デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
1款 東京鉄道組合
■綱文

第8巻 p.429-433(DK080030k) ページ画像

明治9年3月18日(1876年)

是日第十六回会議ヲ開ク。乃チ諸要件就中第一国立銀行トノ間ニ取結ブベキ条款ヲ審議決定ス。同年八月四日ニ至リ其結約ヲ見ル。


■資料

東京鉄道組合会議要件録 第二巻・第二五―三一頁(DK080030k-0001)
第8巻 p.429-430 ページ画像

東京鉄道組合会議要件録 第二巻・第二五―三一頁
                  (株式会社第一銀行所蔵)
   ○第十六回定式会議 明治九年三月十八日於第一国立銀行閣内開之
                 出席人名
                      大村純熙代理稲田又左衛門
                      亀井玆監
                      伊達宗城
                      毛利元敏代理難波舟平
                      毛利元徳毛利元忠代理柏村信
                      井伊直憲代理金田師行
                      山内豊範代理山田東作
                      徳川慶勝代理土岐長久
                      松平慶永松平茂昭代理武田正規
                      井伊直安代理奥山藤十郎
                      池田慶徳池田輝知池田徳潤代理吉田恭敬
                      伊達宗徳代理西園寺公成
                      蜂須賀茂韶代理近藤潔
                      前田利嗣代理神尾直養
                      池田茂政池田章政代理河原信可
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      久松勝成
                      久松定謨代理菅良明
                      九条道孝代理朝山常順
                      榊原政敬代理塩谷正直
                      前田利同代理古市之峯
 - 第8巻 p.430 -ページ画像 
                   会頭 渋沢栄一
    第一節
右各員着席ノ上会頭ハ前回ノ決議書ハ既ニ輪札ヲ以テ通報シ各員悉ク領知スル所タレハ自今開議ノ前敢テ之ヲ上読セサルヘキコトヲ演述ス
    第二節
会頭ハ既ニ前回ノ発案ニ係ル組合定款並申合規則等ハ政府ニ取結フヘキ約束書ニ根拠スヘキ者ニシテ、已ニ其約束ノ旨意ニ基キ草案セシ所ナレトモ、其約束ノ条款ハ方今稟候中ニ付其指令ヲ得テ後之ヲ議定スヘシ、本日ハ先ツ銀行トノ約束案ヲ議定スヘキコトヲ演述ス
    第三節
会頭ハ又臨機要件ノ議目アリ、因テ前条ノ約束書ヲ議定スルニ先チ須ラク之ヲ決定スヘキコトヲ述ヘ、而シテ其議定スル所如左
一 諸般申牒ノ中平常ノ事務ニシテ同盟ノ連署ヲ要セサル者ハ都テ総理代人ノ名印ヲ用ヒ之ヲ開申スヘシ
一 新ニ一書冊ヲ設ケ之ヲ決議件名録ト称シ、毎会決議ノ件目ヲ即日之ニ登録シ、其記目ノ左傍ニ於テ各員証印(実印又ハ小印)ヲ捺シ、以テ決議ノ件目ヲ確証スヘシ
    第四節
会頭ハ又左ノ三件ヲ演説ス
一 今般太政官第廿九号御達ニテ、公文ニ西洋墨汁ヲ用ルコト禁止セラレタリ、因テ此組合ニ於テハ速カニ墨汁ノ便利タル事情ヲ悃願スヘキニ当リ、紙幣寮ノ内意ヲ聞ケハ、公文ハ即チ官省中ノ文書ヲ指称スル者ナラント云フ、依テ此組合ニ於テハ先ツ従前ノ如ク墨汁並圧写盤ヲ使用シ、若シ其禁令ニ抵触スル所アレハ其時速ニ前意ヲ申請スヘシ
一 前回ニ決議セシ肝煎権限並総理代人権限事務章程ハ各清本ヲ作リ後回ニ於テ各員之ニ鈐印スルコトヲ要ス
一 肝煎ノ月番ハ後会ニ於テ定ムヘシ
    第五節
会頭ハ前回ノ発案ニ依ル第一国立銀行ト締約スヘキ条款案ヲ執テ逐条衆議ヲ択ヒ、之ヲ決定ス
右会議畢テ一同退場ス、于時午後四時三十分


鉄道回章留(DK080030k-0002)
第8巻 p.430-431 ページ画像

鉄道回章留                (渋沢子爵家所蔵)
    ○
以輪札啓申仕候、陳者去ル十八日第十六回定式会議要件録編纂ニ付及御回達候間、早速御順達周尾ヨリ御返却可被下候也
  三月廿二日○明治九年           渋沢栄一
  二申、本文要件録御輪達仕候ハ毎会後三日間ニ発達スヘキ規則ニ候得共、今回ハ去ル十日御上申書改写等ニ而一日間相後レ申候、此段御諒察可被下候也
    ○
以輪札啓申仕候、陳者墨料之儀ニ付別紙之通悃願書可差出ト奉存候間各位御異議無御座候ハヽ、草案輪廓之上辺ニ於テ御撿印被成下候様、
 - 第8巻 p.431 -ページ画像 
刻付ヲ以テ御回達周尾ヨリ御返却可被下候也
  三月廿二日○明治九年午後二時廿分     渋沢栄一
  二申、去ル十八日第十六回定式会議ニ於テ御決議相成候、自今諸申牒名印之儀ニ付御届書ハ、昨日改写御上申牒ト御一同ニ御捺印ヲ乞ヒ、東京府江差出候ニ付、該書写為御心得供御一覧候也
  (別紙)
    墨料之儀ニ付奉悃願候書付
今般太政官第廿九号御達ヲ以テ自今公文ニ西洋墨汁(インキ)相用候儀不相成旨被 仰出候処、右ハ官省中ノ文書ニ限リ候儀ニテ、人民一般取扱ノ書牒上ニ於テハ差支有之間鋪ト相心得仕候処、去ル十八日御府第四十六号御達ニ、今般太政官ヨリ御達之趣モ有之候間自今諸願伺届等ノ文書ニ(インキ)用候儀不相成旨被 仰達領承仕候、私共同盟鉄道組合事務ノ儀ハ嘗テ専ラ冗費ヲ省キ簡実ヲ旨トシ、其文書ノ如キハ数名之写字生ヲ雇フヘキモ「インキ」ヲ用ヒ一ツ之圧写盤ニ依テ相弁シ来リ、譬ヘハ三日間ヲ以テ謄写スヘモ《(キ脱)》僅ニ一日ニシテ相了シ、随テ諸般事務モ敏捷ニ相運ヒ、頗ル便利ヲ得候間、仰願クハ此組合ニ於テ取扱候文書類ハ総テ「インキ」圧写ヲ相用候様仕度、何卒此稟請之事情御諒察被成下、速ニ御允准被成下度悃願仕候也
  明治九年三月 日      東京鉄道組合総理代人
                    渋沢栄一印
  東京府権知事
    楠本正隆殿
   ○第一国立銀行トノ間ニ取結条款ハ上記ノ如ク其草案ヲ決定シタルモ、後政府トノ約束案ニ更改アリタルヲ以テ、更ニ第廿一回臨時会議ニ於テ再議修正ヲ経テ次掲ノ如キ条款ノ結約ヲ見ル。


東京鉄道組合ト第一国立銀行トノ間ニ取結条款(DK080030k-0003)
第8巻 p.431-433 ページ画像

東京鉄道組合ト第一国立銀行トノ間ニ取結条款
                (株式会社第一銀行所蔵)
  東京鉄道組合ヨリ政府ヘノ年賦上納金並其利足請取方取扱向ヲ第一国立銀行ニ委托シ、及ヒ年賦金上納ノ年度中ハ同盟ノ会同其他ノ事務取扱ノ場所ヲ銀行館内ニテ借受ルニ付、東京鉄道組合ト第一国立銀行トノ間ニ結約スル条々如左
    第一条
東京横浜間ノ鉄道ヲ政府ヨリ此組合ニ払下ケノ許可アリシ金額ハ則三百拾万円ニシテ、其内三百万円ヲ明治九年八月ヨリ七ケ年賦明治十六年一月ヲ限リ皆納スヘキニ付、毎季ノ上納額金弐拾壱万四千円(終季ハ弐拾壱万八千円)ヲ一月七月ノ五日迄ニ大蔵省ヘ上納スヘキナリ
    第二条
右上納金ニ対スル所ノ利子ヘ《(ハ)》年六朱ノ割合ヲ以テ毎年両度六月十二月 政府ヨリ此組合ニ下付セラルヽ者ナリ
    第三条
第一条三百万円ノ内弐百八拾弐万円ハ同盟各自ニ出金シ、拾八万円ハ年々政府ヨリ請取ヘキ利子ヲ以テ支弁スヘキ計算ニ付、別冊年賦金上納会計方法ニ基キ上納、第一季ヨリ第五季マテノ間ハ毎季其不足額ヲ第一国立銀行ヨリ借用シ、年壱割ノ利子ヲ添ヘテ毎季政府ノ御下利子
 - 第8巻 p.432 -ページ画像 
ヲ以テ償却スヘシ、而シテ上納第六季以後ハ残余金ヲ生スヘキニ付、之ヲ銀行ニ預ルカ、又ハ組合ニ配賦スヘキカハ其時ノ協議ニ於テ之ヲ決スヘシ
    第四条
第一国立銀行ハ第一第二第三条ノ取扱ニ於テ左ノ手続ヲ為スヘシ
    第五条
毎年両季ノ上納金ハ毎季期日ノ五日前ヲ限リ、組合ヨリ各自ニ金額ヲ調達シ、第一国立銀行ニ振込ムヘシ
 但同盟各自ニ振込ムヘキヲ以テ、第一国立銀行ニ於テモ亦各自ニ対シ其金額ノ預リ証書ヲ発付スヘシ
    第六条
第一国立銀行ハ第五条総員ノ振込ミヲ受了スルトキハ、其景況ヲ速ニ総理代人ニ報告スヘシ
    第七条
第一国立銀行ハ第五条ノ手続ヲ了セハ、毎季其月ノ五日ヲ以テ大蔵省ヘ上納方ヲ取計フヘシ
    第八条
第一国立銀行ハ第七条ノ上納ヲ取計、政府ヨリ受取証書ヲ得テ之ヲ総理代人ニ差出シ、向キニ組合各員ニ発付セシ所ノ銀行ノ預リ証書ト交換スヘシ
 但総理代人ニ於テハ上納期限ニ先チ組合各自ニ第一国立銀行ヨリ発付セシ所ノ預リ証書ヲ取戻シ置キ、而シテ本文ノ交換ニ応スヘシ
    第九条
第二条ノ利子ハ毎年七ケ年間 両季六月十二月 政府ヨリ直ニ第一国立銀行ニ下渡スヘキコトヲ、此組合ト政府トノ約束アレハ、毎季第一国立銀行ニ於テ直ニ政府ニ向ヒ其定例ノ申牒ヲ為シ、以テ金額ヲ受取ルヘシ
    第十条
第一国立銀行ハ第九条ノ金額ヲ政府ヨリ受取リタルトキハ、上納第五季迄ノ間ハ第三条ノ趣意ニ基キ、曩ニ銀行ヨリ此組合ニ貸出シタル金額ノ元利ニ充テ之ヲ収入シ、第六季以後ハ組合ノ協議ニヨリテ之ヲ預ルカ、又ハ之ヲ配賦スヘシ
    第十一条
第五条ノ如ク毎季上納金ノ各自ヨリ振込ミハ上納期日ノ五日前ヲ限ルヘシト云トモ、各自ノ適宜ニ依テ期限前ニ振込ミヲ為ストキハ、第一国立銀行ハ定期預リ金定則ニ従ヒ、即チ日数廿五日以上満一ケ月間迄ハ年弐歩四厘、一ケ月以上二ケ月間迄ハ同三歩、二ケ月以上四ケ月間迄ハ同四歩、四ケ月以上六ケ月間迄ハ同六歩、六ケ月以上十二ケ月間迄ハ同七歩弐厘ノ割合ヲ以テ、第一国立銀行ヨリ各自ニ向テ其預金ノ利息ヲ払フシ
 但此利足ハ各自ノ金額上納期限前ノ者ヨリ生スルニ付、第一国立銀行ハ各自区別シテ其預ケ主ヘ仕払フコト勿論タルヘシ
    第十二条
年賦上納金並御下ケ利息金等ヲ取扱フニ於テ、其手数料トシテ二項金額ノ千分ノ一ヲ毎年六月十二月ノ両度ニ組合ヨリ第一国立銀行ニ差出
 - 第8巻 p.433 -ページ画像 
スヘシ
    第十三条
此組合ハ第一国立銀行館内ヲ借用シ、玆ニ定式臨時ノ会議ヲ開キ、且組合ノ常務ヲ取扱フヘキヲ以テ、其謝礼トシテ壱ケ年金百弐拾円ヲ六月十二月ノ両度ニ第一国立銀行ニ贈ルヘシ
 但会同又ハ平日ノ事務ヲ取扱ニ於テ用ユル筆紙墨及印紙郵便切手又ハ薪炭茶机筐等ノ類ハ、固ヨリ組合ノ費用ニアル者ナリ
    第十四条
此組合ノ定額月費金ハ当分之処毎月金弐百円ト定メタルニ付、月末毎ニ之ヲ第一国立銀行ヨリ借受ケ、追テ政府ヨリ受取ルヘキ利足ノ中ヲ以テ之ヲ返却ヘシ《(ス脱)》
 但右借用分モ其利足ハ年壱割ノ計算タルヘシ
    第十五条
此約定ハ年限中明治九年ヨリ同十六年マテ此組合ト銀行トノ都合ニヨリ、双方協議ノ上之ヲ改正増補スルコトヲ得ヘシ
    第十六条
満期ノ後明治十六年一月後此組合ノ金銀出納取扱ヲ更ニ第一国立銀行ニ托スル時ハ、其節ニ臨ミテ協議ノ上相当ノ約定ヲ為スヘシ
右之条々ヲ結約シタル証トシテ東京鉄道組合ノ各員ト第一国立銀行頭取取締役ハ左ニ記名調印致候也
  明治九年八月四日
                        同盟連署印
                  第一国立銀行頭取
                    渋沢栄一印
                  同 支配人代理
                    永田甚七印
此約定書ハ之ヲ弐通ニ製シ、結約ノ双方ニ交附致シ置候也



〔参考〕鉄道回章留(DK080030k-0004)
第8巻 p.433 ページ画像

鉄道回章留 (渋沢子爵家所蔵)
乾第七号輪札ヲ以テ啓申仕候、陳者第拾七回定式会議要件録並本会ニ御決議相成候輪議規則共御回達仕候、将又輪札之儀者自今両様ニ番号ヲ立テ、則通常之輪札ヲ乾号ト為シ、輪議ノ事件ヲ坤号ト為シ、本年一月ニ溯リ立号ノ紀元ト仕候間、則当札ヲ第七号ニ相立申候、此儀乍序申上置候、輪札例之通御順周尾《(達脱カ)》ヨリ御返却可被下候也
  四月十九日○明治九年          渋沢栄一