デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
6款 択善会・東京銀行集会所
■綱文

第6巻 p.465-471(DK060137k) ページ画像

明治32年9月1日(1899年)

納税ニ小切手使用ノ件ニ付キ大蔵省ニ請願ス。右ハ許可セラレザリシモ後、東京府下ニ於テ小切手代納制ノ実施ヲ見タリ。


■資料

集会録事 自明治二十六年一月(DK060137k-0001)
第6巻 p.465 ページ画像

集会録事 自明治二十六年一月  (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百九十四回定式集会録事○明治三二年七月一五日
次ニ諸納税ニ銀行小切手ヲ使用スルノ件ニ付、昨三十一年十二月東京商業会議所ヨリ大蔵大臣ヘ提出シタル建議書ヲ朗読シテ参考ニ資シ協議スル処アリシカ全会一致同情ヲ表シ、其書面ハ正副会長ニ委托シ早早同大臣ヘ申請スヘキ事ニ決シ○下略


銀行通信録 第一六六号・第一三五六―一三五七号〔明治三二年九月〕 納税に銀行小切手使用の儀に付請願(DK060137k-0002)
第6巻 p.465-466 ページ画像

銀行通信録  第一六六号・第一三五六―一三五七号〔明治三二年九月〕
  納税に銀行小切手使用の儀に付請願
東京銀行集会所にては、本年七月十五日開会の第百九十四回定式集会(銀行通信録第一六五号東京銀行集会所録事欄内参照)の決議に基き会長の名を以て本月一日左の請願書を松方大蔵大臣に提出せり
    納税に銀行小切手使用の議に付請願
 従来各人より政府に上納可致税金は現金に限り候様相成居候処、頻年経世百般の事物益々発達致し、随て現金取引の旧慣を改め手形取引の便利に移り候、今日政府納税に限り現金を要せられ候は官民共に無益の時間と手数とを徒消致候のみならず、又通貨を節するの途にあらざるべしと奉存候に付、海関税を除くの外諸納税には銀行宛小切手及銀行預金証にても差支なく御収納相成候様一般へ御公示被成下度、右銀行集会所組合銀行の決議に依り請願仕候間、何卒御採納の上至急御施行被成下度候也
 - 第6巻 p.466 -ページ画像 
  明治三十二年九月一日
                 東京銀行集会所会長
                       渋沢栄一
    大蔵大臣 伯爵 松方正義殿


集会録事 自明治二十六年一月(DK060137k-0003)
第6巻 p.466 ページ画像

集会録事 自明治二十六年一月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第二百三回定式集会録事
明治三十三年五月十五日午後五時ヨリ東京銀行集会所組合銀行第二百三回定式集会ヲ開キ来会シタル銀行三十六行其出席会員四十九名、是日渋沢会長遅参ニ付豊川副会長会長席ニ着キ、会議ニ先タチ左ノ諸件ヲ報告セリ
○中略
次ニ豊川氏ハ昨年八月当集会所ヨリ大蔵大臣ニ対シ従来納税ハ総テ現金ニ限ラレシモ、百事進歩信用発達ノ今日依然現金ヲ要スルカ如キハ甚タ不便ナルヲ以テ海関税ヲ除クノ外、納税ニ銀行小切手及銀行預金証収納ノ件ヲ稟請シ、又本年三月逓信大臣ニ対シ郵便為替同小為替ヲ当交換所ニ於テ決済シ得ルノ便ヲ開カス抔、此事柄タル信用ノ発達上又紙幣ヲ節スルノ道ニ於テ最モ必要ニシテ、之カ実行ハ決シテ兌換券保証準備ヲ拡張スルノ比ニ非サルカ故ニ、此際之カ実行ヲ期スル為メ両省ニ向テ更ニ充分ノ交渉ヲ為シタシト陳シタルニ、是又満場ノ同意ヲ得右交渉委員ニハ左ノ諸氏ヲ指名セリ
    渋沢会長   豊川副会長   池田謙三
    波多野承五郎  小川為次郎  園田孝吉
    三崎亀之助   以上
玆ニ於テ会長ハ閉会ヲ告ケ、晩餐ノ後九時散会セリ、当日出席者左ノ如シ
         第一銀行   渋沢栄一○外四九名氏名略


渋沢栄一 日記 明治三三年(DK060137k-0004)
第6巻 p.466 ページ画像

渋沢栄一 日記  明治三三年
五月十五日
六時銀行集会所ニ抵ル、散会後兜町ニ帰宿ス


銀行通信録 第一七五号・第八七一―八七二頁〔明治三三年六月〕 銀行通信録評議員会外二委員会(DK060137k-0005)
第6巻 p.466 ページ画像

銀行通信録  第一七五号・第八七一―八七二頁〔明治三三年六月〕
  銀行通信録評議員会外二委員会
明治三十三年五月十八日午後五時より銀行倶楽部に於て銀行通信録評議員会外二委員会を開会せり
○中略
  小切手を納税に使用する事及郵便為替を交換所に於て交換決済に関する交渉委員会
小切手を納税に使用する事及郵便為替を交換所に於て決済に関する交渉委員会に於ては、其交渉方面を左の如く分担することに決せり
 大蔵省  渋沢栄一 三崎亀之助  小川為次郎
 逓信省  豊川良平 波多野承五郎
 日本銀行 園田孝吉 池田謙三
 - 第6巻 p.467 -ページ画像 

渋沢栄一 日記 明治三四年(DK060137k-0006)
第6巻 p.467 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三四年
四月二十三日 曇
午後五時銀行集会所ニ抵リ、小切手納税ノ調査研究会ヲ開ク、梅、土方両法学博士、若槻、片山大蔵省書記官、豊川、池田其他ノ委員来会シ、種々討論ノ後大体ニ於テハ実施ヲ可トスルノ説多クシテ夜十時散会ス
五月十五日 曇
○上略此日午前大蔵省ニ抵リ、田尻氏ニ面会シテ小切手納税ノコト及大蔵省証券発行ノコトヲ談ス


銀行通信録 ○第二〇一号・第一〇三―一〇四頁〔明治三五年七月一五日〕 小切手納税に関する協議会(DK060137k-0007)
第6巻 p.467 ページ画像

銀行通信録
 ○第二〇一号・第一〇三―一〇四頁〔明治三五年七月一五日〕
    小切手納税に関する協議会
明治三十五年六月九日午後五時より東京銀行集会所に於て開会、交換所委員長代理豊川良平、佐々木勇之助二氏及市内十五区役所に於ける納税取扱銀行(十一行)代表者出席し、先づ豊川良平氏より小切手納税に関する大体の希望を述べしが、其要旨は小切手を市内十五区に於ける各種の納税に使用せしめ、之を交換所に於て交換することゝなさば、各取扱銀行は固より一般人民の利便尠からざるべきに付き、各銀行に於ても速に之を実施するの手段を執られんことを望むと云ふに在り、次に佐々木勇之助氏より小切手納税に関する細目の説明ありしか当日交換所より提出せる小切手納税の方法左の如し
 一小切手を以て諸種の納税を為さんとするものは東京市内各銀行(交換所組合銀行又は代理交換を託したる銀行に限る)に於て支払ふへきものに限るへき事
 一納税者は自身の振出したる小切手に納税金額を認め、可成二条の横線を為し、而して渡先は各区取扱銀行の名を記入すへき事
 一納税者は区役所より受取りたる徴税令書に小切手を添へ特に使を以て納付するか、又は郵便に附するも妨けなき事
  郵便にて之を納附し、其領収証を求むるものは封中に郵券三銭を封入し、領収証送附用の郵税に充つへき事
  或場合に依り小切手納税を謝絶し、又は支払保証を要することあるへき事
右に対し各銀行は何れも大体に於て賛同を表したるも、唯各銀行の納税取扱は東京府農工銀行の依託に係るを以て、之か実施に就ては先以て東京府農工銀行の同意を得るの要あるのみならず、其細目に就ても種々打合を為すの必要あるを以て、熟議の上確答を為すことゝなり午後八時散会せり

銀行通信録 ○第二〇六号・第九二九―九三〇頁〔明治三五年一二月一五日〕 小切手納税の端緒(DK060137k-0008)
第6巻 p.467-469 ページ画像

 ○第二〇六号・第九二九―九三〇頁〔明治三五年一二月一五日〕
    小切手納税の端緒
小切手納税の件に就ては去三十二年九月東京銀行集会所に於て決議の上、大蔵大臣へ建議する所ありしに当局者に於ても其趣旨には固より賛成なるも、唯だ不渡の小切手を出したる場合の処分方法に付名案なき為め未だ実行を見るに至らざりしが、其後東京交換所に於ては東京
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市内丈にても小切手納税の実行を謀らんとし、本年六月中同市十五区公金取扱銀行主任者を会して協議する所あり、当時来会者は概して賛同の意を表したるも、兎に角篤と協議の上何分の返答に及ぶべしとて散開し、爾後各銀行協議の末、一応公金取扱の責任者たる東京府農工銀行に謀り、該銀行より東京市庁へ交渉する所ありしも、未だ其要領を得ず、殆んど行脳《(悩)》の姿なるより東京交換所に於ては直接十五区公金取扱銀行を歴訪して現在納税取扱上の状況を聴取したるに、其間多少の異同はあれども各銀行とも既に小切手納税を実施しつゝあることを確めたり、今各銀行談話の要領を叙すれば左の如し
一麹町区、赤坂区(株式会社麹町銀行取扱)同行は自店小切手は勿論、他店小切手にても知名の人なれは故障なく収納しつゝありと雖も、未た広く其実行を見に至らす
一神田区、本郷区(株式会社万世銀行取扱)同行は得意先に向て熱心小切手納税を勧誘せし結果、近来次第に増加の傾きあり、又他店小切手にても確実なる見込あるものは之を収納しつゝありと雖も、区役所派出員の希望は甲乙同時に納税の場合に於て甲の小切手は収納し、乙は之を拒むが如きは取扱上心苦しき次第に付、可成一般に行はるゝ様致し度し云々
一日本橋区(株式会社日本通商銀行取扱)同行は自店小切手は勿論他店の小切手にても知名のものは法人と個人とを問はず総て之を収納しつゝあれども、得意先の多数は小切手を認むるを面倒に思ひ、現金を店頭に持参し納税方を依頼するもの尠からず、併し納税時季切迫の際抔に各種の貨幣を一々計算し、又は釣銭を出すが如きは公私の不便少からざるに付、成るべく小切手納税の途を拡張したし
 一京橋区(株式会社京橋銀行取扱)同行に於ても自店の小切手は勿論他店の小切手にても知名の人なれば故障なく収納しつゝあり、尚ほ益々之を拡張する筈なり
 一芝区(株式会社京浜銀行取扱)同行は納税に使用する小切手に不渡を出すが如きは万あるまじきことゝ信じ、自他を問はず大抵の小切手は故障なく収納しつゝあり
 一麻布区(株式会社明治商業銀行取扱)同行は本支店所在地隔絶せるを以て、自然本店の小切手を使用するものなく、又他店小切手を以て納税する人も甚た稀なれは、今日の所にては殆んど小切手納税の実なきも追々之を実行する筈なり
 一四谷区、牛込区(株式会社四谷銀行取扱)同行は得意先に向て熱心勧誘の結果、小切手納税者追々増加し、今や納税者の過半は小切手を以て納税する有様にて、尚ほ他店の小切手にても故障なく之を収納しつゝあり
 一小石川区(株式会社尾張屋銀行取扱)同行は同区大門町に支店を有し、自行の小切手は勿論、他店小切手にても著名の人なれば故障なく収納しつゝあり、但し同区内には当座取引の客筋少きが為め、現在の所には尚ほ小切手を使用するもの極めて少し
 一下谷区(合資会社下谷銀行取扱)同行にても自店小切手は勿論、
 - 第6巻 p.469 -ページ画像 
他店小切手にても知名のものは法人と個人とを問はず、故障なく之を収納し来りしも、其数尚ほ極めて少く、成るべく全市一定の申合の下に之を実行せんことを希望し居れり
 一浅草区、本所区(株式会社浅草銀行取扱)同行にても自店小切手は勿論、他店小切手に対しても成るべく広く収納して現金取扱の繁雑を省かんことを希望すれども、万一にも不渡のものありてはとの懸念にて、知名の人の外は容易に収納せざりしが自今漸次其範囲を拡張する筈なり
 一深川区(株式会社葛飾銀行取扱)同行も自店小切手は勿論他店小切手にても知名の人に限り故障なく収納しつゝありと雖も其数尚ほ甚た少し
以上叙述したる如く東京市内小切手納税の端緒は其取扱銀行の手心に依りて既に開かれたりと云ふべく、尤も今日の所にては尚ほ取扱銀行の得意先、若くは其銀行に縁故ある人々の間に過ぎずして、其範囲尚ほ狭少なれども各取扱銀行の注意に依りては漸次盛に行はるゝに至るべし
               (右東京交換所監事山中譲三氏調査)

銀行通信録 ○第二一〇号・第六四四頁〔明治三六年四月一五日〕 納税に小切手使用(DK060137k-0009)
第6巻 p.469 ページ画像

 ○第二一〇号・第六四四頁〔明治三六年四月一五日〕
    ○納税に小切手使用
納税に小切手使用の件に就ては昨年六月九日東京交換所に於て市内十区役所に於ける納税取扱銀行に向て協議する所あり、此結果該取扱銀行より東京市公金取扱銀行なる東京府農工銀行に交渉する所あり、同行は又之を東京市役所に稟申し、市役所にては又之を東京税務管理局に伺出でしに、交換所組合銀行に宛てたる小切手を使用することは差支なきことゝなり、大蔵省も亦異議なかりしが、斯くては納税取扱銀行中にも交換所に加入せざる銀行ありて範囲狭隘に失し、十分に実際上の便宜を期すること能はざるより更に代理交換銀行をも之に加ふることゝなり、右小切手不渡の場合は小切手の支払はれざる間は未だ納税義務完了したるものにあらず、従て不渡の場合には法律に依り滞納処分を行ふものとし、又右小切手に対し預金不足の場合は商法第四百八十四条第二項に「一部の支払ありたるときは所持人は此旨を為替手形(本条は小切手にも準用す)に記載し且其謄本を作り署名の後之を交附することを要す」とあるを以て預金残高だけを徴収し、不足せる分に対しては更に告知書を発送して差支なきも、実際交換所に於ては右の場合には全然不渡として処分せるを以て之に従ひ、又納税に使用する場合の小切手に限り厘位を用ふることとし、又呈示期日を経過せし場合其他に就ては東京府農工銀行に於て東京市に対し責任を負ふことゝなり、大蔵省に於ても之を認許することゝなりしに付き、東京市会の決議を経て之を実施することゝなりし由なり

銀行通信録 ○第二一一号・第七八八―七八九頁〔明治三六年五月一五日〕 納税に小切手使用(DK060137k-0010)
第6巻 p.469-471 ページ画像

 ○第二一一号・第七八八―七八九頁〔明治三六年五月一五日〕
    ○納税に小切手使用
東京市に於て納税に小切手使用の件を実行することゝなり、其規程案を市会の議に附する運となりしことは前号(六四四頁)に記せしが、四月十三日市会に提出せる規程案は左の如し
 - 第6巻 p.470 -ページ画像 
 第一条 左の条件を具備する小切手は之を市税及び市の徴収する国税の納付に使用することを得
  一 納税者自己の振出にして裏書なきこと
  二 支払人は銀行営業者にして東京交換所手形交換に加盟し、又は加盟者に交換を委託したるものなること
  三 東京市を支払地と定めたること
 第二条 前条の条件を具備する小切手と雖ども左に掲ぐるものは之を使用することを得ず
  一 振出日附より起算し二日を経過するもの
  二 税金額に対し手形金額の過剰又は不足するもの
  三 納附せんとする税の納期限内に呈示し得べき日数三日を存せざるもの、但市の定めたる休日は之を算入せず
 第三条 此規程に依り小切手を使用したる者の納税義務は手形金額の支払ありたる時に完了す、若し呈示期間内に其支払を求めざりしときは、呈示期間満了の時に於て納税義務は完了したるものと看做し、小切手に付ては商法第四百四十四条の権利を行ふ
 第四条 納税に使用したる小切手の支払人にして其手形金額の全部又は一部の支払を拒みたるときは其小切手は納税人に還付し、之に代るべき現金を納付せしむ、此場合に於ては納税人に交付したる領収証書は支払を受けざる全部又は一部に付き其効力を生ぜず前項の場合に於て納付せしむる現金は租税徴収に関する規定に依りて之を徴収す
 第五条 此規程は使用料其他市の収入に之を準用す
 第六条 此規程に依る納付は郵便逓送に付することを得ず
然るに右の規程案は市会に於て委員に附託せられ委員には左の諸氏当選せり
    関幸太郎 吉田幸作 仁科粂吉
    今井喜八 松永光吉
然るに委員会に於ては審議の末四月十六日該案を左の如く修正し、本月六日該修正案は市会を通過せり
 東京市納付金小切手使用規程左の通り之を定む
  第一条 市税及市の徴収する国税の納付に小切手を使用せんとするものは此規程に依るべし、但都合に因り其使用を拒むことあるべし
  第二条 納税に使用する小切手は左の条件を具備するを要す
   一、納税者自己の振出なること
   二、支払人は銀行営業者にして東京交換所手形交換に加盟し又は加盟者に交換を委託したるものなること
   三、東京市を支払地と定めたること
  第三条 前条の条件を具備する小切手と雖も左に掲ぐるものは之を使用することを得ず
   一、税金額に対し手形金額の過剰又は不足するもの
   二、振出日付より起算し二日を経過するもの
   三、納付すべき税の納期間内に呈示し得べき日数三日を存せざ
 - 第6巻 p.471 -ページ画像 
るもの、但市の定めたる休日は之を算入せず
  第四条 此規程に依り小切手を使用したる者の納税義務は手形金額の支払ありたる時に完了す、若し呈示期間内に其の支払を求めざりし時は呈示期間満了の時に始て納税義務は完了したるものと看做す
   (以下原案と同じ)
されば其実行を見るも遠きにあらざるべし

銀行通信録 ○第三七巻第二二二号・第五一八頁〔明治三七年四月一五日〕 東京府の小切手代納規程(DK060137k-0011)
第6巻 p.471 ページ画像

 ○第三七巻第二二二号・第五一八頁〔明治三七年四月一五日〕
    ○東京府の小切手代納規程
東京府にては今回小切手を以て府税其他府経済に属する一切の納付金に代用することを得せしむることゝし、三月二十八日の府令を以て左の規程を定めたり
 第一、府の経済に属する納付金を東京市所在の府金庫に納付するときは納人は此の規程に依り小切手を以て現金に代用することを得但府の都合に依り其使用を拒むことあるべし
 第二、小切手を以て現金に代用することを得るものは府税其他一切の収入とす
 第三、小切手は左の要件を具備するにあらざれば之を使用することを得ず
  一 納人自己の振出なること
  二 小切手金額の受取人は当該府金庫なること
  三 小切手記載金額の納付金額と同一なること
  四 振出日附より起算し二日を経過せざること
  五 納付すべきものゝ納期限内に呈示し得べき日数少くも三日を存すること、但し一般休日は算入せず
  六 支払人は銀行営業者にして東京交換所手形交換に加盟し又は加盟者に交換を委托したるものなること
  七 東京市を支払地と定めたること
 第四、小切手を使用したる者の納税若は納入義務は手形金額の支払ありたる時に終了す、但し府に於て呈示期間内に其支払を求めざりしときは呈示期間満了の時に納税若は納入義務は終了したるものと看做す
 第五、小切手の支払に於て其の金額を全部若は一部の支払を拒みたるときは、其の小切手は納人に還付し支払を受けざる金額に付ては始より小切手使用の納付なかりしものと看做す、此の場合に於て先に納人に交付せし領収証書は其支払を受けざる金額に付ては無効とす
 第六、前条の場合に於ては納人は再び其の納付金に対し小切手使用の納付をなすことを得ず
 第七、小切手使用による納付は郵便に附することを得ず