デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
25款 其他ノ鉄道 7. 京板鉄道株式会社
■綱文

第9巻 p.364-370(DK090040k) ページ画像

明治29年12月14日(1896年)

先キニ出願シテ仮免状ヲ下附サレタル毛武鉄道ノ板橋駅ヨリ東京市小石川区春日町ニ至ル鉄道ノ敷設ヲ目的トシテ、久能木宇兵衛等京板鉄道株式会社ヲ設立セントシ、是日創立認可申請書ヲ提出ス。栄一、発起人タリ。


■資料

文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種(DK090040k-0001)
第9巻 p.365-367 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種 (東京府庁所蔵)
    進達願
今般京板鉄道株式会社創立申請書仕度就テハ別紙書類及図面等会社創立申請ニ関スル一切ノ書類至急其筋ヘ御進達被成下度此段奉願上候也
  明治廿九年十二月十四日
           京板鉄道株式会社発起人総代
           東京市日本橋区室町三丁目五番地
                    久能木宇兵衛(印)
    東京府事 侯爵久我道久殿
(別紙)
    京板鉄道株式会社創立認可申請書
私共儀今般京板鉄道株式会社ヲ創立シ東京府下板橋駅ヨリ東京市小石川区春日町ニ到ル鉄道ヲ布設シ旅客貨物ノ運輸営業致度、別紙起業目論見書・仮定款・線路略図其他附属書類相添ヘ出願仕候間何卒特別ノ御詮議ヲ以テ御認可被成下度、発起人一同連署ヲ以テ此段奉願上候也
  明治廿九年十二月十四日
           京板鉄道株式会社創立発起人
   東京市日本橋区室町三丁目五番地       久能木宇兵衛(印)
   東京府豊多摩郡淀橋町元柏木村八百九十五番地 伊東茂右衛門(印)
   東京市小石川区武島町二十七番地       中江篤介(印)
   茨城県猿島郡八俣村百四拾六番地       初見八郎(印)
   東京市京橋区三十間堀三丁目六番地      原猪作(印)
   同市日本橋区馬喰町三丁目六番地       大河原毎太郎(印)
   同市同区薬研堀町三十番地          横山富次郎(印)
   同市京橋区南小田原町四丁目一番地      森岡昌純(印)
   同市麹町区五番町弐番地           伊藤大八(印)
   同市深川区福住町四番地           渋沢栄一
   東京府荏原郡北品川町三百十二番地      益田孝
   同府同郡品川町北品川三百拾五番地      原六郎
   東京市日本橋区南茅場町六番地        今村清之助
   同市芝区芝公園地拾五号二          大江卓
   同市京橋区南新堀町壱丁目四番地       中沢彦吉
   同市同区築地三丁目拾一番地         佐々田懋
   同市同区同町壱丁目拾四番地         田中平八
   東京市芝区桜川町拾三番地          馬越恭平
                  右九名代印  伊藤大八(印)
  逓信大臣 子爵野村靖殿

(別紙)
    京板鉄道株式会社創立ノ趣意
曩キニ拙者共多数ニ於テ毛武鉄道株式会社創立出願セシ処東京府下板橋駅ヨリ栃木県下足利町ニ到ルノ線路ニ付仮免状ヲ下附セラレタルハ一同ノ満足スル所ナリ、然ルモ右板橋駅ハ東京市外ニ僻在シ纔カニ日本鉄道線ノ一宿駅ニ過キサレハ帝国ノ首都タル東京ト毛武線ノ経過地
 - 第9巻 p.366 -ページ画像 
タル一府二県ノ交通運輸ニ付キ未タ不十分ノ憾ミナキ能ハス、由テ拙者共爾来線路ノ実測等ヲ精査シ将来市区改正ニ妨ケナキ設計ヲ以テ本鉄道ヲ創立シ、毛武線ト連続シ東京市内ノ便ハ元ヨリ東京府群馬県栃木県ノ交通運輸ニ付キ毛武線ト共ニ其完全ヲ企図セント欲ス、尤モ毛武鉄道株式会社成立ノ上ハ無条件合一ヲ為ス事其趣意ノ主眼ナリトス

(別紙)
    起業目論見書
第一 本会社ノ組織ハ株式会社トス
第二 本会社ハ東京府下板橋駅ヨリ東京市小石川区春日町ニ至ル鉄道ヲ布設シ、旅客貨物ノ運輸業ヲ営ムヲ以テ目的トス
第三 本会社ハ京板鉄道株式会社ト称シ、本社ヲ東京市ニ設置ス
第四 本会社ノ布設スヘキ線路ハ東京府下板橋駅毛武鉄道線ヲ起点トシ、東京市小石川区春日町ニ至ル間約三哩三拾鎖ニシテ、軌道幅員ハ三呎六吋トス
第五 本会社ノ資本金ハ九拾五万円トシ、之ヲ壱万九千株ニ分チ、一株ノ金額ヲ金五拾円トス
第六 本会社鉄道敷設費用及運輸営業ノ収支概算左ノ如シ
 一金九拾五万円     建設費
    内訳
  金九千弐百円          測量及工事監督費
  金参拾四万参千百七拾七円    用地費
  金弐拾五万参千六百五拾五円   土工費
  金四万参千七百拾五円      橋梁費
  金四千百四拾四円        コルベルト費
  金八百円            伏樋費
  金六万八千五百弐拾五円     軌道費
  金四万四千参百九拾円      停車場費
  金拾万弐千円          車輛費
  金五千八百弐拾円        諸建物費
  金弐千円            運送費
  金壱千円            建築用具費
  金六百円            柵垣及境界杭費
  金六百円            電線架設費
  金弐千円            建築用滊車費
  金八千六百円          総係費
  金五万九千七百七拾壱円     予備費
 合計金九拾五万円也
    収支予算
 一金拾四万弐千参百五拾円     収入総額
    内訳
  金拾壱万六千八百円       旅客収入
   乗客平均一日往復八千人トシテ一哩壱銭ノ割ヲ以テ四哩間一ケ年ノ計算
  金弐万五千五百五拾円      貨物収入
 - 第9巻 p.367 -ページ画像 
   貨物一日七百噸トシテ一哩弐銭五厘ノ割ヲ以テ四哩間一ケ年ノ計算
 一金壱万四千六百円        営業費
  一日一哩金拾円ノ見積リ
    収支差引
 一金拾弐万七千七百五拾円
   資本金九拾五万円ニ対シ年壱割三分四厘四毛強ニ当ル
第七 発起人ノ氏名住所及各自引受株数左ノ如シ

図表を画像で表示--

 引受株数    住所                     氏名 弐百五拾株  東京市日本橋区室町三丁目五番地        久能木宇兵衛 弐百五拾株  東京府豊多摩郡淀橋町元柏木村八百九十五番地  伊東茂右衛門 弐百五拾株  東京市小石川区武島町弐拾七番地        中江篤助 弐百五拾株  茨城県猿島郡八俣村百四拾六番地        初見八郎 弐百五拾株  東京市京橋区三十間堀三丁目六番地       原猪作 弐百五拾株  同市日本橋区馬喰町三丁目六番地        大河原毎太郎 弐百五拾株  同市日本橋区薬研堀町三十番地         横山富次郎 弐百五拾株  同市京橋区南小田原町四丁目壱番地       森岡昌純 五百株    同市麹町区五番町二番地            伊藤大八 四百五拾株  同市深川区福住町四番地            渋沢栄一 四百五拾株  東京府荏原郡北品川町三百拾弐番地       益田孝 四百五拾株  同府同郡品川町北品川三百拾五番地       原六郎 九百株    東京市日本橋区南茅場町六番地         今村清之助 四百五拾株  同市芝区芝公園地拾五号二           大江卓 四百五拾株  同市京橋区南新堀壱丁目四番地         中沢彦吉 四百五拾株  同市同区築地三丁目拾一番地          佐々田懋 四百五拾株  同市同区同町一丁目拾四番地          田中平八 四百五拾株  同市芝区桜川町拾三番地            馬越恭平 



右起業目論見書相違無之候也
           京板鉄道株式会社創立発起人
                     (発起人連署略)
  明治廿九年十二月十四日
    運輸営業収入説明
建築費 板橋駅及小石川区春日町間ハ土地平坦ニシテ、山ナク河ナク唯用地費ニ多額ヲ用スルモ工事困難ナラズ、由テ三哩三拾鎖ノ起業費九拾五万円ナレバ十分ナリトス
貨物収入 春日町ハ江戸川ニ近ク且ツ東京市ノ要地タルニ加ヘテ、板橋駅ハ毛武線ノ接続地ニシテ且ツ日本鉄道線ノ会スル所ナレハ、日日平均七百噸ノ貨物往復ハ最少数ニ算定セシモノナリトス
乗客収入 一日往復八千人ト見積リシモノナレハ、東京市内及板橋内ノ往復及毛武線日本鉄道線ヨリ来往スルモノヲ最低額ニ見積リシモノナリトス
営業費 一日一哩金拾円ト見積リシヲ以テ、物価騰貴ノ際ト雖トモ十分ナリトス
 - 第9巻 p.368 -ページ画像 


文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種(DK090040k-0002)
第9巻 p.368 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種 (東京府庁所蔵)
鉄第一〇六八号
                      東京府知事
京板鉄道株式会社発起人久能木宇兵衛外拾六名ヘ別紙仮免状下付候条同人等ヘ交付シ、其年月日ヲ鉄道局長ヘ報告スヘシ
  明治三十一年十月廿六日
               逓信大臣 林有造(印)
第百六十四号
    仮免状
                京板鉄道株式会社発起人
                      久能木宇兵衛
                         外十六名
右出願ニ係ル京板鉄道株式会社ノ発起ヲ認可シ、東京府下板橋駅ヨリ東京市小石川区富阪公園西北側ニ至ル鉄道敷設ノ為メ実地測量スルコトヲ許可ス
 但此仮免状下付ノ日ヨリ起算シ満弐個年以内ニ私設鉄道条例第三条ノ図書類及商法第百六十六条ノ書類ヲ差出シ免許状ノ下付ヲ申請セサルトキハ、此仮免状ハ無効タルヘシ
  明治三十一年十月廿六日
                逓信大臣 林有造
鉄第一〇六八号
    命令書
                京板鉄道株式会社発起人
                      久能木宇兵衛
                          外十六名
京板鉄道株式会社設立並鉄道敷設免許状下付申請ノ際提出スル図面書類ハ、其謄本壱通宛ヲ本社設置ノ地方庁及関係地方庁ヘ差出スヘシ
  明治三十一年十月廿六日
                逓信大臣 林有造


文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種(DK090040k-0003)
第9巻 p.368-370 ページ画像

文書類纂 農工商・鉄道会社第四明治三一年第一種
明治三十年一月十四日 内務部第三課属 中村幹助(印)
知事(印) 参事官(印)
 内務部(印) 第三課長(印) 農商掛(印)
       第二課長(印) 土木属(印)
(朱書)
三丙八三〇二号ノ五
   鉄道会社創立並ニ鉄道敷設認可申請ノ件
    進達按
府下東京市日本橋区室町三丁目五番地久野木宇兵衛外十七名《(久能木宇兵衛)》ヨリ京板鉄道株式会社ノ創立シ鉄道敷設ノ件認可申請提出ニ付取調候処、発起人ハ概シテ相当ノ資産ト信用トヲ有シ其目的ハ確実ナルモノニシテ本企業ハ毛武鉄道延長線トシテ市部ト郡部間トノ交通運輸ノ便ヲ開通セントスルモノヽ如シ、然レトモ郡部ニ於テ敢テ支障ナカルヘキモ市
 - 第9巻 p.369 -ページ画像 
部ニ於テハ市区改正ノ関係アルノミナラス家屋稠密ノ市街ヲ経過スルモノナレバ交通上ノ妨害亦タ尠ナシトセス、要スルニ本鉄道線路ノ大部分ハ市部ヲ経過スルモノニシテ地方ノ状況ニ応シタル企業ト認メ難シ、依テ御内訓ノ事項ニ対シ逐一意見開申セス書類進達如此副申候也
  年 月 日                 知事
    逓信大臣宛
  理由
発起人ハ概シテ著名及調書済ノモノ故別如製表セス

〔朱書〕
第八四号
日本橋区室町三丁目五番地久能木宇兵衛外十七名ヨリ京板鉄道株式会社ヲ創設シ、北豊島郡板橋駅ヲ起点トシ小石川区春日町ニ至ル間凡三哩三拾鎖ノ鉄道布設ノ件認可申請書提出ニ付、当区内ニ属スル事項客歳十二月内三丙第八三〇二号ヲ以御照会ニ拠リ取調候処
一起業ノ効用
  本線ニ該ル場所高低多ク大ニ地形ヲ変換スルニ至ルヘク、且道路ヲ横断スル場所多ク運搬ノ妨害甚シク、良好ノ結果ヲ得ル事覚束ナシ
一起業公益上ノ関係
  発着点ノ場所近傍者多少便利ヲ得ヘシト雖モ当区ニ在リテハ、狭隘ノ道路ヲ通シ又ハ各地ノ斜断或ハ前面ヲ断タルヽ等ノ場所モ可有之、各自営業ノ妨害ヲ来シ故障多キモノト認ム
右及御回答候也
  明治三十一年一月十一日 小石川区長 佐藤正興(印)
 内務部長
    東京府書記官 寺田祐之殿

〔朱書〕
庶発第二四九八号
久能木宇兵衛等発起ニ係ル京板鉄道布設ノ件去ル廿二日付内三丙第八〇二号ノ二ヲ以テ御照会之趣了承、左記之通ニ有之候此段及回答候也
  明治廿九年十二月廿五日 北豊島郡長 長関俊章(印)
 内務部長
    東京府書記官 寺田祐之殿
一起業ノ効用
  線路短少ナルモ東京市ト板橋町トノ間交通烈敷殊ニ毛武線ト聯絡スルニ於テハ大ニ其用ヲナスモノト認ム
一北方ノ状況
  該鉄道ヲ布設スルモ人民ノ生計営業上ニ何等ノ影響ヲ及ホスコト無之、又交通経済上ニ於テモ障害紊乱等ノ慮無之候

本月十九日久能木宇兵衛外十七名発起ニ係ル京板鉄道線路ノ件御照会之趣了承、右線路ハ北豊島郡板橋町ヲ起点トシ小石川区春日町ニ至ル者ニ有之、然ルニ私鉄道布設之為メ道路河溝等ノ変換ニ依リ生ス可キ交通上之利害ハ多少可有之認メ候得共、市部ニ在リテハ市区改正之関
 - 第9巻 p.370 -ページ画像 
係有之ニ付或ハ線路位置ノ変更ヲ要スル義モ可有之被存候、乍然線路ノ設計等見サレバ難取調、要スルニ私線路ハ市部ニ係ル大部分ニシテ家屋稠密之市街ヲ経過スルモノナレバ交通上ノ妨害不尠義ト被存候、御図面返戻此段及回答候也
  明治廿九年十二月廿四日 第二課
    第三課御中
   ○同会社ハ設立サレタルヤ否ヤハ未詳。