デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治43年1月（1910年）

是月、三島毅、栄一ノ古稀ヲ祝シ、栄一所蔵ノ論語算盤之図ニ題スル一文ヲ草ス。

文事来簡一　　明治四十三年一月六日　　　（渋沢子爵家所蔵）
貴翰拝見仕候、如吟新正奉賀候、旧臘は万里之御旅行無御疲御帰朝ニ相成目出度奉賀候、小生は怯寒御迎ニモ出不申御海恕可被下候、其内拝趨ト相心掛居申候、今般ハ御旅行中之高作御示シ被下、感吟之余失敬返上仕候、可然御取捨可被下候、却説尊兄ニも昨年ハ古稀之寿ニ付何か賀章呈度ト心掛居候ヘ共、斗角眼前文事応酬多忙之為メニ延引、昨暮一小文相綴リ候ヘ共、又多忙浄写之暇無之、又延引罷在候、何レ近日浄写御笑正ニ可呈候、右御答旁如此ニ御坐候　頓首
　　一月六日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　毅
　　　　渋沢男　閣下
　　別内啓
　一昨年学校敷地一件ニ付御無理之借用金願上大ニ得都合候処、昨暮迄ニ三男復より返済大ニ安心仕候、乍序御礼申上候也

文事来簡一　　明治四十三年一月九日　　　（渋沢子爵家所蔵）
拝啓　此程鳥渡申上置候寿言今日得小閑浄写、別封ニテ差出候間、御笑留可被下候、右は昨今御寵招被下候節論語算盤之図拝見、甚面白ク感シ、何卒此画ニ一言ヲ題シ呈度ト思付候儘、彼是多忙執筆之暇無之候間、昨暮目出度御帰朝ヲ承り、此機不可逸ト早速執筆候モノニ御坐候、鳥渡諧謔等敷聞ヘ候ヘ共、実ハ小生年来ノ持論義利合一ノ理真面目ノモノニ御坐候、拙文拙書ニ候ヘ共、主旨ハ御玩味可被下候、又昨秋御遠遊中ニ小生は東北辺小遊仕り、他行詩文一篇出来候ニ付乍序進呈、御閑モ御坐候へば御瞥見可被下候、余譲拝芝申候　草々頓首
　　一月九日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　毅
　　　　青淵男　閣下
　　　○別封略ス。
　　　○「題論語算盤図賀渋沢男古稀」ノ本文ハ、本資料第四十一巻所収「栄一ノ
 - 第57巻 p.469 -ページ画像 
論語ニ関スル講話」ニ収ム。