デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

  詳細検索へ

公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.15

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
1節 海運
6款 日本汽船株式会社
■綱文

第8巻 p.318-345(DK080020k) ページ画像

明治40年2月2日(1907年)

同会社創立発起人ト為リ、是日開カレタル創立発起人総会ニ於テ創立委員長ニ推挙サル。爾来屡々創立委員会ヲ開催シ設立ニ関スル協議ヲ重ネタレドモ、時恰モ経済界不況ニ際会シ、遂ニ会社成立ニ到ラズシテ十一月六日設立廃止ニ決ス。


■資料

渋沢栄一 日記 明治四〇年(DK080020k-0001)
第8巻 p.318-319 ページ画像

渋沢栄一日記 明治四〇年
一月二十六日 曇 寒
○上略午後四時ヨリ日本汽船会社設立ノコトニ関シ、内田局長及船主数名来会シ、書類ヲ審議シ、発起人総会ニ関スル手続ヲ協議ス○下略
二月二日 晴 寒
○上略午後一時銀行集会所ニ抵リ、日本汽船会社創立ノコトニ関シ発起人会ヲ開キ、一場ノ演説ヲ為ス、畢テ創立委員会ヲ開キ、要務ヲ決議ス○下略
二月十四日 晴 軽暖
○上略十一時銀行集会所ニ抵リ、日本汽船会社発起人会ヲ開キ、会社創立ニ関スル要務ヲ議決ス○下略
三月十三日 曇 軽暖
○上略
此日午後二時浅野・岡崎・岸本氏等来リ、日本汽船会社ノコトヲ談ス
三月二十九日 曇 軽暖
○上略
午後三時銀行集会所ニ抵リ、日本汽船会社創立ニ関スル各船主ノ所有船舶評定ノコトヲ決行シ、一場ノ演説ヲ為シテ其評定ニ至リタル手続ヲ説明ス、次ニ内田氏・三好氏ノ演説アリ、午後五時散会○下略
四月十三日 晴風アリ 暖
○上略午前十一時兜町事務所ニ抵リ、日本汽船会社創立委員会ヲ開キ、内田・浅野・浜・岡崎・岸本諸氏来会、要務ヲ協議ス○下略
六月十七日 曇 冷
○上略日本汽船会社ノコトニ関シ浅野・岡崎・岸本数氏ト種々ノ談話ヲ為ス、夜ニ入リテ王子ニ帰宿ス
六月十九日
○上略午後二時兜町事務所ニ抵リ、浅野・岡崎・岸本・西川及岸・高根両弁護士ト共ニ、日本汽船会社ノコトヲ協議ス○下略
六月二十一日 曇 冷
○上略
午後五時事務所ニ抵リ、日本汽船会社ノコトニ関シ法律上ノ討議会ア
 - 第8巻 p.319 -ページ画像 
リ、高根・岸・浅野・岡崎・岸本・西川諸氏来会ス
八月十日 曇午後電雨《(マヽ)》 暑
○上略午飧後兜町事務所ニ抵リ、日本汽船会社創立委員会ヲ開キ、岡崎岸本・浜政弘・西川荘三・高根義人諸氏来会ス、種々議論ノ末追テ発起人《(会脱)》ヲ開クコトニ決定シテ散会ス
○下略
十月十四日 曇 冷
○上略午後二時銀行倶楽部ニ抵リ、日本汽船会社創立委員会ヲ開キ、種種ノ協議ヲ為スモ、充分ノ議決ヲ得ス、再会ヲ約シテ散会ス、此日会スル者岡崎・岸本・西川・山下・安藤(以上船主方ノ人々)大倉・馬越・福沢・渡辺福三郎・梅浦・浜等(以上船主外ノ人々)、午後八時王子ニ帰宿ス
十一月六日 曇 冷
起床後桜井義肇氏ノ来訪ニ接ス、午前八時半朝飧ヲ畢リ、十時兜町事務所ニ抵リ、更ニ銀行集会所ニ抵リテ、日本汽船会社設立廃止ノコトヲ創立委員諸氏ト協議ス○下略
十一月二十日 晴 寒
○上略四時銀行集会所ニ抵リ、日本汽船会社発起人会ヲ開キ、要務ヲ議決ス○下略


竜門雑誌 第二二三号・第四三―四四頁〔明治三九年一二月二五日〕 ○新汽船会社の成立期(DK080020k-0002)
第8巻 p.319 ページ画像

竜門雑誌  第二二三号・第四三―四四頁〔明治三九年一二月二五日〕
○新汽船会社の成立期 日本船主同盟会の主唱にて、其所属船主を合同し汽船会社を創立せんとする計画は、久しき以前より噂のありし所なりしも、今日迄成立の運びに至らざりしが、此程に至り其機漸く熟して設立の期に近けり、元来此種会社の創立手続中、最も困難とする所は各船主所有船舶の評価を為すにあり、然るに其後各船主は其所有船の評価を青淵先生の指名せらるゝ、評価委員の裁定に一任することを承認したるを以て、直に船主に向つて新会社に加盟の調印を徴したるに、加盟者既に十三万噸以上に達したるが、合同に加入せしむる船舶は一千噸以上のもの約二十万噸の予定にして、近々予定噸数の調印を了する見込なり、又新会社の資本金は二千万円と決す可く、其内一千万円は右の二十万噸に対する買収費に充て、他の一千万円は会社成立と同時に建造す可き新船数隻の造船費及び其他に充つる計画なりと、而して船価の評定を終ると共に株式募集に着手する由なれば、会社の成立期は明春早々なる可く、重なる船主に有力なる実業家を加へて発起人とし、創立委員長は青淵先生に嘱托する事に決し居れりと云ふ、尚ほ新会社々長は松方伯、青淵先生及び近藤郵船社長の三名にて選定する筈なりと云ふ


竜門雑誌 第二二四号・第四〇頁〔明治四〇年一月二五日〕 ○青淵先生と日本汽船会社(DK080020k-0003)
第8巻 p.319-320 ページ画像

竜門雑誌  第二二四号・第四〇頁〔明治四〇年一月二五日〕
○青淵先生と日本汽船会社 青淵先生が今回創立委員長となられたる日本汽船会社は、前号に記する如く、日本船主同盟会の主唱にて在来の汽船業者を統一し整理して一大団結を為さんとするものにして、其
 - 第8巻 p.320 -ページ画像 
汽船約二十万噸に上り、日本郵船会社及大阪商船会社等の勢域外に立ち、内外の航海を発展するの計画にて、資本金は総額二千万円とし、内一千万円は船主側(従来の汽船一噸五十円と見積り二十万噸に対する評価額)にて之を引受け、残一千万円は公衆より募集する都合にて汽船評価委員は青淵先生之を選任する都合なるが、重役の選任も亦先生の指定に俟つ筈にて、社長には管船局長内田嘉吉氏現職を辞して就任の内議中なりと云ふ


竜門雑誌 第二二五号・第四二頁〔明治四〇年二月二五日〕 ○日本汽船会社創立事務の進行(DK080020k-0004)
第8巻 p.320 ページ画像

竜門雑誌  第二二五号・第四二頁〔明治四〇年二月二五日〕
○日本汽船会社創立事務の進行 先生の発起人となられたる同会社のことに就ては、屡々記載を経しが、其の後本月三日同会社《(二)》の発起人会を日本橋区坂本町東京銀行集会所に開き、先生其の会長となりて従来の経過を報告し、次に馬越恭平氏の発議に依り、先生の指名にて創立委員を選定することゝなり、先生は左の通り指名を為したり
    船主外
  渋沢栄一   大倉喜八郎   浅野総一郎
  中野武営   馬越恭平    浜政弘
  梅浦精一   佐々木慎思郎  渡辺福三郎
  朝田又七   滝兵右衛門   奥田正香
  土居通夫   志方勢七    伊藤長七郎
  岸本豊太郎  福沢桃介
    船主側
  岡崎藤吉   岸本兼太郎  尾城満友
  山県勇三郎  原田十次郎  西川荘三
  八馬兼介   安藤新太郎  松本良太郎
  山下亀三郎  吉田長敬
斯くて先生は推されて委員長となり、同日の協議に依りて、前記委員中
  馬越恭平   浅野総一郎  朝田又七
  浜政弘    岡崎藤吉   岸本兼太郎
の六氏を常務委員に指名せられしが、創立事務は西川荘三氏これを担当することゝなりて、本月八日兜町なる渋沢家事務所に常務委員会を開き、越て十四日東京銀行集会所に創立委員会を開きて定款・目論見書・趣意書・株式分配・広告方法・取扱銀行及其契約並に創立費支出の件等に就き承認を経、株式募集に着手することゝなれり
  ○二月九日栄一日記記事欠ク。


東京経済雑誌 第五五巻第一三七四号・第二二八頁〔明治四〇年二月九日〕 ○日本汽船会社発起人総会(DK080020k-0005)
第8巻 p.320-321 ページ画像

東京経済雑誌  第五五巻第一三七四号・第二二八頁〔明治四〇年二月九日〕
○日本汽船会社発起人総会 日本汽船会社にては去る二日銀行集会所に於て発起人総会を開けり、出席者は外界より渋沢栄一・大倉喜八郎・早川鉄治・馬越恭平氏外廿四名、船主側より岡崎藤吉・安藤新太郎・西川荘三・山下亀三郎氏外廿三名、開議に先ち渋沢男より今日迄の経過報告あり、尋で渋沢男を座長に推し本議に入り、定款に就き協議したるに、結局其修正を創立委員に一任し、創立委員の選定は渋沢
 - 第8巻 p.321 -ページ画像 
男に一任することに決し、男は速に左の如く外界より十七名、船主より十一名を指名し、創立委員は委員長には渋沢男を推したるが、更に同会員中より常務委員七名を設け、又別に出資船舶の評価委員七名を設くることゝなれり
    ○外界創立委員
 渋沢栄一・大倉喜八郎・浅野惣一郎・中野武営・馬越恭平・浜政弘梅浦精一・佐々木慎思郎・渡辺福三郎・朝田又七・滝兵右衛門・奥田正香・土居通夫・志方勢七・伊藤長次郎・岸本豊太郎・福沢桃介
    ○船主側創立委員
 岡崎藤吉・岸本兼太郎・尾崎満友《(尾城満友)》・山県勇三郎・原田七次郎《(原田十次郎)》・西川英三《(西川荘三)》・八馬兼助《(八馬兼介)》・安藤新太郎・森本良太郎《(松本良太郎)》・山下亀三郎・吉田長敬辰馬半右衛門


渋沢栄一 書翰 近藤廉平宛(明治四〇年)二月二日(DK080020k-0006)
第8巻 p.321 ページ画像

渋沢栄一 書翰  近藤廉平宛(明治四〇年)二月二日
                    (八十島親義氏所蔵)
○上略今日書面ニて申上候新滊船会社設立ニ関し、船価評定委員として茂木鋼之氏を御労申上度ニ付、何卒御認可被下度候、委細ハ浜政弘・岡崎藤吉両氏よりも申上候筈ニ御坐候、右一書奉得芳意候 匆々拝具
  二月二日
                       渋沢栄一
    近藤廉平様
        梧下


竜門雑誌 第二二八号・第二二―二三頁〔明治四〇年五月二五日〕 ○日本汽船会社創立委員会(DK080020k-0007)
第8巻 p.321 ページ画像

竜門雑誌  第二二八号・第二二―二三頁〔明治四〇年五月二五日〕
○日本汽船会社創立委員会 日本汽船会社創立委員会は本月○五月三日東京銀行集会所に開会し、創立委員長たる先生より先づ創立事務の経過を報告あり、猶株式は既に全部引受済となりしも、経済界不況の為め払込を催告すると共に或は多少の棄権者を生ずるの虞なきにあらざるも、斯る場合には船主側其他に於て之を引受くべき旨を述べ、目下海運事業好況の折柄成るべく事業の進行を急にせられんことを希望せられたり、次に大倉喜八郎氏は、発起人より資本金一千万円を減少して二千万円と為すの提議を為すべし、との発議を為せしに、別に異議なく之を是認することゝなり、本月二十五日頃を期して第一回の払込を為し、来月上旬創立総会を開きて着々事務の進行を謀ることに決したり
  ○五月三日栄一日記記事ヲ欠ク。


竜門雑誌 第二三四号・第二七頁〔明治四〇年一一月二五日〕 ○日本汽船会社の解散(DK080020k-0008)
第8巻 p.321 ページ画像

竜門雑誌  第二三四号・第二七頁〔明治四〇年一一月二五日〕
○日本汽船会社の解散 日本汽船会社創立委員は本月○一一月六日会合の上、会社設立廃止の決議を為したるが、二十五円払込の分に対しては払込金全額及日歩五厘の利子を、証拠金五円払込の分に対しては其払込金全額を割戻すことゝし、創立費及小栗銀行預金欠損額は発起人に於て分担し、一切株主に迷惑を及ぼさしめざる方針なりと云ふ


竜門雑誌 第二三五号・第五一頁〔明治四〇年一二月二五日〕 ○日本汽船会社の清算(DK080020k-0009)
第8巻 p.321-322 ページ画像

竜門雑誌  第二三五号・第五一頁〔明治四〇年一二月二五日〕
 - 第8巻 p.322 -ページ画像 
○日本汽船会社の清算 日本汽船会社が設立廃止となりしことは前号に記せしが、右に付木挽町創立事務所に清算事務所を設け、本月○一二月上旬より前号に記せる払戻を開始せしが、清算人の氏名は左の如し
    浜政弘   岡崎藤吉   岸本兼太郎
    尾城満友  青淵先生


日本汽船株式会社 趣意書 目論見書 定款(DK080020k-0010)
第8巻 p.322-332 ページ画像

日本汽船株式会社 趣意書 目論見書 定款
  創立趣意書
四囲環海ノ我帝国ハ、西ニ東亜ノ沃野ヲ控ヘ、東遥ニ南北両米ノ豊壌ニ対シ、南ノ方遠ク濠洲ノ富源ヲ望ム、是レ世界ノ海国トシテ天賦ノ好地位ヲ占ムルモノニシテ、歳ト与ニ其ノ地歩ヲ進ムルハ素ヨリ当ニ然ルヘキ所ナリ、加之日露ノ戦役ハ帝国ノ実力ヲ中外ニ宣揚シ、幾多生産事業ノ勃興ニ伴ヒ、天産物ノ輸入ニ加工品ノ輸出ニ対外貿易ノ発展著シク、物資ノ集散日ニ繁キヲ加ヘ、駸々トシテ止マサルノ勢アリ此優勝ノ地位ト此逸スヘカラサル好機トヲ利用シテ、大ニ海運ノ事業ヲ興シ、天恵ノ恩沢ニ副フルハ此時ヲ措テ将タ何レノ時ソヤ
戦役以来、帝国汽船ノ増加ハ三十有余万噸ニ達セリト雖モ、之ヲ我国力ノ発展ト内外貿易ノ進運トニ対比セハ、尚未タ多シトスルニ足ラス、夫レ英・米・独・仏其他ノ列国カ我ト国情ヲ異ニシ、船員ノ給料手当等ニ於テ比較的多額ナル支出ヲ要スルニ拘ラス、其船舶ヲ東洋ニ増派シ優ニ利益ヲ収メツヽアルニ徴スルニ、我ハ天賦ノ地利ト鮮少ノ経費トヲ以テシテ之ニ対峙拮抗セハ、優越ノ地歩ヲ占ムル豈難シトセンヤ、況ンヤ印度・南米・爪哇・濠洲等ノ新航路ニシテ我開発スヘキ余地綽々トシテ存スルニ於テヲヤ、然リ而シテ、之ニ対スルノ経営ハ固ヨリ各個人又ハ小会社ノ能クスル所ニアラス、須ク多大ナル資本ト秩序アル基礎トノ下ニ施設スル所ナカラサルヘカラサルハ敢テ多弁ヲ要セサルヘシ
我輩等玆ニ於テ見ル所アリ、内国有力ノ船主ヲ糾合シテ一大汽船会社ヲ創設シ其所有船舶約壱百隻二十万噸ヲ買収シテ営業ノ基礎ト為シ、之ヲ我沿岸及近海ノ交通ニ充テ、進ンテハ航海奨励法ノ規定ニ適合スル船舶ヲ取得シ、以テ有利ノ遠洋航路ヲ開始シ、奮テ海運ノ振張ヲ企図セントス、蓋シ斯ノ如キハ啻ニ其事業ノ確実有望ナルノミナラス、亦以テ戦後経営ノ一大要求ニ応スルモノナリト信ス、而シテ買収船舶ノ価格ハ最モ公平ナル裁定ニ一任シ、各船主ハ之ニ依テ其船舶ヲ提供スルコトヲ確約セリ、従テ新会社ハ多年各船主ノ有シタル海上運送ノ得意ト利便トヲ継承スルモノナルヲ以テ、其営業基礎ノ鞏固ナルハ勿論、会社成立ノ日ヨリ直ニ其業務ヲ開始シ、創業第一期ヨリ相当ノ利益ヲ収メ得ヘキハ我輩等発起人ノ堅ク信シテ疑ハサル所トス、玆ニ新会社創立ノ趣旨ヲ叙シ、大方ノ賛同ヲ仰ク、幸ニ別紙目論見書ニ依リ事業経営ノ大要ヲ諒セラレンコトヲ乞フ
  明治四十年二月            発起人

(別紙)
  目論見書
 - 第8巻 p.323 -ページ画像 
第一、営業方針ノ概要
 (一)本会社ハ、現今東洋航路ノ営業ニ従事スル個人又ハ会社所有ノ日本汽船約百隻弐拾万噸ヲ買収シ、之ヲ営業ノ基礎トシ、漸次造船規程ニ合格シ航海奨励金ヲ受クル資格アル新船ヲ購入又ハ建造シ、内外航路ノ拡張ヲ企図セントス
 (二)本会社ハ、前記買収船舶ヲ其積量・速力・吃水ニ応シ之ヲ有利ナル内外航路ニ配置シ、会社ノ設立ト同時ニ営業ヲ開始シ、漸次新造船舶ノ竣成ヲ俟チ、従来ノ船舶ト更代セシム
 (三)本会社ハ、営業ノ初期ニ於テ、総噸数毎艘平均約五千噸速力約十二海里ヲ有スル貨物汽船八隻内外ヲ購入又ハ新造セシムル計画ナリ
第二、営業ノ特色
 (一)本会社ノ船舶ハ貨物専用船ヲ主トスルヲ以テ構造ノ堅牢ヲ期スルモ、旅客船又ハ貨客併用船ノ如ク速力装飾等ヲ競フノ必要ナシ、故ニ船価ノ低廉ナルノミナラス、営業経済ニ於テ多額ノ経費ヲ節約シ得ルノ利益アリ
 (二)貨物船ハ旅客船ニ比シ其造船価格ノ低廉ニシテ且船費ノ経済的ナルニ拘ラス、其収入ニ帰スヘキ荷物運賃航海奨励金ハ差等ナキヲ以テ、本社ノ新造船ハ旅客船ニ比シ多額ノ純益ヲ生スヘシ
 (三)本会社ノ所有ニ属スヘキ船舶ノ大部分ハ、従来内外航路ニ於テ営業ニ従事スルモノナルヲ以テ、船舶ノ買収ト共ニ一切ノ契約得意ヲ継承スルモノナレハ、他ノ企業会社ニ於テ営業準備ノ為メ幾多ノ年月ヲ要スルモノト異リ、会社設立ノ日ヨリ営業ヲ開始シ同時ニ其利潤ヲ挙クルコトヲ得ヘシ
 (四)本会社ハ資本額及所有船舶ノ点ニ於テ列国有数ノ汽船会社ニ属シ、其営業ノ基礎広大且鞏固ナルヲ以テ、従来小規模ノ経営ニテハ当ルコト能ハサル石炭・木材・米穀・肥料・礦石・砂糖等大貨物ノ一手輸送ヲ貨主ト特約シ、数量ノ如何ニ多大ナルト航路ノ如何ニ遠長セルトニ拘ラス、随処ニ其運搬ヲ為シ得ヘシ
 (五)現今我国ニ輸入シ頻リニ其需要数量ヲ増加シツヽアル北米ノ石油・木材・麦粉、南洋諸島ノ燐鉱肥料、印度ノ棉花、蘭貢・西貢ノ米穀、爪哇ノ砂糖等ハ、殆ト外国船舶ニ依テ其輸送ヲ独占スルノ情況ナルモ、本会社ハ貨主ト特約シテ其大部分ノ運搬ニ当リ運賃トシテ外国ニ帰スヘキ正貨ノ流出ヲ防キ、且運賃ヲ低廉ニシテ貨主ノ利益ヲ計ルコトヲ期ス
 (六)本会社ノ経営スル航路ハ内外ニ亘ルト雖モ、内地沿岸ニ係ルモノハ僅々数線ニ止マリ、主要ナル航路ハ挙ケテ海外ニ属セサルハナシ、清韓露領ハ勿論、南北米大陸・南洋・印度等通商上移民上有利ナル航路ヲ経営シ、一ハ以テ我工業ノ為メ低廉ナル運賃ニテ原料ヲ輸入シ、一ハ以テ我製産品ノ為メ販路ヲ拡張シ、且ツ移民来往ノ便ヲ通センコトヲ期ス
第三、営業航路
 本会社ノ従事スル航海ハ定航及不定航ノ弐種トス
 (一)定航ハ予定ノ線路ニ於テ航海ヲ為スモノニシテ其線路左ノ如
 - 第8巻 p.324 -ページ画像 

    線路        線路
  神戸小樽(東廻)線 神戸小樽(西廻)線
  神戸韓国線     横浜台湾線
  神戸浦塩線     神戸北清線
  神戸長江線     神戸大連線
  北海道北清線    神戸香港線
  芝罘塩浦線     香港西貢線
  神戸布哇線     神戸爪哇線
  神戸南米線     神戸印度線
  香港爪哇線     神戸オーシヨン線
  神戸クリスマス線  神戸北米線
  大連浦塩線     大連上海線
  大連香港線     大連新嘉坡線
  神戸ブラジル線
  (備考)前記定航線路ハ、海運ノ情勢ト配船ノ都合トニ依リ、之ヲ増減スルコトアルヘシ
 (二)不定航ハ航路ヲ定メス、貨主ノ申込ニ依リ船積地ヨリ目的地ニ航海ヲ為シ、又ハ賃貸借契約ニ基キ傭船者ノ指定スル航海ニ従事スルモノトス
  検査修繕其他ノ事故ニ依リ定航ニ従事スル船舶ニ不足ヲ生シタル場合ニハ、本航路ニ配置スル船舶ヲ以テ之ニ充当スルモノトス
第四、資本金及其運用
  一金参千万円也
    内
   一金壱千万円也
     右ハ現今航海ニ従事スル本邦汽船総噸数約弐拾万噸ヲ買収スル資金ニ充ツルモノトス
   一金弐千万円也
    右ハ造船規程ニ適合シ航海奨励金ヲ受クル資格ヲ有スル船舶ノ購入新造資金並ニ営業運転資金ニ充テ、且将来ニ於ケル航路拡張ノ基金ニ充ツルモノトス
 第壱回払込金
  一金壱千五百万円也 第壱回払込金総額
     内
   一金壱千万円也
      船舶総噸数約弐拾万噸ノ買収資金
   一金五百万円也
      船舶購入及新造資金並ニ営業資金
 第弐回以後ノ払込金
   右ハ海運ノ発展ト航路ノ拡張トニ従ヒ取締役会ノ議決ヲ以テ其時期ヲ定ムルモノトス
第五、収支予算ノ大要(但シ一ケ年分ノ予算)
    収入之部
 - 第8巻 p.325 -ページ画像 
  一金五百八拾弐万〇〇弐拾壱円也
      定航船ノ運賃総収入金
  一金壱百八拾八万四千五百九拾七円也
      不定航船運賃総収入金
  一金弐拾壱万参千弐百拾壱円弐拾五銭也
      航海奨励金
  一金拾万円也 雑収入金
    合計金八百〇壱万七千八百弐拾九円弐拾五銭也
   支出之部
  一金弐百八拾四万弐千八百六拾五円〇七銭也
      定航船ノ経費総額
  一金七拾壱万六千四百円也
      不定航船経費総額
  一金六拾参万七千円也 船舶修繕費
  一金七拾五万円也 社費及税金
    合計金四百九拾四万六千弐百六拾五円〇七銭也
       差引
  一金参百〇七万壱千五百六拾四円拾八銭也
       内
   一金四拾八万円也
      船価償却金
       船価見積金壱千弐百万円ノ百分ノ四
    一金参拾万円也 修繕積立金
             同前百分ノ弐・五
    一金四拾八万円也 保険積立金
                同前百分ノ四
      小計金壱百弐拾六万円也
       差引
   一金壱百八拾壱万壱千五百六拾四円拾八銭也
       内
    一金九万弐千円也   準備積立金
    一金九万弐千円也   賞与金
    一金壱百五拾万円也  配当金 年壱割
    一金拾弐万七千五百六拾四円拾八銭也
               後期繰越金
        以上

  日本汽船株式会社定款
   第一章 総則
第一条 会社ハ日本汽船株式会社ト称ス
第二条 会社ハ東京ニ本店ヲ置キ要地ニ支店出張所又ハ代理店ヲ置ク各支店ノ所在地ハ左ノ如シ
   大坂市 神戸市 横浜市 門司市 小樽市 東京市
第三条 会社ハ海運業ヲ営ムヲ以テ目的トス、但海運ニ関聯スル代理
 - 第8巻 p.326 -ページ画像 
業・倉庫業其他ノ業務ヲ営ムコトアルヘシ
第四条 会社ノ資本金ハ参千万円トス
第五条 会社ノ株主ハ帝国臣民ニ限ル
第六条 会社カ法令又ハ定款ノ規定ニ因リ為スヘキ公告ハ、其事項ヲ本店所在地ニ於ケル所轄裁判所カ公示ヲ為ス二種以上ノ新聞紙ニ掲載スルモノトス
   第二章 株式
第七条 会社ノ株式ハ六拾万株トシ、一株ノ金額ヲ五拾円トス
第八条 会社ノ株券ハ一株券・五株券・十株券・五十株券・百株券ノ五種トス
第九条 株券ニハ株主ノ氏名、会社ノ商号、其他法定ノ事項ヲ記載シ取締役一名之ニ記名調印ス
 会社ノ株券ハ無記名式ト為スコトヲ得ス
第十条 当会社第一回ノ払込金額ハ弐拾五円トシ、株式総数ノ引受アリタルトキハ速ニ払込ムヘキモノトス、第二回以後ノ株金払込ハ取締役ノ必要ト認ムルトキ、期日及金額ヲ定メ期日ヨリ三十日前株主ニ通知スヘシ
第十一条 株金払込期日ニ於テ株金ノ払込ヲナササルトキハ、其滞納金額ニ対シ払込期日ノ翌日ヨリ現払込日マテ壱百円ニ付日歩四銭ノ割合ヲ以テ遅延利息ヲ徴収シ、且遅延ニ因テ生シタル一切ノ費用ヲ弁償セシム
第十二条 株主カ株金払込遅延ノ為メニ権利喪失ノ通知ヲ受ケタルトキハ、其株券ヲ会社ニ差出スヘシ
 前項ノ場合ニ於テ株券ヲ差出ササルトキハ、会社ハ其株式ノ無効タルコトヲ公告シタル後、払込ニ依リ株式ヲ取得シタル譲渡人又ハ公売ニ依リテ株式ヲ取得シタル競落者ニ対シ、新株券ヲ交付ス
第十三条 会社ノ株式ヲ売買譲渡シタルトキハ、当事者ハ株券ノ裏面ニ署名捺印シ、会社ノ定ムル所ニ依リ連署ノ書面ヲ添ヘテ会社ニ差出シ、名義書換ヲ請求スヘシ、会社ハ相当ノ手続ヲ経テ取締役署名捺印シ、株式名簿ニ登録割印シテ之ヲ還付ス
第十四条 相続・遺贈・婚姻其他法律ノ作用ニ因ル会社株式ノ取得者ハ其株券ノ裏面ニ署名捺印シ、事実ヲ証明シタル書面ヲ添へ会社ニ差出シ、名義書換ヲ請求スヘシ、会社ハ前条ニ準シ書換ヲ為スヘシ
第十五条 株券ノ毀損又ハ株数ノ分合ノ為メ書換ヲ請求スルトキハ、会社ハ相当ノ手続ヲ経テ、前株券ト引替ニ書換株券ヲ交付スヘシ
第十六条 株券ノ紛失又ハ滅失ニ因リ新ニ株券ノ交付ヲ請求スルトキハ、会社ハ其事実ノ証明ヲ得タル後、請求者ノ費用ヲ以テ其旨ヲ公告シ、六十日ヲ経テ発見セサルトキハ新ニ株券ヲ交付スヘシ、此場合ニ於テハ前株券ハ当然効力ナキモノトス
第十七条 株式ヲ取得シタル者ハ、前数条ノ手続ニ依リ株主名簿ニ氏名・住所ノ登録ヲ受ケ、且株券ニ氏名ヲ記載スルニアラサレハ、会社ニ対シ其効ヲ生セサルモノトス
第十八条 第十三条乃至第十六条ノ場合ニハ、会社ニ於テ定ムル手数料ヲ徴収ス
 - 第8巻 p.327 -ページ画像 
第十九条 株主ハ其住所及印鑑ヲ会社ニ届出ツヘシ、其氏名・住所又ハ印章ヲ変更シタルトキ亦同シ
第二十条 会社ハ営業年度毎ニ公告ヲ為シテ一箇月ヲ超ヘサル期間、株式ノ譲渡ニ因ル株券ノ名義書換ヲ停止ス
   第三章 株主総会
第二十一条 総会ハ取締役・監査役其他法律ニ依リテ招集ノ権ヲ有スル者之ヲ招集ス
 総株金ノ十分ノ一以上ニ当ル株主ヨリ、会議ノ目的及其招集ノ理由ヲ示シテ請求スルトキハ、取締役ハ総会招集ノ手続ヲ為スヘシ
第二十二条 定時総会ハ毎年二月及八月ニ於テ之ヲ開キ、臨時総会ハ必要ノ場合ニ於テ之ヲ開ク
第二十三条 定時総会ハ前営業年度ノ計算書類・報告書類、準備金及利益配当ニ関スル議案、其他取締役ヨリ提出スル議案ヲ決議ス
 臨時総会ハ其目的タル臨時ノ事項ヲ決議ス
第二十四条 総会ヲ招集スルニハ日時・場所・目的及事項ヲ記載シタル通知書ヲ会日ヨリ二週間前ニ各株主ニ発スヘシ、但定款ノ変更ヲ目的トスルモノハ其議案ヲ添付スヘシ
第二十五条 総会ノ会長ハ社長之ニ任ス、社長事故アルトキハ他ノ取締役之ヲ代理ス
 総会ノ会長ハ議事ヲ整理ス、又時宜ニ依リ会議ヲ延期シ、又会場ヲ移スコトヲ得
第二十六条 総会ノ議事ハ予メ通知シタル目的及事項ノ外ニ渉ルコトヲ得ス
第二十七条 総会ニ於ケル株主ノ議決権ハ一株毎ニ壱個トス
第二十八条 株主ハ他ノ株主ニ代理セシメ、議決権ヲ行フコトヲ得但代理人ハ委任状ヲ会社ニ差出スヘシ
 代理ヲ委任シタル株式ハ其人員及株数トモ出席数ニ算入ス
第二十九条 定款変更・合併及解散ハ総株主ノ人員半数以上ニシテ総株金ノ半額以上ヲ有スル株主出席シ、議決権ノ過半数ノ同意アルニアラサレハ、決議ヲ為スコトヲ得ス
第三十条 前条ノ場合ニ於テ出席株主カ定数ニ満タサルトキハ、出席シタル株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ヲ為シ、其旨ヲ各株主ニ通知シ、更ニ一箇月ヲ下ラサル期間ニ第二ノ総会ヲ招集シ、出席株主ノ議決権ノ過半数ヲ以テ仮決議ノ認否ヲ決定スルモノトス
 前項ノ規定ハ会社ノ目的タル事業ヲ変更スル場合ニハ之ヲ適用セス
第三十一条 総会ノ決議ハ、第二十九条ノ場合ヲ除ク外、出席株主ノ議決権ノ多数ノ同意ニ依ル、数説同数ニ分レタルトキハ会長之ヲ決ス、此場合ニ於テモ会長自己ノ議決権ノ行使ヲ妨ケス
第三十二条 総会ノ議事ハ決議並ニ要領ヲ議事録ニ記載シ、会長之ニ署名捺印ス
   第四章 役員
第三十三条 会社ニ三名以上ノ取締役及二名以上ノ監査役ヲ置ク
 取締役及監査役ハ、総会ニ於テ二百株以上ヲ有スル株主中ヨリ之ヲ選挙ス
 - 第8巻 p.328 -ページ画像 
 当会社ハ株主総会ノ推挙ニ依リ相談役ヲ置クコトヲ得
第三十四条 取締役ノ任期ハ一ケ年トス
 但任期満了後再選スルコトヲ妨ケス
第三十五条 取締役ハ法律・命令・定款及総会ノ決議ニ遵ヒ会社一切ノ業務ヲ処理ス
 取締役会ハ取締役ニ関スル職分上ノ事ヲ議定ス
第三十六条 取締役ハ同役ノ互選ヲ以テ社長一名、副社長一名及専務取締役若干名ヲ定ム
 但取締役会ノ決議ニ依リ副社長ヲ置カサルコトヲ得
第三十七条 社長ハ会社ヲ代表ス、社長事故アルトキハ副社長之ヲ代理シ、副社長モ事故アルトキハ他ノ取締役之ヲ代理ス
第三十八条 取締役会ハ社長ヲ会長トシ、多数決ニ依リ議事ヲ決ス、可否同数ナルトキハ会長之ヲ決ス
第三十九条 監査役ハ取締役ノ業務執行カ法令、定款、総会ノ決議ニ適合スルヤ否ヤヲ監視ス
 監査役ハ取締役カ総会ニ提出スル書類、準備金及利益配当ニ関スル議案ヲ調査シ、意見ヲ総会ニ報告ス
第四十条 取締役又ハ監査役中不時ニ欠員ヲ生シタルトキハ補欠選挙ヲ為ス可シ
 但法定ノ最少人員ニ下ラサルトキハ、取締役会ノ決議ニ依リ、次回ノ総会マテ其選挙ヲ延期スルコトヲ得
 補欠員ノ任期ハ前任者ノ残期間トス
第四十一条 取締役ハ其所有ニ属スル株式弐百株ヲ在任中監査役ニ供託スヘシ
第四十二条 取締役及監査役ノ給料又ハ報酬ハ総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
   第五章 会計
第四十三条 会社ハ毎年一月一日ヨリ六月末日マテヲ前半期トシ、七月一日ヨリ十二月末日マテヲ後半期トシ、毎半箇年ヲ以テ営業年度トス
第四十四条 取締役ハ毎営業年度ノ終ニ於テ、其年度ノ計算ヲ閉鎖シ決算ヲ遂ケ、財産目録・貸借対照表・営業報告書類・損益計算書並ニ準備金及利益配当ニ関スル議案ヲ作リ、監査役ノ調査ヲ受ケ、定時総会ニ提出シテ承諾ヲ求ムヘシ
 貸借対照表ハ総会ノ承認ヲ得タルトキハ之ヲ公告ス
第四十五条 会社ハ其基礎ヲ鞏固ナラシムル為メ、営業年度毎ニ収入金ノ内ヨリ、左ノ金額ヲ控除シ、残余ノ百分ノ五以上ヲ準備積立金百分ノ五以上百分ノ十ヲ役員賞与金トシ、其残額ニ前期ノ繰越金ヲ加ヘ株主ニ配当ス
  一船舶減価積立金  船舶原価ノ百分ノ弐個以上
  一船舶修繕積立金  船価ノ百分ノ壱個二五以上
  一船舶保険積立金  船価百分ノ弐個以上
 船舶ノ減価償却ヲ了シタルトキハ前項ノ積立金ヲ要セス
 船舶保険積立金ハ船舶ノ保険ヲ他ニ契約シタルトキハ、其船舶ニ対
 - 第8巻 p.329 -ページ画像 
スル分ニ限リ之ヲ積立サルコトヲ得
第四十六条 配当金ハ前営業年度最終ノ時ニ於ケル現在ノ株主ニ払渡スモノトス
 株主ハ配当金ノ利息ヲ請求スルコトヲ得ス
   第六章 附則
第四十七条 会社ノ負担ニ帰スヘキ設立費用ハ金参万円以内トス
第四十八条 創立総会ニ於テ選任シタル取締役ハ第六期定時総会ニ於テ、監査役ハ第弐期定時総会ニ於テ其任期ヲ満了ス
第四十九条 発起人ノ氏名住所左ノ如シ
   東京日本橋区兜町二番地         男爵渋沢栄一
   同 赤坂区葵町三番地            大倉喜八郎
   同 芝区田町五丁目             浅野総一郎
   同 芝区桜川町十三番地           馬越恭平
   同 本郷区元町一丁目五番地         中野武営
   東京府荏原郡品川町元品川三百十五番地    原六郎
   東京小石川区関口町二百〇七番地       男爵前島密
   同 赤坂区表町四丁目四番地       男爵松平正直
   同 芝区芝公園五号地ノ二          牟田口元学
   同 本郷区湯島三組町五十八番地       高田慎蔵
   同 麹町区上六番町四十三番地        大橋新太郎
   同 京橋区南新堀町一丁目四番地       中沢彦吉
   同 浅草区花川戸町二番地          神谷伝兵衛
   同 麹町区有楽町三丁目三番地        佐竹作太郎
   同 麻布区山元町五十八番地         根津嘉一郎
   同 京橋区木挽町九丁目           梅浦精一
   同 本郷区真砂町十五番地          浜政弘
   同 芝区三田綱町一番地           徳久恒範
   同 芝区南佐久間丁二丁目五番地       村井真雄
   同 神田区西小川町一丁目三番地       佐々木慎思郎
   同 赤坂区青山南町五丁目四十五番地     早川鉄治
   同 小石川区茗荷谷町九十弐番地       塚原周造
   同 京橋区大鋸町六番地           喜谷市郎右衛門
   同 日本橋区田所町三番地          薩摩治兵衛
   同 麻布区富士見町四十四番地        賀田金三郎
   同 京橋区入舟町五丁目二番地        片野重久
   同 麻布区山元町二百十七番地        福沢桃介
   同 赤坂区青山権田原町十二番地       植村澄三郎
   同 日本橋区浜町一丁目三番地        久保扶桑
   同 深川区佐賀町二丁目           岩崎清七
   同 京橋区亀島町              太田利兵衛
   同 京橋区南新堀町一丁目二番地       説田彦助
   同 芝区南佐久間町二丁目十三番地      堀貞
   同 牛込区早稲田南町九番地         副島八十六
   横浜元浜町一丁目一番地           朝田又七
 - 第8巻 p.330 -ページ画像 
   同 元浜町二丁目十五番地          大谷嘉兵衛
   同 本町四丁目六十三番地          若尾幾造
   同 元浜町二丁目十五番地          渡辺福三郎
   同 月岡町一丁目三番地           左右田金作
   同 本町二丁目二十七番地          平沼延次郎
   同 本町六丁目八十二番地          来栖壮兵衛
   同 本町四丁目六十八番地          増田増蔵
   同 元町二丁目百〇八番地          石川徳右衛門
   同 花咲町二丁目二十八番地         樋口登久次郎
   同 南仲通三丁目五十番地          安部幸兵衛
   同 弁天通二丁目三十番地          茂木保平
   同 南仲通三丁目四十二番地         大浜忠三郎
   同 宮崎町三番地              渋沢作太郎
   同 元浜町一丁目一番地           渡辺和太郎
   同 弁天通二丁目三十八番地         渡辺文七
   同 弁天通二丁目二十八番地         中村房次郎
   大阪北区常安町六十五番地          土居通夫
   同 西区靱北通一丁目三十四番地田中市兵衛方 田中市太郎
   同 東区淡路町二丁目三十七番地浪速銀行内  野元驍
   同 東区内淡路町二丁目九十七番地      岩下清周
   同 東区博労町二丁目一番地         町田忠治
   同 北区堂島船大工町六十四番地       片岡直輝
   同 東区横堀町一丁目十五番地        藤本清兵衛
   同 西区川口町居留地十六号         範多竜太郎
   同 西区靱南通三丁目十三番地        志方勢七
   同 北区安治川通南三丁目二百四十七番地   今西林三郎
   同 西区靱南通四丁目            大林芳五郎
   同 南区本町堺筋              伊藤茂七
   同 西区西長堀南通三丁目百〇八番地     北村正次郎
   同 西区長堀北通五丁目四十五番地      道元忠右衛門
   同 西区靱南通三丁目            法橋善作
   同 西区江戸堀北通一丁目          猪飼九兵衛
   同 西区京町堀二丁目二十八番屋敷      吉田長敬
   兵庫県印南郡楫保村             伊藤長次郎
   同 武庫郡西ノ宮町             辰馬吉左衛門
   神戸湊町一丁目二百八十四番地        小曾根喜一郎
   同 元町一丁目二十三番地          森本六兵衛
   同 湊町二丁目十四番地           岸本豊太郎
   兵庫県明石町ノ内材木町           米沢吉次郎
   神戸栄町                  鈴木岩次郎
   兵庫県武庫郡鳴尾村             辰馬烈叟
   同 武庫郡西灘村ノ内村一番邸        若井源左衛門
   神戸栄町三丁目十二番地           牧野惟雄
   同 海岸通三丁目二番地           兼松房次郎
 - 第8巻 p.331 -ページ画像 
   同 長田村百〇五番屋敷          百崎俊雄
   同 中山手通五丁目二十二番地       物集伴次郎
   同 中山手通六丁目二十九番地       駒井巷
   北海道函館区仲浜町            平出喜三郎
   同 小樽区色内町             金子元三郎
   同 渡島国松前郡福山町唐津内町三十八番地 吉田三郎右衛門
   同 函館区大町二十五番地         内野高吉
   同 函館区末広町二番地          岡本忠蔵
   同 小樽区量徳町四十二番地        田中清一
   名古屋大船町四十番地           小栗富次郎
   同 葵町甲六番地             奥田正香
   同 本町五十七番地            滝兵右衛門
   長崎県高来郡諫早町          男爵諫早家崇
   山口県豊浦郡長府村字八幡十番屋敷     室田義文
   香川県綾歌郡坂出町六百四十四番戸     鎌田勝太郎
   滋賀県阪田郡長浜町大字神戸三番地     浅見又蔵
   長崎市小島郷二百六十五番戸        永見寛二
   大阪市西区南堀江通五丁目         岸本兼太郎
   兵庫県武庫郡鳴尾村            辰馬半右衛門
   東京市日本橋区小網町二丁目        尾城満友
   神戸市山本通四丁目            岡崎藤吉
   大阪市西区阿波堀通五丁目         原田十次郎
   神戸市加納町一丁目十五番地        川崎芳太郎
   同《(兵庫県)》 武庫郡西ノ宮町      八馬兼介
   横浜市元浜町四丁目            山下亀三郎
   神戸市兵庫湊町一丁目           乾新兵衛
   大阪市北区堂島船大工町          八木千之助
   北海道函館区船場町            山県勇三郎
   東京市日本橋区通二丁目十四番地      馬場道久
   神戸市兵庫南逆瀬川町           松本源七
   東京市京橋区山城町四番地         森岡真
   神戸市山本通五丁目            佐藤ミネ
   東京市日本橋区小網町三丁目        野中万助
   兵庫県武庫郡西ノ宮町ノ内仲町       安藤新太郎
   北海道函館区鍛冶町三十一番地       石垣隈太郎
   兵庫郡西ノ宮町辰馬商会回漕部       浅尾豊一
   大阪市北区中ノ島二丁目          松本良太郎
   四日市市北条町              加藤善四郎
   北海道小樽区稲穂町九番地         山本久右衛門
   東京市京橋区船松町六番地         御前長之助
   東京市深川区数矢町十二番地        喜多吉兵衛
   大阪市西区靱北町四丁目一番地       金沢仁兵衛
   大津市御蔵町十五番屋敷          芳野寛
   大阪市南区安堂寺橋通四丁目        川合庄助
 - 第8巻 p.332 -ページ画像 
   大阪市西区靱上通二丁目         奥村松次郎
   大阪市西区薩摩堀東ノ町         中村宇吉
   秋田県土崎港下酒田町          野口銀平
   富山県射水郡新湊町           南島間作
   大阪市西区江戸堀南通二丁目       榎本鎌七郎
   香川県綾歌郡坂出町           宮井卯太郎
   神戸市海岸通三丁目           三上豊夷
   大阪市西区立売堀北通六丁目       大西為助
   東京市小石川区原町百二十五番地     江森盛孝
   大阪市西区西長堀北通一丁目       土井亀太郎
   東京市日本橋区蠣殻町一丁目二番地    西川荘三
   秋田県土崎港新城町           野口直平
   京都市上京区寺町通二条妙満寺町     山田啓助
   兵庫県武庫郡西宮町辰馬商会回漕部    川野宗太郎
   東京市芝区下高輪車町          小泉鎌太郎
   神戸市元町六丁目            西川光之祐
   大坂市西区靱中通二丁目         白水甚蔵
   神戸市海岸通二丁目           恋田清三郎
   大坂市西区土佐堀一丁目十九番地     田中省三
   神戸市兵庫戸場町四十二番地       曾根忠兵衛
   愛媛県越智郡浜村大字波止四百五番地   八木亀三郎
   神戸市山本通四丁目           片野喜助
   山形県酒田仲町二番地          中村太助


合同新汽船会社創設ニ関スル請願(DK080020k-0011)
第8巻 p.332-344 ページ画像

合同新汽船会社創設ニ関スル請願     (渋沢子爵家所蔵)
    合同新汽船会社創設ニ関スル請願
戦後ノ我国ニ於テ其施設ヲ要スヘキモノ千百ヲ以テ数フヘシト雖トモ、孰レカ航運業発展ノ緊急ナルニ勝ルモノアランヤ、蓋シ航運業ハ啻ニ環海ノ島国タル地位ニ於テノミナラス、亦実ニ国家産業ノ源動脈タルモノアリ、縦令産業内ニ発達シ陸運ノ機関整備スルモノアルモ、外以テ疏通利用ノ途ニ欠クルアランニハ、産業決シテ振起セザルベク、貿易亦従テ伸張スベカラサルナリ、曩ニ我カ政府カ財政余裕ナキヲ以テシテ尚ホ四億有余円ノ巨資ヲ鉄道ニ投シ、之カ統一ヲ企劃セシ所以ノモノ、必竟運輸業ノ整理統一ガ国家及ビ経済界ニ及ホスノ影響甚ダ多大ナルモノアルガ為メニアランヤ、然リ而シテ、航運発達ノ必要ハ遠ク鉄道統一ノ上ニアリトス、鉄道ハ唯ダ是レ国内ノ運輸機関タルノミ、航運業ニ至リテハ実ニ対外交通ノ命脈タリ、苟モ戦後ノ活動ヲ海外ニ発展シ、世界的国是ヲ今日ニ行ハントスルニハ、航運業ノ振作奨励ヲ以テ其第一ニ推サヽルヲ得ス、然ルニ現下我海運界ハ前古未曾有ノ否境ニ沈淪シ、各船徒ニ沿岸ノ航海ニ競争ヲ是レ事トシ、絶テ海外ニ発展ヲ乗スルモノナク、退嬰偸安苟モ其運輸ノ止マサランコトヲ祈ルノ風アリ、若シ斯ノ如クニシテ荏苒歳ヲ閲セハ、内ハ各船ヲ疲弊シ、而シテ外ハ外国船ノ跳梁ヲ見ルニ到ラン、是レ豈我国ノ前途ニ於テ最モ憂慮スヘキモノヽ一ニアラサル歟、而シテ其此ニ至リシ所以
 - 第8巻 p.333 -ページ画像 
ノモノハ、実ニ戦時中ニ於ケル船舶ノ増加ニ基クモノニシテ、即チ戦役ヨリ生スル直接ノ結果タルナリ、蓋シ我国ノ商船ハ平時逐年四万噸内外ノ増加ヲ以テシテ良ク経済界自然ノ進歩ト歩調ヲ一ニシタリシモノ、然カモ遽然タル我時中《(戦)》ノ増加ハ実ニ三十三万噸ノ巨額ヲ示メスニ至レリ、即チ左ノ如シ
  年項      噸数      増加噸数
  二十八年  三三一、三七四
  二十九年  三六三、二二三  三一、八四九
  三十年   四二六、六二三  六三、四〇〇
  三十一年  四六四、二四六  三七、六二三
  三十二年  四九八、三七六  三四、一三〇
  三十三年  五三四、二三九  三五、八六三
  三十四年  五七七、六六〇  四三、四二一
  三十五年  六〇五、二一三  二七、五五三
  三十六年  六五七、二六九  五二、〇五六
  三十七年  七九一、〇五七  一三三、七八八
  三十八年  九二六、二八六  一三五、二五九
  三十九年  九九三、五七二  六七、二八六
    備考 三十八年噸数ハ十月末、三十九年ハ七月末統計ナリ。
逐年四万噸ノ増加ヲ以テ其平調ヲ保チシモノ、戦時以後僅カニ二年半ニシテ爰ニ三十三万噸ノ激増ヲ来シタルヲ見ルヘシ、是ニ於テ乎、商船徒ニ増加シテ経済界之レニ平行セス、是レ焉ゾ航運界需給ノ配合ヲ乱サヾルヲ得ンヤ、斯ノ如クニシテ推移セハ、吾輩窃ニ、競争ノ極終ニ今秋期ニ於テ空シク港湾ニ繋留セントスルモノ数十隻ノ多キニ達スヘク、海運界ノ一大恐慌ヲ生ス可キヲ恐ル
然リト雖トモ、是レ決シテ航運業者ノ罪ニアラサルナリ、商船ノ増加ハ実ニ戦争ノ余勢ニ源因ス、然ルニ之ヲ否トスルモノ或ハ曰ク、戦時中ニ於ケル商船ノ増加ハ是レ只当業者ガ其前途ヲ慮ラサル自利心ノ結果ニシテ、之レガ為メニ困憊スルハ必竟自業自得ノミト、斯ノ如キハ戦時中ニ於ケル航運業カ如何ニ国家ノ栄辱ニ関係アリシヤヲ知ラサルノ説ニシテ、敢テ採ルニ足ラサルナリ、曩ニ軍事輸送ノ急ヲ告クルヤ、内国商船一千噸以上ヲ挙ケテ尽ク之ヲ軍事輸送ノ用ニ供シ、三十七年八九月ノ交ニ於テハ其数実ニ四十四万噸余ニ出テタリキ、当時我国籍船僅ニ六十六万噸余、而カモ国家ノ命ニ応セシモノ四十四万噸ナリトセハ、豈商事貿易ノ運用ニ資スヘキモノ残余僅カニ二十万噸ニ過キサルニアラスヤ、是ニ於テ乎、我逓信局ハ其急ニ応スルノ策トシテ外国汽船ニ沿岸航運ヲ特許スルノ省令ヲ発セラレ、其結果二十万噸余ノ外国汽船我内海ニ活動シ、僅カニ一時商事貿易運送ノ急需ヲ支ヘタル状景ナリシナリ、当時若シ我カ同業者ニシテ其船舶ノ増加ヲ実行セサランニハ、豈能ク国家ノ為メニ軍事輸送ノ機宜ヲ愆ラス、産業社会ノ為メニハ其平調ヲ維持シテ、戦後ノ今日ニ於ケル活況ヲ促サシムルヲ得ンヤ、故ニ当時ニ於ケル船舶ノ増加ハ決シテ同業者カ徒ラニ自利心ニ乗ジタル結果ニアラスシテ、実ハ国家ト産業社会トノ需用ニ由レルモノナリ、然ルニ今戦争ノ終了ヲ辞柄トシテ、却テ之ヲ同業者自利
 - 第8巻 p.334 -ページ画像 
心ノ致ス所トナシ、毫モ其善後ノ事ヲ計ルナシ、是レ吾輩窃ニ我航運界ヲ遇スルノ道ニアラサルヲ思フ切ナル所ナリ、抑@日露戦争当時ニ於テ、彼レノ輸送機関ハ只是西北利亜鉄道ノ単線アリシノミ、而シテ我レハ四十余万噸ノ大船巨舶ヲ合シテ其力稍々匹敵シ、依テ我ガ軍事輸送ニ欠クルナキヲ得タリト雖トモ、凡テ戦争ハ単ニ鉄血ノ争ニアラサルナリ、亦是レ平和的経済界ノ競争アルヲ覚悟セサルヘカラス、露国ニ於テハ近ク工ヲ起シテ其鉄道ニ別線布設ノ挙アリト聞ク、単線当時ニ於テサヘ殆ンド我ガ海運ノ全力ヲ挙ケテ稍々其対当ヲ得シモノ、副線《(複)》ノ後ニ於ケル我施設ハ今日ヨリ之ヲ為スノ要アリ、吾等ハ決シテ将来ニ於テ復ビ日露国交ノ破裂ヲ予期スルニアラスト雖トモ、軍事的輸送ト平和的輸送ト其輸送ノ力ニ於テ毫モ相異ナル所ナシトセハ、彼レカ輸送力ノ増加ニ対シテ我国其増加ヲ計図スル所ナカルベカラス、是レ海国トシテ雄ヲ東邦ニ唱フルノ点ニ於テ独リ必要ナルノミナラサルナリ、去レハ現在有スル所ノ商船約九十九万噸ハ、啻ニ国家及ヒ経済界ノ必要上少クトモ之ヲ保維セサルヘカラサルノミナラス、更ニ進ンテ益々其増加ヲ期セサル可ラス、然ルニ目下ノ海運界ハ只一時急激ナル船舶ノ膨脹ニ由テ甚シク悲惨ノ状態ニ陥ラントスルノ時、徒ラニ其困憊ヲ以テ是レヲ自業自得ノ果ニ帰シ、国家有事ノ日ニ於ケル功労ト将来国運ノ進歩ニ資スヘキ必要トヲ顧ミス、其自職《(滅カ)》ノ境ニ陥ラントスルヲ坐視スルガ如キハ、蓋シ航運業ニ対シテヨリハ寧ロ国家ニ対シテ不忠実ナルモノト謂フヘシ、左表ヲ見レバ如何ニ我同盟会カ軍事輸送ノ任務ヲ全クシタルカヲ知ルニ足ラン
  日本船主同盟会所属船舶陸海軍御用船提供成績
    第一、陸軍ニ対シ
一、御用船提供総数        壱百四拾九艘
  此船舶総噸数    参拾弐万壱千零九拾九噸
   一艘ノ平均噸数  弐千壱百五拾五噸
一、提供延総噸数    九千七百拾弐万四千弐百零壱噸
  戦役期間(従開戦平和克復迄六百拾八日間)一日平均提供高拾五万七千壱百九拾五噸
    第二、海軍ニ対シ
一、御用船提供総数          弐拾五艘
  此船舶総噸数      六万六千七百拾弐噸
   一艘平均噸数      弐千六百六拾八噸
一、提供延総噸数    壱千八百八拾八万四千七百零五噸
  戦役期間(従開戦平和克復迄六百拾八日間)一日平均提供高参万零五百五拾弐噸
    (右ノ明細表ハ第五号表ニアリ)
是ニ於テ乎、現在ノ商船ハ愈々之ヲ保育シテ以テ益々其増加ヲ期セサルヘカラズトセバ、之ヲシテ各其途ニ安セシムルノ建策ヲナサヽルベカラサル所ナリトス、然而シテ、其之ヲ安セシメンニハ、則チ玆ニ船主ノ大合同ヲ促カシテ大ニ海外ニ発展スルノ途ヲ講セザルヘカラサルナリ、是レ吾輩船主同盟会ガ玆ニ一大汽船会社ヲ創立スル所以ナリトス、然レトモ海外ニ新航路ヲ開カバ、其業決シテ容易ニアラサルナ
 - 第8巻 p.335 -ページ画像 
リ、若シ夫レ韓国航路ノ如キ、北清航路ノ如キニ至リテハ、歴史的ノ深キ関係ヨリシテ、現ニ我海運ハ最モ優勢ヲ占ムルト雖トモ、東洋ノ海国トシテ其覇権ヲ収メンニハ、寧ロ東洋貿易ノ中枢ナル南清ヨリ南洋及ヒ印度ニ至ル間ノ航路権ヲ占領セザル可カラス、然ルニ南清以東ニ至リテハ、因襲ノ久シキ、外国汽船其間ニ根拠ヲ固フシ、勢ヒ牢乎トシテ抜クベカラサルモノアリ、夫ノ台湾ノ我ガ手ニ帰セシ以来、巨額ノ保護扶掖ヲ以テシテ大阪商船カ今尚ホ収支ノ上ニ於テ危惧スル所アルカ如キ、亦以テ実証トスルニ足ル、而シテ今我ガ汽船会社ガ其数ニ於テ其勢ニ於テ、新ニ国家奉公ノ為メニ尽クサントスト雖トモ、後進ノ力以テ之ヲ争フハ到底其耐ユル所ニアラサルヘキヲ信ス、何トナレバ是レ個人経営ノ能クスル所ニアラサレハナリ
然ラハ則チ之ヲ如何スヘキ乎、吾輩ハ国家的事業トシテ国家保護ノ下ニ特典ヲ得ルノ至当ナルヲ思フ、特典トハ何ソヤ、曰ハク、保護金ノ下附即チ是レナリ、顧フニ国家ノ採ルヘキ保護政策二三アリ、一ハ即チ現行ノ航海奨励法ナリ、二ハ即チ航路助成金ナリ、三ハ即チ利子補給制ナリ、右ノ内第一及ヒ第二ハ今現ニ行フ所ニシテ、我同盟会ノ船舶ハ多ク与カラスト雖トモ、他ノ郵船ノ如キ、東洋汽船ノ如キ、其創立年久シク根底既ニ固キモノニアリテスラ尚巨額ノ保護補助ノ下ニ其航権ヲ維持シツヽアルノ状景ニアラスヤ、試ニ其著シキモノヲ挙示セバ
  航路拡張費
金六百拾九万六千壱百八拾壱円也   航路拡張費
     内訳
 第一、欧洲線航路補助 神奈川丸外十二艘  二、六七三、八九五円
 第二、桑港線航海補助 亜米利加丸外二艘  一、〇一三、八八〇円
 第三、シヤートル線航海補助 山口丸外四艘   六五四、〇三〇円
 第四、濠洲線航海補助 熊野丸外四艘      四七三、〇九二円
 第五、揚子江航海補助             三五四、九四三円
 第六、上海蘇州抗州間航通補助          三六、八一三円
 第七、寄港補助                 三五、〇〇〇円
 第八、東洋近海航路補助            五八〇、〇〇〇円
 第九、日本海線航海補助            一二六、〇〇〇円
 第十、東京府小笠原島航海補助          一五、四八〇円
 第十一、鹿児島大島郡各離島航海補助       一六、二〇〇円
 第十二、東京府小笠原島各離島 同          、八一〇円
 第十三、島根県隠岐島     同         五、四〇〇円
 第十四、沖縄県先島      同         九、〇〇〇円
 第十五、沖縄県各離島     同         五、四〇〇円
 第十六、北海道沿岸定期航海補助        一二七、三三一円
 第十七、稚内網走外二線及函館小樽 同      六一、九〇七円
 第十八、函館大津線其他 同            七、〇〇〇円
  右ハ政府ガ三十九年度予算トシテ帝国議会ヘ提出セラレアル原案ノ金額ニシテ爾後僅少ノ改竄アリタルモ大ナル差等ナシ
今吾輩ノ新ニ設立セントスル会社ハ、決シテ斯カル巨額保護ヲ政府ニ
 - 第8巻 p.336 -ページ画像 
需メテ、累ヲ国庫ニ及ホサントスルハ素ヨリ願フ所ニアラス、夫レ収利余リアリテ而カモ尚巨額ノ保護ヲ政府ニ得ルハ、財政ノ現状ニ於テ吾輩豈ニ之ヲ期センヤ、我カ是レ東洋ニ於ケル海国タルノ責務ヲ果サントシテ、玆ニ新組織ノ団体ガ、其至難ナル航路ニ敢テ奮闘セントスルノ労ヲ多トシ、十ケ年間ヲ限リ、資本ニ対スル年六分ノ利子補給ヲ得バ則チ唯之レ足レリトスルノミ、然リ而シテ是レ豈啻ニ直接国家ノ利益ノミニアラサランヤ、即チ一ニハ東洋ノ航海権ヲ収攬スルニアリ、二ニハ船舶ノ改良ヲ促成シテ航運業ノ基礎ヲ鞏固ニスルニアリ、三ニハ貿易ノ発達産業ノ膨脹ヲ促進スルニアリ、四ニハ海員ノ養成ヲ奨メテ海国ノ根底ヲ作ルニアリ、五ニハ国家有事ノ日ニ於ケル命ヲ待ツニアリ、凡ソ此五者ハ目下我国ニ於テ最モ剴切緊要ヲ感スルモノ、而カモ新設会社ノ資本約千六百万円、利益皆無ノ場合ニ於テ其補給額ハ尚ホ且ツ九十六万円ニ充タス、是レ東洋汽船株式会社ノ僅カニ三艘ニ対スル航路助成金ニダモ若カサル所トス
思フニ、新汽船会社ノ収支予算正ニ年四分ヲ得バ、三四年ニシテ補給利子ヲ要セサルニ至ルヘシトス、然カモ尚ホ吾輩ノ敢テ六分利子ノ補給ヲ得ントスル所以ノモノハ、単ニ投資家ノ安心ヲ求メテ事業ノ根底ヲ培ハントスルニ外ナラス、暮年ニシテ六分ノ利益ヲ得バ吾輩豈永ク累ヲ国庫ニ仰クト謂ハンヤ、仮リニ利益皆無ノ否境ニアリトスルモ、政府ノ費ス所十ケ年ニシテ僅カニ九百六十万円、是レ現今日本郵船会社ニ対スル僅カニ二ケ年分ヲ出デサルナリ、而カモ斯クノ如クニシテ将ニ頽レントスル海運界ヲ支ヘ、将来ノ発達ニ期シ得ヘシトセハ其得喪固ト智者ヲ待チテ後チニ知サルナリ、今新設立ニ関スル予定計画ノ大要ヲ掲ケン
    合同汽船会社創設ノ方法
(一)第二号表記載ノ合計壱百三拾六艘ノ汽船ヲ合同シテ一大汽船株式会社ヲ創設シ、第一号表ノ予算ヲ以テ、第三号第四号記載ノ航海ニ従事セシムル事
 (説明)
 (イ)合同成否ノ事 本会所属船ノ内壱千噸以上ノ船舶ハ約九拾名有余ノ船主ニ属シ、其合同ノ困難ヲ云謂スルモノアリト雖モ、現下航運界ノ悲境ニアルト事業界ノ大勢トニ鑑ミ、各自競争ヲ事トスルノ不利益ナルヲ知得セルヲ以テ、其中一二船主ノ合同ヲ拒否スルモノアルヘシト雖モ、其大勢ニ於テハ異動ナキモノトス
 (ロ)汽船船価評定ノ事 合同ノ最大問題ナルモ、此点ニ付テハ各自船価ノ鑑定経験ヲ有スル船主ナルヲ以テ、左迄ノ困難アラサルベシ、若シ当業者其見解ヲ異ニシタルトキハ、局外ノ第三者ヲシテ之ヲ評価セシムルノ合意ヲ予定スベキカ故ニ、支障ナク遂行スルヲ得ベシ
 (ハ)資本ノ事 第壱号表ハ会員全部ノ合同ヲ予想シタルモノニシテ、其評定船価約壱千六百万円ヲ以テ資本総額ト推定ス、其内交渉不調ニ帰シタル部分ハ之ヲ資本中ヨリ省除スルコト勿論ナリ
 (ニ)航路並ニ運賃ノ事 航路ハ主トシテ外国航路ニ重キヲ置キタルモ目下営業シツヽアル内国航路ヲ抛棄スルノ理由ナキヲ以テ、幾分
 - 第8巻 p.337 -ページ画像 
ヲ内国航路ニ、其他ヲ外国航路ニ従事セシムルモノトシ、僅少ノ部分ヲ除クノ外、現ニ我船舶ノ従事シツヽアル航路ナリ、又運賃ノ予算ハ多年ノ統計上最低ノ運賃ヲ標準トシタルモノニシテ、合同後ニ於ケル運賃界《(マヽ)》ハ決シテ此計算ヨリ低落スル事無カルベシ
(二)我政府ハ前述ノ会社資本ニ対シ、十ケ年間、年六朱ノ利益ヲ保証シ若シ、会社ノ純利六朱ニ満タサルトキハ其不足分ヲ補給セラレ度事(説明)
 (ホ)利子補給ノ前例 航運界ニ於ケル三菱時代ハ、我カ政府ニ於テ三十有余ノ官有船ヲ無代ニテ貸下ケ、尚毎年二十五万円ノ航海助成金ヲ下附セラレタル旧時ハ措キ、共同運輸会社カ郵船会社ニ合併セシメラルヽヤ、政府ハ郵船会社ニ対シ其資本金壱千百万円ニ対シ向フ十五ケ年間年八朱ノ利益ヲ補給スルノ命令ヲ下サレ、自後二ケ年ニシテ利益ノ有無ニ拘ハラス年八十八万円ヲ下附スコトヽシ、同会社ハ現ニ三十六年迄之ヲ享受シタリ、又大阪商船会社ハ其資本僅々壱百有余万円ニ対シ、五万円ノ助成金ト郵便航送料弐万円合計七万円ノ補助ヲ受ケ、両社共頗ル老朽ノ船舶ヲ合同セシニ不拘、共ニ今日ノ隆盛ヲ見ルニ到リタリ、今回創設セントスル会社所属船ノ噸数ヲ両社ニ比スルニ左ノ如シ
   大阪商船         約十二万噸余
   日本郵船         約二十四万噸余
   今回創設ノ合同株式会社  約二十九万噸余
  尚ホ陸運界ニ於ケル日本鉄道ノ創設、及ヒ近クハ京釜鉄道、降テ今回ノ南満洲鉄道会社ニ対スル政府ノ補給、及ヒ両三年前湖南汽船会社ノ補給利子等国家ノ交通運輸ニ関スル機関ノ創設ニ付キ、政府カ助成又ハ保護ノ事例ハ枚挙ニ遑アラズ
 (ヘ)本補給ヲ必要トスル理由 如上記載ノ航路ハ、随時不定期船ノ常態トシテ、貨物ノアルニ随ヒ前記ノ航路ニ時々航海スルコトアルベシト雖モ、今ヤ本会社合同ノ上ニ是ヲ定期ニ維持スルニハ、非常ノ困難ト精励ニ待タザルヲ得サルノミナラス、従来是等ノ航路ニ従事スル定期ノ船舶ト非常ノ競争ヲ為サヽルヲ得ス、又新航路ノ開発ヲ為サヽルヲ得サル等、合同後ノ二三年間ハ定期ノ困難ト経験トニ打勝タザルヲ得ス、左スレバ前記ノ如キ保護ハ必ス之ヲ要スル而已ナラズ、尚此船価ト交換セラレタル合同後ノ株式価格ハ事業成立ト必ス之ヲ維持セザルベカラス、而シテ船主ノ合同ヲ承諾セルモ亦必竟此点ニアリトス
 (ト)補給金額ノ事 資本金壱千六百万円ニ対シ年三朱ノ利益ヲ得ベキモノトセバ、残余三朱則チ四十八万円ノ補給トナリ、利益皆無ノ場合ニ於テモ年九拾六万円ヲ出デス、而カモ尚政府ガ現ニ東洋汽船会社ニ下附セラレツヽアル、日本丸外弐艘ノ船舶ニ対スル助成金百壱万三千八百八円ニ比セバ遥ニ少額ナリトス、而テ是レガ為メ受クル航路ノ大小船舶ノ多寡識者ヲ待テ後知ラサルナリ
(三)本会社ハ我政府ヨリ右ノ補助金ヲ得ルト同時ニ、左ノ義務ヲ負担スル事
 (説明)
 - 第8巻 p.338 -ページ画像 
 一 第三号第四号記載ノ廿六航路ノ内、外国航路ニ属スル廿二航路ハ必ス是ヲ定期ニ維持スル事
   (但其改廃ハ凡テ政府ノ許可ヲ要ス)詳細ノ要件ハ政府ノ命令ニ依ル
 二 国家有事ノ場合ハ、政府ノ命令ニ応シ、会社一切ノ船舶ヲ軍用ニ供シ、又其借上賃ハ政府ノ定メラレタル実費額ニ依ル
 三 郵便物ハ凡テ無料ニシテ当会社航送ノ各航路ニ搭載運搬スル事
 四 政府ノ官吏ハ一切無料ニテ乗船セシムル事
 五 航海見習生トシテ一船少クモ二名以上ノ士官候補ヲ乗組マシムル事
 六 会社カ現有スル総噸数ノ約三分ノ二ハ政府ノ許可ナクシテ之ヲ減スル事ヲ得ス
 七 社船若シ海難ニ罹リ滅失シタル時ハ、其滅失シタル船舶ヨリ少クトモ十年以上船齢ノ新ラシキ同噸数以上ノ船舶ヲ、一ケ年内ニ補充スル事
   但シ十年以内ノ船舶ノ滅失シタル時ハ、同噸数以上ノ船舶ヲ新造シテ之ヲ補充スル事
 八 会社ノ会計ハ一ニ政府ノ監督ヲ受クル事
 九 其他政府ガ必要ト認メラレタル条件アルトキハ之ヲ挙示セラレ度事
 (説明)
 第三項ニ属スル条件ハ別段説明ヲ要セス、政府ヨリ相当ノ保護ヲ受クル以上ハ会社モ其責任ニ於テ右等ノ義務ヲ負担シ、邦家ノ為メ航路ノ開発、有事ノ場合ニ於ケル命令遵守、平時ノ郵便物搭載、海員ノ練習、船舶ノ改良、噸数ノ維持、会社業務ノ監督、総テ是レ必要ナラサルハナシ
右ノ如キ方法ニ依リ、吾人船主ノ誠実ナル合同力ト政府ノ保護指導トニ依リ、玆ニ戦後ノ過剰船舶ヲシテ東洋ノ航路開発ニ従事セシメ、将サニ玆ニ発展ノ機運ニ向ヒタル船舶ノ噸数ヲ維持シ、是ヲ改良シ、之ヲ拡張シ、内ハ海運界ノ整一ヲ期シ、郵船商船ト鼎足相融和シテ我帝国ノ交通貿易ニ資シ、彼ノ鉄道国有ト相待テ内外運輸ノ円満ヲ得ハ、独リ吾人ノ幸福ノミニアラザルナリ
玆ニ国運ノ推向ニ鑑ミ、航運界ノ現状ニ察シ、謹而奉請願候也

  汽船会社収支予算書
第一号
一金壱千六百万円也        資本総額
  内訳
 一金壱千五百五拾七万五千円   船舶買入資金
 一金四拾弐万五千円       運転資金
  損益勘定
一金弐百六拾五万六千六百四拾六円五銭也
            壱ケ年実収運賃総計
  内
 - 第8巻 p.339 -ページ画像 
 一金六拾八万円也
     壱ケ年壱百三十六艘修繕費壱艘ニ付金五千円ノ仮定
 一金武拾万円也        本支店費
差引
一金壱百七拾七万六千六百四拾六円五銭也
  内
 一金四拾六万七千弐百五拾円也
     船価償却積立金、船価金壱千五百五拾七万五千円ニ対スル百分ノ参
 一金六拾弐万参千円也 保険準備積立金
     船価金壱千五百五拾七万五千円ニ対スル百分ノ四
差引
一金六拾八万六千参百九拾六円五銭也
  内
一金六拾四万円也
    資本金千六百万円ニ対スル株主配当金、年四歩ニ当ル
 一金四万六千参百九拾六円五銭也   後季繰越金

第弐号
   新会社所属船舶価並ニ船名総噸数表 明治三十九年六月調査同八月再調
  定期航路     使用船名   総噸数    船主氏名       製造年月
  台湾線      河の浦   二、一八五  右近権左衛門     一、八八〇年
  同        土洋    二、一六六  尾城汽船合資会社   同
  同        第二多聞  二、一三六  八馬兼介       一、八八二年
  計(第一)    三艘    六、四八七
  神戸小樽東廻線  第一辰   三、一四八  株式会社辰馬商会   不詳
  同        第二辰   三、一四二  同          同
  同        神宮    三、〇〇二  岸本兼太郎      一、八九〇年
  同        忠佐    二、九五三  松方幸次郎      同
  計(第二)    四艘   一二、二四五
  神戸小樽西廻線  日英    二、三〇二  岡崎藤吉       一、八八三年
  同        羽後    二、三〇〇  秋田汽船株式会社   一、八八〇年
  同        日東    二、二三三  岡崎藤吉       同
  計(第三)    三艘    六、八三五
  門司横浜線    第一大安  二、四四九  三福合資会社     不詳
  同        第二大安  二、三八九  富倉林蔵       一、八八七年
  同        鹿島    二、三八二  奥村松次郎      同
  計(第四)    三艘    七、二二〇
  神戸浦汐線    香取    二、二〇六  榎本謙七郎      一、八八〇年
  同        香川    二、一六一  宮井卯太郎      一、八八一年
  同        第五多聞  二、一四四  八馬兼介       一、八八二年
  計(第五)    三艘    六、五一一
  神戸爪哇線    神州    三、四一九  岸本兼太郎      一、八九五年
  同        太郎    三、一六五  緒明菊三郎      一、八九〇年
 - 第8巻 p.340 -ページ画像 
  同        北都    三、二八二  板谷合名会社     一、八七六年
  計(第六)    三艘    九、八六六
  神戸長江線    鎮海    二、一六〇  橋本辰二郎      一、八八九年
  同        鳥羽    二、一六〇  鳥羽鉄工合資会社   一、八九一年
  計(第七)    二艘    四、三二〇
  神戸印度線    第二琴平  四、三六七  川崎芳太郎      一、八八八年
  同        八幡    四、三一二  右近権左衛門     一、八八六年
  同        福井    四、一八九  同          一、八九〇年
  計(第八)    三艘   一二、八六八
  神戸北清線    日乃    一、四九七  中越汽船株式会社   一、八八二年
  同        末広    一、四五九  合資会社末広組    一、八八〇年
  同        日米    一、四二〇  岡崎藤吉       一、八八二年
  計(第九)    三艘    四、三七六
  神戸香港線    多喜    三、四三三  安藤新太郎      一、八八三年
  同        弥彦    三、三〇〇  板谷合名会社     同
  計(第十)    二艘    六、七三三
  神戸大連線    長幸    一、六六八  御前長之助      不詳
  同        福山    一、六八二  井口半兵衛      一、八八一年
  同        西都    一、五九七  山田啓助       一、八八二年
  計(第十一)   三艘    四、九四七
  長江広東線    遼東    二、五二一  大家七平       一、八八七年
  同        豊富    二、四四四  間瀬秀太郎      一、八八八年
  同        神王    二、二九一  岸本兼太郎      一、八八六年
  計(第十二)   三艘    七、二五六
  香港爪哇線    喜佐方   二、三七二  山下亀三郎      一、八八三年
  同        美代    二、四九七  緒明菊三郎      不詳
  同        北陸    二、三八〇  馬場合資会社     同
  計(第十三)   三艘    七、二四九
  芝罘浦塩線    太和    一、四八二  大坪嘉太郎      一、八八三年
  同        四国    一、四〇四  中村宇吉       同
  計(第十四)   二艘    二、八八六
  九州上海線    能登    一、三一六  中越汽船株式会社   不詳
  同        久満加多  一、三六一  沢山精八郎      一、八九五年
  同        芙蓉    一、二五〇  原田十次郎      一、八七八年
  同        寿宝    一、四〇〇  入交栄治       一、八八九年
  計(第十五)   四艘    五、三二七
  神戸青島線    北辰    一、一八九  原田十次郎      一、八七八年
  同        中越    一、二〇二  中越汽船株式会社   一、八九五年
  計(第十六)   二艘    二、三九一
  九州馬尼剌線   第一東郷  三、二九〇  潘延初        一、八八八年
  同        広東    二、七四二  簡照南        一、八八三年
  計(第十七)   二艘    六、〇三二
  上海浦塩線    苫島    一、五九九  野口直平       一、八七九年
  同        錦生    一、四二七  呉錦堂        一、八八四年
 - 第8巻 p.341 -ページ画像 
  計(第十八)   二艘    三、〇二六
  小樽大沽線    依姫    三、一九九  海外貿易株式会社   一、八八三年
  同        千代    三、三五一  緒明菊三郎      一、八九〇年
  同        目尾    三、三二九  岸本菊太郎      一、八八三年
  計(第十九)   三艘    九、八七九
  室蘭大沽線    乾坤    二、七八七  乾新兵衛       一、八八二年
  同        日進    二、七二五  岡崎藤吉       一、八八三年
  計(第二十)   二艘    五、五一二
  北見大沽線    巴     二、五八一  函館汽船株式会社   一、八八八年
  同        喜多    二、六〇八  喜多吉兵衛      一、八九二年
  同        加賀    二、三〇二  中越汽船株式会社   一、八九四年
  計(第廿一)   三艘    七、四九一
  神戸オーシヤン島線 興安   三、四六〇  合資会社有馬組汽船部 一、八九九年
  同        厳島    三、八八二  森岡真        一、八八七年
  計(第廿二)   二艘    七、三四二
  日本秘露線    万里    三、二三一  藤野四郎兵衛     一、八九一年
  同        愛国    三、三三三  大家七平       一、八八九年
  計(第廿三)   二艘    六、五六四
  上海牛荘線    第二乾坤  一、八六七  乾ヨツ        一、八八二年
  同        鷹取    一、八六五  松本源七       一、八八〇年
  計(第廿四)   二艘    三、七三二
  日本布哇線    幸運    二、八七六  藤岡幸一郎      一、八八三年
  同        米山    二、八二三  板谷合名会社     一、八八四年
  計(第廿五)   二艘    五、六九九
  香港盤谷線    勢徳    一、四二六  高田慎蔵       一、八八三年
  同        喜代    一、四四八  川野宗太郎      一、八九六年
  同        愛知    一、三八七  知多航業株式会社   一、八八〇年
  計(第廿六)   三艘    四、二六一
  定期船      合計  一六七、〇五五
  賃貸船      大福    二、三九九  佐藤ミネ       一、八七八年
  同        須磨浦   二、三〇二  松本源七       一、八八三年
  同        神威    二、二三九  岸本五兵衛      同
  同        錦江    二、三〇九  合資会社辰馬本家回漕部 同
  同        吉生    二、四七八  太湖汽船株式会社   一、八八一年
  同        寿満    二、二〇四  大家七平       一、八九二年
  同        神幸    二、五八八  岸本五兵衛      一、八八二年
  同        第一共栄  二、三二二  矢崎常三郎      一、八七三年
  同        大益    一、二八六  佐藤ミネ       一、八八一年
  同        陸盛    一、二三〇  白水嘉蔵       一、八七五年
  同        瓊浦    一、一八一  橋本辰二郎      不詳
  同        第二生田  一、一五七  株式会社生田商会   一、八八五年
  同        日勝    一、四七九  岡崎藤吉       一、八九二年
  同        金喜    一、四四〇  合名会社村金商店   一、八八三年
  同        第二千代田 一、二三六  西川光之祐      不詳
 - 第8巻 p.342 -ページ画像 
  同        日海    一、六三九  岡崎藤吉       一、八八八年
                                   
  同        廿五観音  一、五二六  緒明菊三郎      一、九〇一年
  同        勝山    一、七七〇  右近権左衛門     一、八八六年《明治三十四年》
  同        千代田   一、六七五  西川荘三       一、八八三年
  同        盛航    一、五一三  株式会社辰馬商会   一、八八二年
  計        弐拾艘  三五、九八二
  第一予備船    竹の浦   二、〇五二  函館汽船株式会社   一、八八二年
  同        富喜    二、一一八  合名会社村金商店   一、八八三年
  同        第三辰   二、〇二八  株式会社辰馬商会   一、八七七年
  同        第五辰   二、〇〇一  同          一、八七八年
  同        旺洋    一、九一〇  同          同
  同        第二元山  一、八三八  山本トシ       一、八八二年
  同        雲海    二、〇五七  山県勇三郎      一、八九〇年
  同        第二喜佐方 二、三七三  山下亀三郎      一、八八七年
  同        南越    一、三三二  右近権左衛門     一、八八四年
  計        九艘   一七、七〇九
  第二予備船    九艘    一、六二六  池田政之助      一、八八二年
  同        頼朝    一、〇五九  河辺九良三郎     一、八八〇年
  同        摂陽    一、一六一  牧野惟雄       一、八八五年
  同        第三多聞  一、七六一  八馬兼介       一、八八二年
  同        御代    一、四八〇  日本米穀株式会社   一、八九七年
  同        相川    一、五三六  高田慎蔵       一、八八二年
  同        太洲    一、四五三  海外貿易株式会社   一、八八三年
  同        第二摂海  一、一四九  株式会社辰馬商会   一、八八八年
  同        第三南越  二、一二八  右近権左衛門     一、八九〇年
  同        三島    一、九三二  山本久右衛門     一、八八八年
  計        拾艘   一五、二八五
  第三予備船    万国    二、三二九  尾城汽船合資会社   一、八七三年
  同        久保    一、九九六  田中松之助      一、八七四年
  同        東洋    二、五五六  尾城汽船合資会社   一、八七三年
  同        富美    二、〇七九  三上豊夷       一、八八一年
  同        第二共栄  二、〇九四  矢崎常三郎      一、八八〇年
  同        浪花    一、七〇八  土井亀太郎      一、八七六年
  同        門司    二、〇七〇  神谷伝兵衛      一、八七七年
  同        佐渡国   一、二七八  小泉鎌太郎      一、八七二年
  同        志賀浦   二、二一二  南島間作       一、八七一年
  同        第三盛運  一、九〇〇  原田十次郎      一、八七三年
  同        畿内    二、〇一五  同          一、八七八年
  同        明保野   二、四五〇  尾城汽船株式会社   一、八八三年
  同        盛運    一、八八五  原田十次郎      一、八八八年
  同        立山    二、一七一  馬場合資会社     一、八七二年
  同        十一観音  二、一五〇  緒明菊三郎      一、八七四年
  同        二十観音  二、五六三  同          一、八八六年
  同        廿六観音  一、六三五  同          一、九〇三年《明治三十六年》
 - 第8巻 p.343 -ページ画像 
  同        廿七観音  一、八九七  同          一、九〇五年《同三十八年》
  同        築柴《(築紫)》 一、〇六〇 北海道産合資会社  一、八七一年
  計        拾九艘  三八、〇五八
  第四予備船    ロセツタ  三、八七五  尾城汽船合資会社   一、八八〇年
  同        大山    二、〇一二  大西為助       一、八七八年
  同        第三琴平  一、九七九  川崎芳太郎      一、八九〇年
  同        英航    一、四九〇  株式会社辰馬商会   不詳
  同        小雛    三、一九二  加藤善四郎      一、八八五年
  同        樺太    二、八九五  八木亀三郎      一、八八四年
  同        十五観音  二、四七四  緒明菊三郎      一、八八五年
  同        チヨイサン 一、九八四  坂谷合名会社     一、八八八年
  同        第壱琴平  二、七二三  松方幸次郎      一、八八七年
  計        九艘   二三、六二四
                  一、八七〇年代ノ船総数 一九艘
                  一、八八〇〃      七四艘
艘数合計壱百参拾六艘
                  一、八九〇〃      二〇艘
                  不詳〃         二三艘
 総噸数合計 弐拾九万七千七百拾四噸
 船価合計 金壱千五百五拾七万五千円也
第参号
  新会社所属船舶ヨリ得タル一ケ年実収運賃概算表
                    明治三十九年六月調査
                    同     八月再調
 番号    航路      壱艘ニ対スル収益金      使用艘数  本線ニ対スル一ケ年収益金
 第一  台湾定期線     一金二万三千八百十二円     三艘 一金七万千四百三十六円
 第二  神戸小樽東廻定期線 一〃一万八千五百四十三円廿五銭 四艘 一〃七万四千百七十三円
 第三  神戸小樽西廻定期線 一〃一万六千五十七円五十銭   三艘 一〃四万八千百七十二円五十銭
 第四  門司横浜定期線   一〃二万五千百円        三艘 一〃七万五千三百円
 第五  神戸浦塩定期線   一〃二万八千百七十二円五十銭  三艘 一〃八万四千五百十七円五十銭
 第六  神戸爪哇定期線   一〃二万六千六百五十一円廿五銭 三艘 一〃七万九千九百五十三円七十五銭
 第七  神戸長江定期線   一〃三万四千〇三十五円     二艘 一〃六万七千〇七十円
 第八  神戸印度定期線   一〃四万九千六百九拾九円    三艘 一〃拾四万九千〇九十七円
 第九  神戸北清定期線   一〃一万九千九百二十円     三艘 一〃五万九千七百六十円
 第十  神戸香港定期線   一〃一万二千九百四十五円    二艘 一〃二万五千八百九十円
 第十一 神戸大連定期線   一〃八百七十二円        三艘 一〃二千六百十六円
 第十二 長江広東定期線   一〃七千三百九十三円五十銭   三艘 一〃二万二千百八十円五十銭
 第十三 香港爪哇定期線   一〃七千百十二円        三艘 一〃二万千三百三十六円
 第十四 芝罘浦塩定期線   一〃二千三百二十八円      二艘 一〃四千六百五十六円
 第十五 九州上海定期線   一〃五百九十一円        四艘 一〃二千三百六十四円
 第十六 神戸青島同     一〃一万〇十四円        二艘 一〃二万〇二十八円
 第十七 九州馬尼刺同    一〃一万九千二百八十四円    二艘 一〃三万八千五百六十八円
 第十八 上海浦塩同     一〃九千二百七十一円      二艘 一〃一万八千五百四十二円《(損失カ)》
 第十九 小樽太沽同     一〃一万六千六百八十六円    三艘 一〃五万〇〇五十八円
 第廿  室蘭太沽同     一〃一万九千〇十八円      二艘 一〃三万八千三十六円
 第廿一 北見太沽同     一〃一万二千五百三十六円    三艘 一〃三万六千六百〇八円
 第廿二 神戸オーシヤン島同 一〃四万八千五百二十円     二艘 一〃九万七千〇四十円
 第廿三 日本秘露同     一〃六万八千三百九十五円    二艘 一〃十三万六千七百九十円
 第廿四 上海牛荘同     一〃六万八千三百九十五円    二艘 一〃八千九百六十円
 - 第8巻 p.344 -ページ画像 
 第廿五 日本布哇同     一〃三万五千四百七十円     二艘 一〃七万〇九百四十円
 第廿六 香港暹羅同     一〃五万千九百八十八円     三艘 一〃一万七千九百六十四円
     収益金       一〃百三十万四千五百十四円二十五銭
 合計
     総損金       一〃一万八千五百四十二円
 差引金 一百二十八万五千九百七十二円二十五銭
  定期 二十六線(艘数六十九艘)ヨリ得タル収益金
 外ニ金五十二万八千〇四十九円五十銭也
   賃貸船二十艘(此噸数三万六千二十八噸)ヨリ得タル十一ケ月実収貸船料
 合計金一百八十一万四千〇二十一円七十五銭
   定期線使用船六十九艘、此総噸数十六万六千六百七十八噸
   賃貸使用船二十艘、此総噸数三万六千〇二十八噸
   合計八十九艘、弐十万二千七百〇二噸
    壱ケ年壱噸ニ付金八円九十銭ノ割
  外ニ
   金八十四万二千六百二十五円三十銭
    予備船四十七艘、此総噸数九万四千六百七十七噸ニ対スル一ケ年一噸金八円九十銭ノ運賃実収金
総計金二百六十五万六千六百四十六円〇五銭也
   所有船壱百参拾六艘
    此総噸数二十九万七千三百八十三噸ニ対スル一ケ年実収運賃金
  ○第四号新汽船会社航路配船並ニ運賃概算表及日本船主同盟会陸海軍御用船提供明細表ヲ略ス。



〔参考〕日本近世造船史 第五七〇―五七三頁(DK080020k-0012)
第8巻 p.344-345 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。