デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治三年庚午十月（1870年）

大蔵省蚕卵紙製造規則ノ附録書ヲ頒布ス。栄一租税正トシテ之ニ与ル。

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法令全書　明治三年・第四一八―四二三頁
第七百八　十月（太政官）
当庚午八月中蚕種製造取締並税則之儀ニ付布告書並規則共相達置候処
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尚今般右規則附録書相達候間前規則ト一同遵守可致候事
　　庚午　十月　　　　　　　　　　　　　　　　　　太政官
蚕種製造取締及税則之儀ニ付、当八月中御布告書並規則共相達候処、右廉々之内更ニ校正増補イタシ別紙廉訳相達候間得其意取扱可申、尤右規則ハ此度新規確定之儀ニ付、各地取扱向不手馴ニモ可有之候間、若了解難致件々モ有之候ハヽ廉書ヲ以取扱振相伺可申、且最寄藩県相互ニ承リ合区々之処分無之様可致候事
　　庚午　九月　　　　　　　　　　　　　　　　　　大蔵省
　　　　蚕種製造規則書附録
第一則中第四節
　蚕種紙毎ニ製造人之名面記入之方法ハ第三則中之四節ニ記載シタル旨趣ニ基キ、雛形之通製造人何国何村誰組何姓或ハ何屋某ト記入可致候事
同　則中第七節
　　無鑑札ニテ濫製イタシ候者、科料ハ濫製之種紙本部一枚毎ニ金弐分之割合ヲ以取立可申事
　　　但売品ニ限ラス自用之分モ同断之事
第三則中初節
　　蚕種紙改済之証印ハ組合之多寡ニ応シ、各地方官ニオイテ彫刻可致事
同　則中第六節
　　蚕種元方ニテ買入之節附属セル員数改鑑札相添売買可致トノ儀ハ仲買元方ヨリ買取候歟、又ハ仲間同士売買イタシ候節之定ニテ、銘々之原蚕種ニ買取候節ハ右鑑札相添候ニ及ハス候事
同　則中第七節
　　外国輸出之分ハ通商司ニヲイテ唯改印有無之検査ヲイタスノミニテ来未年ヨリ別段手員料ハ不取立候事
同　則中第九節
　　此条ニ反シ蚕種出来揚之上外国輸出之免許鑑札ヲ受、或ハ通商司ニ於テ改印之有無検査ヲ受候トモ、其売買之景況ニ寄、国内ヘ売買致シ度モノハ其旨其支配役所又ハ通商司ヘ可届出候事
　　　但其時売買之景況ニ寄、届出ルニ時日ヲ得サレハ売捌之後其由委細届出候トモ不苦候事
第四則中初節
　　第一則中之初節及ヒ第七則中之初節ニ製造員数凡積リ毎年九月限其支配役所ヘ可申出ト有之候ハ、都テ十一月限可申立事ト可心得事
同　則中第二節
　　員数改鑑札ハ支配役所ヨリ凡積ヲ以申立次第何枚ニテモ大蔵省ヨリ可相渡置ニ付、製造人願出ニ従ヒ何枚ニテモ小訳ニイタシ可下渡候事
第五則中初節
　　試業鑑札臨時免許鑑札共外鑑札同様大蔵省ヨリ兼テ可渡置ニ付、其内ニテ夫々書入下渡可申、右種出来揚之上ハ外国輸出国内売買
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トモ規則通員数改イタシ、其節改鑑札可下渡候事
同　則中第三節
　　夏蚕再出種之改印ハ雛形之通リ各地方官ニ於テ彫刻シ、其時々世話役ヘ可下渡、且其年之模様ニ寄各製造人於テ夜附種ヲ製造イタシ候儀モ有之候ハヽ、同様改印可致候事
　　　但夜附種之製造税ハ本種ノ四分一ヲ可取立、尤其外取扱向ハ夏蚕種再出種同様タルヘキ事
第六則中第四節
　　漉元免許鑑札願請候モノ、打込印無之原紙売出候者、又ハ免許鑑札不願請候而、原紙製造之者有之候節ハ、都而其品取上候上ニテ原紙百枚毎ニ科料金壱分ノ割合ヲ以取立可申事
　　　但右打込印無之原紙ヘ蚕種仕附候分ハ、同様其品取上、蚕種製造人ヘモ同断之科料可申付事
　　　附打込印ハ各地方官於テ彫刻可致事
第七則中第二節
　　各支配所ニヲイテ取扱候本種、其外免許鑑札員数改鑑札渡方引上方明細取調書並引上候鑑札類、十月限リ大蔵省ヘ可差出事
同　則中第三節
　　蚕種原紙トモ諸税金八月限可相納ト有之候ハ右取立候税金凡調ヲ以其年八月迄ニ相納置、精勘定之儀ハ第三則中之第五節ニ有之候通、十二月限諸調訳明細帳相添差出候儀ト相心得可申候事
　　　但第六則中之第八節ニ原紙漉立員数調及ヒ税金ヲモ八月限可差出ト有之候儀モ前同様相心得取計可申事
同　則中第四節
　　組内之者不正筋有之世話役不心附シテ外方ヨリ相顕ルヽニ於テハ、其世話役之越度タルヘキニ付、其科之軽重ニヨリ世話役之給料一箇月分ヨリ三箇月分マテヲ科料トシテ可取上、若又世話役自ラ不正之事ヲ相謀候歟、又ハ不正之者ヘ党与イタシ候儀相顕ルヽニ於テハ、規定之年限ニ不拘役儀召放シ縦令勤年限未満ニ候トモ二箇年以上之給料タケノ割合ヲ以テ科料金ヲ取上ヘシ、且世話役其職ヲ怠リ、又ハ其組内ニ協和セサル時ハ年限中ニテモ他之相当之モノヲ撰ヒ、交代セシムル事アルヘシ

　　　　追加例則
一不正筋有之候ヲ他ヨリ見出シ訴出候ハヽ、糺之上事実相違無之上ハ科料金取上、品代共高之二十分一ヲ以其訴主ヘ被下候ニ付、其地方官庁ヨリ給与可致事
一取上品之儀、原紙ハ打込印イタシ候上漉元ヘ払下可申蚕種仕附有之分ハ雛形之取上品証印ヲ押シ国内用トシテ其時々公之入札ヲ以払下ケ下渡候節、第三則中之第四節及ヒ同則中之第五節ニ記載セル旨趣ニ習ヒ買受人之居所名面其外共押印為致、改済之証印致シ並員数改鑑札相渡シ可申事
　　　但取上品ハ外国輸出差許サル事
　　　附取上品之印ハ地方官ニテ雛形之通彫刻シ備置ヘキ事
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　　　　　　　　　　　　　　　長サ一寸一歩
　　　　　　　　　　　　　　　幅七歩　　　　　　買下人
　　　　　　　　取上品印雛形　　　　取上蚕種之印　何国
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何郡
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　何村
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　誰
一諸種之科料金取立並取上並取上品入札払等有之候節ハ、右金高調帳相添第三則中之第五節ニ掲クル通リ取計可申事
一蚕種製造人共当年買入之原紙不用ニ相成、其儘所持致シ候モノ有之候ハヽ、当年限其支配役所ヨリ管内各所持主篤ト取調、打込印イタシ且規則通リ収税之上右原紙ハ明年之用ニ為供候テモ不苦候事
一原紙並蚕種紙改印原紙製造人及ヒ蚕種製造人名面記入之位置雛形之通リ可心得候事
一油製印肉ハ蚕種紙ヘ害ヲ成シ候間、蜂蜜製歟或ハ酒製之印肉ヲ用ヒ可成ハ油製ヲ用ヒヘカラス候事
　○中略

　　　　褒賞規則
第一章但書
　世話役勤務中年数四年ニ限ルトイヘトモ、期限ノ後再ヒ集議ヲ遂ケ、尚其者之勤続ヲ願フモノ夥多ナレハ尚四年ノ勤役ヲ命スヘシ、然レトモ合セテ八箇年之年限ヲ踰ルヲ許サス、若八年之勤務中格別之功労アラハ免職之節別段褒賞ノ沙汰アルヘシ
末章
　御国産種最上品位三等ニ登リシ者有之、組合之世話役ハ別ニ褒賞之典アルヘシ
　　但一国限之優等ニ挙リシモノ之蚕種、並出殻繭トモ其地方官ニテ取調、大蔵省ヘ差出候節其製造人名前及ヒ世話役名前ヲモ相添差出スヘシ
　　附法則中都テ民部省ト有之候ハ、大蔵省ト相心得ヘシ