デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
20款 九州鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.226-237(DK090025k) ページ画像

明治30年4月23日(1897年)

筑豊鉄道株式会社ト九州鉄道株式会社トノ間ニ合併契約締結サレ、十月一日合併実行サル。コノ議モト栄一ノ発案ニカカリ、栄一爾後九州鉄道株式会社ノ株主タリ。


■資料

九鉄二十年史 第三二―三六頁(DK090025k-0001)
第9巻 p.226-227 ページ画像

九鉄二十年史 第三二―三六頁
筑豊の社運は益々盛大を極めたるも、一層其事業を拡張せんと欲せは勢ひ本社と競争させるを得す、然るに本社に於ても同時に戸畑線布設の計画あり、将来相対抗して競争を企つるは営業上甚た不利益なる言を俟たす、況んや其線路は折尾に於て接続し、株主間に於ても両会社共通の株主多く、利害の関係上黙過すへきにあらす、故に之れか合併を唱導するもの続出し、遂に三十年四月両会社は各臨時株主総会を開き、合併案を決議するに至れり
当時本社臨時株主総会に於ける議決の要領を挙くれは左の如し
 一本会社へ筑豊鉄道株式会社を合併引受のこと
  右合併引受に関する出願の手続其他臨時に生する要件は、取締役の決議を以て執行すること
 一両会社を合併し、本会社に新株二十七万株を増資すること
  筑豊鉄道株式会社の財産一切の既得の権利とを引受くる為め、本会社は該会社の現に発行する株券と同一払込の株券を発行し、引換を為すこと
 一新株二十七万株の中九万七千株は前項の引換株数に充て、残十七万三千株を左の通割当ること
   九州鉄道株式会社 現在株三十三万株に対し十万株
   筑豊鉄道株式会社 現在株九万七千株に対し七万三千株
 一筑豊鉄道株式会社の重役五名を九州鉄道株式会社の重役に選定すること
 一新株は十月十日の九州筑豊両鉄道株式会社現在の株主に割当ること
 一筑豊鉄道株式会社の社債に対する債務は本会社に引受くること
 一筑豊鉄道株式会社の財産は財産目録及帳簿により授受をなすこと
 一定款改正のこと(略記)
   一、営業線路中に「一福岡県折尾より分岐して一は若松一は直力町に至り、又分岐して一は田川郡神田村、一は鞍手郡勝野村に至り、又分岐し一は嘉穂郡大谷村迄、一は同郡熊田村に至る鉄道」を加ふ
   二、資本金壱千六百五拾万円を金参千万円と為すこと
   三、株式弐拾参万株を六拾万株と為すこと
 - 第9巻 p.227 -ページ画像 
   四、取締役六名以上十二名なりしを十五名以下に改め、且従来専務取締役一名なりしを二名と為し、一名を社長、一名を副社長となすこと
両会社は右決議に基き、同年四月二十三日付にて左の契約を締結し、同二十八日を以て筑豊鉄道株式会社の全線路を本会社の延長線とし、其財産一切を引受くるの件を逓信大臣に出願し、八月二十六日認可を得、十月一日合併を了せり
    契約書
九州鉄道会社と筑豊鉄道株式会社との全線路を同一管理の下に置くの件に付、両会社は明治三十年四月二十日臨時株主総会の決議に拠り、契約すること左の如し
第一条 筑豊鉄道株式会社を解散し、其全線路を九州鉄道株式会社の延長線路と為すに付、九州鉄道会社は新株二十七万株を増資すへし
第二条 九州鉄道株式会社は筑豊鉄道株式会社の財産一切を譲受たる為め、筑豊鉄道株式会社の現に発行する株券と同一払込の株券を発行して引換をなすへし
第三条 九州鉄道株式会社か発行する新株二十七万株の内、九万七千株は前条の引換株に充て、残額十七万三千株は左の割合に拠り割当るものとす
 九州鉄道株式会社現在株三十三万株に対し 十万株
 筑豊鉄道株式会社現在株九万七千株に対し 七万三千株
第四条 筑豊鉄道株式会社の重役五名を九州鉄道株式会社の重役に選定するものとす
第五条 新株は七月十日の九州筑豊両鉄道会社現在の株主に割当つへし
第六条 筑豊鉄道株式会社の財産目録及帳簿に依り授受を為すものとす
第七条 新株十七万三千株に対する募集は、七月十日の九州筑豊両鉄道株式会社現在の株主より、予約の証拠金として一株に付二円五十銭を差入れしむるものとす
第八条 前項予約の申込は其期日を八月十日限とす
右契約の確実を証する為め、本証二通を製し、各自一通を領収するものなり
                九州鉄道株式会社
  明治三十年四月二十三日      社長 高橋新吉
                筑豊鉄道株式会社
                専務取締役 仙石貢


時事新報 第五六五三号〔明治三二年八月二四日〕 九州鉄道に関する渋沢氏の意見(DK090025k-0002)
第9巻 p.227-228 ページ画像

時事新報 第五六五三号〔明治三二年八月二四日〕
    ○九州鉄道に関する渋沢氏の意見
○上略 其後九州鉄道と筑豊を合併するが宜からうと云ふことも、即ち私が発言したので、双方の重役に向かつて「如何であるか、若しも此相談が纏まるならば、大層国の為めに仕合せであるから、皆様私を棄て公の為めに考へて、成るたけ此協議を纏めるやうに為たい」と忠告した
 - 第9巻 p.228 -ページ画像 
が、殆ど纏まりさうな縁談とも見えませなんだ、筑豊九州は九州で各各歴史があるから、爾う俄に合併を強ひて呉れるなと云ふやうな意向であつたが、併し私の口入れが全く無要でなかつたものと見えて、追追話が近寄つて来て、あの差支は斯う拓く、此障りは斯う開くと云ふやうに、段々運んで結局纏まる訳になつた、始めて云ひ出した時は、是れは迚も六ケ敷いから、私は一時手を引くと云つた位、それが幸に双方の重役の譲合で話が纏つて今日の一大会社となつたのは国の為めに悦ばしい
○下略
   ○右ハ九州鉄道改革問題ニ関スル栄一ノ談話ノ一節ナリ、全文ハ本款明治三十二年九月十七日ノ項(本巻第二三七頁)参照。


青淵先生六十年史 第一巻・第九五五頁 〔明治三三年二月〕(DK090025k-0003)
第9巻 p.228 ページ画像

青淵先生六十年史 第一巻・第九五五頁〔明治三三年二月〕
    第四節 九州鉄道会社
九州鉄道会社ノ線路ハ福岡熊本佐賀長崎ノ四県ニ跨リ、現在資本金額三千万円ニシテ、九州中最モ人口稠密ニシテ物産豊富ナル地方ヲ経過シ、就中石炭ノ運搬頗ル盛ニシテ、九州第一ノ盛大ナル鉄道会社ナリ其工事設計ハ専ラ米国ノ風ニ傚ヘリ、明治三十年十月筑豊鉄道会社ノ全線路三十八哩ハ九州鉄道ニ合併シタリ、九州鉄道ト青淵先生トノ関係ハ此ノ合併ノ時ヨリ始マレリ、先生ハ現在其大株主ナリ
   ○九州鉄道会社ハ明治二十年一月福岡佐賀熊本三県ノ有志創立シ、嘉悦氏房外五名発起人総代トシテ門司三角間・田代早岐間鉄道敷設ヲ三県知事ニ請願セルニ始ル。同年六月長崎佐世保間鉄道敷設計画ヲ合併シ、翌二十一年六月二十七日政府ヨリ免許状並ニ補助金命令書ヲ下付セラレ、同年八月社長に高橋新吉就任、九月起工、翌二十二年十二月博多千歳川間開通ト共ニ開業セリ。資本金ハ創立当時七百五十万円、後二十七年並ニ二十八年増資シテ千六百五十万円トナリ、筑豊鉄道合併ニヨリ一躍三千万円トナル。明治三十年迄ニ於ケル開通線ハ門司八代間一四三哩三〇鎖、鳥栖武雄間三三哩、小倉行事間一四哩六四鎖ニ及ビ、是ニ筑豊鉄道三八哩四七鎖加ル。
   ○栄一ハ筑豊鉄道株式会社ノ相談役タリシガ会社解散ニヨリ解任トナル。又同会社ノ大株主タリシ故ニ、合併後新株割宛テニヨリ、九州鉄道株式会社ノ大株主ノ一人トナレリ。
   ○筑豊鉄道線ト九州鉄道線トノ関係左ノ略図ノ如シ。

九州鉄道 筑豊鉄道 若松 門司 小倉 黒崎 折尾 至博多 直方 金田 伊田 赤池 小竹 幸袋 飯塚 長尾 上山田


中外商業新報 第四五三八号〔明治三〇年四月六日〕 九州鉄道会社の総会(DK090025k-0004)
第9巻 p.228-229 ページ画像

中外商業新報 第四五三八号〔明治三〇年四月六日〕
    九州鉄道会社の総会
九州鉄道会社にては来る三十日門司本社に於て通常総会を開き、次に
 - 第9巻 p.229 -ページ画像 
臨時総会を開き、筑豊鉄道買収の件、右に付き資本金増加の件等を議する筈なりと云ふ


今村清之助君事歴 (足立栗園著) 第一八三―一八四頁〔明治三九年九月〕(DK090025k-0005)
第9巻 p.229 ページ画像

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日本鉄道史 上篇・第八五〇―八六七頁〔大正一〇年八月〕(DK090025k-0006)
第9巻 p.229-232 ページ画像

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〔参考〕東京経済雑誌 第五巻第一〇六号・第四六〇頁〔明治一五年四月八日〕 ○九州鉄道(DK090025k-0007)
第9巻 p.232-233 ページ画像

東京経済雑誌 第五巻第一〇六号・第四六〇頁〔明治一五年四月八日〕
 - 第9巻 p.233 -ページ画像 
    ○九州鉄道
九州に鉄道を敷設するとのことは昨年中より専ら其噂ありしか、同州中にても熊本・福岡の両県下にては已に一般の問題となり、此ごろ其資本金募集方法も粗ほ定まりたりと、其法は先づ福岡一県下丈にて、筑後の境界より豊前門司の浦まで凡そ四十里の間たに二百四十万乃至三百二十万円の築造費額を要することゝし、其内百万円を県債として募集し、残額は政府又は日本鉄道会社より補助を仰ぐことゝするよしにて、其県債は悉皆県会にて引受け、其議員中より委員を設け一時に百万円を募り、毎年地方税より五万円を徴収して之を償却し、斯くすること二十ケ年にして全く県債を償却し、百万円の鉄道株式は悉く県有財産となるの方法なりとか云ふ


〔参考〕東京経済雑誌 第一四巻第三三六号・第四六一頁〔明治一九年一〇月二日〕 ○九州鉄道会社(DK090025k-0008)
第9巻 p.233 ページ画像

東京経済雑誌 第一四巻第三三六号・第四六一頁〔明治一九年一〇月二日〕
    ○九州鉄道会社
九州鉄道会社の会議は、去月十六日安場福岡県知事の招集に依り有志者相会して会議を筑前国福岡東公園地に開き、翌十七日も引続きて会議を西公園地に開きたりと云ふ、今ま其の定款中の首なるものを挙ぐれば、第一区は豊前国門司浦より小倉・福岡・久留米及び三池郡より熊本を経て三角港まで○第二区は第一区中筑前国内より分岐し佐賀を経て長崎港まで○本社は有限責任にて会社の負債弁償等株主の負担すへき義務は其株金の損失に止まる者とす○資本金は第一区に鉄道を布設し営業に着手すへき経費を概算し三百万円とし、之を六万株に分ち毎年六月十二日の両度とす(尤も工事の都合により払込の期を伸縮することあり)即ち第一回第二回払込は各百分の二十、第三回以下は百分の十五なり○総会に於て投票を為すは其の所有株数十株に付き一個の投票権を有し、十一株以上三十株までは毎十株に一個、三十一株以上は毎廿株に一個の投票権を有す、尤も一人の投票権は廿個を限りとす○又た同鉄道にて運搬すへき貨物輸出入の見込は輸出五億七千七百五十六万九千十七斤、輸入九千百八十一万九千二百六十五斤にて合計七億千九百六十二万七千二百九十七万斤、此の運賃十五万九千二百八十八円八十二銭五厘○乗客は総人員百零九万四千零廿三人にて、内中等三十二万八千二百零七人、下等七十六万五千八百十六人、而して右総人員の賃金は十四万千百九十四円四十五銭なり(毎日新聞に拠る)


〔参考〕東京経済雑誌 第一五巻第三四九号・第二〇―二一頁〔明治二〇年一月八日〕 ○九州鉄道委員会の解散(DK090025k-0009)
第9巻 p.233-234 ページ画像

東京経済雑誌 第一五巻第三四九号・第二〇―二一頁〔明治二〇年一月八日〕
    ○九州鉄道委員会の解散
九州鉄道委員及ひ熊本、佐賀、福岡三県知事は同鉄道の布設に関し旧臘廿三日を以て協議会を開く筈なりしが、其議案に関し福岡県委員と熊本佐賀二県委員との間に議の協はざりしより遂に会を開くに至らずして解散せしと云ふ、今ま其顛末を聞くに、元来最初の計画は資本金三百万円を以て門司三角間の線路を布設する筈なりしに、此度の三県委員会議案として十八日を以て下附せられたる三県属官の調製せる議案に拠れば、資本金二百万円を増加して都合五百万円となし、右線路の外に田代より佐賀を経て早岐まで、宇土より八代まで、小倉より行
 - 第9巻 p.234 -ページ画像 
司まての三線路里程三十四里を加へ合計線路九十五里半となし、之を第一区共同経済となして、大に当初の計画に齟齬する所ありければ、福岡委員は線路延長資本金増加の議は初め同県知事が門司三角間を第一区線となし、其他の線路は二区三区として経済を別にすと説明せられたる計画と異なれば、斯かる事を議する権は初めより委員が株主より受けし所に非ずと唱へ、且議案の賃銭利益の予算は誤れる者ありて信を置き難しと為し、到底一応株主と協議の上ならでは斯かる議案を議し難き旨を知事に陳述せり、然るに廿三日知事は更に委員を会して種々の懇話あり、委員中にも種々の説出てしが、到底門司三角間は三県とも意義なき線路なれば先つ該線路のみを確定し、他線路は実地調査の上後会にて決す可き旨を知事を経て他の二県に照会するに議定せり此日は則ち三県委員会を開く可き日にして他の二県委員も既に出席したれば、右の趣を照会したるに、二県委員は線路延長は一次会にて可決し其後委員を派出し実際を調査せしめて二次三次会にて確定す可しと云ひ、福岡委員は先つ実際の調査より始む可しと云ひ、其議の未だ相協はざるに際し両県委員は既に解散し、又両県知事は福岡委員照会の旨を承諾し難しと回答して各々帰県したる由、是に於て福岡県知事は本県にても線路延長の議権ある委員を作らざる可からざるが故に県庁にて其手続きを施す可き旨を委員に通したりと、左れば今後果して如何なる結局に運ぶ可き乎は尚ほ後報を俟て之を記す可し


〔参考〕東京経済雑誌 第一五巻三五三号・第一五〇頁〔明治二〇年二月五日〕 ○九州鉄道委員会(DK090025k-0010)
第9巻 p.234-235 ページ画像

東京経済雑誌 第一五巻三五三号・第一五〇頁〔明治二〇年二月五日〕
    ○九州鉄道委員会
去月二十一、二両日間佐賀に開きたる九州鉄道委員会の摸様を聞くに此日会合せる人々には熊本・佐賀・福岡三県知事、両佐賀県書記官、三県属及三県創立委員四十五名にて、席定まるや鎌田佐賀県知事は議定すべき要項及議事の速に纏らんことを望む旨を演説し、他二県知事と共に傍聴席に退き、次て森佐賀県書記官会長席に就き、仮定款原案者小山福岡県属、田口熊本県属、末広佐賀県属の三氏番外席に就き討議を開きたりしか、多少の議論ありしも大概原案に決したり、今ま其の議決せし定款の重立たるものを挙くれは○第一条本社は鉄道を九州に敷設し運輸の業を為すを以て目的とす、其着手は豊前国門司港より小倉・福岡・久留米・熊本を経て三角港迄、及肥前国田代より分岐し佐賀を経て早岐港迄、肥後国宇土より分岐し八代迄、豊前国小倉より分岐し行事迄第一区とし、其の他は漸次政府の許可を得て便宜敷設するものとす、因て第一区建築の資金を募集し、其の工事に着手するものとす○第十九条本社の重立たる役員は左の如し、一理事委員十二名以上十八名以下、内社長一名(株の有無に関せす)副社長一名、撿査委員三名以下、幹事六名以下、外に一技術長○第二十条理事委員は株主総会に於て五十株以上を所有する株主中より記名投票を以て之を選挙す、但鉄道沿線三県(福岡佐賀熊本)より必ず三名宛を挙るものとす○第二十一条社長副社長は理事委員、其同僚より無記名投票を以て之れを選挙し、政府の認可を得て之れに任す等にして、又同会社か政府に向て特約を要求する条件は左の如しといふ
 - 第9巻 p.235 -ページ画像 
 政府より特許あらんことを請ふの条件
第一官有の土地にして鉄道の線路に当る地所及鉄道に必要なる倉庫停車場建築の用に供すべき地所は無代価にて之れを会社に下附せらるべきこと○第二民有の土地家屋にして鉄道線に当り、或は停車場倉庫等に供すべきものは公用土地買上規則に拠り政府に買上げ之れを会社に払下げらるべきこと○第三鉄道に関する一切の土地は勿論諸税を免除せらるべきこと○第四会社創立後募集の株金額に対し其払込たる翌月より起算し、年五分の利子を下附せらるゝは勿論開業後其純益金年五分に上らざるときは毎季(六ケ月を以て一季とす)政府より其の不足を補給せらるべし(但補給年限は十五ケ年とす)○第五会社の株式を以て華族世襲財産へ組入れらるべきこと○第六会社の株式を以て諸官庁の抵当に用ひらるべきこと
 右条々を允許せらるゝに付ては会社より政府に対し左の条件を遵奉すべし
第七鉄道布設の仕様、予算は政府の許可を得て之れを定め、布設は会社之れを施行すべし、尤も布設の現況は政府より之れを撿査せらるべきこと○第八興業及営業の会計牒簿は政府より定期或は不時に之れを撿査せらるべきこと○第九非常兵乱等の時に当ては会社に相当の償金を給して政府は自由に鉄道を使用せらるべきこと○第十会社設立後九十九ケ年の後は何時にても政府に於ては其時相当価格を以て発行せし鉄道株券を買上げらるべきこと○第十一鉄道の運送賃は政府の許可を得て之れを定むべきこと


〔参考〕東京経済雑誌 第一五巻第三六七号・第六三〇頁〔明治二〇年五月一四日〕 ○九州鉄道の許可(DK090025k-0011)
第9巻 p.235 ページ画像

東京経済雑誌 第一五巻第三六七号・第六三〇頁〔明治二〇年五月一四日〕
    ○九州鉄道の許可
同鉄道の事は愈々一昨十二日を以て許可に相成り、向ふ二十九年まて十ケ年間は政府に於て年五朱の利益を保証する筈にて、此金は凡そ二十六七万円となる割合なりと聞けり


〔参考〕東京経済雑誌 第一五巻第三六八号・第六五四頁〔明治二〇年五月二一日〕 ○九州鉄道会社(DK090025k-0012)
第9巻 p.235-236 ページ画像

東京経済雑誌 第一五巻第三六八号・第六五四頁〔明治二〇年五月二一日〕
    ○九州鉄道会社
同鉄道の事に関しては前号にも記せしが右は少しく誤聞の点もあれば尚ほ聞込みし所を玆に記せん、去る十一日内閣より佐賀、福岡、熊本の三県知事に対し稟請の趣は実測図及び工事の方法経費の予算並に毎区布設の年限取調不差出候ては何分の詮議に及び難し依て右詳細取調更に出願せしむべし、との指令ありたるより三県知事は何れも十四日を以て帰県の途に就き創立委員の内嘉悦氏房(熊本)渋谷清六(佐賀)の二氏のみ尚ほ居残り追て高橋商務局長か非職となりて弥々該社長たるを承諾せらるゝを俟ち技師其の他の人々と共に帰県し直ちに線路の実測工事の方法等に著手する手筈なるよし、又た三県知事より右鉄道に関し特別に稟請せる政府補助の儀は全線路工事の落成を告ぐるまで毎区株金払込の翌月より毎区落成営業開始の前月まで其金額に対し一ケ年百分の四を下付せらるべき由にて、此の補助金は他日返納するに及ばざるものなりといふ、又た長崎鉄道会社にも同日前同様の指令あ
 - 第9巻 p.236 -ページ画像 
りて、内閣書記官長より双方の発起人をして互に協議を遂げしむ可き様、右三県知事に通牒せられたりと云ふ


〔参考〕東京経済雑誌 第一五巻第三六九号・第六九八―六九九頁〔明治二〇年五月二八日〕 ○九州鉄道会社特別保護の要領(DK090025k-0013)
第9巻 p.236-237 ページ画像

東京経済雑誌 第一五巻第三六九号・第六九八―六九九頁〔明治二〇年五月二八日〕
    ○九州鉄道会社特別保護の要領
同会社特別保護の事に就ては嘗て屡々記載せし所なりしが、此度福岡熊本佐賀三県知事よりの稟請に対し政府か許可せる特別保護の要領なりとて、福岡日々新聞に掲載したれは、今之を左に転載す
 第一 九州鉄道は適当の測量により線路を定め地理に依り之を数区に分ち政府の認可を受くべし○第二 九州鉄道の建築費は毎区に分つて之を予算し政府の認可を受くべし○第三 九州鉄道工事の着手落成期限及其営業を始むべき期限は毎区に分つて之を予定し政府の認可を受くべし○第四 建築工事の進捗に応して九州鉄道会社株金の払込額を定むるは政府の認可を受くべし○第五 九州鉄道の建築工事及運輸業務は政府より発する法律命令若くは臨時の訓令に従ひ其監査を受くべし○第六 九州鉄道会社各区に対する株金払込の翌月より毎区営業開始の前月まで株金払込額に対し政府は一ケ年百分の四を保助金として下付すべし○第七 九州鉄道各区の工事は車輛の運転するまでを以て落成とし其の営業を開始するに及ぶときは政府は其金額に対する前項保助金の下付を止むべし○第八 九州鉄道毎区の工事第三項の予定期限内に営業開始するを得ざるときは其落成したる部分に対してのみ第二項の予算に依り哩数に応じて第六項の保助金を下付し其未成の哩数に対しては之を下付せず○第九 九州鉄道会社は毎月一回鉄道工事進捗表を作り之を政府に報告すべし○第十 政府は時々官吏を派遣し九州鉄道工事の状況並金銭物料の会計を監査することあるべし、九州鉄道会社は政府派遣官吏の命に応じ業務に関する一切の事物を点撿に供するの義務ある者とす○第十一 九州鉄道会社に於て前各項に違ふときは第六項の保助金を受くるの特権を失ふものとす
   ○明治十六年日本鉄道開業シ、同十七年ニハ上野前橋間開通シ其成績良好ナル為メ俄然私設鉄道ノ勃興ヲ促シ、明治二十年前後所謂鉄道景気ヲ現出セシメタリ。九州鉄道会社モ亦斯カル機運ヨリ生ジタルモノナリ。即チ明治二十年一月二十日福岡、佐賀、熊本ノ三県ヨリ選出セラレタル各十五名ノ創立委員佐賀ニ委員会ヲ催シ、尋イデ同月二十五日発起人総代ヨリ三県知事宛テニ鉄道会社創立願書ヲ提出シ、三県知事ハ連署ヲ以テ該願書ニ添申シ之ヲ内閣ニ進達セリ。然ルニ同年二月十五日長崎県有志者ヨリ長崎佐世保間ノ鉄道敷設ヲ請願シ同月二十一日長崎県知事ハ之ニ添申シテ進達セリ。斯クノ如ク九州ヨリ二通ノ請願アリシニ対シ同年五月十一日閣議決定シ、福岡外二県知事ト長崎県知事ノ双方ヘ指令シ且ツ内閣書記官長ヨリ双方発起人間ニ於テ協議スベキヲ各県知事宛通牒セリ、カクテ双方発起人熟議ヲ重ネ共同ノコトニ決シ、会社設立及補助金下付ノ許可アランコトヲ稟請ス。二十一年六月二十七日免許状並ビニ補助金ニ関スル命令書下付セラレ、同年八月十五日発起人総会ヲ福岡ニ開キ、社長、常議員、検査役ノ選挙ヲ行ヒ、高橋新吉ヲ社長ニ挙ゲ、仮本社ヲ博多ニ置キ、東京及大阪ニ出張所ヲ設ケ、諸般ノ工事ニ着手ス、二十二年十二月十一日博多千歳川仮停車場間開通シ、爾後予定線次第ニ開通スルニ至レリ。
    明治二十四年金融逼迫ノ為株主間ニ株金払込中止ノ請求ヲナスモノ多ク、
 - 第9巻 p.237 -ページ画像 
為メニ会社ハ社債ヲ募集スルト共ニ社内ノ改革ヲ行ヒ、経費ヲ節減セシモ(同二十七年ニ至リ復旧)三十年四月ニ至リ筑豊鉄道ト合併、三十一年筑紫運炭鉄道外二鉄道敷設権買収並ビニ船越鉄道其他買収若クハ譲受、三十四年豊州鉄道ト合併、唐津鉄道譲受等着々ト営業ヲ整備シ、九州交通ノ幹線ヲナスニ至レリ。コノ間三十二年株主会社間ノ紛擾、三十六年四月株主側ヨリ臨時総会開催ノ強請等アリシモ何レモ、無事解決サレタリ。
    明治四十年七月ニ至リ鉄道国有法ノ規定ニヨリ買収セラレ、玆ニ私設九州鉄道(株式)会社ハ解散サル。(日本鉄道史上篇第八四五―九七一頁、同中篇第三九四―四二一頁参照)


〔参考〕執事日記 明治二十二年(DK090025k-0014)
第9巻 p.237 ページ画像

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