デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

明治26年8月8日（1893年）

当会社商法ノ施行ニ因リテ定款ヲ改正シ、日本煉瓦製造株式会社ト改称ス。尋イデ栄一取締役会長ニ就任シ、此後毎期重任シテ明治四十二年六月ニ至ル。

日本煉瓦製造会社報告　　第一〇回（明治二七年一月）
　　　　株主総会ノ事
明治廿六年八月八日定式及臨時株主総会ヲ開キ、同年一月一日ヨリ《（マヽ）》七月三十一日ニ至ル半期間業務上ノ景況及諸勘定ノ報告ヲナシ、及商法実施ニ付定款改正草案ヲ議決セリ
右之通相違無之候也
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　　明治廿七年一月
　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事　　藤本文策
　　　　　　　　　　　　　　　　　　同　　　益田孝
　　　　　　　　　　　　　　　　　　理事長　渋沢栄一
　　　　株主各位御中

第三課文書類別　会社己明治二十七年　　　　　（東京府庁所蔵）
　　　　登記済ニ付御届書進達願
本社明治二十七年六月二日京橋区裁判所ニ於テ、別紙写之通登記相済候ニ付、農商務大臣江御届致度候間、別紙御進達被下度此段奉願候也
　　　　　　　　　　　日本橋区小網町弐丁目壱号地
　　明治廿七年六月四日　　　　日本煉瓦製造株式会社　社印
　　　　東京府知事　三浦安殿

　　　　登記済ニ付御届書進達願
　一社名　　　　　　　　　　　日本煉瓦製造株式会社
　一営業所　　　　　　　　　　東京市日本橋区小網二丁目一号地
　一会社ノ種類及本店又ハ支店　株式会社本店
　一会社ノ目的　　　　　　　　洋式ノ機械及焼窯ヲ以テ各種ノ煉瓦石ヲ製造シ広ク公衆ノ需用ニ供ス
　一会社設立免許ノ年月日　　　既設明治廿六年十二月廿八日定款認可
　一会社開業ノ年月日　　　　　明治廿二年七月一日
　一会社存立時期　　　　　　　明治廿年十月廿五日ヨリ明治五十年十月廿四日迄　満三拾ケ年
　一資本総額金　　　　　　　　弐拾弐万円
　一株式ノ総額　　　　　　　　弐千弐百株
　一株ノ金額　　　　　　　　　金百円
　一払込金額　　　　　　　　　金百円
　一取締役ノ氏名住所
　　東京市日本橋区兜町二番地　　　　渋沢栄一
　　東京府荏原郡北品川三百十二番地　益田孝
　　東京市芝区網町九番地　　　　　　藤本文策
　　　　以上参名

第三課文書類別　会社戊明治二十七年　　　　（東京府庁所蔵）
当会社定款別紙之通改正致度候間、其筋江御進達被成下度、此段奉願候也
　　　　　　　　　　　　　　日本橋区小網町弐丁目壱号地
　　明治廿六年十二月廿日
　　　　　　　　　　　　　　　　日本煉瓦製造会社理事長
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　渋沢栄一
＊　　　東京府知事　三浦安殿
　　右出願ニ付奥印候也
＊＊　　　　　　　　　　東京市日本橋区長　大胡純　長印
　欄外記事
　　＊損失ヲモ扣除シ且準備金ヲモ扣除スヘシ　卅八条
　　＊＊清算人ノ職務権限ハ商法ノ規定ニ依ルモノトス　卅九条

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　　日本煉瓦製造株式会社定款
　　　第一章
第一条　当会社ハ明治廿年十月廿五日ノ創立ニシテ日本煉瓦製造会社ト称セシヲ、玆ニ日本煉瓦製造株式会社ト改称ス
第二条　当会社ハ本社ヲ東京市日本橋区小網町二丁目壱号地ニ置キ、工場ヲ埼玉県榛沢郡大寄村大字上　ニ設ク
第三条　当会社ノ営業ハ洋式ノ機械及焼窯ヲ以テ各種ノ煉瓦石ヲ製造シ、広ク公衆ノ需要ニ供スルヲ以テ目的トス
　　　但当会社製造品其他一般貨物ノ運搬業ヲ営ムコトアルベシ
第四条　当会社ノ資本金ハ弐拾弐万円ニシテ之ヲ弐千弐百株ニ分チ、一株ヲ百円トナシ株主ノ責任ハ其株金高ニ限ル
第五条　当会社ノ営業年限ハ明治廿年十月廿五日ヨリ満三十ケ年トシ期限満了ノ際、株主ノ決議ヲ以テ営業ヲ継続スルコトヲ得
○下略

（日本煉瓦製造株式会社）営業報告　　第一一回（明治二七年七月）
　　　　庶務報告
株式惣会ノ事　明治廿七年四月十三日通常及臨時総会ヲ第一国立銀行楼上ニ開キ、明治廿六年下半期諸勘定及事業報告ヲ為シ、亜テ取締役及監査役ノ選挙ヲ行フタルニ、取締役ニ渋沢栄一・益田孝・藤本文策ノ三氏、監査役ニ芦田順三郎・松下一郎右衛門ノ二氏当選上任セリ○下略

（日本煉瓦製造会社）営業報告書　第二三回（明治三三年七月）
　　　　株主総会
明治三十三年一月二十九日定時株主総会ヲ当社内ニ開キ、前期間ノ営業報告ヲ為シ、利益金ノ分配ヲ壱株ニ付金参円（年壱割弐分）ニ議決シ、次ニ取締役及監査役共任期満了ニ付改選セシニ、一同従前ノ通リ再選重任セリ

（日本煉瓦製造会社）営業報告　　第二九回（明治三六年七月）
　　　　株主総会
一明治三十六年一月十九日定時株主総会ヲ本社内ニ開キ、昨年下半期間ノ営業報告ヲ為シ、利益金ノ分配ヲ壱株ニ付金参円（年率壱割弐分）外ニ臨時配当トシテ壱株ニ付金壱円（年率四分）ニ議決シ、次ニ取締役及監査役共任期満了ニ付改選セシニ、前任諸氏何レモ再選重任ス
　　○日本煉瓦製造株式会社「営業報告書」第十七回及ビ第三十五回ハ同社ニ所蔵セザレドモ、ソノ前後ノ「営業報告書」ニ取締役会長トシテ栄一ノ名ヲ記セリ。

庶政要録　　工会社明治廿五年　　　　　　（東京府庁所蔵）
　　　　御願書
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当会社定款中第弐拾参条外弐ケ条、今般当会社株主惣会之議決ニヨリ別紙朱書ノ通改正仕度候ニ付、御許可被成下度、此段奉願上候也
　　　　　　　　　　東京日本橋区小網町二丁目壱号地
　　　　　　　　　　日本煉瓦製造会社理事長
　　明治二十五年一月十八日　　　　　　　渋沢栄一印
　　　　東京府知事　富田鉄之助殿
　右出願ニ付奥印候也
　　　　　　　　　東京市日本橋区長竹村尚義印
（別紙）
　　　　日本煉瓦製造会社定款
第弐拾参条　当会社傭員ノ職名左ノ如シ
　　庶務部
　　　支配人
　　　書記
　　　会計方
　　工業部
　　　監督
　　　副監督
　　　機関師　機関手
　　　配置師　配置手
　　回漕部
　　　主事
　　　主事補
　　　　　手代
但シ書記会計方ハ便宜他ノ課ヲ兼務代任セシムルコトアルヘシ
（朱書）
第弐拾参条　当会社傭員ノ職名左ノ如シ
　　庶務部
　　　支配人
　　　書記
　　工業部
　　　監督
　　　技師
　　　技手
　　回漕部
　　　支配人
　　　手代
　　但シ支配人以下諸傭員ハ便宜各課ノ事務ヲ兼勤代任セシムルコトアルヘシ
第弐拾四条　支配人ハ理事長ノ命ヲ受ケテ当会社ノ庶務一切ヲ担当シ諸傭員ヲ督励シテ業務ヲ暢達整頓ノ責ニ任スヘシ
（朱書）
第弐拾四条　支配人ハ理事長ノ命ヲ受ケ当会社庶務部ニ属スル事務一切ヲ担当シ、部員ヲ統督シテ業務ヲ暢達整頓スルノ責ニ任スヘシ
　監督ハ理事長ノ命ヲ受ケ当会社工業部ニ属スル事務一切ヲ担当シ、部員ヲ統督シテ業務ヲ暢達整頓スルノ責ニ任スヘシ
第弐拾七条　書記及監督以下ノ傭員分掌ノ事務及其規程ハ理事員会ノ
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議決ニ拠リ、当会社ノ営業規則ヲ以テ之ヲ定メ置クヘシ
（朱書）
第弐拾七条　各部事務ノ分界及書記以下傭員ノ職務ニ関スル規程ハ、理事員会ノ議決ニ拠リ当会社ノ営業規則ヲ以テ定メ置クヘシ