デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
11款 北越鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.34-51(DK090005k) ページ画像

明治30年7月5日(1897年)

是ヨリ先、当会社ノ沼垂線路ヲ繞ツテ新潟派・株主派間ニ軌轢ヲ生ジ、栄一コノ間ニアリテ円満解決ニ腐心ス。サレド紛擾熄マズ、是年五月、栄一遂ニ他ノ株主派重役トトモニ監査役辞任ヲ表明スルニ至リシモ、是日臨時総会ニオイテ監査役ニ再選セラレ、爆破事件発生スルナド険悪ナル空気ノ中ニ引続キ事態拾収ニ尽力シ、三十三年一月ニ至リ、栄一ノ推進スル万代橋停車場設置ノ決定ヲ見ルニ及ンデ紛争漸ク解決ス。


■資料

今村清之助君事歴 (足立栗園著) 第三七九―三八八頁〔明治三九年九月〕(DK090005k-0001)
第9巻 p.35-37 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
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日本鉄道史 中篇・第五三六―五三七頁〔大正一〇年八月〕(DK090005k-0002)
第9巻 p.37-38 ページ画像

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(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0003)
第9巻 p.38 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治二十九年二月五日、帝国ホテルニ於テ、取締役会開会
                出席員
                  銀林綱男 (印)
                  末延道成
                  前島密
                  今村清之助
本日決議ノ事項左ノ如シ
○中略
一沼垂仮設停車場用地トシテ中蒲原郡沼垂町字竜ケ島ノ内田及茅生地荒地ヲ籠メ凡ソ八町九反三畝二十歩ヲ、壱反百弐拾五円ノ割合ヲ以テ、野崎禄栄ヨリ購入スル契約ヲ取結ヒ、及手付金ヲ仕払フ事


文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種(DK090005k-0004)
第9巻 p.38-39 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種
    株主臨時総会議事録
明治廿九年二月廿五日午後第一時、新潟市西堀通弐番町真浄寺ニ於テ開会、現在株主参百六拾六人、株数七万四千株ノ内、当日出席株主(委任状併算)参百弐拾七人(現在株主人員ニ対シ八割九分参厘)、株数六万四千参百株(総株数ニ対シ八割六分九厘)、取締役前島密・山口権三郎・本間新作・鍵富三作・今村清之助、監査役笠原文治郎ノ諸氏一同着席、専務取締役銀林綱男会頭トナリ、審議ノ末左ノ議案ヲ決議セリ
第一号議案
一北越鉄道柏崎停車場ヨリ分岐シ出雲崎・新潟ヲ経テ沼垂停車場ニ聯絡スル別紙目論見書ノ鉄道ヲ本会社ノ延長線トシテ布設ノ儀ヲ逓信大臣ニ申請スル事
第二号議案
    定款改正ノ件
一第二条 本会社ハ、新潟県下直江津ヨリ沼垂及新発田ニ至リ、更ニ柏崎ヨリ分岐シ新潟ヲ経テ沼垂ニ聯絡スル鉄道ヲ布設シ、旅客貨物運輸ノ業ヲ営ムモノトス
  (朱書)
   参照
 - 第9巻 p.39 -ページ画像 
  第二条 本会社ハ新潟県下直江津ヨリ沼垂(新潟)及ヒ新発田ニ至ル鉄道ヲ布設シ、旅客貨物運輸ノ業ヲ営ムモノトス
一第五条 本会社ノ資本金総額ハ金六百万円トス
    説明
 廿八年一月十日創業総会ニ於テ創立委員ヨリ報告セシカ如ク、実測ノ結果、最前ノ起業目論見ニ比シ当時既ニ金弐拾五万円余ノ費額ヲ増加スヘキノ見込リシカ、尚ホ今日ニ至リテハ諸材料ヲ始メ工費及ヒ土地代価ニ至ルマテ悉ク騰貴セサルモノナク、現在ノ資本額金参百七拾万円ヲ以テ布設ノ成功ヲ期スルコトヲ得ス、其増費ヲ算スルニ凡金四拾万円ヲ要シ、是レニ延長線ノ建設資金百九拾万円ヲ加フレハ、総資本額金六百万円ヲ要スル見込ナリ
  (朱書)
   参照
  一第五条 本会社ノ資本金額ハ参百七拾万円トス
第三号議案
    定款改正ニ伴フ処分ノ件
一定款第五条第六条ノ改正ハ決議ニ止メ置キ、追テ柏崎・沼垂間延長線ニ対スル仮免状ノ下付アルヲ待テ改正ノ認可ヲ乞フヘキモノトス
一増額資本金弐百参拾万円、株数四万六千株ハ、参拾七株ニ付キ弐拾参株ノ割合ヲ以テ、各株主ニ割付シ、端数ノ株式ハ競争ニ附シ株主ヲ定メ、利益アレハ之ヲ会社ニ収入スヘシ
  但本条ノ株式ヲ割付スヘキ期日ハ取締役之ヲ定ム
右議事ヲ終リ午後四時閉会ス
  明治廿九年二月廿五日       会頭 銀林綱男


(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0005)
第9巻 p.39-40 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治廿九年二月廿六日、本社新潟派出所ニ於テ取締役会開会
               出席員
                 銀林綱男 (印)
                 前島密
                 今村清之助
                 山口権三郎
                 鍵富三作
                 本間新作
本日決議ノ事項左ノ如シ
○中略
一二月廿五日ノ決議ニ基キ、第一号議案柏崎ヨリ沼垂ニ連絡ス鉄道ヲ布設スル儀ヲ逓信大臣ニ申請スル事
一二月廿五日ノ決議ニ基キ、定款第四条・第十七条・第二十一条ノ改正認可ヲ逓信大臣ニ申請スル事
○中略
一二月廿五日株主臨時総会ニ於テ決議スル延長線政府ノ許可ヲ得ルトキハ、白山浦ニ停車場ヲ置クノ予定ナリト雖モ、先以テ白山停車場連絡線ニテ最モ万代橋近傍ニ仮停車場ヲ設置シ、旅客貨物ノ取扱ヲ為ス事
 - 第9巻 p.40 -ページ画像 
明治二十九年十一月五日、於本会社、取締役会開会
                出席員
                 銀林綱男 (印)
                 前島密
                 山口権三郎
                 鍵富三作
                 本間新作
本日決議之事項左之如シ
一馬越村ヨリ沼垂町字竜ケ島ニ至ル仮線路及沼垂停車場ハ、工事中ノ仮設ナルモ、第三区中加茂、三条又ハ長岡迄営業開始ノ場合ハ、同仮停車場ヨリ開業スルヲ便トス、因テ仮設ノ儘営業許可ヲ政府ニ申請スルカ、又ハ支線ト為シテ許可ヲ申請スル事
一沼垂仮停車場乗客便利之為、同地ト新潟間ニ滊船ヲ具ヘ、無賃ニテ乗客ヲ往復セシムル事

明治廿九年十二月十一日、於本会社、取締役会開会
                出席員
                 前島密 (印)
                 山口権三郎
                 本間新作
                 鍵富三作
本日決議ノ事項左ノ如シ
○中略
一延長線白山停車場ヘ既設線路ト聯絡セシムヘキ事
一聯絡スベキ線路ハ極メテ速成ノ手続ヲ為スヘキ事
一信濃川鉄橋架設迄ハ聯絡線路中最モ便利ノ地ニ仮停車場ヲ設置スベキ事
一白山停車場ニ達スル信濃川架設鉄橋ハ、越後線延長ノ許可ヲ得サル場合ニ於テハ、北越鉄道ヲ白山迄延長シ架設スルコトヲ、追テ株主総会ノ決議ニ附スベキ事
一白山停車場トナスベキ土地ハ、越後線延長ノ許可ヲ得ルト否トニ関セス、取締役ノ責任ヲ以テ之ヲ買収スル事


渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)一月一二日(DK090005k-0006)
第9巻 p.40-41 ページ画像

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 (松井三郎氏所蔵)
 ○(明治三〇年)一月一二日
益御清適御坐可被成奉賀候、然者北越鉄道会社株主総会来ル廿日貴地ニ於て相開候ニ付、拙生も監査役之一人ニ有之候間会社帳簿監査之為出張を要し候筈ニ候得共、何分差支候間、もしも点閲等之必要有之候ハヾ貴兄ニ代理相托候積ニ重役中ヘ申通置候、就而ハ取締役としてハ前島氏、又監査役中ニハ岸又ハ笠原文治郎氏抔も来会之事と存候ニ付御打合被下、可然御取扱可被下候
  一月十二日
                        渋沢栄一
    松井吉太郎様
 - 第9巻 p.41 -ページ画像 
   ○松井ハ当時第一銀行新潟支店長ナリ。

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)一月二六日(DK090005k-0007)
第9巻 p.41 ページ画像

 ○(明治三〇年)一月二六日
拝読、然者北越鉄道会社半季決算ニ際し、監査役として帳簿検閲之儀過日書中御依頼致候処、前島氏とも御相談之上、岸・笠原両氏と会同し、夫々御取調被成候由拝承仕候、且同会社重役撰挙ニ付而も、不相替色々混雑いたし候由、困り入候次第ニ御坐候、向後渡辺嘉一と申人新任、専務ニ相成候筈ニ付、地方重役抔と可成協和候様致度と今日より期念仕候、尚右ニ付而ハ浜・斎藤・牧口抔新任之重役へも御面会之序ニハ可然御伝声可被下候、右御礼旁申上度、如此御坐候 不一
  一月廿六日
                        渋沢栄一
    松井吉太郎様

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)三月一八日(DK090005k-0008)
第9巻 p.41 ページ画像

 ○(明治三〇年)三月一八日
○上略 偖北越鉄道専務取締役ニ上任せし渡辺氏之義ニ付、御申越之事ハ一々承知いたし候、幸ひ同人も参宮鉄道之方取片附此程出京ニて、明夕ハ当地重役相会し候筈ニ付、来示之要旨打合せ、篤と為相含候上ニて出張候様可為致と存候間、貴方ニ於て百事御打合被成、別而御懇親ニ被成下度候
浜・鍵富又ハ斎藤喜十郎氏抔との交際ニ付而も、貴兄其中間ニ相立、精々円活ニ協議相成、殊ニ鉄道会社事務ハ可成渡辺を御信被成、充分担任為致候様御心配可被下候
右等拝答旁申上度、如此御坐候 不宣
  三月十八日
                        渋沢栄一
    松井吉太郎様


(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0009)
第9巻 p.41 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治三十年四月廿五日、於本会社、取締役会開会
                出席員
                 渡辺嘉一 (印)
                 鍵富三作
                 牧口義方 (印)
                 斎藤喜十郎
本日決議ノ事項左ノ如シ
一本年一月十一日出願シタル竜ケ島・馬越間仮線路営業允許願書ノ義ハ、出席四名ノ内渡辺嘉一壱名ニ対スル三名ノ多数ヲ以テ、却下方出願スルコトニ決シタル事
一延長線ト本線トノ聯絡線ヲ修正シ、直ニ布設ノ手続ヲ為ス事
   ○本取締役会ガ紛擾ヲ来シタルコト、後掲(本巻第四七頁)ノ本年九月十四日ノ取締役会決議録ニ記サレアリ。


文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種(DK090005k-0010)
第9巻 p.41-42 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種 (東京府庁所蔵)
    仮免状
                     北越鉄道株式会社
右出願ニ係ル其社線柏崎停車場ヨリ新潟県三島郡出雲崎町及新潟ヲ経
 - 第9巻 p.42 -ページ画像 
テ其社線沼垂停車場ニ至ル鉄道敷設ノ為メ、同線路ヲ実地測量スルコトヲ許可ス
  但此仮免状下付ノ日ヨリ起算シ、満十弐個月以内ニ私設鉄道条例第三条ノ図面書類ヲ差出シ、免許状ノ下付ヲ申請セサルトキハ、此免許状ハ無効タルヘシ
  明治三十年五月十七日
           逓信大臣 子爵 野村靖
   ○本仮免状ヲ受ケタル線路ハ翌三十一年五月三日付本免許申請シタリシモ、「会社財政ノ都合ニ由リ事業著手ノ見込ナキヲ以テ三十七年十月之ヲ返納セリ」(日本鉄道史中篇第五三〇頁ニヨル)。


中外商業新報 第四五七六号 〔明治三〇年五月二〇日〕 北越鉄道東京重役の辞職(DK090005k-0011)
第9巻 p.42 ページ画像

中外商業新報 第四五七六号 〔明治三〇年五月二〇日〕
    北越鉄道東京重役の辞職
北越鉄道会社の重役は、専ら同会社の利益を計るの点より、先づ鉄道材料の運搬に利用したる竜ケ島・馬越間の線路より開業し、漸次新潟地方に及はんことを議決し、尋で其筋に運輸開業を出願したるに、新潟市民は、同市万代橋附近に停車場を設置し、竜ケ島・馬越間の線路開業は之を中廃せんことを冀望し、激烈なる反対運動を試み、遂に同地方撰出重役は、前の決議を取消して新潟市民の冀望を容れ、折角其筋に出願したる同線路開業の願下を為すに至りしが、是れ東京重役の本意にあらざるのみならず、斯る大事を協議するに当り、其重役会議に列席せざりし如きは、同会社の利害を忽諸に付したるものにして、其職責素より免かるべからずとて、専務取締役渡辺嘉一・取締役前嶋密・同末延道成及監査役渋沢栄一諸氏は、協議の末、前々号の紙上に報ずる如く、遂に袖を聯ねて辞職するに至りしものなりと云ふ、されば近々臨時株主総会を開きて善後策を協議するに至るべしと云へり


渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)五月二七日(DK090005k-0012)
第9巻 p.42-43 ページ画像

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 (松井三郎氏所蔵)
 ○(明治三〇年)五月二七日
○上略 北越鉄道会社之内情縷々御申越被下、拝承仕候、実ニ気之毒千万之次第ニて、浜・鍵富等之人々ニも手之付方有之間敷と存候、小生ハ可成丈両方ともニ極端ニ趨らさる様と、聊中立之位地ニて心配仕候得共、先頃浜氏出京之際ニも、東京重役ハ一同地方之意見を擯斥候有様ニて、総ニ総辞職と相成候義ニ御坐候、此上ハ株主臨時総会ニても相催し不申候而ハ、何とも落着之途有之間敷、而して其臨時総会も或ハ東京と新潟と両地之衝突と相成候恐有之、小生ハ今日ヨリ杞憂罷在候願くハ浜・鍵富抔之有力之人々前陳両地之衝突と不相成御工夫御尽力之程切ニ企望仕候、併帰する処ハ商事会社之専務ニ付、来示之如き同志会抔申もの之干渉を受候様ニてハ、到底平穏之営業ハ出来申間敷ニ付、新潟之重立候人々ニ於て、此悪習慣ハ是非除去候様御骨折有之度と存候
右等不取敢御答まて申上候、自然好便宜も有之候ハヽ、小生之微衷ハ浜・鍵富氏抔ヘハ屹度《(マヽ)》なく御申通し被下度候、右申上度 匆々不一
  五月廿七日                渋沢栄一
 - 第9巻 p.43 -ページ画像 
    松井吉太郎様
          拝復

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)六月二日(DK090005k-0013)
第9巻 p.43 ページ画像

 ○(明治三〇年)六月二日
拝啓、然者過便御申越有之候北越鉄道之義ニ付而ハ、即今東京株主中ニて臨時総会請求いたし、本社位地変更、重役改撰等之議目主張致居候、右様之勢ニ相成候も、爾来新潟市民之挙動如何ニも不都合之至ニ付、此姿ニてハ営利会社之目的ニ反し候のミならず、将来右様之地方へ資金放下抔思もよらぬと申勢を生し候次第ニ御坐候、乍去小生ハ、此勢ニて東京と新潟と益相争候様成行候時ハ、正理ハ東京之株主ニ有之候とも、地方ニ於てもしも乱暴を受候との懸念も相生し、終ニ担当者も無之様相成可申と存し候間、何とか折合之手段頻ニ苦心罷在候得共、新潟之方ハ現ニ浜・鍵富氏之懇意之向も屏息之姿ニ相成、書状往復さへ出来兼候ニ付、調和之工夫も相立不申、真ニ困却之至ニ候、殊ニ渡辺氏之如きも余り地方之暴行ニ愛想をつかし、殆ント断念之様子ニ相見候間、此上ハ重役も全体改撰之上、新空気を以て所謂局面一変之手段ニても致候方と存候
右等之事情ハ貴兄へ申上候とて別ニ効能無之候得共、もしも浜・鍵富其外貴兄御別懇之人ニて是迄新潟市之挙動ニ困却之意念有之候向ニ御逢之際、御談話之御含迄ニ申上候義ニ御坐候
同会社へ対する金融之事ハ、夫是ニ拘はらず、東京金詰り之為相断候義ニ付、其辺も御承知可被下候
別紙ハ内々ニて浜氏へ御届可被下候、但同氏より来状ハ火災保険会社之寺田と申人之手より落手仕候、宜敷御伝言可被下候
右一書申上度 匆々拝具
  六月二日
                        渋沢栄一
    松井吉太郎様

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)六月二日(DK090005k-0014)
第9巻 p.43-44 ページ画像

 ○(明治三〇年)六月二日
  明治三十年六月二日《(十カ)》
拝啓、然者今日北越鉄道会社へ金融之義ニ付、浜政弘氏より詳細之電報有之、其要旨ハ、工事費仕払之為是非とも金拾五万円之高必要ニ候間何とか借入方心配相頼度、もし右金出来兼候ハヽ、会社ハ仕払停止之不幸ニ立至可申も難測旨にて、頗る切迫之様子ニ相見へ候間、早速本店ニ於て相談いたし候得共、目下金融繁忙之際ニて、何分繰合相成兼候由ニ候、且北越鉄道とハ是迄今村銀行と共ニ取引せしニ付、其方も早々問合候処、只今今村氏弊行へ被参、同様繰廻し方差支候ニ付出来兼候旨回電せし趣ニ御坐候、依而無拠右之次第浜氏へ回報電文相発し且委細ハ貴兄迄書状申通候旨をも申遣候間、至急浜氏ニ御逢被下、何分前段之始末ニ付、貴方御困難は察上候得共如何とも致方無之旨、御申通し可被下候
今日之金融ハ当方ハ何分世話敷方ニて、第一銀行も今村銀行も繰合あしきハ事実に候得共、一方にハ北越鉄道之将来を懸念し、目下騒動之際ニハ貸出金等ハ見合候方と申説も有之候様被存候故ニ、同会社之工事向後之都合を謀候ニハ、一日も早く株主間又ハ地方ニ相連結致居候
 - 第9巻 p.44 -ページ画像 
紛議を融解し、円滑ニ営業候様不相成候而ハ、到底融通之途相開候事も如何歟と被存候、右は第一銀行ニて其為めニ浜氏之来電を相断候次第ニハ無之候得共、他之銀行へ融通相求候而も応諾六ツケ敷と存候事ニ候、是又浜氏其他地方重立候方々ニハ、能々向後之御心配専一と相考候段御伝言被下度候
右ハ浜氏へ対し直ニ書通とも相考候得共、差付候も少々憚り候処有之候ニ付、貴兄迄申上候、宜敷御申通被下度候、右一書得御意候也
                     渋沢栄一 (印)
 松井吉太郎殿
   ○右書翰日附六月二日ハ十月二日ニ非ザルカ。此件ニ関シ三十年九月十四日取締役会ニ於テ不足金額十五万円ヲ第一銀行・今村銀行・帝商銀行ヘ借入方ヲ交渉セントス。同記録(本巻第五二頁)参照。

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛 ○(明治三〇年)六月二三日(DK090005k-0015)
第9巻 p.44 ページ画像

 ○(明治三〇年)六月二三日
華翰拝読、然者北越鉄道会社之紛議ニ付而ハ、小生ハ爾来実ニ痛心ニ堪兼候間、東京之友人中へも可成極端ニ走らさる様忠告いたし、一方ニハ貴方へ向ひ浜・鍵富氏抔之如き平生御懇意之人へ再三書状を以愚衷申進候得共、何分貫徹致兼候と相見ひ、次第ニ紛争相進候様子ニ付終ニ此程田中氏を以て内々浜・鍵富両氏へ之忠告相試候為、貴方へ差出申候間、委細ハ田中氏より御聞取と存候、尤も東京ニても楠本男爵抔小生と共ニ種々仲立之意見を以て貴方へも書状又ハ伝言いたし、此程鈴木長蔵氏出京之由ニ付、何か折合之工夫も可相生歟と窃ニ企望罷在候、小生之心事ハ何卒浜・鍵富其外之人々へも御序ニ御示被下、願くハ貴方ニ於て極端之議論ニ出候弊を去り、勉而退歩協和之考案相立候様致度と存候
右之段拝答旁可得御意、如此御坐候 再拝
  六月廿三日               渋沢栄一
    松井吉太郎様


中外商業新報 第四六〇四号 〔明治三〇年六月二二日〕 北越鉄道会社の紛擾(DK090005k-0016)
第9巻 p.44-45 ページ画像

中外商業新報 第四六〇四号 〔明治三〇年六月二二日〕
    北越鉄道会社の紛擾
北越鉄道会社は、停車場設置の事より甚しく新潟市民の反対を受け、為めに重役中にも新潟市民の希望に左袒せる新潟派と、多数株主の意向に随て行動する株主派との両派を生し、其結果株主派の取締役渡辺嘉一・前島密・末延道成・監査役渋沢栄一・岸宇吉五氏は辞任を申出てしかば、原六郎氏外六十七名は株式五分一以上の同意を得て、臨時総会の請求を為したるより、専務取締役渡辺嘉一氏は、右の請求に基き来月五日を期し、東京に於て臨時総会の招集を為したるを以て、新潟派の重役は、渡辺氏は最早辞職して重役たる資格なく、会社は留任取締役の互選を以て牧口義方氏を専務取締役に挙げたるに渡辺氏の名を以て召集せる総会は無効なりと唱へ、其旨を各株主に通知せしも、渡辺・前嶋・末延三氏の辞表には、明に株主総会開会の上解任御取計ひ云々とありて、総会に向て解任の請求を為したるものなれば、総会に於て其辞任を認めざる間は、依然取締役たること勿論なれば、渡辺氏の名を以て総会の招集を為したるは決して違法に非ずして、牧口氏
 - 第9巻 p.45 -ページ画像 
は前任専務取締役よりの事務引継を了し登記を受けし上にあらされば、其権能を有する事能はず、従て渡辺氏の総会召集は無効にあらず、との説多数株主間に行はるゝといふ


中外商業新報 第四六〇五号 〔明治三〇年六月二三日〕 北越鉄道会社臨時総会の議案(DK090005k-0017)
第9巻 p.45 ページ画像

中外商業新報 第四六〇五号 〔明治三〇年六月二三日〕
    北越鉄道会社臨時総会の議案
北越鉄道会社にては、前号に記する如く、株主の請求に依り来月五日午後一時より、神田美土代町青年会館に於て臨時総会を開く筈なるが当日の議案は左の如し
   第一号議案
 一、定款改正の件
   第二号議案
 一、本会社線路の内沼垂字馬越より竜ケ嶋に至る仮設線路に依り営業開始を逓信大臣に出願せんとす
   第三号議案
 一、取締役浜弘正《(マヽ)》・牧口義方・斎藤喜十郎・鍵富三作、監査役萩野左門の五氏在任するは会社全躰の不利益と認むるにより之を解任し株主総会に向ひ辞任を請求したる取締役渡辺嘉一・前嶋密・末延道成、監査役渋沢栄一・岸宇吉五氏の辞任を認諾して、取締役監査役全数を新に撰挙せんとす
  右定款改正中の重なる条項は、第四条の本社を新潟市に置くを改め東京に移せり、是は、今回の紛擾は停車場問題より、新潟市民の反対運動より惹起したるものなれば、本社を新潟市に置きては市民の妨害運動を防ぐ困難なるが為め、本社を東京に置かんとするものなり、又第十八条を改めて取締役七名を五名と為せり、役員の少数なる方却て事業経営上敏活を得るが為なり、又卅七条を改めて議決権十一株以上は五株に付一個なりしを一株に付一個の議決権となせり、是れ、本年一月の総会に新潟市の株主が役員選挙の競争の為め妄に権利の増加を謀りたるより、旧法の弊害を認めて改正せんとするものなり


(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0018)
第9巻 p.45-46 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治三十年七月八日午前十時、東京市麹町区八重洲町壱丁目壱番地ニ於テ、北越鉄道株式会社取締役会開会
          出席者
           専務取締役 渡辺嘉一  (印)
           取締役   前島密
           同     原六郎
           同     今村清之助 (印)
           同     末延道成  (印)
本日決議ノ事項左ノ如シ
一本社ノ位置ヲ東京市麹町区八重洲町壱丁目壱番地ト定ム
一取締役互選ヲ以テ渡辺嘉一氏ヲ専務取締役ニ選任ス
 - 第9巻 p.46 -ページ画像 
明治三十年七月十日午後二時当会社東京派出所ニ於テ取締役会開会
          出席者
           専務取締役 渡辺嘉一 (印)
           取締役   前島密
           同     原六郎
           同     末延道成
           同     今村清之助
本日決議ノ事項左ノ如シ
○中略
一竜ケ島ヨリ営業開始ヲ再願スル事


第六課文書類別 農商・鉄道ニ関スル書類十一明治三〇年第一種(DK090005k-0019)
第9巻 p.46-47 ページ画像

第六課文書類別 農商・鉄道ニ関スル書類十一明治三〇年第一種 (東京府庁所蔵)
北第一三六号
    進達願
別紙本会社取締役及監査役変更届並本会社移転届逓信大臣へ進達方御取計被成下度、此段願上候也
             北越鉄道株式会社
  明治三十年七月廿六日
               専務取締役 渡辺嘉一 (印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿

(別紙)
北第一三八号
    取締役及監査役変更届
明治三十年七月五日当会社株主臨時総会ニ於テ取締役及監査役ノ全数ヲ改選候処、左記之通リ当選上任シ、取締役会ノ互選ヲ以テ取締役渡辺嘉一ヲ専務取締役ニ選挙就任致候間、此段及御届候也
             北越鉄道株式会社
  明治三十年七月廿六日
               専務取締役 渡辺嘉一
    逓信大臣  子爵 野村靖殿
               専務取締役 渡辺嘉一
               取締役   原六郎
               同     前嶋密
               同     末延道成
               同     今村清之助
               監査役   渋沢栄一
               同     大倉喜八郎
               同     原善三郎
北第一三七号
    本会社移転御届
          東京市麹町区八重洲町一丁目一番地
                     北越鉄道株式会社
当会社儀是迄新潟県新潟市ニ有之候処、今般前記ノ地ヘ移転致候間、此段御届申上候也
  明治三十年七月廿六日
 - 第9巻 p.47 -ページ画像 
             北越株道株式会社
                専務取締役 渡辺嘉一
    逓信大臣 子爵 野村靖殿


(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0020)
第9巻 p.47-48 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治三十年九月十四日午前十時、東京市麹町区八重洲町壱丁目壱番地北越鉄道株式会社ニ於テ、取締役会開会
          出席者
           専務取締役 渡辺嘉一 (印)
           取締役   前島密
           同     原六郎
           同     今村清之助
           同     末延道成
本日決議ノ事項左ノ如シ
一延長線本免状出願ノ件ハ、本年中ニ調査ヲ遂ケ、来春之ヲ出願セントス
一竜ケ島仮線仮営業出願セシ処、延長線ト既認可本線トノ聯絡設計ノ大要ヲ示スヘキ旨其筋ヨリ内達アリタルモ、目下調査中ニ付不取敢右延長線ハ別紙書面並ニ図面ノ通リ新潟白山浦ニテ信濃川ヲ横断シスイツチバツクヲ以テ竜ケ島停車場へ聯絡スルコトニ答申シ、他日調査ノ結果必要ノ場合ニハ、理由ヲ附シテ変更ノ出願ヲナサントス
○中略
一元取締役牧口外三名ヨリ会社渡辺嘉一ニ対スル訴訟ノ件、目下坑訴中ノ趣ニ付、該訴状ノ送達ヲ受ケタルトキハ防訴ノ準備ヲナサンコトヲ報告ス
○中略
一当会社資本金ノ不足ナルコトハ、起業ノ当初ヨリ予期セシモノヽ如ク、廿九年二月臨時総会ニ於テ四拾万円ノ増額ヲ決議シ、尋デ同年十二月当時建築課長ヨリ時ノ専務取締役ニ提出シタル資本不足額調査書ヲ見ルニ、現ニ百弐拾参万円余ノ不足アルヲ見ル、然ルニ右調査ハ未タ正額ト認メ難キヲ察シ、本年四月初旬ヨリ右調査ニ従事セントシモ、同月廿五日取締役会ノ紛擾ヨリ引続キ株主ノ臨時総会請求トナリ、会社ノ根拠ハ暴徒ノ囲繞中ニ在リ、旧重役トノ訴訟ノ裡ニ本社ヲ東京ニ移転スル等、本年八月初旬迄ハ内外ノ混雑ニ時日ヲ費消シ、右等取調ノ余日ナカリキ ○下略

明治三十年十一月十二日、東京市麹町区八重洲町一丁目一番地北越鉄道株式会社ニ於テ、取締役会開会
                出席者
                  前島密
                  原六郎
                  今村清之助
                  末延道成
                  渡辺嘉一 (印)
 - 第9巻 p.48 -ページ画像 
本日決議ノ事項左ノ如シ
一沼垂・一ノ木戸間線路ハ曩ニ落成ヲ告ケ、鉄道局ノ監査ヲ了シ、既ニ馬越・沼垂間仮線仮営業ノ認可ヲモ受ケタルヲ以テ、開業免状ノ下附ヲ待テ、直ニ営業ヲ開始スルノ準備整ヒ居タルニ、昨十一日午前三時五十分頃、何者カ竜ケ島停車場滊関庫及貨物庫並ニ栗ノ木川橋梁ニ爆烈薬ヲ装置シテ之ヲ破壊セリ、本件タル事体容易ナラズト雖トモ、之ガ為仮線ノ営業ヲ遅疑スルハ会社ノ不利益ニ付、此際至急破損ノ箇所ヲ修理シ、従来ノ方針ニヨリ一日モ速ニ本区間ノ営業ヲ開始セントス


日本鉄道史 中篇・第五三〇頁 〔大正一〇年八月〕(DK090005k-0021)
第9巻 p.48 ページ画像

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北越鉄道株式会社第四回報告 明治三〇年七月至同年一二月(DK090005k-0022)
第9巻 p.48 ページ画像

北越鉄道株式会社第四回報告 明治三〇年七月至同年一二月
    社務総況
○中略
沼垂仮線営業認可 同年○明治三〇年十一月十日、曩ニ逓信大臣ニ請願セシ沼垂・馬越間仮線営業ノ件ヲ認可セラレタリ
○中略
沼垂・馬越間開業免状 同月○一一月二十日逓信大臣ヨリ沼垂・馬越間仮線開業免状ヲ下付セラレタリ


文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種(DK090005k-0023)
第9巻 p.48-50 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第一明治三一年第一種 (東京府庁所蔵)
    免許状御下附願
昨年五月十七日付ヲ以テ仮免状御下附相成候当会社線路柏崎停車場ヨリ分岐シ、新潟県三島郡出雲崎町及新潟市ヲ経テ、中蒲原郡沼垂町ニ至リ、再ヒ弊社線路ニ聯絡スル鉄道線路敷設之儀、今般実測調査相済候間、右線路布設ノ本免許状御下附被成下度、別紙実測線路図面・工事方法書・工費予算書、当社定款及定款改正議事録等相添、此段及請願候也
              北越鉄道株式会社
  明治三十一年五月三日    専務取締役 渡辺嘉一
    逓信大臣 男爵 末松謙澄殿
   ○別紙中ノ明治二十九年二月二十五日ノ総会議事録ハ前掲(本巻第三八頁)ニツキ略ス。
  (別紙)
    株主臨時総会議事録
 - 第9巻 p.49 -ページ画像 
明治三十一年一月二十日午後第四時、日本橋区阪本町銀行集会所ニ於テ通常総会ニ引続キ臨時総会開会、現在株主千七百五拾弐人、株数七万四千株ノ内、当日出席株主(委任状併算)八百九拾五人(現在株主人員ニ対シ五割一分一厘)、株数四万八百六株(総株数ニ対シ五割五分一厘)、取締役前島密・原六郎・末延道成・今村清之助、監査役渋沢栄一・大倉喜八郎ノ諸氏一同着席、専務取締役渡辺嘉一会頭トナリ、審議ノ末左ノ議案ヲ決議セリ
一明治廿九年二月廿五日株主臨時総会ニ於テ決議セル直江津・新発田間及新津・沼垂間ノ線路建設資金参百七拾万円ニ対シ金四拾万円増資ノ件ハ、此際之ヲ取消スモノトス
  但本案決議ノ結果、同臨時総会ニ於テ決議セシ定款改正及株式割付等ニ関スル条項ニ異動ヲ生スルヲ以テ、右ハ取締役ニ一任シ、之ヲ処弁スルモノトス
一当会社鉄道延長線路布設本免状下付請願ニ付必要アルヲ以テ、定款ニ左ノ附則ヲ追加セントス
    附則
一延長線路建設費即チ増資金百九拾万円ハ之ヲ参万八千株ニ分チ、定款改正認可ノ日ヨリ五ケ月以内ニ於テ壱株ニ付金五円以上ヲ第一回株金払込額トシテ払込マシメ、残額ハ定款第十六条ニヨリ漸次之ヲ払込マシムルモノトス
一定款改正請願ニ際シ、前案附則其他条文及字句ノ修正ハ、之ヲ取締役会ノ決議ニ一任スルモノトス
右議事ヲ終リ午後六時散会
  明治三十一年一月二十日     会頭 渡辺嘉一

    定款改正ノ儀申請
明治廿九年二月廿五日、当会社株主臨時総会ニ於テ定款改正ノ件ヲ議決シ、尋テ同三十一年一月廿日ノ株主臨時総会ニ於テ、資本金四拾万円増加ノ件取消シ、及定款附則追加ノ件議決致候ニ付、右決議ニ基キ定款第二条・第五条及第六条改正並ニ同附則追加ノ儀御認許被成下度別紙定款改正条項取調書相添、此段及請願候也
           北越鉄道株式会社
明治三十一年五月三日    専務取締役 渡辺嘉一
逓信大臣 男爵 末松謙澄殿
 追伸本文議事録及現行定款ハ別紙本免状下付請願書ニ添付致置候也
      ○
鉄第五〇三号
                     北越鉄道株式会社
明治三十一年五月二十三日出願長岡町一ノ木戸間線路設計並ニ停車場設計変更ノ件認可ス
 但長岡一ノ木戸間線路勾配ノ変更ハ、来ル明治三十二年十二月末日迄ニ百分ノ一ニ改築スヘシ、又長岡停車場仮設計ハ、来ル明治三十四年十二月十二日迄ニ原設計ニ改ムヘシ
  明治三十一年六月七日
 - 第9巻 p.50 -ページ画像 
             逓信大臣 男爵 末松謙澄

鉄甲第五五二号
北越鉄道株式会社線路一ノ木戸長岡間開業免許状本月十三日付ヲ以テ下付相成候条、此段及御通知候也
  明治三十一年六月廿一日
         逓信省鉄道局長 中橋徳五郎 
    東京府知事 子爵 岡部長職殿


(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録(DK090005k-0024)
第9巻 p.50 ページ画像

(北越鉄道株式会社) 取締役会決議録 (渋沢子爵家所蔵)
明治三十二年十二月八日、本社ニ於テ重役会開会
                出席者
                 前島密
                 原六郎
                 末延道成
                 渋沢栄一
                 大倉喜八郎
                 渡辺嘉一 (印)
決議ノ件
○上略
五現在ノ沼垂仮停車場ハ新潟ニ至ル乗客ニ対シ実際不便ナルヲ以テ、沼垂仮線ヲ永久本線ト為スト同時ニ、別紙図面ノ如ク之ヲ延長シ、万代橋附近ニ停車場ヲ設置セントス
  但工費予算ハ金拾六万円トス
   ○別紙図面略ス。


渋沢栄一 日記 明治三三年(DK090005k-0025)
第9巻 p.50 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三三年
一月十四日 晴
○上略 午後○中略渡辺嘉一氏来ル、北越鉄道会社沼垂ヨリ万代橋マテノ線路延長ノコトヲ談ス ○下略
一月十七日 晴
朝新潟支店松井吉太郎及浜政弘両氏へ、北越鉄道会社ニ於テ本月ノ株主総会ニ沼垂線路変換ノコト、万代橋附近マテ延長ノコト、及車輛増加ノ議案提出ニ関シ委細事情申遣ス ○下略
一月二十九日
○上略 午後二時台湾協会ニ於テ北越鉄道株式会社ノ株主総会ニ列ス ○下略


渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛(明治三三年)一月一七日(DK090005k-0026)
第9巻 p.50-51 ページ画像

渋沢栄一 書翰 松井吉太郎宛(明治三三年)一月一七日
                      (松井三郎氏所蔵)
○上略 偖玆ニ一事御依頼申上候ハ、此度北越鉄道会社ニて本月之株主総会ニ、例之沼垂仮線(現在営業致居候線路)を、期限も近く相成候間、本線ニ変更之事、及万代橋附近まて線路延長之事、其他車輛増加等にて金高六拾五万円を以施設之案相立、株主之賛成を求候都合候処、此沼垂線を本線ニ引直し候事ハ新潟人ハ不同意を唱候義ニて、万代橋まて延長之事ハ沼垂人之不満足を鳴し候ものと存候、併もしも右様両地
 - 第9巻 p.51 -ページ画像 
株主ニて異議相生し、此提議廃案とも相成候ハヽ、自然現在之取締役ハ辞職候外致方も無之、老生等も同しく御免相願可申、旁以此鉄道之為将来大ニ懸念仕候義ニ御座候、老生ハ素より時期も有之候ハヽ辞任相望居候得共、渡辺嘉一氏就職中置去リニ致候訳ニも相成兼、引続き監査役と相成居、且右等議案も一々相談を受候次第ニ付、右等之事情鍵富又ハ浜氏其他之人々鈴木長蔵氏抔ニも関係極而多き事と存候間、自然機会も候ハヽ御話合被下度候、尤も右ニ付浜氏ヘハ一書相送候間、時ニ御引合被下、何分之尽力有之候様御申合可被下候、右之段可得御意如此御坐候 匆々不一
  一月十七日
                    渋沢栄一
 松井吉太郎様
尚々老生も今日迄大磯ニ保養之処、東京ニも色々用事出来ニ付今日ハ帰京仕候也