デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
30款 鉄道民有調査会
■綱文

第9巻 p.680-687(DK090063k) ページ画像

明治27年6月16日(1894年)

是ヨリ先、栄一、中上川彦次郎・末延道成等ト共ニ官設鉄道払下ヲ計画シ、是日民間ノ有力者ヲ帝国ホテルニ招キ、其ノ相談会ヲ開キ調査委員ヲ選ブ。栄一其ノ一員ト為ル。爾後屡々会合シ協議セシモ、日清戦争ノ起ルニ及ビ此事熄ム。


■資料

青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第八八九―八九二頁 〔明治三三年六月〕(DK090063k-0001)
第9巻 p.680-681 ページ画像

青淵先生六十年史(再版)第二巻・第八八九―八九二頁〔明治三三年六月〕
 ○第五十九章
    第十七節 鉄道民有調査会
青淵先生ハ鉄道経営ニ付テハ民有論ヲ主持セリ、明治二十七年五六月ノ交、中上川彦次郎・荘田平五郎・末延道成・渡辺洪基・池田謙三等ト、官設鉄道払下ノ目的ヲ以テ、鉄道民有調査会ナルモノヲ組織シテ諸般ノ調査ニ着手セリ、然ルニ偶々日清戦役起ルニ際シ、不得已一時調査ヲ中止セリ
明治三十一年ニ至リ鉄道国有論起リ衆議院ハ左ノ如ク政府ニ建議セリ

  建議(明治三十二年二月九日)
 鉄道ハ国家最要ノ交通機関ニシテ其経営管理ヲ統一スルカ為ニハ之ヲ国有ニ帰スルヲ要ス、是レ欧州諸邦実例ノ示ス所ナリ、依テ全国幹線ノ私設ニ係ルモノハ時機ヲ図リ之ヲ買収シ、其ノ予定線ノ未設ニ係ルモノハ着手完成シ、以テ鉄道国有ノ実ヲ挙クルノ道ヲ講セサルヘカラス、玆ニ本院ハ政府ニ於テ適当ノ法案ヲ定メ、議会ニ提出セラレムコトヲ望ム、依テ建議ス
政府ハ明治三十二年二月勅令第四十三号ヲ以テ鉄道国有調査会ヲ組織シタリ、本史ノ編纂者タル余○阪谷芳郎モ其調査委員ヲ命セラレタリ、此ニ於テ鉄道国有ノ得失ハ一大問題トナレリ
青淵先生ハ深ク鉄道国有ヲ非トセリ其時事新報記者ニ語ル所左ノ如シ
 軍事上ヨリノ立論テ官有ニスルカ宜シイト云フコトニ就テハ、余ハ軍事ニ掛ケテハ全ク素人テアルカラ彼レ此レハ申サナイカ、日本ノ形勢ハ独逸ヤ仏蘭西抔ト違テ居ル、既ニ違テ居ルトスレハ国防上ノ攻守ニモ自カラ違ハナケレハナラヌ、タカラシテ独逸カ官有テアルカラ日本モ其通リニスルカ可イト云フ論ハ立タナイ、併シ軍人トシテハ参謀本部ノ人々モ陸軍省ノ人々モ鉄道ノ官有ヲ主張スルテアラウ、是レハ当リ前ノコトテ、軍人ハ予テノ持論テアルカラ時機サヘアレハ然ウシヤウトノ念慮テ、今度民間ノ人々カヤツヤト云フカラ軍人ハ其レヲ利用シテ年来ノ本願ヲ達シヤウト云フノテスカラ無理ハナイカ、民間ノ人々ト云フ中ニハ真ノ実業家モ幾分カハアルカ知ランカ、大概株屋連中テアルカラ其レ等ノ人々ハ軍人ヲ利用シ又政
 - 第9巻 p.681 -ページ画像 
治家ヲ利用シテ株ノ値ヲ上ケヤウト云フノカ本心テ、外ニ何モナイ株屋連中ハ随分熱心テアラウカ、私ハ官有論ニハ全ク反対テアル、其レタカラ先年吾々ハ官設鉄道ノ払下ヲ願ヒ出タコトテ今日モ同論テアル、其次第ハ日本ノ鉄道ハ幸ヒニ残ラス官設テナカツタ為ニ今日ノ発達ヲ為シ、延長三千二百哩ニモナツタノテアル、若シ万一ニモ私設ヲ許サナカツタナラハ、恐ラク今日其半数即チ千六百哩ニモナラヌテアラウ、而シテ大体ニ於テ斯フ云フコトヲ考ヘネハナラヌ国ノ進歩発達ニ大関係アル運輸交通ノ機関ハ、軍隊ノ輸送ヲ目的トスヘキカ、将タ商工業ノ平時輸送ヲ目的トスヘキカト云フコトテアル、日本ノ地形ハ前ニモ申シタ通リテアルカラ、戦時テモ違ツテ居ル上ニ、目的ハ確カニ旅客貨物ノ運輸ニ在テ、国ノ進歩発達ヲ期スル外ハナイ、然ウテナイトスレハ、東海道ノ線路ヲ廃シ、首府モ甲州ノ山ノ中ヘ移サネハナラヌト云フコトニナラウ、ソンナ馬鹿気タコトカアルモノテスカ、鉄道ノ目的ハ商工業ノ発達ニ在ツテ、昼夜間断ナク之レニ由ルモノテアルカラ、五十年ニ一度カ百年ニ一度カアル軍事ノ為メニ国ノ進歩発達ヲ妨ゲルヤウナコトカアツテハナラヌ、之ヲ妨ケタナラ軍備ノ拡張モ何ニモ出来ハシナイ、妨ケスニ苟クモ発達サスル手段カアレハ、ズンズン便宜ヲ与ヘテ発達スレハ軍備ノ拡張テモ何テモ出来ル、其レカ充分出来ルヤウニナレハ其国力ニ依リテ戦争ハセスニ済ムコトモアラウ、其レヲ官有ニシタラ国ノ進歩カ鈍クテモ戦争ヲセスニ済ムコトカアラウカ、又外資ヲ入レナクテモ済ムコトカアラウカ、却テ急キ外資ヲ入レサセ、其上ニ国ノ進歩カ鈍イ為ニセストモ宜イ戦争マテモセナケレハナラヌコトニナラウ、斯ンナ可笑シナ咄ハナイ、余ハ先年モ同シコトテ、鉄道官有論ニ全ク反対テアル、云々


時事新報 第三九九三号〔明治二七年六月一三日〕 ○官設鉄道払下の相談会(DK090063k-0002)
第9巻 p.681-684 ページ画像

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時事新報 第三九九八号〔明治二七年六月一九日〕 ○官設鉄道払下の相談会(DK090063k-0003)
第9巻 p.684-686 ページ画像

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時事新報 第四〇〇五号〔明治二七年六月二七日〕 ○鉄道民有方法調査委員会(DK090063k-0004)
第9巻 p.686 ページ画像

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時事新報 第四〇一〇号〔明治二七年七月三日〕 ○鉄道民有方法調査委員会(DK090063k-0005)
第9巻 p.686-687 ページ画像

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時事新報 第四〇一八号〔明治二七年七月一二日〕 ○鉄道民有方法調査委員会(DK090063k-0006)
第9巻 p.687 ページ画像

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〔参考〕中上川彦次郎君 (菊池武徳著) 第六七―六九頁〔明治三六年七月〕(DK090063k-0007)
第9巻 p.687 ページ画像

中上川彦次郎君 (菊池武徳著)第六七―六九頁〔明治三六年七月〕
    山陽鉄道会社社長
○中略
鉄道民有の主義は蓋し君の持説にして、又君の創唱したる所なり、事は明治廿七年君が既に山陽○鉄道を辞し、三井に入りたる後のことなれども、因みて爰に其次第を略述せん、民間の事業家動もすれば金融の繁忙なるに襲はれて民業自立の精神を固持する能はず、鉄道の如きも国有を希望する者こそ多き中に、君の意見は全く之に反して、夙に官設鉄道払下の計画を抱けり、蓋し其趣意は、我国鉄道事業の尚ほ幼稚なりし時代にあつては政府に依頼して便宜を仰ぎ、鉄道庁に出入して指南を受けたることなれども、爾後商工業の発達と共に運輸機関も日進月歩して師弟地を替へ、私設却て官設に勝るの点あるのみならず、将来の発達進歩を想像すれば官府の吏習の陋なるよりも民業の活溌なるに如かざるや疑ふ可らず、加ふるに政府にては歳計予算の関係上より一改良一拡張も帝国議会の協賛を俟たざる可らざるが故に、当局者が心に思ひながらも実地に行ひ得ざること多く、為めに必要欠く可らざる運輸の機関にして商工業の発達に伴はざるの弊を免れず、国利民福の為め一大欠点たるに相違なければ、速に之を民間に売渡す可し、扨その計算は既成線買受代金三千六百万円、複線布設車輛増加及び停車場の改良拡張に充つるな《(た)》め金千四百七拾万円、新に敷設すべき線路費金四千八百五十万円、合計一億円これを一株百円として百万株の大会社を組織するときは一見恰も金融界に一大変動を来たすが如くなれども、政府が其得る所を以て公債を消却するときは公債の持主が株主と変ずるのみ、爾後は必要に随ひ漸次払込をなすとすれば何等の影響ある可らず、而して株主は五朱以上の利子を受く可しと云ふに在り、乃ち渋沢栄一・末延道成等と共に発起人となり、民間の錚々たる有力者金満家に謀りて同意を求め、鉄道民有調査会なる者を設けたりしが日清戦争の事起りて其目的を達するに至らず○下略