デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.174-176(DK060056k) ページ画像

明治22年5月15日(1889年)

是ヨリ先、大阪銀行集会所ヨリ電信為替取扱方改正ノ件ニ付キ照会アリ、是日右ニ付キ委員ノ外臨時委員ヲ選ビテ熟案審査スベキコトヲ決議ス。後取扱方法ハ各行ノ適宜ニ任ズベキ旨ノ回答ヲ決議セリ。


■資料

銀行通信録 第三七号・第一五―一六頁〔明治二一年一二月二八日〕 第八十九回定式集会録事(DK060056k-0001)
第6巻 p.174 ページ画像

銀行通信録 第三七号・第一五―一六頁〔明治二一年一二月二八日〕
    ○第八十九回定式集会録事
明治二十一年十二月十五日、同盟第八十九回ノ定式集会ヲ開キ、来会スル者十八名ナリ、委員第三国立銀行頭取安田善四郎氏ハ書記ニ嘱シテ会務ヲ報告シ、且之ヲ協議シテ決定スルコト左ノ如シ
一大坂同盟銀行集会所ヨリ照会アリシ電信為替取扱改正ノ要旨ハ、近頃同府下ニ於テ電信為替ニ関シ詐偽百出シテ往々金円ヲ騙取セラルヽ者アルヲ以テ、従前ノ如ク差図人払ノ性質ニ因テ取扱フ時ハ銀行ノ損失ヲ取ルノ慮ナキヲ保シ難キカ故ニ、自今持参人払ノ性質ニ変更シ、且其手続キヲ改正シタルヲ以テ我集会所同盟銀行ニ於テモ同意賛成アランコトヲ望ムト云フニ在リ、然ルニ本会ノ評議ニ於テハ該為替ノ如キ其証憑トスヘキモノハ只一片ノ電信箋ノミナレハ万一被害人ヨリ起訴セラレタルトキハ銀行ノ責任ハ果シテ何辺ニ在ルカヲモ講究セザル可カラスシテ軽々ニ議了スルヲ得ス、且是日委員欠席多キニ因リ、尚次会ヲ待テ議スヘキコトニ決定セリ


会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月(DK060056k-0002)
第6巻 p.174 ページ画像

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第九十四回定式集会録事 ○明治二二年五月一五日
一嘗テ大坂同盟銀行集会所ヨリ照会アリシ電信為替取扱ノ件ハ、第八十九回定式集会ノ評議ニ於テ未タ同否ヲ決セサルニ付、之ヲ決定スベキ為メ委員ノ外臨時二三員ヲ撰ヒ其熟案審査ヲ尽シ、更ニ精議ヲ経テ回答書ヲ裁スヘキコトニ議決セリ

 - 第6巻 p.175 -ページ画像 

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月(DK060056k-0003)
第6巻 p.175-176 ページ画像

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第九十五回定式集会録事
明治二十二年六月十五日、第九十五回定式集会ヲ開キ、来会スルモノ二十名ナリ
   委員  第一国立銀行頭取   渋沢栄一 ○外三名氏名略
   会員  第二国立銀行     小林茂右衛門 ○外一五名氏名略
但第三・第六・第十二・第十九・第四十一・第九十・第六十・第百十二・第百十三・第百十九・第百三十二・第百四十七・横浜正金・三井ノ十四行ハ差支アリ参会セス
委員第一国立銀行頭取渋沢栄一氏ハ電信送金取扱ノ件其外ノ事件ヲ報告スルコト左ノ如シ
一前会ノ議決ニ係ル大阪同盟銀行集会所ヘ向ケ答議スヘキ電信為替取扱方法ノ件ハ、爾後其議決ノ旨ニ基キ先ツ小生等ノ考案ヲ以テ第一銀行ニ於テ起草シタル者アレトモ末タ委員其他ノ査閲ヲ経ルニ至ラス依テ夫々ノ査閲熟議ヲ以テ該案ノ得失ヲ研究シタル後之ヲ輪札ニ付シテ諸君ノ回議ヲ求ムルカ、又ハ次会ヲ竢テ議決スヘキコトヽナスヘシ、但本席ニ於テ該案ノ大意ヲ示スハ妨ケナカルヘシトシテ之ヲ一読シテ衆聴ニ供セリ

    ○第九十七回定式集会録事
明治二十二年九月十四日同盟第九十七回定式集会ヲ開キ、来会スルモノ二十一名ナリ
 委員  第三十二国立銀行取締役   山中隣之助
 会員  第一国立銀行        佐々木勇之助 ○外一九名氏名略
委員山中隣之助氏ハ当集会所拝借地ノ内本年五月払下残地借用満期ニ付、東京府知事ヘ請願続借スヘキ件ヲ議問シ、衆皆同意ス、此外一二評議シタル者アレトモ皆重要ナラサルヲ以テ之ヲ略ス、又本日ハ曾テ大阪同盟銀行ヨリ照会アリシ電信送金取扱方案ニ対シ本会ノ答議ヲ議定スヘキ筈ナリシカ、山中隣之助氏ノ外委員皆欠席セシカ故ニ、左ノ回答案ヲ輸札廻議ニ付シテ定ムヘキ事ニ協議セリ
    大阪同盟銀行集会所ニ送ルヘキ回答案
  一翰啓上仕候、陳ハ近来電信送金取扱上ニ於テ詐偽姦策ヲ行ヒ金員ヲ騙取スルモノ往々有之、遂ニハ銀行者ノ迷惑ニモ可相成ニ付此際適当ノ良法ヲ設ケ之カ予防ノ途ヲ御立被成度趣ヲ以テ、貴所同盟銀行ノ議案相添其方法施行之儀御協議有之候ニ付、早速評議致候処、同盟銀行ニ於テモ右姦策予防ノ事ニハ至極御同意ニ候得共、唯電信局ヨリ発送致候一片ノ電信送達紙ヲ以テ送金手形同様ニ視做シ之レト引換ニ金円ヲ渡シ候儀ハ不安心ニモ有之、且銀行自家ノ危険ヲ保護シテ他人ノ損害ヲ顧ミサル如キ姿ニ相成、詐偽者ノ姦策ヲ予防候事ハ却テ難出来様被存候トノ説多数ニ有之、乍去本案ノ如キハ銀行営業上頗ル重要ノ事件ニ付篤ト調査ノ上再議可致事ニ決シ、其後同盟銀行実際取扱ノ振合ヲ取調候処、貴按ノ如ク其受取人ノ誰タルヲ問ハス単ニ電信送達紙ヲ証拠トシテ金員
 - 第6巻 p.176 -ページ画像 
ヲ支払候モノ、或ハ本人ヲ確認スル歟若クハ銀行ノ満足スヘキ保証人ヲ得サレハ決シテ支払ハサルモノモ有之、其他各行ノ取扱区区ニシテ未タ一定ノ慣例ト称スヘキモノ無之、要之甲ハ簡易ニ失シテ危険ノ恐レアリ、乙ハ鄭重ニ過キテ利便ヲ欠クノ憾有之候、是ニ於テ従来ノ取扱ヲ改正シ、何トカ一定ノ方法ヲ設ケ、更ニ貴方ヘモ御照会可致ト存シ種々評議ニ及候処、普通電信送金ト特別電信送金トノ二法ヲ設ケ、甲ハ従来ノ如ク本人ヲ確認スルカ若クハ銀行ノ満足スヘキ保証人ニ非レハ支払ハサルモノトシ、乙ハ取組元ノ銀行ヨリ受取人ニ電報シ、其電信送達紙ヲ証トシテ金員ヲ支払候事ニ致シ、各行共此二法ヲ適宜ニ相用候ハヽ可然ヤトノ説モ有之候得共、結局電信送金取扱ノ如キハ各行従来ノ慣行モ有之候ニ付、一定ノ方法ニ拠ラシムルコトハ実際行ハレ兼候ニ付、相互ニ篤ト注意ヲ加ヘ、其取扱方法ノ如キハ各銀行ノ適宜ニ可致事ニ決議仕候間、乍延引此段御回答申上候也
  (参考)大阪同盟銀行ヨリ照議ノ大意
  大阪同盟銀行集会所ニ於テ電信送金取扱ノ件ニ付別紙ノ如ク議案ヲ提出シ、且其説明ノ如ク近頃電信送金ニヨリ弊害百出以テ欺騙ヲ逞フスルモノ日一日ヨリ甚シキニ因リ、一ニハ銀行自ラ予防ヲ為シ、一ニハ依頼人ニ注意ヲ促シ、務メテ避クヘキノ害ヲ避クルヲ要スルニ付、之ヲ貴同盟各行ニ協議シ其意見ヲ問ハントス、幸ニ賛成ヲ得ルカ、或ハ別ニ高案ヲ回示セラレンコトヲ望ム云々
    議案
  電信送金取組ノ節、本人ヨリ差出セル依頼書及銀行ヨリ発付スヘキ受取書ノ書式ヲ改正一定スルノ議案
  説明  是レハ近来電信送金ノ詐偽頻ニ行ハレ、或ハ商用ノ為メ他府県ヨリ出阪シタル人ノ姓名及ヒ其本籍等ヲ探知シ、其本国ニ電報ヲ以テ電信送金ヲ取組マシメ而シテ其人ノ名前ヲ以テ金員ヲ受取ルモノアリ、或ハ己レ電報ヲ発セサルモ他ヨリ発シタル電信紙ヲ窃取シテ其本人ト詐称シ、送金受取方ヲ申出ルモノアリ、其他種々ノ策略ヲ運ラシ、電信送金ニ由リテ金員ヲ騙取スルモノ多シト聞ク、蓋シ銀行ニ於テハ受取人其人ノ果シテ本人ナリヤ否ヤ又印章ハ果シテ本人ノ印章ナリヤ否ヲ識別スル甚タ難ク、其証人ヲ要スルモ亦一ノ躰裁ヲ飾ルニ過キス、唯其証トスヘキモノハ僅ニ取組人ヨリ発シタル電信紙一葉ニアリ、然ルニ此電信ハ多クハ普通語ヲ以テシテ、別ニ暗号ヲ用ヒサルカ為メ以上述ルカ如キ姦詐ニ遇フモ之ヲ避クルノ方ナク、而シテ目今ノ取扱タル所謂差図人渡シニシテ持参人渡シニアラサルヲ以テ、万一誤テ不正ノ受取人ニ払渡シタルトキハ銀行ノ損失ニ帰スルカ如キ懸念ナキニアラス、依テ差図人渡ノ躰裁ヲ改メ、持参人渡シノ方法トナスヘシト云ニアリ、依頼書及受取証書ノ雛形左ノ如シ(雛形略ス)