デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
1款 東京鉄道組合
■綱文

第8巻 p.479-492(DK080036k) ページ画像

明治9年10月18日(1876年)

是日、第二十五回会議ヲ開ク。栄一前会ニ於テ托サレタル禄券運用ノ策、即チ、第一、第一国立銀行ニ禄券ヲ附托シテ上納金ノ貸付ヲ得ルノ法、第二、禄券ヲ以テ資本ト為シ国立銀行ヲ創立スルノ
 - 第8巻 p.480 -ページ画像 
法、第三、第一国立銀行ニ併資スルノ法ノ三策ヲ立テ衆議ニ附ス。衆論第一法ヲ望ム。次テ同月二十五日開カレタル臨時会議ニ於テ、栄一第二法ノ最モ適切ナル所以ヲ力説ス。因テ其選定ヲ後会ニ約ス。


■資料

鉄道組合会議要件録 第三巻(DK080036k-0001)
第8巻 p.480-490 ページ画像

鉄道組合会議要件録 第三巻     (株式会社第一銀行所蔵)
   第廿五回定式会議 明治九年十月十八日於第一国立銀行閣内開之
                 出席人名
                      九条道孝代理藤井祐澄
                      伊達宗城代理西園寺公成
                      榊原政敬代理塩谷正直
                      毛利元忠代理柏村信
                      池田茂政池田章政代理水原久雄
                      大村純熙代理稲田又右衛門
                      山内豊範代理山田東作
                      徳川慶勝代理井上喬
                      毛利元敏代理難波舟平
                      前田利嗣代理神尾直養
                      松平茂昭松平慶永代理武田正規
                      久松定謨久松勝成代理河東坤
                      井伊直憲井伊直安代理金田師行
                      前田利同代理佐々高柯
                      松平頼聡代理三宅十郎
                      池田輝知代理勝部静男
                      毛利元徳
                      伊達宗徳
                      亀井玆監
                      池田徳潤代理勝部静男
                      池田慶徳
                      蜂須賀茂韶代理小室信夫
                 総理代人 渋沢栄一
    第一節
右各員着席ノ上総理代人ハ各位ニ告テ曰、本日ハ其会定式ト雖トモ其議ノ趣旨ハ蓋前会ノ動議ヲ整理スヘキ特殊ノ会議ニ出テサルナキ者ナリ、而シテ前会(九月廿八日)ノ会議ハ又其前会(九月廿四日《(五)》)ノ如ク論派各漲ルト雖トモ、到底此鉄道ノ挙ハ禄券ノ制ニ因テ変スヘキ者ニアラサルヲ以テ、遂ニ禄券ヲ用テ鉄道年賦上納金ニ充テンコトヲ欲スル動論者ノ為メニ其政府ニ請願スルヲ須ヒスシテ禄券ヲ運用スヘキ計策ヲ総理代人ニ要求スヘシト云動議ヲ生シ、衆議之ニ同シテ其依托ア
 - 第8巻 p.481 -ページ画像 
ルヲ以テ則其方策ヲ案シ、法ヲ三項ニ設ケテ各其予算ヲ立テ以テ各位ノ撰択ニ供セント欲ス
    第二節
総理代人ハ第一節方策ノ第一法・第二・第三法ヲ挙テ各其大要ヲ解説シ、更ニ曰、各位若シ此三法ニ就テ一ヲ撰ミ以テ方向ヲ一定セハ則総理代人ハ前会ノ衆望ニ添ユル所ノ者アリト謂フヘシ、若シ又各位三法倶ニ之ヲ取ラサルトキハ更ニ衆議ノ如何ヲ望ムヘシ、且此方案ニ就テ各位ノ質疑推問スル所アレハ為メニ細説計算スヘシ、各位以テ如何ト為ス、因テ各位ハ其第一法ニ依テ行ハンコトヲ望ミ、而シテ其第六条第十一条ノ如キハ銀行トノ約束ニ関係シ、尤緊切ノ事件ニ属スルヲ以テ更ニ熟考スヘシト雖トモ、又望ム総理代人ノ此一法ニ従ツテ政府ニ請求スヘキ事件及ヒ銀行トノ約束ニ関係スヘキ部分ニ就テ其大要ヲ採録シ、以テ衆議ヲ撰ハンコトヲ
    第三節
於此テ総理代人ハ更ニ各位ニ告ケテ曰ク、已ニ第二節ノ如ク各位ノ望ム所アレハ其緊要ノ事件ヲ挙テ採録シ、及ヒ其方法ノ大要ヲ記シ、来ル廿五日臨時会議ヲ開キ以テ其件ヲ決定スヘシ、各位皆領諾ス
右会議畢テ一同退場ス、時午後六時下
  鉄道御払下代価年賦上納ノ約束ヲ完了スルニ、各家其禄券面ノ金額ヲ以テ一時ニ之ヲ納付シ、其運用ニヨリテ生スル利子ヲ以テ毎季ノ年賦金ニ充ツルノ方案
   第一法 各家悉ク禄券ヲ用ユルノ計算
    第一
各家第一季上納ハ既ニ完了シ、第二季モ其期本年ノ末タレハ勉メテ此二季分ヲ完了シ、残リ金額弐百五十七万弐千円ヲ各家ヘ下付セラルヘキ禄券ニテ明年ノ始ヨリ政府ヘ上納セシモノトシテ、之ヲ第一国立銀行ニ付托セラルヘシ
    第二
第一国立銀行ハ此付托ノ確証ヲ得レハ其実価禄券百円ニ付通価六十五円ヲ見積リ、之ヲ政府ヘ差出シ、発行紙幣ノ抵当ニ供シ、特別ノ許可ヲ乞フテ其額ノ銀行紙幣ヲ発行スヘシ
    第三
第二条ノ方法許可ヲ得レハ、其発行紙幣ノ額ハ百六十七万千八百円ナルニ付、条例ニ照ラシテ其交換準備金弐割五分百分ノ二十五ヲ予備シテ之ヲ其営業ノ運用ニ供シ、毎年元金ニ対シテ九分ノ利子ヲ得テ、此金拾五万〇四百六十弐円、其一割金壱万五千〇四十六円廿銭ヲ銀行手数料トシテ付与シ、及ヒ準備金ノ戻リ利息金三万七千六百十五円五十銭ヲ引去ルモ、猶金九万七千八百円〇〇三十銭《(マヽ)》ヲ余ス、之ニ禄券弐百五十七万弐千円ノ利足拾弐万八千六百円ヲ加ヘテ一ケ年合計金弐十弐万六千四百円〇〇三十銭《(マヽ)》ヲ得ルヘシ
    第四
第三季ヨリ第十三季マテノ年賦上納金額ハ、毎季弐十壱万四千円ニシ
 - 第8巻 p.482 -ページ画像 
テ、一ケ年合金四十弐万八千円ナレハ、第三条ノ利益金ニテハ一ケ年ニ弐拾万〇千五百九十九円七十銭毎季十万〇〇七百九十九円八十五銭ノ不足ヲ生スヘクシテ、其不足額ハ之ヲ第一国立銀行ヨリ年九分ノ利息ヲ以テ毎季鉄道組合ニ貸付セシムヘシ
 但明治十年ノ計算ハ鉄道年賦上納金第三季ノミニ止ルヲ以テ、差引弐千七百円〇〇卅銭《(マヽ)》ノ残余ヲ生スヘシ
    第五
毎季ノ計算如此ニシテ明治十六年一月ニ至リ、第十四季ノ上納金額弐十壱万八千円ヲ上納シ年賦金ヲ完了シテ、此時鉄道組合ノ第一国立銀行ニ負債スル金額ノ総計ハ、即百弐十弐万三千弐百弐十八円弐十銭タリ、之ニ第三季ヨリ借用金利子ヲ加算シテ、合計百五十九万三千六百八十六円廿五銭四リハ明治十六年一月ニ於テノ総額ナリ
 但別紙甲号第一国立銀行ヨリ借用金元利計算書ヲ参考スヘシ
    第六
第五条ニ至テ其負債総額ヲ一時ニ償却シ、此事件ノ団結ヲ要セントスレハ、銀行紙幣発行ノ抵当タル弐百五十七万弐千円ノ公債証書ヲ売却シ、銀行紙幣ノ発行ヲ停絶スヘシ、然ルトキハ其節ノ時価ニシテ此方法ノ目的トスル所ノ六十五円ノ価格ヨリ減却スルモ、猶能ク其負債額ヲ償却シ得ルヘシ
    第七
鉄道代価年賦上納ハ明治十六年一月ニ於テ完了セシニ付、同年ノ会計ヨリハ毎季生スル利益第三条ノ科額ヲ以テ第一国立銀行ヨリ借用セシ元利ヲ返償セハ、明治廿七年十二月ニ於テ全ク償却シ、却テ金七万七千四百拾円〇八十銭《(マヽ)》ノ残余ヲ得ルニ至ルヘシ
 但別紙乙号借用金償却計算書ヲ参考スヘシ
    第八
第一季第二季ニ於テノ年賦上納不足金弐万五千六百八十円ヲ第一国立銀行ヨリ借用シタルニ付、其元利及ヒ此鉄道組合ノ月費金ハ年賦上納金ニ対シ毎季政府ヨリ下付セラルヽ利足ヲ以テ償却シ、其余ノ利足額ハ素ヨリ各家ノ所有物タレハ、下付ノ時ニ之ヲ割合ヒ各自収入スルコトヲ得ルヘシ
    第九
明治廿七年十二月ニ至リ銀行ノ負債元利ヲ全ク返消シ得レハ、紙幣発行ノ方法ニ於テ銀行トノ約束ハ之ヲ廃スルモ、鉄道組合ノ自由タルヘシト雖トモ、銀行ハ俄ニ其貸付金ヲ徴収シテ紙幣ヲ引上ルハ実際営業ノ障害ナキ能ハサルニ付、更ニ三年ヲ期シ年賦ニテ其額ヲ減却シ、明治二十九年ニ至リ全ク之ヲ廃シ、㝡初各家ヨリ付托スル禄券ハ、其額二百五十七万二千円ノ儘ニテ之ヲ還付スルコトヲ得ルヘシ
    第十
第六条ハ鉄道年賦完了ノ期ニ於テ結局スヘキ方法ニシテ、第七条ハ続業ヲ以テ第一国立銀行ニ対シ其負債ヲ償却スヘキ者ナリ、若シ第六条ニ拠テ処分スルトセハ、此銀行紙幣発行ニ於テハ年限七年ヲ以テ之ヲ願フヘシ、又第七条ニ依ルトセハ其年限ハ十七年ニシテ足レリト雖トモ、第一国立銀行ノ年限即二十年ヲ以テ之ヲ願フヘシ、然ルトキハ第
 - 第8巻 p.483 -ページ画像 
九条銀行ノ事情ニ於テモ亦支障スル所ナカルヘシ、而シテ此両件ノ挙ハ鉄道組合ノ望ミニ任セ、第一国立銀行ハ之ニ協同シテ其約束ヲ為スヘキナリ
    第十一
右ノ方法タレハ当初各家ノ禄券ヲ鉄道代価残額ニ照ラシテ銀行ニ付托シ置クニ付、万一銀行紙幣発行ノ後其営業ニ不都合アリテ突然鎖業等ノコトアラハ、鉄道代価年賦上納ヲ誤ルニ付、此組合ニ於テハ㝡以テ緊要ノ事ナレハ、此約束ヲ為シタル上ハ組合中ニテ銀行ノ事務撿査役三名以上ヲ撰ミ、日々銀行ニ出勤シテ其計算ヲ照査シ、且紙幣交換等ニテ銀行困難ノコトアレハ、各家一時別ニ其資金ヲ出シテ其急迫ヲ補フコトニ尽力スヘシ
(別紙甲号)
    第一国立銀行ヨリ借用金元利計算○略ス
(別紙乙号)
    第一国立銀行ニ対スル負債償却計算○略ス

   第一法附録
    第一
此附録ナル者ハ第一法ヲ以テ同盟廿六名ニ施サス、其担保金額ヲ維持シ難キ数名蜂須賀茂韶松平茂昭 徳川慶勝久松定謨 松平頼聡前田利嗣 山内豊範毛利元敏 而已此法ニ従ヒ他担保金額ヲ維持スヘキ者ハ固ヨリ此例ニアラス
    第二
此法ヲ行フニ於テハ先ツ宜シク担保金ヲ維持スヘキ分ト推持スヘカラサル分トヲ分劃スヘシ、即左ノ如シ
  ○担保金額ヲ維持スヘキ分
一百十三万八千百円           担保総額
    内
  百〇六万九千八百十四円          原額
  六万八千弐百八十六円           増額
 右之一季分上納ハ左ノ如シ
  八万千百八十四円四十六銭七リ
   内七万六千三百十三円三十九銭九リ    原額
    四千八百七十壱円〇六銭八リ      増額
 右之第十四季分上納ハ左ノ如シ
  八万弐千七百〇壱円九十弐銭九リ
   内七万七千七百三十九円五十壱銭三リ   原額
    四千九百六十弐円十一銭六リ      増額
  ○担保金額ヲ維持シ難キ分
 一百八十六万千九百円            担保総額
    内
  百七十五万〇百八十六円          原額
  十壱万千七百十四円            増額
 右之一季分上納額ハ左ノ如シ
   十三万二千八百十五円五十三銭三リ
    内十弐万四千八百四十六円六十銭〇壱リ 原額
     七千九百六十八円九十三銭弐リ    増額
 右之第十四季分上納ハ左ノ如シ
 - 第8巻 p.484 -ページ画像 
 十三万五千弐百九十八円〇七銭壱リ
   内十弐万七千百八十円〇十八銭七リ    原額
    八千百十七円八十八円四リ       増額
右ノ如ク分劃スルトキハ維持スヘキ分ハ玆ニ論セス、其維持シ難キ分ヲ以テ第一法ニ準拠シ、左ニ其計算ノ事情ヲ叙述スヘシ
 但第一法ノ本案ニ拠リ第三季ヨリヲ以テ計算ス、而シテ詳細ノ順序ハ本案ニ譲リテ玆ニ略ス
一担保金額百八十六万千九百円ノ内第一季第二季既納ノ分ヲ引去リ、残リ百五十九万六千弐百六十八円九十三銭四リヲ以テ本案公債証書ノ時価ニ準拠セハ即百〇三万七千五百七十四円八十銭〇七《(マヽ)》リノ金額ト為ル、此四円八十銭〇七《(マヽ)》リノ端数ヲ除去シ、百〇三万七千五百七十円ヲ紙幣寮ニ納レテ抵当ト為シ、本額ノ銀行紙幣ヲ領収シテ別ニ其二割五分弐十五万九千三百九十弐円五十銭ノ準備ヲ設ケテ、発行紙幣ヨリ得ル所ノ利益ハ本額ノ九分、即九万三千三百八十壱円三十銭ナリ、此内ヨリ一割百分ノ十此額九千三百三十八円十三銭ノ銀行手数料ト準備ノ戻リ利息弐万三千三百四十五円三十弐銭五リヲ引去ルトキハ、即六万〇百九十七円八十四銭五リトナル、之ニ公債証書ノ利子七万九千八百十三円四十四銭七リヲ合セテ拾四万〇〇十壱円弐十九銭弐リナリ
一鉄道年賦上納金ノ額ハ一ケ年廿六万五千六百三十壱円〇六銭六リナルニ付、差引十弐万五千六百十九円七十七銭四リノ不足ハ、年々銀行ヨリ借用スヘキ金額ナリ、但其十年ハ上納一季ノミナレハ入高ト差引七千百九十五円七十五銭九リノ残余ヲ生シ、其十六年ハ是亦一季ノミニテ十三万五千弐百九十八円〇七銭一リナルヲ以テ、合計七十五万六千弐百〇壱円十九銭壱リハ、明治十六年一月迄ノ負債額ニシテ、之ニ年々ノ利息ヲ加ヘ即百〇四万弐千四百三十円〇六十三銭七《(マヽ)》リハ十六年一月ノ負債ノ総額ナリ
一右ノ計算ナレハ、明治十年ヨリ十六年一月ニ迄ル年計ノ増額並其後負債償却ノ年算等ハ、本案ニ属スル甲乙両号ノ算法ニ毫モ異ナルナクシテ、只其金額ニ多少アルノミナレハ今敢テ玆ニ之ヲ贅セス
   第二法 各家禄券ヲ以テ資本ト為シ国立銀行ヲ創立スヘキ方法
    第一
此第二位《(法カ)》ナル者ハ各家ノ領収スル禄券ニ就キ鉄道御払下代価三百万円ノ内第一季第二季ノ上納ヲ完了スル者トシテ、残額弐百五十七万弐千円之分ヲ以テ資本ト為シ、新ニ銀行ヲ創立シ、以テ鉄道代価年賦上納金ヲ滞ナク完了スヘキ方法ヲ叙述スル者ナリ
    第二
右弐百五拾七万弐千円ノ資本ヲ以テ銀行ヲ創立セントスルニハ、先ツ其額ヲ以テ禄券ノ通価禄券百円ニ付六十五円ニ準算スレハ即百六十七万千八百円ト為ル、此ヲ以テ銀行条例ニ照ラシ其二割五分、即四十壱万七千九百五十円ノ準備正貨ヲ積立テ、然後右通価ノ額ヲ以テ其禄券ヲ紙幣寮ニ納レテ抵当トナシ、本額ノ銀行紙幣ヲ得テ之ヲ発行スヘキニ在リ
    第三
右ノ順序ヲ以テ銀行ノ営業ヲ開クトキハ其百六十七万千八百円ノ資本ヲ以テ年ニ営業上九分ノ利益ヲ得テ、此額十五万〇四百六十弐円ト為
 - 第8巻 p.485 -ページ画像 
ル、此内より営業上費用弐万円ト準備ノ戻リ利足三万七千百五十円トヲ引テ、残り九万三千三百十弐円ト為ル、之ニ公債証書ノ利足十弐万八千六百円ヲ加ヘテ合計廿弐万千九百十弐円トナルナリ
    第四
鉄道年賦上納金ハ毎季弐十壱万四千円ニシテ一ケ年四十弐万八千円ナレハ、第三条ノ合計ト差引年々廿万〇六千〇八十八円《(マヽ)》ノ不足ヲ生ス、但明治十年ハ第三季ノ七月納ノミニ止ルヲ以テ、差引千七百十八円、又十六年ハ第十四季ノミニ止ルヲ以テ合計百〇四万四千百三十弐円ノ不足ヲ為シ、之ニ年々ノ利子ヲ加ヘテ通計百六十弐万五千〇八十五円九十六銭四リノ不足額ハ、明治十六年一月ニ於テノ決算ナリ、而シテ此不足額ハ毎季此創立ノ銀行ヨリ借用シテ支弁スヘシ
 但別紙甲号負債償却計算書《(マヽ)》ヲ参考スヘシ
    第五条
明治十六年一月ハ既ニ鉄道年賦公納金ヲ完了スルヲ以テ、此際ヨリ第四条決算ノ負債総額ノ償却ヲ始メ、廿八年ニ於テ之ヲ清了シ、還タ十壱万弐千三百九十六円廿八銭一リ剰余ヲ得ルニ至ルヘシ
 但別紙乙号負債償却計算書ヲ参考スヘシ
    第六条
第一季第二季上納ノ不足額ハ既ニ第一銀行ヨリ借用シテ其上納ヲ為セハ、此金額ト並ニ連々借用ノ月費金額トハ毎季政府ヨリ下付セラルヽ鉄道年賦上納金ノ利子ヲ以テ其元利ヲ合セテ之ヲ償却シ、其残余ハ各家適宜ニ収納スヘシ
(別紙)
 甲号
    鉄道年賦上納金支出計算
一弐拾壱万四千円             明治十年七月本銀行ヨリ借
一九千六百三十円             右利足
合計弐十弐万三千六百三十円
 内廿弐万千九百拾弐円          同年収入
差引千七百拾八円             十一年一月負債高
一百五十四円六十弐銭           右利足
一四拾弐万八千円             同年一月七月借
一弐万八千八百九十円           右利足
合計四十五万七千〇四十四円六十弐銭
 内廿弐万千九百拾弐円          本年入高
差引弐十三万五千百三十弐円六十弐銭    十二年一月負債高
一弐万千六百十九円三十五銭八リ      右利足
一四拾弐万八千円             同年一月七月借
一弐万八千八百九十円           右利足
合計七拾壱万三千六百四十壱円九十七銭八リ
 内廿弐万千九百十弐円          同年入高
差引四十九万千七百弐十九円九十七銭八リ  十三年一月負債高
一四万四千弐百五十五円六十九銭八リ    右利足
一四十弐万八千円             同年一月七月借
 - 第8巻 p.486 -ページ画像 
一弐万八千八百九十円           右利息
合計九十九万弐千八百七十五円六十七銭六リ
 内廿弐万千九百十弐円          同年入高
差引七十七万〇九百六十三円六十七銭六リ  十四年一月負債高
一六万九千三百八十六円七十三銭壱リ    右利足
一四十弐万八千円             同年一月七月借
一弐万八千八百九十円           右利足
合計百弐十九万七千弐百四十円〇四十銭〇七《(マヽ)》リ
 内弐十弐万千九百十弐円         同年入高
差引百〇七万五千三百弐十八円四十銭七リ  十五年一月負債高
一九万六千七百七十九円五十五銭七リ    右利足
一四十弐万八千円             同年一月七月借
一弐万八千八百九十円           右利足
合計百六十弐万八千九百九十七円九十六銭四リ
 内弐十弐万千九百十弐円         同年入高
差引百四十万〇七千〇八十五円九十六銭四《(マヽ)》リ十六年一月負債高
一弐十壱万八千円             同月借
合計百六十弐万五千〇八十五円九十六銭四リ 右負債総額

(別紙)
 乙号
    本銀行ニ対スル負債償却計算
一百六十弐万五千〇八十五円九十六銭四リ  明治十六年一月負債高
一拾四万六千弐百五十七円七十三銭七リ   右利足
合計百七十七万千三百四十三円七十銭〇壱《(マヽ)》リ
 内弐十弐万千九百十弐円         同年入高
差引百五拾四万九千四百三十壱円七十銭〇壱《(マヽ)》リ 十七年一月負債高
一拾三万九千四百四十八円八十銭三リ    右利足
合計百六十八万八千八百八十円〇五十五銭四リ
 内弐十弐万千九百十弐円         同年入高
差引百四拾六万六千九百六十八円五十五銭四リ 同十八年一月負債高
○中略
差引廿九万六千六百九十三円十四銭一リ   同廿七年一月負債高
一弐万五千六百九十一円九十九銭六リ    右利足
合計三拾弐万弐千三百八十五円十三銭七リ
 内廿弐万千九百十弐円          同年入高
差引十万〇〇四百七十三円十三銭七リ    同廿八年一月負債高
一九千〇四十弐円五十八銭弐リ       右利足
合計拾万〇九千五百十五円七十壱銭九《(マヽ)》リ
    外
 弐拾弐万千九百十弐円          同年入高
差引拾壱万弐千三百九十六円廿八銭壱リ   右残余金
右甲乙両号ノ計算ニ依レハ其得失ノ大要ヲ察知スヘシト雖トモ、此計算ハ只其営業上ニ就テノ得失ニシテ、如今銀行ヲ創立セントセハ、最首ニ本支店家屋ノ建築費及諸什器ノ費用等此算珠外ニ於テ若干ノ支出
 - 第8巻 p.487 -ページ画像 
ヲ要セサルヲ得サレハ、若シ此第二法ヲ以テ其事業ヲ挙テ第一国立銀行ニ委托セントナレハ、該銀行ハ各家ニ於テ規模創立マテノ手続ヲ了スル上ハ其委托ニ応シ総テ此方策ヲ以テ担保スルコトモ妨ケナシトス

   第三法 第一国立銀行ニ併資スルノ方案
    第一
第一法ハ政府モシ之ヲ許可セス、第二法ハ名実齟齬ノ患アルモノトセハ、此第三法ヲ以テ各家ノ禄券ヲ売却シ、其代金ニテ第一国立銀行ニ加入シ、其株高ヲ増サシメ(他ノ株高ヲ買取スルモ便宜ニ任スヘシ)年々ノ営業利益ヲ受取リ、年賦上納金ニ充テ、其不足額ハ別段ノ約定ヲ以テ銀行ヨリ借用スルモ、亦以テ禄券ニヨリテ鉄道払下代価ヲ上納シ得ヘキナリ
    第二
右ノ方法タレハ禄券ノ価格ハ第一法ノ見積リヲ保有シカタカルヘキニ付、百円ニ付金六拾円トシテ、総額弐百五十七万弐千円ノ禄券ハ金百五拾四万三千弐百円ノ銀行株ト変スヘシ
    第三
第一国立銀行ニ併資シテ其株高ヲ増加セント欲セハ、先ツ其営業ノ実況及ヒ損益ノ予算ヲ確知スルヲ必要トス、故ニ今該銀行ノ事実ニ就キ毎年収入シ得ヘキ利益ヲ予算シテ此方法ノ参考トス
 但別紙甲号ニ詳カナリ
    第四
前条ノ予算ニヨレハ銀行毎年ノ純益ハ一株ニ付金拾三円九十八銭タレハ、之ヲ此鉄道組合ヨリ増株シタル総額ニ乗シテ金廿壱万五千八百九十三円六十八銭トナル、而シテ年賦金ノ額ニ対シ差引金弐十壱万弐千百六円三拾弐銭明治十六年ハ弐千百〇六円三十弐銭ノ不足ニ付、毎季之ヲ銀行ヨリ借受ケテ年九分ノ利子ヲ添ヘ、明治十六年一月ニ至リ元利合計百六十七万弐千百九十六円五拾弐銭三リハ銀行ヨリノ負債タルヘシ
 但別紙乙号ヲ参考スヘシ
    第五
然レトモ銀行営業ノ年限ハ弐十年間ニシテ明治廿九年迄ナルヲ以テ、其十六年ヨリ廿九年ニ至ル迄毎年ノ利益ヲ以テ其負債ヲ支消セハ、同年十二月ニ至リ第四条ノ負債額ヲ償却シ、却テ弐万九千三百五十四円廿銭〇六厘ノ剰余ヲ得ヘシ
 但別紙丙号ヲ参考スヘシ
    第六
別紙甲号純益金配当科目ノ中営業用地所家作戻入並ニ別段積金トアル者ハ固ヨリ各自ノ株高ニ附帯スル者ニシテ、第四条ノ純益計算ニハ加ヘスト雖トモ、年々資本金ノ部ニ加ハリテ利益ヲ生スヘキ母資ナレハ銀行営業ノ年限満チ若シ続業ヲ要セスシテ解体スルトキハ、其金額ハ還タ株高ニ応シテ各自之ヲ領収スルコトヲ得ルヘシ
    第七
鉄道組合ニ於テ此方法ニヨリ銀行ニ併資スルトキハ、其取締役検査役等素ヨリ此組合ヨリ推薦シテ、諸般ノ計算営業ノ実況ヲ詳知セシムヘ
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(別紙)
 甲号
   第一国立銀行営業模様並損益予算表
    資本金               借方
一金三百万円               株金
一金百万円                定期預リ金
一金五十万円               当座預リ金
一金弐十五万円              振出シ手形預リ金
一金弐万五千円              仕払銀行手形
一金七万五千円              別段積立金
一金弐百四十万円             銀行紙幣
 合計七百弐十五万円
    使用見込
一金弐百四十万円             紙幣抵当秩禄公債証書
一金五十万円               各公債証書
一金弐百三十万円             並貸附金
一金五万円                割引貸
一金十万円                諸方為替貸
一金弐十五万円              当座貸越
一金五十万円               荷為替貸附
一金十五万円               営業用家屋物件代
一金百万円                紙幣交換準備並諸預リ金仕払準備金
 合計金七百弐十五万円
右ノ目的ヲ以テ此資本ヲ運用シテ一ケ年間ノ損益ヲ予算シ左ノ割合ヲ得ル
    損方
一金七万弐千円              定期預リ金利足 但年七分弐リノ割
一金壱万五千円              当座預リ金利足 但年三歩ノ割
一金壱万七千円              為替打歩並仕払手数料其他臨時損毛見込
一金四万六千円              本支店役員給料旅費諸雑費諸税納及ヒ営繕費
 合計拾五万円
    益方
一金弐十六万千円             紙幣抵当公債証書並其他各公債証書利息 但年九歩ノ割
一金弐十万七千円             並貸付ノ利足 但年九歩ノ割
一金五千円                割引貸利足 但年壱割
一金壱万円                諸為替貸利足 但同断
一金弐万五千円              当座貸越利足 但同断
一金壱万五千円              公債証書売買利足
一金七万五千円              各種公債証書当籤利足
一金五万円                荷為替貸付利足 但年壱割
一金壱万弐千円              諸手数料
一金弐万六千三百四十円          為替並交換打歩収入
 - 第8巻 p.489 -ページ画像 
 合計金六十八万六千三百四十円
    損方
   金拾五万円引
 残金五十三万六千三百四十円       純益
右純益金高五十三万六千三百四十円ヲ配当定則ニ従ヒ分附スルコト左ノ如シ但元金ニ対シ年壱割七分八リ余
 益金高三十分ノ一
  即金壱万八千弐百円          営業用地所家作ノ戻入
 差引金五拾壱万八千百四十円
  此十分ノ一
   金五万千八百円           別段積金
 又差引金四十六万六千三百四十円
  此百分ノ十
   金四万六千六百円
 又差引残金四十壱万九千七百四十円    株高配当
                     但壱株ニ付金十三円九十九銭
 (別紙)
 乙号
  第一国立銀行株高純益金ヲ以テ鉄道年賦上納金ニ充テ其不足額ヲ該銀行ヨリ借用シ其上納ヲ完納スヘキ計算
一弐拾壱万四千円             十年七月納銀行より借
一九千六百三十円             右利足
合計弐拾弐万三千六百三十円
 内弐拾壱万五千八百九十三円六十八銭   同年純益入
差引七千七百三十六円三十弐銭       十一年一月負債高
一六百九十六円弐十六銭九リ        右利足
一四十弐万八千円             同年一月七月納借
一弐万八千八百九十円           右利足
合計四拾六万五千三百弐拾弐円五十八銭九リ
 内弐十壱万五千八百九十三円六十八銭   同年純益入
差引弐拾四万九千四百弐拾八円九十銭〇九リ 十二年一月負債高
○中略
差引百四十五万四千百九十六円五十弐銭三リ 十六年一月負債高
一弐拾壱万八千円             同年一月納借
合計百六十七万弐千百九十六円五十弐銭三リ 右十六年一月負債総額
 (別紙)
 丙号
  第一国立銀行ニ対シ株高純益金ヲ以テ負債償却ノ計算
一百六拾七万弐千百九十六円九十弐銭三リ  十六年一月負債総額
一拾五万〇四百九十七円六十八銭七リ    右利足
合計百八十弐万弐千六百九十四円廿銭〇五《(マヽ)》リ
 内弐拾壱万五千八百九十三円六十八銭   同年純益入
差引百六拾壱万〇六千八百円〇〇五拾弐銭五《(マヽ)》《(マヽ)》リ 十七年一月負債高
○中略
差引十七万千百三十七円十三銭弐リ     廿九年一月負債高
 - 第8巻 p.490 -ページ画像 
一壱万五千四百〇弐円三十四銭弐リ       右利足
合計拾八万六千五百三十九円四十七銭四リ
    外
 弐拾壱万五千八百九十三円六十八銭      同年純益入
差引弐万九千三百五十四円廿銭〇六《(マヽ)》リ 残余


鉄道回章留(DK080036k-0002)
第8巻 p.490 ページ画像

鉄道回章留                (株式会社第一銀行所蔵)
十月廿日午後三時過直憲様ヨリ到来翌廿一日午後二時過九条様江順達乾第廿二号輪札ヲ以テ啓申仕候、昨十八日定式御会議ニ於テ発案御議定相成候禄券運用ヲ以テ鉄道年賦金上納方方法第一法ヨリ第三法ニ迄ル方案三本御回覧トシテ差上候間、御回覧ノ上御協議ヲ以何方様江ナリ御留置御返却ニハ不及申候
 但此輪札ハ例之通周尾ヨリ御返却被下、其節案本御留置之御家名御通知可被下候也
   九年十月十九日午後三時分       渋沢栄一


鉄道組合会議要件録 第三巻(DK080036k-0003)
第8巻 p.490-492 ページ画像

鉄道組合会議要件録  第三巻      (株式会社第一銀行所蔵)
    第廿六回臨時会議 明治九年十月廿五日於第一国立銀行閣内開之
                 出席人名
                     九条道孝代理
                      朝山常順
                     榊原政敬代理
                      加藤直栗
                     松平慶永松平茂章代理
                      武田正規
                     毛利元敏代理
                      難波舟平
                     徳川慶勝代理
                      井上喬
                     大村純熙代理
                      稲田又右衛門
                     井伊直憲井伊直安代理
                      金田師行
                     前田利嗣代理
                      神尾直養
                     久松定謨久松勝成代理
                      河東坤
                      伊達宗徳
                      毛利元徳
                      池田徳潤
                     松平頼聡代理
                      三宅十郎
                     前田利同代理
                      浅野長雄
                     山内豊範代理
                      山田東作
                     池田章政代理
                      水原久雄
                     毛利元忠代理
                      柏村信
                     地田輝知代理
                      勝部静男
                      池田慶徳
                      伊達宗城
                      亀井玆監
                     池田茂政
 - 第8巻 p.491 -ページ画像 
                     蜂須賀茂韶代理
                      林厚徳
                      近藤潔
                     池田慶徳内
                      河崎真胤
                     伊達宗徳内
                      西園寺公成
                 総理代人 渋沢栄一

    第一節
右各員着席ノ上総理代人ハ左ノ演述ヲ為シタリ
去ル十八日ノ第廿五回会議ニ於テ禄券運用ノ三策ヲ発案ト為シ各位ノ撰択ニ供スル者ハ、蓋第廿二回九月十八日ノ会議ニ於テ定款ノ条中ニ胚胎スル者ト雖トモ、抑又各位禄券ノ制ニ遭遇スルニ当リ其担保金額ノ安危ヲ顧慮シ俄ニ汲瀾ヲ起シ、竟ニ第廿三回ヨリノ特別会議ヲ設クルニ至ル者ト謂ハサルヘカラス、然而シテ第廿三回会議(九月廿四日《(五)》)ニ於テ各位初メテ衷情ヲ吐露シ、担保金額ノ安危ヲ陳述シ、而シテ第廿四回(九月廿八日)ノ会議ニ於テ更ニ前議ノ動静ヲ区定シ、即チ担保金額ヲ持存スヘキ者十六名、持存スヘカラサル者十名タリ、而シテ其持存スヘカラサル者ト雖トモ、若シ禄券ニ依テ上納スルコトヲ得ハ更ニ之ヲ維持スヘキコトヲ望ムカ為メニ、乃チ持存スヘキ各位ハ禄券ヲ以テ上納ノ請願ハ暫ク之ヲ其窮策ニ措キ、先ツ須ラク我々運用ノ方策ヲ案シ、果シテ其適実ナルコトヲ得ハ則敢テ政府ニ依求スヘカラサランコトヲ説キ、各位皆之ニ同スルヲ以テ、遂ニ総理代人ヲシテ其方策ヲ構設セシメ、以テ之ヲ撰定センコトヲ決定セラル、因テ総理代人ハ其依嘱ヲ領シ、則三方策ヲ設ケ、去ル十八日第廿五回会議ニ於テ之ヲ各位ニ供シ且各案ノ大要ヲ解説セリ、於玆テ各位ハ其第一法ヲ以テ適当ナル者ト認メラレ、而シテ其第五条第十一条ハ政府ニモ関係シ、又銀行トノ約束ニ対シテ尤緊要ナル部分ト為シ、更ニ総理代人ヲシテ其条件ヲ審案セシメ、第廿六回即本日ノ会議ニ於テ之ヲ撰定スヘキコトトシ、且其挙ヲ此組合ノ関鍵タル大蔵工部等ニ内禀シ、該官ノ意見ヲモ領聴スヘキコト等ヲ挙テ又総理代人ニ委托セラレタリ、因テ総理代人ハ両官ニ就キ其挙行ノコトヲ禀議セシニ、大蔵ノ意ハ第一法ハ其名ヲ得サル者ト為シテ之ヲ取ラス、而シテ第三法ヲ以テ宜シク行フヘキ者ト為シ且云、第一国立銀行ノ如キハ開業已ニ四周年ヲ経テ規画能ク整イ営業能ク修リ、嘗テ官民ノ信用ヲ荷ヒ、殊ニ紙幣寮ノ意ハ該銀行ヲ以テ其一体ノ者ニ置キ、更ニ特別ノ信任ヲ与フ、此ヲ以テ益其昌盛ヲ致スヘクシテ其跌蹉衰頽アルコトヲ予念スヘカラサルノ実効アル者ナリ、故ニ第三法ヲ以テ鉄道同盟ノ為メニ計ル所ナリト、栄一今該銀行ノ頭取ニ居ルヲ以テ聊憚ル所ナキニアラスト雖トモ、試ミニ公眼ヲ開テ之ヲ論スルトキハ、大蔵ノ意ハ蓋至当ナル者ト謂ハサルヲ得ス然リト雖トモ如シ其三法ノ内第一法ヲ取ラサルトキハ須ラク第三法ニ止ルヘシト而已謂フヘカラスシテ、或ハ第二法ヲ取ルモ亦可ナリトス豈只其可ナルノミナランヤ、果シテ第二法ヲ取テ之ヲ実行スヘキ者トセハ、其政府ニ請願スヘキ順序ニ於テモ一々銀行条例ニ照準シ、発起人ハ固ヨリ頭取取締役等ノ職員ヲ整備シ、全ク一箇ノ銀行ヲ創立スヘキ結構ヲ設クルトキハ、特ニ政府ニ要求スヘキケ条モナク、又何レヨ
 - 第8巻 p.492 -ページ画像 
リカ之ヲ牽制スヘキ術策モアルナシ、然而シテ其創立規画ノ順序ハ総テ此組合ニ於テ之ヲ行ヒ、而シテ政府ノ允准ヲ要シ、特ニ営業ニ着手セントスルニ当リ第一国立銀行ト約束ヲ、、、、修メ以テ其資本金ヲ委托スルトセハ、現ニ職員ヲ要セサルト及本支店等ヲ設置セサルトヲ以テ大ニ消費ノ途ヲ約スルハ固ヨリ論ヲ俟タス、且夫各位望ム所ノ第一法ナル者ハ到底其禄券運用ノ法ト費途ノ簡約ナルトヲ以テ之ヲ得策ト認ムル者ナレハ、此第二法ノ如キモ其用法ニ於テ前ニ述ル所ノ如クセハ其第一法ノ計算ニ輸セサルヤ明ナリ、加之第一法ニ比スレハ其名正クシテ其実モ亦備リ自ラ第一法第三法ノ上流ヲ占ムヘキ者ニ至ラン乎、而シテ第一銀行ニ対スル約束案ノ如キハ各位此一挙ヲ議定スルノ後更ニ其条件ヲ審案シ、尚後会ニ於テ之ヲ撰定セラルヽヘシ、是栄一カ前会ノ委嘱ニ対シ公私ノ事情ヲ陳告シ、事理ノ利病ヲ曲尽シ、以テ其復陳ニ供スル者ナリ
    第二節
右ノ演述ニ因テ各位ハ来ル廿八日尚臨時会議ヲ設ケ、以テ総理代人考案ノ第二法第三法ヲ撰定センコトヲ約ス
右会議畢テ一同退散ス、時午後八時下