デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
25款 其他ノ鉄道 6. 船越鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.360-364(DK090039k) ページ画像

明治29年10月(1896年)

船越・浜崎両鉄道合併シテ船越鉄道株式会社設立サレ、栄一株主ノ一員タリ。然レドモ当会社ハ株
 - 第9巻 p.361 -ページ画像 
金徴収ヲ為サザルウチニ三十一年五月二十一日九州鉄道株式会社ニ敷設権ヲ譲リ解散ス。


■資料

青淵先生六十年史 (再版) 第一巻・第九八一―九八四頁 〔明治三三年六月〕(DK090039k-0001)
第9巻 p.361-362 ページ画像

青淵先生六十年史 (再版) 第一巻・第九八一―九八四頁〔明治三三年六月〕
    第十五節 船越浜崎鉄道会社
船越鉄道ハ福岡県筑前国志摩郡小富士見村大字船越ヨリ同郡前原・怡土郡周船寺・早良郡姪ノ浜・福岡市博多・粕屋郡仲原・新原及宇美ノ各町村ヲ経テ大宰府ニ至ル廿七哩、前記仲原ヨリ篠栗ヲ経テ穂波郡飯塚ニ至ル十七哩、前記前原ヨリ怡土郡深江吉井及佐賀県東松浦郡浜崎ヲ経テ同郡満島ニ至ル二十哩ノ三線路ヲ包含シ、全線約六十四哩間ニ布設セントスルモノニシテ、其目的ハ石炭及諸貨物並ニ人民交通ノ便利ニ供シ運輸ノ業ヲ営ムモノニシテ、其資本総額ハ二百五十万円ナリ浜崎鉄道ハ佐賀県肥前国東松浦郡浜崎ヨリ同郡鏡村・千々賀村・徳須恵ヲ過キ、西松浦郡小麦原ヲ経テ伊万里ニ至ル約十四哩間ニ布設セントスルモノニシテ、其資本金五十五万円ナリ
今玆ニ該両鉄道会社創立ノ主旨ヲ按スルニ、福岡県下ノ地勢タル、東西二十七里、南北三十里、筑前・筑後及豊前六郡ヲ包含シ、東南ハ豊後・肥後ニ界シ、西ハ肥前ニ接シ、北ハ玄海灘ニ面シ、東北ハ内海ニ臨ミ、北角僅カニ海峡ヲ隔テヽ長門ニ接シ、門司港実ニ馬関ニ相対峙セリ、九州要衝ノ地ヲ云ヘハ先ツ指ヲ福岡県ニ屈スヘシ、闔県ノ土地ハ約三十七万町ニシテ、有租地ノ土地約二十七万五千六百町ノ多キアリ、地味膏腴ニシテ物産豊饒ナリ、人口約百二十六万五千ニシテ、戸数ハ約二十二万五千ナリ、就中農業戸数ハ約十五万五千五百ニシテ、一般戸数十分ノ七ニ居レリ、亦以テ特ニ農産物ニ富ムノ一斑ヲ知ルニ足ルヘシ、殊ニ管内石炭ニ富ミ莫大ノ利益ヲ以テ県内ヲ潤セリ、彼ノ九州鉄道・筑豊鉄道・豊州鉄道ノ如キ、其営業上消費セル石炭ノ他会社ニ比シテ大ニ廉ナルノ利アルノミナラス、其運輸営業上幾多収利ノ著シキモノハ、石炭ノ運輸ニ在リ、就中筑豊・豊州両鉄道ノ如キハ殆ト石炭ノ運輸ヲ以テ其運命ヲ維クモノト云フモ可ナリ、故ニ福岡県下ノ鉄道ハ蓋シ幾多炭礦鉄道ノ実アリテ利益ノ確実ナルモノアリ、而シテ物産の豊饒・土地ノ繁栄亦鉄道ヲ待テリ、然ルニ既設鉄道ハ西北ニ及ハス、筑前西部ノ如キ全ク文明利器ノ沢ニ浴セス、貨物ハ人肩馬背ニ由リテ送クラレ、人ハ草鞋ヲ穿チテ、物産蕃殖ノ道挙ラス、人文開発ノ機開ケス、鉄道ノ作用ニ於テ未タ脳膸四肢ノ全キヲ得サルノ憾ミアリ、且ツヤ坑業競争ノ結果ハ其出炭高ヲ増加シ、既設鉄道ノ運炭力ヲシテ悉ク及フ能ハサラシムルノ事実アリ、且ツ鉄道ノ便ニ依ルコトヲ得サルカ為メニ其採掘ヲ控目ニシ、戓ハ其業ヲ中止シ、儘々沮廃シテ失敗ニ陥ルモノモ往々ニシテ之レアルニ至レリ、現ニ船越鉄道飯塚線及粕屋郡線接近諸炭坑ノ如キ、右ノ状況ニ属スルモノ尠カラス、故ニ船越鉄道一タヒ開ケハ是等地方ノ線路亦炭礦鉄道ノ実ヲ備ヘ、未タ文明利器ノ沢ニ浴セサル当業者ヲ利スルコト果シテ如何ソヤ、而シテ運輸交通ノ便利九州鉄道ト聯絡シ、筑前西部ヨリ佐賀県ニ連ナリテ縮地ノ作用ヲ逞クシ、物産蕃殖ノ道ヲ媒助シ、人文開発ノ機ヲ啓発スルノ功実ニ偉大ナルモノアラン、加フルニ船越港ハ天然ノ良港ニシテ、
 - 第9巻 p.362 -ページ画像 
九州西北岸ニ於ケル将来頗ル有望ノ地ナレハナリ、而シテ浜崎鉄道モ其実船越鉄道ト異名同体ナレハ他日之ヲ合併スルノ計画ナリト云フ、然リ而シテ其合併後ノ計画ハ博多ニ於テ九州鉄道ト接続シ、伊万里ニ於テ伊万里鉄道ニ聯絡シテ九州鉄道ノ有田駅ニ達シ、愈々運輸ノ道ヲ通シ益々交通ノ便ヲ計ラントスルニアリ
青淵先生ハ地方人士ノ請ニヨリ両鉄道会社ノ株主タリ、然ルニ後チ九州鉄道ト合併ノ議起リ中止セリ


日本鉄道史 中篇・第六八六―六八七頁〔大正一〇年八月〕(DK090039k-0002)
第9巻 p.362 ページ画像

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中外商業新報 第四二〇八号〔明治二九年三月四日〕 船越浜崎両鉄道の重なる賛成者(DK090039k-0003)
第9巻 p.362-363 ページ画像

中外商業新報 第四二〇八号〔明治二九年三月四日〕
    船越浜崎両鉄道の重なる賛成者
福岡県下筑前国より佐賀県下にまたがる両鉄道(異名同躰にて追て合併するもの)の線路は既に鉄道局の検査も済み、検査の結果は頗る良好なる由なるが、此程東京にて該鉄道の企業に就き府下有力の諸氏集会し、該鉄道創立委員小河久四郎・宮城坎一の両氏も出席して種々協議の末、満場の諸氏該鉄道の多望なるを認め賛成せる由なるが、当日出席の諸氏は左の如し
原六郎・大倉喜八郎・渋沢栄一・大江卓・奥三郎兵衛・渡辺治右衛門・渡辺洪基・田中平八・団琢磨・梅沢精一《(梅浦精一)》・益田孝・浅野総一郎・朝吹英二、右の外当日旅行事故等にて出席なかりし馬越恭平・今村清之助・本間英一郎の諸氏を始め其他十余名も亦賛成の意を表し、又福岡の旧
 - 第9巻 p.363 -ページ画像 
藩主黒田長成侯も賛成せし由にて、既に負担の株数も定められ、又前記の諸氏よりも追々株数を定めて申込ある由なり、該鉄道は九州中最も好評のものにて、発起人に於て資本金の半額を負担し、賛成株主の選択には余程注意せる由なるが、今や前記の如き有力なる賛成を得るに至りたれば、該鉄道の前途は大に多望を加へたりといふべし。


中外商業新報 第四二八九号〔明治二九年六月九日〕 船越鉄道(DK090039k-0004)
第9巻 p.363 ページ画像

中外商業新報 第四二八九号〔明治二九年六月九日〕
    船越鉄道
 船越鉄道は去る三月二十四日の本紙に記せる如く、博多を中心として西は浜崎を《(経て脱カ)》満嶋に至り、東は篠栗を経て飯塚に至り、又浜崎鉄道は浜崎より伊万里に至るものにして通経八十二哩あり、資本金は合計三百五万円にして、福岡県下実業家二百名の計画に成り、其線路なる東は筑豊鉄道に飯塚に接続して有名なる炭坑地方の運輸を利し、西は伊万里鉄道に伊万里に接続し、九州鉄道に連なりて長崎及佐世保に至るの捷路たり、而して両鉄道は既に仮免状を得たるに付、無条件合併を為したるが、之にて先て本年初春東京に於ては既に今村清之助・原六郎・大倉喜八郎・大江卓・奥三郎兵衛・渡辺治右衛門・渡辺洪基・田中平八・団琢磨・梅浦精一・黒田長成・益田孝・馬越洪平《(馬越恭平)》・浅野総一郎・朝吹英次《(朝吹英二)》・渋沢栄一等諸氏の賛成を得、先般創立委員宮城坎一氏上京して出張所を兜町二番地に設置したるが、大阪地方有力家中にも兼て賛成するもの多く、前号の電報に見ゆる如く鴻池・住友・殿村諸家を始め皆株主たることを承諾するに至れる由にて、株式の如き全く公衆より募集するの余地なきに至れりといふ。


中外商業新報 第四三四八号〔明治二九年八月一六日〕 船越鉄道(DK090039k-0005)
第9巻 p.363 ページ画像

中外商業新報 第四三四八号〔明治二九年八月一六日〕
    船越鉄道
 船越鉄道は既に仮免状を下附せられしが、其株主も既に確定せる由にて、曾ても報ぜし如く、東京にては黒田侯爵・渋沢栄一・大倉喜八郎・今村清之助・渡辺治右衛門・益田孝・原六郎・浅野総一郎・田中平八・大江卓・朝吹英二・梅浦精一・渡辺洪基・馬越恭平・銀林綱男・松沢与七・米倉一平・高山豊次・団琢磨・伊藤幹一・富永冬樹・中嶋行孝・細野次郎・望月右内の諸氏其の他数十名にして、株主仲買、井野粂吉氏外七十余名の諸氏も株主となり、大阪に於ても屈指の人々大抵株主となり、其他大阪株主の仲買浜崎永三郎氏外七十余名も同じく株主となりし由なり、又同鉄道の創業総会は近日開かるゝ由にて、其重役には東京大阪よりも有力の人数名其選に当るべく、又重役の外に東京大阪より四五名の相談役を設くる由、同鉄道は将来尚延長すべき有望の線路を有し、且其線路に当る地方には、船越湾に将来大に望あるは勿論、目下博多湾、唐津湾、仮屋湾等、殷賑の小都会を包含し、其線路は頗る有望なるのみならず、其線路も大部分は平坦の処にて、其経過する地方多くは其宿駅に当り、往来交通頻繁なるにより、三哩にても五哩にても布設次第開業して収益を期する筈なりと云へり。


中外商業新報 第四八〇八号〔明治三一年二月二三日〕 九州鉄道会社の船越線買収方法(DK090039k-0006)
第9巻 p.363-364 ページ画像

中外商業新報 第四八〇八号〔明治三一年二月二三日〕
 - 第9巻 p.364 -ページ画像 
    九州鉄道会社の船越線買収方法
九州鉄道会社の船越鉄道予定線路買収の件は、両会社間に於て契約調ひし次第は去る十六日本紙上に報せし所なりしが、九鉄にては前記買収及其他資本増額等を議定せんが為め、来る三月一日を期し門司本社にて臨時総会を開設する由にて、其議件は
 一、船越鉄道会社の予定線路敷設の権利を本会社に譲受の件
 一、筑前国鞍手郡植木駅(筑豊線)より同郡宮田地方に至る線路延長敷設の件
 一、石峯、石畑両村間に於ける出願線を棄却する件
 一、資本金増加(前項船越鉄道線譲受其他に係る費金)の件
 一、定款改正の件
今船越線路を買収する方法を聞くに、会社の資本金を投じて全然之を買収するにあらずして、曩に筑紫運炭・鞍手・小倉線路を買受けし如く、新株を募集して其株主に割当て九州鉄道の株主たらしむる訳なれば、詰り敷設工事の九州会社に移る迄の事なりといふ


中外商業新報 第四八一六号〔明治三一年三月四日〕 九州鉄道と船越鉄道(DK090039k-0007)
第9巻 p.364 ページ画像

中外商業新報 第四八一六号〔明治三一年三月四日〕
    九州鉄道と船越鉄道
船越鉄道会社の資本金は三百五万円なりしが、九州鉄道会社が之を買収するに就ては、三百五万円の新株を発行し、其内百五十二万五千円を九州鉄道株主に、又他の百五十二万五千円を船越鉄道の株主に分配し、船越鉄道会社従来の消費は同会社株主の負担とし、九州鉄道会社は唯権利のみを譲受くる事となるべきも、今や物価騰貴して以前の設計三百五万円にては不足し、仙石貢氏の説に依れば五百三十万円を要すべしと云へり、然れとも右全線を一時に布設せずして、先づ博多船越間の本線及二支線(一は新原に止め、他は笹栗《(篠)》に止むるものとし)の工事に着手し、他日伊万里延長線起工の際に至り不足を補ふため増資するならんと云ふ


中外商業新報 第四八八四号〔明治三一年五月二二日〕 船越鉄道会社の解散(DK090039k-0008)
第9巻 p.364 ページ画像

中外商業新報 第四八八四号〔明治三一年五月二二日〕
    船越鉄道会社の解散
博多二十日午後五時四十分発前号印刷後着船越鉄道会社は本日の臨時総会に於て全く解散することに決したり