デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.73-76(DK060015k) ページ画像

明治17年1月26日(1884年)

是ヨリ先、中山道鉄道公債発行サル。是日右ニ応募スルノ可否ヲ諮リタルニ異議ナキヲ以テ各自ノ引受高ヲ定メ日本銀行ニ申込ムベキコトニ決ス。


■資料

集会録事 従明治十五年第一月(DK060015k-0001)
第6巻 p.73-76 ページ画像

集会録事 従明治十五年第一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○臨時集会録事
明治十七年一月廿六日、午前第九時第一国立銀行楼上ニ於テ同盟銀行臨時集会ヲ開キ、昨十六年十二月太政官第四十七号ヲ以テ布告セラレタル中山道公債募集ノ件ニ付協議ヲ為シ、十一時下一同退会セリ、詳録左ノ如シ
   委員 第一国立銀行頭取 渋沢栄一 ○外三名氏名略
   会員 三井銀行 西村虎四郎 ○外二三名氏名略
    但第三十三・第六・第八十九ノ三行ハ事故アリテ参会セス
右列席ノ上委員第一国立銀行頭取渋沢栄一氏ハ昨十六年十二月太政官第四十七号ヲ以テ中山道鉄道公債発行ノ旨ヲ布告セラレ、尚又本年一月大蔵省第七号告示ヲ以テ其手続ヲ達セラレタルハ已ニ諸君ノ知悉セラルヽ処ナリ、然リ而シテ公債証書タルモノハ我々銀行者営業上ニ於テ大ニ関係ヲ有セルモノナルニ付厚ク注意セサル可カラサルモノアリ、且ツ今般ノ発行高ハ五百万円ト定メラレシニ付テハ可成的此額面
 - 第6巻 p.74 -ページ画像 
位ハ我々同業者中ニ於テ速カニ募集ニ応シ度相考候ニ付テハ
 第一 之レニ応スルノ可否ヲ決スヘシ
 第二 可ナルヘシト決セハ、各自ノ引受高ヲ定メ、而シテ其模様ヲ大阪・九州両同盟銀行其他一般国立銀行ヘ通知シ、其応募方ヲ督励スヘシト云
右ハ一同異議無之、各自受持高ヲ告ケタリ、尤本日出席中ニテモ一応帰行ノ上相談ヲ為シ其言ヲ申述ヘシト云向、或ハ当日欠席ノ行モ有之候付二三日ヲ期シ取纏ノ上日本銀行ヘ申込ハ当集会所ヨリ早々地方銀行ノ《(ヘ)》通報ノ筈ニ決セリ
  〆

一翰啓上仕候、厳寒之候貴行益御清勝拝賀之至ニ候、陳ハ昨年十二月中太政官第四十七号ヲ以テ御布告相成候中山道鉄道起業公債募集之義ニ付テハ、尚又本月廿三日大蔵省第七号御告示ニテ其発行之金額及募集手続等御明示相成候ニ付、已ニ御領知被成候義ト奉存候、就テハ此募集之義ハ自ツカラ一般之公債価格ニ影響ヲ来シ、御同業者一同ニハ大ニ関係ヲ有シ候事件ニ付、当集会所同盟各行ハ一昨廿六日ヲ以テ臨時総会相開キ種々評議仕候処右御布達之公債価格及其手続等ハ至極適当之御措置ト被存殊ニ募集之額ニモ定限有之候上ハ、此際同業者協力イタシ可力及的此募集ニ応シ候ハヽ総額ノ過半ハ御引受申上候様ニモ可相成、然時ハ此募集ハ速ニ其功ヲ奏シ候筈ニテ、自然他ノ公債価格維持方法トモ可相成ト存候ニ付、各行銘々ニ申立候手続ヲ止メ、一同当集会所ヘ引受高申込、集会所ニ於テ之ヲ取纏メ其合高ヲ日本銀行ヘ申込候事ニ決議仕候間、此段御心得迄ニ御報知申上候、右様協議相整候モ元来公債証書ニ付テハ御同様共々深ク関係ヲ有シ候次第ニテ、既ニ去ル明治十三四年ノ頃其価格低落之際ニハ如何トモ回復之方法無之御同様只々歎息仕候程之有様ニ候処、其後追々価位回復イタシ今日之如ク相成候モ一時気勢之然ラシムル処モ可有之候得共、多クハ全般財政上之御措置ニ関シ候義ト存候ニ付、御同業者ニ於テハ共ニ此高賚ヲ感銘可致筋ト存候、就テハ一方ニハ御同業本分之義務ヲ尽シ、一方ニハ将来公債価格之変動ヲ予防致度ト一同奮励此募集ニ応シ候義ニ付、右等之情味モ御含ニ申上候義ニ御座候、何卒夫是御参案之上相当之御申込有之候様仕度奉存候、右可得御意如此御座候也
  明治十七年一月廿八日 東京銀行集会所
    第 国立銀行御中
  再伸、当集会所ニ於テ御引受申上候金額ハ同盟中両三行未定ノ分有之候得共、横浜正金銀行ヲモ合計シ、多キハ五拾万円ヨリ三拾万円、少キハ弐参万円迄ニテ総額面弐百五拾万円余ニ相成候積ニ候、此段為念申添候也
    ○臨時集会録事 ○明治一七年五月一七日
又同会ニ於テ中山道鉄道起業公債証書第二回募集セラレタルニ付、同盟各行ノ応募高ヲ打合、第一回ノ例ニ傚ヒ当集会所ヨリ日本銀行ヘ申込ヘキ事ニ決定シ、尚此趣ヲ全国同業者ヘ通報セリ
    ○第四十三回定式集会録事
 - 第6巻 p.75 -ページ画像 
又同氏○山中隣之助ハ中山道鉄道公債第弐回募集申込高非常之巨額ニ登リ価格已上申込ノ分殆ト五百万円ニモ及フヘクヤニ伝聞セリ、果シテ然ルトキハ我々申込高ニ対シ受取高ハ僅少ナルモノト推考セルニ付、幸ニ諸君ノ感ヲ同フスルアラハ価格已上申込ノ分丈ケハ増発セラレンコトヲ日本銀行ヘ懇請スヘキ旨ヲ陳述セシニ賛成者少数ニ付、同氏ハ当同僚ノ評議ヲ経、更ニ協議スヘキ旨ヲ報シテ閉会セリ
     已上
    ○臨時集会録事
明治十七年六月十九日、当会委員山中隣之助君ノ発議至急ヲ要スルノ廉アリ、本日午後第四時ヨリ日本橋区万町柏木亭ニ開会ス、幸ニ天気晴朗風亦無クシテ会員ノ来臨実ニ不遅、則チ出席員ハ左ノ如シ
        第一国立銀行 佐々木勇之助 ○外二〇名氏名略
  不参 拾行
  合計 参拾壱行
不参行名ハ 第五・七十四・第二十・廿七・百十二・第六・第十・第十九・八十九・十四
各員就席シテ後発議者山中隣之助氏ニ代リ、三井銀行副長西村虎四郎氏演述セラル其大要ハ即チ
這回中山道鉄道公債第二募集ニ付テハ曩ニ御同盟申合セ、各行申込高ヲ予定シ、日本銀行ニ向ケ申込シニ方今側カニ伝聞スル所ハ価格以上ニテ申込ノ者五百万円余、亦価格ヲ以テ申込候者壱千万円余、都合壱千五百万円ノ多ニ至リシニ依テ、今此御割附ヲ第一回ニ比シ考察スルニ定価ヲ以テ申込候者ハ皆悉ク扣除セラルヽニアリ、玆ニ於テヤ失望ノミナラス支店等予約モ亦之レアルカタメ営業上困却尠カラス候間、何卒是レカ情況ヲ具伸シ、或ハ価格以上申込高則チ四百万円計御増発相願候哉、又ハ他ノ方法御設置相成候トモ其辺ノ義ハ政府御都合ニ任セ、兎モ角申込高ノ半ハニ足ル可キ分御割附被下度旨日本銀行ヘ向ケ懇請シテ如何、尚御見込ハ充分吐露アランコト
右陳述セラルヽヤ否、正金銀行代理者伊藤詮一郎氏答テ曰ク
原按ハ一己人ヨリ見ルトキハ実ニ好ム可キ事ニテ尤トモ御同意飽マテ諸願モ致ス可クハ候得共、今銀行社会ノ所為ニ在テハ如ラス、即チ銀行ハ国家ノ経済ニ注目着意セスンハアラサルカ故ニ却テ此増発ヲ乞フ者ヲシテ止メサル可ラス、何トナレハ今四百万円余ノ公債増発アルトキハ此鉄道ノ為メノミ壱千五百万円ノ事宜シク金融ニ関係セシムル以所、就中当時横浜ニ於テハ早輓生糸ノタメ金融ノ急繁ナラシムルノ徴ナキニシモアラス、依テ正金銀行ハ此増発請願ニ於テハ不同意ナリ云々
以上二派ノ論旨牒々答議数刻ニ及ヒ、終ニ多数ヲ以テ本日ノ議ヲ果ス
  原按同意者    拾八行
  廃按同意者    八行
  不参者      六行
 已上同意者ノ多数ニ付之レヲ出願ス可キトス
亦議アリ、抑モ本会之議ハ諸事示談ヲ以テ事ヲ謀リ、或ハ議シ以テ互行幸福ヲ維持スル次第ナレハ、則チ議ハ多数ニ取ルト雖トモ出願ニ於
 - 第6巻 p.76 -ページ画像 
テハ不同意者之レヲ扣除スルモ不苦トノ事ニテ、同意者ノミノ姓名ヲ以テ之レヲ出願スルニ決ス
右種々ノ議論涌出隆盛之レヲ評議セラルヽモ午後七時ニ於テ漸ク纏決、而シテ午餐ヲ喫シ、一同退会セラル、維時九時三十分也
              集会所出席者
                    山中譲三
                    高田信清
    ○第四十六回定式集会録事 ○明治一七年九月二五日
又中山道公債第一回募集手数料日本銀行ヨリ与付相成タルニ付、之レヲ割戻スヘキ義ニ付一同ヘ協議シ、遂ニ其引受高ニ拠リ各自エ割戻スヘキ事ニ決定ス
    ○第五十四回定式集会録事 ○明治一八年六月一八日
次ニ今般中山道公債第三回募集ニ付、同盟銀行中ノ応募高ヲ打合セ、第一・第二回ノ例ニ準シ当集会所ニ於テ之レヲ取纏メ、日本銀行ヘ可申込事ニ議決セリ