デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第5巻 p.437-438(DK050095k) ページ画像

明治10年7月2日(1877年)

是ヨリ先、栄一大蔵省ニ他店紙幣ヲ準備ニ充ツ可キ旨ノ意見ヲ上申ス。是日、栄一右ノ旨ヲ述ベ衆ノ意見ヲ問フ。衆論亦概ネ本案ニ外ナラズ。ヨツテ他日其批朱ヲ得テ報知スベキコトヲ約ス。


■資料

択善会録事 第一回・第一一―一九頁(DK050095k-0001)
第5巻 p.437-438 ページ画像

択善会録事 第一回・第一一―一九頁
明治十年七月二日択善会第一回ノ会同ヲ東京海運橋ノ第一国立銀行ニ於テ会設シ、盟員畢ク集リ、午後三時下衆員会場ニ上リ議竣ツテ会食シ、八時下退会ス、本会ニ於テ渋沢栄一ハ此会同ノ要旨ヲ演述シ、其章程文案ヲ討議ニ付シ、又各銀行ノ発行紙幣ヲ同業相互ニ交換準備ノ数に加フヘキ意見ヲ述フ、衆皆本案ニ異議ナクシテ決定ス、詳録左ノ如シ
     会員 第一国立銀行頭取   渋沢栄一 ○外氏名略
○中略
◎又同氏○渋沢栄一ハ他店紙幣ヲ準備ニ充ツヘキ竟見ヲ陳へテ曰、銀行相互ニ他店発行ノ紙幣ヲ以テ各交換準備ノ内ニ加ヘン事ヲ要ス、然ルニ
 - 第5巻 p.438 -ページ画像 
曩ニ大蔵省ノ示令ニ云、銀行紙幣交換ノ準備ハ必ス通貨ヲ用ヒ、銀行紙幣ハ雑貨ト看傚スヘシト、各店此指令ニ従フノ義務ニ依テ互転交換ニ齪々タラハ極メテ煩雑ニ渉リ却テ流通ヲ障碍スルニ至ラン、当行已ニ此ヲ虞リテ、各銀行相互ニ他店ノ紙幣ヲ通貨ニ擬シ以テ準備ニ充テン事ヲ要シ近日大蔵省ヘ其情ヲ陳ヘテ稟請セリ、而シテ裁批未タ下ラス、窃カニ銀行課ノ意見ヲ聞クニ、其稟請ノ事ヲ措キ別ニ妙案ヲ覓メント云、各位此ヲ以テ何等ノ見解アリヤ、須ラク論究スヘシ、衆論概ネ本案ニ外ナラス、且其允准ヲ得サレハ従令其定額《(縦)》ヲ立ツルモ尚可ナリ、而シテ到底煩雑ヲ防セカサルへカラスト云、因テ同氏ハ回辞シテ曰、各位已ニ斯ノ如クナレハ他日其批朱ヲ得テ報知スヘシ


第一国立銀行第八回半季実際考課状 第二六―二七頁〔明治一〇年七月一五日〕(DK050095k-0002)
第5巻 p.438 ページ画像

第一国立銀行第八回半季実際考課状 第二六―二七頁〔明治一〇年七月一五日〕
一他店発行ノ銀行紙幣ハ仮ニ通貨ト看做シテ本社紙幣ノ交換準備ニ充ツヘキ事ヲ欲シ、六月廿五日之ヲ大蔵省ニ稟請ス、是其準備ニ充ツヘカラサル事ハ向キニ同省ノ示令アリト雖モ、已ニ銀行者林立シ随テ其発行紙幣日一日ヨリ多ク、現ニ本行ノ如キハ他店紙幣陸続湊合シ、数日ヲ経ルモ使用シ了セス、若シ之ヲ以テ交換準備ニ充ツヘカラストセハ各銀行相互ニ已ムヲ得スシテ専ラ交換ニ勉メ、其各地ニ散布流播スルヲ得ス、随テ弊害ナキ事能ハサルへシ、此ニ因テ敢テ稟請スル所ナリ