デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
1款 東京鉄道組合
■綱文

第8巻 p.466-473(DK080034k) ページ画像

明治9年9月18日(1876年)

是ヨリ先、八月五日金禄公債証書発行条例公布セラルルヤ、鉄道組合華族中禄券制ニ因ル収入減ノ為メ嚮ニ盟約セル出資担保金額ヲ維持シ難シト為ス者アリ。是日第二十二回会議ハ為メニ異議紛々トシテ決セズ。乃チ栄一特別会議ヲ起シ禄券ニ対スル方策ヲ協議センコトヲ唱フ。衆議之ニ随フ。


■資料

鉄道回章留(DK080034k-0001)
第8巻 p.466 ページ画像

鉄道回章留               (渋沢子爵家所蔵)
    ○
以第拾九号輪札啓申、来ル十八日定式会議議目之儀ハ定款第八条以下並申合規則以上二件御衆議ヲ要シ可申候、左様御領承可被下候、輪札刻付ヲ以テ御順達周尾より御返却可被下候也
  明治九年九月十五日           渋沢栄一


鉄道組合会議要件録 第三巻(DK080034k-0002)
第8巻 p.466-468 ページ画像

鉄道組合会議要件録 第三巻       (株式会社第一銀行所蔵)
   第廿二回定式会議 明治九年九月十八日於第一国立銀行閣内開之
                 出席人名
 - 第8巻 p.467 -ページ画像 
                      榊原政敬代理加藤直栗
                      大村純熙代理山川前耀
                      徳川慶勝代理井上喬
                      池田慶徳代理勝部静男
                      井伊直憲井伊直安代理金田師行
                      前田利同代理佐々高柯
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      池田輝知代理河崎真胤
                      毛利元敏代理難波舟平
                      久松勝成久松定謨代理河東坤
                      前田利嗣代理神尾直養
                      九条道孝
                      伊達宗徳代理西園寺公成
                      山内豊範代理山田東作
                      松平慶永松平茂昭代理武田正規
                      池田茂政池田章政代理水原久雄
                      毛利元徳
                      小室信夫代理近藤潔
                      伊達宗城
                      亀井玆監
                   会頭 渋沢栄一
                   欠席 毛利元忠代理柏村信
                   同  池田徳潤
    第一節
右衆員着席之上、会頭ハ本会ニ於テハ定款並申合規則ヲ議定スヘキコトヲ演述シ、而シテ其議ニ先チ毎季年賦金上納ニ臨ミ各位ヨリ総理代人ニ向ヒ銀□《(行)》預リ手形ヲ送致スヘキ際ノ手続□□《(虫食)》議開場時間ノ件等ノ議問ヲ起シ、衆議決定スル所左ノ如シ
一 第一国立銀行トノ約束書第八条但書ニ拠リ、毎季年賦金上納ノ際各位ヨリ銀行預リ手形ヲ総理代人ニ向ヒ送致スヘキコトハ、自今毎季総理代人ヨリ通知ノ後三日間ニ於テ送致スヘシ、然ルトキハ総理代人ハ各自ニ向ヒ「本上納相済候節ハ此手形ハ効能ナキ者」ト明載セシ仮証書ヲ発付シ、而シテ銀行ニ対シ上納証書ト交換ヲ了シ、上納証書ハ後会ニ於テ各位ノ一覧ニ供スヘシ、然ルトキハ其総理代人ヨリ発付セシ仮手形ハ更ニ各位ヨリ還致スルヲ要セサルヘシ
一 会議開場ノ時限ハ規則ニ明文アリト雖トモ、毎々各位ノ出席ニ稽遅スル者多シ、是名実相反スル者ト雖トモ事実又不得止所アルヲ以テ、当分ノ内仮ニ時限ヲ更メ、各位十二時半ヲ限リ出席シ、午後一時ニ於テ開場スヘシ、而シテ其会議ノ時間ハ先規ニ従ヒ臨機之ヲ伸縮スヘシ
 - 第8巻 p.468 -ページ画像 
    第二節
会頭ハ定款ノ前議ヲ次クニ臨ミ、其十条十一条ハ㝡緊要タルヲ以テ先ツ両条ノ原旨ヲ衆員ニ訂ス、於玆テ徳川慶勝代理井上喬ハ、方今録券《(禄)》ノ挙ニ会シ、頓カニ前日ノ目的ヲ失ス、希クハ総理代人ニ諮リテ変通ノ策ヲ求メ、然後定款ノ議定ニ及ハンコトヲ述フ、即チ会頭ハ、其求ムヘキモノハ各自ノ私算ニ係リ一種性ヲ別ニスル所宜シク此定款ニ就テ議スヘカラサルコトヲ答フ、因テ衆論百出異同数派ヲナセリ、今其論旨ヲ大別スルコト左ノ如シ
甲 定款申合規則ノ会議ヲ止メ、更ニ其性質ヲ異ニシテ担保金ノ事ニ付臨時会議ヲ開クヘシ
乙 旧章ニ服従シテ定款ヲ議定シ、其変通ノ策ヲ求ルカ如キハ更ニ之ヲ協議シテ可ナルヘシ
丙 若シ定款第十条第十一条ヲ以テ最緊切ノ者ト看做シ、今日ノ会議ニ議了スヘカラサルトセハ、仮ニ其二条ヲ擱キ、便チ次条ヨリ議定スヘシ
    第三節
会頭ハ右三派ノ論旨ヲ取テ更ニ議問ト為シ、其一派ヲ撰テ判定センコトヲ求ムルト云トモ、同議ノ数竟ニ其一派ニ帰スル者ナキヲ以テ、更ニ左ノ一節ヲ建案シ、衆員之ヲ適実ナル者ト為シ以テ決定ス
一今夫定款第十条十一条ヲ以テ議定セントスレハ恐クハ衆員其内算ニ於テ危疑スル所アルヘシ、然リト雖トモ故ラニ会議ノ性質ヲ改メ更ニ担保金ノ件ヲ論セントスルモ、猶此会議ノ旨ヲ脱離スル者ニアラスシテ情実為スヘカラサル者ナリ、如カス更ニ特別ノ臨時会議ヲ起シ各自ノ意見ヲ陳述シ、其確算ヲ熟策シ、而シテ本会ノ旨ニ因リ以テ定款ヲ議定スヘシ
     第四節
会頭ハ第三節ニ従ヒ特別ノ会議ヲ開クヘキヲ以テ、先ツ其要件ヲ定ムヘキコトヲ述ヘ、衆議決定スル所左ノ如シ
一来ル廿五日ヲ以テ特別会議ヲ起シ、午後一時ニ於テ開場スヘシ
一右会議ニ於テハ各位担保金額ノ将来ニ渉ルヘキ所ヲ熟計シ、其意見ヲ陳述シ、然後其禄券ノ方策ヲモ協議スヘシ
右会議畢テ一同退場ス、時ニ午後四時前


鉄道回章留(DK080034k-0003)
第8巻 p.468-469 ページ画像

鉄道回章留               (渋沢子爵家所蔵)
    ○
  第二拾二回会議
第一会頭ハ第初季上納金国債頭郷氏ノ捺印セシ受取牒簿ヲ衆員ニ示ス
第二会議要件録第二巻編製ナルヲ以テ衆議員ニ一部宛頒附ス
第三会議之刻限実際上ニ齟齬スルヲ以テ、今後当分之内午後第一時ヲ以テ開場ノ期ト定ム
第四今後上納金一月七月ノ第一日ヲ以テ銀行江振込、其受取証券ヲ三日ニ総理代人ヘ差出シ、総理代人ヨリハ別段其証書ノ受取書ヲ相渡スコトニ決定ス
第五兼テ議目之通組合定款ヲ議スルニ際シ、此般御制定相成候禄券一
 - 第8巻 p.469 -ページ画像 
条ニ付各自担保金額ニ於テ大関係アルヲ以テ議論数岐ニ捗リ決定セザルカ故ニ、先ツ組合定款ヲ議スルハ暫ク措キ、今日ハ既ニ刻限四時ニ近キヲ以テ来ル廿五日臨時会議ヲ議《(開カ)》キ、第一禄券発行相成候共各自従来ノ担保金ニ指支ナキヤ、否第二前件之次第ニ付此組合中ニ指支ヘ有之担保金額ヲ出シ能ハサルトキハ、如何ノ方法ヲ設ケテ此会社ヲ維持スベキヤ、各自ソノ所見ヲ開陳シ、其方法ヲ論究センコトニ決シ、各自退散セリ
  九月十八日
   ○金禄公債証書条例ハ、明治九年八月五日太政官布告第百八号ヲ以テ発布セラレ、明治十年ヨリ華士族及平民ノ家禄賞典禄給与ノ制ヲ改メ、金禄トナシ、且数ケ年ノ額ヲ積算シ、公債証書ヲ以テ一時ニ給与シ、之ヲ償還スル迄ハ利子ヲ給与スルモノトス、其結果特ニ禄高多額ナル者即チ華族等ノ多クハ毎年ノ利金収入従前ノ所得ニ比シ大ニ減ズ、例ヘハ禄高二十万円ノ者ハ毎年利金ノ渡高ハ金禄渡高ノ三割八分余トナル。(明治財政史・第八巻 国債・第二七八―二八八頁参照)
   ○前掲第二十二回鉄道組合会議議事録ニハ適確ニ指示シ難ケレドモ次ニ「参考」ニ掲グル華族会館誌第四巻及岩倉公実記下巻ニ拠レバ、華族局督部長岩倉具視ハ是ヨリ先キ九月二日ヨリ九月十三日ニ亘ル数日間華族会館ニ衆華族ヲ召集シテ九ケ条ノ諭告ヲ示シ、特ニ禄券ノ協同利用方法ヲ協議スルトコロアリ、一面各華族ノ個人的禄券利用ニ制肘ヲ加ヘタルコトヲ知ルベシ、乃チ禄券制ニヨル華族ノ年収入激減ノ予期セラルヽ一方又既ニカヽル制肘ノアルアリ、是日組合会議ニ於ケル紛議ヲ見ルニ至リタルナルベシ、而シテ具視ノ禄券協同利用計画具体化スルニ及ンデ、愈々東京鉄道組合ノ既定計画ノ最大障害トナルニ至ル。



〔参考〕秩禄処分参考書 (大蔵省理財局編)(明治前期財政経済史料集成 第八巻・第四〇五―四〇七頁〔昭和八年五月〕)(DK080034k-0004)
第8巻 p.469-471 ページ画像

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〔参考〕岩倉公実記(岩倉公旧蹟保存会発行) 下巻・第四七七―四七八頁〔昭和二年七月〕(DK080034k-0005)
第8巻 p.471 ページ画像

岩倉公実記(岩倉公旧蹟保存会発行) 下巻・第四七七―四七八頁〔昭和二年七月〕
初メ九年丙子八月五日、太政官ハ金禄公債証書条例ヲ頒布シテ曰ク、華士族及平民家禄賞典禄給与ノ制ヲ更メ金禄ト為シ、数箇年ノ額ヲ積算シ一時ニ給与ス、之ニ授与スルニ公債証書ヲ以テス、其元金ハ五箇年間据置キ、六箇年ヨリ後ハ毎年抽籤法ヲ用ヰテ之ヲ償還シ、三十箇年ヲ限リ完了ス、其元金ヲ償還セサルノ間ハ毎年利子ヲ給与ス、明年ヲ以テ施行ノ期ト為ス、其二十六日ニ至リ、宮内卿徳大寺実則内旨ヲ奉シ、具視ニ諭シテ曰ク、今回禄制改革セラルヽヲ以テ華族前途産業ノ目的ヲ定メ家政ヲ整理セシムルコトニ注意スヘシ、蓋シ具視ノ此諭命ヲ承クルハ華族局督部長ノ職ヲ帯フルヲ以テノ故ナリ、九月二日ヨリ十三日ニ至ルノ間、具視衆華族ヲ招集シテ宮内卿ノ諭命ヲ伝ヘ、且商議スルニ、協同会社ヲ興シ以テ各家保持ノ計ヲ立テンコトヲ以テス、是ニ於テ衆華族各自所有ノ金禄公債証書ヲ集合シテ基本金ト為シ、以テ一大銀行ヲ設立セントノ論アリ
 - 第8巻 p.472 -ページ画像 

〔参考〕華族会館誌 第四巻 【九年八月六日 督部長書ヲ…】(DK080034k-0006)
第8巻 p.472-473 ページ画像

華族会館誌 第四巻
九年八月六日 督部長書ヲ衆華族ニ寄セテ云、家禄賞典禄ノ制限ヲ設ケ公債証書発行ノ儀ハ各家ノ重事ニシテ前途ノ目的確定セサルヘカラス、依テ時日ヲ定メ不日面晤詳述セント欲ス、故ニ予メ之ヲ報スト
九月十三日○中略初メ禄券ノ令出ツルヤ、督部長衆華族ノ方向ニ迷フヲ恐レ、書ヲ各部長ニ致シ、大ニ同族ヲ招集シ、諮詢計画スル所アラントス、由テ同族ニ期スルニ第一部ハ本月二日三日、第二部ハ五日六日、第三部ハ七日八日、第四部ハ九日十一日、第五部ハ十二日十三日ヲ以テ各本館ニ来会スヘキヲ以テス、期ニ至テ同族悉ク至ル、督部長乃チ之ヲ議事堂ニ延キ左ノ条件ヲ演説ス
 維新草創ノ際、兵戈漸ク戢リ制度憲章多ハ旧慣ニ依リ、己巳年間有功ニ賜フニ賞典禄ヲ以テス、既ニシテ公卿諸侯ノ称ヲ廃セラレ、混シテ華族ト唱ヘ、封建ノ制漸ク変シテ秩禄ノ額大ニ減省ニ属ス、爾来人文日ニ開ケ、憲章従テ更リ、藩ヲ廃シ県ヲ置カレテ郡県ノ制大ニ立チ徴兵ノ令布カレテ文武ノ常職全ク解ク、而シテ華士族ノ家禄ヲ官廩ニ受クルハ昔日ニ異ナル無シ、論者皆其掌職ナクシテ人民ノ膏血ヲ素餐スルノ不可ヲ説ク、然レトモ上既ニ之ニ許スニ世襲ノ典ヲ以テシ、下之ヲ受クルニ祖先ノ遺栄トシテ疑ハス、況ヤ賞典禄ノ如キハ朝廷新ニ有功者ニ賜フ所ニシテ又永久ニ伝賜スヘキノ恩命アリテ未タ遽ニ変更ス可カラサルノ理勢アリ、然レトモ世禄徒食ノ弊ヲ革メサレハ富国保民ノ実挙ラス、何トナレハ方今国家挙行スヘキノ事業枚挙ニ遑アラスシテ、全国租税ノ額ヲ其戸口ニ賦スルニ一身一家ヨリ徴収スル所ノモノ、我国民ノ分ニ於テ既ニ少シトセス、故ニ一事ヲ挙ケント欲スレハ必ス甲ノ費用ヲ節シテ之ヲ乙ニ転用セサル可カラス、若シ然ラスシテ尚ホ之ヲ民ニ取レハ民何ニ由テ立ン、国何ニ依テ存セン、而シテ利用厚生ノ術ハ維持ノ要器、経済ノ良具ニシテ一日モ之ヲ忽ニス可カラス華士族ノ家録賞典《(禄)》ハ則チ歳出ノ巨額ニ属スレハ、早ク恰好ノ制ヲ定メ其費ヲ減シテ利用厚生ノ術ニ従事セサル可カラス、是今日政府断然数百年ノ成憲ヲ革メテ禄券ノ制ヲ挙行セラルヽ所以ニシテ、富国保民ノ実モ亦今日ヨリシテ将ニ始テ挙ル可キナリ、我カ同族諸君既ニ貴重ノ地ニ在リ、豈此盛意ヲ佩服奉体以テ自ラ勉ムル所ヲ図ラサル可ケンヤ然リト雖トモ農ヤ商ヤ皆是累世積年習熟経験スル所ノ業ナリ、若シ農ニシテ商トナリ商ニシテ農ニ変セントスレハ多少ノ歳月ヲ消費シテ其業ヲ専脩セサル可カラス、今我華族ノ農商ノ業ニ就カントスルモ亦之ト異ナル無シ、豈深ク慮リ遠ク謀リ著実経営セサルヘケンヤ、宜ク宗族親戚ト協同会議、其終始ヲ洞察シ其目途ヲ確立シ万遺算ナキヲ期シテ後徐々従事スヘキナリ、若シ然ラスシテ有限ノ資本ヲ以テ卒爾軽挙セハ或ハ一跌為ス可カラスシテ独自ラ窮厄ヲ招クノミナラス、上ハ優渥ノ盛意ニ背キ下ハ祖先ノ祭ヲ絶ツニ至ラン、豈慎ミ畏レサル可ケンヤ、具視不肖華族督部長ニ任ニ膺リ、今又華族ノ身家ヲ保護シ前途ノ安著ヲ図リ尽力誘導ス可キノ諭旨ヲ蒙リ感激ノ至リニ堪ヘス、将ニ奮発勉励諸君ト倶ニ計画スル所アラントス、故ニ先ツ愚衷ヲ述ヘ副フルニ条目ヲ以テス、冀クハ諸君亦意思ヲ竭尽シ、反復協議以テ永図ヲ定
 - 第8巻 p.473 -ページ画像 
メヨ、果シテ然ラハ独リ自家ノ幸福ヲ全クスルノミナラス、又聖化ヲ賛成スルノ一助トナラン、是今日具視ノ深ク諸君ニ望ム所ナリ
    第一条
今般華族ノ自家ヲ保護シ、前途ノ安著ヲ図リ、誘導可致旨御諭達有之加フルニ部長局其他ノ雑費トシテ来年ヨリ向十五ケ年間年々金一万五千円宛下賜候段、天恩優渥豈感戴ノ至リナラスヤ、就テハ今後此会館ヲ維持スヘキニ鞠躬尽力スルハ勿論、或ハ方嚮ニ迷瞢シ異議ヲ説候儀有之間敷、尤章程改正費金賦法ノ如キハ猶追テ協議可致事
   ○第二・三・四条略ス
    第五条
今般御布令ノ禄券制ハ各家其分ニ応シ巨大ノ減少ニ付、該戸主タル者家政ヲ自ラ責任シ、細トナク大トナク内外注意無之テハ不相叶、万一不注意ヨリ活計資本ノ恩賜ヲ失フ時ハ朝廷ヘ対シ申訳無之ハ勿論、上祖先ノ祭祀ヲ絶チ下子孫ノ飢餓ヲ来ス其関係実ニ重大ナリトス、故ニ省冗守倹ハ勿論、一家不慮ノ備無カルヘカラス、依テ歳入多寡各其分ニ応シ、凡十分一以上三分一ヲ限リ儲蓄シ、其余分ヲ以テ日用消費ニ充ツヘシ、且其抽籤ニ当ルヤ元金幾回ニモ領受スヘキニ付自然失ヒ易キハ常態也、此機ニ臨ミ是等ノ法方家政ノ変革予テ宗族協議ヲ尽シ、厳重ニ約束ヲ立、之ヲ固守シ、各自ノ家系ヲ永世不朽ニ保存スル工夫有之度事
    第六条
各自家政改革ニ付テハ、従来負債無之家及ヒ其儲蓄金並諸所有物不動産等ハ問フ所ニ非スト雖トモ、其負債アル家ハ来十年ヨリ其受領スル所ノ利子ヲ以テ其元金及ヒ利子ヲ払ヒ、剰余僅少ノ金円ヲ以テ一歳ノ経費ニ充ツルカ為ニ、多少工夫ヲ運ラシ方法ヲ設立セサルヲ得ス、故ニ一歳間ノ経費及負債ノ金額期限並債主ノ氏名、支消ノ方法等明細表記シ、其宗族中ヘ差出シ熟議可有之、其雛形ハ追テ可回送候事
    第七条
第三条ニ記載有之通類別録仮編製頒布ノ御趣意ニ依テ宗族一同相扶持スルハ論ヲ待タスト雖トモ、今般ノ禄制ハ各自一般巨大ノ減少ナルヲ以テ緩急金穀ヲ以テ救助スルハ到底難シトス、故ニ宗族中身ヲ労シ心ヲ尽シ懇切ニ周旋シ、譬ヘハ当時昌盛ナル家ハ益将来ヲ固クシ、衰頽セル家ハ未タ倒レサルニ保持スルノ策ヲ立、負債アル家ハ支消ノ方法処分ヲ定メ、或ハ一時窮迫スルモ他日安堵ナラシメンコト、多方尽力協議有之度事
    第八条
家政改革ニ付テハ傭人成ルヘク減省致サルヘシ、若シ無拠新ニ令扶持使用被致度節ハ出処人体ヲ審査シ、後日不都合無之様厚注意有之度事
    第九条
今後家計ノ儀ハ各人目的モ可有之候得共、成丈区々不相成、不動産所有ノ目的ヲ可被相定、其他協同社会ヲ結ヒ、公益ヲ謀ル等ノ策アラハ聊包蔵ナク具陳相成度、具視ヨリモ鄙見追々陳述可致事