公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第11巻 p.139-140(DK110027k) ページ画像
明治15年4月(1882年)
栄一、製紙所聯合会ヲ代表シ、洋紙輸入税ヲ引上ゲンコトヲ外務卿井上馨・大蔵卿佐野常民ニ請願ス。
王子製紙株式会社回顧談 (男爵 渋沢栄一) 第四五―四六丁(DK110027k-0001)
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王子製紙株式会社回顧談 (男爵 渋沢栄一) 第四五―四六丁
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一一、同業会議と紙価協定及び舶来紙防遏策
○上略
明治十五年に入つては第四回聯合会を四月三日に開き、本社より谷支配人・大川平三郎両氏出席して、諸物価低落を酌量し、四月十日から最低紙価拾参銭を拾弐銭五厘と為すことを決議した。而して同月十八日に再び臨時会を開き、本社の谷支配人・トーマス・ウヲルシユ・梶川・高木・真島・磯崎の六氏集合し、嚢に洋紙輸入税の出願を相談して置いたのを、本社が托されて其の願書の草案を作つたので、それを議席に提出して一閲の上可決し一同調印して、此を渋沢の手許から外務・大蔵両卿へ進達して貰ひたいと云つて来た。依つて自分は此を両省に進達して其の手続きを了した。此の頃輸入洋紙に対しては、運賃其の他諸掛を算入せぬ紙価五分の関税であつたから、此の出願をしたのであるが、固より条約改正は容易に出来得べきことでないと知りつゝも、斯かる企望を抱いたのは、製紙業の苦痛の甚だしかりしを知るの一証左である。○下略