デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2017.12.19

1編 在郷及ビ仕官時代

2部 亡命及ビ仕官時代

1章 亡命及ビ一橋家仕官時代
■綱文

第1巻 p.412-427(DK010030k) ページ画像

慶応二年丙寅八月十一日(1866年)

是ヨリ先、一橋慶喜将軍ノ名代トシテ長州ニ出征セントス。栄一従軍ヲ命ゼラレ、是日勘定組頭ヲ以テ御使役ニ兼任シ、御用人手附ヲ仰付ケラル。栄一乃チ手書及ビ懐剣ヲ夫人ニ贈リテ別ヲ告グ。


■資料

雨夜譚(渋沢栄一述)巻之三・第八―一〇丁〔明治二〇年〕(DK010030k-0001)
第1巻 p.412-413 ページ画像

雨夜譚(渋沢栄一述)巻之三・第八―一〇丁〔明治二〇年〕
○上略 是より以前に徳川十四代の将軍家茂公は御上洛になつて、寅年の夏頃には、大阪城に御滞留であつたが、子年の秋、長州の毛利が朝命に背き奉つて、勿体なくも禁闕に発砲し、且つ幕府をも蔑如したに依つて、先帝、即ち孝明天皇は甚しく御逆鱗遊ばされて長州征伐の勅命が幕府へ下つた、ソコデ幕府は大いに諸藩の軍兵を催促して、尾張大納言が総督になつて、かの長州征伐を始めたが、大将の軍令も行はれず、各藩の兵気も一致せず、詰り大軍を労した計りで、寸功をも収む
 - 第1巻 p.413 -ページ画像 
ることが出来ずに仕舞つた、依て今年は幕府の親兵に譜代諸侯の軍勢を併せて、即ち幕府一手の軍立を以て再征した処が、矢張長州勢が強くて寄手が弱い、芸州口の戦争などは、恰も連戦連敗の姿で、幕兵は追戻さるゝ計り、何時までも捗々敷い実効が挙らないに依て、朝廷より幕府へ、速かに征討の実効を奏するやうにと、御催促を仰出さるゝといふ所から、終に我一橋公が長州征伐の大任を引受らるゝ事になりました、一体この長州征伐は、幕府に取ては実に一大事で、若しこれを失敗する時は、只さへ衰微した権勢が、益々萎縮して、徳川の天下も、運命が窮ることは必然の場合であるから、一橋公は奮然として自ら任じ、成敗を此の一挙に期して、自身に征討の大任を負はれました訳でありませう、
是が丁度慶応二寅年の夏頃であつたが、サアさうなると、仮令まだ未熟でも、昨年の春兵制を立てゝ歩兵隊を編成したのは、時に取りて要用を為したと、用人などが言つたことがあつた、此の時に自分も長州征伐の御供を命ぜられて、勘定組頭から御使番格に栄転した、前にも述べた通り、自分は勘定組頭の職を命ぜられてからは、一図に一橋家の会計整理に力を尽して、種々勘定所の改良を勉めて居たが、右の如く君公御出馬といふ場合になつては、腰抜け武士となつて人後に落ることは好まぬ気質だから、強て従軍を願つて、御馬前で一命を棄る覚悟でありました、○下略


渋沢栄一伝稿本 第四章・第一三三―一三九頁〔大正八―一二年〕(DK010030k-0002)
第1巻 p.413-414 ページ画像

渋沢栄一伝稿本 第四章・第一三三―一三九頁〔大正八―一二年〕
○上略 かく一橋家の為に東奔西走せる間に、天下の形勢は急劇に推移せり。かの蛤門の事変後、幕府は朝命を奉じて長州征伐の軍を起し、尾州の前藩主徳川慶勝総督となり、諸藩の兵を率ゐて本営を芸州広島に進むるや、長州は一兵をも交へずして降を請ひ、同藩主毛利慶親父子は寺院に蟄居して罪を俟ち、上京軍の主将たりし福原越後・益田右衛門介・国司信濃の三家老の首級を、総督の軍門に献ずるなど、恭順の意を表したれば、総督は兵を撤して京都に帰り、長州に対する処分を後日に譲れり。かく長藩が容易に恭順を表したるは、同藩の附属たりし吉川経幹等を中心とせる、温和派が勢力を得たる為なりしに、幾もなく高杉晋作等の激論派は藩府の態度を憤慨し、寧ろ長防二州を以て覇を天下に争はんとし、兵を以て藩府に迫り、遂に要路の重臣を更迭せり。よりて幕府は再び長州征伐の師を起し、将軍家茂公自ら牙営を大阪に進め、紀州藩主徳川茂承を先鋒総督として、諸藩の兵を統べしめ、老中小笠原長行を豊前小倉に派して九州軍を指揮せしめたれども幕府の兵常に利あらず、石州口に於ては浜田城を奪はれ、九州にては豊前の小倉城を陥れられ、芸州口も亦危く、幕府は殆ど手を下すに由なし。折しも慶応二年七月二十日家茂公大阪城中に薨じ、慶喜公衆に推されて宗家を相続したれども、思ふ所ありて暫く将軍職をば受けられず、喪を秘して自ら征長の途に上らんとし、勅許をも蒙り、節刀をも賜はりたり。これ先生が中国筋より京都に召還せられし数月の後の事なり。
先生は公の宗家相続には反対なれども、公が幕軍を提げて長州に一撃
 - 第1巻 p.414 -ページ画像 
を加へんとするの壮挙には、衷心より賛同せり。二年八月出陣の御供を命ぜられて御使役を兼ぬ、此時の辞令に、「御出陣御供被仰付、御用人手附と可心得候」とあり、蓋し本営附なるべし。されど又心に思ふやう、「余は嘗て尊攘の説を唱へて挙兵の策を按じ、事成らざらん日は、密に長州に走らんとさへ思ひたりき。然るにはしなくも平岡氏に救はれて、一橋家に奉公するさへ奇しき運命なるに、数年前までは事あらば之を頼みて活路を求めんとせし長藩を、今は却て討たんとす、人生の変此に至れるかな」と、感慨禁じ難かりしといふ。さるにても敵は聞ゆる防長二州の精兵なり、一度戦場に出づれば潔く公の馬前に戦死し、かねての知遇に対へ奉らんとて、訣別の書翰を郷里なる夫人の許に寄せらる。


御番頭御用人 日記 慶応二寅年八月(DK010030k-0003)
第1巻 p.414 ページ画像

御番頭御用人 日記 慶応二寅年八月 (伯爵徳川宗敬氏所蔵)
八月廿五日

                   頭役次席
     御出陣中          御右筆組頭
     御使役兼帯に           内川益太郎

                   御用人支配
     同断            御勘定組頭
                      渋沢篤太夫

右当月十一日於奥対談所御家老衆被申渡之。


一橋家 吉田温苗筆記 中(DK010030k-0004)
第1巻 p.414-425 ページ画像

一橋家 吉田温苗筆記 中        (渋沢子爵家所蔵)
八月廿六日 ○慶応二年

○中略

    御出陣御供被 仰付御留置ニ相成候姓名
            御用人
                 榎本亨造
                 佐久間小左衛門
                 原市之進
                 梅沢孫太郎
            御小姓頭取
                 新村猛雄
                 成田新十郎
                 荒井助太郎
                 吉松政之助
            御小姓
                 千田要
                 田村佐十郎
                 中村錠次郎
                 村上久五郎
                 中島恭之助
                 荻原幾之亟
                 小路三之助
                 山本四郎
 - 第1巻 p.415 -ページ画像 
            御近習番
                 村上弥左衛門
                 津田陽一郎
                 常見鯛蔵
                 岩田弥五郎
                 宇野与右衛門
            御医師
                 茂木玄隆
                 相原学介
                 高松凌雲
            御用人手附
                 川村恵十郎
                 渋沢篤太夫
                 穂積亮之助
            大隊司令士
                 金田熊之助
                 河野外一郎
            騎馬総嚮導
                 伊藤愛之助
            御床几廻銃隊之頭
                 飯田律郎
            大砲一座司令士
                 大村宗三
                 清水助右衛門
            銃隊第一小隊司令士
                 千種房五郎
            手代
                 倉田鎌三
                 篠原七之助
            半隊司令士
                 青山斎吉
                 麻布銑太郎
            右嚮導
                 押田鎌之助
            左嚮導
                 村田鉄之助
            第一
            半隊左嚮導
                 高木銀之助
            第二半隊右嚮導
                 佐々木俊蔵
            半隊司令士
                 大貫増橘
            手代
                 多田金太郎
 - 第1巻 p.416 -ページ画像 
            右嚮導
                 佐々木芳八郎
            左嚮導
                 菅沼安太郎
            第一半隊左嚮導
                 小沢勇太郎
            第二半隊右嚮導
                 滝村尚吉
            旗役
                 岸藤之進
            手代
                 高橋真吉
            小隊押伍
                 比留間良八
                 松村銀蔵
            小隊押伍
                 宇野愛之助
            行軍嚮導
                 間中竜吉
                 斎藤亀吉
            太鼓役
                 本多金五郎
                 仙波竹八郎
                 笹瀬錝五郎
                 中川貞太郎
                 斎藤鉄弥
                 松宮亀吉
            第一小隊
                 高山健太郎《(マヽ)》
                 後藤鉄次郎
                 菅沼鉀三郎
                 袋井貢
                 池田鍬三郎
                 小島錠次郎
                 池田安太郎
                 田中金八郎
                 森銀之助
                 伊藤捨五郎
                 小檜山吉太郎
                 服部篤太郎
                 新井弥之助
                 北村鋼五郎
                 藤田孝之助
                 風間熊吉
                 加藤十吉
 - 第1巻 p.417 -ページ画像 
                 村田松太郎
                 上野岩太郎
                 小林銀之丞
                 村上藤太郎
                 高橋竹之助
                 小栗鉀太郎
                 加藤鉒之助
                 伊藤万之助
                 田中未五郎
                 大平寛之助
                 山崎銨吉
                 川住助次郎
                 山崎次郎太郎
                 海方元次郎
                 武田音之助
                 太田幾五郎
                 沢助次郎
                 滝村卓次郎
                 池田常三郎
                 小櫛銀次郎
                 小林釩四郎
                 服部安次郎
                 上野秀三郎
                 石黒恒次郎
                 松崎平五郎
                 土肥金蔵
                 稲垣良蔵
                 渡辺正左衛門
                 荻原釜之助
                 大脇鍈次郎
                 菊地鐘太郎
                 松井金五郎
                 石川孝之助
                 山下善三郎
                 山内鉄之助
                 丸山庄五郎
                 天野鏻之丞
                 有馬音之助
                 大森栄三郎
                 高橋藤太郎
                 堅田恒次郎
                 平井加子助
                 福田磯吉
                 奥田三之丞
 - 第1巻 p.418 -ページ画像 
                 桑原藤三郎
                 秋山孝三郎
                 三宅虎三郎
                 皆川半三郎
                 窪呦三郎
                 金森安太郎
            第二小隊
                 松村角之助
                 山本鉄太郎
                 磯崎平作
                 井出勝太郎
                 阿部一郎
                 佐竹鋠之助
                 藤田寛之助
                 河村忠太郎
                 小堀恒太郎
                 村松桂三郎
                 岡野誠一郎
                 小川椙太
                 大川平三
                 小山礼助
                 松葉惣吉
                 野口平三
                 山口貫一
                 石井重次郎
                 太田重之助
                 野尻東馬
                 崎玉鍈太郎
                 堀木源次郎
                 中村栄次郎
                 佐竹勇雄
                 竹田庄吉
                 伊藤勝次郎
                 飯島丈助
                 大脇鍈之助
                 並木新太郎
                 山本健八
                 渡辺愛四郎
                 土屋政一郎
                 村松芳蔵
                 新海磯三郎
                 黒崎半六郎
                 高瀬虎治
                 間中勇蔵
 - 第1巻 p.419 -ページ画像 
                 倉上鍋吉
                 佐野勇
                 伊藤清吉郎
                 熊谷小一郎
                 岡野義一郎
                 池田市太郎
                 小林文五郎
                 坂井岩吉
                 田辺平右衛門
                 宝井和三郎
                 馬場鉄之丞
                 黒須義三郎
                 沢部磯吉
                 高沢鍬次郎
                 中里丈吉
                 斎藤半十郎
                 杉谷作太郎
                 西村市左衛門
                 染谷倉右衛門
                 宇塚左一郎
                 鈴木徳治
                 野口元右衛門
                 川瀬三郎右衛門
                 佐竹鎗七郎
                 村山鹿五郎
                 市川米蔵
                 栂尾虎次郎
            壱番大隊御鉄砲組指揮役頭取
                 石川静之助
            同指揮役
                 山崎金之丞
                 蔦木恕太郎
            同出役
                 工藤弥平
                 野村柱太郎
                 深山健之進
            同並
                 百瀬雄次郎
                 本間善次郎
            同並出役
                 椎名源之丞
                 山口平次郎
                 斎藤平次郎
                 小野嘉吉郎
 - 第1巻 p.420 -ページ画像 
                 中根直三郎
            同並勤方出役
                 橋本善助
                 鈴木藤次郎
                 吉野新太郎
                 上田雅太郎
                 川上昇太郎
                 中込重次郎
            同並勤方助
                 福島睦太郎
                 江守貫之助
            御鉄砲組改役出役
                 中村直三郎
            同改役
                 柴田栄吉
            同旗役出役
                 川村孫太夫
                 境啓三郎
            同太鼓指揮役出役
                 川村国太郎
                 兼子由五郎
            御鉄砲組出役
                 真田新太郎
                 林孝十郎
                 早川源七
                 佐野釘太郎
                 鈴木金蔵
                 原井寿司
                 山口一太郎
                 加藤半右衛門
                 大林初太郎
                 田中釘太郎
                 落合正太郎
                 森川安之助
                 加藤惣太郎
                 本多吉三
                 小林泰助
                 青木豊一郎
                 阿部徳次郎
                 宇野常之丞
                 小川椙蔵
                 福島作太郎
                 永井伝太郎
                 荒井六三郎
 - 第1巻 p.421 -ページ画像 
                 吉崎安太郎
                 小林元次郎
                 大島三次郎
                 野口借之丞
                 当麻常八
                 諏訪新平
                 岡田鉱三郎
                 清水国三郎
                 山本讃四郎
                 和田陸之助
                 藤田惣治
                 大山彦左衛門
            御鉄砲頭小頭
                 三拾五人
            御鉄砲組
                 三百七拾人
            御馬方
                 荻原吉五郎
                 今村鏡次郎
            御馬医
                 菊地宗蔵
            御馬口附之者組頭
                 木部〓一郎
            御馬口附之者
                 石井豊吉
                 三浦新次郎
                 藪田常之助
                 永嶺金助
            騎兵隊御馬方
                 武藤啓太郎
                 都甲駒三郎
                 中川喜代之助
                 山田純一郎
            御馬下乗
                 花俣鉄吉
                 佐々木友吉
                 佐藤源吉
                 伊藤専右衛門
                 小山翼之助
                 塚田愛之助
                 林八百三郎
                 小川三次
            騎兵隊附属御馬飼元〆
                 壱人
 - 第1巻 p.422 -ページ画像 
            御馬飼
                 拾四人
            二番大隊御鉄砲頭指揮役頭取
                 江藤菊太郎
            同指揮役
                 石井礎一郎
            同出役
                 上田文治郎
                 倉林五郎
                 富田麟助
                 黒田孝三郎
            同並
                 高田彦五郎
                 朝倉和三郎
                 佐野秀太郎
                 横田久吉郎
                 佐藤錠三郎
            同並勤方
                 山本金之助
                 松本金太郎
                 関根甚三郎
                 西島錠作
                 後藤松次郎
                 三橋俊太郎
            同助
                 長野銓三郎
                 山下吉之丞
                 小林金吾
                 小林清五郎
            御鉄砲組改役出役
                 大蔵又市
            太鼓指揮役
                 鈴木啓次郎
                 茂木栄蔵
                 丹羽鑑太郎
                 柿崎貞六郎
            旗役
                 高間鋼三郎
                 吉村啓太郎
            御鉄砲組出役
                 海老原国三郎
                 平井伊三郎
                 粕谷鍋三郎
                 長崎亀吉
 - 第1巻 p.423 -ページ画像 
                 寺島彦次郎
                 原甚一郎
                 山本清次郎
                 篠崎銀次郎
                 河嶋熊八
                 磯源一郎
                 小笠原鉱次郎
                 川村謙三
                 土肥鉡五郎
                 小松新之助
                 松崎和一郎
                 松本祐松
                 柳田新八郎
                 請地善太郎
                 川上八郎右衛門
                 奥村久四郎
                 近藤鉄之助
                 高木源蔵
                 石井作太郎
                 渡辺常八郎
                 土屋〓蔵
                 柏原鍋五郎
                 谷正之助
                 安藤勘蔵
                 尾内左太郎
                 小嶋玉吉
                 渡辺貞次郎
                 矢吹恒蔵
                 高橋巳之吉
                 酒井鉚太郎
                 伊藤孝慈郎
            御鉄砲組小頭
                 三拾五人
            御鉄砲組
                 三百五拾五人
            同御医師
                 山田純安
                 青木文岱
                 楠林辰之進
            壱番砲隊大砲組指揮役
                 中川進之丞
                 木下源次郎
                 本多金平
 - 第1巻 p.424 -ページ画像 
                 白岩覚之助
            同弾薬司宰
                 仁木友次郎
            同勤方弾薬車嚮導
                 前野巳之吉
                 市川幸八郎
            旗役
                 山崎雅五郎
            指揮役下役砲車嚮導
                 横田伝十郎
                 吉田多左衛門
                 武沢市五郎
                 芦葉順次郎
                 山田多門
                 武藤清兵衛
                 斎藤馬三郎
                 嶋野三蔵
            弐番砲隊大砲組指揮役
                 殿村多三郎
                 村上源之輔
                 平林次郎三郎
                 土肥八十三郎
                 小野安太郎
                 糸賀藤三郎
            同弾薬司宰
                 林半蔵
            同勤方弾薬車嚮導
                 月田権蔵
                 山下亀吉
            旗役
                 野村長助
            指揮役下役砲車嚮導
                 武藤松三郎
                 森久太郎
                 木村保太郎
                 内田盛蔵
                 黒崎信平
                 中山安三郎
                 斎藤幸吉
                 川崎孫右衛門
            砲兵
                 百六拾七人
 - 第1巻 p.425 -ページ画像 
            俗事役
                 渋沢成一郎
                 田中清三郎
                 森本鉚太郎
                 斎藤伝吉郎
                 木村幾太郎
                 百井求之助
                 本多敏三郎
                 岡本数馬
                 須永虎之助
                 青木平九郎
                 難波田芳三郎
            制薬方
                 木村教次郎
                 阿部寿八郎
                 山越貞祐
            御鉄炮師
                 坂本藤助
            同弟子
                 弐人
           総計 千三百六十七人
  ○列挙セラレタル隊士ノ姓名中関東及ビ中国ニ於テ栄一ガ募集セル農兵ト考へラルヽモノモアリ。又栄一ノ親戚ニ当ルモノアリ。以テ本隊ニオケル栄一ノ地位ヲ知ルべシ。


渋沢栄一 書翰 千代子夫人宛(慶応二年)八月(DK010030k-0005)
第1巻 p.425-426 ページ画像

渋沢栄一 書翰 千代子夫人宛(慶応二年)八月(穂積男爵家所蔵)

一筆示し申あけまいらせ候、そののちはうちたへ御おとつれもなく、人々もいよいよ御かわりなふ御くらし可被成めてたくそんしまいらせ候、こゝ元かわりなふつとめおり候まゝ御しんもしなきよふ御たのみあけまいらせ候、先頃は度々申こし、御元事此方へよひとり可申候旨申進置もはや時節にも相成候まゝあけくれ相待居候ところ、はからすも此度長州江の
御出陣御供被 仰付これよりまかりこし候あいた、思ふ事もとげやらす、さんねんなからしはらく御とめ申まいらせ候
さりなからいくさは武士の常、さほとこゝろにかゝり候事にも無之、やかて吉左右御知らせ可申、日をかそへ御まち可被成候 永々の離別、此度こそ面会之上、山山の苦節御はなし申度、楽の甲斐もなふ、又又二百里も有之候西へまかりこし候こゝろ、御すへもしなされ、引くらへ御両親江孝行おこたりなふたのみ上まいらせ候、うた事も日ましニ生長のよし、女なからもたのもしき事、そのうち面会之期もあるへくとまりわ《(マヽ)》ひまいらせ候、かすかす申のへたく候得共、まことにせわしく候まゝ、思ふ事ものへやらす、あらあらふてとめまいらせ候、めてたくかしく
  八月けふ
                       とく太夫
    おちよとの江
         まへる
 - 第1巻 p.426 -ページ画像 
筆すへなから手計の御はゝにもよろしく御たのみ申あけまいらせ候、又外ニ壱包ハ其許江片身こゝろの懐剣ニ候間、大切ニなされへく、さりとて此身のおとつれわからぬうち、ふりよのこゝろなとなきよふくれくれたのみまいらせ候、もし又こなたなきものにも相成候ハヽ、その後はとくとしあんもこれあるへく、いつれにも目出度かちいくさ御かゑりに相成可申候、そのせつ山山可申上候、かしく
かへすかへすもこの文大事ニかけくたされへく、又手計はゝへは御目にかけ、もしものせつは御さふだんなされへくそんしられ候、よろしくよろしく御たのみもふしまいらせ候、手計兄様江も別ニ不申上候まゝ、是もよろしく頼あけまいらせ候
何事も筆にはつくしかたくおしきなから申のこしまいらせ候、匆々


はゝその落葉 第七―八丁〔明治三三年〕(DK010030k-0006)
第1巻 p.426 ページ画像

はゝその落葉 第七―八丁〔明治三三年〕
○上略 かくて又一年ハ過ぎ行て慶応二年の夏とハなりぬ。かねてよりさまざまのとりざた聞えける長州征伐の事。こたびいよいよ将軍家親ら出て征せ給ふべきに定り。一橋の君にハ先鋒たるべき旨命ぜられ給ひけるにつき。大人も其軍に従ひて出立せ給ふ事とはなりぬ。其時の御ふみに郷里にありける頃より尊王攘夷の志同じきを聞て。はるかに敬慕しつる長州の人々を仇としむかはん事。誠に本意にもどりたるわざなれども。公の命今更にもだしがたし。武士として戦の場にむかハんには。生きて帰らん事を期すべからず。我身の上今しばしおちゐたらんにハ。御身と歌子は我許にむかへとらんとたのめつるかひもなくなりにしぞうらみなる。もし討死する事もあらば。二柱の君の孝養は更なり。歌子が上もよきに頼むぞよ。との由こまやかに云ひおこせ給ひ。一ふりの懐刀を添へて送らせ給ひ。そのかへす書に。こハ武士の妻になりぬる御身が守り刀にとてあがなひ置きたれバ今度の便りに送るなり。かまへて我死なば御身もとの。なぞなぞとな思ひたがへそ。とぞ書かせ給ひける。この御ふみと短刀とは。わらは申しうけて今も猶秘め置きぬ。打見るたびに其時の母君の御心の中押しはかられ参らせて。悲しさ云はんかたもなし。


落葉の一ひら(DK010030k-0007)
第1巻 p.426 ページ画像

落葉の一ひら               (穂積男爵家所蔵)
亡き母君のかたミなる短刀と、玉章とをひとつの箱にをさめおきけるか、こたひ其蓋に家尊の大人の御筆を乞ひまつりぬ、さて此二品のゆゑよしを知り安からしめむとて、かつてものしゝはゝその落葉の中の一ふしをかいしるして添おきはへるになむ
(本文略す)
          大正二年四月
                穂積歌子
                   しるす
  夜寒のあと
消え残る露の玉つさ秋の霜すきし夜寒のあとをこそ見れ
                  栄一
 - 第1巻 p.427 -ページ画像 



〔参考〕須永虎之助 書翰 須永伝左衛門宛 ○(慶応二年)八月三日(DK010030k-0008)
第1巻 p.427 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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〔参考〕須永虎之助 書翰 須永伝左衛門宛 ○(慶応二年)九月一三日(DK010030k-0009)
第1巻 p.427 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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