デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.294-301(DK060080k) ページ画像

明治25年2月26日(1892年)

是ヨリ先、銀行所用ノ諸証書及手形類文例ヲ一定スルノ議ヲ発シテ衆ノ同意ヲ受ク。即チ調査委員ヲ選ンデ之ガ取調ニ着手セシム。是日右ノ文例中当座取引ニ関スル諸式様草案ヲ提出シ衆議ニ附ス。爾来数次ニ渉リテ討議ノ後何レモ修正可決セリ。


■資料

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月(DK060080k-0001)
第6巻 p.294-297 ページ画像

会議録事  自明治二十二年一月至明治二十三年十二月  (東京銀行集会所所蔵)
 - 第6巻 p.295 -ページ画像 
    ○第百八回同盟定式会議録事 ○明治二三年一二月一五日
又会長○渋沢栄一ハ銀行所用ノ諸証書、及手形類文例ヲ一定スルノ議ヲ提シテ協議ニ付ス
 佐々木慎思郎氏曰、諸証書類ノ文例ヲ一定スルハ至極同意ナリ、尤モ用紙ニ至ル迄総テ同一ノモノヲ用ユルコトヽ為スノ意ナラハ、反テ不便ヲ感スベケレハ只文例ヲ一定スルモノトナシタシ
 三輪信次郎氏曰、預リ金証書又ハ借用金証書等ノ如キ之ヲ同一ニ為スハ甚タ必要ノコトニシテ、且各行ニテ之ヲ印刷スルヨリ寧ロ銀行集会所ニ於テ製造シ以テ各銀行ニ頒ツ事ト為サハ啻ニ費用ノ節減ヲ来スノミナラス訴訟ノ起リシ場合ニモ幾分好都合ヲ感スルコトアルヘシ
会長曰、兎ニ角文例ヲ一定スルニ就キ異議ナケレハ起草委員ヲ撰ミ、取調ニ従事シテハ如何ト、衆皆同意ヲ表セシニヨリ会長ハ佐々木勇之助、三輪信次郎、佐々木慎思郎、池田謙三、三村君平ノ五氏ヲ挙ケテ之ニ嘱托セシニ、皆肯諾セシヲ以テ委員亦其協議ニ与リ、漸次取調ニ着手スヘキコトニ議決セリ
    ○第百二十回定式会議録事 ○明治二五年二月二六日
                栄一印 (印)
明治廿五年二月廿六日午後四時ヨリ同盟銀行定式会議ヲ開キ、来会スルモノ渋沢委員長、安田・山中両委員ヲ首メ総テ二十六名ナリ
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、予テ調査委員ヘ嘱托シ置タル諸証書文例中当座取引ニ係ル諸式様及コルレス・ポスデンス約定書、振出手形、送金手形書式等即第一号ヨリ第八号ニ至ル迄ノ調査成ルヲ告ケ、本日議案トシテ提出シタル旨ヲ陳ヘ、之ヲ朗読セシメテ衆議ニ付シ決定スルコト左ノ如シ
○第一号議案 当坐取引申込書
本案末文相開候ニ付トアルハ、言辞過去ニ属スレハ相開度候ニ付云々ト安藤浩氏ノ修正説アリテ之ニ決セリ
○第二号議案 当坐預金規定
本案第二項 本文ヘ「然レトモ他店手形小切手ハ預ケ入ノ翌日ニアラサレハ現金ト見做サヾルヘシ」トノ旨意ヲ増補修正シタシトノ説、三井・安田両銀行ヨリ起リタレトモ手形流通ヲ奨励スルノ今日ニ当リ此ノ如クスルハ手形流通上幾分ノ障害トナリ然ルヘカラズトノ説多数ヲ占メ、遂ニ原案ニ決セリ
同第三項 末文返入セシムヘシトアルヲ、払込マシムヘシト渋沢栄一氏ノ修正説アリテ之ニ決セリ
同第四項及第五項 中筆跡ヲ差出サシムルハ各行ノ適宜ニ為シタキトノ説三井銀行ヨリ提起シタレトモ、印鑑ノ如キハ偽造等ノ恐レアリテ取扱上危険ナレトモ、筆跡ニ至リテハ一目シテ其振出人ヲ判明スルノ便アレハ矢張原案ヲ維持シタシトノ説多数ヲ占メ原案ニ決セリ
同第八項 持参人ノ上ニ小切手ノ三字ヲ増補シタル方判明スヘシト安田善次郎氏ノ修正説アリテ之ニ決セリ
同第十項ノ次ヘ「万一此通帳ヲ紛失シタルトキハ当行ノ通帳ヲ以テ差引計算スヘシ」トノ一項ヲ増補シタシトノ説三井銀行ヨリ提起シタリ
 - 第6巻 p.296 -ページ画像 
シカトモ此ノ如キハ却テ銀行ノ帳簿ニ信用ヲ薄クスルノ嫌ナキニシモアラサレハ増補ノ必要ナカルヘシトノ説多数ヲ占メ原案ニ決セリ
同第十一項 当坐預金ニハ無利息ノモノモ之アルニヨリ本項冒頭ヘ利付ノ二字ヲ加ヘ利付当坐預金云々ト為シ度旨森謙吾氏ノ修正説アリテ之ニ決セリ
 又本項毎日ノ差引残高ニ対シテ利息ヲ付スルトアレトモ入金ヘハ其翌日ヨリ利息ヲ付スル向モ亦尠ナカラサレハ是等ノ取扱ニ至リテハ一定シ難シトシテ種々討議スル処アリシカ要之各行従来ノ仕来リモアルヘケレハ悉皆之ニ拠ラシムルコトハ為シ能ハサル事情アレハ利息計算等ノ如キハ各行ノ任意ト為スヘキコトニ決シ其他ノ諸項異議ナク原案ニ決セリ
○第三号議案 当坐小切手用法
本案中「印鑑筆跡」トアルヲ「筆跡印鑑」ト更メ其他ハ異議ナク原案ニ決セリ
○第四号議案 当坐小切手書式
本案別ニ異議ナク原案ニ決セリ
又第五号議案以下ハ本日土子氏銀行談話会アリテ時間切迫ノ為メ協議ノ上次会ニ延スヘキコトニ決セリ
    ○第百二十一回定式会議録事
明治廿五年三月十五日同盟銀行定式会議ヲ開キ来会スルモノ渋沢委員長、安田・山中両委員ヲ首メ総員二十三名ナリ、是日客員トシテ日本銀行ヨリ山本筆頭書記臨席セラレタリ、渋沢委員長ハ会長席ニ着キ会議ニ先タチ第四十国立銀行東京支店支配人心得村木準太氏退任黒岩規氏其後任ヲ襲キ、本会々員トシテ参列ノ旨通知アリシ事ヲ報道シ、又先般来銀行実況ノ談話ヲ請ヒタリシ土子文学士ヘ報酬ノ事ヲ協議セシカ委員ノ考案ヲ以テ適宜ニ取計ヒアリタシトノ説ニ帰着セシニヨリ、委員協議ノ上贈与スヘキコトニ決セリ、又来四月同盟銀行懇親会ノ事ヲ協議セシカ、昨年ノ例ニ傚ヒ来ル四月九日即第二土曜日ヲ以テ開会スヘキコトニ決定セリ
次ニ会長ハ前会ノ継続議案第五号当坐預金借越約定書以下ヲ提出シ、且ツ曰ク本案ハ曾テ商法質義会開会ノ当時ヨリ種々論議アリシモノニシテ、商法第八十四条ニ質権ハ将来ノ為メニ設定スルヲ得ス云々ノ条項アリテ已ニ法学社会ニ於テモ種々議論アルヲ以テ調査委員モ充分注意ヲ加ヘ、調査ノ上之ヲ岡村法律顧問ニ諮ヒシニ現今ニ在リテハ差支ナシト雖、商法実施ノ上該法ニ修正ヲ加ヘサル限リハ本案ハ到底其効ナカルヘシト思考セリ、尤モ商法実施ニ至ラハ必ス此議起ルヘケレハ其際充分ノ審議ヲ尽スヘシトノ意見ナレハ、他日法律上ノ効果ニ依リ之カ修正ナスコトアリトスルモ商法実施迄ノ間ハ先ツ本案ニヨルヘキモノトナシ、協議セラレタシト陳ヘ之ヲ衆議ニ付セリ
本案第一項冒頭ヘ「明治何年何月何日当坐取引申込」ノ十四字ヲ加ヘ、又本案末項ヘ「但貴行ノ都合ニヨリ本文借越金減額又ハ中止ノ照会アルトキハ之ニ応スヘキハ勿論ニ候事」トノ但書ヲ増補シタシト三井銀行ノ修正説ニ対シ討議スル処アリシカ、冒頭ヘ「明治何年何月何日当坐取引申込」云々ト記入スルハ敢テ其要ナキノミナラス当坐借越
 - 第6巻 p.297 -ページ画像 
約定ノ如キハ時々変更スルモノナレハ之ヲ記入スルハ却テ繁冗ナルヘシトノ説多数ニテ遂ニ原案ニ決シ、而シテ其但書ヲ増補スルハ各行ノ便宜ニ任スヘキ事ニ決セリ
○第二項末文「借越高ヲ相減シ可申」云々ヲ「借越高ヲ御減シ可被成」ト修正シタシト渋沢氏ノ説アリテ異議ナク之ニ決シ、其他諸項異議ナク原案ニ決セリ
○第六号議案 為替取引約定書
本案貸借計算上ハ所謂両建法ナレトモ、或ハ相殺法ヲ便利ト為ス向モアリテ種々討議スル処アリシカ、要之本案ノ如キハ頗ル重要ノ問題ナレハ、各自其利害ヲ攻究ノ上次会ニ之ヲ決定スヘキコトニ議決セリ
○第七号議案 預金手形
本案ハ現時振出手形ト称スルモノニシテ、其名称穏当ナラサルヲ以テ名称ヲ更メタルモノナリトノ説明アリシヲ異議ナク原案ニ可決セリ
○第八号議案 送金手形
本案送金手形ノ次ニ「送リ人」ヲ記入シタシト三井銀行ノ修正説アリシカ、之ヲ記入スルモ差支ナケレハ又各行ノ便宜ニ任スルコトトナリシカ、送リ人ト云フハ振出銀行タルノ紛レアレハ「依頼人」トスヘシトノ説アリテ之ニ可決セリ
右会事卒リ同七時閉会セリ
      当日出席員
         第一国立銀行   渋沢栄一 ○外二二名氏名略


銀行通信録 第七六号・第七―一六頁〔明治二五年三月二八日〕 【以上会議○第一二一回定式会議ニ…】(DK060080k-0002)
第6巻 p.297-300 ページ画像

銀行通信録  第七六号・第七―一六頁〔明治二五年三月二八日〕
以上会議○第一二一回定式会議ニ於テ確定シタル議案左ノ如シ
第一号
    当坐取引申込書
貴行当坐預リ金規定及小切手用法トモ承諾ノ上取引相開度候ニ付此段申込候也
  明治 年 月 日
     何銀行御中

第二号
    当坐預金規定(是ハ通帳ノ首メニ記載スル分)
一当銀行ノ規定ニ依リ当坐預金ヲ為ス人ヘハ此通帳ト小切手帳トヲ交付スヘシ
一当坐預金ハ現金又ハ手形小切手ヲ以テ預ケ入ルヲ得ヘシ
  但手形小切手ニテ預ケ入ヲ為ス時ハ裏書ヲ為シテ授受ノ手続ヲ明カニスヘシ
一預ケ主ヨリ預ケ入タル手形小切手ノ内万一不渡リノモノアル時ハ銀行ハ之ヲ預ケ主ヘ返却シテ其代リ金ヲ払込マシムヘシ
一当坐預金ハ小切手ヲ以テ引出スヘシ
一預ケ主ハ小切手ニ用ユル筆跡ト印鑑トヲ銀行ヘ差出スヘシ
一預ケ主ノ都合ニヨリ代理人ニ小切手ヲ振出サシムル時ハ其代理人ノ氏名筆跡印鑑ヲ銀行ヘ届出スヘシ
 - 第6巻 p.298 -ページ画像 
一預ケ主ハ銀行ト別段ノ約束アルニ非サレハ預ケ金高ヲ超ヘテ小切手ヲ振出ス事ヲ得ス若シ之ヲ振出シタル時ハ銀行ニ於テ支払ヲ為サヽルヘシ
一預ケ主ヨリ振出シタル小切手面ノ金額ハ銀行ニ於テハ総テ小切手持参人ニ支払フヘシ
一預ケ主預ケ金ヲ為ストキハ此通帳ヲ持参スヘシ銀行ニ於テハ其預金ト小切手支払高トヲ記入シテ之ヲ返却スヘシ
一此通帳ハ預金出入ノ勘定帳ナレハ預ケ主ニ於テ誤記違算アリト認メタル時ハ直ニ其由ヲ銀行ヘ照会スヘシ
一利付当坐預金ハ毎日ノ差引残高ニ対シテ利息ヲ付シ毎年両度(六月十二月)決算ノ上之ヲ支払フヘシ
  但本条ノ利息割合ハ其時々之ヲ定メ新聞紙其他ノ方法ヲ以テ預ケ主ヘ通知スヘシ
一当坐小切手ノ用法ハ預ケ主ニ於テ此規定ト共ニ確守スヘシ若シ右ノ用法及此規定ニ背キ損失ヲ生スル事アルモ銀行ハ其責ニ任セス
  明治 年 月 日            何銀行

第三号
    当坐小切手用法(是ハ小切手帳ノ首メニ記載スル分)
一此小切手ヲ以テ当坐預金ヲ引出スニハ金額並ニ年月日及受取人ノ氏名等ヲ記シ預ケ主記名調印スヘシ
  但預ケ主会社又ハ組合ナル時ハ必ス其社印ヲ押シ主任者之レニ記名調印スヘシ
一小切手ニハ支払期日ヲ記載スヘカラス又振出シタル日ト相違セシ日附ヲ記載スヘカラス
一小切手ニ用フル筆跡印鑑ハ予テ銀行ヘ差出スヘシ若シ預ケ主事故アリテ代理人ヲシテ小切手ヲ振出サシムル時ハ其代理人ノ氏名筆跡印鑑ヲ銀行ヘ届出スヘシ
一小切手ニ記載スル金額ハ壱弐参拾等ノ文字ヲ用ヒ一二三十等ノ文字ヲ用フヘカラス
一小切手ニ誤字ヲ記シタル時ハ朱線ニテ消シ之ニ証印シ傍ラニ正字ヲ記スヘシ若シ此式ニ拠ラスシテ文字ヲ描改シ又ハ書入ヲ為シタル小切手ハ銀行ニ於テ支払ヲ為サヽルコトアルヘシ
一此小切手帳ヲ用ヒ尽シタル時ハ末尾ノ請取書ニ枚数ヲ記入シ記名調印ノ上銀行ヘ請求スヘシ
一此小切手ハ当坐預金ヲ引出スヘキ用紙ナレハ預ケ主ハ大切ニ仕舞置キ若シ火災盗難等ニテ紛失シタル時ハ直ニ其旨ヲ銀行ヘ届出スヘシ

図表を画像で表示--

   当坐小切手請取証  一小切手帳    枚壱冊   但自 番 至 番  右正ニ請取候也   明治 年 月 日     何銀行       御中 



 - 第6巻 p.299 -ページ画像 
第四号

図表を画像で表示--

 此番号ハ銀行ニ於テ摺込置ヘキ事 (番号) 当坐小切手         渡シ先   (一金   右金額名指人又ハ此切手持参人ヘ御払可被成候也     明治 年 月 日      何銀行        御中 



第五号
    当坐預金借越約定書
一当坐預ケ金ノ外小切手ヲ以テ借越致シ候節ハ金……円迄御支払可被下候事
  但貴行ノ都合ニ依リ本文借越金額減少又ハ中止ノ照会アルトキハ之ニ応スベキハ勿論ニ候事
  (此但書ヲ記入スルト否トハ各行ノ便宜ニ任ス)
一右借越金ノ担保トシテ別紙記載ノ物件ヲ差入置候ニ付若シ担保品ノ価格低落致シ候節ハ借越高ヲ御減シ可被成候事
一右借越金ノ利足ハ日歩金 銭ノ割合ヲ以テ年四度(三月 六月 九月 十二月)ニ支払可申候事
  但金融ノ繁閑ニ依リ本文ノ利足御改正候節ハ御通知ノ日ヨリ其ノ割合ヲ以テ支払可申候事
一右借越金ハ明治 年 月 日限リ無相違返済可致候万一期限ニ至リ返金相滞リ候節ハ予テ差入置候担保品御売却ノ上其代金ヲ以テ元利御取立可被下候若シ不足致候ハヽ本人保証人聯帯シテ直ニ弁済可致候事
右之通約定致候処相違無之候也
  明治 年 月 日        本人
                  保証人
    何銀行御中
第七号

図表を画像で表示--

  番号   預金手形   一金 円  右金額正ニ預リ候ニ付何時ニテモ貴殿又ハ此手形持参人ヘ相渡可申候也          何銀行本支店  明治 年 月 日 頭取(又ハ支配人)           何ノ誰印 (現時振出手形ト称スルモノ) 



第八号

図表を画像で表示--

  番号   送金手形        依頼人  (一金  右金額正ニ受取候ニ付此代リ金於其地又ハ此手形持参人ヘ御払渡可被成候也          何地   明治 年 月 日 何銀行           頭取(又ハ支配人)   何銀行         何ノ誰印     支配人御中 (依頼人ノ姓名ヲ記載スルト否トハ各行ノ便宜ニ任ス) 



 - 第6巻 p.300 -ページ画像 

集会録事 自明治二十四年一月至明治二十五年十二月(DK060080k-0003)
第6巻 p.300 ページ画像

集会録事  自明治二十四年一月至明治二十五年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百二十二回定式会議録事
                  栄一印 (印)
明治二十五年五月十四日同盟銀行定式会議ヲ開キ渋沢委員長ヲ首メ来会スルモノ二十二名ナリ
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、会議ニ先タチ第三十三国立銀行退盟請求ニ因リ除名シタル事、第二国立銀行東京支店支配人心得早川録造氏自今会員トシテ当会議ヘ出席スヘキ事等ヲ報道セリ○中略
次ニ前会ヨリノ継続議案第六号、即為替取引約定書案ヲ提シテ協議ニ付シ、大体異議ナク原案ニ決セリ、但其第二条ノ場合ニ於テ荷為替手形及期日手形ニテ入金スルトキハ其取立ノ手数アルヲ以テ其手数料ヲ収入スヘキ事、及第五条ノ規程ハ金融逼迫ノ時ニ当リ差支ヲ生スヘキニ付右両条ヘ但書ヲ附加センコトヲ山川勇木氏ノ修正説アリテ種々評議ノ上第二条ヘハ
 但荷為替手形及期日手形ニテ入金シタルトキハ取立手数料トシテ…………金若干ヲ支払フヘシ
ト附加シ第五条ヘハ
 但貸方銀行ノ都合ニ依リ何日前ニ予告シタルトキハ其支払ヲ謝絶スルコトヲ得ヘシ
ト附加シ、而シテ此第五条但書ハ前会第五号議案当坐借越約定書案第一条但書ト同シク各自取引上ノ都合ニヨリ其附記スルトセサルトハ随意タルヘキコトニ議決セリ
因テ会長ハ各位ニ告クルニ本年三月定式会議ニ於テ議決シタル第一号ヨリ第八号迄ノ文例議案ハ此ニ至リ全備セリ、然ルニ此決議案ニ拠リ我同盟銀行カ一定ノ時ヲ期シテ実施セントスルハ為シ能ハサル事柄ニ付、既ニ製造シタル用紙ノ尽クル時若クハ其契約ノ満期ヲ俟チ漸次施行スヘク、其間若シ便宜ヲ以テ文字上又ハ一部ノ再修正ヲ要スル銀行アラハ之ヲ当集会所ヘ通知スヘキコトヲ以テス、衆皆領意セリ


銀行通信録 第七八号・第七―一〇頁〔明治二五年五月二八日〕 【以上会議○第一二二回定式会議ニ…】(DK060080k-0004)
第6巻 p.300-301 ページ画像

銀行通信録 第七八号・第七―一〇頁〔明治二五年五月二八日〕
以上会議○第一二二回定式会議ニ於テ確定シタル為替取引約定書案左ノ如シ
    為替取引約定書
 東京甲銀行ト某地乙銀行ト為替取引ヲ為スニ付双方ノ間ニ取結タル約定左ノ如シ
第一条 為替取引ノ為メ乙銀行ヨリ甲銀行ヘ預ケ金ヲ為シ又甲銀行ヨリ乙銀行ヘ預ケ金ヲ為スハ現金又ハ手形小切手等ヲ以テシ其預ケ高ハ双方共金……円ノ《(ヲ)》以テ極度トスヘシ
第二条 此約定ニヨリ送付シタル手形小切手等ハ総テ取立済ノ上入金
 - 第6巻 p.301 -ページ画像 
ニ記載スヘシ
  但荷為替手形及期日手形ニテ入金シタルトキハ取立手数料トシテ………金若干ヲ支払フヘシ
第三条 前条ノ手形小切手中不渡ノモノアルトキハ相当ノ手続ヲ経テ之ヲ返却スヘシ
  但取組元ヨリ別段ノ依頼アルモノハ期日後ト雖、取立ヲ為シ其延滞日歩ハ元金ト共ニ入金ニ記載スヘシ
第四条 為替取引ニ用フル手形用紙印鑑及電信暗号等ハ予テ取為替置送金手形及電信送金ノ取組ヲ受ケタルトキハ其印鑑又ハ暗号ニ照シテ支払フヘシ
第五条 此約定ニ依リ貸越ヲ為ス高ハ双方共第一条預ケ金ノ外金……円ヲ以テ極度トスヘシ
  但貸方銀行ノ都合ニ依リ何日前ニ予告シタルトキハ其支払ヲ謝絶スルコトヲ得ヘシ
    (此但書ヲ記入スルト否トハ各行ノ便宜ニ任ス)
第六条 第一条預リ金及第五条貸越金ノ利足ハ双方協議ノ上其割合ヲ定メ日々ノ差引残高ニ対シテ積算シ毎年両度五月十一月決算ノ上之ヲ受授スヘシ
第七条 双方ノ為替尻互ニ貸越トナリタルトキハ一方ノ都合ニヨリ書状又ハ電信ヲ以テ通知シ何時ニテモ振替ヲ為スコトヲ得ヘシ
  但本文ノ通知ヲ受ケタルトキハ書状又ハ電信ノ到着シタル日ヲ以テ振替ヲ為スヘシ
第八条 第一条預リ金若クハ第五条貸越金ハ解約ノ節直ニ借リ方銀行ヨリ返済スヘシ
第九条 此約定ハ一方ノ都合ニヨリ三十日前ノ予告ヲ以テ解約スルコトヲ得ヘシ
第十条 此約定ノ条項ハ双方ノ協議ヲ以テ何時ニテモ更正増補スルコトヲ得ヘシ
右訂結シタル証トシテ此約定書二通ヲ作リ各一通ヲ領収スルモノ也