デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

2章 交通
2節 鉄道
31款 鉄道関係諸資料 4. 鉄道諸問題
■綱文

第9巻 p.688-694(DK090067k) ページ画像

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■資料

東京経済雑誌 第三四巻第八四三号・第五一三―五一四頁〔明治二九年九月一九日〕 ○広軌鉄道と商業会議所(DK090067k-0001)
第9巻 p.688-689 ページ画像

東京経済雑誌 第三四巻第八四三号・第五一三―五一四頁〔明治二九年九月一九日〕
    ○広軌鉄道と商業会議所
今春来東京商業会議所に於て広軌鉄道問題に付き、其議員を設け種々調査の上、鉄道局運輸課長仙石貢氏並山陽鉄道の南清氏、日本鉄道の
 - 第9巻 p.689 -ページ画像 
毛利重輔氏等各々専門家の人々を招きて其利害を研究審議しつゝありしが、該調査委員中渋沢栄一・今村清之助・益田孝・朝吹英二・岡部広氏等は大躰広軌鉄道に同意賛成なるも、独り渡辺洪基氏は我国の鉄道を広軌に変更するは時機尚早しとて痛く反対し、去十五日の同調査委員会に於ては、我国現今の鉄道に於て、仮令ひ之れを複線とし且つ貨車滊関車を増加するとするも、尚且つ物貨旅客の運搬に不足を訴ふる事情あり、殊に鉄道発達の今日に之を改め、又は将来許可を得る鉄道をして現今の制度に依りて之を敷設せば、我国の鉄道は最早広軌に変するの時機を失すべければ、広軌鉄道の問題は一日も之を等閑に附す可らずとて、終に、現今の鉄道規則を改正することに決定したり、而して官設線を広軌に変することは左迄至難に非らざる《(も脱カ)》日本・両毛・関西・山陽諸鉄道の如き幹線を同じく広軌に変更せしむるにあらざれば広軌鉄道の功用を全からしむる能はず、去りとて一片の法律を以て広軌に変更することも情に於て忍びざることなれば、何れも其変更敷設費の補助を与へざる可らず、此等は今日に於て国庫の許すべき問題なるや否、能々研究を要することなるを以て、政府に於て速に朝野の鉄道経験家並びに経済家等より各委員を選任して該調査会を開設せられ、一日も早く広軌鉄道に変更すべき方法を研究調査せんことを逓信大臣に建議することに決定したりと云ふ


東京経済雑誌 第三四巻第八五一号・第八六一―八六二頁〔明治二九年一一月一四日〕 ○鉄道企業に関する建議(DK090067k-0002)
第9巻 p.689-690 ページ画像

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東京経済雑誌 第三四巻第八五六号・第一〇六六―一〇六七頁〔明治二九年一二月一九日〕 ○私設鉄道許否の諮問(DK090067k-0003)
第9巻 p.690-691 ページ画像

東京経済雑誌 第三四巻第八五六号・第一〇六六―一〇六七頁〔明治二九年一二月一九日〕
    ○私設鉄道許否の諮問
目下逓信省に向ひて鉄道敷設許可の申請を為せるものは二百十余件にして、其の哩数は二千哩に近く、其の工費は数千万円なり、勿論其の内には却下せらるゝものも少からざるべしと雖も、許可すべきものも甚だ少からず、鉄道局に於て撿案査定せし所に拠れば、二百十余件中三分の一半乃至三分の二は之を許可するも可なりと云へり、然るに内閣総理大臣松方伯は近時の経済事情よりして斯く多数の私設鉄道を許可するを不可と為し、其の趣を野村逓信大臣に通じたり、是れ近時政府部内に所謂私設鉄道に対する消極的方針の議なるもの起りたる所以にして、消極的方針の趣旨は私設鉄道を許可するも、今日の経済事情に於ては実際多数の敷設を見ることなかるべけれども、既に鉄道の工費少からざるものあるに於ては、人心疑惧するを以て、貨幣市場は不利の影響を免かれざるべし、特に今後続々其の敷設を見るが如きことあるに於ては、輸出入の不平均益々甚しきを加へ、其の結果として経済上に如何なる紛乱を惹起するや知るべからずと云ふに在り、而して野村子は此の反対に対し抗議を試むること能はざりしのみならず、頗る疑惧の念を発したるにや、去る十四日を以て開きたる鉄道会議に諮問するに、現今の経済事情に於て私設鉄道を許否するの方針如何を以てせり、而して直ちに其の諮問案に就て会議を開きたるに、議員曾我祐準氏は反対して曰く、本員は逓信大臣が斯る諮問案を本会議に提出したるを怪しむ、夫れ鉄道会議は逓信大臣が許否の方針を定め、其利害を参考の為め諮問するの機関たるに過ぎざるにあらずや、然るに逓信大臣は自ら許否の方針を定むること能はずして、斯る漠然たる問題を提出せしものなれば、我々は之を審議せず、此儘逓信大臣に返却すべし云々と、然れども此の議論は過激なりとて之を否決し、特別委員九名を選定して諮問案の審査を付托することに決し、左の諸氏を委員に挙げたり
 渋沢栄一・中上川彦次郎・三野村利助・原善三郎・浜岡光哲・山本
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亀太郎・金子堅太郎・阪谷芳郎・鳩山和夫
抑々逓信大臣の鉄道会議に諮問する事柄は、大臣の撰択に任じて毫も制限する所なし、故に野村子が之を諮問したるは決して違法の処置にあらず、随ひて鉄道会議は之に答申せざるべからずと雖も、余輩は此の諮問案に感服せざるのみならず、寧ろ斯る諮問案の提出せられたることを惜まざるべからず、何となれば近時の経済事情に鑑みて私設鉄道の許可を制限せんとするが如きは全く杞憂にして、一顧を与ふべきの価値あらざればなり、夫れ今日の済事情《(経脱)》に於て鉄道企業の困難なるや論を俟たずと雖も、苟も許可して差支なきものは悉く之を許可し、其の成否は専ら自然の趨勢に任すべきのみ、何ぞ政権を以て之を制限するを要せんや


東京経済雑誌 第三五巻第八六二号・第二〇九頁〔明治三〇年二月六日〕 ○鉄道企業許否に関する東京商業会議所の建議(DK090067k-0004)
第9巻 p.691 ページ画像

東京経済雑誌 第三五巻第八六二号・第二〇九頁〔明治三〇年二月六日〕
    ○鉄道企業許否に関する東京商業会議所の建議
又東京商業会議所にては鉄道企業の許否に関し左の建議を内閣総理大臣及び逓信大臣へ呈出せり
    鉄道企業許否の義に付建議
 謹で按ずるに、鉄道企業者が監督官庁に向て鉄道の布設を出願するに当り其許否の遅速は、国家の経済上に至大の影響を及ぼすものなくんばあらず、今従来の経験に徴するに、一たび鉄道の敷設を出願してより其許否の指令を得る迄には、遅きは二年を出で早きも一年を過ぐるの実況あり、斯の如く其許否遷延して企業の線路世間に発表せざるが為め、此間同一の線路に対して多数の競争線を生じ企業者の間に無用の紛争を醸すことあり、又其許否甚しく遷延するよりして遂に企業者をして無益の費用を負担せしむることあり、殊に鉄道事業に関連して発起せる他の事業の如きは其鉄道の許否決定せざるより、不得止之が進行を遅緩して為めに其事業に少からざる障碍を受くることあり、凡此等皆鉄道企業に対する許否の遷延より生ずる結果にして、独り企業者の困難に止らず国家経済上に及ぼす所の影響決して少々にあらざるなり、之を要するに、政府が鉄道企業の出願に対し許否を遷延せらるゝは結局国家の不利たるを免れざるに付、今後政府は鉄道企業の出願あるに際しては速に之を審按せられ許すべきは直に之を許し、許すべからざるは直に之を却下すると云ふが如く、可成速に許否の指令を下附するの方針を執られんことを希望す、此段本会議所の決議に依り建議仕候也


東京経済雑誌 第三五巻第八六二号・第二〇八―二〇九頁〔明治三〇年二月六日〕 ○広軌鉄道に関する東京商業会議所の建議(DK090067k-0005)
第9巻 p.691-693 ページ画像

東京経済雑誌 第三五巻第八六二号・第二〇八―二〇九頁〔明治三〇年二月六日〕
    ○広軌鉄道に関する東京商業会議所の建議
東京商業会議所に於ては広軌鉄道問題に関し、左の建議書を逓信大臣に呈出せり
    広軌鉄道の義に付建議
 謹で按ずるに、鉄道の商工業の発達上極めて必要の機関たるは今更に呶々を要せざる所にして、苟も今日世界の競争場裏に立ちて列国と商権を争はんとする者は勉めて其機関の改良を図り之をして益々
 - 第9巻 p.692 -ページ画像 
敏活ならしむるの策を講ぜざるべからず、是欧米諸国が常に孜々として鉄道機関の完備に力を致す所以なり、近時我国の鉄道事業は漸く進歩して其成績頗る見るべきものありと雖ども、熟ら実際の景況に徴するに、其線路の延長年を逐て増進するに拘はらず往々運輸の渋滞を免かれざるの憾あり、是其施設方法敏活を欠くを以て運搬力未だ全く発達せざるの結果たらずんばあらず、今や我国の商工業は比年漸く増進し運輸の程度は益々其繁を加ふるの趨勢あり、此際に当り鉄道機関に改良を加へ以て其運搬力を強大ならしむるの計を為すは国家経済上の大急務なりと謂はざるべからず
 我国の鉄道機関を改良するの方法一にして足らず、例へば車輛を増加し停車場を増置し複線を敷設するが如き亦自ら一手段たるべし、然りと雖ども此等の方法のみを以て能く我国運輸の程度に応じ、充分運搬力を強大ならしむるの効果を奏するを得べきや、是本会議所が前途大に懸念に堪へざる所なり、今試に我官線・日本・山陽・九州・筑豊・甲武・両毛・関西・大阪の諸鉄道を以て欧洲諸国現在の鉄道に比すれば、其平均に於て我が程度は英・白・独・露の次に位するのみにして仏・伊・澳・蘭の如きは共に我に及ばず、若し単に我が東海道の一線を以てするときは、我平均数は最も旺盛なる英・白の平均数に対して纔に遜色あるに過ぎず、勢已に是の如し、本会議所は此際更に進で我が鉄道機関に一大改良を規画せんことを望まざるを得ざるなり
 然らは則ち如何せは我か鉄道機関をして能く一大改良の実を挙げしむるを得べき乎、此疑問を決定せんと欲せば宜しく先づ現行狭軋道《(軌)》の制を廃して広軌道の制を採用するの得失如何を講究せざるべからずと信ず、蓋し広軌道は狭軌道に比して列車の容量と速度とに於て優所あるが故に、随て貨物の運輸上大に時間と費用とを節し得るの利益あるは最も看易き所なりと雖ども、此広軌道の制度を移して我国現今の鉄道に施行するの方法如何は最も審案を要する所の問題なり、故に本会議所は今我が鉄道機関に一改良を加へんとするに方り先つ此問題を審按せんことを希望して已まさるなり
 然り而して本会議所は特に今日に於て此問題を審按するの急要を認むるなり、蓋し軌道一たび設定するに於ては之を変更すること頗る難事に属す、現時我国の鉄道は官設私設を合して其延長二千余哩に達したるの際に於て、之を改築すること決して易々たるの業にあらず、加ふるに今や東海道複線の敷設将に近きに在らんとし且つ、官私鉄道の現に敷設に着手せるもの及ひ将に敷設せられんとするもの亦正に無慮数千哩に達せり、若し此等の線路成るの後に至り之を改築せんとするときは、更に幾層の困難なくんばあらず、故に若し今日現在の狭軌道を以て満足すべしとせば、則ち止む、苟も然らずして広軌道に改築するを以て国家に利益ありとせば、此等の線路の未だ成らざるに先ち之を断行するは策の最も得たる者なり、左れは今日は此問題を決定すべき時機の頗る切迫せるものと謂はざるを得ず顧ふに此問題は経済上のみならず政治上軍事上にも亦至大の関係を有し、且つ之を決定するには技術上特種の調査を要するものあり、
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故に政府は此際軌道調査会議なるものを設置し、朝野の学識経験に富む者を選抜して委員を組織し、此等委員をして充分軌道の得失を調査せしめ、我国今日の鉄道に対して広軌道の制を施行するの方法確立するに於ては速に之を決行せられんことを望む
 右本会議所の決議に依り建議仕候也


子爵谷干城伝 第六六七―六七一頁〔昭和一〇年四月〕(DK090067k-0006)
第9巻 p.693-694 ページ画像

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