デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
13款 京北鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.88-100(DK090010k) ページ画像

明治28年10月11日(1895年)

是ヨリ先、京都ヨリ大津ヲ経テ敦賀・常宮ニ至ル京北鉄道敷設ヲ発起シ、栄一創立委員トシテ是日出願、尋イデ創立委員長ニ選バル。三十年四月右出願ハ京都・大津間ヲ除イテ却下サレタルヲ以テ、同年七月京都・大津間トシテ訂正出願シ、十一月仮免状ヲ受ク。


■資料

青淵先生六十年史 第一巻・第九九〇―九九六頁 〔明治三三年二月〕(DK090010k-0001)
第9巻 p.88-90 ページ画像

青淵先生六十年史 第一巻・第九九〇―九九六頁〔明治三三年二月〕
近畿京北鉄道株式会社ハ青淵先生及銀林綱男等六十有余名ノ人々カ発起トナリテ、明治廿八年十月十一日創立願ヲ呈セルニ始マルモノナリ該会社ハ近畿京北両道ニ鉄道ヲ布設スルノ目的ニシテ、其一ナル京北鉄道ノ計画ハ、京都市七条停車場ヨリ同市粟田口・滋賀県大津市・同県高島郡今津村・福井県敦賀郡ヲ経テ、同県同郡常宮ニ到ルノ間ニ鉄道ヲ布設シ、旅客貨物ノ運輸ヲ営ムニアリテ、近畿鉄道ノ目的ハ、京都市上京区岡崎町ヨリ京都七条停車場・伏見・淀・八幡・牧方・守口ヲ経テ大阪府下東成郡野田村ニ到ルノ間ニ鉄道ヲ布設シ、同シク旅客貨物ノ運輸ヲ営ムニアリトス、而シテ其資本金ハ、京北鉄道ハ三百弐拾万円ニシテ、近畿鉄道ハ弐百弐拾万円ナリ
    近畿京北両鉄道敷設発企ノ旨趣
 近畿ノ地方タル、隆古以来、我国ノ中原ヲ以テ称セラレ、人煙ノ稠密ナル、物産ノ豊饒ナル復タ他ニ比儔アルナク、之レヲ地理ノ上ヨリ観、之ヲ商工業ノ上ヨリ察シテ、正ニ我本州ノ中枢咽喉ノ要区ニ居リ、特ニ近年海陸交通ノ利器アルニ及ンテ、文化ノ発搉、殖産ノ振作、共ニ与ニ往昔ニ幾倍スルヲ致シ、其繁華殷富ノ状世ノ斉シク熟知スル所ノ如シ
 惟フニ、此ノ近畿ノ進運ヲ催促シテ之ヲ助長スルニ与テ力アリシモノハ、実ニ東海道鉄道ヲ以テ第一トスヘシ、然レトモ近畿地方交通ノ繁劇ナル、運搬ノ巨大ナル、到底東海道鉄道ノ能ク独リ負荷スル所ニアラス、況ヤ東海道鉄道ハ素ト国ノ幹線ニ属シ、其任務初ヨリ至重至大ナルモノアルニ於テオヤ、其開通後未タ数年ナラサルニ、早ク已ニ運搬力ノ不足ヲ示シ、到処貨物ノ停滞ヲ免レサルモノ、良ニ以ヘアリ、請フ其然ル所以ヲ一言セン
 東海道ノ経由スル所、東、東京横浜ヨリ、西、大阪神戸ニ至ル、三百七十六哩ノ長程総テ国土ノ要部富饒繁栄ノ地ニアラサルハナク、其両端ヲ問ヘハ、即チ日本鉄道・山陽鉄道ノ二大線路ニ聯接シ、其中間ニ於テハ即チ三四ノ肝要ナル枝線ヲ有シテ、自ラ我国鉄道ノ骨髄ヲ形成シ、今日関東・関西ノ各地方ヲ聯絡スルモノ、唯此ノ一線
 - 第9巻 p.89 -ページ画像 
路アルノミ、其任務ノ重大ナル、縦令当初ヨリ施スニ複線ノ計画ヲ以テスルモ、共運搬力ニ過分ノ余剰ヲ存セサリシヤ蓋疑ヒナカルヘシ、然ルニ計此ニ出テス、偏ニ単線ノ制ヲ採リタルカ為メニ、開通ノ当初一両年間ハ、倖ニ運搬力不足ノ弊ヲ免ルト雖モ、居ルコト幾モナク、未タ一回モ急行列車ノ制ヲ挙クルニ及ハスシテ、早ク既ニ軍事上ニ経済上ニ両ナカラ運搬力不足ノ徴候ヲ現ハシ、時ノ陸軍当局者ヲシテ、其前途軍事ノ用ニ於テ欠クル所アランヲ恤ヘシメ、其或者ヲシテ、数年ノ後商工業発達シテ貨客ノ不便ヲ来スニ至レハ、一般社会ノ之ヲ論難スル、今ノ陸軍当局者カ異議ヲ容ルヽヨリ甚タシキモノアラン、ト予言セシメタリシカ、果セルカナ、最近一二年ニ及ヒ、運搬力ノ不足ハ日ニ月ニ顕著ニ趣キ、貨物停滞、交通充塞沿道到処ニ商工業者ノ非難ヲ聞カサルハナク、就中此ノ弊患ハ、近畿地方大都会相接近シテ人煙稠密ナル個所ノ如キ、将タ北陸全道ト近畿地方トヲ連絡スル東海道鉄道湖東線ノ一部及敦賀線沿辺ノ地ノ如キニ於テ最モ甚シク、其不利不便実ニ名状スヘカラサルモノアルコトハ、世人ノ夙ニ認識スル所ナリ
 東海道鉄道運搬力不足ノ状、既往ト現在トニ於テ既ニ此ノ如シ、況ンヤ我国鉄道事業ノ発達ハ、年ヲ逐テ其速度ヲ加ヘ、今後数閲年ノ間ニハ、北陸鉄道線路百有余哩ノ竣工スヘキアリ、北越鉄道線路百哩ノ竣工スヘキアリ、奥羽鉄道線路三百有余哩ノ竣工スヘキアリ、京都鉄道線路百有余哩ノ竣工スヘキアリ、山陰鉄道線路ノ竣工スヘキアリ、関西鉄道線路ノ延長工事ヲ終ルヘキアリ、山陽鉄道線路ノ西馬関ニ達シ、海ニ跨テ九州鉄道線路ト相聯絡スヘキアリ、此等幾多ノ線路ハ、東北ヨリ西南ヨリ、悉ク東海道鉄道ニ集中聯絡シ、以テ其乗客ト貨物トヲ此ノ一線ニ流注セントス、東海道鉄道タルモノ、其レ如何ニシテ其運搬ノ任務ヲ全フセントスルカ、顧フニ、政府当局者亦漸ク此ニ見ル所アリ、東海道鉄道複線布敷ノ計画既ニ熟シ、将ニ次期議会ヲ待テ其建設費千三百余万円ヲ請求スヘシト聞ケハ、早晩之ヲ遂行シテ其運搬力ヲ加倍スルノ日アルヘシト雖モ、憾ムラクハ三四年以前ニ於テ、此ノ複線計画ヲ断行セサリシヲ、其誤テ一旦機ニ遅クレ、曠廃今ニ三四年ニ及フカ故ニ、此ノ新計画工ヲ竣ヘテ、東海道鉄道ニ複線ヲ見ルノ日ハ、上記全国ノ各線路モ漸次ニ完成シテ、此ノ一線ニ集中聯絡スルノ日ニ属シ、複線ニヨリテ運搬力ヲ加倍スル此《(比カ)》ノ例ヨリモ、各線ノ集中ニヨリテ貨客ヲ増加スルノ割合寧其多キヲ占メ、結局今一層運搬力ノ不足ヲ現スルニ至ルヘキハ、鏡ニ懸ケテ見ルカ如ク、其常ニ文化ノ進歩、殖産ノ発達ト相併進スル能ハスシテ、終始運搬力ノ不足ニ苦シムヘキハ、理勢ノ極メテ睹易キモノナリ
 東海道鉄道運搬力不足ノ主点ハ、既往並ニ現在ニ於テ近畿地方及ヒ湖東線・敦賀線地方ニアルカ如ク、将来複線敷設ノ後ニ於テモ、均シク近畿地方及湖東線・敦賀線地方ニアラサルヘカラス、然ル所以ハ、此等地方ハ啻ニ上記各線路ノ要衝ニ当ルノミナラス、別ニ其附近ノ地ニ近年踵ヲ接シテ勃興セル幾多地方鉄道ノアルアリ、悉ク東海道鉄道ニ星共スレハナリ、即チ試ニ此ノ地方ニ於ケル既設線路及
 - 第9巻 p.90 -ページ画像 
仮免状ヲ得タルモノヲ挙クレハ、大阪ヨリ大和ニ至ル大阪鉄道アリ大阪ヨリ和歌山ニ至ル紀摂鉄道アリ、桜井ヨリ橋本ニ至ル高野鉄道アリ、高田ヨリ五条ニ至ル南和鉄道アリ、五条ヨリ和歌山ニ至ル紀和鉄道アリ、奈良ヨリ東都ニ至ル奈良鉄道アリ、奈良ヨリ桜井ニ至ル初瀬鉄道アリ、桜井ヨリ津及松阪ニ至ル勢和鉄道アリ、萩原ヨリ上野ニ至ル伊賀鉄道アリ、梅田ヨリ安治川口ニ至ル西成鉄道アリ、神崎ヨリ福知山ニ至ル阪鶴鉄道アリ、大阪ヨリ四条畷ニ至ル浪速鉄道アリ、木津ヨリ四条畷ニ至リ、長尾ヨリ八幡ニ至ル城河鉄道アリ而シテ此等ハ皆東海道鉄道複線ノ竣工ト相前後シテ開通シ、百川ノ集注スルカ如ク、一ニ東海道線ニ趨クモノタリ、此ノ如クニシテ、複線布設ノ後ト雖モ、東海道鉄道カ最モ運搬力ノ不足ニ苦ムノ主点ハ実ニ近畿一円ノ地方ニ在リ、今ノ時ニ当リ、他ノ適良ナル鉄道ノ起リテ其任務ヲ分チ、其負荷ヲ分ツニアラスンハ、東海道鉄道タルモノ、進ンテハ以テ其効益ヲ揮摧スルニ由ナク、退テハ以テ近畿地方ノ発達ヲ制圧スルノ実ヲ免ル能ハス、其国利民福ニ関係スル洵ニ少小ニアラサルナリ
 是ニ於テカ、近畿・京北両鉄道計画ノ必要起ル、抑近畿鉄道ハ、大阪ヨリ起リテ道ヲ京街道ニ取リ、守口・牧方・八幡・淀・伏見ヲ経テ、京都岡崎町ニ至ルモノニシテ、実ニ京阪両地ヲ聯絡スルニ於テ最近最捷ノ線路ニ属シ、延長凡二十九哩、全線施スニ複線ノ計画ヲ以テシテ工費二百二十万円ヲ要スヘク、又京北鉄道ハ、京都朱雀野村西ノ京ニ起リテ、大津ニ出テ道ヲ西近江街道ニ取リ、阪本・木戸・勝野・今津・海津・疋田ヲ経テ敦賀ニ至リ、更ニ常宮ノ湾頭ニ至ルモノニシテ、亦京都ヨリ北陸ニ達スル最近最捷ノ線路ニ屡シ、延長大凡六十五哩、京都・大津間及其他急勾配ノ個所ニ複線ヲ設クルノ計画ニシテ、工費三百二十万円ヲ要スヘク、即チ二線路相接続シテ首尾ヲ相成シ、近畿一帯ノ要区ニ拠リテ南海ト北海トヲ聯絡セシメ、以テ一方ニ東海道鉄道並ニ其他ノ官私線ヲシテ其責務ヲ完フスルコトヲ得セシメ、他方ニハ近畿中枢ノ地ヲシテ交通運搬ノ上ニ遺憾ナカラシメント欲スルナリ、是レ玆に近畿・京北両鉄道敷設ノ事ヲ発企スル所以ナリ云々
 青淵先生ハ両鉄道敷設ノ相談ニ与ル、然ルニ政府ハ、京北鉄道線路中京都・大津間ニ敷設ノ免許ヲ与ヘ、他ノ部分ハ之ヲ他ノ会社ニ許シタリ、又近畿鉄道ハ官設鉄道ニ接近スルヲ以テ許可ヲ与ヘサリシカ、其後軍事上必要ナリトノ論起リ、明治三十二年京阪鉄道会社《(三)》ニ許可スルコトヽナレリ、京阪鉄道会社ハ即チ近畿鉄道会社ノ相続者ニシテ、先生亦其発起人タリ
   ○六十年史所載ノ近畿鉄道ニ関シテハ京阪鉄道ノ項ヲ見ヨ。
   ○尚ホ近畿鉄道ニ関シテハ日本鉄道史ニ該当スル記事ナシ。


青淵先生公私履歴台帳 明治三十三年五月十日調(DK090010k-0002)
第9巻 p.90-91 ページ画像

青淵先生公私履歴台帳 明治三十三年五月十日調
                   (渋沢子爵家所蔵)
明治二十八年
一近畿・京北両鉄道株式会社ノ創立委員長トナル
 - 第9巻 p.91 -ページ画像 
  同鉄道ハ大坂・京都・敦賀間ヲ最近距離ニヨリテ連絡スルノ目的ヲ以テ発起シタルモノニシテ、撰ハレテ其委員長トナリ、専ラ創立ニ尽力セシモ、近畿ハ政府ノ許可ナクシテ解散シ(但後年京坂鉄道ヲ創立シテ之ヲ継続シ、現ニ其委員長タリ)、京北ハ京都・大津間ヲ許可セラレ、会社ノ成立ヲ見ルニ至レリ


中外商業新報 第四〇九一号〔明治二八年一〇月一二日〕 京北・近畿両鉄道発起人会(DK090010k-0003)
第9巻 p.91 ページ画像

中外商業新報 第四〇九一号〔明治二八年一〇月一二日〕
    京北・近畿両鉄道発起人会
 京北・近畿両鉄道発起人は一昨十日午後四時より築地瓢屋に集会し種々協議の末、創立委員九名を選定せり。
東京 渋沢栄一・銀林綱男・米倉一平・奥三郎兵衛・大江卓・岡部広
大阪 磯野小右衛門、京都 由利公正、大津 藪田勘兵衛


第四課文書 商工・鉄道第一巻明治三二年第一種(DK090010k-0004)
第9巻 p.91-95 ページ画像

第四課文書 商工・鉄道第一巻明治三二年第一種 (東京府庁所蔵)
    京北鉄道株式会社創立申請書
今般私共申合、京北鉄道株式会社ヲ創立シ、京都府下葛野郡朱雀野村字西京(京都鉄道起点)ヨリ、京都市上京区大宮頭・愛宕郡田中村・京都市上京区吉田町・岡崎町・粟田口町・宇治郡日岡村・藤尾村・滋賀県大津町・同県滋賀郡坂本村・木戸村・同県高島郡今津村・海津村福井県敦賀郡敦賀町ヲ経テ同県同郡常宮ニ到ルノ間ニ、鉄道ヲ敷設シ運輸ノ業ヲ営度冀望ニ罷在候間、特別ノ御詮議ヲ以テ右鉄道敷設ノ義御許可被成下度、別紙起業目論見書及仮定款相添此段奉請願候也
  明治廿八年十月十一日
             京北鉄道株式会社創立発起人
     東京市麹町区永田町弐丁目七番地             銀林綱男(印)
     京都市上京区中筋通大宮西入横大宮町弐拾五番戸      岡本治助(印)
     京都市下京区四条通麩屋町廿六番戸            岩井八兵衛(印)
     京都市上京区日暮下立売上ル西分銅町廿二番戸       鈴鹿弁三郎(印)
     京都市上京区河原町通二条下ル二丁目下丸屋町廿二番戸   小牧仁兵衛
     京都市上京区寺町通二条上ル要法寺前町八番戸       白山茂兵衛(印)
     京都市上京区油小路通御池下ル式阿弥町六番戸       森治郎右衛門(印)
     京都府下葛野郡朱雀野村八十一番戸            石原耕太郎(印)
     京都市上京区油小路通姉小路上ル式阿弥町五番戸      森市兵衛(印)
     京都市上京区一条通千本西ヘ入烏丸町十一番戸       松木安次郎(印)
     京都市上京区西陣伊佐町五十七番戸            富田半兵衛(印)
     京都市上京区堺町二条上ル亀屋町十七番戸         中安信三郎(印)
     東京市深川区堀川町弐番地                奥三郎兵衛(印)
     東京市麹町区一番町五十四番地              米倉一平(印)
     東京市京橋区南小田原町四丁目一番地           森岡昌純(印)
     東京市日本橋区本材木町一丁目七番地           渡辺治右衛門(印)
 - 第9巻 p.92 -ページ画像 
     東京市日本橋区小網町一丁目十一番地           柿沼谷蔵(印)
     東京市赤坂区葵町三番地                 大倉喜八郎(印)
     東京市日本橋区小網町三丁目廿七番地           浜口吉右衛門(印)
     東京市麹町区永田町二丁目廿九番地            中上川彦次郎(印)
     東京市芝区金杉新浜町壱番地               藤山雷太(印)
     東京市芝公園地第十五号                 大江卓(印)
     東京市小石川区江戸川町廿八番地             伊藤幹一(印)
     東京市本所区横網町二丁目五番地             富永冬樹(印)
     東京市日本橋区小網町四丁目十三番地           安田善四郎(印)
     東京市日本橋区青物町十五番地              加東徳三(印)
     神奈川県横浜市元浜町一丁目一番地            渡辺福三郎(印)
     神奈川県久良岐郡戸太村戸部三十四番地          原善三郎(印)
     東京市日本橋区箱崎町三丁目二番地            小池佐一郎(印)
     東京市日本橋区兜町二番地                渋沢栄一(印)
     東京市日本橋区浜町一丁目二番地             荒井泰治(印)
     東京市日本橋区通三丁目十六番地             岡部広(印)
     福井県敦賀郡敦賀町敦賀旭第廿五番地           大和田荘七
                              代印 岡部広(印)
     東京市本郷区浅嘉町七十五番地              佐分利一嗣(印)
     愛知県名古屋市南武平町百九番戸             吉田禄在(印)
     大坂市東区北浜二丁目六十三番屋敷            磯野小右衛門(印)
     大坂市東区内平野町二丁目九十七番屋敷          殿村エツ(印)
     大坂市東区伏見町四丁目四十九番屋敷           芝川又右衛門(印)
     大坂市西区靭北通一丁目三十四番屋敷           田中市兵衛(印)
     大坂市北区堂島浜通二丁目十五番屋敷           阿部彦太郎(印)
     大阪市東区平野町二丁目十八番屋敷            石崎喜兵衛(印)
     大阪市北区堂島浜通一丁目三十二番屋敷          浜崎永三郎(印)
     大坂市東区南本町二丁目百二十番屋敷           阿部市郎兵衛
                              代印 阿部彦太郎(印)
     京都市上京二条高倉西ヘ入ル               由利公正(印)
     愛知県名古屋市本町五十七番戸              滝兵右衛門
                              代印 吉田禄在(印)
     愛知県名古屋市東万町廿七番戸              武山甚七
                              代印 吉田禄在(印)
     滋賀県滋賀郡大津町大字橋本廿番屋敷           村田六之助
                              代印 岡部広(印)
     京都市上京区聖護院町九番戸               辻重義(印)
     京都府山城国紀伊郡伏見町字過書九番戸          江崎権兵衛(印)
     京都市下京区新町三条南ヘ入三条町七番戸         吉田利助(印)
 - 第9巻 p.93 -ページ画像 
     京都市下京区新橋通大和大路東ヘ入三丁目林下町五十九番戸 西川吉兵衛(印)
     京都市上京区大宮通今出川北ヘ入観世町廿六番戸      荘野和三郎(印)
     京都府松原通烏丸東ヘ入俊成町四番戸           富永太十郎(印)
     京都府紀伊郡伏見町字過書第七番戸            築山三郎兵衛(印)
     滋賀県滋賀郡大津町大字後在家廿番屋敷          曾我播(印)
     滋賀県滋賀郡大津町大字猟師               辻卯兵衛
                              代印 曾我播(印)
     滋賀県滋賀郡大津町大字堺川第十三番屋敷         藪田勘兵衛
                              代印 曾我播(印)
     滋賀県滋賀郡大津町字新第三番屋敷            北村兵右衛門
                              代印 曾我播(印)
     滋賀滋賀郡大津町字坂本七番地              高谷光雄
                              代印 曾我播(印)
     東京市京橋区築地一丁目十四番地             田中平八(印)
     東京府下荏原郡北品川宿三百十二番地           益田孝(印)
     東京市京橋区元数寄屋町三丁目一番地           河村隆実(印)
                           以上
   逓信大臣 白根専一殿

(別紙)
    京北鉄道株式会社起業目論見書
第一 本会社ノ組織ハ株式会社トス
第二 本会社ハ左ニ記スル目的ヲ達スル為メ、鉄道ヲ敷設シ運輸ノ業ヲ営ムモノトス
    一 北陸地方ヲ畿内附近ニ聯絡スルニ於テ最捷最近ノ線路ヲ得ルニ在リ
    二 常宮ハ北海稀有ノ良港タルカ故ニ、之ト京坂地方トノ聯通ヲ謀ルニ在ル
    三 若狭及近江西部ノ開発ヲ謀ルニ在ル
    四 京都及大津ノ両市街ヲ聯絡スルニ於テ両市ノ為メ最モ便利ナル鉄道ヲ敷設スルニ在リ
第三 本会社ノ社名ヲ京北鉄道株式会社ト称シ、本社ヲ東京市ニ置ク
第四 本会社ノ線路ハ京都府下葛野郡朱雀野村字西宮(京都鉄道起点)ニ起リ、同郡北野村、京都市上京区大宮頭、愛宕郡小山村田中村、京都市上京区吉田町・聖護院町・岡崎町・南禅寺町・粟田口町、宇治郡日岡村・御陵村・藤尾村小関越ヲ経、大津停車場ニ到リテ官設鉄道ニ聯絡シ、本線ハ更ニ坂本村・木戸村、同県高島村・今津村、福井県敦賀郡敦賀町ヲ経テ、同県同郡常宮ニ到ル六拾五哩間ニシテ、軌道幅員ハ三呎六吋トス
第五 本会社ノ資本金ハ参百弐拾万円ニシテ之ヲ六万四千株ニ分チ壱株ノ金額ヲ金五拾円トス
第六 本会社鉄道敷設費用及運輸営業上ノ収支概算左ノ如シ、但シ其詳細ハ之ヲ冊尾ニ掲ク
 - 第9巻 p.94 -ページ画像 
 一金参百弐拾万円        敷設費総額
    内訳
  金九千五百円            線路予測費
  金五万弐千円            工事監督費
  金参拾八万八千参百円        用地費
  金四拾七万六千五百円        土工費
  金弐拾九万七千円          橋梁費
  金四万九千百円           コルヘルト費
  金弐万弐千円            伏樋費
  金六拾五万六千四百円        隧道費
  金五拾八万九百八拾円        軌道費
  金九万七千円            停車場費
  金弐拾五万八千円          車輛費
  金参万円              器械場費
  金弐万円              諸建物費
  金六万四千円            運送費
  金弐万六千五百円          建築用滊車費
  金壱万壱千円            建築用具費
  金参千円              柵垣及境界杭費
  金四万円              総経費
  金六千七百円            電信架設費
  金拾壱万弐千弐拾円         予備費
 一金四拾参万五千五円      収入総額
    内訳
  金弐拾八万弐千四百弐拾五円     旅客収入
  金拾五万弐千五百八拾円       荷物収入
 一金拾六万六千七拾五円     支出総額
    収支差引
  金弐拾六万八千九百参拾円      純益金
   但資本金参百弐拾万円ニ対シ年凡八朱三厘ニ当ル
第七 発起人ノ氏名住所及発起人各自引受クヘキ株数ハ左ノ如シ
 引受株数   金額     住所                         氏名
 百八拾株  金九千円   東京市麹町区永田町弐丁目七番地            銀林綱男(印)
 六百株   金三万円   京都市上京区中筋通大宮西ヘ入横大宮町弐拾五番戸    岡本治助(印)
 百八拾株  金九千円   京都市下京区四条通麩屋町廿六番戸           岩井八兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区日暮下立売上ル西分銅町廿二番戸      鈴鹿弁三郎(印)
 百二十株  金六千円   京都市上京区寺町通二条上ル要法寺前町八番戸      白山茂兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区油小路通御池下ル式阿弥町六番戸      森治郎右衛門(印)
 三百株   金壱万五千円 京都府下葛野郡朱雀野村八十一番戸           石原耕太郎(印)
 百八拾株  金九千円   京都市上京区油小路通姉小路上ル式阿弥町五番戸     森市兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区一条通千本西入烏丸町十一番戸       松木安治郎(印)
 百弐拾株  金六千円   京都市上京区西陣伊佐町五十七番戸           富田半兵衛(印)
 百八拾株  金九千円   京都市上京区堺町二条上ル亀屋町十七番戸        中安信三郎(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市深川区堀川町弐番地               奥三郎兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市麹町区一番町五十四番地             米倉一平(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市京橋区南小田原町四丁目一番地          森岡昌純(印)
 - 第9巻 p.95 -ページ画像 
 三百株   金壱万五千円 東京市日本橋区本材木町壱丁目七番地          渡辺治右衛門(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市日本橋区小網町壱丁目十一番地          柿沼谷蔵(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市赤坂区葵町三番地                大倉喜八郎(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市日本橋区小網町三丁目廿七番地          浜口吉右衛門(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市麹町区永田町二丁目廿九番地           中上川彦次郎(印)
 百弐拾株  金六千円   東京市芝区金杉新浜町壱番地              藤山雷太(印)
 百八拾株  金九千円   東京市芝区公園地第十五号               大江卓(印)
 百八拾株  金九千円   東京市小石川区江戸川町廿八番地            伊藤幹一(印)
 百八拾株  金九千円   東京市本所区横網町二丁目五番地            富永冬樹(印)
 六百株   金三万円   東京市日本橋区小網町四丁目十三番地          安田善四郎(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市日本橋区青物町十五番地             加東徳三(印)
 三百株   金壱万五千円 神奈川県横浜市元浜町壱丁目壱番地           渡辺福三郎(印)
 三百株   金壱万五千円 神奈川県久良岐郡戸太村戸部三十四番地         原善三郎(印)
 百八拾株  金九千円   東京市日本橋区箱崎町三丁目二番地           小池佐一郎(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市日本橋区兜町二番地               渋沢栄一(印)
 百八拾株  金九千円   東京市日本橋区浜町一丁目二番地            荒井泰治(印)
 百八拾株  金九千円   東京市日本橋区通三丁目十六番地            岡部広(印)
 三百株   金壱万五千円 福井県敦賀郡敦賀町敦賀旭第廿五番地          大和田荘七
                                      代印 岡部広(印)
 百弐拾株  金六千円   東京市本郷区浅嘉町七十五番地             佐分利一嗣(印)
 三百株   金壱万五千円 愛知県名古屋市南武平町百九番戸            吉田禄在(印)
 三百株   金壱万五千円 大坂市東区北浜弐丁目六十三番屋敷           磯野小右衛門(印)
 三百六拾株 金壱万八千円 大坂市東区内平野町弐丁目九十七番屋敷         殿村エツ(印)
 三百株   金壱万五千円 大坂市東区伏見町四丁目四十九番屋敷          芝川又右衛門(印)
 六百株   金三万円   大坂市西区靭北通壱丁目三十四番屋敷          田中市兵衛(印)
 六百株   金三万円   大坂市北区堂島浜通二丁目十五番屋敷          阿部彦太郎(印)
 三百六拾株 金壱万八千円 大阪市東区平野町弐丁目十八番屋敷           石崎喜兵衛(印)
 弐百四拾株 金壱万弐千円 大阪市北区堂島浜通壱丁目三十二番屋敷         浜崎永三郎(印)
 六百株   金三万円   大坂市東区南本町二丁目百二十番屋敷          阿部市郎兵衛
                                      代印 阿部彦太郎(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区二条高倉西入               由利公正(印)
 三百株   金壱万三千円 愛知県名古屋市本町五十七番戸             滝兵右衛門
                                      代印 吉田禄在(印)
 三百株   金壱万五千円 愛知県名古屋市東万町廿七番戸             武山甚七
                                      代印 吉田禄在(印)
 百二十株  金六千円   滋賀県滋賀郡大津町大字橋本第二十番屋敷        村田六之助
                                      代印 岡部広(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区聖護院町九番戸              辻重義(印)
 四百弐拾株 金弐万千円  京都府山城国紀伊郡伏見町字過書元番戸         江崎権兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市下京区新町三条南入三条町七番戸         吉田利助(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市下京区新橋通大和大路東入三丁目林下町五十九番戸 西川吉兵衛(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市上京区大宮通今出川北入観世町廿六番戸      荘野和三郎(印)
 三百株   金壱万五千円 京都市松原通烏丸東入俊成町四番戸           富永太十郎(印)
 百八拾株  金九千円   京都府紀伊郡伏見町字過書第七番戸           築山三郎兵衛(印)
 百弐拾株  金六千円   滋賀県滋賀郡大津町大字後在家廿番屋敷         曾我播(印)
 百弐拾株  金六千円   滋賀県滋賀郡大津町大字猟師              辻夘兵衛
                                      代印 曾我播(印)
 百八拾株  金九千円   滋賀県滋賀郡大津町大字堺川第十三番屋敷        藪田勘兵衛
                                      代印 曾我播(印)
 百八拾株  金九千円   滋賀県滋賀郡大津町大字新第三番屋敷          北村兵右衛門
                                      代印 曾我播(印)
 百弐拾株  金六千円   滋賀県滋賀郡大津町字坂本七番地            高谷光雄
                                      代印 曾我播(印)
 三百株   金壱万五千円 東京市京橋区築地一丁目十四番地            田中平八(印)
 三百株   金壱万五千円 東京府下荘原郡北品川三百拾弐番地           益田孝(印)
 百八拾株  金九千円   東京市京橋区元数寄屋町三丁目壱番地          河村隆実(印)
                          以上


中外商業新報 第四〇九三号〔明治二八年一〇月一五日〕 京北近畿両鉄道創立委員会(DK090010k-0005)
第9巻 p.95-96 ページ画像

中外商業新報 第四〇九三号〔明治二八年一〇月一五日〕
    京北近畿両鉄道創立委員会
 - 第9巻 p.96 -ページ画像 
 既に報ずる如く昨日午前九時より兜町の渋沢栄一氏宅に於て京北近畿両鉄道株式会社の創立委員会を開き協議の末、左の件々を決議し、尚払込銀行其の他の要件を定めたり。
一、創立委員の互選を以て、渋沢栄一氏を同委員長に選定す。
一、創立委員の中なる銀林綱男・岡部広の両氏を以て常務担当者に選定す。
一、当該鉄道主任技師を工学士佐分利一嗣氏に嘱托す。
一、当該鉄道発起人引受株及ひ平株共来る十一月十五日限り一株に付金一円の証拠金を払込ましむ。


渋沢栄一 書翰 八十島親徳宛(明治二九年六月)一九日(DK090010k-0006)
第9巻 p.96 ページ画像

渋沢栄一 書翰 八十島親徳宛(明治二九年六月)一九日 (八十島親義氏所蔵)
    口上
○上略
京北近畿鉄道委員会ハ明廿日午前九時ニ事務所ニて相開候筈既ニ岡夫々委員ヘ通達相成候哉、岡部氏方御聞合もしいまた案内無之候ハヽ早々取扱候様可被成候
右等当用申進候也
  十九日 栄一
    八十島殿


日本鉄道史 中篇・第六九八―七〇〇頁〔大正一〇年八月〕(DK090010k-0007)
第9巻 p.96 ページ画像

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中外商業新報 第四五九二号〔明治三〇年六月八日〕 近畿・京北鉄道発起人総会(DK090010k-0008)
第9巻 p.97 ページ画像

中外商業新報 第四五九二号〔明治三〇年六月八日〕
    近畿・京北鉄道発起人総会
近畿・京北鉄道会社にては、本日日本橋区倶楽部に於て発起人総会を開き、同社の既往将来に関する諸般の協議を為す由なるが、同社の発起人間には是迄種々の不始末談もあるやの噂なれは、本日は随分議論も出ることならんといふ
    京北・近畿両鉄道の善後策
別項に記する如く、京北・近畿両鉄道発起人総会は本日開会の筈なるが、京北鉄道は京都・大津間の外許可とならさるに付、資本金三百二十万円を百七万円に減じ、株主の引受株を三分の一に減じ、証拠金を一株三円として削減株証拠金を増証拠金に充て、又株主たることを欲せざるものには創業費を負担せしめ、証拠金を返戻して其名儀を取消すことゝし、両会社創業費中十分の六は京北の方にて負担する筈なるが、近畿鉄道は之を解散し、両会社創業費中十分の四は発起人之を引受け、証拠金は之を返戻することゝし、京阪鉄道株主たらんとするものは之を残務委員より紹介する筈にて、右は本日の会議にて議定する概略なるが、今両社創業費の概算を聞くに左の如し
       京北分        近畿分        合計
          円          円           円
創業費  六、五五一・五〇一  四、三六七・六七五  一〇、九一九・一七六
所得金  二、七六四・三一二  一、八四二・八七四   四、六〇七・一八六
純損金  三、七八七・一八九  二、五二四・八〇一   六、三一一・九九〇


中外商業新報 第四五九四号〔明治三〇年六月一〇日〕 京北・近畿両鉄道発起人総会(DK090010k-0009)
第9巻 p.97 ページ画像

中外商業新報 第四五九四号〔明治三〇年六月一〇日〕
    京北・近畿両鉄道発起人総会
京北・近畿両鉄道発起人総会は一昨八日午後日本橋倶楽部に開会し、前々号の紙上に記せる如く、京北鉄道の資本金三百二十万円を百十万円に減ずる事、予約株主引受株を三分の一に減じ、一株の証拠金を三円とし、削減に係る証拠金を以て之に充つる事、株主たるを欲せざる者には、創業費一株十八銭を控除して証拠金を払戻す事、新旧領収証の交換及証拠金払戻は来る廿日より来月三十一日限とする事、領収証譲受人に対しては請求に応じ名義変更を為す事、京阪鉄道許可の上合併の処弁は創立委員に一任する事、近畿鉄道を解散し、京北鉄道創立委員に残務委員を嘱託する事、来る二十日より来る三十一日までに、近畿証拠金を払戻す事、近畿証拠金領収書所持人にして、京阪鉄道株主たることを望むものは残務委員之を招介《(紹)》する事、等を議決したりといふ


渋沢栄一 書翰 河村隆実宛(明治三〇年)七月六日(DK090010k-0010)
第9巻 p.97-98 ページ画像

渋沢栄一 書翰 河村隆実宛(明治三〇年)七月六日 (長谷川好弥氏所蔵)
拝読、然者京北鉄道会社創立ニ付而之諸御取調も大概相済、仮免状下付相成候様之手順ニ迄御取運被下候由、忝奉存候、就而渡辺治右衛門氏京北発起人相断度趣御紙上ニて承知仕候、乍去此事ニ付而ハ例之京坂鉄道之事も関係不少候ニ付、篤と御評議之上ならてハ右御断ニ同意
 - 第9巻 p.98 -ページ画像 
と申事も致兼候哉ニ被存候、殊ニ先頃岡部氏より之請求も有之、又昨日内貴甚三郎氏面会談話之模様も東京委員之方々ヘ御内話申上度、旁以近々京北鉄道会社及京坂鉄道発起之委員とも一会相開き、充分御評議いたし度と存候ニ付、其御都合ニ被成下度候、時日ハ木村氏ヘ申示置候、此段拝答如此御坐候 不一
  七月六日
                      渋沢栄一
    河村隆実様

第四課文書 商工・鉄道第一巻明治三二年第一種(DK090010k-0011)
第9巻 p.98-100 ページ画像

 第四課文書 商工・鉄道第一巻明治三二年第一種 (東京府庁所蔵)
    進達願
別紙京北鉄道株式会社創立請願書・起業目論見書並仮定款引換願、同創立発起人除名願・同創立申請書・同起業目論見書・同仮定款及ヒ同創立発起人委任状当該官庁ノ御命令ニヨリ差出候間、其筋ヘ御進達方至急御取計被成下度、此段請願候也
               京北鉄道株式会社
  明治三十年七月廿日       創立発起人総代
                    渋沢栄一
(別紙)
    京北鉄道株式会社創立請願書・起業目論見書並仮定款引換願
明治廿八年十月十一日出願致シ置候京北鉄道株式会社創立請願書・起業目論見書並ニ仮定款、今般当該官庁ノ口達ニ基キ、別紙ノ通訂正仕度候間、曩キニ差出置候願書並ニ附属書類ト御引換ノ上、至急鉄道布設ノ義御許可被成下度、此段奉請願候也
               京北鉄道株式会社創立
  明治三十年七月廿日     発起人総代
                    渋沢栄一
    逓信大臣 子爵 野村靖殿

明治三十年九月十六日受日出 内務部第六課属
知事(印) 参事官(印)
 内務課長(印) 第六課長(印) 商工掛(印)
乙丙六三二九号二十一
  鉄道会社発起申請書並ニ起業目論見書・仮定款引換願進達之件
明治廿八年十月廿六日付ヲ以テ進達致候京北鉄道株式会社発起人共ヨリ、右申請書及目論見書・仮定款引換願出候ニ付、取調候処、線路ヲ短縮スルモノニ候条、調査ヲ遂ケ意見概要左ニ記シ、発起人除名願書ト共ニ一切ノ書類進達此段副申候也
  年 月 日                知事

内五発第一二九二号
本年七月廿四日付三丙第六三二九号ノ二ヲ以テ、京北鉄道発起ニ関ス
 - 第9巻 p.99 -ページ画像 
ル起業ノ効用其他取調之儀ニ付御照会了承、右ハ別記之通有之候条、御承知相成度・図面相添、此段及回答候也
  明治三十年九月十四日
             滋賀県知事 折田平内 
    東京府知事 侯爵 久我通久殿
一起業ノ効用
 県下大津町ト京都市トハ従来親密ノ関係ヲ有シ、運輸交通極メテ頻繁ナリト雖モ、大津町ニ於ケル官設鉄道停車場ハ町ノ片隅ニ位シ、其不便尠ナカラス、且ツ京都市商業ノ中心タル、概シテ三条及四条付近《(ニ脱カ)》アリト雖トモ、同市停車場モ亦市ノ南端ニ位シ、殆ント大津町同様の不便ヲ免レス、去レハ本起業ニ於ケル岡崎起点及大津町ノ中央ノ終点ハ其宜シキヲ得タルモノニシテ、其布設モ亦実用ニ適スルモノト認ム
一起業ノ公益上ノ関係
 短距離ナルヲ以テ旧来ノ河川道路等ニ対シ著シキ利害ノ関係ヲ見スト雖トモ、本鉄道ノ終点タル大津停車場ハ琵琶湖ノ沿岸ニ方リ、船舶ノ出入頻繁ニシテ常ニ輻輳ヲ極メ、其附近ノ道路モ亦四通八達ノ如キ有様ナルヲ以テ、布設ノ際適当ノ工事ヲ施シ、公衆ノ利益ヲ害セサル様注意シ、尚ホ滋賀郡大津町大字神出内里俗天狗岩ト称スル地ニ於テ、大津町西部人民ニ供スル飲料水ノ水源ヲ涸渇セシムルノ恐アリ、現ニ琵琶湖疏水工事隧道開鑿ノ為メ、近年著シク欠乏ヲ来シ、京都市ト大津町トノ間絶ヘス紛議ヲ生シ、今尚交渉中ニ係ルモノアリ、故ニ本鉄道モ亦大津町ニ対シ予メ相当ノ手続ヲ履行シ、飲料水ノ不便ヲ来サヽル様注意施設ヲ要ス、其他地方人民ノ営業等ニ及ス影響如何ニ就テハ、疏水其他ニ於ケル運搬業者ニ対シ貨物減少ヲ来シ、多少ノ困難ヲ免レサルヘシト雖モ、其全般ヨリ看察ヲ下ストキハ、本起業ノ利益少ナカラサルヲ認ム

乙二第二四七八号
客月二十四日付三丙第六三二九号ノ二ヲ以テ御照会相成候京北鉄道出願変更線路ニ関スル起業ノ効用及公益上ニ係ル当府ノ意見、左ニ及回答候也○回答資料ヲ欠ク
  明治三十年八月十三日
          京都府知事 男爵 山田信道 
    東京府知事 侯爵 久我通久殿
      ○
鉄第一九四四号
                       東京府知事
京北鉄道株式会社発起人渋沢栄一外五十七名ヘ別紙仮免状下付候条、右発起人ヘ交付シ、仮免状指定期限内ニ成規ノ図面書類ヲ差出サシムヘシ
  明治三十年十一月二日
             逓信大臣 子爵 野村靖 

 - 第9巻 p.100 -ページ画像 
    御受書
第百三十七号
   仮免状
               京北鉄道株式会社発起人
                       渋沢栄一
                         外五十七名
右出願ニ係ル京北鉄道株式会社ノ発起ヲ認可シ、京都府京都市上京区岡崎町ヨリ既成官線大津停車場ニ至ル鉄道敷設ノ為メ、同線路ヲ実地測量スルコトヲ許可ス
 但此仮免状下付ノ日ヨリ起算シ満六個月以内ニ、私設鉄道条例第三条及商法第百六十六条ノ図面書類ヲ差出シ、免許状ノ下付ヲ申請セサルトキハ、此仮免状ハ無効タルヘシ
  明治三十年十一月二日
             逓信大臣 子爵 野村靖
右謹テ御受仕候也
             京北鉄道株式会社発起人総代
  明治三十年十一月五日        渋沢栄一
    逓信大臣 子爵 野村靖殿
      ○
    進達願
別冊京北鉄道株式会社発起人追加願並ニ目論見書訂正及委任状其筋ヘ御進達被成下度、此段奉願候也
             京北鉄道株式会社発起人総代
  明治三十年十二月六日        渋沢栄一 
    東京府知事 子爵 岡部長職殿

鉄第一五六号
               京北鉄道株式会社発起人
                      渋沢栄一
                         外五十八名
明治三十年十二月六日付出願京北鉄道株式会社起業目論見書変更ノ件認可ス
  明治三十一年三月廿三日
             逓信大臣 男爵 末松謙澄