デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2020.3.6

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.304-306(DK060082k) ページ画像

明治25年7月15日(1892年)

是ヨリ先、大蔵省ヨリ五十銭銀貨通用ノ便否ニ付キ諮問セラル。是日大蔵省ヘノ答申案ヲ決議ス。


■資料

集会録事 自明治二十四年一月至明治二十五年十二月(DK060082k-0001)
第6巻 p.304 ページ画像

集会録事  自明治二十四年一月至明治二十五年十二月  (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百二十三回定式会議録事 ○明治二五年六月一五日
次ニ会長○渋沢栄一ハ五十銭銀貨通用上便否ニ関シ大蔵省ヨリ諮問アリ、其要旨ハ五十銭銀貨ハ通用上必要ト認ムルヤ否ヤト云フニアリ、若シ必要ト認ムルニ於テハ云々、此事タル重大ノ問題ニシテ、咄嵯ノ間之ヲ議決スヘキニアラサレハ特別委員ヲ選ミ、充分之カ調査ヲ為シ以テ答申スルハ如何ト云ヒシニ、或ハ云、五十銭貨ハ流通上不便ナルニ付之レヲ廃スルニ如カス、之レニ反シテ紙幣ヲ便トスルノ説アリト雖、今日ノ貨幣制度上補助紙幣ハ存在セシムヘキモノニアラサレハ、寧ロ現存ノ五十銭及二十銭五銭銀貨ヲ廃シ、新ニ二十五銭銀貨ヲ鋳造スヘシトノ説モアリテ、之ヲ要スルニ特別委員ヲ選ミ之カ取調ヲ為スハ衆議同感ナルヲ以テ其特別委員ハ無記名公債一件取調委員タル五氏並三井銀行監事斎藤専蔵、安田銀行頭取安田忠兵衛ノ二氏ニ嘱托スヘキコトニ議決セリ
    ○第百三十四回定式会議録事
明治二十五年七月十五日、午後四時ヨリ同盟銀行第百二十四回定式会議ヲ開キ、渋沢委員長山中委員ヲ首メ来会スルモノ十七名ナリ
渋沢委員長ハ会長席ニ着キ、本年上半季当集会所収支決算ヲ報告シ、並ニ本年下半季収支予算ヲ協議ニ付シ原案ノ如ク可決セリ
次ニ大蔵省ノ諮詢ニ係ル五十銭銀貨通用便否ノ件ハ、前議ニ依リ去月二十二日及本月九日特別委員会ノ協議ニヨリ、復申書案ヲ起草シテ以テ日本銀行ノ意見ヲ問ヒシニ、異議ナキ旨回答アリシヲ告ケ、該案ヲ朗読セシメ尚之ヲ協議シ、異議ナク可決シタルニ因リ、昨年十一月日本銀行ヘ答申シタル補助貨幣聚散方法ニ関スル意見書ヲ添ヘ速ニ同省ヘ復申スヘキ事ニ議決セリ


銀行通信録 第八〇号・第七―九頁〔明治二五年七月二八日〕 当日 ○明治二五年七月一五日 議案 五十銭銀貨諮詢ニ対スル復申(DK060082k-0002)
第6巻 p.304-305 ページ画像

銀行通信録  第八〇号・第七―九頁〔明治二五年七月二八日〕
   当日 ○明治二五年七月一五日 議案
  五十銭銀貨諮詢ニ対スル復申
五拾銭銀貨改鋳ノ一案ニ付、過般御諮詢ヲ蒙リタル以来当集会所ハ再三同盟銀行会議ヲ開キ、審按商量ノ末更ニ府下多数両換商ノ意向ヲモ探究セシカ、帰スル処該貨幣ハ其ノ形容量目共ニ重大ニシテ、携帯上不便少ナカラサルヨリ、取引上一般之レヲ嫌忌スルヲ以テ、縦令今改鋳シテ聊カ其形ヲ小ナラシムルモ将来便利ノ流通ヲ得ル能ハサルモノ
 - 第6巻 p.305 -ページ画像 
ト思惟ス、且夫レ改鋳ノ新形ハ現ニ流通スル所ノ壱銭銅貨ト殆ント其径寸ヲ同フスルヲ以テ、他日却テ奸偽ノ弊竇ヲ開クノ恐レナシトセス故ニ当集会所ハ此改鋳ノ一案ニ付テハ、全ク之ヲ廃停セラレン事企望ノ至リニ堪ヘス
復申ノ提要ハ上文既ニ之レヲ略陳セリ、依テ当集会所ハ更ニ一歩ヲ進メ我邦補助貨幣ノ流通ニ付テ能ク将来ヲ観察シテ妥当ノ制ヲ講ズルハ営業上ノ本分タルヘシト信スルニヨリ、敢テ卑見ヲ左ニ上陳セントス抑モ明治十七年五月、第十八号布告ヲ以テ兌換銀行券条例ヲ公布セラレ、同十八年六月第十四号布告ヲ以テ政府発行ノ紙幣ハ同十九年一月ヨリ漸次銀貨ニ交換シテ之レヲ消却スヘキ旨ヲ命セラレ、爾来補助紙幣ノ流通高ハ次第ニ減却セラルヽノ今日ナレハ、其流通ノ跡ヲ市場ニ見ル能ハサルノ日ハ蓋シ速キニアラサルヘシ、依テ当集会所ハ我邦将来ノ補助貨幣ハ現在ノ弐拾銭・拾銭ノ二種ニ定メラレ、五拾銭銀貨ハ今日之レヲ改鋳セサルノミナラス、他日漸ヲ以テ弐拾銭及拾銭ニ改鋳シ、且五銭銀貨ノ如キハ其形容過小ニシテ流通上之ヲ不便トスルヲ以テ、併テ之レヲ改鋳セラレンコトヲ望ム
当集会所ハ更ニ又銅貨ノ幣制ニ付テ一言ヲ付添セン、現行ノ銅貨ハ二銭、一銭、五厘、一厘ノ四種ナルモ、白銅貨流通以後ハ前ニ上陳スル五銭銀貨ト二銭銅貨トハ併テ不便ノ貨幣タルノ観アルニ付、向後該銅貨ノ鋳造ヲ廃セラレ、且一厘銅貨ハ其形容過小ニシテ旧銅貨存在中ハ全ク無用ノ貨幣タルニ付、漸ク其跡ヲ市場ニ絶タンコトヲ企望ス
補助貨幣ノ品種ニ関スル意見ハ上来之レヲ詳陳スト云トモ、将来其流通ヲシテ常ニ円滑ナラシムルハ発行ノ適度ニ帰スヘキハ敢テ縷々ヲ要セサルヘシ、故ニ当集会所ハ曾テ補助貨幣交換ノ方法ヲ具シテ日本銀行ニ上陳セリ、依テ今其一本ヲ謄写シテ以テ御参案ノ資ニ供セント欲ス
右御諮詢ニ対スル復申ト共ニ当集会所ノ意見上陳仕候、幸ニ御採納ノ栄ヲ得ハ本懐ノ至ニ不堪候 謹言
              東京銀行集会所
                  委員長 渋沢栄一
  明治二十五年七月十六日
    大蔵省主計局長 松尾臣善殿
  ○明治二十四年十一月十六日ノ項参照。



〔参考〕銀行通信録 第八〇号・第四六―四七頁〔明治二五年七月二八日〕 大阪同盟銀行五十銭銀貨ニ対スル復申(DK060082k-0003)
第6巻 p.305-306 ページ画像

銀行通信録  第八〇号・第四六―四七頁〔明治二五年七月二八日〕
○大阪同盟銀行五十銭銀貨ニ対スル復申 大阪同盟銀行ハ六月七日、集会ノ上、五十銭銀貨通用上ノ諮問ニ対シ左ノ如ク回答セリト云フ
第一問 五拾銭銀貨ハ通用上必要ト認ムルヤ
同答 五拾銭銀貨ハ通用上必要ト認ム
右理由 現今金銭取引ニハ五拾銭紙幣ト弐拾銭以下ノ銀貨ヲ以テ受授上ノ便ヲ欠カスト雖トモ、五拾銭紙幣ハ漸次消却セラルヽヲ以テ、将来自然ニ必要ヲ感スルニ至ラン
第二問 五拾銭銀貨ハ今日ニ於テ欠乏ヲ感スルヤ
 - 第6巻 p.306 -ページ画像 
同答 前項ノ理由ニヨリ五拾銭銀貨ハ現今ニ於テ欠乏ヲ感セス
第三問 五拾銭銀貨ハ凡何程ノ流通高ヲ以テ適度ト認ムルヤ
同答 五拾銭銀貨ハ先ツ五拾銭紙幣ノ現今流通高ヲ以テ適度ト認ム
第四問 現行ノ五拾銭銀貨ハ其量目及径巨大ニ過キ、受授上不便ト認ムルヤ
第五問 現行五拾銭銀貨ノ品位ハ八百位ナレトモ、之ヲ九百位ニ改ムルトキハ、実価ヲ変スルコトナクシテ量目ニ於テ現行ニ比シ凡ソ九分ノ一ヲ減シ、壱銭銅貨ヲ少シ大キクナシタル程ノ新形ノ五拾銭銀貨ヲ造ルコトヲ得ヘシ、此新形ヲ採用シ発行スルヲ便利ト認ムルヤ
第六問 前項ヲ採用スルニ於テハ、新旧五拾銭銀貨混同流通上多少ノ不便アルヘキヲ以テ旧五拾銭銀貨ノ迅速改鋳ヲ必要ト認ムルヤ、将タ自然ノ磨損改鋳ヲ待チ差支ナシト認ムルヤ
同答 現行ノ五拾銭銀貨ハ、其重量ニ於テ別ニ受授上不便ヲ感セスト雖トモ新旧径ニ大小アリテ混同流通上多少ノ不便アルヲ以テ旧銀貨即チ径ノ大ナル分、新形(近年発行ノ分)ニ改鋳ヲ望ム