デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
1款 東京鉄道組合
■綱文

第8巻 p.398-409(DK080025k) ページ画像

明治8年10月31日(1875年)

曩ニ東京府ヘ進達セル京浜間官設鉄道払下願書ニ対シ府知事大久保一翁ヨリ払下代価三百万円ヲ六ケ年賦ニテ上納スベク之ニ年六朱ノ利子ヲ交附スル旨達セラル。然ルニ其趣旨前願ト逕庭アルヲ以テ栄一再上申書案ヲ草シ衆議ニ問ヒ、是日願書ヲ呈ス。之ニ対シ利子ノ儀ハ最前ノ通年六朱、据置
 - 第8巻 p.399 -ページ画像 
期間ハ願ノ通七ケ年賦ニテ聞届ク旨達セラル。


■資料

鉄道会社会議要件録 第一巻・第七六―九四頁(DK080025k-0001)
第8巻 p.399-402 ページ画像

鉄道会社会議要件録 第一巻・第七六―九四頁
                  (株式会社第一銀行所蔵)
   ○第八回会議 明治八年十月六日第一国立銀行ニ於テ開之
                 出席人名
                      伊達宗城
                      亀井玆監
                      池田章政
                      池田茂政
                      松平慶永
                      徳川慶勝
                      徳川義宜代理内藤能弘
                      徳川茂承代理田和由邦
                      池田徳潤
                      久松定謨代理菅良明
                      伊達宗徳代理小嶋邦重
                      山内豊範代理山田東作
                      井伊直憲代理金田師行
                      九条道孝代理朝山常順
                      蜂須賀茂韶代理近藤潔
                      前田利嗣代理矢部成章
                      榊原政敬代理塩谷正直
                      井伊直安代理奥山藤十郎
                      毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      松平茂昭代理武田正規
                      毛利元敏代理難波舟平
                      大村純熙代理山川前耀
                   員外 渋沢栄一
右出席ノ各員ハ議席ニ就テ後、曩ニ正院ニ差出セシ願書ハ更ニ府庁ヲ経テ願出ツヘキコトヲ頃日正院ノ指令アリシヲ以テ、乃チ願書中左ノ改正ヲ加ヘタリ
  臣等ノ二字     我輩ニ改ム
  奉願ノ二字     執達所希候也ニ改ム
  太政大臣殿宛ハ   東京府知事宛ニ改ム
右ノ如ク改正ヲ加ヘ本書ニ調印ス、依テ明七日東京府ヘ進達スヘキコトニ決定セリ
右議事畢リテ各退散セリ
  此願書ハ前ノ上申書ト同文タレハ之ヲ略ス
第八回会議ニ於テ再調印ヲ行ヒ上申セシ所ノ願書ニ左ノ御指令アリテ明治八年十月十三日東京府ヨリ立会中へ交附セラル
御附箋
 - 第8巻 p.400 -ページ画像 
書面御払下ケ之儀ハ左ノ順序ニ依リ代金致上納候ハヽ御聞届可相成、尤経費収入別紙之通ニ候条勘考之上更ニ可願出御達ニ付此旨相達候事
  明治八年十月十三日     東京府知事 大久保一翁
一金三百万円            鉄道並附属ノ地所諸器械共一切払下代
右六箇年賦壱ケ年金五拾万円ヲ七月十二月両度ニ上納可致、尤上納金ヘハ壱ケ年六朱ノ割ヲ以テ利息下ケ渡年賦金皆済ニ至リ鉄道並附属ノ地所諸器械共悉皆可下渡事
 (別紙)
 庚午起業ヨリ八年六月マテ
  東京横浜間鉄道建築其外費用概算
 金百四拾九万九千百拾三円五厘五毛
一洋銀百三拾五万千九百五拾六弗四セント五分 現費
 金四千七百八拾九円拾四銭七厘五毛
 此米千六拾四石弐斗五升五合 但壱石ニ付金四円五拾銭之凡積リ
 小以金弐百八拾五万五千八百五拾八円拾九銭八厘
   但壱弗金壱円之概算以下同断
  (朱書。以下小以マデ)
    外
金弐万五千三百五拾三円 東京ステーシヨン地総坪数六万七千八百八拾六坪但地券高
金千百三拾六円八拾八銭 芝新銭坐ヨリ芝浦元大村邸迄線路総坪九千四百七拾四坪 但地券無之最寄地価凡積リ壱坪金拾弐銭
金三万七千六百八拾三円八拾銭
   神奈川湾線路長七百七拾間此坪三千八百五拾坪 但高嶋嘉右衛門自費埋立費凡積リ壱坪金九円七拾八銭八厘
 金壱万弐千五百九拾七円拾五銭六厘
   神奈川宿御用地替地此坪千弐百八拾七坪 但前同断
  小以金七万六千七百七拾円八拾三銭六厘
合金弐百九拾三万弐千六百弐拾九円三銭四厘
    内
 金弐千弐百六拾七円拾銭八厘 霊南坂町御用地並家作其外買上代
 金五万千九百弐拾三円九拾六銭壱厘壱毛
    横浜弁天橋並左右石垣築造費
 小以金五万四千百九拾壱円六銭九厘壱毛
  是ハ鉄道建築外ノ儀ニ付現費之内ヨリ引之
差引
 金弐百八拾七万八千四百三拾七円九拾六銭四厘九毛 全現費
  (朱書。以下総計ノ前行マデ)
     外
 金壱万千七百五拾四円拾三銭      八年六月中仕払ノ見込
合金弐百八拾九万百九拾弐円九銭四厘九毛
     八年六月迄ノ現費見込トモ八年六月中工業残同年七月已降ニ至可仕払分 但新規起業之分ハ除之
 金弐拾弐万四千弐百六拾弐円弐拾八銭七厘
     内
  金拾九万三千七百九拾四円九拾弐銭  六郷鉄橋建築費
 - 第8巻 p.401 -ページ画像 
高金三万弐千九百弐拾八円ノ内
 金壱万五千三百九拾四円弐拾五銭七厘  復線費用残
高金弐千六百六拾円七拾七銭四厘ノ内
 金千三百九拾五円弐拾八銭八厘     新橋ステーシヨン構内器械方外国人居館新築費残金
高金壱万四千七拾六円四拾銭七厘ノ内
 金八千百拾四円四拾八銭壱厘      同所鍛冶所同断
高金三千七百拾九円拾弐銭九厘ノ内
 金千八百五拾七円四拾弐銭八厘     同所客車修覆所同断
高金弐千六百四拾九円三拾七銭四厘ノ内
 金千三百三拾七円四拾七銭五厘     同所器械科倉庫壱棟同断
高金百五拾九円九銭ノ内
 金五拾七円八拾六銭三厘        横浜ステーシヨン構内右下水其外同断
高金三百五拾六円九拾銭六厘ノ内
 金百九拾九円八拾五銭六厘       同所荷物蔵前通吉田石垣其外同断
高金千七百八拾七円三拾弐銭ノ内
 金千三百七拾七円四銭七厘       同所乗車場模様替其外費用前同断
高金千六百六拾八円六拾弐銭四厘ノ内
 金七百三拾三円六拾七銭弐厘      同所鍛冶所同断
総計金三百拾壱万四千四百五拾四円三拾八銭壱厘九毛

 明治五年五月七日仮開業ヨリ同八年五月迄
  東京横浜間鉄道運輸収入経費比較調
一金拾七万四千六百八拾八円拾六銭八厘五毛
    五年五月七日ヨリ同十二月二日迄収入 但 収入経費トモ洋銀壱弗壱円ノ積以下同断
 金拾壱万三千四百六拾四円六拾六銭四度五毛 同断経費
差引金六万千弐百弐拾三円五拾銭四厘     利益
一金四拾四万千八百五拾六円六拾五銭六厘    六年中収入
 金弐拾万九千百九拾六円五拾五銭七厘     同断経費
差引金弐拾三万弐千六百六拾円九銭九厘    利益
一金四拾四万千六百弐拾弐円弐拾四銭壱厘    七年中収入
 金弐拾三万弐千九百六拾円七拾五銭五厘    同断経費
差引金弐拾万八千六百六拾壱円四拾八銭六厘   利益
一金拾八万五千三百拾四円八銭五厘       八年一月ヨリ五月迄収入
 金八万九千四百五拾壱円三拾六銭八厘     同断経費
差引金九万五千八百六拾弐円七拾壱銭七厘    利益
合計金百弐拾四万三千四百八拾壱円拾五銭零五毛 収入
 合金六拾四万五千七拾三円三拾四銭四厘五毛  経費
差引残金五拾九万八千四百七円八拾銭六厘    利益金
 (以下朱書)
 右ノ純益金ヲ元金高三百万円トシテ其割合ヲ計算スレハ明治五年六月ヨリ同八年五月迄三十六ケ月ニ割合
 壱ケ年元金百円ニ付純益金六円六拾銭ニ当ル
又八年一月ヨリ五月迄ノ純益ヲ以テ其割合ヲ計算スレハ
 壱ケ年元金百円ニ付純益金七円六拾六銭ニ当ル
 - 第8巻 p.402 -ページ画像 
   ○第九回会議 明治八年十月十八日第一国立銀行ニ於テ開之
                  出席人名
                       井伊直安代理奥山藤十郎
                       徳川義宜代理内藤能弘
                       池田輝知代理河崎直胤
                       久松定謨代理菅良明
                       蜂須賀茂韶代理近藤潔
                       山内豊範代理山田東作
                       井伊直憲代理金田師行
                       大村純熙代理山川前耀
                       松平頼聡代理三宅十郎
                       伊達宗徳代理小島邦重
                       徳川慶勝
                       九条道孝
                       毛利元敏代理難波舟平
                       徳川茂承代理森義武
                       毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                       池田章政
                       前田利嗣代理小原行修
                       松平茂昭代理武田正規
                       池田慶徳
                       伊達宗城
                       亀井玆監
                    員外 渋沢栄一
右出席ノ各員ハ十月十三日ノ御指令書ヲ一覧シ此御指令ノ如キハ願請ノ目的ニ小差違ヲ生ス、因テ御指令ノ如ク上納年賦六ケ年利足年六朱ニ在ルモ更ニ此立会ヲ望ムヘキヤ、且其集合金額ノ割合モ上納年限短縮ニ於テ各幾許ノ増額アルヘキナレハ宜ク其目途ヲ審案シ更ニ之ヲ議定スヘシ、因テ本月廿八日ヲ以テ尚会議ヲ開クヘキコトヲ約シテ各退散セリ


鉄道回章留(DK080025k-0002)
第8巻 p.402-403 ページ画像

鉄道回章留                (渋沢子爵家所蔵)
一翰啓上仕候、然ハ頃日御会同之節御約束申上候鉄道御払下願之儀ニ付御指令写並経費収入計算書共御廻申上候間篤ト御熟覧可被下候、右御指令之趣ニ而者兼而小生ヨリ奉呈之見込書ニ比較候ハヽ、御払下総額ト収入利益之勘定ハ稍適合致候得共利益調書初年ノ処ハ□□ニ年三分余ニ相当リ候得共、本年ノ割合ハ七分六厘余ニ相成リ候間向後八分ト見込候ハヽ相当ノ計算ト存候上納年賦ト利足割合壱年壱歩之相違有之候ニ付此上更ニ御払下御願被成候ニは第一集合金之都合各位御手許之御操合無之而《(繰)》ハ不相成事ト奉存候、尤右等弥以御決定之上御願被成候ニハ其前予メ此御払下ニ付政府ヘ対スル約定書等モ草案取調、且右集合金上納之順序ヲモ其筋ヘ結約候方可然ト存候間、夫是御賢案被成候而来廿八日午後第一時ヨリ今一応銀行ヘ御会同御座候様仕度奉存候、将又此年賦短縮致シ利足分合相減候ニ付若此御払下御望無之方或ハ先頃
 - 第8巻 p.403 -ページ画像 
御見積之額ヲ御減被成度方々モ御座候ハヽ、其御割合ヲモ御取調被成御会同之節丁寧御協議相成、自然外方ニ而御募被成候歟又ハ他ノ方法等御議定御座候様仕度奉存候、依之写相添此段奉申上候也
  明治八年十月廿一日           渋沢栄一
    毛利元徳様
    井伊直憲様
    大村純熙様
    井伊直安様
    毛利元敏様
    毛利元忠様


鉄道会社会議要件録 第一巻・第九四―一〇一頁(DK080025k-0003)
第8巻 p.403-404 ページ画像

鉄道会社会議要件録 第一巻・第九四―一〇一頁
                  (株式会社第一銀行所蔵)
   ○第十回会議 明治八年十月廿八日第一国立銀行ニ於テ開之
                 出席人名
                      井伊直憲代理金田師行
                      井伊直安代理北村叶
                      池田輝知代理河崎直胤
                      徳川慶勝代理内藤能弘
                      久松勝成
                      山内豊範代理山田東作
                      榊原政敬代理塩谷正直
                      毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                      九条道孝
                      大村純熙代理山川前耀
                      松平茂昭代理武田正規
                      前田利嗣代理松田弘之
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      伊達宗城代理小島邦重
                      池田慶徳池田章政代理河原信可
                      蜂須賀茂韶代理賀川純一
                      徳川茂承代理森義武
                      毛利元敏代理難波舟平
                   員外 渋沢栄一
右出席ノ各員ハ午後三時ニ議席ニ就キ、第九回会議ノ趣旨ニ従ヒ頃日ノ御指令ナルモ、尚此立会ニテ鉄道払下ケ望ムヘキヤ、且之ヲ望ムニ於テハ、其出金割合ノ如何ヲ協議セサルヲ得ス、因テ左ノ四件ヲ決定セリ
    第一
政府ノ指令ハ鉄道買下ケ代金ノ年賦上納ハ六ケ年ニ縮メ利足ハ六朱ニ減ス、然レトモ更ニ七ケ年賦七朱利ヲ再願シ其両項共ニ許可アラサルモ孰レカ一項ハ許可アランコトヲ左ノ草案ノ如ク再願書ヲ上申スヘシ
 - 第8巻 p.404 -ページ画像 
    第二
右再願ヲ以テ其一項ノ許可アラハ勿論此立会ヲ要存シ、賈下ノコトヲ取極ムヘシ
    第三
七ケ年賦六朱利ノ再願許可アレハ各位ノ出金割合ハ左ノ通リタルヘシ
    第四
七ケ年賦六朱利ニテ再願許可アルトモ出金割合ハ政府ノ指令アル鉄道代価ニ対シテ既ニ不足セリ、因テ再願ノ目途ヲ達スルニ至ラハ此立会中ニ於テ更ニ増額ノコトヲ議シ、而シテ尚不足スルアラハ約定ヲ以テ此立会中ヨリ第一国立銀行又ハ其外ヨリ金円借入ヲ為スヘシ
    集合金額割合
 一 三拾八万八千五百円          毛利元徳
 一 五千弐百拾七円            毛利元忠
 一 五千円                九条道孝
 一 拾壱万六千五百五拾円         伊達宗城伊達宗徳
 一 七拾七万七千円            蜂須賀茂韶
 一 五千五百五拾円            池田徳潤
 一 拾三万三千弐百円           山内豊範
 一 拾壱万千円              前田利嗣
 一 六万九千九百三十円          大村純熙
 一 弐拾壱万七千五百六拾円        松平頼聡
 一 拾壱万六千五百五拾円         久松定謨久松勝成
 一 七万七千七百円            井伊直憲
 一 三千八百八拾五円           井伊直安
 一 壱万五千五百四拾円          毛利元敏
 一 拾七万弐千〇五拾円          池田茂政池田茂章
右拾八名ハ既定ノ見込ヲ減セサル分
 一 金拾四万四千円            池田慶徳池田輝知
 一 金拾万六千五百六拾円         松平茂昭松平慶永
 一 金弐万七千円             亀井玆監
 一 金弐拾壱万九千七百八拾円       徳川慶勝徳川義宜
 一 金六千六百六拾円           榊原政敬
右八名ハ既定ノ見込額ヨリ減セシ分
 総計弐百七拾壱万九千弐百三拾弐円
右ノ数件ヲ議定シ且出金割合ヲ定メテ各退散セリ


鉄道回章留(DK080025k-0004)
第8巻 p.404-405 ページ画像

鉄道回章留               (渋沢子爵家所蔵)
一翰啓上仕候、然者各位御協同之上御立会之鉄道御払下願ハ先月廿八日御会議之趣意ニ従ひ、利足金之分相増候歟又ハ年賦上納期限壱ケ年相延候様再願書一昨日取調置御調印も相済候ニ付、明日其筋江御差出相成追而何分之御沙汰可相成就而卑考を以伺試候ハ、弥右再願等其一項御許容之上ハ、無論此御願ハ成就之ものニ而即本年十二月ヨリ一季分之上納方御手配も可有之訳ト存候ニ付、右等之件々ハ前書御沙汰之模様ニより尚御集会被成政府江之約定書並此金額上納方及利足受取配
 - 第8巻 p.405 -ページ画像 
賦之手段共第一国立銀行との約定等順次取扱候様可相成ト存候、偖右様之手順ニ候上ハ各位閣下ニ於而ハ右資金今日より聊御心当も無之候ハヽ、自然御允裁之期ニ於而又集会之御申合時間を費し候ハヽ是以御不体裁ト奉存候ニ付、若シ右御手当之金額其全額又ハ半額にても其高ニ不拘御手許之予備相成候分も御座候ハヽ、各位御随意ニ而即今ヨリ当銀行江御預ケ被成候而は如何御座候哉、然時ハ此際金融逼迫之事ニも候間随分廻し方之都合も有之候ニ付、弐ケ月以上ニ相成候ハヽ年六分之利足ハ別段之廉を以当銀行より相払弐ケ月以内ニ而も年三分利足ハ払可申候可申、然時ハ追而御許可之節集金之都合今日より相立候訳ニ而各位之御都合も一段ト奉存候、其上少々之時間も通宝を閑却せさる様相成候間所謂経済之一方ト奉存候、若シ又右願御採用無之此立会御解散之議ニ決し候とも敢而銀行御預ケ金ニ利足元金減却之理ハ無之候間詰り御資本之幾分を相増候事ト奉存候、将又右御預ケ金被成候ニは銀行も真正之確実を表し度ニ付、万一之予防として其高ニ応し所有之新公債証又ハ秩禄公債証書時価一層を減し抵当として差上置可申、是ハ敢而銀行を御信用無之ト申ヨリ差出候儀ニ無之却而当銀行より精確を表し候為メト奉存候、此儀各位閣下之御尊慮ニ適し候ハヽ御随意ニ而其高御申込被下御振込御座候様仕度、尤預り証及抵当品等ハ其時々御照会可申上候、右存附候儘申上候間、御熟考之上何分之御答被下度奉存候 拝具
  明治八年十一月一日           渋沢栄一


鉄道会社会議要件録 第一巻・第一〇一―一〇五頁(DK080025k-0005)
第8巻 p.405-406 ページ画像

鉄道会社会議要件録 第一巻・第一〇一―一〇五頁
                    (株式会社第一銀行所蔵)
    再上申書案
東京横浜間ノ鉄道及附属地所家屋諸器械等御払下願ノ儀、本年十月八日書面ヲ以テ御執達被成下候処同月十三日御附紙ニテ御指令ノ趣敬承仕候、右ハ出格ノ寛典ニテ鉄道代価ノ総額ヲ金三百万円ニ被成下、其上納方ハ六ケ年賦ニシテ毎年七月十二月ノ両季トシ、年賦皆済迄ハ毎季ノ上納金ニ対シ年六朱ノ割ヲ以テ利足御下渡可相成儀ニ候得共、前書総額ハ実ニ不容易大高ニ有之、其徴集ニ於テハ今般出願ノ者一同殊ニ苦配モ仕候ニ付、可相成儀ニ候ハヽ右六ケ年賦ノ処七ケ年賦ニ御宥延被成下、其利足モ年七朱ニ御増方被成下度候、尤モ右両様御聞届相成兼候ハヽ其一項丈ケハ偏ニ御許容被下度候、将又右御允裁ノ上ハ此御払下ニ付向後ノ取扱手続等ハ廉書ヲ製シ御約束相願度候間、尚御指図ニ従ヒ草案取調上呈可仕候、此段更ニ御執達被成下度候也
  明治八年十月三十一日
                              久松定謨印
                              毛利元忠印
                          従五位 池田輝知印
                          従五位 池田徳潤印
                          従五位 毛利元敏印
                          従五位 井伊直安印
                          従四位 大村純熙印
                          従四位 池田章政印
 - 第8巻 p.406 -ページ画像 
                          従四位 榊原政敬印
                          従四位 前田利嗣印
                          従四位 山内豊範印
                          従四位 松平頼聡印
                          従四位 井伊直憲印
                          従四位 久松勝成印
(下ケ札)依願愛媛県宇和島ヘ罷越居候ニ付調印不仕候 従四位 伊達宗徳
                          正四位 松平茂昭印
                          従三位 亀井玆監印
                          従三位 池田茂政印
                          従三位 毛利元徳印
                          従三位 徳川義宜印
(下ケ札)七年七朱ノ外ハ不奉願候          正三位 徳川茂承印
                          従二位 池田慶徳印
                          従二位 伊達宗城印
                          従二位 蜂須賀茂韶印
                          正二位 松平慶永印
                          従一位 徳川慶勝印
                          従一位 九条道孝印
    東京府知事 大久保一翁殿
   ○右上申書連署名ノ内徳川義宜ハ明治八年十一月薨去、徳川茂承ハ下ケ札ノ条件容レラレズ組合ヲ脱退ス。


渋沢栄一 書翰 大隈重信宛(明治八年)一一月七日(DK080025k-0006)
第8巻 p.406 ページ画像

渋沢栄一 書翰 大隈重信宛(明治八年)一一月七日
                  (大隈侯爵家所蔵)
奉啓、然は兼而申上候華族立会鉄道之義先月中東京府より御指令御下已来度々会同評議いたし候へとも、詰り七ケ年賦上納之見込ニて、集金額も予算致し候を六ケ年と相成候而ハ其計算ニ不足を生し、且又七分利足ニ相願候を六分と相成候より中ニハ願止メ可仕と申者有之、旁以決議ニ至り兼、無拠別紙之通り再願書差上候義ニ御坐候、就而ハ何卒此際之事情御察被下、せめて七ケ年賦ニ御聞届被下度候、自然一切御許容無之候ハヽ、不得已此立会も熟議相成兼、当春来之苦配も水泡ニ属し可申と深く痛心仕候間、偏ニ御憫諒被下度候、小生之此取扱方ニ立入春来別而心配仕候も敢而身上之射利又ハ銀行之都合ニ関し候義ニ無之、只々華族之資本をして確実之使用を得せしめ、且官府ニ於ても其代価を以て新創之工被為在候ハヽ、聊経済上之真理ニ適し目下必要之事と相心得候ニ付、種々手配之上漸今日ニ及候義ニ候間、右等之処も聊ハ御諒察被下、七ケ年賦丈ケハ是非御聴了被下度候、此段拝願之為別紙相添奉申上候 頓首
  十一月七日               渋沢栄一
    大隈大蔵卿閣下


鉄道会社会議要件録 第一巻・第一〇五―一一二頁(DK080025k-0007)
第8巻 p.406-408 ページ画像

鉄道会社会議要件録 第一巻・第一〇五―一一二頁
                   (株式会社第一銀行所蔵)
 - 第8巻 p.407 -ページ画像 
   ○第拾壱回会議 明治八年十一月十六日第一国立銀行ニ於テ開之
                  出席人名
                       榊原政敬代理加藤直栗
                       九条道孝代理朝山常順
                       毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                       毛利元敏代理難波舟平
                       井伊直憲代理金田師行
                       徳川慶勝代理内藤能弘
                       前田利嗣代理岡田雄巣
                       大村純熙代理山川前耀
                       松平頼聡代理三宅十郎
                       井伊直安代理奥山藤十郎
                       松平茂昭代理武田正規
                       蜂須賀茂韶代理近藤潔
                       池田輝知代理土岐頼亮
                       山内豊範代理山田東作
                       池田章政池田茂政代理河原信可
                       池田慶徳
                       伊達宗城
                    員外 渋沢栄一
右出席ノ各員議席ニ就テ後、伊達従二位ヨリ兼テ渋沢栄一ヨリ建議セシ左ノ趣意ヲ一同ニ演述セラレタリ
鉄道御払下之挙ハ即今再願中ニ在リ、若シ其許可ヲ得ルトキハ右代価之中初季上納スヘキ分ヲ宜シク此際ヨリ予備スヘシ、就テハ右金額ヲ銀行ヘ振込相応之利足ヲ受取ルコトヲ要セハ最集金之手筈モ好ク、且各位ノ利益モ相増スヘキニ付此立会ニ於テ再願書ノ御指令前ニ其集合ノ都合ヲ協議アランコトヲ祈望ス
伊達従二位ハ右演述畢リテ後、同氏ニ於テハ右渋沢栄一ノ建議ヲ以テ相当之事ト認メシ旨ヲモ説明セラレタリ
右ニ付各員其集合金ニ於テ意見ヲ述ル所左ノ如シ
 願済ノ上ハ外ヨリ借用イタストモ出金差支ナシト云トモ即今銀行ヘ振込ムハ不同意ナリ 徳川従一位徳川義宜
 願済ノ上ハ出金勿論タレトモ即今ニテモ当季分ノ半額丈ハ振込ムヘシ         毛利元徳
 兼テ七ケ年賦ニ可相願見込ニ付、其一季分ハ此処ニテモ振込ムヘシ、自然六ケ年ニ相成ルトキハ其余額追テ都合可致見込ナリ                                 池田慶徳池田輝知
 今日ハ即答致兼ルニ付尚追テ申出スヘシ                      蜂須賀茂韶
 即今銀行ヘ振込ムハ不同意ナリ、尤モ願済ノ上ハ無論当季分出金スヘシ        前田利嗣
 前田氏同断                                   山内豊範
 兼テ銀行ヘ定期預ケ金ヲ以テ当季ノ手当ニ充ツヘシ                 松平茂昭松平慶永
 目今ハ都合致兼ルト云トモ都合出来次第願済前ニテモ銀行ヘ振込ムヘシ        池田章政池田茂政
 目今ハ取揃兼ルト云トモ既ニ少々振込有之ニ付、来月初旬迄ニハ当季分ハ振込ムヘシ  松平頼聡
 - 第8巻 p.408 -ページ画像 
 当季分ハ目今振込ムヘシ                             大村純熙
 同断                                      井伊直憲
 同断                                      榊原政敬
 銀行振込ハ不同意ナリ、尤願済ノ上ハ勿論出金スヘシ                井伊直安
 同断                                      毛利元敏
 同断                                      九条道孝
 当季分ハ目今振込ムヘシ                             毛利元忠
 同断                                      亀井玆監
 此分追テ申出スヘシ                               久松勝成久松定謨
 同断                                      池田徳潤
右之通ニテ銀行ヘ振込ムヘキ見込ノ者拾五名、振込ムヲ難ンスル者八名、追テ開申セント云者三名
右協議畢リテ即今銀行ヘ振込ムヘキ意見ノ各員ハ本月廿五日ヲ限リ其金額ヲ銀行ニ持参スヘク、且同日ハ各員銀行ニ来会シテ証書其外ノ手続ヲ為スヘキコトヲ約シ、而シテ退散セリ
右約定畢リ追テ開申セント云三名ニ問取スル所ノ事情ハ左ノ如シ
 願済ノ上ハ出金ノ都合致スヘシト云トモ即今銀行へ振込ムハ不同意ナリ 蜂須賀茂韶
 当季分ハ目今振込ムヘシ                      久松勝成久松定謨
 願済ノ上ハ出金勿論タレトモ即今銀行ヘ振込ムハ不同意タリ      池田徳潤
第十回会議ニ於テ調印ヲ行ヒ上申セシ再願書ニ左ノ御指令アリテ明治八年十二月九日東京府ヨリ之ヲ立会中ヘ交附セラル
御附箋
書面利足之儀者最前指令之通年六朱ニ据置年限之儀者願之通七ケ年賦ニ御聞届相成候条此旨相達候事
  明治八年十二月九日
             東京府知事 大久保一翁


鉄道回章留(DK080025k-0008)
第8巻 p.408-409 ページ画像

鉄道回章留               (渋沢子爵家所蔵)
一翰啓上仕候、陳者鉄道御払下ケ之義ニ付再願之趣ハ既ニ御申達相成候処、小生も其後大蔵工部両卿ヘハ時々罷越、御再願之次第及各位閣下御繰合せ之都合迄事情仔細ニ具陳およひ偏ニ御聞届被下度と相延置候、然処頃日工部卿より申越ニて右再願之六分利七ケ年賦之処ハ多クハ御免許可相成と被存候趣来諭有之候、何れ願書ニ対し御指令可有之事ニ候得共、既ニ主任之其言あるハ十ニ八九ハ再願御行届と奉存候間、不取敢此段御通知申上候、弥以御許可之上ハ先月廿八日之御会議ニ従ひ更ニ御会同之上右金額上納之手続並不足金徴集其外政府ニ対し御約定之振合も御協議有之度候、過日薄々申上候書記生壱人之義村井清と申者旧太田藩ニ而横山湖山門人ニ有之、文筆ハ一通り出来いたし老実之人物ニ候間書類謄写又ハ編纂之為メ雇入申度、月給ハ壱ケ月拾円宛其他別ニ支給筋ハ無之候、此段御聞置被下度候
当春以来御会議之時々記録いたし置候会議要件録ハ此立会ニ付緊要之書冊ニ付、此度追々編輯いたし少々費用有之候得ば活版ニ附し、壱部
 - 第8巻 p.409 -ページ画像 
宛令下ニ御所持被遊候方此立会之沿革も明著候筋と存候、是又御聞届被下度候
右之件々可奉得芳意、匆々頓首
  明治八年十一月三十日
                     渋沢栄一


工部省記録 第三巻(DK080025k-0009)
第8巻 p.409 ページ画像

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冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。