公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第8巻 p.460-466（DK080033k） ページ画像
明治9年8月5日（1876年）
同組合、政府ト新橋横浜間官設鉄道払下ニ関スル条約ヲ締約ス。
鉄道払下条約（DK080033k-0001）
第8巻 p.460-462 ページ画像
鉄道払下条約（株式会社第一銀行所蔵）
太政官ノ許可ヲ以テ工部省所轄ノ東京横浜間鉄道ノ全部ヲ華族九条道孝以下弐拾六名ニ譲渡スヘキ約条
第一条
東京横浜間ニ亘ル鉄道並土地及ヒ所属ノ諸館屋諸器械ヲ併セテ政府ヨリ華族弐拾六名ノ組合ニ譲渡スコトヲ約ス、而シテ其代価ハ三百拾万円ノ金額ニシテ、内三百万円ハ七ケ年賦ニ上納スヘク、且此年賦金ハ皆納済ノ年マテ年々増加セシ総額ニ対シ、政府ヨリ年六朱ノ利足ヲ下付シ、残拾万円ハ特別ニ右七ケ年後無利息十ケ年賦ニ上納スヘキコトヲ允准セリ、然ル上ハ向後此鉄道ニ於テ政府ヨリ別ニ代価ノ増額ヲ此組合ニ徴求スルコトナカルヘシ
第二条
華族弐拾六名ヨリ上納スル金額ノ割合ハ別紙ニ記シ、之ヲ此約条ニ付セリ
第三条
右三百万円ハ明治九年七月ヨリ七ケ年賦明治十六年一月ヲ限リ毎年両季即チ一月五日七月ノ五日ヲ以テ毎時金弐拾壱万四千円最終ノ季ハ金弐拾壱万八千円ヲ右組合ヨリ大蔵省ヘ上納スヘシ
但明治九年七月分ハ来ル八月五日ヲ期シ上納スヘシ
第四条
右年賦上納金ニ対スル所ノ年六朱ノ利子ハ毎季ノ上納金ニ割合ヒ、其上納ノ月ヨリ六ケ月分ヲ計算シ、毎年両度ツヽ即チ六月十二月ノ末ニ於テ政府ヨリ組合ニ附与スヘシ
但第一季明治九年十二月ニ於テハ同年八月上納セシ金額ニ対スル所ノ利子ニ係リ、同十年六月ニ於テハ第一季明治九年八月第二季同十年一月上納
- 第8巻 p.461 -ページ画像
ノ金額ニ係リ、同十二月ニ於テハ第一第二第三季上納ノ金額ニ係ル以下皆之ニ傚フ、而シテ十五年十二月ニ於テハ第十三季ニ充ル所ノ金額ニ係ル所ノ利子ヲ下付スル者ナリ
第五条
代価ノ内三百万円上納皆済ノ日、即チ明治十六年一月以後東京横浜間ノ鉄道及ヒ其附属館屋器械地所之ニ附帯スル地券等一切ノモノヲ政府ヨリ組合ヘ引渡スヘシ
第六条
此鉄道ニ属スル列車ロコンモチーブ上下客車荷物車ノ類家屋ステーシヨン納屋倉庫其外役宅製造所ノ類地所其外一切ノ諸器械ハ年賦上納ノ年度中其毀損ニ従ヒ工部省ニ於テ適宜之ヲ修繕シ、又ハ之ヲ新造スヘキコト勿論ナレトモ、所用ノ要具ハ年賦済ノ期ニ臨ミ、都テ損傷不具等ノコトナク之ヲ引渡スヘシ
第七条
七ケ年賦上納済迄ハ組合ニ於テハ其金額ニ対スル所ノ定額ノ利子ヲ収受スルヲ以テ、此鉄道会計上ノ損益ハ関係セサルヘシ、然レトモ右年限中此鉄道ノ地勢ヲ変換シ、又ハ此線路ニ接続シテ更ニ他ノ鉄道ヲ新築スル等ノコトアルトキハ工部省ヨリ組合ニ照会スヘシ
第八条
此鉄道ヲ組合ニ譲受ケタル上ハ全ク組合ノ所有物トナシ、永久其事業ヲ営ムヘキコトヲ得ヘシ、就テハ是迄政府ヨリ頒布スル鉄道ノ諸布告規則類及ヒ向後頒布スヘキ命令ヲ遵奉スヘシ
第九条
此鉄道ニ属スル軌道敷地及ヒ各駐車場ノ地所ハ特別ノ許可ヲ以テ其地税ヲ蠲除シ、其他ノ地所ハ相当ノ地税ヲ上納スヘシ
第十条
年賦金上納方並利子受取方ハ、組合ヨリ第一国立銀行ニ委托シテ之ヲ取扱ハシムヘシ
第十一条
年賦上納金三百万円皆済ノ上鉄道引渡シノ時ハ、従前政府ニ於テ此鉄道ニ使役セラレシ内外ノ職員ハ当人ノ望ミニ任セ之ヲ譲与シ、阻碍ナカラシムヘシ
第十二条
此組合ニ於テ年賦期限中若シ無余儀事情ニ際会シ総高ノ金額ヲ皆納スルコト能ハサル時ハ、政府ニ於テ左ノ三条中ノ一ヲ撰テ之ヲ処分スヘシ
一既済ノ金額ヲ以テ本鉄道一部ノ株券ト為シ、官私共有スルヲ得セシムル事
一年限ヲ定メ利子ヲ附テ公債ト為ス事
一更ニ株主ヲ募リ此立会ヲ相続セシムル事
第十三条
此約束ヲ為シタル後ハ組合ヨリ鉄道事務ニ付テ稟請ノコトアレハ都テ工部省ニ上申スヘシ、又鉄道ノ事況及其会計ノ情実ヲ預知スヘキ為メ組合総理代人ヲ以テ鉄道寮ニ稟候スルコトヲ得ヘシ
第十四条
- 第8巻 p.462 -ページ画像
此組合ニ於テハ追テ定款、申合セ規則ヲ設ケ諸般ノ事務取扱方順序ヲ定ムヘキニ付、之ヲ工部省ニ稟告シ其承認ヲ得テ確定スヘシ
右条約ノ証トシテ玆ニ記名調印致シ候也
明治九年八月五日
大蔵卿 大隈重信印
工部卿 伊膝博文印
九条道孝(印)
徳川慶勝(印)
松平慶永(印)
蜂須賀茂韶代理小室信夫(印)
伊達宗城(印)
池田慶徳(印)
毛利元徳(印)
池田茂政(印)
亀井玆監印
松平茂昭(印)
伊達宗徳(印)
久松勝成(印)
井伊直憲(印)
松平頼聡印
山内豊範(印)
前田利嗣(印)
（附箋）
願済帰省中ニ付帰京ノ上擦印可仕候 榊原政敬
池田章政印
大村純熙(印)
前田利同(印)
井伊直安(印)
（附箋）
願済帰省中ニ付帰京ノ上捺印可仕候 毛利元敏
池田徳潤(印)
池田輝知(印)
毛利元忠(印)
久松定謨(印)
此約定書ハ之ヲ弐通ニ製シ結約ノ双方ニ交附致シ置候也
東京鉄道組合会議要件録 第二巻（DK080033k-0002）
第8巻 p.462-463 ページ画像
東京鉄道組合会議要件録 第二巻 （株式会社第一銀行所蔵）
以下p.462 ページ画像 以下p.463 ページ画像 東京鉄道組合年賦上納金会計明細表 年賦金上納区別 旧担保金額之内 増額之内 各自合計 自第一季至第十三季上納合計 第十四季上納分 自第一季至第十三季上納合計 第十四季上納分 同上一季分 同上一季分 数位 百拾万千百十円十銭厘 拾万千百十円十銭厘 拾万千百十円十銭厘 万千百十円十銭厘 百拾万千百 同盟名氏 蜂須賀茂韶 七一九九三一 五二四 五六四一四 四七六 四五九五三 〇七六 三六〇〇 九二四 八二五九 五五三七九 三四八 三五三四 八五二 毛利元徳 三六〇〇〇九 三五一 二八二一〇 六四九 二二九七九 三二〇 一八〇〇 六八〇 四一三〇 二七六九三 〇二七 一七六七 六四〇 徳川慶勝 二三七六二三 六〇七 一八六二〇 三九三 一五一六七 四六四 一一八八 五三六 二七二六 一八二七八 七三九 一一六六 七二八 松平頼聡 二〇一六二二 六六八 一五七九九 三三二 一二八六九 五三二 一〇〇八 四六八 二三一三 一五五〇九 四三六 九八九 九六四 池田慶徳 一六四〇五二 六八一 一二八五五 三一九 一〇四七一 四四八 八二〇 五五二 一八八二 池田輝知 一二六一九 四三七 八〇五 四九六 池田茂政 一五九四三二 七一五 一二四九三 二八五 一〇一七六 五五六 七九七 四四四 一八二九 池田章政 一二二六四 〇五五 七八二 八一二 山内豊範 一二三四三一 七七六 九六七二 二二四 七八七八 六二四 六一七 三七六 一四一六 九四九四 七五二 六〇六 〇四八 松平慶永 一一五一五〇 六八五 九〇二三 三一五 七三五〇 〇四四 五七五 九五六 一三二一 松平茂昭 八八五七 七四五 五六五 三八八 伊達宗城 一〇八〇〇二 八〇四 八四六三 一九六 六八九三 七九六 五四〇 二〇四 一二三九 伊達宗徳 八三〇七 九〇八 五三〇 二九二 久松勝成 一〇八〇〇二 八〇四 八四六三 一九六 六八九三 七九六 五四〇 二〇四 一二三九 久松定謨 八三〇七 九〇八 五三〇 二九二 前田利嗣 一〇二八五九 八〇九 八〇六〇 一九一 六五六五 五二〇 五一四 四八〇 一一八〇 七九一二 二九三 五〇五 〇四〇 井伊直憲 七二〇〇一 八六五 五六四二 一三五 四五九五 八六四 三六〇 一三六 八二六 五五三八 六〇五 三五三 五二八 大村純熙 六四七六六 八一九 五〇七五 一八一 四一三四 〇五二 三二三 九四八 七四三 四九八二 〇六三 三一八 〇〇四 亀井玆監 二九二〇一 七三一 二二八八 二六九 一八六三 九四〇 一四六 〇六〇 三三五 二二四六 二八七 一四三 三八〇 毛利元敏 一四三八二 九四〇 一一二七 〇六〇 九一八 〇六〇 七一 九四〇 一六五 一一〇六 三八〇 七〇 六二〇 前田利同 九二三九 九四五 七二四 〇五五 五八九 七八四 四六 二一六 一〇六 七一〇 七六五 四五 三六八 榊原政敬 七二三五 〇五九 五六六 九四一 四六一 八一二 三六 一八八 八三 五五六 五四三 三五 五二四 池田徳潤 五一四二 九九五 四〇三 〇〇五 三二八 二七六 二五 七二四 五九 三九五 六一五 二五 二五二 毛利元忠 四七九四 三〇九 三七五 六九一 三〇六 〇二〇 二三 九八〇 五五 三六八 七九三 二三 五四〇 九条道孝 四六一九 九七九 三六二 〇二一 二九四 八九二 二三 一〇八 五三 三五五 三八三 二二 六八四 井伊直安 三五七三 九三四 二八〇 〇六六 二二八 一二四 一七 八七六 四一 二七四 九一八 一七 五四八 総計 二六一五〇八〇 〇〇〇 二〇四九二〇 〇〇〇 一六六九二〇 〇〇〇 一三〇八〇 〇〇〇 三〇〇〇〇 二〇一一六〇 〇〇〇 一二八四〇 〇〇〇 ○太字ハ朱書、ミシン罫ハ朱線。
- 第8巻 p.464 -ページ画像
鉄道払下条約（DK080033k-0003）
第8巻 p.464 ページ画像
鉄道払下条約 （株式会社第一銀行所蔵）
旧担保金額 増額 合計 姓名
七拾七万六千三百四拾六円 四万九千五百五拾四円 八拾弐万五千九百円 蜂須賀茂韶
三拾八万八千弐百弐拾円 弐万四千七百八拾円 四拾壱万三千円 毛利元徳
弐拾五万六千弐百四拾四円 壱万六千三百五拾六円 弐拾七万弐千六百円 徳川慶勝
弐拾壱万七千四百弐拾弐円 壱万三千八百七拾八円 弐拾三万千三百円 松平頼聡
拾七万六千九百〇八円 壱万千弐百九拾弐円 拾八万八千弐百円 池田慶徳 池田輝知
拾七万千九百廿六円 壱万〇九百七拾四円 拾八万弐千九百円 池田茂政 池田章政
拾三万三千百〇四円 八千四百九拾六円 拾四万千六百円 山内豊範
拾弐万四千百七拾四円 七千九百弐拾六円 拾三万弐千百円 松平慶永 松平茂昭
拾壱万六千四百六拾六円 七千四百三拾四円 拾弐万三千九百円 伊達宗城 伊達宗徳
拾壱万六千四百六拾六円 七千四百三拾四円 拾弐万三千九百円 久松勝成 久松定謨
拾壱万〇九百弐拾円 七千〇八拾円 拾壱万八千円 前田利嗣
七万七千六百四拾四円 四千九百五拾六円 八万弐千六百円 井伊直憲
六万九千八百四拾弐円 四千四百五拾八円 七万四千三百円 大村純熙
三万千四百九拾円 弐千〇拾円 三万三千五百円 亀井玆監
壱万五千五百拾円 九百九拾円 壱万六千五百円 毛利元敏
七千八百〇弐円 四百九拾八円 八千三百円 榊原政敬
五千五百四拾六円 三百五拾四円 五千九百円 池田徳潤
五千百七拾円 三百三拾円 五千五百円 毛利元忠
四千九百八拾弐円 三百拾八円 五千三百円 九条道孝
三千八百五拾四円 弐百四拾六円 四千百円 井伊直安
九千九百六拾四円 六百三拾六円 壱万〇六百円 前田利同
合計弐百八拾弐万円 合計拾八万円 合計三百万円
工部省記録 第五巻（DK080033k-0004）
第8巻 p.464-465 ページ画像
工部省記録 第五巻 （鉄道省所蔵）
（朱書）
丞 本日差出
今般東京横浜鉄道華族九条道孝已下廿六名ヘ払下相成候ニ付、別冊条約書二通大蔵工部両卿調印之上及御廻候間各名下ヘ押印相成、壱冊者御返却有之度、此段申入候也
九年八月三日 工部大丞 吉井正澄
渋沢栄一殿
○
申牒之儀ニ付申上候書付
華族九条道孝以下廿六名之請願ヲ以テ東京横浜間之鉄道御払下御許可相成、去ル三日右御条約相整ヒ候処、私儀嘗テ右廿六名之委托ヲ受ケ其総理代人之義務取扱居候ニ付、自今此鉄道組合ヨリ御省ニ稟候スヘキ通常之事件ハ総テ私壱人之名印ヲ以テ申牒可仕候、尤此儀ハ総理代人権限条款中記載有之儀ニ御座候、此段開陳仕候也
明治九年八月五日 渋沢栄一(印)
工部卿 伊藤博文殿
○
- 第8巻 p.465 -ページ画像
奉啓爾来御清暢奉恐賀候、陳者華族方組合ヘ御払下相成候東京横浜間之鉄道ニ付御約条書、御省卿公大蔵卿ニも御調印ニ付、一同之調印も昨日取揃、即御約書壱本ハ今日御省ヘ差上候間御査収被下度候、将又九年七月分之上納金ハ本月五日上納之筈約書中掲載候ニ付、都而銀行ヘ為振込、即今日銀行より大蔵省ヘ上納方申上候間、是又御了承可被下候、且此願書ハ最初東京府庁之手を経上申之運ニ付、此程御約条相済候段ハ御省又ハ太政官より府庁ヘ御沙汰不被下而ハ、組合之方何か府ヘ対し潜越之筋ニ相成候ヘハ、何卒右御達之程御取計被下度候、尤向来ハ此事務ニ付而ハ、小生時々御省ヘ罷出毎事奉伺候筈ニ付、是又御含置可然御指揮奉願候、右等拝願迄如此御坐候 頓首
九年八月五日
渋沢栄一
吉井工部大丞様
尚々本日御約書上呈之為メ小生持参罷出候筈之処、昨日来中暑気ニて相悩居候ニ付、乍失敬書記大沢正道と申者差出候間、宜御教示奉願候也
御約書ハ、御下渡之分も取揃差上候間、何卒勘合之契印御捺押奉願也《（候脱カ）》
○右条約文ハ東京鉄道組合会議要件録第二巻篇末、青淵先生六十年史第一巻第九二一―九二五頁、日本鉄道史上篇第三五三―三五六頁ニ各載ス。
鉄道回章留（DK080033k-0005）
第8巻 p.465-466 ページ画像
鉄道回章留 （渋沢子爵家所蔵）
○
乾第十八号輪札ヲ以テ啓申、第一季御上納金之儀今五日銀行より大蔵省江御上納取計申候、右ニ付嘗テ銀行江御振込月時浅深ニ応シ利子相添銀行より各位江割戻シ方可取計ニ付而は、昨日各位ニ入御覧候御担保金上納方会計表並乾第十四号輪札ニ相添江供御廻覧候会計方法等、即今版本製作申候ニ付、四五日間ニ出来次第此書類ヲ以テ右割戻方並利足等之勘定書ハ銀行より為差出、各位ニ開申可仕候間、左様御承知可被下候、此輪札例之通御順達周尾より御返却可被下候也
九年八月五日 渋沢栄一
二伸、本文御上納相済候ニ付、大蔵省納手形銀行江御下附可相成ニ付而ハ、銀行トノ御約束条款ニ従ヒ、最初金円御振込之節銀行より各位ニ差出置候預リ証書ヲ取揃江右手形ト交換可仕候間、自今日三日間ニ総理代人役場ニ向ケ右預リ証書御差遣し可被下候
一各位之御中ニ弐季分御振込ニ相成各方ニも御座候処、其分ハ本日ヲ以テ利足等取調、当季上納分引去リ残金ハ更ニ銀行御預リ之積ニテ手形受取候ニ付テハ、最前之銀行預リ手形ハ御懸念ナク悉皆御差遣可被下候
一昨日御調印相済候政府ト之御約条壱部ハ今日工部省ニ返上致し、壱部ハ保存仕置候、又銀行ト之御約束モ昨日銀行役人記名調印相済、壱部ハ銀行江相達、一部ハ保存置候事
○
以使介啓申仕候、陳者第一季分年賦御上納金之儀は五日銀行ヨリ大蔵
- 第8巻 p.466 -ページ画像
省江上申、其七日国債寮江上納相済申候、因テ過日来各位ヨリ当方迄御差出シ有之候最前御振込金之証書ヲ以テ銀行ニ対シ右上納帳ト交換致し、上納帳は正ニ保存仕候、右ニ付御振込之内残余之分並利子共銀行ニ於テ計算相立テ更ニ御預リ金ト見做シ、則其預リ証書並仕訳書共弐通銀行ヨリ差出候間基儘御伝送仕候、御改メ御受納可被下候、且又過日申上置候年賦金上納明細表並会計方法等版本出来無之《（マヽ）》ニ付、各一部ツヽ呈上仕候、右は尚要件録之第二篇も編入可仕候間、左様御承知可被下候、先ハ要詞而已 匆々不宣
九年八月十五日
渋沢栄一
井伊直安様
〔参考〕鉄道組合同盟締約書真本（DK080033k-0006）
第8巻 p.466 ページ画像
鉄道組合同盟締約書真本 （株式会社第一銀行所蔵）
鉄道会社金額担保証書
一金壱万〇〇拾円
但壱ケ年分 金千四百三拾円宛
右担保スル金額ハ都而其家禄ノ中ヲ以テ此抵当ニ目算セシニ付、向後此出金違約ヲ生スル時ハ其年ノ家禄受取方ヲ総理代人ニ委托シ、万一モ此集合金ノ期限ヲ違ハサル事ヲ証トスヘシ
右ノ通出金額ヲ保証イタシ候也
明治九年三月三日 前田利同(印)
○前田利同ハ是歳二月十八日組合会議ノ決議ヲ以テソノ加盟ヲ許可シタルモノナリ。