デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和4年8月14日（1929年）

是ヨリ先、当協会、屡々幹事会ヲ開キテ、中華民国関係諸問題ニツキ協議シ、特ニ通商条約改訂問題ニ関シテハ、日本経済聯盟会ト連合ノ特別調査委員会ヲ設ケテ審議ヲ重ネ、「日支通商条約改訂ニ関スル意見書」ヲ作成ス。是日栄一、箱根小湧谷三河屋旅館ニ於テ、当協会書記長油谷恭一ノ来訪ヲ受ケ、委員会審議ノ経過等ニ関シ、説明ヲ聴
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取ス。右意見書ハ、両団体会長ノ連名ヲ以テ、政府当局ニ提出セラル。

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
拝啓
　　　　幹事会ノ件
明十日（木曜日）午後四時ヨリ、当事務所ニテ幹事会相開キ、目下上京中ノ船津幹事ニモ御出席ノ筈ニツキ、時局ニツキ御協議願度、何卒御繰合セ御出席被成下度、御案内申上候　敬具
　　昭和四年一月八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢子爵殿
　追啓　当日ハ当方幹事会終了後、赤阪山王星ケ岡茶寮ニテ、晩餐会相催シ度、卒御繰合《（何脱）》セ御出席願上候

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
　　　　幹事会ノ件
明十六日（水）正午ヨリ、当事務所ニテ幹事会相開キ度
当日ハ大阪喜多幹事上京御出席ノ筈ニ付、御意見交換旁御来会願度、何卒御繰合セ御出席願上候　拝具
　　昭和四年一月十五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　渋沢子爵殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
　　　　幹事会ノ件
来ル二月一日（金曜日）正午ヨリ、当事務所ニテ幹事会相開キ候間、何卒御繰合セ御出席願上候
当日ハ近々上海ニ御出発ノ外務省重光参事官ニ御出席願置候間、御含置願候　敬具
　　昭和四年一月卅日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　渋沢子爵殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
　　　　幹事会ノ件
明十三日（水曜日）正午ヨリ、当事務所ニ於テ幹事会相開キ、済南事件ニ関シ緊急御相談申上度、御繁用中乍ラ御繰合セ御出席願上候
　　昭和四年二月十二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
 - 第55巻 p.511 -ページ画像 
　　　子爵
　　　　渋沢栄一殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
(秘)
拝啓
　　　　済南事件解決ニ関スル件
済南事件ハ已ニ御承知通リ、昨廿四日両国全権ニ於テ仮調印ヲ了シ候趣ノ処、聴ク所ニ依レハ、廿八・九日頃正式調印ノ予定ニテ、調印後二ケ月以内ニ撤兵ヲ了スルコトニ相成リ居リ、ヤガテ発表サルヘキ両国ノ声明ハ簡単ニ、両国々交ニ鑑ミ本件ヲ解決スル旨、並ニ撤兵ト同時ニ支那側ハ治安維持ニ関スル声明ヲ発スルコト、前記ノ調印後二ケ月以内ニ撤兵スル事及ビ両国ノ損害ハ共同調査会ニ於テ調査スル事ノ諸事項発表ニ止メ、排日運動鎮圧、山東鉄道ニ関スル諸取極メ其他ハ一切発表セサル由ニ有之、事件解決ノ骨子ハ双方無賠償、無責任ノ方針ト承リ候
右不取敢御報告申上候
尚本日協会会頭外一同《（長）》ノ名ニテ、在上海芳沢公使宛御礼ノ電報差出置候間、御承知置願候　敬具
　　昭和四年三月二十五日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
謹啓
　　　　幹事会ノ件
来ル廿四日（水曜日）正午ヨリ、当事務所ニ於テ幹事会相開キ度、当日ハ上海ヨリ上京中ノ同地商工会議所米里会頭ニ御出席願置候間、御含置ノ上、御繰合セ御出席願上候　拝具
　　昭和四年四月廿二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　　　　　殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
　　　　幹事会ノ件
来ル十七日（金曜日）正午ヨリ、当事務所ニテ幹事会相開キ候間、御繰合セ御出席被成下度
当日ハ最近入京致候王朝佑氏出席ノ事ニ致候、同氏ハ予而御手許ニ差上ケ候「亜洲ノ日本」ノ著者ニ有之候
尚当日ハ別ニ条約改締問題ニ関シテモ御協議願度、御繰合セ願候
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　拝具
　　昭和四年五月十四日
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　子爵　渋沢栄一殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（謄写版）
拝啓
　　　　臨時幹事会ノ件
来ル六月十八日（火曜日）午前十時ヨリ、当事務所ニ於テ臨時幹事会相開キ度
当日ハ特ニ大阪側ヨリ喜多又蔵氏・武居綾蔵氏・村田省三氏ノ各位御出席ノ筈ニ有之
今回ノ日支通商条約改訂ニ関シ御協議相願度候間、右御含ノ上、何卒御繰合セ御臨席被成下度、御案内申上候　敬具
　　昭和四年六月十一日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　（宛名手書）
　　　　渋沢子爵殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
謹啓
　　　　幹事会ノ件
来ル十五日（月曜日）午後四時ヨリ、当事務所ニテ幹事会相開キ度
当日ハ漢口ヨリ上京中ノ日清汽船後藤富賀美氏ニ最近ノ同地事情御話願置候
尚天津ヨリ照会有之候在支民団及商工会議所聯合会開催ノ件、其他ニツキ御相談申上度、何卒御繰合セ御出席願上候　敬具
　　昭和四年七月十二日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　渋沢子爵殿

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
　　　　　　　　　　（栄一鉛筆）
　　　　　　　　　　八月十四日午前十時頃、油谷恭一氏小湧谷旅館ニ来訪シテ、本意見書作成ニ至ルマデノ経過ヲ説明セラレ、外務・大蔵両省トノ交渉及本会委員会調査ノ顛末等ヲ詳細ニ説明シテ後、此報告書ヲ提出セラレ、更ニ関係ノ事共ヲ申シ添ヘラレテ、一時間余ヲ経過シテ辞去シタリ
　　昭和四年八月八日
　　　　　　　　　　　　　　　　　支那問題特別調査委員会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　委員長　門野重九郎
　　　日華実業協会
　　　　会長　子爵　渋沢栄一殿
粛啓　今次ニ於ケル日支通商条約ノ改訂ハ、本邦経済界ニ至要ノ関係
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有之候処ニ鑑ミ、日華実業協会及日本経済聯盟会ニ於テ聯合調査委員会ヲ設置シ、本年五月以来屡次会合シ慎重ナル審議考究ヲ遂ケ、別紙ノ通意見書ヲ作成仕候、右御報告迄得貴意候　敬具
　追テ右意見書ニ添附致スベキ対支重要輸出品中若干品目ニ付当業関係者ノ意見書ヲ徴シ、又其説明ヲ速記致サセ候間、此等ハ印刷出来次第貴覧ニ可供候　再具
（別紙、謄写版）
（朱印）
極秘
　　　　日支通商条約改訂ニ関スル意見書（案）
日支通商条約ノ改訂ハ我邦経済界ニ至要ノ関係アルニ鑑ミ、両団体ハ聯合調査委員会ヲ設置シ、慎重ナル審議ヲ行ヒ、左記意見ヲ作成シタリ、幸ニ右趣旨ヲ考慮セラレ、其実現ヲ図ラレンコトヲ望ム
　　　　　　第一、関税協定ノ件
日支通商条約ノ改訂ニ際シ、我邦カ関税ニ関スル互恵協定ヲ取結フノ必要アルコトハ、玆ニ縷説スルヲ要セス、蓋シ関税自主権ノ恢復ト共ニ、支那政府ハ其歳入増加及ヒ国内産業保護ノ手段トシテ、必スヤ急激ナル関税率ノ引上ヲ行フヘク、之レカ結果トシテ我邦ノ対支輸出品ハ著シキ影響ヲ受クヘキニ依リ、予メ互恵協定ヲ取結ヒ之ニ備ヘサルヘカラス、日支互恵協定ニ対スル希望意見左ノ如シ
一、互恵条約ノ年限
　　互恵条約ノ年限ハ少クトモ十箇年トセラレタキコト
　　互恵条約ノ年限ニ就テハ、其効果ヲ完タカラシムル為メ之ヲ十箇年トセラレタク、頻繁ナル互恵品目及其税率ノ改訂ハ経済界ニ不安ヲ与フルコト大ナリ
二、互恵税率ヲ主張スヘキ商品目ノ選定標準
　　イ、数量及金額ニ於テ現在ニ於ケル対支重要輸出品タルコト
　　ロ、現在重要ナラサルモ、将来発達ノ見込十分ナル対支輸出品
　　ハ、支那国内産業ノ勃興ニ依リ著シク影響ヲ受クヘキ商品
　　ニ、支那関税引上ノ為メ需用減退シ、我邦内産業ニ著シキ影響ヲ及ボス虞アルモノ
三、我邦ノ主張スヘキ互恵税率ノ標準
　　現行ノ支那七種差等税率ニ標準ヲ置カレタキコト
四、以上ノ原則ニ適合スルモ、交渉上止ムヲ得ス削除ノ必要生シタル時ト雖モ、互恵税率適用ノ商品総価格ハ現行差等税率実施ノ際日本側ノ要求セシ最低率適用ノ商品総価格ニ達セシメラレンコトヲ望ム
　　尚ホ対支重要輸出品中若干品目ニ付聯合調査委員会ニ於テ当業関係者ヨリ意見書ヲ徴シ、又其実状ヲ説明セシメ、速記録ヲ作成シタルヲ以テ、玆ニ参考ノ為メ其写ヲ添附シタリ
　　　　　　第二、治外法権撤廃ニ関スル件
支那ニ於ケル治外法権撤廃ハ原則トシテ承認スルモ、之レニ対スル条件トシテ一九二六年各国法権調査会勧告事項《（議脱カ）》ノ完備実行ヲ求ムルコト
　　　　　　理由
支那ノ現状ハ、曩ノ各国法権調査会議ニ於ケル勧告事項タル法典ノ完
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成、其他司法警察・監獄諸制度ノ整備及ヒ諸般設備ノ改善充実等、其後実行セラレタルモノヲ見ス、又最近ニ於ケル上海臨時法院ノ成績ニ徴スルモ、官憲ノ司法権干渉行ハレ、公正ヲ期シ得ラレサル実状ニアリ、今日直ニ無条件ニ領事裁判権ヲ放棄スルコトハ時期尚早ナルモ、此等勧告事項全部ノ実行ヲ督促スルト共ニ、其ノ主要事項カ完備実行セラルルニ至ラハ、漸進的方法ニ依リ之カ撤廃ノ協定ニ応スルモ支障ナカルヘシ
　　　　　　第三、内河及沿岸航行権ニ関スル件
従来且現ニ営業ニ従事シツツアルモノハ、当然現行ノ内河及沿岸航行権ヲ持続スルコトヲ承認セシムルコト
　　　　　　　　理由
支那ノ内河及沿岸航行権ノ回収ハ理論上ノ問題タルニ止リ、現ニ条約ニ依リ巨額ノ資本ヲ投下シテ営業ニ従事セルモノニ対シテハ、一片ノ理論ヲ以テ其ノ権利ヲ改廃セラルルカ如キハ到底忍フ能ハサル所ナリ況ヤ支那ノ現状ニ鑑ミル時ハ、支那船舶ハ常ニ内乱ノ影響ヲ受ケ、軍閥官憲ノ甚シキ干渉圧迫ヲ蒙リ、其発達ハ到底貿易及交通上ノ必要ヲ充スニ足ラス、支那内河及沿岸諸航路ノ開始以来六十年間、支那対外貿易ノ著シク伸展シタルハ、一ニ之ニ従事セル外国航運船ノ発達ニ負フモノニシテ、将来尚ホ之ヲ持続セシムヘキ必要アルヤ多言ヲ要セス之ヲ我邦ノ対支貿易並ニ各般ノ関係ニ就テ見ルモ、若シ内河航行権ヲ放棄スルカ如キコトアル場合ハ、内地諸開港地ニ於ケル邦人ノ通商及居住ノ維持困難ニ陥ルノミナラス、有事ノ際ニ於ケル邦人ノ避難機関ヲモ欠クヲ以テ、遂ニ通商ヲ抛棄シ全部撤退ノ止ムヲ得サルニ至ルヘキカ故ニ、此等諸航路ノ航行権放棄ハ到底之ヲ認ムヘカラス
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上
　　昭和四年　月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　日本経済聯盟会
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　男爵　団琢磨
　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　　　　　　　　　　　　　　会長　子爵　渋沢栄一

竜門雑誌　　第四九二号・第八七頁　昭和四年九月
　　　　青淵先生動静大要
　　　　　　八月中
十日　　避暑旁静養の為め令夫人同伴、午前七時二十分、自動車にて曖依村荘より箱根小湧谷三河屋旅館に赴かる
三十日　午後五時三十八分、東京駅着の汽車にて令夫人と共に帰京せらる

日華実業協会第九回会務報告書　　第一―一七頁　昭和四年一二月刊
　　　　第九回会務報告
　当年度間処理シタル会務ノ中重要ナル事項ヲ左ニ摘録ス。
　　　　　　一、幹事会記録（昭和三年十二月下旬以降）
　　○十二月廿九日正午、事務所ニテ開会
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一、対支時局ニ関シ国内ニ於ケル外交問題ノ論議並ニ支那全国ニ亘ル反日運動ニ関シ協議ノ結果、別項申合セヲ為シテ之ヲ一般ニ発表シ同時ニ之ガ趣旨徹底ニ努ムル事トセリ。
一、天津日本商工会議所ヨリ報告ノ、同地ニ於ケル反日運動状況並ニ反日運動対策ニ関スル同会議所ノ、決議書ニ就キ協議シ、其ノ主旨ヲ当局ニ転達セリ。
　　○十二月三十日午後二時ヨリ、事務所ニテ開会
一、入京中ノ呉光新一行幹事会ニ出席、同氏ノ支那時局ニ関スル主張ヲ聴取セリ。
　　○一月十日正午、日本工業倶楽部ニテ開会
一、日本経済聯盟会・大日本紡績聯合会トノ聯合午餐会ヲ催シ、最近上海ヨリ上京ノ船津幹事ヨリ、上海地方ニ於ケル反日運動ノ状況並ニ懸案中ノ済南事件解決ニ関スル同氏ノ意見ヲ聴取セリ。
　　○一月十日午後四時ヨリ、事務所ニテ開会
一、両国間ニ懸案中ノ済南事件解決ニ関スル船津幹事意見ニ基キ慎重審議シ、晩餐後散会ス。
　協議ノ結果ハ公使並当局ニ具陳スルコトヽセリ。
　　○一月十六日正午、事務所ニテ開会
一、大阪ヨリ上京ノ喜多幹事ヨリ、時局ニ関スル日華経済協会側ノ意嚮ヲ聴キ、之ニツキ協議セリ。
一、上海ニ於ケル日支関税協定交渉ニ関シテハ、予テ税率並ニ債権整理ニ関シ当方意見書ヲ当局ニ提出中ノ処、最近交渉成立スルニ到リ其ノ内容ニ関シ概要左記報告ヲ為セリ。
　（一）本年二月一日ヨリ曩ニ北京特別関税会議ノ際大体議了シタル差等税率ヲ基礎トシタル新関税率ヲ実施ヲスルコト。
　（二）債務整理ニ関シテハ、国民政府ハ国務会議ノ決議ニ依リ新関税収入ヲ以テ外国ニ対スル債務整理ヲ行フ原則ヲ承認シ、之ニ充当スル額ハ大体年額五百万元ト定メ、漸次逓増スルモノトス。細目ニ関シテハ速カニ右債権国会議ヲ招請スルコト。
　　整理ノ方針並ニ範囲ハ、民国十五年北京関税特別会議債務整理委員会ノ討議ニ準拠スルコト。
一、新関税率表ヲ印刷ニ付シ、一般会員並ニ関係各方面ニ配布スルコトヽセリ。
　　○二月一日正午、事務所ニテ開会
一、外務省参事官重光氏出席ノ上、済南事件解決其他ニ関シ意見ノ交換ヲ為セリ。
　　○二月十三日正午、事務所ニテ開会
一、上海ニ於ケル済南事件解決交渉ニ関スル同地日本商工会議所来電ニツキ凝議シ、当方意見ヲ取纏メ直ニ返電ヲ発セリ。
　左記各地来電ヲ報告セリ。
　　一、排日運動ニ関スル漢口民団及商工会議所決議来電、左記ノ如シ（一月廿三日）
　　　一月九日適々排日会ハ暴力ヲ以ツテ対日総罷工ヲ強制スルト共ニ、日本租界ヲ封鎖シテ糧道ヲ絶チ、邦人ト関係アル支那人ニ
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対シ惨虐ナル私刑ヲ行フノミナラズ、最近ハ直接邦人ノ生命財産ニマデ危害ヲ加フルニ至リ、不法非道実ニ言語ニ絶ス。シカモ支那官憲ハ誠意ナシ、幾度カ我ガ帝国官憲ノ厳重抗議ニ係ラズ、何等取締リノ法ヲ講ゼザルノミナラズ、却ツテ之ガ援助ヲ与ヘツヽアルハ、吾人ノ断ジテ許ス能ハザル所ナリ、抑々今回ノ事件タルヤ、表面一交通事故解決促進ヲ目的トスル民衆ノ愛国運動ト称スルモ、裏面ニ至リテハ、此ノ機ニ乗ジ、日本租界ノ奪取ト邦人通商ノ根絶ヲ基トスル国民党部ノ組織的陰謀ニ他ナラズ、是ガ為メ昨年来排日ノ渦中ニ万難ヲ排シ継続シ来レル吾人ノ営業ハ、今ヤ全ク停頓危殆ニ瀕シ、居留民ノ存亡、将ニ一髪ニカヽル、吾人当面幾多ノ困難ノ難キ固ヨリ意トセザルモ今ニシテ断乎タル手段ニ出デザレバ、現在支那各地ニ瀰漫セル排日運動ニ同様事態ヲ惹起セシムルヤ疑ヲ入レズ。
　　　依ツテ帝国政府ハ速ニ、此ノ不法ニシテ人道ヲ無視スル反日会ノ暴行ヲ根絶セシメ、帝国ノ権益ヲ擁護スルニ適当且ツ有効ナル措置ニ出ラレンコトヲ望ム。右決議ス。
　　一、済南事件解決ニ関シ青島商工会議所来電（二月十三日）
　　一、輸出附加税並ニ陸境関税ニ関スルハルピン日本商業会議所ヨリノ来電、左記ノ如シ（二月八日）
　　　（一）ハルピン海関ハ総税務司ヨリノ指令ニ基ヅキ、何等予告ナク突如二月一日付ヲ以ツテ、支那製産品ニ対シ輸出附加税ヲ徴収スル旨発表即日実施セリ。我輸出商ハ本件ニ付日本政府ヨリ何等ノ予告モ受ケ居ラズ、殊ニ三・四ケ月先物取引ノ商習慣ニ依ル穀物商ノ如キハ其ノ蒙ル損害甚大ナリ。本問題ニ依リ生ズル影響ノ甚大ナルヲ考慮セラレ、上記希望達成ニ尽力セラレタシ。
　　　（二）ハルピン海関ハ総税務司ノ指令ニ基ヅキ、十四日ヨリ陸路国境関税三分ノ一減ノ特典ヲ撤廃スルコトヽナリ、十三日布告ヲ出ス由確聞ス。重ネ々々ノ暴戻ニテ、北満経済界益々混乱ニ陥ル恐レアリ、御尽力ヲ乞フ。
　　○二月十四日午後三時、事務所ニテ開会
一、上海ニ於ケル済南事件解決ニ関スル上海来電ニツキ協議セリ。
　　○二月廿一日午後三時、事務所ニテ開会
一、最近上海ニ出張ノ喜多幹事出席、済南事件交渉ノ一時停頓ニ至レル事情ヲ聴取シ、之ガ対策ニツキ凝議シ、上海ニ電報スルト共ニ、当方ノ意見ヲ当局ニ具陳スルコトトセリ。
一、上海工部局電気事業民間経営ニ関スル情報報告セリ。
　　○三月十四日正午、事務所ニテ開会
一、済南事件解決ニ関スル上海日本商工会議所来電ニツキ協議セリ。
　本件ニ関スル大阪日華経済協会決議ヲ報告セリ。
　　○四月八日正午、事務所ニテ開会
一、懸案中ノ済南事件解決ニ関シテハ、先般来屡々幹事会ヲ開会シテ随時当方意見ヲ取纏メ、外務当局及ビ公使其他ニ具陳シテ之ガ解決ニ努メシガ、漸ク去三月廿四日両国全権ニ於テ仮調印ヲ為シ、廿九
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日正式ニ調印ヲ了シタルニ由リ、之ガ解決ノ内容ニ関シテハ、当時直ニ会員一般ニ報告スルト共ニ、調印ト同時ニ当方会長名ヲ以テ在上海芳沢公使宛慰労ノ電報ヲ発シタル旨報告セリ。
一、済南事件解決後ニ於ケル支那各地反日運動ニツキ情報ヲ報告セリ
一、武漢地方動乱ノ経過ニツキ報告セリ。
一、入京中ノ白兪枑氏出席支那政局ニ関スル同氏ノ意見ヲ聴取セリ。
一、本議会ニ於テ衆議院ヲ通過シタル在支商工業者資力補救並ニ将来発展ニ関スル決議案ニツキ報告ヲ為セリ。
　　○四月廿四日正午、事務所ニテ開会
一、上海日本商工会議所会頭米里氏出席、済南事件解決後ニ於ケル各地ノ反日運動ノ情勢ヲ聴取シ、之ガ対策ニツキ協議ノ結果別項声明書ヲ発表セリ。
一、漢口商工会議所来電、同地反日会ニ対スル決議ヲ報告ス。
一、長野朗氏調書「日本ト支那ノ諸問題及ビ満洲問題ノ実相」ヲ関係方面ニ配布セリ。
　　○招待会
一、五月一日、帰朝中ノ矢田上海総領事及上海日本商工会議所米里会頭ヲ招待、晩餐会ヲ催セリ。
一、五月九日、帰朝中ノ芳沢公使ヲ招待、晩餐会ヲ催セリ。
　　○五月十七日正午、事務所ニテ幹事会開会
一、日支通商条約改訂ニ関スル意見交換ヲ為セリ。
一、入京中ノ北京王朝佑氏出席、日支両国提携ニ関スル同氏ノ意見ヲ聴取セリ。
　同氏ハ曩ニ北京ニ於テ亜洲之日本其他日支両国ニ関スル意見ヲ発表公刊セリ。右亜洲ノ日本ハ其ノ訳文ヲ会員及関係方面ニ配布セリ。
　　○六月一日午後三時、日本工業倶楽部ニテ開会
一、日本経済聯盟会ト日支通商条約改訂ニ関スル第一回聯合協議会ヲ開催ス。
一、外務省武富通商局長出席条約改訂ニ関スル意見ノ交換ヲ為セリ。
一、左記事項ノ申合ヲ為ス。
　　一、関税協定ニ関シ我ガ対支重要商品ニツキ、各当事者ノ意見ヲ聴取スルコト。
　　一、条約改訂ノ重要項目タル関税協定・治外法権・内河及沿岸航行権ノ三問題ニツキ、今後対策講究ノコト。
　　○六月七日午後四時、事務所ニテ開会
一、来ル十日外務省ニテ主催ノ、条約改訂ニ関スル第一回懇談会ニ対スル対案ニツキ協議ス。
一、六月一日南京ニテ挙行ノ孫総理霊柩移安式ニ、船津幹事ハ会長代理参拝並ニ輓帳及ビ植樹ヲ供ヘタル旨報告。
一、入京中ノ王朝佑氏九日帰国ノ旨報告。
一、哈爾賓商工会議所来翰、松花口土貨輸送輸出二課税《（マヽ）》ノ件報告ス。
一、排日貨運動ノ影響概記調書ヲ会員ニ配布セリ。
　　○六月十四日午後四時、事務所ニテ開会
一、前回ニ引続キ日支条約改訂ニ関シ協議セリ。
 - 第55巻 p.518 -ページ画像 
　○六月十七日午後四時、事務所ニテ開会
一、上海横竹商務官ニ出席ヲ乞ヒ、条約改訂問題ニ関シ意見交換ヲ為セリ。
　　○六月十八日午前十時、事務所ニテ開会
一、大阪ヨリ上京ノ喜多幹事外、武居・村田両氏出席ノ上、本日午後二時ヨリ開催ノ、外務省主催条約改訂ニ関スル第二回懇談会ノ議案ニツキ協議セリ。
　　○六月十九日正午、日本工業倶楽部ニテ開会
一、条約改訂ニ関スル日本経済聯盟会トノ第二回協議会開催、大日本紡績聯合会・輸出綿糸組合・糖業聯合会各代表ヨリ意見ヲ聴取セリ
　　○七月十五日午後四時、事務所ニテ開会
一、天津居留民団及同地日本商工会議所ヨリ提案ノ、在支民団及商業会議所会開催《（聯合脱カ）》ノ件ニツキ協議セリ。
一、漢口日清汽船会社後藤支店長出席、同地ニ於ケル懸案タリシ車夫水杏林傷死事件解決ト共ニ、去ル六月廿七日以後排日貨運動停止ニ至タル経過並ニ最近ノ同地情況ヲ聴取セリ。
　　○七月十七日正午、日本工業倶楽部ニ於テ開会
一、日本経済聯盟会トノ聯合協議会ヲ開催シ、対支重要輸出品中ノ雑貨・護謨・製紙ニ関スル各当事者ノ意見ヲ聴取セリ。
　　○七月廿八日正午、日本工業倶楽部ニ於テ開会
一、日本経済聯盟会トノ聯合協議会ヲ開催シ、対支重要輸出品中ノ砂糖・人造絹糸・同織物・石炭・肥料・化学薬品・染料・毛織物ニ関スル各当業者ノ意見ヲ聴取セリ。
　　○八月六日午後四時ヨリ、日本工業倶楽部ニ於テ開会
一、日本経済聯盟会トノ聯合協議会ヲ開催シ、関税協定・治外法権・内河及沿岸航行権ノ各要項ニ関スル両協会意見書ニツキ協議シ、成案ト為ス。
　　○八月廿六日正午、事務所ニテ開会
一、大阪日華経済協会代表者武居・福元・庄司諸氏並ニ喜多・小倉両幹事出席ノ上、条約改訂ニ関スル諸案ニツキ意見交換ヲ為シ、一同外務大臣招待晩餐会ニ出席セリ。
一、日本経済聯盟会ト聯合協議中ナリシ、日支通商条約改訂ニ関スル意見書ヲ両会長連名ニテ外務大臣宛提出セリ。
一、条約改訂ニ関スル上海日本商工会議所・漢口商工会議所・青島商工会議所・天津商工会議所ノ意見書ヲ、夫々外務当局ニ転達セリ。
　　○九月六日正午、日本工業倶楽部ニ於テ開会
一、日本経済聯盟会トノ聯合協議会ヲ開催シ、条約改訂ニ関スル在支企業及通商ニ関スル要項ニツキ審議シ、且ツ対支重要輸出品品目ニ関スル各当業者ノ説明ニ基キ同品目ノ一般的審議ニツキ協議セリ。
　　○九月廿日正午、事務所ニテ開会
　一、上海船津幹事帰京ニツキ、青島ニ於ケル日本工場罷業ニ関スル経過及ビ最近問題トナレル在支邦人工場出廠税ニ関シ支那側トノ交渉内容ヲ聴取シ、之ガ対策ニツキ意見交換ヲ為セリ。
　　○九月十二日、佐分利公使招待晩餐会ヲ催セリ。
 - 第55巻 p.519 -ページ画像 
○中略
　　　　　　二、幹事会ニ於ケル対支時局ニ関スル申合
十二月廿九日幹事会ニ於テ、最近国内ニ於ケル対支外交論議ノ趨勢並ニ支那全国ニ亘ル反日運動ニ関シ左記申合セヲ発表セリ。
　一、外交ニ関シ、外交問題ハ之ヲ政争ノ外ニ置キ、朝野一致之ニ処スルコト特ニ緊要ナリト認ム。
　二、支那ニ於ケル反日行動ニ関シ、刻下支那各地ニ於テ官民ノ採リツヽアル反日行動ハ、最近恰モ敵対行為ニ等シク、其ノ結果ハ益両国関係ヲ紛糾錯綜セシムルモノナリト認ム。因ツテ彼我共ニ冷静ナル態度ト互譲的精神ニ拠リ、条約ノ改訂並ニ不祥ナル懸案ヲ解決シ、速カニ国交ノ改善サレン事ヲ望ム。若シ支那官民ニシテ依然其ノ態度ヲ改メザルニ於テハ、我国ハ已ムヲ得ズ当面ノ措置トシテ、必要ニ応ジ適宜自衛ノ手段ヲ採ルノ外ナシト思考ス。
　　　　　　三、排日問題並ニ邦船涪陵丸砲撃事件ニ関スル声明書発表
四月廿四日幹事会ニ於テ、済南事件解決後ノ支那各地排日運動、並ニ之ニ関連シ邦船涪陵丸砲撃事件ニ関シ、左記声明書ヲ発表セリ。
　排日問題　済南事件ノ解決ト共ニ解散セラルヘキ反日会ハ表面上名称ヲ国民救国会ト変更シタルノミニテ、事実上解散セザルノミカ其後依然トシテ緩和セズ、汎有妨害ヲ試ミ、一切ノ不平等条約解決迄ハ排日運動ヲ継続スト宣言ヲ発表スルト共ニ、盛ニ日貨糾察ヲ行ヒ、一般商民ヲ威嚇シツヽアル為メ、一旦好転ヲ期待セラレシ日支貿易ハ反対ニ日貨ニ対スル取引険悪トナリツヽアリ。
　　右最近ノ情勢ニ鑑ミ、我ガ政府ハ支那当局ニ対シ引続キ厳重取締方極力交渉中ナルモ、支那官憲ハ表面之ヲ承諾スルノミニテ何等取締ノ事実ナク、済南事件解決ニ関聯シテ取極メタル諒解条項ヲ履行スルノ誠意ナキ事明カナリ。
　　如此適法ニ締結シタル国際条約ヲ無視スル支那当局ニ対シテ、徒ラニ口舌文書ノ抗議ヲナスモ寸効ナキコト明カナレバ、我朝野ハ断然タル決心ヲ以テ支那政府ノ責任ヲ糾弾シ、即時排日運動ノ終熄セザル場合ハ、我在支商民団ハ共同自衛手段ヲ講ズルノ外ナキニ到ルベシ。
　涪陵丸事件　支那ニ於ケル排日運動ハ済南事件解決後少シモ緩和セザルノミナラズ、最近一層熾烈トナリ、不平等条約ヲ廃案シ、日本帝国主義ヲ打破スル迄反日運動ヲ継続スト高唱スルニ至リ、為メニ一般国民ハ益々対日敵対思想ヲ懐キ、支那ト日本トハ到底両立スル事能ハズトノ感念ヲ深クスルニ至リ、事毎ニ我国ニ反抗シツヽアリ、最近頻発スル済南ニ於ケル伊東中尉射殺事件、沙市下流ニ於ケル日清汽船涪陵丸砲撃事件ノ如キ、其片鱗ト見ルベク、単ナル偶発事件トシテ軽視スルヲ許サヾル国家的重大事件ナリ、殊ニ涪陵丸事件ノ如キ、白昼公然日本国旗ヲ掲揚セル商船ニ対シ何等ノ理由ナク大砲ヲ発射《（衍）》セシ、本船高級船員ヲ初メ九名ノ死傷者ヲ出セシ事実ハ、帝国ヲ侮辱シ、国威ヲ蹂躙シ、条約上、人道上許スベカラザル一大蛮行ト言フベシ、是ヲシモ我国民ハ寛容シ
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得ベキヤ。
　　今ヤ対支問題ハ最モ重大ナル危機ニ瀕セリ、此際我国ハ政党政派ヲ超越シ、挙国一致一大決心ヲ以テ確固タル方針ヲ定メ、之ガ解決ニ当ラザルベカラズ。
○中略
　　　　　　五、日支関税協定
新関税率即チ七種差等税率実施ニ関スル日支交渉ハ、昨年来懸案中ノ所、右交渉ニ関シ税率並ニ之ト関聯セル債務整理ニ関シ、本会ニ於テハ屡次幹事会ヲ開催シテ之ガ対策ヲ講究シ解決ニ努力シ来リタルガ、本年一月末ニ到リ解決ヲ見ルニ到リ、新税率ハ二月一日ヨリ実施サルルニ到レリ。
　　　　　　六、済南事件解決
済南事件並ニ之ニ関聯セル山東撤兵問題ニ関スル懸案ハ、本年一月以来交渉再開サレ、漸ク解決ノ機運ニ向ヒシガ、二月ニ入リ賠償問題ノ点ニ関シ急ニ交渉停頓シ、一時ハ継続交渉困難ノ状態ニ陥リシガ、種種曲折ヲ経テ三月末ニ到リ協定成立シ、年来ノ両国国交上ノ難問題解決ヲ見ルニ到レリ。此ノ間本協会ハ本案解決ニ関シ屡次幹事会ヲ開催シテ之ガ対策ヲ講究シ、当局ヲ助ケテ懸案解決ニ力ヲ注ギタリ。
　　　　　　七、排日貨運動ノ経過
昨年五月済南事件ヲ誘因トシテ支那各地及南洋方面ニ亘リ勃発シタル深刻ナル排日貨運動ノ情勢ニ関シテハ、曩ニ上海排日貨ノ実情及ビ其他ニ由リ逐次詳細報告セシ所ナルガ、前記済南事件ノ解決ト共ニ漸次其ノ風潮緩和サレ、其後露支間ノ紛争等ノ為メ、七月中旬ニ入リ大体ニ於テ各地トモ終熄ヲ見タルモ、今回ノ排日貨運動ハ其ノ目的ヲ済南事件ニ対スル対日牽制ノ外、治外法権等各種不平等条約ノ撤廃及ビ国産奨励等ノ各種ノ色彩ヲ帯ビ、今後更ニ再燃ス可キ観測ノ行ハレ居ルハ注目スベキ事ナリ。
　　　　　　八、日支通商条約改訂
済南事件ノ解決ト共ニ、大正十五年来ノ懸案タリシ日支条約廃棄通告問題モ、本年四月ニ到リ円満解決ヲ見、愈条約改訂交渉開始ノ機運ニ向ヒタルニ由リ、爾来本会ニ於テハ之ガ対策講究ノ為メ屡次幹事会ヲ開催シテ研究ヲ為シ、外務省主催ノ官民懇談会等ニ於テ充分当局ト懇談ヲ遂グルト共ニ、条約改訂問題ハ広汎ニ亘リ関係重大ナル為メ、特ニ日本経済聯盟会トノ聯合協議会ヲ継続的ニ開催スルコトトシ、本年五月以来已ニ十余回ノ聯合協議ヲ重ネ、其ノ結果成案ヲ得タル関税問題・治外法権問題・内河及沿岸航行権等ニ関シテハ已ニ夫々当局ニ意見書ヲ提出セリ。
○下略

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓
別紙○次掲　東京震災記念事業協会催シノ中華民国名士寄贈書画展覧会ノ企テニ、他ノ関係諸団体ト共ニ協賛スルコトニ致シ候間、御承知置被下、尚御援助御願申上候　拝具
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　　昭和四年八月二十三日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　会長　渋沢子爵殿
　追白来ル廿六日（月）午後二時ヨリ、右会場上野松坂屋三階ニ於テ招待茶話会有之候間、御繰合セ御臨席願上候

日華実業協会往復（二）　　　　　　　　　（渋沢子爵家所蔵）
（印刷物）
　　　　東京震災記念堂建設事業賛助
　　　　　　中華民国名士寄贈書画展覧会に就て
此の展覧会は、東京震災記念堂建設事業を賛助せられ、中華民国諸名士より、右事業資金として特に揮毫せられし書画を、従前東京大震災救援に多大の同情を有せらるゝ上海王一亭先生を通じ、先般寄贈せられましたので、展観即売し寄贈者各位の芳志に添ふべく開催せらるゝものでありまして、誠に隣邦親善の現れであると存ぜられます
何卒右趣旨を諒とせられ、御買上を願ひ以て寄贈の趣旨を全うせられます様、玆に御願致す次第で御座います
　　昭和四年八月　　　　　　　　　　　　　日華学会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東亜同文会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　同仁会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華実業協会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日華倶楽部
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　仏教聯合会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東方絵画協会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戊辰書道会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　日本書道作振会
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（順序不同）