デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

昭和3年4月18日（1928年）

是日栄一、赤坂ノ本邸ニ大倉喜八郎ノ病床ヲ見舞フ。二十二日大倉喜八郎逝ク。二十八日葬儀ニ際シ、栄一、嫡孫敬三ヲ代理トシテ参列セシム。

鶴翁余影　鶴友会編　　第五一六―五一八頁　昭和四年三月刊
　　　　薨去前後
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元雄治
○上略
　　　　　　三、重態、薨去と位階陞叙
○中略　十八日　○昭和三年四月午前二時に至るや突如嘔気を催し、午前零時十五分再び悪寒戦慄を来たし体温三十九度に昇る。早朝子爵渋沢栄一氏は親しく翁の病床を見舞ひたるが、時恰かも悪寒戦慄の直後とて子は談話を遠慮し、憂色を面に湛えて病室を出で黯然として帰られたりき。
 - 第57巻 p.449 -ページ画像 
○中略
　かくて四月二十二日午後二時十分、鶴彦大倉喜八郎翁は、病勢俄かに革りて遂に薨去せられぬ、此日朝来暗雲低く垂れ風凄まじく雨さへ加はりて、恰かも是偉人の逝けるを悲むものゝ如かりき。嗚呼哀哉

鶴翁余影　鶴友会編　　第五二四―五二六頁　昭和四年三月刊
　　　　薨去前後
○上略
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋元雄治
　　　　　　八、葬儀
　昭和三年四月二十八日は、故の従三位勲一等大倉喜八郎翁、即ち大成院殿礼本超邁鶴翁大居士の葬儀を行はるゝの日なり。　○中略
　葬儀は午前と午后の二回に分ち行はれたり。即ち午前九時三十分より同十一時三十分迄を内方の告別式とし、午后一時より三時迄を一般の告別式とせり。
　即ち午前九時三十分、喪主男爵大倉喜七郎氏・大倉久美子夫人・大倉徳子未亡人を初め其他親戚家人は右側に　○中略　等は左側に列立、その後列には生前特に翁と関係深かりし人々、即ち子爵渋沢栄一氏（代理渋沢敬三）　○中略　約九百名参列し、荘重哀切なる奏楽の裡、式は極めて静粛謹厳に行はる、即ち喪主以下親族七十人の焼香に次ぎ、子爵渋沢栄一氏代理渋沢敬三氏　○中略　の焼香あり　○中略　各自その焼香を了りたるは予定の午前十一時半にてありき。
○下略

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