デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

1章 金融
2節 手形
2款 東京手形交換所
■綱文

第7巻 p.299-324(DK070041k) ページ画像

明治24年3月2日(1891年)

是ヨリ先、二月二十八日東京手形取引所及其附属交換所ヲ解散シ、新ニ東京交換所ヲ設立、是日手形交換ヲ開始ス。栄一委員長タリ。爾後重任シテ明治三十八年十二月ニ至ル。


■資料

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月(DK070041k-0001)
第7巻 p.299-300 ページ画像

会議録事 自明治二十二年一月至明治二十三年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    第百六回定式会議 ○明治二三年一〇月一三日開催
○中略
次ニ会長○渋沢栄一ハ手形交換所存廃ノ便否如何ヲ以テ議案ト為シ、之ヲ衆議ニ問フ
 佐々木勇之助氏曰、今日ノ交換所ニテハ仮令ハ爰ニ一万円手形一枚ヲ持出スコトアレハ、時トシテ三枚位ニ分割スルコトアリテ其カ為メ大ニ手数ヲ要スルニ付、寧日本銀行ヘ持参シテ当坐預ケト為スノ便利ナルニ如カス
 山中隣之助氏曰、然リト雖漸ク今日迄発達セシモノヲ一朝廃スルコトハ如何ニモ遺憾ナレハ、何トカ方法ヲ設ケ存スルコトヲ希望ス、且其交換ノ衰退シタル蓋日本銀行ニ於テ当坐預リヲ午前十一時ニ限リタルニ原因スル者ナラント考ルニ付、之ヲ同行ニ協議スルモノハ如何
 - 第7巻 p.300 -ページ画像 
 池田謙三氏曰、曩ニ我委員ヨリ日本銀行モ手形交換所同盟ニ加入センコトヲ要求セシコトアリシニ、当時他ノ事情アリテ肯諾セサリシカ、今又再求ヲ試ミテハ如何、又前ニ我同盟銀行会議ニ当日同行ヨリ客員トシテ臨席セラレンコトヲ請ヒ、因テ一二回臨席アリシカ今日ハ殆ント中絶セシニ付、此事モ併セテ請求センコトヲ希望ス
 三輪信次郎氏曰、日本銀行ニシテ毎会出席スルノ場合ニ至ラハ甚好都合ナルニ付、自今予メ会議ノ要目ヲ通知シ会議ノ摸様ニヨリ同行ノ掛員モ亦臨会アランコトヲ希望ス
会長曰、曩ニ日本銀行ヘ手形交換所ノ加入ヲ要求セシ時ハ略同意ノ如クナリシカ竟ニ加入スルニ至ラサリシナリ、然ルニ衆望此ノ如クナレハ尚又一応集会所ヨリ要求スヘシ、其手形交換所存廃ノ便否ハ次会同行ヨリノ臨席ヲ俟テ之ヲ評議スルトスル者ハ如何ト、衆皆之ニ同意ヲ表シ、而シテ日本銀行ヘ委員長ヨリ右二件ヲ要求スヘキコトニ議決セリ、右会事畢リ皆晩餐ヲナシ、八時三十分散会セリ


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0002)
第7巻 p.300-301 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年 (東京手形交換所所蔵)
明治二十三年十二月十日       書記長(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
  手形交換所存廃之件ニ付五日三野村○利助山本○達雄両氏ヘ御打合之次第モ有之候ニ付、同行総裁ヘ左ノ通御照会相成可然乎
拝啓仕候、陳者当集会所内ニ設ケ有之候手形交換所決算上之都合ニ依リ貴行ヨリモ同盟銀行同様御出席被下候様仕度儀ハ、此程御面話ノ節概略申上置候処、尚去ル五日三野村・山本御両氏ヘ御出席相願実際上差支之事情ヲ縷述致候ニ付、巨細之儀ハ右御両氏ヨリ御承知被下候儀ト奉存候得共、尚一同希望之要点ハ書面ヲ以テ可申上筈ニ御約束申上置候ニ付、左ニ廉書ヲ以テ御照会申上候間、宜敷御承知被下度候
                          早々敬具
                東京銀行集会所委員長
  年 月 日○十二月十二日附後出     渋沢栄一
    日本銀行総裁 川田小一郎殿
    廉書
一当手形交換所ハ明治廿年十二月同盟中有志之銀行申合試設致候モノニシテ、其規約及手続等モ亦タ完全致サス候得共爾来緒ニ就キ漸次交換高増加ノ気運ニ傾向致居候、然ルニ本年六月ヨリ貴行ニ於テ当坐勘定之手続御改正相成、他店之手形・小切手等ヲ以テ振込候モノハ直ニ他店勘定ト付替決算之便法御実施相成候ニ付大ニ便利ヲ覚ヘ候ヘ共、今日之場合ニテハ手形交換所同盟銀行ハ其収入シタル手形小切手ヲ交換所ヘ持出不申候テハ不相成、恰モ二ケ所ノ交換所ヲ有シ候如キ姿ニ立到リ候ニ付テハ、何レカ一方ニ取纏メ申度奉存候、就テハ貴行ニ於テモ可成交換所ヘ御一名御出席被下、貴行ヘ御収入ノ手形ハ都テ同所ヘ御持出シ被下候様仕度奉存候、尤モ同所ヘ御出席之儀御承諾被下候上ハ、貴行之御指示モ可成遵奉致シ、規約モ改正可仕ニ付、其辺ハ無御腹蔵御示シ被下度候事
 - 第7巻 p.301 -ページ画像 
一前項御望申上候如ク御出席相成兼候ハヽ、当方ニ於テハ交換所ヲ相廃シ、各銀行ヘ収入致シ候他店ノ手形・小切手ハ都テ貴行ヘ当坐預ケ金トシテ振込候様仕度ニ付、今後手形ノ枚数等増加候トモ従前之如ク御付替ノ上夫々御報告被下度候事


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0003)
第7巻 p.301-303 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年 (東京手形交換所所蔵)
明治廿三年十二月三十日       書記長(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
手形交換所処分之儀予テ日本銀行ヘ御照会相成候処、昨二十九日別紙之通回答有之候ニ付供回覧候、但本件ニ付テハ委員並交換所同盟銀行中重ナル方々ニテ御打合可相成儀ト奉存候得共、本年最早余日モ無之候ニ付、来春早々御相談之上更ニ同行ヘ御回答相成可然奉存候
(別紙)
営第三五三九号
拝啓、陳ハ手形交換所ヘ本行員出席ノ義ニ付、本月十二日附ヲ以テ御依頼之趣了承、御来翰ニ拠レハ本行員出席ノ諾否ハ該交換所ノ存廃、手形取引ノ消長ニ関シ利害不尠問題ニ有之候処、信用上ノ取引漸ク発達シ交換所ノ必要将ニ起ラントスル今日ニ際シ、却テ之ヲ廃絶スルハ将来ノ為メ極メテ不得策ト被存候ニ付、本行ニ於テモ可成的御依頼ニ応シ出席為致候事ニ可取計候、依テ該交換所ト本行トノ関係及ヒ手形小切手交換ノ順序別紙ノ通取極メ御送付ニ及候条御異存モ無之候ハヽ従前ノ諸規則御改正且委員監事等御撰定ノ上更ニ御申出相成候様致度此段御回答ニ及候也
             日本銀行総裁
  明治二十三年十二月廿九日       川田小一郎(印)
    銀行集会所委員長 渋沢栄一殿
(別紙)
    手形・小切手取扱ノ順序
第一 各同盟銀行ノ交換人ハ交換所ニ至ル前各自交換ニ供スル手形・小切手ヲ分類シ、第一号手形添書ニ右手形・小切手ノ金額ヲ記載シ、而シテ該添書ノ合計ヲ第二号交換差引表ノ貸方ニ記載シ手形・小切手ト共ニ交換所ヘ持参スベシ
第二 各交換人ハ交換時間迄ニ交換所ニ参集シ、手形・小切手ヲ其添書ト共ニ各自之ヲ交換スベシ、而シテ交換シ了リタルトキハ其手形・小切手及ヒ添表ノ金額ヲ撿査シ、之ヲ第二号書式ノ借方ニ記載シ、貸借ノ合計ヲ出タスベシ
第三 各交換人ハ第二号差引残高表ヲ決算シ残高ヲ知ルトキハ、第三号ノ交換総額及ヒ残高表ヲ調製シ、記名調印ノ後之ヲ交換所監事ニ差出ダスモノトス
第四 監事ハ第三号書式ヨリ第四号ノ交換決算帳ニ記入シテ貸借ノ合計ヲ出ダシ、若シ合計ニ於テ同一ナラザルトキハ過失アルヲ以テ交換総額及ヒ残高表ヲ各交換人ニ返付シテ之ヲ調査セシム、若シ又合計同一ナルトキハ、過失ナキヲ示スモノナレハ各銀行
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交換人ヲシテ決算勘定ヲ為サシム、其方法左ノ如シ
   各銀行ハ己レニ仕払ノ義務ヲ負フトキハ第五号交換尻振換請求書ニ其金高ヲ記入シ、責任者記名調印ノ上之ヲ日本銀行ニ持参スベシ
   日本銀行ハ該銀行ノ当座勘定ヨリ右金額ヲ交換同盟銀行ノ貸方ニ振換ヘ記入シ、第六号交換尻振換済報告書ヲ発スベシ、而シテ該銀行ハ之ヲ交換所監事ニ差出タシ、振換結了ノ証印ヲ受ケテ後日ノ証トナス、各銀行己レニ受取ルベキ権利アルトキハ第七号交換尻振換請求書ニ其金高ヲ記入シ、責任者記名調印ノ上之ヲ監事ニ差出タシ、其証明ヲ得テ日本銀行ニ差出ダスベシ、日本銀行ハ右金額ヲ交換同盟銀行勘定ヨリ該銀行当座勘定ヘ振換ヘ第八号交換尻振換済報告書ヲ発スルモノトス
第五 日本銀行ニ於テハ、第九号図形ノ如ク、同盟銀行ト各自当座勘定ノ外尚ホ交換同盟銀行当座勘定ヲ開キ置キ、各同盟銀行ノ貸借ハ総テ此ノ同盟銀行当座勘定ヲ経テ振換ユルニ付、日々ノ決算ニ於テ借方銀行速ニ其金額ヲ同盟ノ当座勘定ニ振込マサレハ貸方銀行ニ於テ振換ヲ請求スルモ之ニ応スル事能ハザルモノトス
    例ヘハ、第九号図形ニ於テ戊ナル貸方銀行一千円ノ振換請求書ヲ日本銀行ニ持参スルモ、甲ナル借方銀行先キニ一千円ヲ交換同盟銀行勘定ニ払込ムニアラサレバ、戊銀行ノ一千円ハ同行ノ貸方勘定ニ振換ユル事能ハサルカ如シ
第一号 交換添表 何銀行 明治 年 月 日 摘要 金額 何々銀行エ
第二号 何々銀行交換差引表 明治 年 月 日 借方金額 銀行名称 貸方金額
第三号 交換総額及差引残高表 明治 年 月 日 何々銀行
第四号 交換総決算帳 明治 年 月 日 借方金額 銀行名称 貸方金額
 - 第7巻 p.303 -ページ画像 
&sbsw_stamp((白色) 第五号 交換尻振替請求書 一金右金額当行勘定ヨリ交換同盟銀行ノ貸方勘定ヘ御振替被下度且該同盟中何レノ銀行ニテモ交換所監事ノ証印アル請求書ヲ持参スルトキハ其振出シ銀行ノ貸方勘定ヘ御振替被下度候也 明治 年 月 日 何々銀行 日本銀行御中 
切サキ 第六号 交換尻振替済報告書 一金 右金額本日貴行ノ勘定ヨリ同盟銀行貸方勘定ヘ振替候也 明治 年 月 日 日本銀行 何々銀行御中 右振替ノ結了シタルヲ証ス 交換所監事 (赤色) 第七号 交換尻振替請求書 一金 右金額交換同盟銀行勘定ヨリ当行貸方勘定ヘ御振替被下度候也 明治 年 月 日 何々銀行 日本銀行御中 右振替ノ確実ナルヲ証ス 交換所監事 切サキ 第八号 交換尻振替済報告書 一金 右金額本日交換同盟銀行勘定ヨリ貴行ノ貸方勘定ヘ振替候也 明治 年 月 日 日本銀行 何々銀行 御中);
第九号同盟銀行 甲 千円→ 辛 ←八万円 庚 七万円→ 己 壱万円→ 戊 ←千円 丁 三万円→ 丙 二万円→ 乙←五万円


会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070041k-0004)
第7巻 p.303-304 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
明治二十四年二月十四日午後五時ヨリ東京交換所発起者第一外十行ノ会同ヲ開キ、本月六日委員会ニ於而調査シタル交換所規則修正案ヲ提出シ各意見ヲ討議セシカ、大体ニ於テハ毫モ異議ナシト雖ヘトモ、時間其他二三ノ条項ニ付左ノ通修正ヲ加ヘ、速ニ実施センコトヲ希望セシヲ以テ、明後十六日同盟銀行定式会議ニ於テ、従前ノ手形取引所及附属交換所ハ本月二十八日限リ廃止シテ来ル三月一日ヨリ開設実施スヘキコトニ議決シタルヲ以テ、右ノ趣ヲ日本銀行ヘ照会シ其同意ヲ得ヘキ手続ヲ為スヘキ事ニ議決セリ
 - 第7巻 p.304 -ページ画像 
   修正ケ条
第四条 十一時ヲ「十時三十分」ニ改ム
第八条 末文交換残高表ヲ作リ、ノ下「証印ノ上」ノ四字ヲ増補ス
第十四条 午後一時ヲ「正午時」(土曜日ハ十二時)ヲ十一時三十分ニ改ム
第廿一条 末文差出スヘシ、ノ五字ヲ刪除シテ「出席セシメ、毎月交換高ノ内訳表ヲ作リ、翌日五日迄ニ監事ヘ差出スヘシ、但交換方ハ其銀行ノ代理人トシテ交換ニ係ル一切ノ責任ヲ有スルモノトス」ノ六十四字ヲ増補ス
第二十二条 全数、ノ二字ヲ刪除シ「四分三以上」ト改ム
第三十条 委員ノ内一名ヲ以テ之ニ充ツヘシトアルヲ「委員長之ニ任ス」ト改メ、而シテ但書ヲ、左ノ但書ヲ増補ス
  但委員長事故アルトキハ委員ノ内ニテ代理スヘシ
第三十三条 五名ヲ撰挙スルモノトストアルヲ「三名ヲ撰挙シ、其互撰ヲ以テ委員長一名ヲ置ク」ト改ム
      当日出席者
                   渡辺治右衛門
                   安田善四郎
                   佐々木慎思郎
                   佐々木勇之助
                   三村君平
                   池田謙三
                   蘆田順三郎
                   河村民之輔


集会録事 自明治二十四年一月至明治二十五年十二月(DK070041k-0005)
第7巻 p.304-305 ページ画像

集会録事 自明治二十四年一月至明治二十五年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百十回定式会議
明治二十四年二月十五日第百十回同盟銀行定式会議《(六)》ヲ開キ、委員山中隣之助氏ノ外来会スルモノ二十三名、是日客員トシテ日本銀行ヨリ山本筆頭書記臨席セラレタリ、山中隣之助氏ハ会長席ニ着キ、是迄手形取引所ノ附属トシテ手形交換ノ事業ヲ開キタリシ処、不便利ノ箇条モ之アリシヲ以テ、旧臘以来日本銀行ヘ照会ヲ経同行ノ意見ヲモ聞知シタルニ付、従前ノ手形取引所及其附属交換所ハ本月二十八日限リ之ヲ廃止シ、別冊規則書ノ組織ニ拠リ来ル三月一日ヨリ新タニ東京交換所ヲ開設センコトヲ希望セシ旨ヲ述ヘ、其規則書ヲ逐条朗読シテ一同ノ意見ヲ問ヒシニ、皆異議ナキヲ以テ原案ニ可決セリ
次ニ第一国立銀行支配人佐々木勇之助氏ハ、今回交換所組織ヲ一新スルニ付テハ当坐引出小切手ニ仕払保証ノ押印ヲ為スコトヲ一定シ置キタシ、元来本案ハ旧択善会ノ節保信ノ押印ヲ為スコトニ定メタリシカ爾来同盟中交迭モアリテ其方法亦一ナラサレハ此際之ヲ一定センコトヲ希望スルトノ議ヲ提セシカ、一同々意ヲ表セシニ依リ、更ニ協議ノ上其印章ハ〔仕払保証〕ノ四字ト為シ、押捺ノ位置ハ睹安キヲ欲スルカ為メ小切手表面ト定メ、其印ノ形状寸法ノ如キハ各行適宜タルヘキ事ニ議決セリ
 - 第7巻 p.305 -ページ画像 
右会事了リ、晩餐ノ後、八時下散会セリ
   ○東京交換所設置ノ機運ハ既ニ手形取引所附属交換所創設ノ際ニ於テ蔵セリト雖モ、当時ハ未ダ手形取引ノ慣習充分ニ行ハレザルニ因リ、先ヅ簡易ノ方法ニ従ヒ実際ノ便利ヲ計ラヒ漸次繁盛ニ赴カシメント為セリ。然ルニ明治二二年一月七日ニ至リ、同盟銀行第九〇回定式集会(二〇年一二月一日ノ項―本巻第二八九頁参照)ニ於テ手形交換所ノ事業ヲ一層拡張セシメンガ為メ手形取引所附属交換所ノ規則ヲ修正スベキコトヲ約シ、同年二月一五日ノ第九一回定式集会(同上第二九〇頁)ニ於テハ、毎月実際交換報告表ヲ大蔵省銀行局ニ開呈スルニ至リタルヲ以テ、自今手形取引所附属ノ名義ヲ除キ並ニ其規則ヲ修正シテ独立ノ手形交換所ヲ設置シ、同業者ノ加盟ヲ勧誘スベキ議ヲ決シ委員ヲ撰ビ之ニ従事セシムルコトヲ議了セリ。以テ東京交換所設置ノ経緯ニ付上述ノ如キ経過アリタルヲ知ルベシ。


東京交換所規則(DK070041k-0006)
第7巻 p.309 ページ画像

東京交換所規則 (東京手形交換所所蔵)
  東京交換所規則(明治二十四年二月十六日議定)
   第一章 総則
第一条 当交換所ハ東京交換所ト称シ、日本橋阪本町東京銀行集会所内ニ設置ス
第二条 当交換所ハ交換所組合銀行中ニ於テ日々収入シタル各種ノ手形・小切手ヲ交換決算スルヲ以テ目的トス
第三条 当交換所ニ於テ交換シタル手形・小切手ノ不渡又ハ交換ノ錯誤ヨリ生スル要求ハ其関係銀行ノ間ニ於テ処弁スヘキモノトシ、交換所ハ一切其責ニ任セス
   第二章 交換規定
第四条 当交換所ノ交換時間ハ毎日(一般ノ休業日ヲ除ク)午前十時ニ開キ、同十時三十分迄ニ差引決算ヲ行フヘキモノトス
  但本条ノ時間ハ総会ノ決議ヲ経テ之ヲ変更スル事ヲ得
第五条 当交換所ニ於テ交換スヘキ手形・小切手ハ交換所組合銀行中ニテ支払フヘキモノニ限ル
第六条 手形・小切手ノ交換ハ第七条以下ノ手続ニヨリテ之ヲ行ヒ、其差引残高ハ日本銀行当座勘定ノ貸借振替ヲ以テ結了スヘキモノトス
第七条 組合銀行ノ交換方ハ交換スヘキ手形・小切手ヲ分類シ、壱枚毎ニ裏書ヲ為シ、交換添表ニ其金額ヲ記入シ、該添表ノ合計金額ヲ交換差引表ノ貸方ニ記載シテ、手形・小切手ト共ニ当交換所ヘ持参スヘシ
第八条 組合銀行ノ交換方ハ交換時間迄ニ当交換所ヘ参集シ、手形・小切手ヲ添表ト共ニ互ニ交換シ、其受取タル添表ノ金高ヲ交換差引表ノ借方ニ記載シ、貸借ノ決算ヲ為シ、交換残高表ヲ作リ、証印ノ上監事ヘ差出スヘシ
第九条 監事ハ交換方ヨリ差出シタル残高表ノ金額ヲ点撿シ、書記ヲシテ交換決算簿ニ記入セシメ、貸借合計ヲ現ハシ、計算ノ確実ナルヲ認メタル上、交換方ヲシテ交換尻振替ノ手続ヲ為サシムヘシ
第十条 交換決算上借方トナリタル銀行ハ交換尻振替請求書(甲号)ヲ認メ、交換方記名調印ノ上、之ヲ日本銀行ヘ持参シ、同行ヨリ振
 - 第7巻 p.306 -ページ画像 
替済ノ報告書(甲号)ヲ受取リ、監事ニ差出シ、振替済ノ証印ヲ受クベシ
第十一条 交換決算上貸方トナリタル銀行ハ交換尻振替請求書(乙号)ヲ認メ、交換方記名調印ノ上、之ヲ監事ニ差出シ、其証印ヲ得テ日本銀行ヘ持参シ、交換振替済ノ報告書(乙号)ヲ受取ルヘシ
第十二条 監事ハ交換決算後直ニ総決算表ヲ作リ、記名調印ノ上、日日之ヲ日本銀行ヘ差出スヘシ
第十三条 当交換所ニ於テ交換シタル手形・小切手ノ内不渡リノモノアルトキハ翌日交換時間迄ニ之ヲ持出シタル銀行ヘ返却シテ、其代リ金ヲ受取ルヘシ
第十四条 組合銀行中前条規定ノ時間内ニ不渡リ手形若クハ小切手ノ返却ヲ受ケ其代リ金ヲ渡サヽルカ、又ハ交換尻支払金ヲ当日ノ正午十二時(土曜日ハ十一時三十分)迄ニ日本銀行ヘ振込マサル時ハ、相手方ノ銀行ハ直ニ其理由ヲ詳記シテ監事ヘ届ケ出ヘシ、監事ハ其銀行ヲ督責シテ支払ヲ為サシムヘシ
第十五条 前条ノ場合ニ於テ借方ノ銀行其支払ヲ為サヽル時ハ、監事ハ翌日ノ交換時間迄ニ決算ヲ繰戻シ、其銀行ノ持帰リタル手形・小切手ヲ引揚ケ、相手方ノ銀行ヘ返戻スヘシ
  但借方ノ銀行ニテ其手形・小切手ヘ渡済記入済等ノ印ヲ押捺セシモノハ未払ノ旨ヲ附箋セシムヘシ、若シ之ヲ肯セサルトキハ監事ハ交換所ノ帳簿ニ拠リテ之ヲ証明スヘシ
   第三章 交換所組合銀行
第十六条 交換所組合銀行ハ東京銀行集会所同盟銀行ニシテ日本銀行ト当座勘定ヲ開キタルモノニ限ル
第十七条 日本銀行ハ当交換所ノ為メニ客員トシテ日々交換方ヲ当交換所ヘ出席セシムルモノトス
第十八条 組合銀行ハ保証トシテ五分以上利付ノ公債証書額面壱万円ヲ当交換所ヘ預ケ入ルベシ
第十九条 組合銀行ハ第三十九条ニ定メタル割合ヲ以テ当交換所ノ費用ヲ分担シ、委員ノ通知ニヨリテ之ヲ支出スヘシ
第二十条 組合銀行ハ組合中ニ於テ仕払ヘキ手形・小切手等ヲ取引先ヨリ受取ルトキハ、相当ノ理由ナクシテ之ヲ拒絶スヘカラス、且其受取タルモノハ総テ当交換所ノ交換ニ持出スヘシ
第二十一条 組合銀行ハ交換スヘキ手形・小切手ヲ所持スルト否トニ拘ハラス、毎日交換時間ニ交換方ヲ当交換所ヘ出席セシメ、毎月交換高ノ内訳表ヲ作リ、翌月五日迄ニ監事ヘ差出スヘシ
  但交換方ハ其銀行ノ代理人トシテ交換ニ係ル一切ノ責任ヲ有スルモノトス
第二十二条 新タニ交換所ニ加入セント欲スル者ハ組合銀行ノ紹介ヲ以テ其由ヲ委員ニ申出ヘシ、委員ハ組合銀行ヘ通達シ、日ヲ定メテ匿名投票ヲ行ヒ、四分三以上ノ同意ヲ以テ其加入ヲ許諾スヘシ
第二十三条 組合銀行中組合外銀行ノ交換代理ヲ引受ケントスルトキハ、其由ヲ委員ニ申出ツヘシ、委員ハ組合銀行ヘ通達シ、四分三以上ノ同意ヲ以テ之ヲ許諾スヘシ
 - 第7巻 p.307 -ページ画像 
  但委托銀行ニ於テ支払フヘキ手形・小切手ハ総テ受托銀行ノ責任トシテ之ヲ交換スヘシ
第二十四条 組合銀行中退会ヲ望ムモノハ其由ヲ委員ニ申出ヘシ、委員ハ組合銀行ニ通達シ、異議ナキトキハ之ヲ許諾スヘシ
  但委員ノ許諾ヲ得サル間ハ第十八条ノ保証品ヲ取戻スコトヲ得ス又第二十一条ノ交換時間ニハ交換方ヲ当交換所ヘ差出スヘシ
第二十五条 組合銀行中第十四条ノ支払ヲ為サヽルモノアルトキハ、委員ハ預リ置キタル保証品ヲ売却シ、其代金ヲ以テ相手方ニ対スル未払金ヲ決算セシムヘシ
  但本条ノ場合ニ於テハ委員ハ其銀行ヲ除名シ、直ニ組合銀行ヘ通達シテ該行ニ係ル手形・小切手ハ一切受取ラサルモノトス
第二十六条 組合銀行中営業危険ナリト認ムヘキ事実アルカ、又ハ此規則ニ悖戻スルモノアルトキハ、委員ハ其銀行ノ出席ヲ止メ、直ニ組合銀行臨時総会ヲ開キ、出席員四分三以上ノ同意ヲ以テ之ヲ除名スヘシ
   第四章 総会
第二十七条 当交換所ノ総会ハ組合銀行ヨリ支配人以上ノ重役一名若クハ二名ヲ出タシ、内一名ヲ代理者ト定メ、交換所ニ係ル要件ヲ議決スルモノトス
第二十八条 定式総会ハ毎年一月、七月、委員ノ定ムル時日ニ於テ当交換所ニ開キ、委員ヨリ前半季交換高ノ統計及費用ノ決算ヲ報告スルモノトス
第二十九条 臨時総会ハ委員ニ於テ必要ト認ムルトキ、又ハ組合銀行三行以上ノ請求アルトキハ、何時ニテモ開会スルコトヲ得
第三十条 総会ノ会長ハ委員長之ニ任ス
  但委員長事故アルトキハ委員ノ内ニテ代理スヘシ
第三十一条 定式及臨時総会トモ組合銀行ノ代理者半数以上出席スルニ非ラサレハ開会スルコトヲ得ス
第三十二条 総会ノ決議ハ過半数ヲ以テ之ヲ決シ、可否同数ナルトキハ会長之ヲ決ス
  但第二十二条・第二十三条・第二十六条・第四十条ハ此限ニアラス
   第五章 委員
第三十三条 当交換所ノ委員ハ毎年一月ノ総会ニ於テ組合銀行支配人以上ノ重役中ヨリ三名ヲ撰挙シ、其互撰ヲ以テ委員長一名ヲ置ク
  但再撰スルコトヲ得
第三十四条 委員ノ職掌ハ左ノ如シ
 第一交換所一切ノ事務ヲ整理スルコト
 第二交換所規則ノ実際ニ行ハルヽヤ否ヤヲ監視スルコト
 第三監事ノ職掌ヲ監督スルコト
 第四監事ノ任免及其手当金ノ額ヲ総会ノ評議ニ付スルコト
 第五書記ヲ任免シ其手当金ノ額ヲ定ムルコト
 第六組合銀行中ニ争論ノ生シタルトキハ之ヲ仲裁スルコト
 第七臨時総会ヲ招集スルコト
 - 第7巻 p.308 -ページ画像 
  但第四項以下ハ委員三分二以上ノ同意アルニ非ザレハ之ヲ行フコトヲ得ス
   第六章 監事及書記
第三十五条 当交換所ノ監事ハ委員ノ衆議ヲ以テ適任者ヲ撰ミ、総会ノ同意ヲ得テ任命スベキモノトス
第三十六条 監事ハ委員ノ監督ヲ受ケ、書記ヲ指揮シ、日々ノ交換事務ヲ整理シ、交換決算ノ責任ヲ有スルモノトス、故ニ各銀行ノ交換方交換所ニアル間ハ総テ監事ノ差図ニ従フベシ
第三十七条 書記ハ委員及監事ノ指揮ニ従ヒ、交換所ノ庶務ニ従事スルモノトス
   第七章 経費
第三十八条 当交換所経費ノ決算ハ毎年両度定式総会ニ於テ、委員ヨリ報告シ、次条ニ規定シタル割合ヲ以テ組合銀行ヨリ徴集スベキモノトス
第三十九条 当交換所ノ経費ハ其総額ヲ二分シテ、一半ハ平等ニ課シ一半ハ交換所ヘ持出シタル手形・小切手ノ金高ニ応シ組合銀行ヨリ支出スヘキモノトス
   第八章 規則更正
第四十条 此規則ヲ更正加除セント欲スルトキハ、組合銀行ノ総会ヲ開キ、出席員四分三以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決定シ、日本銀行ノ承諾ヲ得テ履行スヘキモノトス
   東京交換所罰則 明治二十六年三月十五日組合銀行会議ニ於テ附則トシテ追加決定
第一条 交換方規定ノ交換時間ヨリ十分ヲ過キテ参着シタルトキハ過怠金参拾銭ヲ徴ス
第二条 規定ノ時刻ヨリ十五分ヲ過キテ参着シタルモノハ過怠金五拾銭ヲ徴シ、他行ヨリ配付シタル手形・小切手ハ之ヲ支払ハシメ、持参シタル手形・小切手ハ当日ノ交換ニ加ヘサルモノトス
第三条 組合銀行中正当ノ理由ナクシテ欠席シタルモノハ過怠金弐円ヲ徴ス
  但本条ノ場合ニハ欠席銀行ノ支払義務アル諸手形ニ対シ現金ノ取付ヲナスコトヲ得ヘシ
第四条 交換方ヨリ監事ヘ差出シタル交換残高表ニ計算ノ過失アリタルトキハ過怠金弐拾銭ヲ徴ス
  但決算時刻前発見シタル誤謬ハ過怠金ヲ徴セス
第五条 交換添表ニ誤謬アリタルトキハ添表提出者ヨリ過怠金参拾銭ヲ徴シ、相手方ヨリ第四条ノ過怠金ヲ徴セス
第六条 規則第十四条ノ場合ニ於テ下渡手形・小切手ノ代リ金渡シ方遅滞スルカ、又ハ交換尻支払入金ノ遅刻シタルトキハ、各過怠金弐円ヲ徴ス
          発起者    第一国立銀行
          発起者    第三国立銀行
          発起者    第十五国立銀行
          発起者    第二十国立銀行
          発起者    第二十七国立銀行
 - 第7巻 p.309 -ページ画像 
          発起者    第百国立銀行
          発起者    第百十九国立銀行
          発起者    三井銀行
          発起者    安田銀行
          発起者    第十三国立銀行東京支店
          発起者    第三十二国立銀行東京支店
          明治二十八年一月二十二日加入
                 株式会社帝国商業銀行
          明治二十八年一月二十二日加入
                 合資会社川崎銀行
          明治二十九年二月十九日加入
                 株式会社東海銀行
          明治二十九年二月十九日加入
                 第四十一国立銀行東京支店
          明治二十九年二月十九日加入
                 第七十七国立銀行東京支店
          明治二十九年二月十九日加入
                 第七十八国立銀行東京支店
          明治二十九年二月十九日加入
                 第百十三国立銀行東京支店


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0007)
第7巻 p.309-310 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年 (東京手形交換所所蔵)
明治二十四年二月十九日      書記長(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
  本月十六日同盟銀行定式会議ニ於而従前ノ手形取引所並附属交換所ヲ廃止、更ニ東京交換所開設ノ事ニ議決致候ニ付、大蔵大臣ヘ御届及当日不参之同盟銀行ヘ報道案御廻議申上候也

   大蔵大臣ヘ御届案
予テ当銀行集会所内ニ手形取引所及手形交換所相設置候処、今般同盟銀行協議ノ上、従前ノ分ハ本月二十八日限廃止、更ニ第一国立銀行外何行申合之上当所内ニ交換所ヲ開設致シ、来ル三月一日ヨリ実施可仕候ニ付別冊規則書相添、此段上申仕候也
                東京銀行集会所
                  委員長 渋沢栄一
  年 月 日 ○二月二六日
   大蔵大臣宛

    同盟銀行ヘ報道案
予而当集会所内ニ手形取引所及附属交換所相設置候処不便利ノ事項モ有之候ニ付従前ノ分ハ本月二十八日限リ廃止シ更ニ別冊規則ニ拠リ来
 - 第7巻 p.310 -ページ画像 
ル三月一日ヨリ実施致度段本月十六日同盟銀行定式会議ニ於テ及御協議候処異議ナク原按ニ可決致候ニ付左様御承諾可被下候就而ハ従前取引所御同盟ニシテ同所ニ於而御取引有之候分ハ来ル二十八日迄ノ内ニ御結了ノ上其旨当所ヘ御申出被下度此段御報道申上候也
  年 月 日               東京銀行集会所


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0008)
第7巻 p.310 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年
明治二十四年二月二十一日      書記長(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
  日本銀行ヨリ手形交換所ヘ出席之儀ニ付御照会案御廻議申上候也
拝啓仕候、陳者貴行ヨリ手形交換所ヘ御出席被下度段、客年十二月十二日御照会申上候処、同月二十九日御回示之次第モ有之候ニ付、今般同盟銀行協議之上、従前ノ交換所ハ当二月二十八日限リ相廃シ、更ニ第一国立銀行外十行申合ノ上東京交換所ヲ設置シ、別冊規則書ニ拠リ来ル三月一日ヨリ実施致度候ニ付テハ、兼テ願置候通、当交換所組合銀行ヘ関係ノ手形・小切手ニシテ貴行ヘ御収入相成候モノハ総テ御取纏メ之上、毎日交換時間迄ニ御行員壱名客員トシテ御出席被下、貴行ニ於テ当交換所ノ交換尻振替決算御処理被成下候様仕度候、就テハ右規則ヲ加除更正致候歟又ハ組合銀行ノ増減等有之候節ハ、総テ貴行ノ御同意ヲ得タル後ニアラサレハ実施不致事ニ発起銀行一同申合候ニ付、何卒右御承諾被成下度、此段御依頼申上候也
                東京銀行集会所
  年 月 日           委員長 渋沢栄一
      日本銀行総裁宛
 本文御承諾被下候ハヽ貴行御出席員御姓名並印鑑共交換所ヘ御差被成下、尚御都合ニヨリ御出席員交迭モ有之候ハヽ其都度御姓名等御示シ《*》可被下候
 *附箋 栄一自筆
 〔追書ノ事ハ口頭ニテ照会ノ事可然ニ付相省キ候方ト存候


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0009)
第7巻 p.310-311 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年
明治二十四年二月二十七日      書記長(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
来ル三月二日(一日ハ日曜休業)ヨリ東京交換所開設実施ノ議ニ付、委員長ヨリ日本銀行総裁ヘ照会相成候処、別紙之通承諾之旨回答有之候ニ付、供瀏覧候也
(別紙)
 明治廿四年二月廿六日
営第二八八号
今般第一国立銀行外十行申合ノ上新ニ東京交換所ヲ設置候ニ付テハ、本行ニ於テ該交換所ノ交換尻振替決算ヲ処理シ、且組合銀行ヘ関係ノ
 - 第7巻 p.311 -ページ画像 
手形・小切手ニシテ本行ニ収入相成候分ハ総テ取纏メ毎日交換時間迄ニ行員壱名客員トシテ出席為致呉候様、該交換所ノ規則相添ヘ去ル二十五日付御依頼ノ趣了承、右ハ信用取引ヲ円滑ナラシムル為メ必要ノ事柄ニ付、御依頼ノ通取計ヒ、来ル三月一日ヨリ実施可致候、此段及御回答候也
                 日本銀行総裁
                    川田小一郎(印)
   東京銀行集会所委員長 渋沢栄一殿


日本銀行沿革史 第一巻・第五九頁(DK070041k-0010)
第7巻 p.311 ページ画像

日本銀行沿革史 第一巻・第五九頁
二十六日○明治二四年二月東京銀行集会所ノ請求ニ応シ、来ル三月一日ヨリ開設スヘキ東京交換所ニ本行ヨリモ客員トシテ行員ヲ出席セシメ、且右交換所組合銀行ノ交換尻ハ本行当座勘定ヲ以テ振換決済スルコトトス


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0011)
第7巻 p.311-312 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年 (東京手形交換所所蔵)
明治二十四年三月五日       交換所監事(印)
 交換所委員長(印)
 交換所 委員(印)(印)
  保証品預ケ入ニ付日本銀行ヘ左ノ通照会相成可然乎
謹啓、陳者当交換所発起ノ銀行申合ニ拠リ組合銀行十一行ヨリ保証品トシテ公債証書壱万円ツヽ差入有之候処、当所ニ於テハ該品保管上適当ノ場所無之候ニ付、貴行ヘ御預リ相成度奉存候、幸ニ御承諾被下候ハゝ取扱上都合モ御座候ニ付、甚タ乍御手数御預リ証書之儀ハ委員長宛各通ニ御交付被成下候様仕度、別紙目録相添、此段御依頼申上候也
  年三月十一日     東京交換所委員長 渋沢栄一
   日本銀行総裁 川田小一郎殿
(別紙)
二月廿八日入
一無記名整理公債証書額面壱万円     第一国立銀行
三月二日入
一記名整理公債証書額面壱万円      第三国立銀行
二月二十八日入
一無記名整理公債証書額面壱万円     第二十国立銀行
三月二日入
一無記名整理公債証書額面壱万円     第二十七国立銀行
二月二十八日入
一無記名整理公債証書額面壱万円     第百国立銀行
二月二十八日入
一六分利付金禄公債額面壱万円      第百十九国立銀行
二月二十八日入
一六分利付金禄公債証書額面壱万円    三井銀行
三月二日入
一六分利付金禄公債証書額面壱万円    第十三国立銀行支店
 - 第7巻 p.312 -ページ画像 
二月二十八日入
一無記名整理公債証書額面五千円一無記名中山道鉄道公債証書額面五千円 第卅二国立銀行支店
三月三日入
一無記名整理公債証書額面五千円一六分利付金禄公債証書額面五千円   安田銀行
一五分利付金禄公債証書額面壱万円                  第十五国立銀行


交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年(DK070041k-0012)
第7巻 p.312 ページ画像

交換所委員廻議 第一号 自明治廿四年至同廿八年 (東京手形交換所所蔵)
明治二十四年三月十二日      交換所監事(印)
 交換所委員長(印)
 交換所 委員(印)(印)
東京交換所組合銀行ヨリ保証品トシテ差出候公債証書預入之儀ニ付、日本銀行ヘ御依頼之処、別紙承諾ノ旨回答有之候ニ付、本日同行ヘ預入取計候ニ付、此段御承知置可被下候也
 但同行ヨリ受取候預リ証書拾壱通ハ交換所ヘ保存致置候
(別紙)
文第四三号                   (印)
貴所御発起ノ銀行申合ニヨリ組合銀行十一行ヨリ保証品トシテ公債証書壱万円ツヽ貴所ヘ差入有之分、本行ヘ御預ケ被成度旨御依頼ノ趣致承知候、此段及御回答候也
  明治廿四年三月十一日
                 日本銀行総裁
                    川田小一郎(印)
  東京交換所
      委員長 渋沢栄一殿
 追テ本文預リ証差出方ノ義モ貴意ニ応シ現品御預入ノ節夫々御交付可致候、此段申添候也

東京交換所保証品御預ケ入之儀御依頼申上候処御承諾被成下候ニ付、別紙目録之通差出候間、預リ証書之儀ハ各通ニ御交付被下度候也
                東京交換所
  明治二十四年三月十二日     委員長 渋沢栄一
   日本銀行総裁
       川田小一郎殿


集会録事 自明治二十四年一月至明治二十四年十二月(DK070041k-0013)
第7巻 p.312-313 ページ画像

集会録事 自明治二十四年一月至明治二十四年十二月 (東京銀行集会所所蔵)
    ○第百十一回定式会議録事
明治二十四年三月十六日、第百十一回同盟銀行定式会議ヲ開キ、来会シタルモノハ委員長渋沢栄一氏、委員西邑乕四郎氏・山中隣之助氏ヲ首メ総員二十六名ナリ、渋沢氏ハ会長席ニ就キ、議事ニ先タチ左ノ条件ヲ報道セリ、曰ク、前会ノ議決ニ係ル従前ノ手形取引所及其附属交換所ハ去月二十八日限リ之ヲ閉鎖シ、而シテ本月一日ヨリ更ニ組織シタル東京交換所ヲ開設実施スヘキニ付テハ、該交換所規則ニ拠リ委員ヲ選挙セシニ、渋沢栄一・西邑乕四郎・佐々木慎思郎ノ三氏当選シ、其互選ヲ以テ渋沢栄一氏ヲ委員長ニ推挙シ、且其監事ハ書記長山中譲
 - 第7巻 p.313 -ページ画像 
三氏ニ任命シ、本月一日ヨリ手形交換ノ事業ヲ開施セリ


銀行集会所第二十二回半季実際考課状 (自明治二四年一月至同年六月)(DK070041k-0014)
第7巻 p.313 ページ画像

銀行集会所第二十二回半季実際考課状 (自明治二四年一月至同年六月)
                (東京銀行集会所所蔵)
    同盟銀行決議及報告ノ事
○中略
一二月十六日、第百十回同盟銀行定式会議ニ於テ従前ノ手形取引所及其附属交換所ヲ本月廿八日限リ廃止シ、更ニ第一国立銀行外十行ノ申合ニヨリ組織シタル東京交換所規則ニ拠リ来ル三月一日ヨリ新タニ手形交換ノ事業ヲ開設センコトヲ協議可決セリ○中略
一三月十六日、第百十一回同盟銀行定式会議ニ於テ、前会ノ議決ニ係ル手形取引所及其附属交換所ハ去月二十八日限リ之ヲ閉鎖シ、而シテ本月一日ヨリ更ニ組織シタル東京交換所ヲ開設シタルニ付テハ、該交換所規則ニ拠リ委員ヲ撰挙セシニ、渋沢栄一・西邑乕四郎・佐佐木慎思郎ノ三氏当選シ、其互撰ニヨリ渋沢栄一氏ヲ委員長ニ推選シ、且其監事ハ書記長山中譲三氏ヘ任命シタル旨ヲ報道セリ
○中略
    諸達願伺届ノ事
○中略
一二月廿六日、大蔵大臣ヘ従前ノ手形取引所及其附属交換所ハ本月二十八日限リ之ヲ廃シ、三月一日ヨリ更ニ東京交換所ヲ開設可致旨ヲ上申セリ
一四月十六日、大蔵大臣ヘ東京交換所委員長委員ノ当選及監事ノ任命ヲ上申セリ
一四月十六日、大蔵大臣ヘ東京交換所及同所委員長並監事ノ印鑑ヲ上呈セリ


会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070041k-0015)
第7巻 p.313-314 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所定式総会録事
明治二十五年一月六日午後第三時ヨリ、東京交換所組合銀行定式総会ヲ開キ、昨年下半季経費決算及其交換高ヲ報告シ、尋テ委員改選ノ投票ヲ執行シ、多数ヲ以テ渋沢栄一氏・山中隣之助氏・佐々木慎思郎氏当選各上任ヲ諾セリ
又当交換所ハ銀行集会所建物ノ一部ヲ使用シアルヲ以テ、此組合銀行ヨリ相当ノ費用ヲ銀行集会所ヘ支弁スヘキ事ニ付協議ヲ為シタルニ、或ハ一ケ月五円位ノ割ヲ以テ一季間三十円ヲ支弁スヘシトノ説アリシモ、遂ニ一季間五十円ツヽ支弁スヘキ事ニ議決シ、追テ同盟銀行定式会議ノ節其由ヲ申出、同会ノ協議ヲ経テ一定スヘキ事ト為シ、四時下閉会セリ、当日出席者左ノ如シ
             第一銀行     渋沢栄一
             同        佐々木勇之助
             第三銀行     安田善四郎
             第十五銀行    三輪信次郎
             第二十銀行    佐々木慎思郎
 - 第7巻 p.314 -ページ画像 
             第二十七銀行   安藤三男
             第三十二支店   山中隣之助
             第百銀行     池田謙三
             第百十九銀行   三村君平
             三井銀行     中上川彦次郎
             安田銀行     安田善次郎
             同        藪田岩松
    但第十三銀行支店ハ不参
   ○東京交換所規則ハソノ後数次改正セラレタルガ、次ニソノ資料ヲ附ス。


会議録 第一号 自明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070041k-0016)
第7巻 p.314-315 ページ画像

会議録 第一号 自明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所月次例会録事
明治二十九年十一月五日午後五時ヨリ、東京交換所月次例会ヲ開キ、出席シタルモノ渋沢委員長外十五名ナリ
是日監事山中譲三氏ヨリ交換所規則修正案ヲ提出シ、其修正節目ニ就キ逐条朗読シテ協議シタルニ、大体ニ於テ異議ナキヲ以テ、次会其修正文案ヲ提シ、更ニ協議スヘキ事ニ決シ、晩餐ニ移リタリ
    東京交換所規則修正按
明治二十九年十一月
 第五十六条 規定ノ時刻ヨリ五分ヲ過キテ参着シタルモノハ、過怠金五拾銭ヲ徴収シ、他行ヨリ配付シタル手形小切手ハ之レヲ支払ハシメ、持参シタル手形小切手ハ当日ノ交換ニ加ヘサルモノトス
 第五十八条 交換方ヨリ監事ヘ差出シタル交換残高表ニ計算ノ過失アリタルトキハ、過怠金弐拾銭ヲ徴収ス
   但総決算完了時刻五分前ニ発見シタル誤謬ハ過怠金ヲ徴収セス
    ○東京交換所臨時集会録事
明治二十九年十二月十五日午後四時ヨリ、東京交換所組合銀行臨時会ヲ銀行集会所ニ開キ、渋沢委員長ヨリ交換所規則修正ノ廉ヲ協議シタルニ、一同原案ニ同意ヲ表シタルヲ以テ、委員長ヨリ日本銀行総裁ヘ打合、其同意ヲ求メ来三十年一月四日ヨリ実施スヘキ事ニ決シ
○中略
      当日出席者左ノ如シ
          第一         渋沢栄一君
          第一         佐々木勇之助君
          第三  閉会後出席  長谷川千蔵君
          第十五        清水宜輝君
          第二十        佐々木慎思郎君
          第二十七       安藤三男君
          第百  閉会後出席  池田謙三君
          三菱  開会前退会  豊川良平君
          三井  同      波多野承五郎君
          川崎         安藤浩君
          帝商         渡辺千代三郎君
          第十三        芦田順三郎君
 - 第7巻 p.315 -ページ画像 
          第三十二       河村民之輔君
          第四十一       奥田卯三郎君
          第七十七       大野清敬君
          第七十八       松尾謙次君
          東海         吉田幸作君


交換所委員廻議 第二号 自明治二九年至同三〇年(DK070041k-0017)
第7巻 p.315 ページ画像

交換所委員廻議 第二号 自明治二九年至同三〇年 (東京手形交換所所蔵)
明治廿九年十二月一日      東京交換所監事(印)
 委員長(印)
 委員(印)(印)
  前月交換所定式会ニ於テ大体御評議相願置候交換所規則修正、別紙朱書之通記入供回覧候、御差支無之候ハヽ本月定式会ヘ提出仕度、此段御廻議申上候也
*附箋 栄一自筆
第四条ノ時間ヲ午前十時十分ト改ムル方、第一銀行抔ニテハ便利ナランカト存シ候
第四章ノ修正文朱書中ニハ旧第二十八条ニアル前半季交換高ノ統計及費用ノ報告等ノ事ヲ省キタル様ナレトモ、右ニテ差支ナキヤ
朱書第三十三条ノ集会ノ要領トアルハ、会議ノ要領トカ議事ノ要領トカ修正スル方適当ナラン歟

                       (印)
   ○別紙規則書修正案略ス


会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月(DK070041k-0018)
第7巻 p.315-316 ページ画像

会議録 第一号 従明治廿四年二月至同卅五年十二月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所第二十八回定式集会録事
明治三十年十二月七日午後五時ヨリ、東京交換所組合銀行第二十八回定式集会《(マヽ)》ヲ銀行集会所ニ開ク、来会スル者二十二名ナリ
委員池田謙三氏会長席ニ着キ、会議ニ先タチ二三ノ報告ヲ為シ、夫ヨリ規定修正並銀行加入ノ件其他ノ議事ヲ決スルコト左ノ如シ
    決議要件
監事山中譲三氏ノ意見ヲ容レ、会長ヨリ交換所規則中左ノ通修正又ハ追加ヲ必要トシテ協議シタルニ全会一致ヲ以テ原案ニ可決セリ
一交換所規則第四条交換所時間ハ現在午前十時十分ニ開キ同四十分ニ結了ノ処、短日且ツ組合銀行追々増加スヘキニ付、来ル三十一年三月三十一日迄左ノ通修正ノ事
  第四条、当交換所ノ交換時間ハ毎日(一般ノ休業日ヲ除ク)午前十時三十分ニ開キ、同十一時ニ総決算ヲ完了スヘキモノトス〔但書ハ従前ノ通〕
一第十四条中、又ハ交換尻支払金ヲ当日ノ正午十二時(土曜日ハ十一時三十分)迄ニ日本銀行ニ振込マサル時ハ云々、ノ当日以下十九字ヲ、交換完了時間後一時三十分以内ト修正ノ事
一罰則第四条ノ次ヘ左ノ一項追加ノ事
  第五条 決算完了時刻ヲ経過シテ其誤謬ヲ発見セサルトキハ、十分時間毎ニ各金二十銭ヲ追徴ス
 - 第7巻 p.316 -ページ画像 
   但本条ハ来三十一年三月一日ヨリ実施スヘキ事
一従来毎月五日定式集会ヲ開キタル処、来三十一年一月ヨリ之ヲ廃シ時々ノ必要ニ応シ臨時開会スヘキニ決定シタルヲ以テ、其結果第二十八条及第二十九条ヲ左ノ通修正ノ事
  第二十八条 定式集会ハ毎年一月・七月委員ノ定ムル時日ニ於テ之ヲ開キ、委員ヨリ前半季事務ノ要領及経費決算ヲ報告スルモノトス
  第二十九条 臨時集会ハ委員ニ於テ必要ト認ムルトキ、又ハ組合銀行五行以上ノ請求アルトキハ、何時ニテモ開会スルコトヲ得
○中略
      当日出席者
             第一     佐々木勇之助
             第三     長谷川千蔵
             十五     久野昌一
             同      清水宜輝
             二十     佐々木慎思郎
             二十七    安藤三男
             第百     池田謙三
             三菱     豊川良平
             同      三村君平
             三井     日比翁助
             安田     若菜福朗
             鴻池     芦田順三郎
             第三十二   山中隣之助
             帝国商業   橋本正彰
             川崎     安藤浩
             東海     吉田幸作
             同      笹井慎次郎
             第四十一   奥田卯三郎
             第七十七   成沢武之
             百十三    古山数馬
                 以上


交換所委員廻議 第二号 自明治二九年至同三〇年(DK070041k-0019)
第7巻 p.316-317 ページ画像

交換所委員廻議 第二号 自明治二九年至同三〇年 (東京手形交換所所蔵)
明治三十年十二月八日         東京交換所監事(印)
   委員長(印)
   委員(印)(印)
    昨七日組合銀行集会ニ於テ、規則第四条但書ニ拠リ交換時間変更並毎月定式集会廃止及罰則中追加ノ件決議相成候ニ付、日本銀行総裁ヘ照会案御廻議申上候
拝啓、陳ハ去ル七日組合銀行集会ノ決議ヲ以テ、交換所規則第四条但書ニ拠リ交換時刻変更並ニ第十四条・第二十八条・第二十九条ニ修正ヲ加ヘ、且ツ罰則中ニ左ノ一項ヲ追加致候ニ付右御承諾被成下度、此段御照会申上候也
 - 第7巻 p.317 -ページ画像 
  明治三十年十二月 日
            東京交換所委員長 渋沢栄一
    決議要領
一交換所規則第四条ニ依リ、現在交換時間ハ午前十時十分ニ開キ同十時四十分ニ完了ノ処、短日ニ付、先ツ本月十一日ヨリ三十一年三月三十一日迄ノ処午前十時三十分ニ開キ同十一時ニ完了致度候事
一第十四条中又ハ交換尻支払金ヲ当日ノ正午十二時(土曜日ハ十一時三十分)迄ニ日本銀行ニ振込マサルトキハ云々、トアルヲ「又ハ交換尻支払金ヲ交換結了時間後一時三十分以内ニ日本銀行ヘ振込マサルトキハ、云々ト」修正致度候
  但右ハ今後日ノ長短ニ依リ交換時間ヲ伸縮可致考ニ有之、且又土曜日ニ限リ振込時間ヲ短縮致候モ実際難行届場合モ有之候ニ付、本文ノ通相願度候
一第二十八条修正案 定式総会ハ毎年一月・七月委員ノ定ムル時日ニ於テ之ヲ開キ委員ヨリ前半季了務ノ要領及経費決算ヲ報告スルモノトス
一第二十九条修正案 臨時総会ハ委員ニ於テ必要ト認ムルトキ、又ハ組合銀行五行以上ノ請求アルトキハ、何時ニテモ開会スルコトヲ得
一罰則第四条ノ次ニ左ノ一項ヲ追加致度候
 第 条決算続了時刻ヲ経過シ其誤謬ヲ発見セサルトキハ、十分時間毎ニ各金二十銭ヲ追徴ス
      以上


第四回東京交換所事務報告 (自明治二九年七月至同年一二月)(DK070041k-0020)
第7巻 p.317 ページ画像

第四回東京交換所事務報告 (自明治二九年七月至同年一二月)
    事務要件
○中略
一十二月十六日日本銀行ヘ当交換所規則中修正ノ件ヲ照会シ其二十五日同意ノ回答ヲ得タリ


銀行通信録 第三六巻・第五二頁〔明治三六年一一月一五日〕 東京交換所組合銀行第八十八回定式集会(DK070041k-0021)
第7巻 p.317-318 ページ画像

銀行通信録 第三六巻・第五二頁〔明治三六年一一月一五日〕
    ○東京交換所組合銀行第八十八回定式集会
明治三十六年十一月五日午後六時より、東京銀行集会所に於て開会、出席銀行三十一行、会員三十三名にして、委員池田謙三氏会長席に着き
○中略
夫より当日の議題たる
 (第一号)規則改正案(其要領如左)
 一現行規則第七章不渡手形に関する各条を第二章第十二条以下に編入して其手続を統一し、且第十六条第十七条に於て新に制裁を設けたること
 一代理交換現行規定第二十二条代理交換に関する箇条を第四章に編入して其手続を統一したること
 一罰則中交換方違算の箇条を廃し遅参又は不参の罰金を加重し、且地方銀行の手形小切手不渡処分に対し取消しを請求したる場合に
 - 第7巻 p.318 -ページ画像 
於て新に過怠金額を定めたること
 一当座取引ある銀行の小切手不渡となりたるときは其小切手支払銀行より金五円を徴すること
を議に附し、審議の末会長指名の委員七名に調査を附託することに決し、会長は川島忠之助(正金支店)安藤浩(川崎)島甲子二(帝国商業)山口荘吉(二十)滝沢吉三郎(住友支店)池田成彬(三井)松尾謹次(第七十八支店)の七氏を指名せり


調査委員会録事(DK070041k-0022)
第7巻 p.318-319 ページ画像

調査委員会録事 (東京手形交換所所蔵)
    規則改正案調査委員会録事
当交換所規則改正案調査委員会ハ十一月十一日及同月十八日○明治三十六年両度ニ開会シ、第一回委員会ニ於テ正金銀行東京支店川島忠之助氏ヲ委員長ニ推選シ、先ツ改正案各条ヲ調査シ、取捨修正ヲ加ヘテ大体ヲ決シ、次会ニ於テ審議ノ上之ヲ協定セリ、其要領左ノ如シ
    要領
改第十六条 前条ノ報告ヲ受ケタル組合銀行ハ爾後本人ニ対シ当坐及手形ノ取引ヲ拒絶スヘシ、違背シタルモノハ、云々ノ末項制裁ヲ刪除シ、之ニ代ユルニ修第五十六条ノ罰則ニ於テ二十五円ノ過怠金ヲ徴収スヘキコトト為シ、且ツ改第三十六条委托銀行ニ於テ取引停止者ニ取引シタル場合ノ制裁ヲ本条ニ合併セリ
  但改正案ニ、当坐及手形ノ取引ヲ拒絶スヘシトシタルハ、取引ノ都合ニ依リ該不渡手形振出人ノ手形ヲ書替ヘサルヘカラサル場合ナキニシモアラザレハ、現行規則ノ通草々取引ヲ拒絶スヘシト修正ス
修第十七条 本条ハ現行規則第四十五条ニ字句ノ修正ヲ加ヘタルモノニシテ、改正案ニ遺漏シタル趣監事ヨリ申出ニ付之ヲ追加セリ
改第二十三条 組合銀行経費負担ノ箇条ハ、第四十九条ト重復ノ嫌アリテ必要ナキヲ以テ、之ヲ刪除セリ
改第二十九条 組合銀行中営業危険、云々ノ箇条ハ修第五十条罰則ニ編入シ、且ツ新タニ但書ヲ追加セリ
改第三十六条 ハ第十六条ノ修正ニ依リ必要ナキヲ以テ之ヲ刪除セリ
改第五十一条 第五十二条経費負担ノ規定ハ併セテ一条トシ、修第四十九条ノ通訂正セリ
改第五十三条 交換開始時間五分前遅参ノ過怠金ヲ刪除シ、更ニ修第五十一条及第五十二条ノ通別ニ制裁ヲ設ケタリ
改第五十四条 交換開始五分後ノ過怠金ヲ刪除シ、修第五十三条ノ通訂正セリ
改第五十五条 正当ノ理由ナクシテ欠席シタルモノヽ過怠金五十円ヲ百円トシ、修第五十四条ノ通訂正セリ
改第五十七条 銀行ノ過失ニ係ル過怠金ノ規定ニ第十六条ノ制裁ヲ移シ、修第五十六条ノ通訂正セリ
改第五十八条 在地方銀行ノ手形小切手不渡処分取消ノ過怠金百円ヲ五十円トシ、修第五十七条通訂正セリ
改第五十九条 ハ全然之ヲ刪除セリ
 - 第7巻 p.319 -ページ画像 
  但本条不渡手形小切手ノ名宛銀行ニ対スル制裁ハ追テ組合銀行会議ニ謀リ適当ノ制裁ヲ設ケタル方可然トノ事ナリシ
      以上
  第一回出席委員
               委員長    渋沢栄一
               委員     豊川良平
               同      池田謙三
               調査委員   川島忠之助
               同      安藤浩
               同      島甲子二
               同      山口荘吉
               同      池田成彬
               同      松尾謹次
               監事     山中譲三
                但滝沢吉三郎氏不参
   ○第二回ニハ栄一・豊川・池田(謙)欠席。


交換所委員廻議 第七号 明治三六年(DK070041k-0023)
第7巻 p.319-320 ページ画像

交換所委員廻議 第七号 明治三六年 (東京手形交換所所蔵)
明治三十六年十一月二十日        東京交換所監事(印)
   委員長
   委員
   規則改正調査委員長ヨリ該委員会之結果別紙之通報告有之候ニ付、供廻覧候
    追テ右規則修正案ハ来十二月組合銀行定式集会ヘ提出決議ヲ要シ候事
(別紙)
  東京交換所規則改正案調査結果報告
十一月五日組合銀行決議ニ依リ、当交換所規則改正案調査付托ニ付、再応委員会相開審議ヲ遂ケ、別冊ノ通取捨修正相加候ニ付、左ニ其大要ヲ列記シ、此段御報告申上候也
            交換所規則改正調査委員長
  明治三十六年十一月廿日         川島忠之助
   東京交換所委員長
    男爵 渋沢栄一殿
    修正要旨
一改正案第十六条ニ前条ノ報告ヲ受ケタル組合銀行ハ云々、違背シタルモノハ第二十九条ニ拠リ処分スヘシトノ制裁ヲ刪除シ、修第五十六条ノ罰則ニ於テ過怠金ヲ徴収スヘキコトニ訂正セリ
一同第二十三条組合銀行経費負担ノケ条ハ、第四十九条ト重復ノ嫌アルヲ以テ、之ヲ刪除セリ
一同第二十九条組合銀行中営業危険云々、ノケ条ハ之ヲ修第五十条罰則ニ編入シ、新タニ但書ヲ追加セリ
一同第三十六条委托銀行ニ於テ云々、当坐及手形ノ取引ヲ為スヘカラス違背シタルモノハ代理交換ヲ拒絶スヘシトノ条ヲ刪除シテ、第十
 - 第7巻 p.320 -ページ画像 
六条ニ組合銀行及委托銀行ハ云々爾後取引ヲ拒絶スヘシト修正セリ
一同第五十一条第五十二条ヲ併セテ一条トシ、修第四十九条ノ通訂正セリ
一同第五十三条交換開始時間五分前遅参ノ過怠金ヲ刪除シ、更ニ修第五十一条及第五十二条ノ通交換方ノ制裁ヲ設ケタリ
一同第五十四条交換開始前五分後ノ過怠金ヲ刪除シテ、修第五十三条ノ通訂正セリ
一同第五十五条正当ノ理由ナクシテ欠席シタル過怠金五十円ヲ百円ト改メ、修第五十四条ノ通訂正セリ
一同第五十七条ヲ修第五十六条ノ通訂正セリ
一同第五十八条罰金壱百円ヲ五十円ニ改メ修第五十七条ノ通訂正セリ
一同第五十九条不渡小切手名宛銀行ヨリ過怠金徴収ノ件ハ全然刪除セリ
    以上


会議録 第二号 従明治卅六年一月至同四十四年十一月(DK070041k-0024)
第7巻 p.320-321 ページ画像

会議録 第二号 従明治卅六年一月至同四十四年十一月 (東京手形交換所所蔵)
    ○東京交換所第八十九回定式集会録事
明治三十六年十二月七日午後五時ヨリ、東京交換所組合銀行第八十九回定式集会ヲ開キ、来会シタル銀行二十九行其出席会員三十名ナリ、一同列席ノ上委員豊川良平氏会長席ニ就キ開会
○中略
夫レヨリ規則改正案ニ対シ調査委員取調ノ結果ヲ報告シ、尋テ本案調査委員長川島忠之助氏ヨリ修正ノ理由ニ付詳細説明シ、且ツ改正案第五十九条罰則当坐取引アルモノヽ小切手不渡トナリタルトキハ其小切手名宛銀行ヨリ金五円ヲ徴収ス、トノ箇条ハ委員中ニ於テ原案ヲ適当ト認メタル向モアリシカ、多数ノ意見一致セサルヲ以テ、遂ニ全然刪除スヘキコトニ決セリ、但本条ニ代フルニ左ノ如キ制裁ヲ組合銀行集会ニ於テ決議致置度ト調査委員一同ノ希望ナリ
    其要旨
  毎月不渡手形ヲ出シタル銀行ヲ区別シテ其統計ヲ作リ、各銀行ニ配付シ、其数多キ向ヘ対シテハ当交換所ヨリ特ニ注意ヲ与フヘキ事
右調査委員報告並ニ希望ノ点ニ付協議セシニ大体ニ於テハ委員報告ノ通リ全会一致同意ヲ表シテ之ヲ是認シ、字句ニ付第一銀行西脇君、十五銀行成瀬君、二十銀行山口君ニ左ノ修正意見アリ
第十八条第一項ヲ
 第十四条ニ依リ取引停止ヲ免カレタルモノ再ヒ手形ノ不渡ヲナシタルトキ(以上西脇君)
第三十四条中
 「支払資金ナキ」ノ六字ヲ「不渡トナリタル」ノ七字ニ代ユ
第四十四条中
 「銀行重役」ヲ「銀行員」ト修正
第五十一条及五十二条中
 「支配人」ノ三字ヲ刪除(以上成瀬君)
 - 第7巻 p.321 -ページ画像 
各条項中集会総会ノ文字アリ可成総会ニ一体シタシ(以上山口君)
右修正意見中、集会総会ノ文字選択ノ件ハ調査委員長ニ一任シ、其他修正ノ通リ協議一決シ、来ル三十七年一月ヨリ実施スヘキコトヽナシ
尚字句修正ニ意見アレバ監事ヘ通知スヘキコトニ決定セリ
○中略
            当日出席者
              第一      西脇長太郎
              第三      稲生豊次郎
              十五      成瀬正恭
              二十      山口荘吉
              二十七     安藤三男
              三菱      豊川良平
              三井      池田成彬
              安田      中根乕四郎
              浪速      山中隣之助
              帝商      今井彦四郎
              川崎      安藤浩
              同       杉浦甲子良
              東海      笹井慎次郎
              四十一     益子右馬助
              七十八     松尾謹次
              百十三     古山数高
              中井      野島泰次郎
              東京      草刈隆一
              八十四     山田丈太郎
              八十九     桜井米太郎
              新潟      藁品槍太郎
              第十      山本彦吉
              三十五     須田盛泰
              明商      長谷川千蔵
              十九      内藤尚
              四十      根岸盛太郎
              正金      川島忠之助
              肥後      遠藤遠
              住友      滝沢吉三郎
              丁酉      清水宜輝
              監事      山中譲三


東京手形交換所沿革大要 (創立満二十年紀念) 第二四―二六頁(DK070041k-0025)
第7巻 p.321-322 ページ画像

東京手形交換所沿革大要 (創立満二十年紀念) 第二四―二六頁
    東京交換所役員
当交換所委員ハ毎年一月ノ総会ニ於テ組合銀行ノ選挙ニ依リ上任スル規程ニシテ、其定員三名ナリ、而シテ二十年東京手形交換所創立ヨリ二十四年二月二十八日迄ハ渋沢男爵・故西邑虎四郎・佐々木慎思郎ノ三氏之レヲ継続シ、同年三月一日新タニ組織シタル東京交換所委員ニ
 - 第7巻 p.322 -ページ画像 
モ亦右渋沢・西邑・佐々木ノ三氏推選セラレ、二十五年一月ノ選挙ニハ山中隣之肋氏西邑虎四郎氏ニ代リ、二十九年一月ノ選挙ニハ池田謙三氏山中隣之助氏ニ代リ、三十一年一月ノ選挙ニハ豊川良平氏佐々木慎思郎氏ニ代リ、爾来毎年ノ選挙ニハ渋沢男爵・豊川良平・池田謙三ノ三氏皆重任セリ、乃チ其在職年限ヲ挙クレハ、渋沢男爵ハ二十箇年佐々木氏ハ十一箇年、山中氏ハ四箇年、池田氏ハ十二箇年、豊川氏ハ十箇年ナリ、其委員長ハ創業以来三十八年迄毎年ノ互選ニ於テ渋沢男爵之レヲ継続シ、三十九年ノ互選ニ於テ豊川氏渋沢氏ニ代リテ就任セリ、而シテ監事ノ職責ハ最初山中譲三氏ニ任命シタル以来今日ニ至ル迄之レヲ継続セリ、其氏名左ノ如シ
        役員姓名
  年次    委員長          委員                委員            監事
 明治二十年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 三井銀行副長故西邑虎四郎      二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十一年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 三井銀行副長故西邑虎四郎      二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十二年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 三井銀行副長故西邑虎四郎      二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十三年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 三井銀行副長故西邑虎四郎      二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十四年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 三井銀行副長故西邑虎四郎      二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十五年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 浪速銀行取締役東京支店長山中隣之助 二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十六年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 浪速銀行取締役東京支店長山中隣之助 二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十七年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 浪速銀行取締役東京支店長山中隣之助 二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十八年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 浪速銀行取締役東京支店長山中隣之助 二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同二十九年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同三十年  第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       二十銀行取締役佐々木慎思郎 山中譲三
 同三十一年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十二年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十三年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十四年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十五年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十六年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十七年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十八年 第一銀行頭取男爵渋沢栄一 第百銀行取締役池田謙三       三菱銀行部々長豊川良平   山中譲三
 同三十九年 三菱銀行部々長豊川良平  第百銀行取締役池田謙三       第一銀行頭取男爵渋沢栄一  山中譲三
 同四十年  三菱銀行部々長豊川良平  第百銀行取締役池田謙三       第一銀行頭取男爵渋沢栄一  山中譲三
   ○明治三八年一二月栄一委員長ヲ辞シ委員ト為ル。


日本銀行往復書類(DK070041k-0026)
第7巻 p.322-323 ページ画像

日本銀行往復書類          (東京手形交換所所蔵)
明治三十五年五月十五日
当交換所委員長男爵渋沢栄一、本月十五日当地出発来十月帰朝ノ予定ヲ以テ欧米ヘ漫遊致候ニ付、不在中委員豊川良平委員長代理致候ニ付此段御届申上候也
                      東京交換所
  日本銀行総裁山本達雄殿
 - 第7巻 p.323 -ページ画像 
  大蔵大臣 男爵曾禰荒助殿
             各通



〔参考〕明治商工史 第一二四―一二五頁〔明治四四年三月〕(DK070041k-0027)
第7巻 p.323-324 ページ画像

明治商工史 第一二四―一二五頁〔明治四四年三月〕
  手形交換所 (東京交換所監事山中譲三)
    総論
 商業機関の未だ整頓せざる時代に在りては、物資の売買・仕払の方法は悉く現金を以てせるを以て、其の不便にして危険なる事甚しく、是が為に欧米諸国に於ては夙に信用手形の使用行はれ、又手形交換所の設立ありしと雖も、我が邦の如きは多年現金取引にのみ依りて、信用手形の使用容易に行はれざりしが故に、手形交換所の創設を見るまでには、比較的長年月を費したり。
 手形交換の奨励 明治十年渋沢男爵の主唱により銀行団体として択善会を組織して、斯業の進歩発達を計られたるが、当時商業社会の状態は総べて現金取引にして、手形及小切手取引の如きは全然絶無なりしを以て、男爵は欧米先進国の実情に鑑み、将来商業の敏活と発展とを図るには悉く現金を用ふるの不便を避け、盛に手形取引を行ふの必要を認められ、其の第一着歩として最も簡易なる小切手授受の安全なることを唱導し、熱心手形取引を奨励したりと雖も、商業思想の極めて幼稚なりし当時の実業家は、相互に信用を重んずるの観念に乏しく、一紙片に過ぎざる手形の取引を行はんとする者無きより、種々苦心の結果、先づ小切手の支払保証の方法を案出し、取引銀行に於て支払に堪ふる預金の有無を調査したる上「保信」なる捺印をなして後通用せしむる事となしたるも、依然実行覚束なき状態なりき、然るに明治十五年為替手形約束手形条例発布せられ、商業手形に対して一定の保護を与へらるゝに臨み、渋沢男爵等は有力なる実業家を招き、手形の使用、信用取引の方法を講習し、又今の子爵田尻稲次郎氏を招請して手形に関する講話を求むる等、鋭意是が奨励に務めたる結果、明治十九年頃より漸く其の実行を見るに至れり、時恰も前年の不景気回復して起業熱勃興するに連れ、金融緊縮して経済界頓に活況を呈し来り玆に数年来の先覚者の誘導漸く其効果を現し、手形及小切手流通追々盛なるに至れり。
 東京手形交換所の開廃 第一銀行外十五行協議して先つ手形の交換を行ふことに決し、米国紐育手形交換所の規定を参酌折衷して新に交換の方法を設け、明治二十年十二月東京手形交換所を創立し、前記各銀行に於て支払ふべき手形及小切手の交換を開始せり、是れ実に現今東京交換所の前身なり、然るに米国には中央銀行の設置なく、従て米国式に則れる此の交換所には、現今の如く日々の交換差額を日本銀行当座預金の振替勘定を以て決済するの方法無かりしが為に、其の決済は一々借方銀行より小切手を振出して貸方銀行に交付するの方法を採れる結果、交換所小切手なる一種の勘定を残し、実際の決済をなさんと欲すれば、則ち右小切手の取付を為さざるべからずして其の不便甚しく、又当時尚ほ現金取引全く廃止するに至らず、組合銀行中、往
 - 第7巻 p.324 -ページ画像 
往手形の交換時間前に於て現金の取付を為すものあり、其の他幾多の欠陥ありしを以て、明治二十四年二月十八日限《(二十八)》り断然交換所を閉鎖したり。
 東京交換所 是より先、第一・第三・十五・二十・二十七・第百・百十九(三菱)・三井・安田・十三銀行支店(鴻池)、及三十二銀行支店(浪速)の十一行の協議に依り、完全なる手形交換所を組織するに決し、日本銀行と相謀りて、交換差額は、英国倫敦手形交換所の制に傚ひ、日本銀行の振替勘定を以て決済することゝなし、又組合銀行は其受入れたる一切の手形は必ず交換所に持出し、現金の取付は全く厳禁するものとなし、名称を東京交換所とし、現今の日本橋区坂本町東京銀行集会所内に於て、明治二十四年三月一日交換を開始したり。