デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
14款 岩越鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.114-129(DK090012k) ページ画像

明治28年10月19日(1895年)

是ヨリ先栄一、福島県知事日下義雄ヨリ当会社設立ニ関シ相談ヲ受ケ、株主募集ニツイテモ斡旋シ来リシガ、是日発起人ニ加ハリ、尋イデ翌二十九年一月創立委員ニ選バル。


■資料

日下義雄伝 (日下義雄伝記編纂所中村孝也著) 〔昭和三年三月〕(DK090012k-0001)
第9巻 p.114 ページ画像

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(日下義雄)書翰 渋沢栄一宛(明治二七年)五月二日(DK090012k-0002)
第9巻 p.114-115 ページ画像

(日下義雄)書翰 渋沢栄一宛(明治二七年)五月二日
                    (渋沢子爵家所蔵)
爾後愈御清穆奉敬賀候、昨年末段々得御意候岩越鉄道私設之義ニ付、御高見之如く地方有志之保担額ニ付逐々話合致居候得共、議院解散後総選挙ニ相成、殊ニ本県ハ県会議員半数改選等有之為メニ臨時県会を開キ去月十六日閉会之場合ニ而、廿二日会津地方ニ出張シ、諸有志者ト協議を遂候処、非常之熱心ニ而今日之処ニ而六十万円の申込有之、且ツ郡山ハ三十万円の申込ニ而合計九拾万円ニ相成、曾而閣下の御話有之候七拾万円ニ比シ弐拾万円ハ超過仕候仕合ニ有之候、附而ハ此際明後日上京之上罷出、親敷得御意度考慮ニ付、予メ御含置被下度願上候、右一応得御意度如斯ニ御坐候 敬具
  五月二日
                       義雄拝
    渋沢賢台
 - 第9巻 p.115 -ページ画像 
        老閣下
 二白、昨年来御配慮ニ相成居候盗難之義未タ探知之場合ニ不至、甚遺憾之至ニ御坐候、於警官も怠慢ハ無之趣ニ候得共、時日遷延稍其機を失候場合ト被察候


渋沢栄一 書翰 佐分慎一郎宛(明治二七年)五月二一日(DK090012k-0003)
第9巻 p.115 ページ画像

渋沢栄一 書翰 佐分慎一郎宛(明治二七年)五月二一日
                   (佐分慎一郎氏所蔵)
(全文別筆)
   明治二十七年五月廿一日
貴翰拝誦仕候、陳者岩越鉄道之義ニ付来示之趣拝承仕候、然るに同鉄道は未た鉄道会議も通過いたし不申、且予定線路に相当り居候旁、帝国議会の協賛をも経へき筈に相成居候間、未た確然成立の運には立至り不申候、右の次第に付、御送附可申上書類等も相整ひ不申候間、不悪御諒意被下度候、乍去地方の有力者も大に熱望致居候而已ならす、日下福島県知事抔も郷里の関係有之候に付種々尽力いたし居候間、其内成立可致かと存候、小子に於ては右鉄道の計算如何可有之哉、充分の見込相立不申候に付、発起人と相成候義は辞退いたし候へとも、日下知事の勧誘も有之候に付、多少の株主には相成り可申かと存居候、右の次第に付他日成立候際御申越相成候はゝ早速取運ひ候様為致可申候
右拝復如此に御座候草々 拝具
                      渋沢栄一
    佐分慎一郎様


第三課文書類別農商・鉄道一明治二九年第一種(DK090012k-0004)
第9巻 p.115-124 ページ画像

第三課文書類別農商・鉄道一明治二九年第一種 (東京府庁所蔵)
明治廿七年五月九日受日出
知事
 内務部長 第三課長 農商掛
麻戊第二八四号
    会社創立願書進達案
岩越鉄道株式会社発起人総代宮内盛高ヨリ該社創立願書進達方出願ニ付、別帋書類及進達候也
  年 月 日                知事
    逓信大臣

      申請
私共相謀、福島県岩代国安積郡郡山停車場ニ起リ、同県北会津郡若松新潟県越後国東蒲原郡津川及中蒲原新津・沼垂ヲ経テ新潟港ニ達スル鉄道ヲ敷設仕度、別紙ノ通請願仕候ニ付、御副申相成度候也
              東京市麻布区東町廿五番地
                士族
                 願人総代
                    宮内盛高(印)
  明治二十七年五月九日
    東京府知事 三浦安殿
 - 第9巻 p.116 -ページ画像 
   ○別紙略ス。
      ○
明治廿七年十月廿九日受日出
知事
 内務部長 第三課長 農商掛
    岩越鉄道線路延長願書進達案
 (朱書)
麻戊二八四
別紙岩越鉄道株式会社線路新津ヨリ酒屋ニ至ル延長願書及進達候也
  年 月 日
                       知事
    逓信大臣宛

(別紙)
    岩越鉄道線路延長之義願
本年五月九日ヲ以、福島県下郡山ヨリ新潟県下新津ニ至ル鉄道布設ノ義出願致置候処、新津ヨリ酒屋ニ至ルノ間延長之必要ヲ認候間、右延長之義併セテ御許可被成下度、別紙関係書類相添、此段奉願候也
  明治廿七年十月二十九日
          岩越鉄道株式会社発起人総代
             東京市麻布区東町二十五番地
                     宮内盛高(印)
             福島県岩代国耶麻郡喜多方町二千二十六番地
                     安瀬敬蔵
             同県同国大沼郡高田村三千十五番地
                     佐治幸平(印)
    逓信大臣 伯爵 黒田清隆殿
(別紙)  岩越鉄道線新津酒屋間延長調
    岩越鉄道延長ノ趣意
岩越鉄道線路ハ郡山ヨリ新津ニ至ルモノトシ、既ニ出願中ナルモ、尚能ク建設着手ノ順序得失ヲ考フレハ、新津ヨリ酒屋ニ延長シ、同所ニ於テ信濃川ノ水運ニ接シ鉄道建設用物品運搬ノ道ヲ開クノ必要ヲ認メ且ツ併セテ将来公衆ノ便利トナリ営業上相当ノ利益ヲ得ヘキ望ミアリ故ニ今回更ニ延長ヲ追願スル所以ナリ
○下略
      ○
    御届
一当会社創立事務所ヲ
   東京市京橋区南鍋町壱丁目七番地ニ仮リニ設置仕候間、此段御届仕候也
  明治廿七年六月二十日
              岩越鉄道株式会社創立発起人総代
                     宮内盛高(印)
                     安瀬敬蔵
    東京府知事 三浦安殿
 - 第9巻 p.117 -ページ画像 
      ○
明治廿八年十月廿四日受日出
知事
 内務部長 第三課長 農商掛
    鉄道会社起業目論見仮定款訂正願進達案
(朱書)
内三丙第六四六一号ノ一
岩越鉄道株式会社起業目論見書並ニ仮定款訂正願書進達方願出ニ付、調査候処、最前ノ願書ニ対シ発起人ノ増加ニ止リ、他ニ変更ノ廉無之ニ付、予テ御内訓之旨趣ニ依リ、左ノ意見ヲ具シ、書面及進達候也
                       知事
    逓信大臣殿

一起業ノ確否
 追加発起人ハ多クハ線路沿道ニ於テ各自産業ニ従事シ、相応ノ資力ト信用ヲ有スル者ナルヲ以テ、発起人タルノ資格ニ乏シカラス、以テ企業ノ目途ハ一層確実ヲ加ヘタルモノニ有之候
  (理由)追加発起人之身元調ヲ為ス筈ナルモ、□□□《(三字不明)》別紙ノ保証書ニ依リ確実ノモノト見認其手続ヲ省キ本書進達スルモノトス

(別紙)
    保証書
岩越鉄道株式会社発起人追加ニ係ル福島県安積郡々山町橋本清左衛門外二百六十八名、新潟県新潟市浜政弘外五十二名、及宮城県仙台市遠藤敬止ハ、何レモ相当ノ資力ヲ備ヘ、身元慥ナルモノニシテ、許可相成候モ起工上毫モ差支無之、此段保証候也
  明治二十八年十月廿二日
           福島県知事 原保太郎
           新潟県知事 籠手田安定
           宮城県知事 勝間稔(印)
    東京府知事 三浦安殿

内三丙六四六一号
別紙岩越鉄道株式会社起業目論見書並ニ仮定款訂正願逓信大臣ヘ御進達被成下度、写壱通相添、此段奉願候也
  明治廿八年十月十九日
          岩越鉄道株式会社創立発起人
             東京市日本橋区兜町弐番地
                     渋沢栄一
             同市麹町区紀尾井町三番地
                     山本直成(印)
             福島県大沼郡高田村甲三千十五番地
                     佐治幸平(印)
             同県耶麻郡喜多方町二千二十六番地
                     安瀬敬蔵
 - 第9巻 p.118 -ページ画像 
             東京府南葛飾郡隅田村堤外新地元隅田
                     二橋元長(印)
             同府北豊島郡日暮里村元金杉百五拾三番地
                     白杉政愛
             福島県安積郡郡山町字大町百六番地
                     橋本清左衛門
                  右代 佐治幸平(印)
             宮城県仙台市東二番町拾六番地
                     遠藤敬止
                  右代 佐治幸平(印)
                         ○外三百二十九名連署
    東京府知事 三浦安殿

(別紙)
岩越鉄道株式会社起業目論見書並ニ仮定款別冊之通訂正仕度候間御認可被成下度此段奉願候也
  明治廿八年十月十九日
           岩越鉄道株式会社創立発起人
             東京市日本橋区兜町弐番地
                     渋沢栄一
             同市麹町区紀尾井町三番地
                     山本直成
             福島県大沼郡高田村甲三千十五番地
                     佐治幸平
             同県耶麻郡喜多方町二千二十六番地
                     安瀬敬蔵
                       ○外三百三十三名連署
    逓信大臣 白根専一殿
(別冊)
    起業目論見書
第一当会社ハ株式組織トス
第二当会社ハ鉄道ヲ敷設シ、旅客及荷物運輸業ヲ営ムヲ以テ目的トス
第三当社ハ社名ヲ岩越鉄道株式会社ト称シ、本社ヲ東京市、支社ヲ福島県若松町ニ設置ス
第四当社ノ敷設スベキ線路ハ、福島県安積郡郡山停車場ニ起リ、同県北会津郡若松・耶麻・河沼ヲ経テ、新潟県東蒲原郡津川・中蒲原郡新津及同郡酒屋ニ至ルモノトス、即別紙略図○略スノ如シ
      軌道幅員三呎六吋哩数百五哩
第五資本金ハ総額ヲ六百万円トシ、総株数ヲ拾弐万株トシ、壱株ヲ五拾円トス
第六鉄道ノ敷設費用及運輸営業ノ収支概算左ノ如シ
 一金六百万円       総額
   内訳
  金壱万五千七百五拾円       線路予測費
  金拾万五千円           工事監督費
 - 第9巻 p.119 -ページ画像 
  金弐拾六万八千円         用地費
  金百七拾弐万弐千円        土工費
  金六拾八万弐千六百五拾六円    橋梁費
  金拾四万七千五百七拾円      コルベルト費
  金参万千五百円          伏樋費
  金百弐拾万円           隧道費
  金八拾五万六千百参拾円      軌道費
  金五万四千五百円         停車場費
  金四拾万円            車輛費
  金五万四百参拾八円        器械場費
  金参万円             諸建物費
  金拾五万千三百拾参円       運送費
  金参万弐百六拾参円        建築用汽車費
  金弐万五千弐百拾九円       建築用具費
  金壱万円             柵垣及境界杭費
  金拾参万弐千五百九拾弐円     総係費
  金壱万五千円           電信架設費
  金七万弐千六拾九円        予備費
 一金五拾参万千百円 収入総額
   内訳
  金弐拾八万九千円 旅客収入
  金弐拾四万弐千百円 荷物収入
 一金弐拾壱万四千弐百円 支出総額
   内訳
  金八万参千弐百円 線路保存費
  金七万七百円 汽車費
  金四万六千八百円 運輸費
  金壱万参千五百円 総係費
   収支差引
 一金参拾壱万六千九百円 純益金
   資本金ニ対シ壱ケ年五分弐厘八毛余ニ当ル
第七発起人ノ氏名住所及ヒ発起人各自引受クヘキ株数ハ別冊ノ如シ
第八本会社ノ存立時期ハ会社設立登記ノ日ヨリ満百ケ年トス
右之通候也
               岩越鉄道株式会社発起人
  明治廿八年十月             渋沢栄一
                        ○外三百三十六名連署

(別冊)
    岩越鉄道株式会社仮定款
  商法並ニ私設鉄道条例ヲ遵奉シ発起人熟議ノ上定ムル所ノ仮定款左ノ如シ
   第一章 総則
第一条 本会社ノ組織ハ株式会社トス
 - 第9巻 p.120 -ページ画像 
第二条 本会社ハ岩越鉄道株式会社ト称シ、本店ヲ東京ニ、支店ヲ福島県若松町ニ置ク
第三条 本会社ハ福島県安積郡郡山ヨリ若松・津川・新津・酒屋マテ鉄道ヲ布設シ、旅客及貨物運輸ノ業ヲ営ムヲ目的トス
第四条 本会社ノ資本総額ハ金六百万円トス
第五条 本会社ノ存立期ハ設立登記ノ日ヨリ満百ケ年トス
第六条 本定款ニ規定ナキモノハ総テ法律勅令ノ規定ニ依ル
   第二章 株式及株主
第七条 本会社ノ株式ハ一株ノ金額五拾円トシ、其総株数ヲ拾弐万株トス
第八条 本会社ノ株主ハ、日本人ニシテ其株式ヲ引受ケ、株主名簿ニ登記ヲ受ケタル者ニ限ルモノトス
第九条 本会社ノ株式ハ、一株毎ニ株券壱通ヲ発行スルモノトス、但株金全額払込以前ニ於テハ仮株券ヲ発行スヘシ
第十条 本会社ノ本株券及仮株券ノ雛形ハ左ノ如シ
  本株券雛形

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 面表 岩越鉄道株式会社株券  第 号 金五拾円         氏名殿 右記名者何々鉄道株式会社ノ定款ヲ遵守シ本会社株式ノ内金五拾円即チ一株ノ持主タル事相違ナキ証拠トシテ此株券ニ本会社ノ社印及社長ノ印章ヲ押捺シ之ヲ交付スルモノナリ 此株券ヲ売買譲受渡セントスルトキハ裏面ノ罫劃内ヘ売譲渡人及買譲受人共ニ記名調印シ双方連印登記請求書ヲ添ヘ本会社ヘ差出スヘシ本会社ハ相当ノ検査ヲ遂ゲ社長記名捺印シテ其移転ヲ証明スベシ       岩越鉄道株式会社          社長氏名[img 図]印 年 月 日 [img 図]社印 

図表を画像で表示--

 裏面 年 月 日   売譲渡人記名調印   買譲受人記名調印   買譲受人住所   社長記名調印                                                                                                                                           



仮株券雛形

図表を画像で表示--

 表面 第 号        岩越鉄道株式会社仮株券  一金五拾円             氏名殿 払込  金額  年月日  社長調印  払込金額  年月日  社長調印                                                                                                           以下p.121 ページ画像  右記名者ハ岩越鉄道株式会社ノ定款ヲ遵守シ本会社株式ノ内一株即金五拾円ヲ引受タルコト相違ナキ証拠トシテ此仮株券ヲ附与ス払込金ヲ為ストキハ此仮株券ヲ其都度本会社ヘ持参スヘシ本会社ハ領収ノ証トシテ金額並ニ年月日ヲ記入シ之ニ社長ノ印ヲ押捺スヘシ追テ全額入金ノ上ニテ本株券ト引換ヘ可キモノナリ 



   (此株券ノ売買譲受渡以下裏面共本株券ニ同ジ)
第十一条 本会社ノ株式ヲ売買譲受渡セントスルトキハ、其株券裏面ニ売買譲受渡人記名調印シ、之ニ双方連印ノ株式売買譲受渡登記請求書ヲ添ヘ、本会社ニ差出スヘシ、本会社ハ相当ノ検査ヲ遂ケ株主名簿ニ登記シ、社長記名捺印シテ其移転ヲ証スヘシ、若シ株主死亡シ其相続人又ハ受遺贈者ヨリ名義書換ヲ請求スルトキハ、本会社ニ於テ適当ト見認メタル二名已上ノ保証人ヲ立ツベシ、但本会社ニ於テ必要ト認メタルトキハ、市区町村長ノ証明書又ハ其権利移転ノ確証ヲ差出サシムルコトアルヘシ
第十二条 本会社ノ株主其所有ノ株券ヲ損傷汚穢シタルトキハ、申出ニ従ヒ其株券引換ニ新券ヲ交付スヘシ、若シ亡失シタルトキハ、二名以上ノ保証人連署ノ上、其番号枚数及亡失シタル理由ヲ本会社ニ申出ツヘシ、本会社ハ本人ノ費用ヲ以テ直ニ其旨ヲ一周間已内新聞紙ニ広告シ、其ノ最終ノ日ヨリ満三十日ヲ経テ尚発見セサルトキハ、新券ヲ交付スヘシ
第十三条 株主其氏名ヲ変更シ、又ハ族籍住所ヲ転換シタルトキハ、本会社ニ届出テ株券及株主名簿ノ更正ヲ請求スヘシ
   但印鑑ヲ変更シタルトキモ亦本条ニ準シ届出ベシ
第十四条 本会社ノ株券ヲ書換再渡ヲ為ストキハ、株券一通ニ付金弐拾銭、売買譲受渡ノ登記及券面ノ更正ヲ為スニハ一通ニ付金五銭ヲ、手数料トシテ徴収スヘシ
第十五条 本会社ハ株主名簿及計算閉鎖ノ為メ事業年度毎ニ三十日已内株式売買譲受渡ノ登記ヲ停止スヘシ
   但停止期間ハ新聞紙ニ広告スヘシ
   第三章 株金払込
第十六条 本会社ノ株式ヲ引受ルモノハ、其引受クル株式一株ニ付金五拾銭ノ保証金ヲ差出スヘシ、此保証金ハ第一回株金払込ノ時返還スヘシト雖モ、若其払込ヲ怠リ定款第十九条ノ処分ヲ受ケタルトキハ、違約金トシテ之ヲ本会社ニ没収スヘシ
第十七条 本会社ノ株金払込ハ、工事竣功予定期限ヲ数回ニ分チ、第一回ハ一株ニ付金五円トシ、第二回以後ハ一株ニ付一回金拾円ヨリ多カラザル額ヲ漸次払込ムモノトス
   但株金ノ払込ハ、事業ノ功程ニ随ヒ毎回少クモ五周間ヲ隔テ、其払込期日及金額ハ少クモ三周間前ニ各株主ニ通知スヘシ
第十八条 本会社ハ株金払込期日迄ニ其払込ヲ為サヽル者アルトキハ其払込ヘキ金額ニ対シ払込期日ノ翌日ヨリ現仕払日迄、百円ニ付一日金四銭ノ割合ヲ以テ遅延利足ヲ徴収シ、且其遅延ノ為メ生シタル費用ヲ支払フヘシ
 - 第9巻 p.122 -ページ画像 
第十九条 本会社ハ株金払込ヲ怠リタル株主ニ対シ、更ニ十四日已内ニ払込ヘキ旨ヲ催告スヘシ、株主此督促ヲ受ケ仍ホ払込ヲナサヽルトキハ、本会社ハ其株主ニ通知シテ其株券ヲ公売シ、其代金ヲ以テ払込金額遅延利息、及之ガ為ニ生シタル費用ヲ引去リ、余剰アルトキハ之ヲ還付シ、不足スルトキハ之ヲ償ハシムヘシ
   第四章 ○章名欠ク
第二十条 本会社ハ取締役七名・監査役三名ヲ置ク
第廿一条 本会社ノ取締役ハ、本会社ノ株券百株以上ヲ所有スルモノノ中ヨリ、株主臨時総会ニ於テ撰挙スヘシ
第廿二条 本会社ノ監査役ハ、本会社ノ株主中ヨリ、株主臨時総会ニ於テ之ヲ撰挙スヘシ
第廿三条 本会社ノ取締役ハ三ケ年間、監査役ハ二ケ年ヲ以テ任期トス
   但再撰ニ依リ重任スルコトヲ得
第廿四条 本会社ノ取締役ハ、其在任中、各自所有ノ本会社株券百株ヲ本会社ニ預ケ入ルヘシ、本会社ハ其株券ノ融通ヲ禁スル為メ、封印シテ之ヲ預ケ置クモノトス
第廿五条 本会社取締役中ヨリ互撰ヲ以テ、主トシテ業務ヲ取扱フヘキ専務取締役一名ヲ撰定シ、之ヲ社長ト称ス
第廿六条 本会社ノ取締役又ハ監査役ニ欠員ヲ生シタルトキハ臨時総会ヲ開キ補欠員ヲ撰挙スベシト雖モ、法律ニ定メタル人員ヲ欠カス且事務ニ差支ナキ限リハ、次期ノ改撰期マテ猶予スルコトヲ得
   但補欠員ハ其前任者ノ残任期間在職スルモノトス
第廿七条 本会社ノ取締役及監査役ニハ給料又ハ報酬ヲ給ス、其額ハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
   第五章 株主総会
第廿八条 本会社ノ株主総会ハ通常総会・臨時総会ノ二種トス
第廿九条 本会社ノ通常総会ハ、毎年一月・七月ノ両度ニ之ヲ開クモノトス
第三十条 本会社ノ臨時総会ハ、取締役若クハ監査役ニ於テ必要ト認ムルトキ之ヲ開ク、又総株金ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ヨリ会議ノ目的ヲ示シテ申立ツルトキハ、取締役ハ二周間以内ニ招集ノ手続ヲナスヘシ
第三十一条 本会社ノ株主総会ハ、少クモ十四日以前ニ、其会議ノ目的事項並開会ノ日時場所ヲ記載シ、各株主ニ通知スヘシ
   但至急ヲ要スル場合ニ限リ通知ノ時日ヲ短縮スルコトアルヘシ
第三十二条 本会社ノ株主総会ニ於テハ、其予告シタル事項ノ外他議ニ渉ルコトヲ得ス
第三十三条 本会社総会ノ会頭ハ社長之ニ任ス、若シ社長差支アルトキハ他ノ取締役之ニ代リ、取締役差支アルトキハ、出席株主中ヨリ之ヲ撰挙スヘシ
第三十四条 本会社ノ株主総会ハ、定款ノ変更、任意ノ解散ヲ除クノ外、通常総会ニ於テハ総株金ノ四分ノ一(委任状ヲ付シタルモ加算ス以下之ニ準ス)、臨時総会ニ於テハ総株金三分ノ一以上ニ当
 - 第9巻 p.123 -ページ画像 
ル株主出席スルニ非レハ決議ヲナスコトヲ得ス
第三十五条 本会社ノ株主総会当日ノ出席員定数ニ満タザルトキハ、其総会ニ於テ決議ヲ為シ、其決議ヲ総株主ニ通シテ再ヒ総会ヲ招集シ、其通知ニハ、若シ第二ノ総会ニ於テ出席株主議決権ノ多数ヲ以テ第一総会ノ決議ヲ認可シタルトキハ之ヲ有効トナスベキ旨ヲ、明告スルコトヲ要ス
第三十六条 本会社ノ株主総会ニ於ケル議決権ハ、一株毎ニ一個トス
   但十一株以上ニ毎十株ニ付一個トス
第三十七条 本会社株主総会ノ議事ハ、出席株主議決権ノ過半数ニ依リテ決ス、若シ可否相半スルトキハ会頭之ヲ決ス
第三十八条 本会社ノ株主自ラ株主総会ニ出席シ難キトキハ、本会社役員ニアラサル株主中ノモノニ代理ノ委任状ヲ交付シ、議決権ヲ行ハシムルコトヲ得
   第六章 計算
第三十九条 本会社ノ総勘定ハ一ケ年ヲ二期ニ分チ、一月ヨリ六月マテヲ前半期トシ、七月ヨリ十二月迄ヲ後半期トシ、毎期ノ終ニ於テ六ケ月間ノ出納ヲ精算シ、計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書・配当金分配案ヲ作リ、監査役ノ検査ヲ経テ、之ヲ通常総会ニ提出スルモノトス
第四十条 本会社毎期ノ純益金ハ左ノ各項ニ従ヒ分配スルモノトス
  一純益金高十分ノ一以内   役員賞与金
  一純益金高十分ノ一以上   準備金
  一             株主配当金
  一             後期繰越金
   第七章 印章
第四十一条 本社ニ於テ使用スル印章ハ左ノ如シ

   社印岩越鉄道株式会社印  押切印岩越鉄道株式会社之章

第四十二条 社印及取締役ノ印章ハ、其印鑑ヲ当該官庁ニ差出シ置クヘシ、若シ改刻スルトキハ更ニ之ヲ差出スヘシ
第四十三条 官庁ニ宛タル文書・株式券状又ハ報告・手形・約定書・及本社カ権利ヲ得義務ヲ負フヘキ重要ノ書類ニハ、本社ノ記名及社印ヲ用ヒ、専務取締役之レニ署名捺印スルモノトス
法律ノ規定ヲ遵守シ本社仮定款右之通相定候也
             岩越鉄道株式会社創立発起人
  明治二十八年十月             渋沢栄一
                        ○外三百三十六名連署
   ○本仮定款ハ明治二十九年八月四日ノ創業総会ニオイテ修正セラレタリ。同項(本巻第一三六頁)参照。

   (別紙)
    発起人氏名住所及引受株数
      株数        住所               氏名
      九百弐拾三株 新潟県新潟市礎町通三ノ丁廿七番戸    浜政弘
 - 第9巻 p.124 -ページ画像 
      八百拾株   福島県安積郡郡山町字大町百六番地    橋本清左衛門
      八百株    東京市麻布区東町廿五番地        宮内盛高
      七百株    宮城県仙台市東二番丁十六番地      遠藤敬止
      七百株    新潟県北蒲原郡天王村大字天王      市嶋徳次郎
      五百弐株   同県同郡金塚村大字金子三十一番戸    白勢長衛
      五百株    東京市日本橋区兜町弐番地        渋沢栄一
      五百株    新潟県北蒲原郡安野村大字下条六百四番戸 佐藤伊右衛門
       ○以下略
 発起人引受株合計弐万七千七百七拾六株
  此株金額金百参拾八万八千八百円也


第六課文書類別 農商・鉄道ニ関スル書類五明治三〇年第一種(DK090012k-0005)
第9巻 p.124 ページ画像

第六課文書類別 農商・鉄道ニ関スル書類五明治三〇年第一種 (東京府庁所蔵)
 明治廿九年八月四日
 神田美土代町三丁目青年会館ニ於テ開会
    創業総会○岩越鉄道決議録
○中略
明治廿八年十月十九日○中略渋沢栄一外三百二十五名ノ発起人ヲ追加出願シ、本年一月二十日逓信大臣ヨリ仮免状ノ下付ヲ受ケタリ
本年一月廿二日発起人協議ノ上、渋沢栄一・二橋元長・山本直成・白杉政愛・佐治幸平、安瀬敬蔵ノ六名ヲ創立委員ニ推選シ、其互選ヲ以テ佐治幸平・安瀬敬蔵ヲ常務委員ニ選定セリ
○下略


第三課文書類別 農商・鉄道一明治二九年第一類(DK090012k-0006)
第9巻 p.124-125 ページ画像

第三課文書類別 農商・鉄道一明治二九年第一類 (東京府庁所蔵)
明治廿九年一月廿日受日出
知事
 内務部長 第三課長 農商掛
    鉄道布設仮免許状下付ノ件
               岩越鉄道株式会社発起人
                       渋沢栄一
                           ○外三百三十六名
右仮免許状其筋ヨリ回送ニ付、願人ニ交付シ、請書ヲ徴スルモノトス

鉄第三一号
                        東京府知事
岩越鉄道株式会社発起人渋沢栄一外三百三十六名ヘ鉄道敷設仮免状下付候条、同人等ヘ交付シ、該仮免状指定期限内ニ制規ノ図面書類ヲ差出サシムヘシ
  明治二十九年一月二十日
              逓信大臣 白根専一
第五十四号
    仮免状
               岩越鉄道株式会社発起人
 - 第9巻 p.125 -ページ画像 
                      渋沢栄一
                           ○外三百三十六名
右出願ニ係ル岩越鉄道株式会社ノ発起ヲ認可シ、日本鉄道株式会社既成線福島県下郡山停車場ヨリ、同県下北会津郡若松・新潟県下中蒲原郡新津ヲ経テ、同郡酒屋ニ至ル鉄道敷設ノ為メ、同線路ヲ実地測量スルコトヲ許可ス
 但此仮免状下付ノ日ヨリ起算シ満十八個月以内ニ、私設鉄道条例第三条及商法第三百六十六条ノ図面書類ヲ添ヘ、免許状ノ下付ヲ申請セサルトキハ、此仮免状ハ無効タルヘシ
   明治二十九年一月二十日
               逓信大臣 白根専一
    領収証
一岩越鉄道株式会社仮免状 壱通
右正ニ領収候也
        岩越鉄道株式会社創立発起人総代
        岩代国大沼郡高田村甲三千十五番地平氏
  明治廿九年一月二十日         佐治幸平(印)
    東京府知事 三浦安殿


日下義雄伝 (日下義雄伝記編纂所中村孝也著) 第一九〇―二一一頁〔昭和三年三月〕(DK090012k-0007)
第9巻 p.125-129 ページ画像

著作権保護期間中、著者没年不詳、および著作権調査中の著作物は、ウェブでの全文公開対象としておりません。
冊子版の『渋沢栄一伝記資料』をご参照ください。

〔参考〕日本鉄道史 中篇・第六一七頁―第六一八頁〔大正一〇年八月〕(DK090012k-0008)
第9巻 p.129 ページ画像

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