デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
1款 東京鉄道組合
■綱文

第8巻 p.421-429(DK080029k) ページ画像

明治9年3月8日(1876年)

是日前会ニ継ギ栄一ノ作成セル諸草案ニ付第十五
 - 第8巻 p.422 -ページ画像 
回会議ヲ開ク。乃チ総理代人権限並事務章程ヲ審議決定シ、又京浜間鉄道払下請願許可ニ付更ニ上申ス可キ文牒並政府トノ約定書ヲ議定シ、同月十日之ヲ政府ニ呈出ス。


■資料

東京鉄道組合会議要件録 第二巻・第一九―二四頁(DK080029k-0001)
第8巻 p.422-423 ページ画像

東京鉄道組合会議要件録 第二巻・第一九―二四頁
                 (株式会社第一銀行所蔵)
   ○第拾五回臨時会議 明治九年三月八日於第一国立銀行閣内開之
                 出席人名
                      徳川慶勝
                      九条道孝
                      榊原政敬
                      毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                      久松勝成久松定謨代理菅良明
                      池田徳潤代理吉田恭敬
                      井伊直安代理北村叶
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      池田章政池田茂政代理立野橘太郎
                      毛利元敏代理中村勝三
                      山内豊範代理山田東作
                      伊達宗城
                      大村純熙
                      亀井玆監
                      池田輝知代理河崎真胤
                      井伊直憲代理金田師行
                      前田利嗣代理神尾直養
                      前田利同代理浅野長雄
                      伊達宗徳代理西園寺公成
                      池田慶徳
                      蜂須賀茂韶代理小室信夫
                   会頭 渋沢栄一
                   欠席 松平慶永
                   同  松平茂昭
    第一節
右各員議席ニ着キ、会頭ハ先ツ前面《(回)》ノ決議書ヲ読上ケ、畢テ今般政府ト取結フヘキ約束ノコトニ於テ頃日総理代人ト工部卿ト会話アリシ景況ヲ演述ス
    第二節
会頭ハ第十三回ノ発案ニ係ル政府ニ要求スヘキ約束書及ヒ申牒並総理代人権限事務章程等ヲ執テ逐条衆議ヲ撰ヒ、皆之ヲ決定ス
    第三節
毎会開議ノ際先ツ其前会ノ決議書ヲ展読シ、各議員ヲシテ更ニ前回ノ
 - 第8巻 p.423 -ページ画像 
事情ヲ領解セシムヘシト雖トモ、尚決議ノ要旨ヲ前知セシメンカ為メ本日ノ決議書ヨリ毎会後遅クモ三日間ニ其要件録ヲ作リ、輪札三部ヲ以テ各肝煎ニ発付シ、其組合限リ更ニ肝煎ヨリ刻付ヲ以テ輪達スヘキコトヲ決定ス
    第四節
立会常用ノ罫紙二様美濃判半紙判及ヒ封筒ノ製式ヲ案シ、会頭及ヒ三肝煎ニ於テ之ヲ決定ス
    第五節
会議要件録印刷ニ於テ其刷工ノ誤リニ係ル数部ノ余本ハ月費定額ノ内ヲ以テ之ヲ買収シ、他日所望ノ者ニ付与スヘキコトヲ会頭及ヒ三肝煎ニ於テ之ヲ決定ス
右ノ諸件ヲ議定シ畢リ、其政府ヘ請申スヘキ文牒及ヒ約束書等ハ明九日ヲ以テ正副両部清写ヲ整頓シ、来ル十日午前十時ヲ限リ各員此処ニ来テ其書ニ捺印ヲ了シ、而シテ徳川慶勝之ヲ携ヘテ東京府ニ開申スヘキコトヲ約シ、而シテ一同退場ス


鉄道組合同盟締約書真本(DK080029k-0002)
第8巻 p.423-425 ページ画像

鉄道組合同盟締約書真本       (株式会社第一銀行所蔵)
  (表紙)
  東京鉄道組合総理代人権限並事務章程議定書
   東京鉄道組合総理代人権限並事務章程
東京横浜間鉄道ノ御払下ケノ許可ヲ得タルニ付、吾儕同盟ニ於テ其総理代人ヲ公撰シ、此事務ヲ管理スルコトヲ委任シ、且其権限並事務章程ヲ定ムルコト如左
    第一条
総理代人ハ事務練達ノ士ヲ撰挙スル者ニシテ、吾儕同盟ノ之ニ委頼スル所ノ者ナリ
    第二条
総理代人ハ明治八年ヨリ同十五年マテ、即チ鉄道御払下代価上納満期東京鉄道会社開業ニ至ルヲ限リ其事業ヲ担任スル者ナリ
    第三条
然リト云トモ総理代人其事務ニ堪ヘサルカ、又ハ其職掌ヲ怠ル等ノコトアルカ、又ハ当人ニ於テ不得已事故アリテ之ヲ辞スルコトアルトキハ、同盟ノ公評ヲ以テ之ヲ免シ、又ハ其辞退ヲ聴容スヘシ
    第四条
総理代人ハ内ハ同盟各員ニ対シ、外ハ政府及ヒ第一国立銀行等ニ対シ担任年限中一切ノ事務ヲ弁理シ、且鉄道会社興立ニ付社則定款其他ノ事務取扱手続ヲ草定編立スル等ノ事務ヲ掌管スヘシ
    第五条
総理代人ノ管理スル所ノ事務ニ於テ、同盟ノ集議ヲ要スヘキ者ト其専断ニ処スヘキ者アリ、因テ其限界ヲ分ツコト左ノ如シ
    稟款
 一政府ニ上申スヘキ事
 一政府ト取結ヒシ約束ノ箇条ヲ変改スヘキ事
 一同盟集議ノ上制定セシ定款申合規則其他定例成規ヲ改正増補スヘ
 - 第8巻 p.424 -ページ画像 
キ事
 一立会ノ事務ニ付銀行又ハ他ノ会社等ト金銀借貸其外ノ約束ヲ為スコト
 一立会ノ費用ヲ増減シ、又ハ其費用ノ定額ヲ立ル事
 一立会ノ役員ヲ撰定シ、又ハ之ヲ増減スル事
    専款
 一政府ニ取結ヒシ約束ノ箇条ニ従ヒ、此立会同盟ヨリ其負担ノ額ニ従ヒ年賦金ヲ徴集シ、期程ヲ違ハスシテ之ヲ政府ニ上納スヘキ事
 一政府ヨリ御下ケ相成ヘキ利金ヲ受取、之ヲ同盟ニ分配シ、又ハ之ヲ第一国立銀行ニ預クヘキ事
 一毎歳立会ノ会計ヲ決シ、同盟中ニ開申スヘキ事
 一政府ノ指令ニ従フ事件並政府ニ取結ヒシ約束書ニ付テ政府ニ開申シ、或ハ政府ノ推問ニ答ヘ、及他方ト書翰ヲ往復スル事
 一立会ノ成規ニ従ヒ其節目ヲ分疏シ、或ハ其科程ヲ設立スヘキ事
 一第一国立銀行ニ取結ヒシ約束書ニ従ヒ其事務ヲ督シ、及ヒ約束ニ基キ適宜ノ方法ヲ設クル事
 一立会ノ事業ニ付テハ、其名ヲ以テ同盟ニ対シ、定式臨時ノ集会時日等ヲ通達スヘキ事
 一立会ノ諸役員ヲ新撰スルニ臨ミ、其才能ヲ識別シテ之ヲ推薦スル事
 一委托内ノ月費金額ヲ以テ職員並物品ヲ処置スヘキ事
 一立会ノ集会ニ於テ決議スル会議要件録ヲ編纂シ、又ハ其議目ヲ掲ケテ之ヲ集議ニ附シ、其法案ヲ促シ、又ハ其集会ニ付便宜ノ方法ヲ設クル事
    第六条
総理代人ハ稟款ノ事件ニ就テハ都テ其議案ヲ作ツテ之ヲ会頭ニ出シ、定式臨時会議ニ於テ之ヲ決定スルコトヲ乞フヘシ
    第七条
立会ノ会計ハ毎歳七月一月ヲ以テ之ヲ行ヒ、前半季ノ諸勘定ヲ調査シ詳明ナル会計表簿ヲ製シ、各二品ヲ以テ一ツハ同盟ニ納付シ、一ツハ同盟ノ撿印ヲ受ケテ之ヲ保存スヘシ
    第八条
立会ノ諸簿冊会計等ハ洋式ニ従ヒ、複記方法ヲ用ヒ、詳密ニ編成シテ之ヲ管守スヘシ
    第九条
立会ニ於テ催ス処ノ定式臨時集会ノ節ハ其決議ノ件々ヲ詳記シ、之ヲ要件録ニ掲載シ、便宜之ヲ編纂シテ一同ニ通知シ、及ヒ通常文書ノ草案往復等モ都テ之ヲ整頓編成シテ管守スヘシ
    第十条
毎年両季一月七月政府ニ上納セシ金額ノ請取証書並政府ヨリ請取タル利子ヲ第一国立銀行ニ預ケシ所ノ証書等ハ毎季之ヲ同盟ニ通知シ、証書類ハ之ヲ管守スヘシ
    第十一条
此権限並事務章程ハ同盟一同ノ協議ニヨリテハ之ヲ改正増補スルヲ得
 - 第8巻 p.425 -ページ画像 
ヘシ、尤其改正ノ前ニ於テ総理代人ニ照会シ其承諾ヲ得テ之ヲ決定スヘシ
右ノ条々ヲ決定シタル証トシテ吾儕同盟ハ爰ニ記名調印イタシ候也
  明治九年三月八日
                    蜂須賀茂韶代理小室信夫(印)
                    毛利元徳(印)
                    徳川慶勝(印)
                    松平頼聡
                    池田慶徳(印)
                    池田輝知(印)
                    池田茂政(印)
                    池田章政
                    山内豊範(印)
                    松平慶永(印)
                    松平茂昭(印)
                    伊達宗城(印)
                    伊達宗徳(印)
                    久松勝成(印)
                    久松定謨(印)
                    前田利嗣(印)
                    井伊直憲(印)
                    大村純熙(印)
                    亀井玆監
                    毛利元敏(印)
                    前田利同
                    榊原政敬(印)
                    池田徳潤
                    毛利元忠(印)
                    九条道孝(印)
                    井伊直安(印)
   ○総代理人権限並事務章程議定書ハ明治九年四月十八日第十七回定式会議ニ於テ真本ニ各位実印ヲ押捺ス。


鉄道回章留(DK080029k-0003)
第8巻 p.425-426 ページ画像

鉄道回章留                   (渋沢子爵家所蔵)
    申牒名印之儀御届仕候書付
私共同盟悃願仕、已ニ御允准ヲ蒙リ候東京横浜間鉄道買下ケ之儀ニ付テハ、第一国立銀行頭取渋沢栄一ヲ以テ年賦金上納中一切之事務ヲ委托致シ、私共之総理代人ニ相立テ、且該事務取扱及ヒ私共集会等之儀モ銀行館内ヲ借受ケ相弁居候間、政府並御府ニ対シ候諸申牒ノ儀ハ私共連署ヲ要スヘキ者ヲ除ク之外、自今総理代人之名印ヲ以テ開申可仕候間、御府ヨリ御達シ之事件並御召喚等之儀モ同人江向ケ御下命可被下候、此段御届申上置候也
  明治九年三月廿二日
                     同盟連署印
 - 第8巻 p.426 -ページ画像 
  東京府権知事
    楠本正隆殿


東京横浜間鉄道御払下請願御許可相成候ニ付 更ニ上申仕候書付並政府ト約束書(DK080029k-0004)
第8巻 p.426-428 ページ画像

東京横浜間鉄道御払下請願御許可相成候ニ付
更ニ上申仕候書付並政府ト約束書 (株式会社第一銀行所蔵)
   東京横浜間鉄道御払下請願御許可相成候ニ付更ニ上申仕候書付
明治八年十月七日上申請願仕候東京横浜間鉄道及所属館屋器械等一切年賦御払下ケノ之儀《衍)》、同月十三日御指令有テ代価三百万円六ケ年賦上納ヲ以テ御払下ケ被成下、且右年賦上納金ヘハ年六朱ノ利子御下渡シ可被下旨御下令ニ付、十月三十一日再申、更ニ年賦七ケ年利子年七朱ニ御允准被成下度、若シ両件御允准難相成候ハヽ孰レカ一方御聴容被下度旨懇願仕候処、十二月九日御指令有テ上納金ハ請願之通リ七ケ年賦利子ハ前准ノ如ク年六朱ニ御許可被成下奉領承候、依之右御指令ノ日ヲ以テ此立会着業ノ紀元ト相心得、右三百万円年賦上納ノ儀ハ明治九年一月ヲ以テ初季トナシ、毎歳両季一月七月ヲ以テ七ケ年賦ニ相納メ、即チ明治十五年七月ヲ以テ金額皆納可仕候間、利子御下与ノ儀ハ右年賦金上納ノ月ヨリ其本額ニ対シ年六朱即チ百分ノ六ノ割合ヲ以テ六月十二月ノ両度ニ御下ケ渡シ被成下、而シテ満期ノ日軌道其外館屋器械諸物件共一切御引渡可被下候、就テハ向後此鉄道ニ付別紙条件ノ如ク御約束仕度候間、此段併テ御執達被成下度候也
  明治九年三月十日
                     連署印
    東京府権知事 楠本正隆殿

   (別紙)
   東京横浜間鉄道ノ全体ヲ御払下ケノ允准ヲ得タルニ付大日本政府ト此立会トノ間ニ取結フ所ノ約束ノ条件如左
    第一条
東京横浜間ニ亘ル鉄道並土地及所属ノ諸館屋諸器械ヲ併テ代価三百万円ヲ以テ政府ヨリ此立会ニ払下ケラレ、而シテ其代価ハ七ケ年賦ニ上納スヘク、且此年賦金ノ利足ハ年六朱ノ割合ヲ以テ、年賦皆納済ノ年マテ年々増加スル本額ニ対シ、政府ヨリ此立会ニ下付スヘキコトヲ允准セラレタリ
    第二条
右三百万円ノ代価ハ、政府ニ於テ是迄此鉄道建築ニ付テ仕払ヒタル一切ノ費用及ヒ向後川崎ノ木橋ヲ鉄橋ニ改作シ、軌道ヲ並行ニスル費用等ヲ見積リタル者ナレハ、自今此鉄道ニ於テ政府ヨリ別ニ代価ノ増額ヲ此立会ニ徴求スルコトナカルヘシ
    第三条
此三百万円ハ明治九年一月ヨリ七ケ年賦即チ明治十五年七月ヲ限リ毎年両季即チ一月七月ノ二日ヲ以テ毎時金弐拾壱万四千円最終ノ季ハ金弐拾壱万八千円ヲ此立会ヨリ○○○ニ上納スヘシ
 但明治九年一月分ハ本年四月二日ヲ期シ上納スヘシ
    第四条
 - 第8巻 p.427 -ページ画像 
右年賦上納金ニ対スル所ノ年六朱ノ利子ハ毎季ノ上納金ニ割合ヒ、其上納ノ月ヨリ六ケ月分ヲ計算シ、毎年両度ツヽ即チ六月十二月ノ未《(末)》ニ於テ政府ヨリ此立会ニ附与セラルヽヘシ
 但初季即チ明治九年六月ニ於テハ同年四月上納セシ金額ニ対スル所ノ利子ニ係リ、其十二月ニ於テハ第一季四月第二季七月上納ノ金額ニ係リ、十年六月ニ於テハ第一第二第三季上納ノ金額ニ係ル、以下皆之ニ傚フ、而シテ十五年六月ニ於テハ第十三季ニ充ル所ノ金額ニ係リ其十二月ハ第十四季ニ充テ即チ全額三百万円ニ係ル所ノ利子ヲ下付セラルヽ者ナリ
    第五条
代価上納皆済ノ日、即チ明治十五年七月以後東京横浜間ノ鉄道及ヒ其附属館屋器械地所地券等一切ノモノヲ政府ト此立会ト立合ヒノ上之ヲ此立会ニ収受スヘシ
    第六条
此鉄道ニ属スル列車ロコンモチーブ上下客車荷物車ノ類家屋ステーシヨン納屋倉庫其外役宅製造所ノ類地所其外一切ノ諸器械ハ、年賦上納ノ年度中其毀損ニ従ヒ日本政府ハ適宜之ヲ修繕シ、又ハ之ヲ新造スヘキコト勿論ナレトモ、概略別紙○本書ニ載セス記載スル現今所用ノ要具丈ケハ年賦済ノ期ニ於テ損傷不具等ノコトナク都テ充備整頓セシメテ此立会ニ交附スヘシ
    第七条
右払下ケノ許可ヲ得タルニ付テハ鉄道ハ此立会ノ所有ニ帰スヘキ者トイヘトモ、代価年賦上納済迄ハ此立会ハ其金額ニ対スル所ノ定額ノ利子ヲ収受スルヲ以テ、右年限中此鉄道会計上ノ損益ハ固ヨリ日本政府ノ管知スル所ニシテ、此立会ニハ関係セサルヘシ
    第八条
然レトモ政府此鉄道ニ新挙スル所アツテ或ハ地勢ヲ変換シ、軌道館屋等ヲ改作スル等ノコトアルカ、又ハ此線路ニ接続シテ更ニ他ノ鉄道ヲ新築スル等ノコトアレハ、此立会ニ照会シテ相当ノ結約ヲ要スヘシ
    第九条
第八条ノ改作修営ハ勿論非常ノ災害ニヨリテ土木工事ノ起ルモ、年賦上納済マテハ其費用ハ固ヨリ政府ノ担当ニ帰スヘシ
    第十条
此鉄道ノ事業ノ此立会ニ帰有シ、実地其業ヲ執行スルニ於テハ、此立会ハ是迄政府ヨリ頒布スル鉄道ノ諸布告規則類及向後頒布スヘキ条例ノ如キハ之ヲ確執遵奉スヘシ
    第十一条
年賦上納済ニ於テ此鉄道ヲ此立会ニ収受スル上ハ、固ヨリ此立会ノ所有物タレハ、永久此事業ニ従事スルコトヲ得ルヘシ
    第十二条
此立会ニ於テハ自今鉄道ノ事務ヲ詳悉シ、其形情ヲ領得シ、其算ヲ瞭知スルカ為メ、総理代人ヲシテ鉄道寮ニ出シ、其事ヲ稟問スルヲ得ルヘシ
    第十三条
此鉄道ニ属スル所ノ一切ノ土地ハ、向後此鉄道ヲ立会ニ収受セシ後モ
 - 第8巻 p.428 -ページ画像 
其地税ハ蠲除セラルヽヘシ
    第十四条
年賦金上納方並利金請取方ハ此立会ヨリハ第一国立銀行ニ約束セシニ付、其上納方及利足下付之節モ、銀行ノ役員ヲシテ其期ヲ愆ラス取扱ハシムヘシ
    第十五条
年賦上納金皆済ノ上此鉄道ヲ立会ニ収受スヘキ時ハ、従前政府ニ於テ此鉄道ニ使役セラレシ内外ノ職員ハ依旧之ヲ譲与セラレ、続業ニ臨テ阻碍ナカラシムヘシ
    第十六条
然リト雖モ此立会ニテ鉄道ヲ収受ノ後、右ノ諸役員ヲ転免シ、又ハ増減スル等ハ都テ此立会ノ権内ニアルヘシ
    第十七条
故ニ向後政府ニテ此鉄道ニ雇使スル外国人中年限ヲ以テ雇続ノ約定ヲ為サントスルトキハ、鉄道代価年賦上納済ノ後ニ渉ルヘキ年限タレハ宜シク此立会ニ照会シ其承諾ヲ以テ之ヲ執行スヘシ
    第十八条
此立会ニ於テ既ニ担任セシ所ノ年賦上納金ハ、縦ヒ同盟中災害事故ニヨリテ其出金滞碍スル者アリト雖モ、闔社戮力シテ其方策ヲ立テ、決テ其期程ヲ愆ツコトナカルヘシ
    第十九条
此約束ヲ為シタル後ハ此立会ヨリ鉄道事務ニ付テ稟請ノコトアレハ都テ工部省ニ上申シ、且政府ヨリ下命セラルヽ事件モ工部省ヨリ公達セラルヽヘシ
    第二十条
此立会ニ於テハ追テ定款申合規則等ヲ製シ、諸般ノ事務取扱方順序ヲ設クヘキニ付、之ヲ工部省ニ稟告シ、其承認ヲ得テ確定スヘシ
右ノ条々ヲ結約シタル証トシテ、日本政府ノ○○○ト此立会ノ各員ト左ニ記名調印致シ候也
  明治九年三月十日            同盟連署印
此約定書ハ之ヲ弐通ニ製シ結約ノ双方ニ交附イタシ置候也
                       書留書記
                         誰


鉄道回章留(DK080029k-0005)
第8巻 p.428-429 ページ画像

鉄道回章留 (渋沢子爵家所蔵)
    ○
東京横浜間鉄道御払下請願御許可ニ付、更ニ上申書並鉄道ニ付条件之約束書一昨日御一同御決定相成、今日御調印相済候付、東京府江差出候、仍為御承知申入候也
  九月三月十日《(年)》          徳川慶勝
    ○
以輪札啓申仕候、陳者去ル十日御上申相成候文牒之儀ハ西洋黒斗《(汁)》(インキ)相用有之ニ付、今般太政官第廿九号(三月十五日)之御達ニ抵触シ、史官ニ於テ御採用不相成候間、日本黒錠ヲ以テ更ニ改写上申可
 - 第8巻 p.429 -ページ画像 
致旨本日東京府庁ヨリ小室信夫方江御達シ有之候間、則チ明日中改写取計置候間、明後廿一日午前十時ヲ限リ各位御印形御持参諭牒江御捺印被下度候、右再申之儀ハ小室信夫方ヨリ上呈可取計候、此段御領承輪章刻付ヲ以テ御廻達周尾ヨリ御返却可被下候也
  三月十九日○明治九年              渋沢栄一
   ○尚ホ西洋墨汁ヲ公文ニ使用スベカラザル件ニ付テハ次回会議記録ノ第四節参照。
   ○上記政府ヘノ上申書並約束書ニ対スル政府ノ意嚮ニ付テハ明治九年七月十日ノ項(本巻四三三頁)参照。