デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
1節 銀行
7款 金融関係諸団体 2. 関東銀行会
■綱文

第7巻 p.153-159(DK070021k) ページ画像

明治27年5月22日(1894年)

是日国立銀行営業満期善後策ニツキ臨時会議ヲ開キ政府トノ交渉委員ヲ決ス。栄一委員ニ選バレタルヲ以テ六月五日全国国立銀行交渉委員会ニ出席シ、会頭ニ推サレ、六・七両日ニ亘リ引キツヅキ、営業延期衆ヲ協議ス。


■資料

銀行通信録 第一〇三号・第一九―三〇頁〔明治二七年六月一〇日〕 関東銀行会臨時会議要略(DK070021k-0001)
第7巻 p.153-157 ページ画像

銀行通信録  第一〇三号・第一九―三〇頁〔明治二七年六月一〇日〕
    ○関東銀行会臨時会議要略
五月廿二日東京日本橋区坂本町東京銀行集会所ニ於テ関東銀行会(私立銀行ヲ除ク)臨時会議ヲ開キ同廿三日閉会セリ、当日来会シタル銀行ハ総テ四十四行ニシテ其人員五十一名但事故アリテ欠席シタルモノ三行ナリ、爰ニ会議ノ要領ヲ録スル左ノ如シ
 - 第7巻 p.154 -ページ画像 
    出席人名
     東京第一国立銀行 頭取 渋沢栄一 ○外氏名略
幹事第一国立銀行頭取渋沢栄一氏ハ会長席ニ着キ、本日臨時会議ヲ要シタルハ国立銀行営業満期善後策ノ件是ナリ、抑本件ハ昨年来種々討議ヲ尽シタルニ、結局第五議会ニハ私立銀行トシテ其営業ヲ継続スルノ法案ヲ政府ヨリ提出セラルヘシトノ事ナルヲ以テ、之ニ従フヘキコトニ決議セシカ、不幸ニシテ第五議会解散ノ為メ遂ニ本案ノ提出ヲ見ルニ至ラサリシヲ以テ、本年四月十三日定式会議ニ於テ之ヲ再議シ、或ハ営業年限ノ延期ヲ請願スヘシトノ説アリシカ、第六議会ニハ必ス政府ヨリ提出セラルヘキ旨大蔵大臣ヨリ明言セラレタル程ナレハ、暫ク其成行ヲ待ツヘキコトニ決議シ、果シテ該案ハ今回ノ議会ニ提出セラレタリ
然ルニ頃日九州中国四国同盟銀行ハ、営業延期請願ヲ為スヘキコトニ決シ委員数名ヲ上京セシメ、本会ヘモ相共ニ提携シテ一致ノ運動ヲ為サンコトヲ要請アリシカ、本会ハ已ニ前会決議ノ次第モアレハ目下ノ場合同意シ難キ旨返答セリ、然ルニ本月十八日右両団体交渉委員長崎第十八国立銀行頭取松田源五郎、宇土第百三十五国立銀行上羽勝衛両氏ヨリ本会幹事ニ面談ヲ要求アリシヲ以テ、幹事銀行三名接見シタルニ、九州、四国中国其他各地同業者ハ去ル十五日大会ヲ開キ種々決議スル処アリシカ、今回政府提出ノ処分法案ニシテ無事両院ヲ通過セハ敢テ異議ナシト雖、万一今期中本議ニ上ラサルカ若クハ否決セラルヽカ如キ場合ニ至ラハ、関東銀行会ハ如何ニ処理スルノ決心ナルヤ、国立銀行営業満期モ已ニ切迫シアレハ今日ニ於テ其予備案ヲ講スルハ甚タ急務ナルヘシト考フレハ、爰ニ関東銀行会前途ノ意見ヲ承知シ全国同業者一致ノ方針ヲ定メンコトヲ希望ス、故ニ若シ其確定ナケレハ至急協議ノ上何分ノ回答ヲ請フトノコトナリシ、元来本件ニ付前途ヲ苦慮スルハ至極同感ナレトモ、本会ハ右処分法案ニ依リ処理センコトヲ望ムモノナレハ未タ予備案トシテ決議シタルモノナシ、故ニ自然該案ノ通過セサル事アラハ更ニ会同協議ノ上前途ノ方策ヲ定ムヘキコトニ決議シアレハ、速ニ臨時会同ヲ開キ何分ノ挨拶ニ及フヘキ旨ヲ答ヘ置キタリト其交渉ノ概要ヲ叙シテ臨時会招集ノ理由ヲ詳述シ、而シテ本日協議ノ要旨ハ万一政府提出ノ法案成立セスシテ、本会ノ希望ヲ達スル能ハサル場合ニ至リ俄カニ他ノ方案ヲ講スルハ大ニ時機ヲ失スルノ恐レアレハ、爰ニ其予備案ヲ定ムルニ在リ故ニ其協議ノ順序ハ概ネ左ノ如クナルヘシ
 一国立銀行営業満期善後策予備案ヲ定ムル事
 一予備案ヲ決定セハ引続全国々立銀行大会ヲ開キ其順序方法ヲ評議スルカ又ハ各国体ヨリ交渉委員ヲ選出シ其委員会同ニ於テスルカ
 一前二項決定ノ上ハ直ニ九州、中国四国交渉委員ニ確答スル事
会長曰、協議ノ要件ハ大略此ノ如クナレトモ、処分法案ニシテ無事両院ヲ通過スルヲ得ハ営業満期ニ至リ消却未済ノ紙幣ハ元資積立金(二分五厘金)ヲ以テ一時ニ消却シ、尚不足ノ分ハ日本銀行ヨリ無利息ニテ兌換券ヲ借入レ、之ヲ以テ政府ニ消還シ而シテ日本銀行ヘノ返済方法ハ、営業ヲ継続シタル私立銀行ヨリ従前ノ振合ヲ以テ半季一歩二厘
 - 第7巻 p.155 -ページ画像 
五毛ヅヽ消却スル事トシ、其散失ニ属スル紙幣ハ報償トシテ日本銀行ノ所得ニ帰セシムル内約ナリシカ、此散失紙幣ノ所得ニ付テハ近時又一ノ論議ヲ生シ、或ハ国家ノ有ニ帰スルヲ妥当ナリトノ説大ニ勢力アルカ如クナレハ、自然日本銀行ノ所得タルヲ得サルニ至ルモ、同行ハ前約ヲ重ンシ決シテ違変スルコトナシト云ヘハ、本会希望ノ如ク該法案通過セハ国家経済上又ハ幣制整理上ヨリ云フモ極メテ至当ノ方法ナルヘシト信スルヲ以テ為念爰ニ一言ス
飯島保作氏曰、本会既ニ処分法案ニ対シ再応議決シアレハ今日ハ之ニ反対セサレトモ、万一両院ヲ通過セサレハ延期ノ外ナカルヘシ、且此際全国々立銀行大会ヲ開クハ繁雑ニ渉リ、殊ニ九州中国四国同業者ハ已ニ意見確定シアルカ如クナレハ、本会ノ意見ヲ定メ委員ヲ選定シ交渉シテ可ナルヘシ
天野清助氏曰、九州、中国四国同盟銀行交渉ノ主意ハ会長ノ詳報ニヨリ領意セリト雖、自然処分法案審査央ニシテ閉会スルカ如キ場合アリタルトキハ直ニ延期ニ決スルノ意ナリヤ
会長曰、然リ
小出八郎右衛門氏曰、九州、中国四国両団躰モ処分法案ニシテ無事通過セハ敢テ異存ナシトノコトナレハ、本会ハ昨年来ノ議決ニ基キ飽迄之カ通過ニ尽力センコトヲ切望ス、蓋シ議会モ亦決シテ之ヲ否決セサルヲ信ス、如何トナレハ国立銀行条例第十二条ハ即チ私立銀行ニ継続ヲ許スノ明文アリ、只条例起草ノ当時未タ緻密ノ法律ヲ要セサリシヲ以テ欠点アリ、故ニ今日之ヲ補足スルハ実ニ已ヲ得サル理由ナリ、然ルニ未タ其成否ノ決セサルニ予備案ヲ議スルハ反テ通過ヲ妨クルニ似タレハ、前会決議ノ通リ処分法案ノ通過運動ニ尽力センコトヲ望ム
南条新六郎氏曰、九州、中国四国等ニ於テ延期ヲ希望スルニ際シ、本会カ処分法案ノ通過ニ尽力スルカ如キハ東西相争フノ姿ヲ呈シ甚タ好マシカラス、就テハ本日開会前東京同盟銀行諸君ノ会同アリト聞ケハ其際本件ニ付何カ内議アリシヤ
会長曰、其会同ノ意見一様ナラスト雖トモ要之処分法案ノ通過ヲ望ムハ皆同論ナリ、然レトモ九州、中国四国等ノ注意モ亦必要ナレハ、万一処分法案否決スルカ如キ事アラハ止ヲ得ス延期ニ決スルノ外アラサルヘシトノ事ナリ
上野貞輝氏曰、延期又ハ継続ト云フモ均シク国立銀行ノ前途ヲ憂慮スルニ過キサレハ、万一否決スルカ如キコトアラハ予備案トシテ之ヲ協議スルハ不可ナカルヘシ
南条新六郎氏曰、東京同盟銀行ノ意見ハ今回ノ議会ニ於テ、若シ否決若クハ他ノ故障ニヨリ本会期ヲ経過セハ第七議会ヲ待タスシテ直ニ延期ニ決スルノ意ナリヤ
会長曰、然リ
小出八郎右衛門氏曰、只今会長答弁ノ如クナレハ最早当議会ノ余日僅カ旬日ニ過キサレハ、暫ク其成行ヲ窺ヒ愈通過セサルトキ之カ決議ヲ為スモ未タ晩シト為サヽルナリ
三輪信次郎氏曰、第六十三銀行ハ予備案ヲ講スルニ反対ナレトモ今日決スル所ナケレハ、第九議会ニハ最早第一国立銀行外数行ハ満期トナ
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ルナリ、且本日特ニ会同ヲ開キタルモ必竟急議ヲ要セサレハ時機ヲ失スルノ恐アルノミナラス、目下多数ノ同業者都下ニ集リタルカ如キハ又容易ニ得ヘカラサルノ時機ナレハ、予備案ヲ定メ前途協力一致ノ運動方法ヲ講スルヲ急務トス
山中隣之助氏曰、第六十三銀行ノ説ハ道理上尤ナレトモ、既ニ九州、中国四国同盟銀行ヨリ最前照会ノ節幹事ハ前会ノ決議ヲ重ンシ同意セサリシカ、万一否決ノ場合ニ当リ第二ノ方針ハ如何トノ交渉ニ対シテハ定案ナカルヘカラス、況ンヤ今日議スル所予備案ナレハ決シテ処分法案ノ通過ヲ沮礙スルノ恐ナシ
会長曰、大概討議モ尽キタル如クナレハ採決スヘシ、即チ其大旨ハ昨秋及今春ノ決議ニ基キ処分法案ニ拠リ善後策ヲ完了センコトヲ希望スト雖、万一両院ノ内ニテ否決スル歟、若クハ委員付托ノ儘本議ニ上ラサル如キコトアラハ止ヲ得ス予備案トシテハ、営業年限ヲ延期スルコトト為シ、其順序方法ハ全国同業者協力一致シテ之ヲ施為スル事
全国同業者協議ノ方法ハ各団体ニテ凡二十名ノ委員ヲ選出シ、其交渉ニ於テ諸般ヲ決定スヘキ事之ニ賛成スルモノハ起立スヘシト告ケシニ、一名ノ外皆同意ヲ表シ之ニ可決セリ
依テ会長ハ直ニ、九州、中国四国両団躰委員ヘ決議ノ要旨ヲ以テ交渉シ、其交渉ノ模様ニヨリテ更ニ会議ヲ要スヘケレハ明日引続開会スヘキ旨ヲ告ケ同六時三十分閉会セリ
翌廿三日午後一時開会
渋沢氏ハ会長席ニ就キ報シテ曰、昨日議決ノ要旨ヲ以テ九州、中国四国同盟銀行委員ヘ回答シタルニ、総テ本会ノ決議ニ同意シ、該委員ヨリ本日更ニ左ノ事項ヲ照会セリ
 一各団躰ヨリ各三名ノ委員ヲ撰挙シ左ノ事項ヲ処分セシムル事
 一営業延期要求ニ関スル方法順序ヲ定ムルコト
 一延期ノ年限ヲ定ムルコト
 一延期ニ関シ日本銀行ノ被ムルヘキ損害ヲ避ケシムルノ方法ヲ講スルコト
 一紙幣消却ニ関スル善後策ヲ講スルコト
 一右ニ関スル通常費用ハ適宜支弁スルコト
右ニ付本会ハ左ノ如ク議決シテハ如何トノ意見ヲ述ヘ、一同異議ナク之ニ決定セリ
    決議要項
関東銀行会(私立銀行ハ是ヲ除ク)ヨリ五名ノ委員ヲ撰挙シ、左ノ事項ヲ処理セシムル事
 一営業年限延期請願ニ関スル方法順序ヲ定ムル事
 一延期ノ年限ヲ定ムル事
 一延期ニ関シ日本銀行ノ被ムルヘキ損害ヲ避クルノ方法ヲ講スル事
 一紙幣消却ニ関スル整理方法ヲ講スル事
 一前数項ノ方法各団体ノ委員会ニ於テ協議決定セハ全国各国立銀行ヲ代表シテ其筋ヘ請願又ハ尽力スル事
 一必要ノ場合アラハ全国各国立銀行ノ大集会ヲ招集スル事
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 一右数項ノ取扱ニ関スル費用ハ委員ニ於テ適宜支弁シ追テ其賦課法ヲ設ケ決算報告ト共ニ之ヲ各国立銀行ヨリ徴収スル事
次ニ会長ハ投票ヲ以テ委員選定ヲ告ケシカ現在ノ幹事即第一、第三、第十五、三行ノ外更ニ二行ヲ幹事協議ノ上指名アリタシト望ミ遂ニ第百、第三十二東京支店ノ二行ヲ推挙シ左ノ通リ之ヲ選定セリ
    第一国立銀行    第三国立銀行
    第十五国立銀行   第百国立銀行
    第卅二国立銀行東京支店
爰ニ於テ会長ハ閉会ヲ告ケ午後三時下退会セリ


銀行通信録 第一〇三号・第三〇―三五頁〔明治二七年六月一〇日〕 全国国立銀行交渉委員会要略(DK070021k-0002)
第7巻 p.157-159 ページ画像

銀行通信録  第一〇三号・第三〇―三五頁〔明治二七年六月一〇日〕
    ○全国国立銀行交渉委員会要略
六月五日午前十時下ヨリ、全国国立銀行交渉委員会第一回ヲ東京銀行集会所ニ開キ来会シタルモノハ
       関東銀行会委員       渋沢栄一
       同             安田善四郎
       同             山中隣之助
       同             池田謙三
       同             三輪信次郎
       関西同盟銀行委員      金沢仁兵衛
       同             桂正芳
       九州銀行同盟会委員    松田源五郎
       同            上羽勝衛
       同            堀部直臣
       同            沢村大八
       同            小河久四郎
       中国四国同盟銀行委員   永田伴正
       同            安田幸正
       同            鎌田房次
       同            森一馬
       同            滝口千之
       名古屋同盟銀行委員    山内正義
       奥羽北海同盟銀行委員   遠藤敬止
右一同列席ノ上、第一国立銀行頭取渋沢栄一氏曰、此委員会ハ各団体ノ意思ヲ表白シテ、国立銀行延期請願ニ付テノ順序方法ヲ打合ス為メナレハ厳然タル会議ノ体ヲ以テスルニモ及ハサルヘシト思考スレトモ多人数ノコトナレハ随意放談ニテハ終局如何ノ懸念モアルニ付、暫ク談話会ノ体ニ依リ之ヲ整理スルカ為メ会頭ヲ選挙シテハ如何ト謀リシニ、皆同意ヲ表シテ渋沢氏ヲ推選、同氏之ヲ諾シテ会頭席ニ着キ協議会ヲ開キ、先ツ営業年限延長ノ件ニ付各位ノ意見ヲ質シ、交々談論スル処アリシカ、金沢氏ハ今回政府カ第六議会ニ提出シタル処分法案ニ依リ、私立銀行トシテ営業ヲ継続スルモノト、其年限ヲ延長スルモノトノ得失及比較計算ヲ精査シタル上本議ニ移リタシトノ意見ヲ述ヘシカ、去月廿二日関東銀行会臨時会同ニ於テ、九州、中国四国両団体委
 - 第7巻 p.158 -ページ画像 
員ヨリ交渉ニ対シ彼ノ政府提出ニ係ル処分法案ノ第六議会ヲ通過セサルニ於テハ直ニ営業年限延長ニ付、全国同業者一致ノ方向ヲ以テ協議スヘシトノ答案ニ基キ今日会議ヲ開キシモノナレハ、最早処分方案ニ顧念セス専ラ延期ノ方針ニ依ルヘシトノ反駁アリ、夫ヨリ年限延長ノ談論ニ移リ或ハ一期間即二十ケ年、或ハ十ケ年、或ハ紙幣完了ノ年間ヲ以テスヘシト二三ノ方法ニヨリ種々討議アリシカ結局是迄ノ消却方法ニ依リ先ツ十ケ年ヲ延長スヘキコトト定メ尚之ニ関スル精確ナル計算ヲ参照スヘキハ最必要ナルヘケレハ之ヲ調製スヘキコトト為シ其取調ハ第十五国立銀行ニ於テ引受明六日ノ参観ニ供スヘキコトヲ約セリ爰ニ於テ会頭ハ引続キ本議ヲ確定シ、並ニ前途運動ノ順序及其方法ヲ協議スヘキ為メ、明六日午後一時ヨリ開会スヘキ旨ヲ報シ午後二時散会セリ
同六日午後一時ヨリ会同シ、第十五銀行ノ調査ニ係ル計算書ニ依リ各自ノ意見ヲ述ヘ、或ハ曩ニ九州同盟臨時会ニ於テ決議シタル計算ノ方利益ナレハ之ニ由ルヘシト主張シ、其得失ニ付種々討議アリシカ、池田氏ハ前日来ノ持論ヲ主張シテ曰、小子カ目スル処ノ計算ニヨレハ寧ロ私立銀行トシテ継続スル方便且利ナラン、其理由ハ営業満期ニ至リ消却未済ノ紙幣ヲ処分スルニハ抵当公債ヲ以テ一時ニ其始末ヲ完了スルニ在リ、左スレハ現ニ日本銀行ニ預托スル処ノ準備金、並二分五厘ノ積立金ハ、悉皆各銀行ノ手許ニ引取ルヲ得テ之レヲ年七八分ニハ運用シ得ラルヘシ、果シテ然リトセハ此差益ヲ以テ今後十ケ年間ヲ計算スレハ、或ハ延期ニ優ルヘシト信ス、況ンヤ国立銀行ニ在リテハ諸預リ金ニ対スル準備金ノ制裁其他種々ノ撿束法モアレハ、是等ノ辺ニ付篤ト審按ヲ要スト述ヘ、遠藤氏外二三ノ賛成アリタレトモ、又営業年限ヲ延期スルハ独リ自己計算上ノ得失ノミニアラスシテ、国家経済ノ秩序ニ関スヘケレハ断然延期ニ決スヘシトノ説多数ヲ占メ、爰ニ於テ会頭ハ、九州臨時会決議並前日調査ノ両計算書ニ就キ之ヲ選択センコトヲ告ケタルニ、其結果九州決議案ハ条理上至当ナルカ如クニシテ銀行ニモ利益多シト雖、条例第百十二条ノ改正ヲモ要シ事繁雑ニ渉ルヲ以テ、前日第十五国立銀行ニ於テ取調ヘタル計算書ニ拠ルヘキコトト為シ、其延長年限ハ満期後十ケ年ト確定セリ
右ニ付会頭ハ其筋(主務省及日本銀行)ヘノ陳情委員選定其他ノ順序方法ヲ協議スル為メ、明七日午前九時ヨリ開会スヘキ旨ヲ報シ五時下散会セリ
同七日午前九時ヨリ会同討議ニ於テ其順序方法ヲ議決シ、尋テ陳情委員及起草委員ヲ選定スルコト左ノ如シ
    陳情委員            関東銀行会
        第一国立銀行頭取      渋沢栄一
                    同
        第十五国立銀行支配人    山本直成
                    関西同盟銀行
        第四十二国立銀行取締役   金沢仁兵衛
                    九州銀行同盟会
        第百卅五国立銀行頭取    上羽勝衛
                    中国四国同盟銀行
 - 第7巻 p.159 -ページ画像 
        第八十国立銀行頭取     安田幸正
                    名古屋同盟銀行
        第百三十四国立銀行副頭取  山内正義
                    奥羽北海同盟銀行
        第七十七国立銀行頭取    遠藤敬止
    起草委員            関東銀行会
        第一国立銀行頭取      渋沢栄一
                    九州銀行同盟会
        第十八国立銀行頭取     松田源五郎
                    関東銀行会
        第十五国立銀行副支配人   三輪信次郎