デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
7款 金融関係諸団体 2. 関東銀行会
■綱文

第7巻 p.149-153(DK070020k) ページ画像

明治27年4月13日(1894年)

是日関東銀行会第二回定式会議開カレ、栄一会長
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トシテ銀行条例ノ改正、貯蓄銀行条例廃止ノ件、国立銀行営業期限延期請願ノ件、関東銀行懇親会開催ノ件、国立銀行発行紙幣抵当公債振替ノ件等ニ付キ協議ス。


■資料

銀行通信録 第一〇二号・第一九―三二頁〔明治二七年五月一〇日〕 関東銀行会第二回会議録事(DK070020k-0001)
第7巻 p.150-153 ページ画像

銀行通信録  第一〇二号・第一九―三二頁〔明治二七年五月一〇日〕
    ○関東銀行会第二回会議録事
明治廿七年四月十三日東京日本橋区阪本町東京銀行集会所ニ於テ、第二回関東銀行定式会議ヲ開キ同十四日閉会セリ、而シテ当日来会シタル銀行ハ総テ四十八行ニシテ其人員六十七名、但事故アリテ欠席シタルモノ五行ナリ、爰ニ会議ノ要領ヲ録スル左ノ如シ
    出席人名
     東京第一国立銀行 頭取 渋沢栄一 ○外氏名略
十三日午後二時二十分開会一同着席、幹事第一国立銀行頭取渋沢栄一氏ハ会長席ニ着キ、第二回定式会議ヲ開ク旨ヲ陳ヘ前季中本会ノ経費ヲ報道セリ
 一金弐拾円〇六銭 自明治二十六年十月至同廿七年四月開会 経費
  是ヲ組合銀行五十一行ニ割合一行出金高金参拾九銭三厘四毛
又本会ノ庶務ヲ東京銀行集会所ヘ委托シタルニ付、同所職員ヘ前季間ノ報酬ヲ為サヾルヘカラサレハ、一行金壱円ツヽ出金シ此内ニテ経費ヲ支払ヒ、残余ヲ以テ之ニ充ツルモノハ如何ト協議セシニ異議ナク之ニ可決セリ
次ニ富山第十二国立銀行、高田第百卅九国立銀行、東都家寿多銀行、遠州山ノ内銀行ヨリ本会ヘ加入申込ニ付其許否ヲ協議ニ付セシニ皆異議ナク加入ヲ承諾スヘキコトニ議決セリ、(但第十二国立銀行、東京支店ハ当時本会ノ組合ニ列スルヲ以テ本店加入ノ上ハ支店退会ノ事)
次ニ規程第四条ニ拠リ幹事銀行改選投票ヲ執行セシニ、従前ノ三行高点ニテ各重任ヲ承諾セリ
    四十二点    第一国立銀行
    三十三点    第十五国立銀行
    二十九点    第三国立銀行
次ニ昨年十月本会ニ於テ議決シタル銀行条例修正及貯蓄銀行条例廃止法律案ハ、其十一月二十日幹事銀行ヨリ渡辺大蔵大臣ヘ稟請、尋テ帝国議会ヘ建議準備ノ為メ銀行者選出衆議院議員ヘ協議シタルニ、銀行条例第五条削除ニ付テハ固ヨリ賛成ナリシモ、第六条営業時間午前十時ヨリ午後四時迄トアルハ本邦旧来ノ慣例ニ背馳シ一般取引上大ニ不便ヲ来スヘケレハ、之ヲ午前九時ヨリ午後三時迄ト改ムヘシトノ説アリ、依テ此一項ヲ追加スヘキコトト為シ、松田源五郎氏等ニ托シテ其建議ヲ衆議院ヘ提出セシニ異義ナク同院ヲ通過シ、貴族院ヘ廻付アリシ折柄議会停会ニ逢遭シ、次テ又衆議院解散ノ為メ遂ニ其望ヲ達スルニ至ラサリシハ甚ダ遺憾トスル処ナリ
又貯蓄銀行条例廃止法律案モ亦前項衆議院議員、並ニ京浜間貯蓄銀行専門諸氏ニ協議シタリシ其第四条第五条第六条払戻保証ノ制限並預金運用ノ方法ニ修正ヲ加ヘ、該条例ヲ存シ置タシトノ説ニ帰着セリ、要
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之其精神ハ本会ノ意思ト大差ナキヲ以テ、之ニ同意ヲ表シ前項同様衆議院ニ提出シタリシカ、間モナク同院解散ノ為メ是又画餅ニ属シタリ然レトモ此二条例案ハ政府モ敢テ不同意アルニアラスシテ又当時ノ議員モ反対ノ模様見ヘサリシ、依テ今回ハ貴族院ヘ提出シテハ如何トノ説ヲ為スモノアリ、或ハ却テ良結果ヲ得ルモ測ラレサルナリ
渡辺治右門氏(第廿七国立銀行頭取)曰、今回ハ会期短カケレハ反テ貴族院ヘ提出セシ方宜シキヤモ知レス
豊川良平氏(第百十九国立銀行頭取)曰、今一応該修正案ヲ調査シ、且今回ノ議会ヘ提出スヘキヤ又ハ次期ニ提出スルヤハ幹事銀行ニ委托シテハ如何
山中隣之助(第三十二国立銀行取締役)曰、昨年本会ニ於テハ貯蓄銀行条例ヲ廃止スヘキコトニ決議シ、此修正案ハ本会ノ意ニアラサレハ一応之ヲ議場ニ問ヒ更ニ議決アランコトヲ望ム
会長曰、山中君ノ説ノ如ク昨年本案ニ付テハ修正廃止ノ二派ニ分レ、結局全廃説多数ナルヲ以テ遂ニ廃止ニ決シタリシカ、同業者選出ノ衆議院議員中ニハ、修正説ヲ可トスルモノ多キヲ以テ之ニ従ヒ衆議院ヘ提出シタル理由ナリシカ各位ノ意見ハ如何
中沢彦吉氏(第八十四国立銀行頭取)曰、其頃貯蓄銀行条例廃止案ニ付政府ノ意向ヲ聞知セシ事アリシカ、仮令関東銀行会ヨリ両院ヘ提出シテ都合能ク通過スル事アルモ、政府ハ該条例ヲ廃スルハ断シテ不同意ナリトノ趣ナリシヲ以テ遂ニ修正ニ決シタル所以ナリ
豊川良平氏(第百十九国立銀行頭取)曰、既ニ昨年衆議院議員ノ内並ニ貯蓄銀行者間ニ於テ種々調査ニ尽力セラレ、且政府ニ於テモ之ヲ廃スルハ不同意ナリトノ意向既ニ明瞭ナレハ今後ノ措置ハ幹事銀行ニ一任シ、時機ヲ見テ提出ノ手続ヲセラレテハ如何
会長曰、豊川君ノ説ニ異議ナケレハ該条例案ヲ本会ノ意見トナシ、而シテ之ヲ提出スルハ議会ノ模様ニ依リ今期トナスカ、又ハ次期トナスカハ幹事ニ一任セラレテ差支ナキヤト問ヒシニ、衆皆同意ヲ表シ之ニ可決セリ
次ニ会長ハ国立銀行営業満期ニ至リ国立銀行条例第十二条ニ拠リ私立銀行トナリ営業ヲ継続ヲ継続スヘキ件ハ昨年十月第一回会同ニ於テ詳細縷陳シタリシカ、尚営業延期請願ヲ為スヘシトノ説之アリ種々討議ノ末、結局政府ヨリ第五議会ニ提出セラルヘシトノ事ナレハ暫ク其成行ヲ窺ヒ、万一政府ヨリ提出ノ模様ナキトキハ臨時会同ヲ開キ更ニ協議スヘキコトニ決シタル事ハ既ニ諸君ノ記憶セラルノ処ナルヘシ、故ニ小子ハ爾来数回大蔵大臣ニ面謁屡々其模様ヲ問ヒタルニ、昨年十二月初旬ニハ已ニ閣議モ了リタルヲ以テ今ハ只提出ノ時機ヲ俟ツノミナリト明言セラレタリシカ、不幸ニシテ議会解散ノ為メ遂ニ提出ニ至ラサリシ依テ又タ同大臣ニ面謁シテ曰ク、前ニ該案ハ第五議会ニ必ス提出セラルヘシト明言セラレタルヲ以テ小子ハ偏ニ閣下ノ言ヲ信シ既ニ関東銀行会ニ於テ之ヲ報道シ暫ク其模様ヲ待ツヘキ事ニ決議シタリシカ、第五議会遂ニ其提出ヲ見ルニ至ラスシテ解散セラレタレトモ今後如何ニ処分セラルヘキヤヲ尋ネタリシニ第五議会解散ノ為メ之ヲ果サザリシガ第六議会ニハ断然提出スヘシト尚明言セラレタリ、右ノ如キ
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事情ニ由リ荏苒今日迄経過シタリシハ頗ル遺憾ノ事ナリト雖、事実已ムヲ得サルニ出デタレハ暫ク第六議会開会ヲ待タレンコトヲ希望ス
飯島保作氏(第十九国立銀行支配人)今回ノ議会ハ極メテ短期ナレハ仮令該案ヲ提出セラルヽモ果シテ通過スヘキヤ否モ知ルヘカラサルヲ以テ、大蔵大臣ノ処置如何ニ関セス進ンテ貴衆両院ヘ営業延期ヲ請願スルコトト為シ大ニ運動シテハ如何
会長曰、昨年十月第一回ノ会議ニ於テ其議アリシトキ小子ハ従来ノ事由ヲ詳カニシ、暫ク主務省措処ノ模様ヲ待ツ方得策ナラント述ヘ、之ヲ会議ニ謀リ已ニ前項ノ如ク決シタリシモ、不幸ニシテ議会ノ解散ニ遭遇シ遂ニ提出ニ至ラサリシハ誠ニ止ムヲ得サルナリ、然シ今日多数ノ希望ヲ以テ之レカ運動ヲ為サントナレハ小子ハ強ヒテ前説ヲ主張セサレトモ本件タル頗ル重要ノ問題ナレハ須ク熟慮セラレンコトヲ要ス
佐竹作太郎氏(第十国立銀行頭取)曰、営業延期タル我々銀行者ニ頗ル利益ナルヲ以テ果シテ出来得ヘクンハ甚タ望ムヘキコトナリト雖、到底能ハサル事ナレハ小子ハ渋沢君ノ説ニ従ヒ、暫ク其時期ヲ俟タンコトト欲スルナリ
南条新六郎氏(第四十国立銀行頭取)曰、前会ニハ小子モ延期説ナリシカ、本件ニ付テハ数年来渋沢君ノ尽力アリテ将ニ其機熟サントスル今日ニ臨ミ、再ヒ延期案ヲ提出スルカ如キハ少シク軽忽ニ渉ルヲ以テ前会決議ノ如クアランコトヲ望ム
会長曰、小子カ奔走スルノ故ヲ以テ斟酌セラルヽカ如キハ頗ル迷惑ノ事ナルヲ以テ営業延期案ニ運動セラヽルハ随意ナリ、但第五議会ニ提出ナカリシハ実ニ止ヲ得サル結果ニシテ如何トモ為ス能ハサルモノナレトモ、万一今回ノ議会ニモ提出ナクシテ緩慢経過セラレ国立銀行営業満期ニ至リ、百三十有余ノ銀行踵ヲ接シテ解散スルカ如キニ至ラハ此金融社会ニ何如ナル劇変ヲ生セシムルモ知ルヘカラサルヲ以テ我々カ斯ク奔走苦心スル処ナリ、然ルニ政府カ更ニ之ヲ顧ミサルカ如キ事アラハ最早猶予スヘキニアラサルヲ以テ我々モ共ニ協力運動スヘシト雖、今日ハ未タ斯迄切迫セシモノニアラサルナリ
吉田忠右衛門氏(第卅六国立銀行副頭取)曰、営業延期ハ到底望ムヘカラサル事柄ナルヲ以テ渋沢君ニ委托シ暫ク其成行ヲ待ツモノハ如何
飯島保作氏(第十九国立銀行支配人)曰、能ハストシテ之ヲ実行セサレハ到底其望ヲ達スルノ期ナキヲ以テ、全国々立銀行挙テ運動尽力セハ必スシモ断念スヘキニアラス、若シ此延期案ニシテ通過セハ事ニ害ナキノミナラス日本銀行ノ恩恵ヲ被ムルニモ及ハサルナリ
山中隣之助氏(第卅二国立銀行取締役)曰、今回ノ議会ハ会期僅カニ二十一日間ニシテ到底此間請願書ヲ提出シ其通過ハ望ムヘカラス、而シテ之カ運動ヲナスカ如キハ国立銀行ノ利益ハ左ルコトナカラ、日本銀行ノ感情ヲ害シ恰モ敵ヲ増スノ嫌アレハ暫ク之ヲ待タレンコトヲ望ム
豊川良平氏(第百十九国立銀行頭取)曰、明治九年米国ノ制ニ傚ヒ国立銀行条例ヲ制定セシ当時ハ、政府モ二十年後ニハ此営業ヲ継続セシムルノ考ナリシカ、十六年条例ノ改正ニヨリ紙幣消却法ヲ制定セラレシカ、爾来時勢ノ変遷ニ依リ公債証書価格騰貴並ニ利子低落等ノ為メ該消却法ニ違算ヲ生シ遂ニ今日ニ至リシナリト雖、二十二年始メテ小
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子カ銀行ニ従事セシ頃ハ既ニ渋沢君等本件ニ付大ニ苦心配慮セラレタルニモ拘ハラス、未タ其効果ヲ収ムルニ至ラサリシハ実ニ遺憾トスル処ナリ、然レトモ此延期案タル難キカ為メニ敢テセサルニアラスシテ能ク其条理ニ適合スルヤ又該延期法案カ経済上如何ナル影響ヲ生スルヤモ篤ト熟慮ヲ要セサルヘカラサレハ、暫ク其成行ヲ待チテハ如何
会長曰、要スルニ多数ノ意見ニ拠ルノ外アラサレトモ、暫ク第六議会ノ成行ヲ窺ヒ然ル後協議シテハ如何、衆皆之ニ同意ヲ表シ遂ニ前会ノ決議ニ従フヘキコトニ決セリ
次ニ毎年花候東京同盟銀行ハ懇親会ヲ開キ日本銀行総裁理事並同行各局長等ヲ招請シテ懇談スルノ例アリシカ、本会創設ノ上ハ会後一日杯酒ノ間懇話ヲナスモ亦可ナルヘキヲ以テ、東京同盟銀行ニ於テハ已ニ来ル十五日向島八百松楼ニ於テ開宴、日本銀行諸氏ヘモ按内シ既ニ其準備ヲ為シ置キタリシカ、若シ諸君ニシテ之ニ同意セハ更ニ関東銀行懇親会ニ振替ユヘシト之ヲ会員ニ協議セシニ皆之ヲ望ミタルヲ以テ、当日午後四時八百松ニ参集スヘキコトト為シ、且今後モ春季開会ノ際ハ日本銀行諸氏ヲ招請シ秋季ハ組合銀行ニ止ムヘキコトニ議決セリ
次ニ佐竹作太郎氏(第十国立銀行)ヨリ提出ニ係ル国立銀行紙幣ヲ兌換銀行券ニ交換ノ一案ヲ報道シ、且曰本件ハ既ニ去ル十九年東京銀行集会所ヨリ大蔵大臣ヘ稟請シタルコトアリシカ、当時詮議ニ及ヒ難シトノ指令アリテ其儘経過セシカ、本案タル紙幣整理上頗ル必要ノ事柄タルヲ以テ幹事銀行ニ於テ取調追テ協議スヘキ事ト為セリ
次ニ頃日東京同盟銀行ハ、銀行支店支配人訴訟能力有無ノ件並ニ送金手形公示催告及除権判決疑義ノ件ニ付、之カ研究中ナルコトハ既ニ新聞紙ニ拠リ承知セラルヽ処ナルヘシト雖、本件タル営業上頗ル利害アルヲ以テ右両件定案ノ上ハ参考ノ為メ之ヲ通報スヘキ旨報道セリ
次ニ其十四日奥沢喜十郎氏(第十四国立銀行)ヨリ提出ニ係ル、国立銀行発行紙幣抵当公債振替ノ件並ニ稲荷山第六十三国立銀行提出諸預リ金準備廃止ノ件ニ付協議スル処アリシカ、熟考ノ上追テ再議スヘキ事ニ決シ、夫ヨリ更ニ談話会ヲ開キ午後五時閉会セリ