デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.89-92(DK060024k) ページ画像

明治18年7月(1885年)

銀行集会所同盟銀行ノ会同ニ於テ栄一ノ首唱ニヨリ銀行通信録ノ発行ヲ決議シ、同年十二月其第一号ヲ発行ス。


■資料

集会録事 従明治十五年第一月(DK060024k-0001)
第6巻 p.89 ページ画像

集会録事 従明治十五年第一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第五十四回定式集会録事 ○明治一八年六月一八日
次ニ当集会所ニ於テ地方各国立銀行便宜ヲ図リ定式ノ通信ヲ開クヘキ事ヲ協議セシニ、第百十九国立銀行頭取肥田昭作氏外多数ノ賛成ニヨリ大旨之レニ決シタレトモ、篤ト其方法及経費等ノ概算ヲ調査シ、次会ニ於テ之レヲ評議スヘキ事ニ議決セリ
    ○第五十六回定式集会録事 ○明治一八年八月一八日
同氏○渋沢栄一又曰ク、前会約スル処ノ通信規程稿成ルヲ以テ過日先ツ銀行局長ノ内閲ニ呈シ、異議ナキヲ得ルニ因リ更ニ其編輯体裁及経費ノ概算等ヲ取調タリト、乃チ稿本数部ヲ出シテ各位ニ示シ、其可否ヲ問ヒシカ、衆皆異議ナキニヨリ速カニ之ヲ大蔵卿閣下ニ稟請スヘキ事ニ議決セリ


諸達願並指令綴込 第一号・自明治十一年―明治三十三年(DK060024k-0002)
第6巻 p.89-90 ページ画像

諸達願並指令綴込 第一号・自明治十一年―明治三十三年
                (東京銀行集会所所蔵)
当集会所ニ於テ是迄銀行紙幣合同消却法ノ事ニ付、各国立銀行ノ為ニ集会致シ時々通信仕来候処、今般新築落成諸事緒ニ就キ候ニ付、同盟外銀行ト通信ノ方法相開キ、其通信録ヲ発兌致シ、広ク同業者ニ相頒候様仕度存奉候ニ付、何卒右御允準被成下度、依之別冊通信規定相添此段奉願候也
                日本橋区阪本町四十番地
  明治十八年八月廿二日        銀行集会所
    大蔵卿 伯爵松方正義殿
(朱書)
第七百四十九号
 - 第6巻 p.90 -ページ画像 
願ノ趣聞届候条発兌ノ上ハ弐部ツヽ当省ヘ可差出事
  但発兌ノ儀ハ更ニ其筋ノ准許ヲ可受事
   明治十八年九月十八日
        大蔵卿 伯爵松方正義


集会録事 従明治十五年第一月(DK060024k-0003)
第6巻 p.90 ページ画像

集会録事 従明治十五年第一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第五十八回集会録事 ○明治一八年
十月十五日、第五十八回ノ定式集会ニ於テ委員三井銀行副長西邑虎四郎氏ハ兼テ評議セシ通信録発刊スヘキニ付、其持主ヲ山中譲三ト定メ去月三十日保証主トシテ金五百円ヲ警視庁ヘ上納シ、併セテ内務卿閣下ヘ其発行ノ事ヲ出願セシメシ処、本月十二日願ノ通許可セラレタル旨ヲ報道セリ


青淵先生六十年史 第一巻・第五九六―五九七頁 〔明治三二年二月〕(DK060024k-0004)
第6巻 p.90 ページ画像

青淵先生六十年史 第一巻・第五九六―五九七頁〔明治三二年二月〕
    第五 銀行通信録ノ発行
東京銀行集会所ニ於テ発行スル銀行通信録ハ、先生ノ首唱ニ係リ、其発行ノ目的ハ全国銀行者ト常ニ声息ヲ通シ、各地業務ノ実況ヲ知悉スルノミナラス、苟モ斯業発達上裨益スヘキ事項ハ広ク之ヲ通信シテ智識ノ交換ヲ謀ラントスルノ趣旨ニ出テシモノニシテ、明治十八年七月同盟銀行会同ニ於テ之ヲ決議シ、全国各銀行ニ通牒シテ其賛同ヲ得、同年十二月初メテ其第一号ヲ頒チ、爾後毎月一回ノ発行トシ爾来愈々之ヲ改良シテ今日ニ至レリ
之ニ先チテ明治十年択善会ノ組織成ルヤ、先生ノ首唱ニ依リ択善会録事ノ刊行アリ、其会同漸ク盛ナルヤ、録事モ亦同業者ニ対シ裨益スル所尠ナカラサリシヲ以テ、更ニ之ヲ改良シテ一部ノ雑誌トナシ、之ヲ世ニ公ニシテ同志ノ閲覧ニ供スルコトヽナリ、理財新報ト題シテ明治十一年ヨリ毎月一回之ヲ発行シ、大ニ世上ノ喝采ヲ博シタルカ、翌十二年一月之ヲ廃刊シ、爾後択善会ノ録事ハ東京経済雑誌ニ掲載セリ、明治十三年八月択善会ヲ解散シ東京銀行集会所ヲ組織スルヤ、録事刊行ノ事ハ一時中絶セシカ、爾後会務再ヒ振ヒ、全国同業ニ関係スル事項漸次其数ヲ増加シ、通信従テ頻繁トナリ、明治十八年十二月ヨリ銀行通信録発行ノ挙アルニ至レリ、之ヲ要スルニ銀行通信録ノ淵源ハ遠ク明治十年七月択善会録事ノ発行ニ起リ、一変シ理財新報トナリ、再変シテ東京経済雑誌ノ記事トナリ、三変シテ銀行通信録トナリシモノナリ
明治廿九年七月、同盟銀行ノ協議ヲ以テ大ニ銀行通信録ニ改良ヲ加ヘ翌三十年一月ヨリ紙面ヲ拡張シ、爾来益々其名声ヲ博シ、今ヤ銀行業ニ対スル唯一ノ機関雑誌タルノミナラス、最モ完備セル経済上ノ月報トシテ世間ヨリ重キヲ置カルヽニ至レリ


銀行通信録 第一号・第一―五頁〔明治一八年一二月〕 緒言(DK060024k-0005)
第6巻 p.90-92 ページ画像

銀行通信録 第一号・第一―五頁〔明治一八年一二月〕
    ○緒言
銀行集会所ナル者ハ何ソヤ、是レ東京横浜ノ同盟銀行カ相会同シテ互ニ営業上ノ事務ヲ討論シ、之レヲ内ニシテハ其実学ヲ切瑳琢磨シ、之
 - 第6巻 p.91 -ページ画像 
ヲ外ニシテハ営業ヲ拡伸シ、併テ手形取引ノ決算ヲ整了シ、商業世界ニ介立シテ理財ノ大機関ヲ旋転運用スルノ公会所ナリ、既ニ此公会所アレハ又全国ノ同業者ト常ニ声息ヲ通シテ益其道ヲ拡張セサルヘカラス、因テ其通信ノ要具ヲ設ケ之ヲ銀行通信録ト号シ、玆ニ其第一号ヲ刊行スルニ当リ、敢テ既往ノ事情ヲ述ヘ、併テ将来ノ目的ヲ説キ、同盟銀行カ熱心此ニ従事スル旨意ノ大略ヲ申明セント欲ス
此通信録ヲ発行スルノ事ハ明治十八年七月、同盟銀行ノ会同ニ於テ決議シ、而シテ委員銀行ニ於テ其方法規則ヲ起草シ、八月十八日ノ会議ヲ以テ之ヲ決定シ、同月廿二日之ヲ大蔵卿ニ稟候シ、九月十八日允准セラレタルヲ以テ、全国ノ諸銀行ニ通牒シテ委托ノ有無ヲ詢問セシニ諸銀行多ク委托スルノ回答ヲ告ケ、並ニ諸般ノ順序全ク整ヒタルヲ以テ玆ニ之ヲ発刊スルニ至リシハ、同業者ノ為メニ真ニ喜フヘク祝スヘキ盛事ナリト謂ハサルヲ得ス
夫レ銀行通信録ハ明治十八年十二月ヲ以テ始テ発行スル者ナリト雖トモ、此同盟銀行カ相依テ公益ヲ計リ共利ヲ興サント欲シ、率先ノ労ニ自任シタル事ハ固ヨリ今日ニ始ルニアラス、明治十年択善会ヲ設ケ其録事ヲ刊行スルヲ以テ之カ濫觴トナス、而シテ其会同ノ事業漸次実効アルニ随ヒ、録事モ亦聊カ世上ニ対シテ裨補スル所ナキニアラサルヲ以テ更ニ改良シテ以テ一部ノ雑誌トナシ、世ニ公ニシテ同志ノ覧ニ供セント欲シ、即チ択善会理財新報ト改称シテ毎月一回刊行シ、大ニ士君子ノ喝釆ヲ博シタリキ、其後更ニ衆議ヲ以テ其発行ヲ廃シ、東京経済雑誌ニ掲載セリ、明治十三年八月同会ヲ解キ之ニ代ルニ此銀行集会所ナル者ヲ以テスルニ当リ、其組織較々旧会ト異ナルヲ以テ録事刊行ノ事一事中絶セシカ、爾後更ニ改良ヲ行ヒ会務復タヒ振起シ、全国同業ニ関係スル事件漸次端ヲ開キ、又大蔵省ヨリ詢問セラレタル事件ニシテ之ヲ全国同業者ニ照会スル所ノ者漸ク其数ヲ増シ、通信稍々頻繁ナルヲ以テ、自他一層便利ノ計ヲ設ケ遂ニ此通信録発行ノ挙アルニ至リシナリ、故ニ此通信録ハ今日ヲ以テ始テ発行スト雖トモ、其淵源ハ遠ク択善会録事ニ起リ、一変シテ理財新報トナリ、二変シテ東京経済雑誌ノ記事トナリ、三変シテ此体裁ヲ為シタルモノナリ、而シテ其択善会録事発行以来全国銀行カ各自多少便益ヲ覚ヘタル事ハ明治十年ヨリ今日マテ銀行ノ業ニ従事シタル諸氏ハ必ス能ク記臆《(憶)》シテ以テ忘レサルヘキ所ナリト信セリ
沿革此ノ如クナレハ今日此通信録ヲ発行スルノ精神那辺ニ在ルヤト云ニ至ツテハ敢テ陳述セサルモ我同業者ハ諒知セラルヽコト疑ハサル所ナリト雖トモ一旦中絶シタルカ故ニ後進者或ハ其尾ヲ看テ其頭ヲ知ラス、其末ヲ問フテ其本ヲ温ネサルノ憾ナシトセサルヲ以テ、聊カ一言ヲ贅セント欲ス、蓋通信録ノ旨意タル全国ノ同業者互ニ声息ヲ通シテ営業ノ便益ヲ図リ、併セテ自他ノ得失ヲ鑑ミ営業上ノ知識ヲ闡発スヘキモノニシテ、尚之レヲ疏解セハ銀行者カ其義務責任ヲ全クスルニ於テ欠ク可カラサルノ要具ト云フヘシ、惟フニ銀行業ノ商業世界ニ緊切ナル苟モ一朝計ヲ誤リ破産倒帳スル者アルニ於テハ、外ニシテハ融通上ニ意外ノ波瀾ヲ起シ、内ニシテハ幾多ノ株主ヲシテ心胆ヲ寒カラシメ、独リ一社ノ幸福ヲ毀損スルノミナラス同業ノ体面ヲ汚スノ恐ナシ
 - 第6巻 p.92 -ページ画像 
トセス、況ヤ商業世界ノ進歩スルニ随ヒ営業ノ変化モ亦窮リナキカ為メニ銀行者ノ注意ヲ要スルハ一年ハ一年ヨリ加ハリ、愛楽地ヲ換ヘ安危事ヲ同フセサラントス、此時ニ当リ銀行者無学無識ヲ以テ傲然自任シ、又ハ汲々守銭家者流ヲ以テ経営シ、恬トシテ経済ノ根理ヲ問ハス商法ノ原則ニ通セスシテ変化ノ世態ニ推移スル所ナクンハ、一時風吹キ草動クモ忽チ周章狼狽シテ其措ク所ヲ知ラサラムトス、豈之ヲ危フカラスト謂ンヤ、故ニ銀行者ハ宜ク相当ノ学問ヲ修メ、知識ヲ磨励シテ以テ活動極リナキ商業世界ニ対シ機敏活溌ニ経営セサルヘカラス、而シテ其学問ト云ハ、三墳五典ノ書ヲ読ミ高山流水ノ文ヲ作ルヲ云ニアラス、只実際ノ業務ヲ以テ常ニ同業者ト声息ヲ通シ、詳ニ問ヒ厚ク行ヒ、商業世界ノ事態ヲ周悉スルニ在ルノミ、然ハ則此通信録ハ其学問ノ津梁ニシテ必其境ニ徜徉セント欲セハ務メテ之ヲ閲シ、又之ニ依テ各自疑ヲ闕キ意ヲ抒ヘ智慮共進ノ代表物トナサヽルヘカラス、果シテ然ラハ此通信録ハ即チ我同業者ノ精神タルヲ以テ、銀行ノ事業能ク商業世界ノ気血タルヲ得テ、富貴是カ為ニ興リ、国光是カ為ニ耀カムコトハ、吾儕此公会所ノ為メニ期スル所ナリト云爾


集会録事 従明治十五年第一月(DK060024k-0006)
第6巻 p.92 ページ画像

集会録事 従明治十五年第一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第六十一回定式集会録事 ○明治一九年六月一日
又同氏○渋沢栄一ハ各位ニ報道シテ曰ク、前日通信録編輯ノ事務ヲ将テ銀行局ニ委托センコトヲ内稟セシカ竟ニ允聴ナキニ因リ、委員相議シテ商工会ニ求メ、同会ノ書記ヲシテ其編輯ノ助手タラシメ、頃日第一号刊行セハ諸君已ニ一読ヲ経ラレシナラン、而シテ今諸君ト議スヘキモノアリ、其発行日限タル通信規程第十一条ニ毎月五日ト定メタリシカ各地方商況報道ノ郵信ヲ洩ラサス蒐集セントスルニハ日限余裕ナキニ因リ、其日限ヲ改正スルヲ要スヘキナリト、乃チ相議シテ五日トアルヲ其翌月中ト改メ、而シテ実際務メテ其編輯ヲ速ニシ、凡廿日頃迄ニ発行スヘキコトヲ期シ、之ヲ大蔵省ニ稟シ、並ニ通信銀行ニ通知スヘキコトニ決セリ