館ニ於テ、右実行委員会開カレ、引続キ、新聞記者等招待会開カル。栄一、ソレゾレ出席ス。

十五日、日本工業倶楽部ニ於テ、右対支聯合大会開カル。栄一出席シテ、開会ノ辞ヲ述ブ。


■資料

集会日時通知表 大正一二年(DK550041k-0001)
第55巻 p.209 ページ画像

集会日時通知表  大正一二年       (渋沢子爵家所蔵)
七月八日  日 午後二時  和田豊治氏ヨリ御案内(華族会館)
七月九日  月 午後四半時 内田外相ヲ御訪問ノ約(外務省)
  ○中略。
七月十三日 金 午前十一時 排日貨問題ノ件(東京会館)
        正午    対支国民同盟会主催対支問題ニ関スル件(東京会館)
  ○中略。
七月十五日 日 午後二時  対支国民同盟会・商業会議所・日華実業協会・東京実業組合聯合会対支聯合大会(工業クラブ)
  ○中略。
七月十九日 木 午前十一時 加藤首相ヲ御訪問ノ約(同官邸)
  ○中略。
七月廿四日 火 午後一時  対支国民大会報告会(東京商業会議所)
        午後四半時 日華実業協会催森弁次郎氏談話《(森弁治郎)》(同会)

 - 第55巻 p.210 -ページ画像 

中外商業新報 第一三四一五号大正一二年七月九日 排日対策国民大会 六大都市で開催 聯合協議会で決定す(DK550041k-0002)
第55巻 p.210 ページ画像

中外商業新報  第一三四一五号大正一二年七月九日
    排日対策国民大会
      六大都市で開催
        聯合協議会で決定す
貴衆両院議員の有力者及び民間有志から成る対支国民同盟会は、八日午後二時半から丸の内華族会館に、日華実業協会・全国商業会議所聯合会・東京実業組合聯合会の三団体代表者を招き、支那に於る排日貨に対する我輿論喚起に就いて協議会を開催
 蜂須賀侯・青木子・和田(彦)・木内・下岡(忠)・小川(平)・田鍋(以上国民同盟会)渋沢子・和田(豊)・角田・白岩・荻野(以上日華協会)、杉原(東京)・稲畑(大阪)・浜岡(京都)・井坂(横浜)・伊藤(名古屋)(以上全国商業会議所)星野・阿部(以上実業組合聯合会)氏等四十一名出席
蜂須賀侯座長の下に、来る十五日午後二時より丸の内日本工業倶楽部に於て、上記四団体が聯合主催となつて対支国民大会開催の件を決定したが、右実行委員は渋沢子指名にて
 同盟会蜂須賀・和田・木内・小川・下岡・大竹(会議所)杉原・山科・稲畑・浜岡(日華)渋沢・和田・白岩(実業)星野・山崎・阿部氏等
十六名を挙げ、来十五日の東京を始めとして、順次に六大都市に於て国民大会を開催して、大いに輿論を喚起することゝなつた、尚右実行委員は九日午前十時から東京商業会議所に於て委員会を開き、大会当日の準備及び決議草案等に関して協議○下略


竜門雑誌 第四二二号・第六四頁大正一二年七月 ○対支国民同盟会(DK550041k-0003)
第55巻 p.210 ページ画像

竜門雑誌  第四二二号・第六四頁大正一二年七月
○対支国民同盟会 貴衆両院議員の有力者及び民間有志より成る対支国民同盟会にては、七月八日午後三時より華族会館に於て日華実業協会・全国商業会議所・東京実業組合聯合会の三団体代表者を招待し、支那に於ける排日貨問題に対する輿論喚起に関する協議会を開催し、日華実業協会よりは青淵先生・和田・白岩・荻野・角田諸氏、全国商業会議所よりは杉原・稲畑・浜岡・井坂・伊藤諸氏、実業組合聯合会よりは星野・阿部諸氏、及び国民同盟会よりは蜂須賀侯・青木子・和田・木内・下岡・小川・田鍋諸氏等四十余名出席し、和田彦次郎氏より今回実業家諸氏と提携して該問題の為めに努力するに至れる経過報告ありて後、蜂須賀侯を座長に推し、大会開催に関する順序・時日其他に就き種々協議する所あり、尚ほ青淵先生以下十五名の諸氏を委員に挙げたる由なるが、超えて九日午前十時東京商業会議所に委員会を開きて、更に其準備及び決議案等に関し協議せる由。


中外商業新報 第一三四二〇号大正一二年七月一四日 排日対策の聯合大会準備 委員会で全部完了(DK550041k-0004)
第55巻 p.210-211 ページ画像

中外商業新報  第一三四二〇号大正一二年七月一四日
    排日対策の聯合大会準備
      委員会で全部完了
対支聯合大会の実行委員会は十三日正午より丸之内東京会館にて開会
 - 第55巻 p.211 -ページ画像 
 蜂須賀侯・和田・木内・大竹・増田(同盟会)渋沢子・白石(日華協会)山科・杉原(会議所)星野・山崎・阿部(実業組合)
の諸氏出席の上、来る十五日午後二時より工業倶楽部に於て開催の同大会準備に就き更に打合せを為し、終つて目下上京中の長沙及漢口日本人大会代表者より、同地に於ける排日運動の真相を聴取し、午後三時半散会した


中外商業新報 第一三四二二号大正一二年七月一六日 対支聯合大会 決議案可決(DK550041k-0005)
第55巻 p.211-212 ページ画像

中外商業新報  第一三四二二号大正一二年七月一六日
    対支聯合大会
      決議案可決
対支聯合大会は十五日午後三時から丸の内日本工業倶楽部楼上に開会
 蜂須賀侯・渋沢子・粕谷・野田・頭山・上杉其他貴衆両院議員並に各団体約五百名出席
蜂須賀正韶侯座長席に着き、先づ
 渋沢栄一子 より大要
 支那に於ては現在到る処に排日運動頻発し居る、我々は是まで支那に対しては虚心坦懐、非常なる友誼を以て彼の地の開発に尽して来た、然るに支那は隣邦の誼を知らないで、事毎に排日を企てゝ居るやに見受けらる、之は隣邦に対して所謂国交を無視してゐると言はなければならない、故に我々は排日運動が何うして起つたかと云ふ既往の原因を探索するよりか、如何にして今後斯る現象を鎮圧する事が出来るかと言ふのが、目下国家の緊要事であると思ふ、随つて両国当路の人々に十分なる注意を乞ひたいのである、何卒本会の趣旨を有効たらしめん事を切望する次第である
と開会の辞を述べ、次に
 上杉慎吉博士 左記の決議を補足説明して
 支那の排日運動は、必ずしも今日を以て始つたのではない、略十年の久しきに亘つて殆んど慢性的に起つて居るものであつて、単なるボイコツトではない、商工業方面以上の拡き一般的の政治上・道徳上の意味を含んで居る、或は彼等の教科書などに排日の激烈なる項を掲げて居るのを視ても、之が一時的の排日運動でないことが明瞭する、之が若し相手が支那でなく、秩序立つた国であつたならば、重大なる事件を惹起する事であらう、故に今日は只商工業の利益を保護する為に、日貨排斥を防遏するのみでは止まらないで、此排日運動をして斯く迄に到らしめた責任は誰にあるかを究めなければならない、此責任は申す迄もなく日本国民の怠慢に有ると云はなければならない、今日の場合は朝野を挙げて覚醒し、此際確固たる国是の樹立が尤も緊要ではないかと思ふ、私の説は決議文以外に存するものとして申上げて置きたい
と陳べ、次に座長より決議案を満場に諮つて一致で可決し、粕谷下院議長の閉会の辞があり、最後に頭山満翁の発声で聖上陛下の万歳を三唱し、盛会裡に三時半閉会、尚蜂須賀侯・粕谷義三・和田豊治三氏は排日の《(マヽ)》陳情委員に選ばれ政府当局を訪問する事になつた
    決議
 - 第55巻 p.212 -ページ画像 
 目下支那に頻発する排日暴動は、我国民に対する明白なる敵意の表示にして、国交の通義に悖り、東洋の平和を害ふものに非ずや、是れ蓋し為にする者の煽動に因るものにして、支那国民全般の本志に非ざるべしと雖、恐らくは之が為めに日支両国間に重大なる危険を醸成するに至らんことを、吾人は玆に誠意を披瀝して、支那官民の速に現状を改善し、局面の悪化を防遏せんことを警告す、若し今にして悛むる所なくば、日本国民は遂に自衛の為めに適宜の措置に出でざるを得ざるべし、不幸にして事此に至らんか、其責一に支那官民にあり
 右決議す


日華実業協会書類(DK550041k-0006)
第55巻 p.212-213 ページ画像

日華実業協会書類             (渋沢子爵家所蔵)
(印刷物)
    支那ノ排日行動ニ対シ本協会ノ採リタル措置報告
                     日華実業協会
○上略
(五)排日対策決定並ニ政府当局ニ申請
○中略
 七月九日 渋沢会長ハ叙上本会ノ決議事項及申請書ヲ具シ、東京商業会議所並ニ東京実業組合聯合会ノ各代表者ト共ニ外務大臣ニ会見シ、右決議書ノ主旨ヲ陳述シテ之レカ遂行ヲ懇請セラレタリ
 七月十九日 渋沢会長及和田副会長ハ総理大臣並ニ農商務大臣ニ会見シ、曩ニ外務大臣宛提出セル書面ヲ呈シ、其遂行ニ付キ充分ノ尽力アランコトヲ要望シタリ
(六)対支国民同盟会・各商業会議所聯合会及東京実業組合聯合会トノ聯合大会開催
 本協会ハ這般排日行動ノ不法ヲ指摘シ、我国民ノ決意ヲ示シ、支那国民ノ反省ヲ求ムルカ為メ、叙上三団体ト歩調ヲ共ニスルノ要ヲ認メ、七月八日三団体代表者ト共ニ華族会館ニ於テ聯合大会開催ニ関スル準備会ヲ開キ、同月十五日日本工業倶楽部ニ於テ聯合大会ヲ開催スル事ヲ決定シ、本協会ヨリハ其準備委員トシテ渋沢会長・和田副会長及白岩幹事担当セラレタリ
 七月十三日 東京会館ニ於テ右大会準備委員開催ト共ニ、都下各新聞並ニ通信社ノ各代表者ヲ招待シ、本大会開催ノ主旨ヲ発表セリ
 七月十五日 日本工業倶楽部ニ於テ前記三団体ト共ニ対支聯合大会ヲ開催シ、貴衆両院議員及実業家知名ノ士約五百名出席ノ上、万場一致左記決議文《(満)》ヲ可決ス
    決議○前掲ニツキ略ス
 七月二十四日 東京商業会議所ニ於テ右聯合大会委員会ヲ開キ、蜂須賀侯爵及和田豊治氏ヨリ、聯合大会ノ決議ニ依リ総理大臣及外務大臣ニ会見シテ決議書ヲ呈出シタル顛末ヲ報告セラレタリ
(七)在支本那商業会議所《(マヽ)》ニ本会代表者ノ参加
 社用ノ旁本協会ノ要務ヲ帯ヒテ支那ニ出張中ノ幹事森弁治郎氏ハ、本協会代表者トシテ七月十日ヨリ在支商業会議所聯合会ニ出席シ、
 - 第55巻 p.213 -ページ画像 
同月二十二日帰京、同二十四日本協会幹事会ニ於テ其顛末ヲ報告セラレタリ
(八)漢口・長沙及天津ヨリ派出ノ陳情員並ニ在支商業会議所聯合会代表者ノ上京
 漢口居留民代表ノ陳情員三名、長沙居留民代表ノ同委員一名及天津居留民代表ノ同委員二名ハ、排日状況陳情ノ為メ七月十日ヨリ相前後シテ上京セラレタルニヨリ、渋沢会長ハ七月十二日同陳情員一行ニ会見シ、本協会ハ同月十六日幹事会ニ於テ一行ヨリ実情ヲ聴取シ同陳情員ノ政府当局、貴族院各団体、各政党幹部及商業会議所等ヲ歴訪スルニ際シ、本協会ハ夫々紹介ヲ為セリ
 在支商業会議所聯合会代表者米里紋吉氏ハ同聯合会ノ決議ヲ齎シ、政府当局ニ請願ノ為メ七月三十日上京セラレタルニ依リ、本協会ハ八月一日幹事会ヲ開キテ同聯合会ノ決議及対策等ヲ聴取シ、且政府当局並ニ政党幹部等ニ対シテ夫々紹介ヲ為シ、該代表陳情ノ目的ヲ達セシムルコトニ助力シタリ(大正十二年八月末日迄ノ事項)



〔参考〕東京商業会議所報 第六巻第八号大正一二年八月 国民大会発起人会(DK550041k-0007)
第55巻 p.213-217 ページ画像

東京商業会議所報  第六巻第八号大正一二年八月
国民大会発起人会
大正十二年七月八日華族会館に於て、対支国民同盟会主催の下に国民大会(後に対支聯合大会と改称す)発起人会を開会したり。
  出席者
 対支国民同盟会側
侯爵 蜂須賀正韶君  子爵 青木信光君      和田彦次郎君
   田鍋安之助君     上杉慎吉君      大竹貫一君
   五百木良三君     木内重四郎君     下岡忠治君
 商業会議所聯合会側
大阪 稲畑勝太郎君     外海鉄次郎君  京都 浜岡光哲君
京都 松風嘉定君   名古屋伊藤守松君   横浜 井坂孝君
東京 杉原栄三郎君  東京 中根虎四郎君  東京 大山斐瑳麿君
同 米倉嘉兵衛君   同  守谷吾平君   同  日下吉平君
同 三島弥吉君    同  橋本直一君   同  堀内伊太郎君
 日華実業協会側
子爵 渋沢栄一君      和田豊治君      白岩竜平君
  荻野元太郎君      角田隆郎君
東京実業組合聯合会側
  星野錫君        阿部吾市君      野村宗十郎君
  高木耕治君       樋口太吉君      倉持長吉君
  塚本藤三郎君      田崎忠恕君      松田幸治郎君
 会議の開閉 午後二時二十分開議 午後三時四十分閉会
 蜂須賀侯座長席に着き開議
    決議事項
一、大会の名称
 本大会は之を「対支国民大会」と称すること(七月九日小委員会に於て対支聯合大会と改称)
 - 第55巻 p.214 -ページ画像 
二、発起者
 発起者は団体の名称のみを掲ぐること、即ち対支国民同盟会・商業会議所聯合会・日華実業協会・東京実業組合聯合会
三、大会の場所
 大会の場所は日本工業倶楽部とすること
四、大会の時日
 大会の時日は来る十五日午後二時とすること
五、通知の範囲及方法
 通知の範囲及方法は小委員に付託すること
六、大会の決議書
 大会決議書は甲・乙・丙三案中大体乙案を採用し、多少の字句修正は小委員に付託すること
七、大会に於ける演説
 大会の演説者は、小委員に付託して政治家・学者・実業家中より大体各一名とし、其の総数四名乃至五名を撰択交渉して決定すること
八、大会の司会者及順序
 本件は小委員に付託すること
九、小委員
 小委員の氏名及員数は座長一任とし、商業会議所聯合会・日華実業協会・東京実業組合会並に対支国民同盟会の四団体より各数名の小委員を挙ぐること
  而して座長指命の委員左記の如く決定せり
 商業会議所聯合会    杉原栄三郎君  山科礼蔵君
             稲畑勝太郎君  浜岡光哲君
 日華実業協会   子爵 渋沢栄一君   和田豊治君
             白岩竜平君
 対支国民同盟会  侯爵 蜂須賀正韶君  和田彦次郎君
             上杉慎吉君   木内重四郎君
             下岡忠治君   小川平吉君
             大竹貫一君   田鍋安之助君
 東京実業組合聯合会   星野錫君    山崎亀吉君
             阿部吾市君
一〇、小委員は外務省其他の関係当局を訪問して対支国民大会の趣旨を明かにし、本会決議の実行に努むること
一一、対支国民大会小委員は九日午前十時東京商業会議所に集合して本大会に関し協議すること
一二、主なる都市には順次国民大会を開催し、其際は各団体より可成出席して之を応援し、以て気声を挙げること
○第一回対支聯合大会小委員会
大正十二年七月九日東京商業会議所に於て、第一回対支聯合大会小委員会を開会したり。
  出席者
 対支国民同盟会
 - 第55巻 p.215 -ページ画像 
   和田彦次郎君  上杉慎吉君  木内重四郎君
   田鍋安之助君  下岡忠治君  大竹貫一君
   小幡虎太郎君  葛生能久君
 商業会議所聯合会
   杉原栄三郎君  服部文四郎君
 日華実業協会
   白岩竜平君
 東京実業組合聯合会
   星野錫君    山崎亀吉君  阿部吾市君
   横溝瑟恵君
  会議の開閉 午前十時二十分開議 正午 閉会
  大竹貫一君座長席に着き開議
    決議事項
一、大会の演説
  大会の演説は之を省略し、開会の辞を述べ、決議文を提出し、之を朗読すること
二、司会者
  司会者は徳川公爵又は蜂須賀侯爵とすること
三、開会の辞は渋沢子爵之を述ぶること
四、決議文
  上杉慎吉氏決議文を提出し之を朗読すること
五、閉会の辞
  閉会の辞は衆議院議長之を述ぶること
六、万歳
  頭山満氏の音頭にて万歳を唱ふること
七、案内の範囲
  (イ)、三千枚案内状を出すこと、但三千枚中千枚は対支国民同盟会に於て、残部二千枚は実業方面の三団体に於て発送すること
  (ロ)、新聞記者にも案内状を発することとし、各社長・各社会部及政治部御中宛に発送すること、但し新聞社の方の案内状は対支国民同盟会に於て発送のこと
  (ハ)、招待状(白岩氏起草可決)は之を印刷に附し封入郵送のこと
   (開封)
八、会費
  会費は之を取らざることゝし、茶菓を出すこと
九、プログラム
  入場の際にプログラムを配付すること
一〇、新聞記者招待
  来る十三日正午東京会館に於て新聞記者を招待すること
一一、決議文
  右は来る十五日の大会迄は厳秘とすること
一二、大会の名称
  右は対支聯合大会と改むること
 - 第55巻 p.216 -ページ画像 
○第二回対支聯合大会小委員会
大正十二年七月十三日東京会館に於て、第二回対支聯合大会小委員会を開催したり。
  会議の開閉 午前十一時五十分開会 正午 閉会
当日の新聞記者招待会に関する件、決議文の字句修正の件及対支聯合大会の順序等に就き協議するところありたり。
是より先午前十一時支那に於ける親日実業家天津裕源紡績公司主王祝三氏来訪し来り、小委員は同氏より日支親善に関する意見を聴取し、之に対し渋沢子爵は挨拶を兼ね日支親善に関し希望を述べられたり。
○新聞記者招待会
大正十二年七月十三日正午、東京会館に於て、新聞記者招待会を開催したり。
当日の招待状を発したるは、東京市内十七新聞社の政治部長・経済部長・社会部長、五通信社編輯部長、在支本邦人陳情委員等にて、出席者は新聞通信社より四十名、漢口陳情委員茂木一郎氏・小川愛次郎氏・長沙陳情委員山本勇吉氏其他二名、上海日本会議所会頭田辺輝雄氏、支那通歩兵大佐寺西秀武氏、主人側蜂須賀侯爵・渋沢子爵・和田彦次郎氏・下岡忠治氏・木内重四郎氏・杉原栄三郎氏・山科礼蔵氏・星野錫氏・喜多又蔵氏・白岩竜平氏・山崎亀吉氏・阿部吾市氏其他総員七十余名にして、午後零時三十分一同食卓に着き、席上和田彦次郎氏主人側を代表して挨拶を述べ、且本大会を成功せしむべく充分なる後援を与へられ度き旨を述べられたり。
一、食後漢口代表茂木氏、長沙代表山本氏、漢口代表小川氏交々立て排日情況の報告をなし、且之が対策に就きての希望を述べられ、又寺西大佐は排日対策に関する意見を説かれ、午後四時閉会せり
○対支聯合大会
大正十二年七月十五日、於日本工業倶楽部、対支聯合大会を開催したり。午後二時三十五分開会、来会者約五百名
渋沢子爵開会の趣旨を述べられたる後、座長の選挙を諮り、満場一致を以て蜂須賀侯爵を座長に推薦し、同侯爵座長席に着き、各地よりの祝電を披露したる後、議事に入り、上杉博士より左記決議案を提出し之を朗読したる上其理由を説明し、満場一致之を可決したり、次に政府訪問委員を挙ぐることを諮りたるに、之亦満場一致を以て蜂須賀侯爵・粕谷衆議院議長・和田豊治氏を推薦し、政府に迫ることに決し、終て粕谷氏よりは閉会の辞を述べられ、頭山満氏の発声にて、天皇陛下の万歳を三唱して午後三時二十分閉会せり。
    決議
  ○本文略ス。
 右決議す
  大正十二年七月十五日         対支聯合大会
○第三回対支聯合大会小委員会
大正十二年七月二十四日東京商業会議所に於て、第三回対支聯合大会小委員会を開会したり。
 - 第55巻 p.217 -ページ画像 
  出席者
 対支国民同盟会
         侯爵 蜂須賀正韶君  和田彦次郎君
            大竹貫一君   田鍋安之助君
            小幡虎太郎君
 商業会議所聯合会
            杉原栄三郎君  山科礼蔵君
            浜岡光哲君   服部文四郎君
 日華実業協会
         子爵 渋沢栄一君   和田豊治君
            白岩竜平君   角田隆郎君
            油谷恭一君
 東京実業組合会聯合会
            阿部吾市君   横溝瑟恵君
  会議の開閉 午後一時二十分開議 午後二時四十五分閉会
一、当局訪問委員、蜂須賀侯爵・和田豊治氏は、七月十六日外務大臣を、同十八日内閣総理大臣を訪問し、各決議文を提出して陳情したる処、両大臣共決議に讚同の意を表され、出来得る限り決議の趣旨に添ふ様尽力すべく答へられたる旨報告あり、之を承認し、尚排日対策に関し腹蔵なき意見の交換を為したり。
    ○報告会
○上海出張の当所並に聯合会代表大山常議員報告書
大正十二年七月二十四日、当所に於て、上海に於ける在支日本人商業会議所聯合大会に出席したる当所並に聯合会代表大山常議員の報告会を開会したり
  出席者(当日開催の各部会及聯合部会に同じ)
午後三時二十五分開会、午後四時十五分閉会
劈頭山科副会頭は開催の挨拶を為し、今回大山常議員が日貨排斥問題の為め渡支せられ、重大なる任務を全くして帰朝せられたるに対し一同を代表して感謝の意を述べられたり、次に大山君は渡支の目的なる(一)支那に於ける排日実情の視察、(二)在支日本人商業会議所聯合大会に出席、(三)在留本邦人慰問の三項に亘りて詳細なる経過の報告、及上海に於て数回会合せる日支実業家の懇談会に於て、其の親善融和に努力し大に其の効果を収めたる旨の報告ありたる後、排日問題に関する対策及日支の経済的提携に関する意見の発表ありたり
右終りて山科副会頭は其の労を謝し、尚去る七月十五日開会の対支聯合大会決議に関し、其の代表委員が外務当局を訪問せる経過の報告ありて閉会せり
 尚当日の大山常議員の報告の演説速記は別項に掲げたり