デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
15節 造船・船渠業
3款 横浜船渠株式会社
■綱文

第12巻 p.10-32(DK120002k) ページ画像

明治22年6月14日(1889年)

是ヨリ先明治二十年頃、栄一、益田孝・吉川泰二郎・渡辺福三郎等ト共ニ横浜・神奈川間ノ地ニ船渠会社ヲ計画セシニ、偶々原六郎・原善三郎・来栖壮兵衛・茂木惣兵衛等モ亦横浜ニ横浜埠堤会社ヲ興サントセリ。依ツテ栄一ハ神奈川県知事沖守固ニ宛テ、右横浜組トノ合同提携ヲ欲スル旨ヲ申入レタリ。此ニ於テ両者発起人代表者等ハ合同発起ニテ横浜船渠会社ノ創立ヲ決シ、是年四月二十三日横浜町会所ニ発起人総会ヲ開ク。栄一創立委員ニ選バル。是日栄一外三十二名ノ連署ヲ以テ沖県知事ニ横浜船渠会社創立願書ヲ提出シ、明治二十四年六月四日認可セラル。


■資料

青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第六三―六四頁 〔明治三三年六月〕(DK120002k-0001)
第12巻 p.10 ページ画像

青淵先生六十年史(再版) 第二巻・第六三―六四頁〔明治三三年六月〕
 ○第二十七章 造船業
    第三節 横浜船渠会社
横浜船渠株式会社ハ青淵先生・原善三郎・原六郎・西村喜三郎・小野光景・大倉喜八郎其他二十七名ノ発起ニ係リ、明治二十四年五月ヲ以テ創立シタルモノニシテ、其目的ハ専ラ船渠及製鉄工場ヲ建設シ、船舶及船舶ノ機関諸器械ヲ修繕又ハ新造スルヲ以テ営業トスルニアリ、而シテ其資本金ハ三百万円ナリ
○下略


原六郎翁伝 (原邦造編) 中巻・第三六五―三六八頁〔昭和一二年一一月〕(DK120002k-0002)
第12巻 p.10-12 ページ画像

原六郎翁伝(原邦造編) 中巻・第三六五―三六八頁〔昭和一二年一一月〕
 ○第十章 其他の企業興隆に対する翁の貢献
    第二節 横浜船渠会社
○上略
 しかるに同じ頃東京の実業家達の間でも渋沢栄一氏を中心に同じやうな計画が進められてゐた。即ち横浜・神奈川の間に地を卜して船渠専門の一大会社を設立しようと云ふのである。偶々埠堤会社設立を企てつゝある横浜組の話を耳にして、東京組の代表者渋沢栄一氏から沖知事へ宛てゝ早速横浜組との合同堤携の申込状が舞ひ込んだ。翁○原六郎の日記に次のやうな記事がある。
 「明治二十年六月十四日……横浜ドツク築造に付、渋沢栄一より沖知事に書面来る。云く横浜築港の事に付原六郎等へ打合度、又知事へも打合度云々。ドツク場所は横浜神奈川間に云々」
 この渋沢氏の手紙が届いて暫らく経つた七月五日、東京組の使者吉
 - 第12巻 p.11 -ページ画像 
川泰助氏と横浜組の代表者たる翁並びに朝田又七氏との第一次会見が横浜の富貴楼で行はれた。翁等は横浜埠堤会社発起の経緯を審さに吉川氏に物語り、海外貿易の益々発展せんとする折柄東京組も亦是非この国家的事業たる当方の計画に参加して利益・公益を謀られ度いと申出た。しかるに、吉川氏は云ふ「ドツクは私立にすべきは勿論であるが、桟橋建設のやうな築港事業は当然政府の手で行はるべきで、船渠と築港とを同時に建築しようと云ふやうな企ては実現困難ではなからうか」と。併し種々談合の末とにかくこの計画は東京・横浜両地の実業家合同して進めることを互に約束し、社長渋沢氏の同意を求めるべく即日吉川氏は帰京した。
 この事あつて後横浜組の間にも船渠中心説を主張する東京組の意見に賛成する声が高くなつた。その後翁が原善三郎氏と共に直接渋沢氏を東京の第一銀行に訪ね、横浜船渠会社設立について協議を遂げたのは翌明治二十一年、既に一度横浜船渠会社創立願書の提出された後の九月二十七日であつた。その日の翁の日記に曰く、
 「……原善三郎同車し一時半第一銀行に行き渋沢栄一に面会、横浜ドツクを設立するに付先般談示の東京発起人も共に創立に参加する事の相談なり。暫く互に従来の手続を談示したる末、渋沢は不日東京の有志者を纏め参加すべし云々。」
 かくして東京・横浜両組の提携が成立し、横浜町会所に横浜渠船会社発起人総会の開かれたのは更にそれから数ケ月を経た翌明治二十二年四月二十三日であつた。発起人総数三十三名の内、創立委員として横浜組からは翁の外六名が、東京組からは渋沢栄一氏の外二名が選ばれ、その前々日の夜に横浜側委員の手で予め作成しておいた創立規約定款並びに株金募集の手続を附議し、二三修正の上決定した。それによれば会社の目的は最初の計画たる桟橋建設を全く捨て専ら船渠及び製鉄工場を建設し、船舶の機関諸器機を修繕又は新造するを以て営業とすることゝなり、その資本金を三百万円に改められた。
   横浜船渠会社創立願書○略ス
 その後も翁は「明治二十二年十二月十八日風邪、病気を押して船渠会社へ立寄り、マキミラン並にパーマーに面談。吉川・朝田・来栖等と船渠設計に付協議せり」といふ様な手記にも窺はれるやうに、正金銀行頭取としての多忙な時間を割いて、屡々船渠会社創立事務所を訪れ、非常な熱意と関心とを以てこの事業に尽力した。かくして明治二十四年六月には政府の諒解を得、資本金五十万円を以て、会社を創立し、パーマー氏の設計に基いて工事に着手する迄に運んだ。○下略
   ○是ヨリ先横浜港ニ桟橋ヲ架設セントシテ、明治十九年八月原六郎ノ奔走ニヨリ小野光景・原善三郎・木村利右衛門・茂木惣兵衛・平沼専蔵等発起人並ニ沖神奈川県知事・有島税関長ハ神奈川県庁ニ参集シ協議ヲ遂ゲタリ。其協議ノ結果当時政府ノ招聘セル英国陸軍工兵将校パーマーニ先ヅ実地測量ヲ依嘱スルコトトナセリ。然ルニパーマーノ調査ニ依レバ、桟橋ノミニテハ到底民間事業トシテ困難タルヲ免レズ、桟橋ト共ニ船渠・倉庫ヲ建設シ併営スルノ必要ナルコトヲ献策シタリ。此ニ於テパーマーノ意見ニ基キ桟橋・船渠・倉庫ノ建設ヲ企テ、明治二十年六月、横浜町会所ニ於テ原六郎・原善三郎・朝田又七・茂木惣兵衛・来栖惣之助等発起人会ヲ開キ船渠
 - 第12巻 p.12 -ページ画像 
建設計画ヲ確定シ、会社ノ名称ヲ有限責任横浜埠堤会社ト定メ、資本金ヲ二百万円ト決セリ。然ルニ当時東京ニ於テ、栄一ヲ中心トシテ横浜・神奈川間ニ船渠会社ヲ設立セント計画シ居リ、原六郎等ノ埠堤会社ハ栄一ヨリ合同設立ノ勧誘ヲ受ケタリ。「原六郎翁伝(中巻)」参照。


横浜船渠株式会社創立関係書類(DK120002k-0003)
第12巻 p.12-24 ページ画像

横浜船渠株式会社創立関係書類
            (三菱重工業株式会社横浜船渠所蔵)
    横浜船渠会社創立願書
横浜船渠会社創立願書昨二十一年五月五日創立委員ヨリ捧呈仕候処、同年八月二十八日御指令ノ次第モ有之候ニ付、爾来発起人等協議ノ上英国陸軍工兵少将ヱツチ・スペンサー・パルマル氏ニ船渠建設地ノ実測及築造計画書ノ調査委嘱候処、此程同氏ヨリ報告有之候ニ付、発起人ニ於テ別冊ノ如ク本社創立規約及定款議定仕候間御許可被成下度、御参照ノ為メパルマル氏実測図正写十二葉並ニ築造計画予算書相添、此段奉再願候也
               横浜船渠会社創立発起人
  明治廿二年六月十四日    神奈川県横浜区
                 弁天通三丁目四十九番地
                     原善三郎(印)
                同
                 野毛町四丁目百六番地
                     原六郎(印)
                同
                 南仲通二丁目廿八番地
                     西村喜三郎(印)
                同
                 真砂町四丁目四十九番地
                     戸塚千太郎(印)
                同
                 南仲通一丁目四番地
                     小野光景(印)
                東京府赤坂区
                 葵町三番地
                     大倉喜八郎(印)
                神奈川県横浜区
                 元浜町二丁目十五番地
                     大谷嘉兵衛(印)
                同
                 弁天通三丁目五十五番地
                     大浜忠三郎(印)
                同
                 元浜町一丁目一番地
                     渡辺福三郎(印)
                同
                 本町四丁目六十三番地
 - 第12巻 p.13 -ページ画像 
                     若尾幾造(印)
                東京府牛込区
                 白銀町二十九番地
                     渡部温(印)
                同 本所区
                 小梅村二百三十二番地
                     吉川泰二郎(印)
                神奈川県横浜区
                 弁天通二丁目三十二番地
                     田中平八(印)
                同
                 尾上町五丁目八十一番地
                     高島嘉右衛門(印)
                東京府深川区
                 東町四番地
                     高雄琢磨(印)
                神奈川県横浜区
                 本町四丁目六十九番地
                     馬越恭平(印)
                同
                 弁天通六丁目百五番地
                     来栖壮兵衛(印)
                東京府麻布区
                 本村町百四十五番地
                     山田昌邦(印)
                同 荏原区
                 北品川宿三百十二番地
                     益田孝(印)
                同 麹町区
                 永田町二丁目一番地
                     深川亮蔵(印)
                同 麹町区
                 一番町三十九番地
                     近藤廉平(印)
                同 日本橋区
                 浜町三丁目一番地
                     小室信夫(印)
                同 深川区
                 清住町一番地
                     浅野総一郎(印)
                神奈川県横浜区
                 元浜町一丁目一番地
                     朝田又七(印)
                同
 - 第12巻 p.14 -ページ画像 
                 南仲通一丁目二番地
                     左右田金作(印)
                同
                 弁天通五丁目九十六番地
                     木村利右衛門(印)
                同
                 本町一丁目十四番地
                     箕田長二郎《(箕田長三郎)》(印)
                東京府深川区
                 福住町四番地
                     渋沢栄一(印)
                神奈川県横浜区
                 本町二丁目廿七番地
                     平沼専蔵(印)
                同
                 花咲町二丁目廿八番地
                     樋口登久次郎(印)
                東京府麻布区
                 東鳥居坂町二番地
                     本野盛享(印)
                神奈川県横浜区
                 弁天通二丁目三十番地
                     茂木惣兵衛(印)
                 元横浜区本町外十三ケ町
                  戸長 津田輝坦(印)
    神奈川県知事 沖守固殿

    有限責任横浜船渠会社創立規約
横浜港ニ出入スル船舶ノ便益ヲ謀リ、爰ニ横浜船渠会社ノ創立ヲ発起シ、規約ヲ定ムルコト左ノ如シ
第一条 本社ハ横浜船渠会社ト称シ、神奈川県下横浜内田町海岸ニ設置ス
第二条 本社ハ船渠及製鉄工場ヲ建設シ、船舶及ヒ船舶ノ機関諸器械ヲ修繕又ハ新造スルヲ以テ営業トス
第三条 本社ノ営業年限ハ三十ケ年トスヘシ
第四条 本社ハ有限責任ニシテ、本社ノ負担ニ対シ各株主ノ負担スヘキ責任ハ其所有ノ株券面ノ金額ニ止マルモノトス
第五条 本社ノ資本金ハ三百万円トシ、之ヲ六万株ニ分チ、一株ヲ金五拾円トス
第六条 本社ノ株式ハ発起人ニ於テ総テ之ヲ負担スヘシ
第七条 本社ノ株式ヲ引受クル者ハ保証金トシテ一株ニ付金三円ヲ納ムヘシ、第一回払込期日ニ至リ払込ヲ為サヽル時ハ其保証金ヲ本社ニ没収スヘシ
第八条 本社創立費用ハ各発起人平等ノ出金ヲ以テ一時立替支弁シ、
 - 第12巻 p.15 -ページ画像 
追テ本社創立許可ノ上各発起人ノ引受タル株金ノ内ニ其金額ヲ組入ルヘシ
第九条 発起人ハ発起人中ヨリ創立委員十名ヲ互選シ、総テ創立事務ヲ委托スヘシ
第十条 本社ノ定款ハ発起人ニ於テ制定シ、常議員初期ノ撰挙ハ其定款ニ依リ発起人ニ於テ撰定スルモノトス
第十一条 創立委員ハ本社創立後ト雖モ、常議員ノ撰定セラルヽ迄ハ本社ノ事務ヲ担当スヘキモノトス
右列記ノ条々創立発起人会ニ於テ議定シタル証トシテ左ニ記名調印スルモノ也
                横浜船渠会社創立発起人
  明治廿二年六月五日           原善三郎
                      原六郎
                      渋沢栄一
                        ○外三十名氏名略ス

    有限責任横浜船渠会社定款
   第一章 総則
第一条 本社ハ横浜船渠会社ト称ス
第二条 本社ハ神奈川県下横浜内田町海岸ニ設置ス
第三条 本社ハ船渠及製鉄工場ヲ建設シ、船舶及船舶ノ機関諸器械ヲ修繕又ハ新造スルヲ以テ営業トス
第四条 本社ノ資本金ハ三百万円トス
  但株主総会ノ決議ヲ以テ増減スルコトヲ得
第五条 本社ノ営業年限ハ開業ノ日ヨリ向三十ケ年トス、尤満期ニ至リ株主総会ノ決議ヲ以テ延期スルヲ得ヘシ
第六条 本社ハ有限責任ニシテ、本社ノ負債ニ対シ各株主ノ負担スヘキ義務ハ其株券面ノ金額ニ止マルモノトス
   第二章 株式並株金募集
第七条 本社ノ資本金ハ之ヲ六万株ニ分チ一株金五拾円トス、其半額即チ一株ニ付金弐拾五円ハ常議員会ニ於テ金額及期日ヲ定メ漸次払込マシムルモノトシ、残半額ハ追テ営業ノ都合ニ依リ株主総会ノ決議ヲ経テ払込ヲ定ムルモノトス
  但毎回払込金額及其期日ハ一ケ月以前ニ株主ニ通知スヘシ
第八条 何人タリトモ日本帝国ノ法律ニ服従スルモノハ本社ノ株主タルヲ得ヘシ、其株主タルモノハ本社ノ定款ヲ遵守スヘシ
第九条 本社ノ株券ハ額面五拾円ノ記名証券ニシテ之ニ現払込金高ヲ記入スルモノトス、其雛形左○次頁ノ如シ
第十条 本社ニ株式台帳ヲ備置キ左ノ要件ヲ登記スヘシ
 第一 各株主ノ氏名住所
 第二 各株主ノ株数及株式ノ番号
 第三 株金払込高
 第四 株式ヲ引受ケ又ハ売買譲与ノ年月日
第十一条 本社ノ株式ヲ売買譲与スルトキハ其株券ノ裏面ニ売渡人又
 - 第12巻 p.16 -ページ画像 
ハ譲渡人並買受人ニ於テ記名調印シ、之ニ売買又ハ譲渡証書ヲ添ヘ本社ニ差出シ名義書換ヲ請求スヘシ、本社ハ之ヲ株式台帳ト照合シ相違ナキニ於テハ其書換ヲ為スヘシ、其書換ヲ請フモノハ本社規定ノ手数料ヲ出スヘシ
  但株主死去シ其相続人ヨリ名義書換ヲ請フトキハ、親族又ハ縁故アル者ニテ二名以上ノ保証人ヲ立ツヘシ
第十二条 本社ノ株式ヲ売買又ハ譲与スルモノアルモ、本社ニ於テ名義書換ヲ為サヾル間ハ本社ニ於テハ其株券ノ名義人ヲ以テ株主ト認メ、本社ノ損益ハ総テ其名義人ヲシテ負担セシムヘシ
第十三条 株主其所有ノ株券ヲ損傷シタルトキハ、申出ニ従ヒ新券ト引換フヘシ、若シ紛失シタルトキハ、二名以上ノ証人連署ノ上其番号枚数及紛失シタル事由ヲ本社ニ申出ヘシ、本社ハ直ニ其旨ヲ一週間新聞紙ニ広告シ、三ケ月間ヲ経テ尚ホ発見セサルトキハ新券ヲ交付スヘシ
  但新券ヲ請求スルモノハ本社規定ノ手数料ヲ納メ、其新聞広告料ハ本人ノ負担タルヘシ

図表を画像で表示--

 表面     第何号        有限責任横浜船渠会社株券    印紙   何府県何国何市郡区何町村                  何某殿    右記名者横浜船渠会社ノ定款ヲ遵守シ本社株式ノ内一株即額面金五拾円ヲ引受ケ其株主タルコトヲ証スル為メ此券状ヲ交付スルモノ也      年 月 日       横浜船渠会社           [img 図]社印               社長  何某               支配人 何某    金五拾円     現入金高      第一回   年月日   金円 




図表を画像で表示--

 裏面      株主心得 一 此株式券面上ノ金額ノ半額即チ弐拾五円ハ本社常議員会ノ定ムル期日ニ於テ其定ムル金額ヲ払込ミ其残額即チ弐拾五円ノ払込ノ期日ハ追テ株主総会ノ決議ヲ経テ定ムルモノトス 一 此株金ノ払込ヲ怠リタルモノハ本社定款ニ従ヒ処分スヘシ 一 此株式ヲ売買譲与スルモノハ本社定款ニ従ヒ名義書替ヲ為スヘシ 一 此株券ノ名義人ハ額面ノ未払残額ヲ支払フヘキ義務アルモノトス  年月日  売譲渡人記名調印   買譲渡人記名調印   社長記名調印   支配人記名調印 



 - 第12巻 p.17 -ページ画像 
第十四条 本社ハ自ラ其株式ヲ所有スルコトヲ得ス
第十五条 株金払込ノ期日ニ至リ払込ヲ怠リタルモノハ、百円ニ付一日金四銭ノ割合ヲ以テ利息ヲ納ムヘシ、払込ノ期日ヨリ三十日ヲ過キ尚払込ヲ為サヽルトキハ本社ニ於テ其株式ヲ公売シ、其代金ヲ以テ延滞シタル払込金及其利息並ニ之カ為メ生シタル諸費用ニ充テ、尚不足アレハ之ヲ徴集シ若シ余贏アレハ之ヲ返付スヘシ
第十六条 毎半季決算ノ前日数十五日間ハ株券ノ書換ヲ停止スヘシ
  但日限ハ新聞紙ヲ以テ広告スヘシ
   第三章 役員及其権限
第十七条 本社ノ重役ト称スルモノ左ノ如シ
 常議員  五名以上
    社長  一名
   内
    副社長 一名
第十八条 常議員ハ二百株以上ヲ所有スル株主中ヨリ株主総会ニ於テ投票ヲ以テ撰挙シ、社長副社長ハ常議員中ヨリ互撰スヘシ、社長副社長及常議員ノ任期ハ各三年トシ、再撰ニ依テ重任スルヲ得ヘシ
第十九条 社長副社長及常議員ハ、其任期中各自一己ノ名義ヲ以テ所有スル本社株券二百枚ヲ本社ニ預ケ置ヘシ、此株券ハ任期中売買又ハ譲与スルヲ得ス
第二十条 常議員任期中ニ欠員ヲ生シタルトキハ次回ノ株主定式総会ニ於テ其補欠員ヲ撰挙シ、社長若クハ副社長ニ於テ任期中退職シタルトキハ常議員中ヨリ更ニ互撰スヘシ、其補欠員ノ任期ハ総テ前任者ノ任期ヲ継続スルモノトス
第二十一条 社長副社長ノ給料、常議員ノ手当及旅費ハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
  但支配人以下ノ月給旅費等ハ常議員会ニ於テ之ヲ定ムヘシ
第二十二条 社長ハ本社定款内規及常議員会ノ決議並株主総会ノ決議ニ従ヒ本社営業ノ全体ヲ統理スヘシ
第二十三条 副社長ハ社長ヲ補ケ社長事故アルトキハ其事務ヲ行フヘシ
  但業務ノ都合ニ依リテ欠員スルコトアルヘシ
第二十四条 社長ハ支配人・技師長・技師・技手・職工其他ノ役員雇員ヲ任免黜陟賞罰シ其職務ヲ命スルノ権アリ
第二十五条 社長ハ外部ニ対シ本社ヲ代表シ、諸般ノ願伺届訴訟契約及貸借等総テ其名義ヲ以テ之ヲ為スヲ得ヘシ
  但契約貸借ニ係ル事項ハ本社内規ニ定メタル手続ニ従フヘシ
第二十六条 常議員ハ其会議ヲ以テ本社営業上ノ諸規則及重要ノ件ヲ議決シ、本社営業ノ全体ヲ監督スルノ責ニ任スヘシ
第二十七条 常議員中ヨリ一人ノ専任委員ヲ互撰シ、本社会計ノ整理ヲ監査セシムヘシ
   第四章 株主総会
第二十八条 株主総会ヲ分テ定式・臨時ノ二種トス、定式総会ニ於テハ左ノ事項ヲ為スヘキモノトス
  第一 前半季間ニ係ル本社営業ノ景況、計算其他該半季間ニ起リ
 - 第12巻 p.18 -ページ画像 
又ハ為シタル主重ナル事項ヲ、社長ヨリ報告スルコト
  第二 利益金分配方ヲ議決スルコト
  第三 常議員ヲ撰挙スルコト
 臨時総会ニ於テハ左ノ事項ヲ議決スルモノトス
  第一 資本金増減ノコト
  第二 本社株金残半額払込ノ事
  第三 任意ノ解散又ハ営業年限延期ノ事
  第四 定款変更改正ノ事
  第五 前四項ノ外本社ノ興廃ニ関スル事
第二十九条 定式総会ハ毎年一月・七月ノ両度之ヲ開クヘシ
第三十条 臨時総会ハ社長・常議員ニ於テ必要ト認ムルトキ、又ハ株主人員二十名以上ニシテ其所有株数本社総株数十分ノ二以上ニ当ル者ヨリ請求スルトキハ、之ヲ開クヲ得ヘシ
第三十一条 株主中ヨリ前条ノ請求ヲ為ストキハ、其会議ヲ要スル事件目的ヲ記載シタル書面ヲ常議員ニ差出スヘシ、若シ常議員ニ於テ其請求書ヲ受取タル後理由ナクシテ二週間内ニ総会招集ノ手続ヲ為サヽルトキハ、請求者自ラ其総会ノ招集ヲ為スヲ得ヘシ
第三十二条 凡テ総会ノ通知状ハ開会ノ日ヨリ二週間以前ニ株主ヘ発送スヘシ、其通知状ニハ開会ノ場所・日時及其会議ニ付スヘキ事項ヲ記載スヘシ
第三十三条 定式総会ハ本社総株数十分ノ二以上、臨時総会ハ十分ノ五以上ノ株主(本人又ハ代人)出席スルニ非サレハ之ヲ開クヲ得ス若シ出席員其定数ニ満サルトキハ之ヲ延期シ、社長ハ更ニ開会ノ場所・日時ヲ定メ其通知ヲナスヘシ、其延期シタル総会ニ於テハ、出席人員ノ多少ニ拘ハラス議事ヲ開キ議決ヲナスコトヲ得
  但株主ノ請求ニ依リ又ハ株主自ラ招集シタル臨時総会ニ於テハ、出席員定数ニ満タサル時ハ其議案ハ廃棄セラレタルモノトシ、其総会ヲ再ヒ招集スルヲ得ス
第三十四条 凡テ総会ニ於テハ社長之カ議長タルヘシ、若シ社長副社長共ニ差閊ヘアルトキハ常議員中ノ互撰ヲ以テ之ヲ定ム、常議員モ亦差閊アルトキハ出席株主中ヨリ議長ヲ撰挙スヘシ
第三十五条 凡テ株主ハ株主総会ニ出席スルヲ得ルト雖モ、其総会ノ日ヨリ五十日以前ニ二十株以上ノ株主トナリ現ニ之ヲ所有スル者ニ非サレハ発言投票ノ権ヲ有セス、其投票権ノ割合ハ、二十株ヨリ百株迄ハ二十株毎ニ一個トシ、百一株以上千株迄ハ五十株毎ニ一個ヲ増加シ、千一株以上ハ百株毎ニ一個ヲ増加スヘシ
第三十六条 総テ株主総会ノ議事ハ、定式総会ニ於テハ出席員(本人又ハ代人)投票権過半数ヲ以テ之ヲ決シ、臨時総会ニ於テハ出席員(本人又ハ代人)投票権三分ノ二以上ノ同意ヲ以テ之ヲ決スヘシ
  但本条定式総会ニ於テ若シ投票権ノ数相半ハスル時ハ議長之ヲ決スヘシ
第三十七条 凡テ総会ニ於テ事ヲ決スルニハ投票法ヲ用ユヘシト雖モ出席員ニ於テ異議ナキ時ハ議長ハ起立法又ハ挙手法ヲ用ルヲ得ヘシ
第三十八条 株主未丁年若クハ不能力者ナルトキハ、後見人代テ総会
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ニ出席シ議決ニ与ルコトヲ得ヘシ
  但其後見人ハ予テ戸籍帳ノ写ヲ添ヘ、本社ニ届出アルモノニ限ルヘシ
第三十九条 株主事故アリテ総会ニ出席スルコト能ハサルトキハ、本社株主中ノ者ヲ代人トシテ差出スコトヲ得、其代人ニハ本社ニ於テ定ムル所ノ書式ニ従ヒ委員状《(任カ)》ヲ交付スヘシ
   第五章 総勘定並利益金配当
第四十条 本社ノ総勘定ハ毎年六月・十二月ノ両度ニ之ヲ為シ、其総益金ノ内ヨリ一切ノ損金ヲ引去リ、其純益金ヲ左ノ割合ニ随テ配当スヘシ
      純益金配当ノ割合
 純益金百分ノ十以上     積立金
  此積立金ハ損失補充ノ為メ積立ルモノニシテ、其金額資本金ノ十分ノ五ニ至レハ之ヲ停止ス
 純益金百分ノ五以上     配当平均準備金
  此準備金ハ株主ヘノ配当減少セシトキハ之ヲ補フ為メ積立ルモノトス
 純益金百分ノ十以下     賞与金
  此賞与金ノ分配割合ハ常議員ニ於テ定ムヘシ
 差引残高 株主配当金
  此配当金ハ株主所有ノ株高ニ準シテ配当スルモノトス、若シ其金額ニ端数ヲ生スルトキハ後季ニ繰越スヘシ
   第六章 雑則
第四十一条 本社営業規則・総会議事細則・常議員議事規則及役員庶務規定其他必要ノ内規類ハ此定款ニ準拠シテ常議員会ニ於テ定ムヘシ
第四十二条 本社ノ帳簿ハ執務時間中差閊ナキ限リハ、何時ニテモ株主ニ於テ閲覧スルヲ得ヘシ
第四十三条 毎半季諸計算ヲ明カニシ考課状ヲ製シ株主ニ報告スヘシ
第四十四条 本社定款及規則類ノ改正、官庁ヘノ諸願伺届、役員ノ変更、株主総会及常議員会ノ議決、営業上ノ要件等ハ悉ク之ヲ記録シ保存スヘシ
第四十五条 官庁ニ対スル諸願伺届及営業上ノ諸約定、往復文書等ニハ凡テ本社ノ名ヲ用イ社印ヲ押捺スヘシ
  但文書ノ種類ニ依リテハ社印並ニ常議員又ハ支配人ニ於テ連署スヘシ
第四十六条 本社ハ左ノ印章ヲ用ルモノトス

有限責任横浜船渠会社之章 社長之印 副社長之印 支配人之印

第四十七条 此定款ハ株主総会ノ決議ヲ経テ改正増補スルコトヲ得ヘシ
右列記ノ条々ハ本社創立発起人ニ於テ創立規約ニ基キ議定シタルモノナリ
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                 横浜船渠会社創立発起人
  明治廿二年六月五日
                      原善三郎
                      原六郎
                      渋沢栄一
                        ○外三十名氏名略ス

    船渠築造設計修正ノ儀ニ付上申
本社ニ於テ築造仕候船渠設計書並図面之儀ハ昨廿二年五月中創立願書ニ相添差出シ置候処、其設計中修正ヲ要シ候点更ニ工師パーマー氏ニ調査為致候処、別冊之通報告有之候ニ付、右修正設計ニ依リ築造仕度候条、更ニ別冊並図面相添此段上申仕候也
                横浜船渠会社創立委員
  明治廿三年一月三十一日       渋沢栄一(印)
                    渡部温(印)
                  吉川泰二郎代理兼
                    来栖壮兵衛(印)
                    朝田又七(印)
                    平沼専蔵(印)
                    原六郎(印)
                    小野光景(印)
                    茂木惣兵衛(印)
                    原善三郎(印)
    神奈川県知事 浅田徳則殿

    海面埋立方ノ儀ニ付願
横浜市長住町沿岸
一海面三万八千三十一坪六合六勺
   内
  壱万九千七百九十八坪三合三勺  修船渠・修船池・突堤等ノ敷地ニ充ツベキ分即別紙図面甲之部
  五千八百三十三坪三合三勺    事務所・倉庫・附属工場等ノ敷地ニ充ツベキ分即別紙図面乙之部
  壱万二千四百坪         技師以下職工居住家屋、他日築造スベキ造船渠、之ニ附属スル工事等ニ充ツベキ分即別紙図面丙之部
右ハ曩ニ設立ノ儀上願仕置候横浜船渠会社営業上必要之敷地ニ有之候間、特別之御詮儀ヲ以テ前書海面埋立方及埋立ノ上ハ無代価ニテ本社ヘ御下附之儀御許可被成下度、別紙図面相添此段奉願候也
                横浜船渠会社創立委員
  明治廿三年一月三十一日       渋沢栄一(印)
                    渡部温(印)
                  吉川泰二郎代理兼
                    来栖壮兵衛(印)
                    朝田又七(印)
                    平沼専蔵(印)
                    原六郎(印)
                    小野光景(印)
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                    茂木惣兵衛(印)
                    原善三郎(印)
    神奈川県知事 浅田徳則殿

    水面使用料之儀ニ付上申
一横浜市長住町地先水面一万五千二百坪
  此使用料金一ケ年金三拾円四拾銭
右ハ横浜船渠会社創立並ニ官有海面埋立ノ儀曩ニ出願仕置候処、愈願意御聴許相成候上ハ、右願書図面ニ有之候埋立事業中突堤以内即チ頭書坪数ノ水面ハ、傍書ノ料金ヲ以テ船舶碇泊場トシテ使用ノ儀、併セテ当会社ヱ御許可被下度、右水面ヲ使用致候ニハ其深サヲ維持候為メ時々浚渫致シ且突堤ヲ築設候モ、畢竟之ヲ使用候為ニ外ナラスシテ、即チ当会社ハ終始莫大之費用ヲ要シ候段、工事設計書ニテ委細御了察之上、可然御詮議相成度此段奉願候也
                 横浜船渠会社創立委員
  明治廿三年十二月          渋沢栄一(印)
                      ○外八名氏名略ス
    神奈川県知事 浅田徳則殿

港戊第四十一号
書面願之趣、会社創立並営業之儀ハ追テ商法実施ニ至ル迄相対自営ニ任ス、其他ハ別紙命令書之通可相心得候事
 但営業上横浜税関ノ主管ニ属スル事項ニ付テハ、別ニ同関ヱ申出指揮ヲ受クベシ
  明治廿四年六月四日
           神奈川県知事 内海忠勝

    横浜船渠会社免許命令書
            神奈川県横浜市野毛町四丁目百六番地
                      原六郎
            東京府東京市深川区福住町四番地
                      渋沢栄一
                        ○外三十一名氏名略ス
神奈川県知事ハ(以下単ニ知事ト称ス)右原善三郎外三十二名創立発起人トナリ横浜船渠会社(以下単ニ会社ト称ス)ナルモノヲ組織シ、船舶及船舶ニ属スル諸器械ノ製造修繕之業ヲ営ムコト、並ニ官ニ属スル若干ノ公有水面(以下単ニ水面ト称ス)ヲ使用シ、営業上必要ノ諸建物ヲ築造スル為メ之ヲ埋立ツルコトヲ免許スルニ付、此命令書ヲ下付ス
   第一 船渠築造ノ事
第一条 会社カ横浜市長住町地先ニ於テ築造スヘキ船渠ハ、知事ノ認可シタル絵図面及ヒ仕様書ニ依ルヘシ
第二条 工事執行ノ為メ必要ノ場合ニ於テハ堰水堤・物揚場又ハ囲込等ヲ一時設置スルコトヲ得
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 前項ノ場合ニ於テハ、其場所ノ区域並ニ形状ヲ明示シタル図面ニ仕様書ヲ添付シ、知事ノ許可ヲ受クヘシ
第三条 会社ハ知事ノ認可ヲ得テ、船渠(使用ヲ許シタル水面ヲ包含ス、以下倣之)ニ通スル船舶ノ為メ充分ナル通路ヲ定メ、常ニ其深サヲ維持スヘシ
 前項ニ依リ通路ヲ浚渫シタルトキニ其物質ハ知事ノ認可ヲ得タル場所ニ取捨ツヘシ
第四条 会社ハ保証ノ為メ、起工ノ都度、其工費予算金額二十分ノ一ニ相当スル金額ノ国立銀行預ケ手形若シクハ記名公債証書(神奈川県庁指定ノ価額ニ依ル)ヲ、予メ神奈川県庁ニ差出スヘシ、保証金ハ毎工事竣成ノ都度会社ニ還付ス
第五条 会社ハ工事中及ヒ工事竣成後ト雖トモ、日没ヨリ日出迄、通船ノ安全ヲ保ツタメ知事ノ認可ヲ得テ適当ノ場所ニ標灯ヲ点スヘシ
 知事ハ標灯ノ種類及ヒ員数ヲ指定スルコトアルヘシ
第六条 会社ハ船渠ニ通スル船舶ノ通路ヲ標示スル為メ、知事ノ認可ヲ得テ適当ノ場所ニ浮標ヲ設置スヘシ
 知事ハ浮標ノ種類及ヒ員数ヲ指定スルコトアルヘシ
第七条 会社ハ工事ノ為設置シタル堰水堤・物揚場・囲込等ハ、其本工事竣成ノ後ハ直チニ取除キ原形ニ復スヘシ
第八条 会社ハ石垣及堰水堤ニ損所ヲ生シ又ハ其他ノ場合ニ於テ為メニ公道若シクハ港内ノ障害トナルトキハ速カニ修理又ハ撤去スヘシ
第九条 会社ハ全工事竣成後三ケ月以内ニ、創立願書ニ添ヘタル原図ト同一ノ尺度ナル全形平面図・断面図各一揃及ヒ仕様書・工費精算書ヲ知事ニ差出スヘシ
第十条 工事ノ全部落成シタルトキ、及ヒ其幾部竣成シ営業ヲ為シ得ル場合ニ至リタルトキハ、知事ニ届出検査ヲ受クヘシ
第十一条 会社ハ其構内ニ於テ相当官吏ノ職務執行ニ付テハ、充分ノ便利及ヒ助力ヲ与フヘシ
第十二条 会社ハ毎年一月・七月ノ両度ニ、前半年度中之収支決算書及ヒ製造修繕シタル諸船舶ノ船名及其各船ノ種類噸数表ヲ調製シ、知事ニ差出スヘシ
第十三条 船舶ノ入渠料其他一定シ得ヘキ製造修繕等ノ料金ハ、予メ之ヲ定メ知事ニ届出ヘシ、其変更増減ノ場合モ亦タ同シ
第十四条 会社ノ重役及ヒ技師長ノ就任更迭アリシトキハ、其都度知事ニ届出ツヘシ
第十五条 会社ハ左ニ掲クル条件ニ付規則ヲ設ケタルトキハ、其都度知事ニ届出ツヘシ
  但税関ニ関スルモノハ届出前横浜税関ノ認可ヲ受クヘシ
 一 会社構内諸場取締ノ事
 二 諸工場長職務権限ノ事
 三 構内ニアル船舶及ヒ船舶ノ出入維繋取扱ノ事
 四 船舶中ニ搭載セル貨物揮発物銃器弾薬取扱ノ事
 五 会社及使用ヲ許シタル水面ノ諸出入口取締ノ事
 六 火災予防及ヒ消防ニ関スル事
 七 衛生保健ニ関スル事
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 八 其他会社ノ営業上ニ関スル規則
 前項ノ規則中静謐及ヒ風俗衛生上ニ妨害アリ又ハ港内ノ安全ニ障碍アリト認ムルトキハ、知事ハ其条項ノ取消若シクハ改正ヲ命スルコトアルヘシ
   第二 水面埋立ノ事
第十六条 会社ニ於テ埋立ヘキ水面ノ位置ハ横浜市長住町地先凡ソ三万六千五百坪、其区域ハ別紙図面ニ拠ルヘシ
第十七条 水面埋立ノ目的ハ会社営業上必要ノ諸事業施設ノ為メトス
第十八条 水面埋立ノ方法ハ願書ニ添付セル設計書ノ仕様ニ拠ルヘシ
第十九条 免許ヲ得テ会社ノ埋立タル地所ハ、全工事成功ノ後、検査ノ上民有地第一種ニ編入シ、之ヲ会社ニ下付スヘシ
第二十条 工事成功前会社ニ於テ埋立事業ヲ廃シ又ハ此免許ヲ解クコトアルトキハ、已ニ埋立タル地所ハ官ノ所有ニ帰スヘシ
 前項ノ場合ニ於テ既成ノ工事ニシテ港内ノ安全ニ妨害アルトキハ、知事ニ於テ之レヲ撤去シ、又ハ修補工事ヲ施シ、其費用ハ会社ヲシテ弁償セシムヘシ
   第三 水面使用ノ事
第二十一条 会社ニ於テ使用スヘキ水面ノ位置ハ横浜市長住町地先凡ソ一万五千二百坪、其区域ハ別紙図面突堤以内トス
第二十二条 水面使用ノ目的ハ会社営業上必要ノ使用ニ供スル為メトス
第二十三条 前条ノ水面使用ニ就テハ相当ノ使用料金ヲ納ムヘシ
   第四 通則
第二十四条 船渠築造海面埋立(以下単ニ工事ト称ス)ハ、本命令書ノ日付ヨリ起算シ満十ケ月以内ニ起工シ、起工ノ日ヨリ満四ケ年以内ニ竣功スヘシ
第二十五条 工事ノ仕様ニ変更増減ヲ要スルトキハ、着手前、其部分ノ仕様書ニ平面図・断面図及予算書ヲ添ヘ知事ノ免許ヲ受クヘシ
第二十六条 会社ハ知事ノ許可ヲ得スシテ免許権ヲ担保貸付ニ供シ又ハ他ニ移スコトヲ得ス
第二十七条 工事中他ニ障害ヲ加ヘ又ハ之ヲ加ヘントスルコトアラハ会社ノ費用ヲ以テ之レヲ除カシメ又ハ予防セシムヘシ
第二十八条 本命令書第三条・第七条・第八条・第二十七条ノ場合ニ於テ、知事ノ督促ヲ受クルモ尚其事項ヲ履行セサルトキハ、知事ニ於テ之レヲ施行シ、其費用ハ保証金ヨリ扣除シ、若シ不足ナルカ又ハ保証金還付ノ後ニ係ルトキハ更ニ之ヲ追徴ス
第二十九条 本命令書第二十四条ノ期限ニ於テ起工若シクハ竣工セス其他本命令書ノ条項ニ従ハス、又ハ起工後故ナク三ケ月以上工事ヲ中止シタルトキハ、此免許ハ其功《(効)》ヲ失スヘシ
 其天災事変ノ為メ前項期限ヲ超ヘ若シクハ竣工シ難キトキハ、其事由ノ止ミタル後二ケ月以内ニ事情ヲ具シ出願スルニ於テハ、相当ノ延期ヲ与フヘシ
第三十条 本命令書ヲ下付シタル後ト雖モ、其竣工ノ認可ヲ与フル迄ノ間ニ於テ公害ヲ生シ若シクハ公害アルヲ発見シタルトキハ、知事
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ハ何時ニテモ無償ニテ本命令書ノ条項ヲ更改スルコトアルヘシ
  明治廿四年六月四日
           神奈川県知事 内海忠勝

港戊第四十二号
書面申出ノ使用料金ハ本指令ノ日付ヨリ向五ケ年ヲ期限トシ、営業開始ノ月ヨリ納付可致候事
 但本文期限満了ニ達スルトキハ更ニ申出指揮ヲ受クヘシ
  明治廿四年六月四日
           神奈川県知事 内海忠勝


中外物価新報 第一九八九号〔明治二一年一一月一四日〕 船渠の相談会(DK120002k-0004)
第12巻 p.24 ページ画像

中外物価新報 第一九八九号〔明治二一年一一月一四日〕
    船渠の相談会
東京の渋沢・益田・吉川等の諸氏、並に横浜の原六郎・原善三郎・茂木・平沼・来栖・朝田等の諸氏協同にて今度横浜新築港内に一の船渠を建設せんとする計画に付き、昨日午後より同港町会所機上《(楼)》に於て相談会を開きたる由、其模様ハ未だ詳細に聞かざれども当日ハ設計の費用、起工の順序等を相談したる趣なるが、其費用ハ凡そ四五十万を要すべしとの事なり


中外物価新報 第一九九〇号〔明治二一年一一月一五日〕 船渠相談会の摸様(DK120002k-0005)
第12巻 p.24-25 ページ画像

中外物価新報 第一九九〇号〔明治二一年一一月一五日〕
    船渠相談会の摸様
昨日の紙上にも一寸記したる如く東京の渋沢・益田・吉川・渡辺の諸氏、横浜の原・茂木・来栖・朝田等の七氏にハ一昨日午後より横浜町会所楼上に会合して、兼て計画中の船渠に就きて相談会を開きたり、今其摸様を聞くに、未だ創始の事に属すれば充分精確の調査を遂げたりと云ふの場合にハ至らざれども、兎に角今度其筋に於て愈々横浜築港を実行さるゝに就てハ、何れ双方より突堤を突出して其湾内を浚渫し、一層其水底を深くして如何なる船舶と雖も自由に横付けになし得るに至るべければ洵に船舶の出入、荷物の揚卸にハ大に便利を得べきも、此の船舶輻湊の京浜間にハ未だ一も船渠の設けなきゆへ、船舶の修繕にハ不便ながら横須賀まで行かざるべからず、故に此度築港さるる横浜湾の突堤内に船渠を建設するハ、他に於てするよりも費用を省略し得るのみならず出入船舶に非常の便利を与ふるものなれば、此事たる築港の挙と相俟て両全を得るものなり、左れば其船渠ハ那辺に建設すべきやと云ふに、今の横浜停車場に近き沿岸の海底ハ地質固く殆んど岩石同様なれば、此辺にドライ・ドツクとペテント・スリープ・ドツク(引揚船渠)と都合二個の船渠を設けんとの事にて、其総資金ハ凡そ五十万円位なるべしと云ふ、而して其収入金ハ果して幾許あるべきや未だ精細なる予算ハ立たざるも、兎に角日本郵船会社が唯横須賀船渠へ支払ふ金額のみにても、毎年凡そ八万円位の高に上り、且つ外船の年々横須賀船渠へ支払ふ金員も、概ね二万円内外にも及ぶ由なれば、其収入も敢て少なきにあらざれど、何分にも当日の出席者ハ都
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合十一名なりしかば、今一度発起人総会を開き、其上にて更に委員を撰び、尚設計其他詳細なる調査を遂けて、実施の手続に及ぶ筈なりと云ふ


中外物価新報 第一九九〇号〔明治二一年一一月一五日〕 製鉄所設立の計画(DK120002k-0006)
第12巻 p.25 ページ画像

中外物価新報 第一九九〇号〔明治二一年一一月一五日〕
    製鉄所設立の計画
横浜に船渠を設立する事に付ての相談の模様ハ別項にも記せし如くなるが、製鉄所の設立ハ船渠と共に必要のものなれば、同時に一ケ所の製鉄所を設けんとの議もあり、是等の事も協議ありしと云ふ


東京経済雑誌 第一八巻第四四五号・第六五二頁〔明治二一年一一月一七日〕 船渠建設の相談会(DK120002k-0007)
第12巻 p.25 ページ画像

東京経済雑誌 第一八巻第四四五号・第六五二頁〔明治二一年一一月一七日〕
    ○船渠建設の相談会
東京の渋沢・益田・吉川・渡辺、横浜の両原・茂木・平沼・来栖・朝田等の諸氏は横浜に船渠を建設することに関し去る十三日同港の町会所に於て相談会を開けり、今ま其の相談の摸様を聞くに今度其の筋に於て愈よ横浜築港を実行せらるゝに付ては、何れ双方より突堤を築出して其の湾内を浚渫し其の水底を深くし、以て船舶の出入、荷物の揚卸を便ならしむることなるべし、然るに従来京浜間には船渠の設けなく、船舶の修繕は皆な之を横須賀に於てせり、是れ甚た不便のことなり、今ま若し此の築港せらるる横浜湾の突堤内に船渠を建設せば、他の場所に建設するよりも費用を省略し得るのみならず出入の船舶に向ひて非常の便利を与ふるものなれば、此の事たる築港と相俟ちて両全を得るものと謂ふべし、其の場所は今の横浜停車場に近き沿岸の海底は地質堅牢なれば、此の辺に「ドライ・ドツク」と「ペテント・スリープ・ドツク」と都合二個の船渠を建設すること然るべしと云ふに在り、而して其の費用は凡そ五十万円位の見込の由なり、然るに当日の出席者は僅に十一名に過きずして何とも確定するを得さりしが、尚ほ更に発起人総会を開きて委員を撰み、設計其の他必要なる調査を遂けしめ、其の上にて実行の手続を為す筈なりと云ふ


中外商業新報 第二一〇九号〔明治二二年四月一〇日〕 横浜築港と船渠の確定(DK120002k-0008)
第12巻 p.25-26 ページ画像

中外商業新報 第二一〇九号〔明治二二年四月一〇日〕
    横浜築港と船渠の確定
久しく其筋に於て評議中なりし横浜築港の義は今回愈よ閣議確定し、其筋より神奈川県知事へ指令ありしと云へは近々着手せらるへし、又其監督は内務省土木局にて為す筈にて、設計は矢張り神奈川県雇英人パーマー氏の考案に基き、神奈川県砲台と英吉利波止場とより遠く突堤を造る見込にて、経費は曾て米国より還附し来りたる下の関償金百四十余万円を以て基礎として不足は国庫より下付する趣なれと、右は一時に支出するものにあらす漸次に支払ふものなるを以て、償金の利子を生すへけれは国庫の支弁は五六十万円にて足るべしといへり、又船渠は予て京浜の紳商数名にて出願せしか私立会社にて担任する事となり、其発起人は横浜の平沼専蔵・原六郎・原善三郎・茂木惣兵衛・小野光景・朝田又七、東京の古川孝二郎《(吉川泰二郎)》・渋沢・益田・渡辺其他数名にして築港と共に着手する由、工師は矢張り英人パーマー氏に監督を
 - 第12巻 p.26 -ページ画像 
依頼する筈にて、経費は凡そ百万円の予算なりと云ふ


中外商業新報 第二一一〇号〔明治二二年四月一一日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0009)
第12巻 p.26 ページ画像

中外商業新報 第二一一〇号〔明治二二年四月一一日〕
    横浜船渠会社
今度同会社の設立を許可されたるに付同会社発起人なる横浜の平沼専蔵・原六郎・原善三郎・茂木惣兵衛・小野光景・朝田又七・来栖壮兵衛、東京の渋沢・吉川・益田・渡辺等の諸氏は来廿二日を期して発起人惣会を開き諸事の協議を為す由、聞処に拠れは右船渠設立の経費は凡そ百万円の予算なりしか、右にては二三十万円の不足を生するならんとの説もありとか、又パーマー氏の図面及設計の翻訳書は来廿日頃出来する筈なりと、是に付き或る二三の新聞には神奈川県庁が同図面を発起人に下附したり云々とありて、恰かも同県庁が差図する如く記載あれども、右は発起人よりパーマー氏へ依頼したるものにて県庁は只其取次を為したるに過ざるよし、又同会社株金の幾分は発起人にて分担し、余は広く株主を募集する筈なりと云ふ


中外商業新報 第二一一二号〔明治二二年四月一三日〕 横浜地価の騰貴と船渠会社の株金(DK120002k-0010)
第12巻 p.26 ページ画像

中外商業新報 第二一一二号〔明治二二年四月一三日〕
    横浜地価の騰貴と船渠会社の株金
横浜築港の確定したるより同地の地価は俄かに騰貴し高島町・内田町は勿論神奈川近傍の兵陵迄《(丘)》も概して五割方、場所に依ては一倍にも騰貴せり、されば同所某豪商の如き多分の地所を所有せらるゝ人は、今回築港の確定せしため非常の利益を得しならんといへり、亦船渠は私立会社の組織になるとの事は既に記せしか、愈よ株金を発起人外に募るとの風説あるより、早くも之を聞込みて発起人へ応募を依頼する人尠からずと云ふ


中外商業新報 第二一一三号〔明治二二年四月一四日〕 横浜船渠会社発起人会(DK120002k-0011)
第12巻 p.26 ページ画像

中外商業新報 第二一一三号〔明治二二年四月一四日〕
    横浜船渠会社発起人会
同会社創立発起人諸氏には来る廿二三両日の内に相談会を開き、パーマー氏の調査書に依て資本額(同氏の調査には九十万円余とある由)及ひ工事の方法順序等を議定する筈なりと云ふ


中外商業新報 第二一一九号〔明治二二年四月二一日〕 横浜の船渠会社(DK120002k-0012)
第12巻 p.26 ページ画像

中外商業新報 第二一一九号〔明治二二年四月二一日〕
    横浜の船渠会社
過日も記せし如く同会社発起人の人々は明後二十三日横浜に於て発起人惣会を開き、会社創立の方法及株金の募集方、株金の高其他一般会社に関する重要の件を協議議定する由にて、右発起人惣会を終れは直ちに創立事務所を設立し諸般の事を取扱ふ筈なりと、又同社の株金は凡百万円と前号に記せしが右は未だ確定せさるものにて或は弐百万円位なるべしとの噂なり、又一株の高は何程なるか発起人の惣会を了らされば確定せさると雖も一株百円なるべし、而して株金募集方は何れの順序に依るやは発起人惣会を待て尚記する処あるべし


中外商業新報 第二一三〇号〔明治二二年五月四日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0013)
第12巻 p.26-27 ページ画像

中外商業新報 第二一三〇号〔明治二二年五月四日〕
 - 第12巻 p.27 -ページ画像 
    横浜船渠会社
横浜同会社発起人の人々は彼の市会議員撰挙の騒ぎに取紛れ其後創立委員会も延引せしか、株金募集の如きは未だ新聞に広告せしにもあらず、定款さへも定まらざるに株主の申込続々ありて、之が処置には役員も殆んど困却し居るといふ


中外商業新報 第二一三四号〔明治二二年五月九日〕 船渠会社の盛況(DK120002k-0014)
第12巻 p.27 ページ画像

中外商業新報 第二一三四号〔明治二二年五月九日〕
    船渠会社の盛況
目の寄る所に玉とやらて、横浜船渠会社の利益あるへしとの見込は万人か万人みな同しなりしと見え、其株を引き受けんと望む者非常に多く、同社は未た公に株主の募集をも為さす、公然許可を得たるにあらす、定款も確定せしにはあらさるにも拘はらす、陸続株主の申込ありて、一昨日に於ける概略の調査を聞くに、募集株二万株に対して八万四五千株の申込ありしと、去れは発起人も困却の余り、最早如何なる事情あるも断然之を謝絶して一株の申込をも受けさる由、聞処に拠れは、京浜間の発起人は不日今一回の発起人会を開き、定款を定め更に出願の手続を為す筈なりといふ


中外商業新報 第二一三八号〔明治二二年五月一四日〕 横浜船渠株の配当方は如何(DK120002k-0015)
第12巻 p.27 ページ画像

中外商業新報 第二一三八号〔明治二二年五月一四日〕
    横浜船渠株の配当方は如何
最初同港に船渠会社を起すと云ふの一声を聞くや射利に敏捷なる人々は、之か募集に応せんとするもの雲の如く霞の如くに集り来り、合計六万株の内四万株を発起人に於て負担し、残る二万株に対して忽ち八万三千有余株の申込ある抔当務者も今は殆んと之が分配の始末に窮する程なりと云ふ、抑も此節柄の事とて発起人にも余程此辺の事には心を苦めたるものと見へ、最初発起人会を同港町会所の楼上に開きたる節にも、株式募集の方法に付き発起人中の発起人とも云ふへき人々の内相談には随分手間取りしやに聞きしが、其節の内約書に従へば、株金三百万円を六万株に分ち、三分の二即ち四万株を発起人に於て負担することは創立規約第三条に規定しあれども、尚之が分配方を更に左の三項に定めたり、即ち総株数六万株の三分一、二万株は発起人名に於て公平に負担すること(第一項)、同三分の一即ち二万株の分配方法は創立委員に処分せしむること(第二項)、其残三分の一は創立規約に依り株主を募集すること(第三項)、と此の三項を議定せしが、第二項の分は如何に処分するか未た知るを得ざれど、吾々の聞く処に拠れば該創立委員の意見を以て、余儀なき方々へ分配するものと云ふ、其所謂余儀なき方とは如何なる方々にや、又聞く、此の船渠会社創立発起に就き、同港公民派の高島嘉右衛門氏は其一人に加らんと望みたるも遂に加入するを得ず、依て創立委員には名義上発起人にあらさるも発起人が公平に受くへき丈の株数は之を分与すへしとの事なりしに、同氏の方にては敢て発起株を申受さるも発起人たる者の一人に加盟したしとの趣なるやに云ふものあり、実際果して如何にや


中外商業新報 第二一四八号〔明治二二年五月二五日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0016)
第12巻 p.27-28 ページ画像

中外商業新報 第二一四八号〔明治二二年五月二五日〕
 - 第12巻 p.28 -ページ画像 
    横浜船渠会社
起草委員中にて起草中なりし同会社の定款も既に粗出来上りしに付、近日同地に於て発起人惣会を開き、議定の上にて直ちに出願するの手筈なりと


中外商業新報 第二一五二号〔明治二二年五月三〇日〕 横浜船渠会社発起人総会(DK120002k-0017)
第12巻 p.28 ページ画像

中外商業新報 第二一五二号〔明治二二年五月三〇日〕
    横浜船渠会社発起人総会
同会社創立委員諸氏には去廿七日午後同港に於て株券配分の事抔を相談せしが、今度若尾逸平・左右田金作・高島嘉右衛門の三氏も更に発起人に加入したり、又来月五日午前十時より横浜町会所に於て同会社の発起人会を開きて、創立規約定款其他一二の要件を議定する筈なりと云ふ


中外商業新報 第二一五四号〔明治二二年六月一日〕 船渠会社発起人の注意(DK120002k-0018)
第12巻 p.28 ページ画像

中外商業新報 第二一五四号〔明治二二年六月一日〕
    船渠会社発起人の注意
横浜港へ設置せんとする彼の船渠会社の株式は、引受申込人の非常に多くして資本額の三四倍にも昇たる由は既に世間の評判なるが、聞く処に拠れは、近来新会社株の売買頗る流行して、事業の未た成立せざるに先ち、投機者輩の為めに其株券の価格を左右せらるゝ如き、事業上妨け少からざれば、同社発起人は特に此弊を予防せん為め、事業着手前は一切売買を許さゞることに決議したり、自己の資力を計らず不相当の株式加入を申込みたる連中は中々に失望の事なるべし


中外商業新報 第二一五五号〔明治二二年六月二日〕 船渠会社の役員(DK120002k-0019)
第12巻 p.28 ページ画像

中外商業新報 第二一五五号〔明治二二年六月二日〕
    船渠会社の役員
横浜同会社仮定款の出来せし事は已に記せしが、聞処に拠れば、同会社の重役と称する者は社長・副社長各一名、常議員五名にて、外に支配人一名を以て組織する予定なりと、又該社の重任たる社長は何れの人が撰定せらるゝ哉も予め世人の注意する処なれど、是は発起人の重なる人が其任に当るへしと云ふ


中外商業新報 第二一五八号〔明治二二年六月六日〕 横浜船渠会社発起人惣会(DK120002k-0020)
第12巻 p.28-29 ページ画像

中外商業新報 第二一五八号〔明治二二年六月六日〕
    横浜船渠会社発起人惣会
予記の通り、昨日午前十時より京浜間の発起人惣会を町会所楼上に開き、定款・内規の議定及会社全体に関する重要の事項を審議確定したれば、是も着手を見るは近きにあるべし、聞く処に拠れば発起人は総計三十三名にて、横浜は平沼専蔵・原善三郎・茂木惣兵衛・原六郎・渡辺福三郎・小野小景《(小野光景)》・朝田又七・来栖壮兵衛・大谷嘉兵衛・箕田三郎《(箕田長三郎)》・田中平八・西村喜三郎・樋口登久次郎・戸塚千太郎・木村利右衛門・大浜忠三郎・渋沢喜作・右左田金作《(左右田金作)》・高島嘉右衛門・若尾幾造の諸氏、東京は渋沢栄一・益田孝・吉川泰次郎《(吉川泰二郎)》・馬越恭平・渡辺温・浅野総一郎・近藤廉平・大倉喜八郎・小室信夫・高尾琢磨《(高雄琢磨)》・深川亮三・山田昌邦・本野盛亨の諸氏なりと、又当日出席者は廿五人にて深川亮三・高島嘉右衛門・木村利右衛門・小室信夫・益田孝・浅野惣一郎・
 - 第12巻 p.29 -ページ画像 
大倉喜八郎の諸氏は欠席したるよし、又横浜船渠会社創立願書の大意を聞くに、横浜船渠会社創立願書は明治廿一年五月五日創立委員より奉呈候処、同年八月廿八日御指令の次第も有之候に付、爾来発起人等協議の上英国陸軍工兵少将ヱツチ・スペンサー・パルマル氏に船渠建設地の実測及築造計画書の調査を委嘱候処、此程同氏より報告有之候に付、発起人に於て別冊の如く本社創立規約及定款議定仕候間御許可被成下度、御参照の為めパルマル氏実測図正写十二葉築造計画書予算書相添此段奉再願候云々、と云ふにありて、是は発起人連署を以て調印済次第神奈川知事へ差出す由に聞けり、又聞処に拠れば、株数は矢張六万株とし一先つ発起人にて之を負担し、追て認可を得たる上は兼て記せし如く三分の一を発起人にて負担し、三分の一は創立委員にて処分し、三分の一は横浜市民より募集する事に内決したりと云ふ、尚又た同会社株式の申込多き事に付ては再三記載せしか、其内最多額の申込を為したる人は十万円以上の人もあり、最少額は一名に付五六株なりと、而て発起人諸氏は創業費として一名に付金二百円宛を負担する事となり、委員の許へ夫々目下払込中なりと云ふ


中外商業新報 第二一六七号〔明治二二年六月一六日〕 船渠会社設立願(DK120002k-0021)
第12巻 p.29 ページ画像

中外商業新報 第二一六七号〔明治二二年六月一六日〕
    船渠会社設立願
横浜船渠会社設立の願書は発起人諸氏の調印済みたるに付、愈々一昨日神奈川県庁へ差出したりといふ


中外商業新報 第二一七〇号〔明治二二年六月二〇日〕 横浜船渠会社創立委員会(DK120002k-0022)
第12巻 p.29 ページ画像

中外商業新報 第二一七〇号〔明治二二年六月二〇日〕
    横浜船渠会社創立委員会
同社創立委員の諸氏は昨日午後一時より町会所に於て相談会を開き、同社重要の事件を審議したりと云ふ


中外商業新報 第二三六三号〔明治二三年二月八日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0023)
第12巻 p.29 ページ画像

中外商業新報 第二三六三号〔明治二三年二月八日〕
    横浜船渠会社
横浜船渠会社は未だ命令書の下附なきを以て設立の着手に躊躇し居るが、聞処に拠れば、発起人より其筋に向て少しく追願せし廉もある由にて、目下其件は已に閣議に廻りし由なれば、命令書は本月中には相違なく発起人の手に下るべしと云ふ


中外商業新報 第二三七八号〔明治二三年二月二七日〕 横浜船渠会社の命令書(DK120002k-0024)
第12巻 p.29 ページ画像

中外商業新報 第二三七八号〔明治二三年二月二七日〕
    横浜船渠会社の命令書
横浜船渠会社に対する其筋の命令書は遅くも本月中に下附せらるべしとは一般の予期なりしに、昨今に至るも未だ其摸様なきは如何と不審を抱く人もあれど、尚聞く処に拠れば、其筋に於ては未だ綿密の調査を為さゝるに依り下附の運びに至り兼居れども、已に発起人諸氏よりも伺書を出したる由なれば、来月匆々には何分の沙汰あるへしと云ふ


中外商業新報 第二三八六号〔明治二三年三月八日〕 船渠会社創立に付市会へ諮問(DK120002k-0025)
第12巻 p.29-30 ページ画像

中外商業新報 第二三八六号〔明治二三年三月八日〕
 - 第12巻 p.30 -ページ画像 
    船渠会社創立に付市会へ諮問
横浜船渠会社の事は屡々記載せしが、今回同会社創立に付横浜全市の利害に関係する事大なるを以て、浅田神奈川県知事は一昨六日市制第卅四条に依り市会に於て審議の上、来る十四日迄に意見を答申すべき旨、市会へ諮問されたる由


中外商業新報 第二三九二号〔明治二三年三月一五日〕 船渠会社創設利害の答申案延期に決す(DK120002k-0026)
第12巻 p.30 ページ画像

中外商業新報 第二三九二号〔明治二三年三月一五日〕
    船渠会社創設利害の答申案延期に決す
予て記せし如く横浜市会は一昨十三日午後四時より開会、議長は助役中山忠次郎氏就職認可の旨を報告し、夫より予て県知事より市会へ諮問になりたる、横浜船渠会社創設利害の答申案を議すへき筈なりしも此件に付ては議員中関係者も多く、之を除くとせば少数の議員となりて議会を開く事を得されば、本案答申の義は県知事に延期を乞ひ、次会に於て議する事とし、夫より第二十一号より第二十四号に至る議案の二次会を開き、終りに二十号議案の調査成蹟を報告して午後八時頃散会せり


中外商業新報 第二三九七号 〔明治二三年三月二一日〕 船渠会社の諮問案三次会を通過す(DK120002k-0027)
第12巻 p.30 ページ画像

中外商業新報 第二三九七号〔明治二三年三月二一日)
    船渠会社の諮問案三次会を通過す
横浜市会の二問題として前号の紙上に記載せし横浜船渠会社創設可否の諮問案は、別項の議事筆記にもある如く、一昨十九日の市会に於て種々審議の末三次会も原案通りに通過したるを以て、昨日直ちに議長より県知事へ向け創設差支なき旨を答申したれば、同会社創立の認可を得るは近きにあらんと想像せられたり、又電灯会社の出願に対する副申の件も昨今の市会にて確定することならんが、聞処に拠《(れ)》ば、横浜の有志者福井茂兵衛氏は昨日市会議員に向て一篇の意見書を差出したる由にて、其趣意たるや、電灯会社の如きは公共の事業に属するものなれば之を私立会社に委ねずして市費を以て購入し、市の共有基本財産と為すべしと云ふにある由


中外商業新報 第二四〇二号〔明治二三年三月二八日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0028)
第12巻 p.30 ページ画像

中外商業新報 第二四〇二号〔明治二三年三月二八日〕
    横浜船渠会社
同会社の創設に付ては已に横浜市会の議を経て県庁より内務大臣へ上申せし事なれば、最早二十二年度内即ち四月一日迄には許可の指令あるへき筈なりと、而て聞く処に拠れば、同社に対しては政府にても一の命令書を下する由にて、其命令書は多分軍事に際し船渠を政府が使用するの権を船渠近傍《(脱アルカ)》の海底及是に連続する川々の水利を妨げざる様其浚渫を同会社に命するならんと云へり
   ○明治二十四年ノ命令書(前掲第二一頁)参照。


中外商業新報 第二四〇四号〔明治二三年三月三〇日〕 船渠会社創設の許可(DK120002k-0029)
第12巻 p.30 ページ画像

中外商業新報 第二四〇四号〔明治二三年三月三〇日〕
    船渠会社創設の許可
久しく世人が注目せし横浜船渠会社は愈々明三十一日頃許可の指令あるべしと云ふ
 - 第12巻 p.31 -ページ画像 


中外商業新報 第二四九六号〔明治二三年七月一七日〕 横浜船渠会社(DK120002k-0030)
第12巻 p.31 ページ画像

中外商業新報 第二四九六号〔明治二三年七月一七日〕
    横浜船渠会社
同会社は横浜南仲通りに創立仮事務所を設けたるのみにて、未た許可の指令もあらさる趣にて目下立消の姿となり、発起人の諸氏も何となく力の抜けたる感なきにあらすとの噂あり、されと又其筋に於ても曩に内閣大臣の交迭等あり、旁た同会社の義に付ては未だ内閣の方針一定せざるを以て許否何れとも決せざるやの説もありて、十分確なることは之を知るに由なきも、別項に記する如く横浜造艇会社の設立の挙もあれば、船渠会社の事業は多少影響を免れざることならんと或る人は云へり


東京経済雑誌 第二三巻五七六号・第八三〇―八三一頁〔明治二四年六月三〇日〕 横浜船渠会社許可を受く(DK120002k-0031)
第12巻 p.31-32 ページ画像

東京経済雑誌 第二三巻五七六号・第八三〇―八三一頁〔明治二四年六月三〇日〕
   ○横浜船渠会社許可を受く
兼て出願中なりし横浜船渠会社は、今度愈よ設立を許可せられたり、其の指令左の如し
 書面願の趣追て商法実施まては相対自営に任ず、尤も船渠の築造海面埋立は別紙命令書を遵奉すべし、但し横浜税関の主管に属すへき分は同関に申立許可を受くべし
而して命令書は三十条より成り、其の定むる所多端なりと雖も、今ま其の要旨を挙れば左の如し
 第一 会社創立に付ては、工事は総て知事が承諾したる設計に依る事、其設計上に変更を来すときは前以て知事の承認を得る事、其工事を施設するに就ては其工費の二十分の一に相当する預金を県庁に納むる事、工事中公衆の保安上に就ては知事の取締を受くる事、工事落成して開業する時は前以て知事の承認を受くる事、会社か以下の項目を設くる時は知事に届出を要する事、船舶、入渠料、製造料、修繕料、会社工場内の諸規則、船舶の取扱方船荷の取扱方、其他会社の営業に関する重要の事項
 第二 水面埋立に付ては凡て会社に属する事業上必要の為めに埋立するものにて埋立後は会社に交付する事
 第三 水面使用に付ては一万五千二百坪は一ケ年使用料金三十円四十銭を納付する事
又た同社定款の大要を挙れば左の如し
 一船渠会社の株数は総計六方株とす
 一本社は有限責任にして神奈川県横浜市内田町海岸に設置す
 一本社は船渠及製鉄工場を建設し、船舶及船舶の機関諸器械を修繕するを以て営業とす
 一本社の資本金は三百万円とす
 一本社の営楽年限《(業)》は開業の日より向三十ケ年とす、最も満期に至り株主総会の決議を以て延期するを得べし
 一本社の資本金は六万株に分ち一株金五十円とす、其半額即ち一株に付金廿五円は常議員会に於て金額及期日を定め漸次払込ましむるものとす、残半額は追て営業の都合に依り株主総会の決議を経
 - 第12巻 p.32 -ページ画像 
て払込を定むる事
 一何人たりとも日本帝国の法律に服従するものは本社の株主たるを得べし、其株主たるものは本社の定款を遵守すべし
 一本社の役員は常議員五名以上を置き、而して常議員は二百株以上の株を所有する株主中より株主総会に於て投票を以て撰挙し、社長副社長は常議員中互撰し、社長及副社長の任期は、各三ケ年とし、再撰に依て重任するを得る事
 一本社の株式は発起人に於て総て負担す、本社の株式を引受たるものは保証金として一株に付金三円を納むべし、第一回払込期日に至り払込をなさゝるときは保証金を本社に没収すべし、本社は自ら其株式を所有することを得す
同社か日本帝国の法律に服従するものには、内外人の別なく何人にも其の株主たることを許せるは、同社の為め至極便利なるべし