デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

1編 在郷及ビ仕官時代

2部 亡命及ビ仕官時代

4章 民部大蔵両省仕官時代
■綱文

第3巻 p.643-645(DK030140k) ページ画像

明治五年壬申十一月(1872年)

大蔵大輔井上馨等ト共ニ宮方負債ノ処分案ヲ定メ、宮方負債ハスベテ大蔵省ニ引受ケ、旧藩債ノ処分ニ準ジテ消却ノ方法ヲ立ツルニ決ス。


■資料

青淵先生伝初稿 第七章 三・第四四―四五頁〔大正八―一二年〕(DK030140k-0001)
第3巻 p.643 ページ画像

青淵先生伝初稿  第七章 三・第四四―四五頁〔大正八―一二年〕
○上略
藩債の外尚処分を要すべきものを宮家の負債とす。諸宮家は維新前極めて少額の経費なりしかば、自ら諸商人等への負債を生じたるものなるべし、先生等は又之が処分案を定め、明治五年十一月、宮方の借財は総べて大蔵省に引受け、旧藩債の処分に準じて消却の方法を立つるに決し、政府は宮内省に命じ其調査を為さしめたるが、負債総額の中公債として採用すべきは五万五千余円に過ぎざれば、特に公債を発行せず、現金を以て償還するの儀あり、此際先生は井上と共に官を退けるが故に、其実行は大蔵卿大隈重信によりて行はれたり。


明治財政史 第八巻・第五九―六六頁〔明治三七年一二月〕(DK030140k-0002)
第3巻 p.643-645 ページ画像

明治財政史  第八巻・第五九―六六頁〔明治三七年一二月〕
    附宮方負債及琉球藩債ノ整理始末
一、宮方負債ノ整理
藩債ノ外宮家負債ニ就テモ之レカ整理ノ途ヲ講セサレハ、彼是権衡ヲ得サルニヨリ其貸借ハ総テ大蔵省ニ於テ引受ケ、旧藩債ノ処分ニ準シ支消セラレ度旨、明治五年十月十九日大蔵省ヨリ太政官ヘ伺出テタルニ、同年十一月二日伺ノ通リト指令セラレタリ、其稟議ハ左ノ如シ
  宮方是迄諸御借財ノ儀ハ総テ大蔵省ヘ引受、旧藩々負債ノ御処分ニ準シ、夫々支消ノ道相立候様可仕哉ノ事
   但御貸付金等モ御坐候ハヽ是又引受一般ノ御処分ニ可仕哉ノ事
  一、右様借貸共引受処分仕候上ハ自今御賄向等ハ総テ宮内省ニテ引受、夫々御取扱申上候様仕度候事
  右ノ通被仰付候儀ニ候ハヽ、別紙ノ通宮内省ヘ御達相成候様仕度依之御達案相添此段相伺候也
  (別紙)宮内省ヘ御達案
  今般諸宮方御借財ノ儀、総テ大蔵省ヘ引受、支消ノ道相立候ニ付テハ、借入金高、年月日、利足約定、内金払入等ノ訳、並金主名前、住所等明細相認メ、従前用ヒ来候古根帳其外証拠書類一切相添、同省ヘ被差出候様可被相達候也
   但御貸付金等有之向ハ、是又大蔵省ヘ引受、処分致シ候間、本文ニ準シ明細帳証書類等一切同省ヘ被差出候様可相達候也
宮方負債ハ旧藩債ノ処分ニ準シ支消セラルヘキコトハ前述ノ如キヲ以テ、其債務ニ対シテハ公債証書ヲ発行セラルヽノ予定ナリシト雖モ、
 - 第3巻 p.644 -ページ画像 
曩ニ製造ニ係ル新旧公債証書ハ其表面旧藩負債等ノ文字刷入レアルヲ以テ、直ニ此証書ヲ交付スルトキハ名分齟齬ノ嫌アリ、又是迄ノ調査ニヨレハ宮方負債総額ノ内公債トシテ採用スヘキモノハ五万五千円余ニシテ、内公債証書ヲ要スヘキモノハ僅ニ四万八千円余ニ過キサルニヨリ、之レカ為メ更ニ新証券ヲ発行スルノ必要ナキヲ以テ、一割利引ノ計算ニヨリ現金ヲ以テ償還セラレ然ルヘキ旨、明治七年五月二十四日大蔵省ヨリ太政官ヘ伺出テタルニ、同月三十一日ヲ以テ伺ノ通リト指令セラレタリ其稟議ハ左ノ如シ
  諸宮方御借財当省ヘ引受、旧藩負債ニ準シ御処分可相成旨壬申十一月伺済ニ付、公債証書可相渡処、兼テ製造相成居候新旧公債証書ハ其表面旧藩負債云々ノ文字記載有之、右ヲ以御処分相成候テハ名分齟齬シ不都合ト被存候、去迚宮方届高総計凡金七万円程ノ内全ク御処分可相成分金五万五千円余ノ処、二十五円未満現金渡ノ分引去、公債証書可付与分ハ金四万八千円余ノ儀ニ付、夫カ為更ニ証書製造相成候モ無益儀ト被存候間、右御借財ノ分都テ一割利引現貨ヲ以テ御処分相成可然哉、此段相伺候、差掛候儀ニ付至急御沙汰有之度候也
負債ノ調査ニ関シテハ明治五年十一月二日ノ太政官令達ニ基キ宮家ハ各借入金ヲ取調ヘ根帳其他ノ証憑ト共ニ大蔵省ヘ届出テラレタルニヨリ、其関係府県タル東京府外五県ヘ対シ宮家ニ調達金アルモノハ其証書写ニ勘定書ヲ添ヘ差出サシムヘキ旨布達ヲ発シ其届出ヲ俟テ漸次処分ヲ遂行シタリ、然レトモ宮家根帳ニ記載ナキ債主ニシテ往々申立ヲナスモノアルニヨリ之レヲ以テ他ヲ類推スルトキハ右根帳ニ記載洩レノモノナキヲ保シ難ク、且ツ従来ノ布令ハ関係ノ府県ニノミ公布セラレ、他管下ノ人民ハ其処分ヲ了知セス、加之曩ノ布告ニヨレハ発令後三十日限ノ期限ナルニモ拘ハラス有証ノモノハ尚ホ採用セラレタルノ事例乏シカラス、自然無期限ノ有様ナルニヨリ、此際之レカ処分ノ完結ヲ期センカ為メ、大蔵卿ハ一定ノ期日ヲ定メ公布セラレタキ旨明治九年六月九日太政官ヘ上申シタルニ、廟議之ヲ容レ、同月二十九日布告第九十六号ヲ以テ之ヲ布告セリ、左ニ其稟議及布告ヲ掲ケン
  宮方負債並貸付金ノ儀、総テ当省ニ引受、旧諸藩貸借処分法ニ準シ、夫々支消取立ノ道相立候様致度段、明治五年十月中伺済ニ付爾来債主共届出方無期限有証ノ分ニ其節々致処分来候処、頃日ニ至リ尚往々申立候分モ有之、右ニテハ取調方完結ノ際限モ無之存候、別紙ノ趣ヲ以テ御布告相成候様致度、稿案相添此段伺候也
  (別紙略ス)
    明治九年六月九日               大蔵卿 大隈重信
       太政大臣三条実美殿
  第九十六号(明治九年六月二十九日)
  宮方ヘ調達金届出方ノ儀、是迄無期限証拠有之分ハ公債ニ相立及処分候処、届漏ニテ于今証文所持ノ者ハ勘定書相添来ル八月十五日限リ其管庁ヲ経テ大蔵省ヘ可届出、若シ右期限ニ後レ何様情実申立候共一切採用不相成候条、此旨布告候事
右発令ニヨリテ一般届出ノ期限ヲ指示シ、明治九年八月十五日ヲ以テ
 - 第3巻 p.645 -ページ画像 
其最終ト定メタリ、而シテ右期限迄ニ公債トシテ処分セラレタルモノヲ通算スルトキハ総計三万四千九十一円九十一銭八厘ニシテ、内三万三百三十二円余ハ新債ニ属シ、残額三千七百五十九円余ハ旧債ニ属セリ、今之レカ償還額ヲ各年度ニ区別スレハ左表ノ如シ

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 年度    新公債償還額       旧公債償還額      合計            円           円            円 七期   二二、八五七・四六六   三、四四〇・二八五   二六、二九七・七五一 八期    二、七二一・八〇五      三六・二四四    二、七五八・〇四九 八年度     六三六・八六七      七〇・二〇九      五六六・六五八 九年度   三、七九一・二四一       七・五四二    三、七九八・七八三 十年度     三二五・三一一     三四五・三六六      六七〇・六七七 合計   三〇、三三二・六九〇   三、七五九・二二八   三四、〇九一・九一八