デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
15節 造船・船渠業
4款 函館船渠株式会社
■綱文

第12巻 p.42-53(DK120004k) ページ画像

明治29年2月27日(1896年)

是ヨリ先二十八年七月、函館区平田文右衛門外五十名函館港内ニ函館船渠株式会社ヲ創立セントシ同港改良工事補助金四十万円ノ下付ヲ政府ニ出願シ、其請願運動ノ為メ上京中、栄一等東京実業家ニ謀リタルニ其船渠会社設立発起ノ賛同ヲ得タリ。是日東京築地柳花苑ニ開カレタル東京発起人会ニ於テ栄一創立委員ニ選バレタリシガ、同発起人会ハ補助金下付請願ヲ改メ、資本金百二十万円ノ私設会社ヲ設立スル方針ヲ決議ス。函館発起人会亦其決議ヲ可決ス。尚大阪方面ニモ発起人ヲ勧誘セリ。尋イデ三月十日栄一創立委員長ニ選バル。二十九年四月二十九日農商務大臣子爵榎本武揚・逓信大臣白根専一ヨリ発起申請認可書ヲ下付セラル。


■資料

函館船渠株式会社四十年史 第三九―四一頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0001)
第12巻 p.42-44 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第三九―四一頁〔昭和一二年六月〕
    函館船渠株式会社東京発起人決議録
一、明治二十八年九月一日函館発起人総会ニ於テ決議シタル発起人決議書ハ、第一項第二項ヲ左ノ通リ修正シ、其他ノ条項ハ都テ当会ニ於テ承認スル事
  第一項中 其株数以下ノ十六字ヲ刪除ス
  第二項中 七名ヲ十二名ト改ム
一、創立委員ノ内五名ハ今回東京発起人中ヨリ選挙シ、予テ函館発起人ニ於テ選挙シタル七名ト合シテ十二名トスル事
一、創立委員中ヨリ互選ヲ以テ委員長一名ヲ選挙スル事
一、現在発起人ノ外、本社創立ニ適当ナル人ハ創立委員ノ協義ヲ以テ発起人ニ追加スルヲ得ル事
一、今回更生シタル資本金額ニ拠リ、従来ノ目論見書・仮定款等ヲ修正スル事
一、今回更生シタル資本金額及ヒ修正目論見書・仮定款等、並ニ本日ノ決議ハ函館発起人ニ交渉シ、之レヲ承認セシムル事
 但函館発起人中資本金額更生ノ為メニ脱退ヲ望ムモノアラバ其ニ任セ之レヲ承諾シ、又都合ニ拠リ従前ノ申込株数ノ中ヲ他ノ発起人ニ譲渡セントスルトキハ創立委員ニ於テ之レヲ取扱フベシ
一、函館発起人ニ交渉ヲ為シタル上、修正ノ目論見書・仮定款・発起認可申請書ヲ創立委員ニ於テ其筋ヘ進達シ、従前ノ分ト引換ヲ為ス事
一、都テ官府ニ対スル書類ニ付認可ヲ得ルニ必要ナル加除修正ハ、創
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立委員ニ於テ処弁スル事
一、官府ニ対スル関係、株金払込等其他諸般ノ事務ヲ取扱フ為メニ東京ニ創立事務所仮出張所ヲ設置スル事
一、総株数弐万四千株ヲ分割シ、各地方引受額ヲ大凡左ノ如ク予定シ置ク事
 但各地引受者ノ景況ニ拠リ、此予定額ハ創立委員ノ見込ヲ以テ増減スル事ヲ得
  北海道   凡八千株
  東京    凡八千株
  大阪及其他 凡八千株
一、本日出席発起人中ヨリ委員五名ヲ選挙シ、左ノ諸氏当選ス
 渋沢栄一 近藤廉平 大倉喜八郎 園田実徳 阿部興人
一、本日ノ決議ハ函館発起人ニ交渉シ、其承認ヲ得テ、之ヲ第弐次発起人総会ノ決議トナス事
前記ヲ証明スル為メ出席委員記名調印ス
                     渋沢栄一(印)
                     近藤廉平(印)
                     大倉喜八郎(印)
                     阿部興人(印)
                     園田実徳(印)
                     平田文右衛門(印)
                     小川為次郎(印)
                     久保扶桑(印)
  明治二十九年二月二十七日

    創立目論見書
会社種類    株式会社トス
会社目的    船渠・船渠台及鉄工場等ヲ建設シ、船舶ノ新造修理機関・諸機械ノ新造修理ヲ営業トス
会社ノ称号   函館船渠株式会社ト称ス
営業場所    函館区弁天岬新設防波堤内船渠予定地
存立時期    会社免許ノ日ヨリ満四十ケ年
資本金     総額百弐拾万円株数弐万四千株、壱株ノ金額五拾円トス
資本金使用概算 資本総額金百弐拾万円使用ノ内訳左ノ如シ
 金弐拾五万千五百四拾九円   地所購入諸工場倉庫建築費
 金五拾五万五千七百五拾八円七拾六銭   船渠及船架並ニ造船台築設費
 金弐拾万弐千八百拾七円七拾八銭   諸機械購入費総計
 金参万円   予備費
 金拾五万九千八百七拾四円四拾六銭   運転資金
   ○右函館船渠株式会社東京発起人決議録ハ、明治二十九年二月二十七日東京築地柳花苑ニ於テ開カレタル東京発起人会ノ決議事項ニシテ、出席者左ノ
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如シ。
    在函館発起人中上京セシ者
     皆月善六   小川為次郎  広谷順吉   久保扶桑
     平田文右衛門 首藤諒
    在東京発起人中出席セシ者
     渋沢栄一   大倉喜八郎  森岡昌純   渡辺治右衛門 岡本忠蔵
     梅浦精一   土田政治郎  近藤廉平   加藤正義   坂本則美
     奥三郎兵衛  岩出惣兵衛  染谷浜七   園田実徳   船本竜之助
     稲井永敏   堀江助保   浅野総一郎  阿部興人   小津与右衛門


函館船渠株式会社四十年史 第四二―四四頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0002)
第12巻 p.44-45 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第四二―四四頁〔昭和一二年六月〕
 東京発起人会の決議を携へ二十九年三月三日平田文右衛門等帰函の上、同月五日函館町会所に函館在住発起人の会合を開き、初め政府の補助金を受ける方針であつたが事情許さゞる所あり、よつて補助金請願を止め資本金を百弐拾万円に改め、東京有力家に議り、この賛成を得、発起人となることを彼等は承諾せし事を報告した。而して函館の発起人に会社の組織変更に就いて賛否を問うた所満場一致異議なく可決した。
 それで東京発起人決議書第五項但書の資本金更正に脱盟及申込株を減じようとする者は其の意に任せ、各発起人にこれを確めて左の脱盟者、減株或は新加盟増株の結果となつた。
 脱盟   八名   此株数 五百五十株
 減株   七名   此株数 五百八十株
 新加盟  七名   此株数 八百五十株
 増株   五名   此株数 六百株
 増減差引人員一名減  株数 三百二十株増
 次で三月十日、東京市麹町区有楽町日本郵船会社に於て在京委員会を開き、去る五日函館に於て開いた在函館発起人会の決議電文を報告し、左の数項を決議した。
     函館発起人会決議電文
  発起人会出席四十六名異議ナシ、委任状七日迄ニアラマシ送ル、委細手紙
    東京委員会決議
 一、委員長ノ選挙ハ全会一致ヲ以テ渋沢栄一ヲ推選セリ
 一、常務委員四名ヲ置キ、専ラ創立事務一切ノ事ヲ取扱ハシムル事
 一、常務委員ニハ阿部興人・平田文右衛門・小川為次郎・久保扶桑ノ四氏ヲ推選セリ
 一、東京発起人引受株ハ、百株以上五百株以内ノ範囲ヲ以テ各ニ就キ其引受高ヲ取極ムル事
  但従来申込アル東京普通株主ヘ配当スヘキ株数ハ、前項発起人引受株確定ノ上之ヲ取極ムル事
 一、東京発起人ハ別紙人名ヲ以テ締切トナス事
  但余儀ナク追加ヲ要スル分ハ委員長ノ見込ニ任スル事
 一、修正目論見書・仮定款及発起認可願ハ別紙草案ノ通リ決定シ出
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願ノ手続ヲナス事
 一、本社創立事務所仮出張所ハ東京市京橋区三十間堀町二丁目七番地北海道セメント株式会社内ニ設クル事
 一、出張所事務取扱手続ヲ定メ並ニ事務員雇入ヲナス事
 一、東京発起人引受株確定ノ上ハ、便宜ノ為メ壱株ニ付創立費金五拾銭宛ヲ徴収スル事
 一、第壱国立銀行及第百十三国立銀行支店ヲ以テ本社取引銀行ニ定ムル事
 一、大阪地方株主募集ニ就テハ、阿部興人・小川為次郎ノ両氏ニ托シ、派出誘導セシムル事
 一、全国主立ツタル船主ヘ別紙草案ノ書状並ニ創立趣意書・株式申込書ヲ送付シ、賛成ヲ求ムル事
 一、発起人委任状並ニ株式申込書草案ヲ別紙ノ通リニ決定スル事
 一、創立趣意書ハ訂正ノ上再印刷ニ付スル事
 一、修正発起認可願・目論見並《(書脱カ)》ニ仮定款ヲ印刷配布スル事
  以上ノ決議ヲ証認スル為メ在京委員一同記名調印ス
                      渋沢栄一
                      近藤廉平
                      大倉喜八郎
                      園田実徳
                      阿部興人
                      小川為次郎
   ○右ノ如ク、始メ函館ノミノ発起人ニテ船渠会社ヲ設立スル予定ナリシモ、之ニ東京発起人加ハリ、更ニ大阪方面ニモ運動シ其発起人勧誘ノ手筈トナリタレバ、明治二十九年四月一日東京日本郵船株式会社ニテ当社創立委員会ヲ開キタリ。


青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第六六―六九頁 〔明治三三年六月〕(DK120004k-0003)
第12巻 p.45-46 ページ画像

青淵先生六十年史(再版) 第二巻・第六六―六九頁〔明治三三年六月〕
 ○第二十七章 造船業
    第四節 函館船渠会社
函館船渠株式会社ハ青淵先生・森岡昌純・大倉喜八郎・安田善次郎・近藤廉平其他七十余名ノ発起ニ係リ、明治二十九年十一月ヲ以テ設立シタルモノニシテ、其営業所ヲ北海道渡島国函館区ニ設置ス、其資本金ハ百二十万円ナリ。○中略同社創立趣意書ニ曰ク
 昨年戦勝ノ結果、我邦ノ海運事業ニ一大進歩ヲ来シ、其船隻ノ増加セル、其船体ノ容積ヲ倍加セル、之ヲ曩日ニ比スレハ実ニ霄壌ノ別アリ、而シテ又海運ノ拡張、造船ノ奨励ハ夙ニ朝野ノ唱道スル所ニシテ、輿論モ遂ニ其必要ナルヲ公認シ、政府ハ航海奨励法案・造船奨励法案等ヲ作リ之ヲ本年ノ帝国議会ニ提出シ、議会モ亦将ニ之ヲ協賛セントス、是レ蓋シ気運ノ趣ク所真ニ国家ノ慶事ト謂ハサルヘカラス、而シテ此ノ際ニ当リ独リ遺憾トスヘキハ、船渠造船等ノ事業ノ之ニ伴テ興立スルコトナキニ在リ、蓋シ近日横浜・浦賀等ニ一二ノ新起業ヲ見ルト雖モ、今之ヲ全般ノ上ヨリ通算スレハ決シテ船舶目今ノ急需ニ応スルコト能ハサル観アリ、故ニ若シ此ノ如キ有様
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ヲ以テ推移セハ、海運事業ノ将来ニ関シ頗ル遺闕スル所アルヤ勿論ナリ、我函館ノ如キ北海道ノ咽喉ニ位シ且繋泊ノ便アルヲ以テ、船舶ノ此ノ地ニ出入往復スル者日ニ其数ヲ増加シ、其進歩ノ著大ナル人ヲシテ驚歎ニ勝ヘサラシム、然ルニ函館ノ地未タ船渠ノ設ナキカ為メ、此ノ地ニ往復スル船舶ニシテ苟モ改作修理ヲ要スルコトアル時ハ遠ク数百里ヲ航シテ横須賀・長崎・上海・香港等ノ船渠ニ就カサルヲ得ス、其不便不利実ニ世人予想ノ外ニ在リ、故ニ船主ハ些少ノ損傷ニシテ直ニ修繕ヲ加フレハ猶ホ用ヲ為スヘキ者モ特ニ労費ヲ恐レテ其儘之ヲ使用シ、遂ニ一方ニ於テハ航海ノ危険ヲ増スト同時ニ一方ニ於テハ貴重ナル船寿ヲ夭折セシムルニ至ル、是レ豈一大憾事ト謂ハサルヘケンヤ、是ヲ以テ数年以来当地ニ船渠会社ヲ起シ此ノ不便ヲ済ハント謀リ計画スル所アリシト雖モ、未タ適当ノ地域ヲ見出サヽルヲ以テ姑ク其着手ヲ緩クセシカ、幸ニシテ本年ノ帝国議会ニ於テ函館築港補助費ノ予算可決セラレ、予テ函館区ニ於テ計画セル所ノ港湾修築ノ事業モ遂ニ実施セラレントス、乃チ此ノ事業ニシテ実施セラレ旧砲台附近海面埋立工事成功スルニ至ラハ、此ニ始メテ船渠建造ニ適当ナル地ヲ得テ以テ船渠会社ノ創立ヲ全フスルコトヲ得ヘシ、蓋シ技師ノ調査ニ拠レハ旧砲台ノ地タル海底頗ル堅牢ニシテ最モ船渠ノ建造ニ適セリト、而シテ函館区モ亦此ノ船渠会社ノ創立ヲ希望シ、予テ其発起人ニ約シ其埋立地ノ如キハ工事費原価ヲ以テ会社ヘ売渡スコトヲ許可セリ、則チ是レ多年ノ計画ヲ実施スヘキ時機到来シタル者ト為スヘシ、顧フニ函館ノ地タル貨物常ニ山積シ、而シテ此等ハ皆船舶ノ力ヲ仮テ四方ニ運搬スル者ナレハ、一タヒ此ノ会社ニシテ設立スルニ至ラハ、北海全道ハ勿論東ハ三陸以北、西ハ日本海ノ沿岸ヲ交通スル船舶ハ毎ニ其貨物積卸ノ便ヲ謀リ其余暇ヲ以テ工作ヲ施シ、従来ノ如ク修理改造ノ為ニ殊更ニ内地ノ船渠ニ至ルヲ要セス、其便益固ヨリ同日ニシテ論スヘカラサル者アリ、是レ則チ当地ニ船渠会社ヲ創立スルニ方リ他地方ニ優ル所以ノ一端ナリ、而シテ船渠ノ工事ハ函館築港工事ト共ニ起業セハ、其工費ノ上ニ巨額ナル節約ヲ為シ一挙両得ノ実アルモノトス云々


函館船渠株式会社四十年史 第四四―四六頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0004)
第12巻 p.46-47 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第四四―四六頁〔昭和一二年六月〕
    明治二十九年四月一日創立委員会決議
           出席者
               創立委員長  渋沢栄一
               委員     大倉喜八郎
                      久保扶桑
                      阿部興人
                      小川為次郎
一、東京発起株〆切並ニ普通株申込ニ対スル方針ニ付テハ左ノ通決定ス
 一、七千弐百株 東京発起人弐拾参人申込高
  此分ハ右申込高ヲ以テ〆切、東京予定高八千株ニ対スル残高八百株ハ東京普通申込ノ分ヘ割当ル事
 - 第12巻 p.47 -ページ画像 
 一、弐千五百五拾株 東京普通株主弐拾参人申込高
  此分ニ対シ凡千五百株ヲ分配スル予定トシ、右ハ大阪其他ノ発起株ヲ募集シタル上ニテ、更ニ各人ニ対シ分配確定高ヲ通知スル事
 一、前件ノ東京普通株ニ対シテハ発起株ノ残高八百株及ヒ大阪其他ノ分ヨリ千株ヲ引除ケ、都合千八百株ヲ当テ置ク事
一、大阪其他ノ分八千株ヨリ千株ヲ引キ、残高七千株ノ募集方法ハ左ノ如クス
  五千株  大阪発起株ト普通株
  千株   西京及神戸同断
  千株   各地方同断
一、三月十日ノ発起人会決議ニ拠リ発起人ヨリ徴収スヘキ創立費払込ノ事並ニ其受取証ノ様式ヲ定ムル事ハ、左ノ通決定ス
 発起人加入ノ都度別紙様式ノ受取証ヲ交付シ、金円ヲ徴収スル事
 但シ函館ニ於テ已ニ半額徴収済ノ分ハ更ニ金五拾銭ノ受取証ヲ送付シ、現金弐拾五銭及ヒ原受取証ト引換セシムル事
一、印刷仮定款第九条並ニ第三十四条但書修正ハ左ノ通リ決定ス
 別冊原案ノ通リ(別冊略ス)
一、重立ツタル船持ヘ書面発送ノ事ハ左ノ通リ決定ス
 此際別段発送ヲ要セサル事
  明治二十九年四月一日
   ○右発起人会ノ決議ニ基キテ、四月四日ニ阿部興人ハ阪神地方株主募集ノ為メ出張シ、神戸ニ於テハ吟松亭ニ、大阪ニ於テハ同月二十三日堺卯楼ニ各地ノ有力者ヲ会シ、談話ノ末藤田伝三郎・鴻池善右衛門等ヲ始メ四十五人ノ賛成ヲ得、此引受株六千百八十株ヲ取極メテ二十七日帰京ス(函館船渠株式会社四十年史ニ拠ル)。
   ○四月五日訂正セル発起認可申請書ヲ、四月一日附ヲ以テ上京中ノ北海道長官ヲ経テ、農商務・逓信両大臣ヘ差出シ、曩ノ申請書ノ下戻ヲ請ヘリ(同上)。
   ○大阪ニ出張セル阿部興人委員ハ阿部彦太郎・金沢仁兵衛・松本重太郎ノ斡旋及ビ偶々在阪中ナリシ大倉喜八郎ノ力添ヘニヨリ四月二十三日堺卯楼ニ集会シ、三十四名ノ加盟賛成発起人ヲ得、又京都神戸其他ノ各地ノ賛同者モ十二名ヲ挙グルヲ得タリ、左ノ如シ。
    大阪市
     芝川又右衛門 藤田伝三郎  外山脩造   大家七平
     阿部彦太郎  鴻池善右衛門 平野平兵衛  志方勢七
     田中市太郎  浮田桂造   阿部市郎兵衛 片岡直温
     竹尾治右衛門 木原忠兵衛  岡橋治助   和田半兵衛
     金沢仁兵衛  阿上新治郎  越野嘉助   前川槙造
     辻忠右衛門  田中太七郎  井上保次郎  藤本清七
     逸見佐一郎  野田吉兵衛  松本重太郎  原田金之祐
     谷口黙次   右近権左衛門 広海仁三郎  今西林三郎
    京都、神戸其他ノ地
     朝尾春直   稲垣藤兵衛  津田寅吉   堀田隆治
     辰馬たき   鷲尾久太郎  辰馬半右衛門 高見善兵衛
     久寿里房太郎 川西善右衛門 有馬市太郎  南島間作


函館船渠株式会社四十年史 第五五―六二頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0005)
第12巻 p.47-49 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第五五―六二頁〔昭和一二年六月〕
 - 第12巻 p.48 -ページ画像 
    函館船渠株式会社発起申請書
私共今般発起人ト相成北海道渡島国函館区ニ函館船渠株式会社ヲ設立シ、専ラ船舶機関等ノ新造修理ニ従事仕度候間、発起御認可被成下度別紙目論見書及仮定款相添ヘ此段奉願候也
  明治二十九年三月 日
      函館船渠株式会社発起人
       渋沢栄一   森岡昌純   大倉喜八郎  安田善次郎  近藤廉平
       今村清之助  加藤正義   奥三郎兵衛  浅野総一郎  渡辺治右衛門
       梅浦精一   浅田正文   阿部彦太郎  岩出惣兵衛  園田実徳
       船本竜之助  稲井永敏   堀江助保   岡本忠蔵   染谷浜七
       前川忠七   坂本則美   土田政治郎  清水くら   阿部興人
       小川為次郎  平出喜三郎  □辺熊四郎《(渡辺熊四郎カ)》
       笹野栄吉   久保扶桑   平田文右衛門 今井市右衛門 菊地次郎右衛門
       武富平作   水野源右衛門 沢本梅次郎  田中正右衛門 遠藤吉平
       松下熊槌   砂沢正俊   林宇三郎   和田惟一   納代東平
       鈴木沢造   諸橋信吉   藤野四郎兵衛 久保彦助   皆月善六
       松居定兵衛  石坂嘉蔵   綱塚忠兵衛  高倉儀兵衛  忠谷久蔵
       伊藤佐次兵衛 小野秀次郎  金沢彦作   広谷源治   伊藤鋳之助
       辻快三    筑前善次郎  山尾福三   相馬哲平   岩船峯次郎
       能戸善吉   加藤政之助  荘司平吉   渡辺佐兵衛  谷津菊右衛門
       服部半左衛門 上野国次郎  吉田庄作   辻遷吉    岩田栄蔵
       伊藤一隆   伊予田徳次郎 広谷順吉   堀田隆治   永野弥平
    農商務大臣 子爵榎本武揚殿

    函館船渠株式会社創立目論見書
一、会社種類     株式会社トス
一、会社目的     船渠船架台及鉄工場等ヲ建設シ、船舶ノ新造修理機関諸機械ノ新造修理等ヲ営業トス
一、会社ノ称号    函館船渠株式会社ト称ス
一、営業場所     北海道渡島国函館区「 」ニ設置ス
一、存立時期     会社設立免許ノ日ヨリ向フ四十ケ年トス
一、資本金      総額百弐拾万円、株数弐万四千株、一株ノ金額五拾円トス
一、資本金使用ノ概算 資本金総額金百弐拾万円
 - 第12巻 p.49 -ページ画像 
 使用ノ内訳左ノ如シ
 金弐拾万千五百参拾七円     諸工場建物及事務所倉庫建築費
 金五万拾弐円          敷地購入費
 金五拾五万五千七百五拾八円七拾六銭 船渠及船架並ニ造船台築設費
 金六万千参百六拾八円      旋盤仕上組立機購入費
 金壱万八千九百九拾九円     鍛冶場諸機械購入費
 金壱万参千九百八拾八円     鋳物場諸機械購入費
 金千六百弐拾六円        木型工場諸機械購入費
 金参万五千円弐拾銭       製鑵及鋼工場諸機械購入費
 金四万六千八百参拾六円五拾銭  一般応用備付機械購入費
 金弐万五千円          諸工場機械据付費
 金参万円            予備費
 金拾五万九千八百七拾四円四拾六銭 運転資金
                   以上
 発起人氏名住所及引受株数左ノ如シ(氏名株数略ス)

    函館船渠株式会社仮定款○略ス
   ○右当会社創立目論見書ニ就イテハ〔参考〕トシテ後掲セル明治二十八年九月一日函館ノミノ発起人ニ依ル函館船渠株式会社創立目論見書参照。


函館船渠株式会社四十年史 第六四―六五頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0006)
第12巻 p.49-50 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第六四―六五頁〔昭和一二年六月〕
 認第八号
農商務省第 号
              東京府東京市日本橋区兜町弐番地
                      渋沢栄一
                        外七拾六人
明治二十九年四月一日付申請函館船渠株式会社ノ件認可ス
  明治二十九年四月二十八日
          農商務大臣 子爵榎本武揚
          逓信大臣 白根専一

    明治二十九年五月十三日創立委員会決議
          出席者 創立委員長 渋沢栄一
              委員    阿部興人
                    小川為次郎
  本月十一日発起認可書下付ノ件報告
一去ル四月二十九日付ノ発起認可書、農商務・逓信両大臣ヨリ北海道庁長官ヲ経テ下付相成タルニ付、其本書ヲ各員ノ閲覧ニ供ス
  大阪神戸其他ノ株主募集報告
一阿部氏ヨリ過日来各地募集ノ顛末及人名株数等報告ス
  北海道ヲ除キ其他ノ発起人及其株数確定並ニ普通申込株確定ノ事
一別紙及各表ノ通リ決定ス(別紙略ス)
  普通申込人ヘ確定高ノ通知及証拠金徴収ノ事
一別紙ノ通、通知書相発シ証拠金徴収スル事(別紙略ス)
 - 第12巻 p.50 -ページ画像 
  北海道ノ株式処理ノ事
一北海道ノ発起人並ニ普通株ハ前例ニ依リ阿部氏帰函ノ上、函館委員ト共ニ処理スル事
  創業総会ノ日限及通知案ノ事
一別紙ノ通、通知案及ヒ其他原案ノ通リ決定スル事(別紙略ス)
  発起認可書下付之件発起人ヘ通知ノ事
一別紙原案ノ通リ通知スル事(別紙略ス)
右之通決定候也
  明治二十九年五月十三日
 委員中大倉喜八郎氏ハ渋沢栄一氏ヘ依嘱、園田実徳・近藤廉平氏ハ旅行ノ為メ欠席



〔参考〕函館船渠株式会社四十年史 第二九―三〇頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0007)
第12巻 p.50-51 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第二九―三〇頁〔昭和一二年六月〕
    函館船渠設置ノ件ニ付願書
 我邦ハ四面環海運輸ノ事多ク船舶ノ利ニ資ルニモ拘ハラス、之ヲ保護修理ノ要ニ充ツヘキ船渠ノ如キ僅々タル小数、況ヤ我函館港ノ如キハ内地ト北海道トノ咽喉ニ位シ、百貨ノ出入悉ク船舶ノ便ヲ藉ラサルハナク、常ニ輻輳定繋間断ナク、而シテ修理改作ニ当リテハ遠ク横須賀・長崎ヨリ清国上海・香港ニ就カサルヲ得ス、我帝国統計上最モ船舶必要ノ函館ニシテ斯クノ如シ、其不便堪フヘカラス、是ヲ以テ私共曩ニ当港否北海道ノ為メ多年辛苦焦慮計画セルハ函館船渠株式会社ノ創立ニシテ、其位置ヲ求ムルヤ久シ、故ニ開拓使以来屡々懇願スル処ナリ、官亦数年前我々ノ衷情ヲ容レラレ、明治十二年来肥田浜五郎氏及ヒ桐野海軍少技監、内務省御雇モルドル氏其他メーク氏等ヲ聘シ、巨額ノ測量費ヲ要シ調査ニ係ルモ、始終一徹弁天岬砲台地先ノ船渠用地トシテ適当ナルハ敢テ疑ヒナキ所ニシテ、既ニ去ル二十六年ヨリ道庁技師広井勇氏ノ精密ナル調査ニ拠リ、全ク其位置ヲ定ムル事ヲ得、依之当区ニ於テモ、客年三月臨時区会ヲ開キ、該事業中ナル防波堤内ニ船渠予定地ヲ置キ、其壱万弐千五百参坪ヲ船渠会社結合ノ上ハ之ヲ売渡スモノトスト決議セリ、蓋シ是レ全区ノ冀望スル所ニシテ、函館港ノ隆盛ヲ永遠ニ維持スヘキ所以ナリ、今ヤ機熟シ本港改良工事請願ノ件モ本年帝国議会ノ按ニ上ラントスルノ説ヲ聞ク、事匆卒ノ至リト雖モ、元来此工事タルヤ本港改良工事ト相俟テ、同時ニ起スニ利アルハ勿論ナレハ、工事着手ニ先立チ当会社ヲ創立シ、御区経営ノ土功落成ノ上ハ、直ニ当会社ヘ御譲渡被成下度、今ヨリ御予約相成不申候テハ会社設立ニモ差閊候間、特別ノ御詮議ヲ以テ至急御許可被成下度願上候、尤モ右ニ付御区命令ノ趣ハ堅ク遵守可仕ハ勿論、地価上納ノ義ハ本社成立ノ上御指図ニ応シ可申候、依テ発起人連署此段奉願候也
  明治二十八年八月二十六日
     函館船渠株式会社創立発起人
       渡辺熊四郎  久保扶桑    小川為次郎代理平田文右衛門
       林宇三郎   平出喜三郎   遠藤吉平
       平田文右衛門 広谷源治    伊藤一隆
 - 第12巻 p.51 -ページ画像 
       和田惟一   田中正右衛門  外四十名
    函館区長 財部羌殿


〔参考〕函館船渠株式会社四十年史 第三〇―三一頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0008)
第12巻 p.51 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第三〇―三一頁〔昭和一二年六月〕
               函館船渠株式会社創立発起人
                      平田文右衛門
                         外五拾名
明治弐拾八年八月弐拾六日附、函館防波堤中船渠予定地売渡予約願出ノ件許可候条、左ノ通心得ベシ
防波堤中埋立地所船渠会社ヘ売渡ノ価格及方法等ハ、埋立成工シ函館船渠会社成立ノ上協議決定スルモノトス
 但双方協議整ハサルトキハ、売渡地所ノ部分ニ属スル埋立工事ニ費シタル実費ニ依リ之ヲ定ムルモノトス
一、実費ヲ定ムルニ当リ争アルトキハ、函館区長ノ指定スル技師ノ鑑査ニ依リ定ムルモノトス
一、前項ノ実費ト称スルモノハ、工事実費ノ外利子(公借金ノ利子ヲ指ス)ヲ併セテ計算シ之ヲ定ムルモノトス
一、右地所売渡ノ日ヨリ五ケ年内ニ船渠会社ニ於テ事業ヲ成効セサルトキハ、此土地ノ売買ヲ取消スコトアルヘシ
  但土地売渡証書ニ此取消条件ノ登記ヲ為スヘシ
一、左ノ場合ニ於テハ此売買予約ハ当然消滅ス可キモノトス
 一、築港ノ許可ヲ得サルトキ
 一、築港ノ許可ヲ得ルモ函館区ノ都合ニ依リ築港事業ヲ廃止シタルトキ
  明治弐拾八年八月参拾日
                函館区長 財部羌


〔参考〕函館船渠株式会社四十年史 第三二―三五頁〔昭和一二年六月〕(DK120004k-0009)
第12巻 p.51-53 ページ画像

函館船渠株式会社四十年史 第三二―三五頁〔昭和一二年六月〕
    船渠会社創立趣意書
 我邦ハ四面皆海ニシテ其運輸交通ニ於ケル、船舶ノ利ニ資ルコト最モ多キハ固ヨリ論ヲ俟タサルナリ、輓近航海ノ業頓ニ拡張シ、大船巨舶忽チ増加スルニ至レルヲ以テ、其製造修理ニ関スル工業随テ発達ヲ要スルハ目下緊急ノ事務トス、然ルニ従来ノ実況ヲ察スルニ、船舶ノ製造修理ニ必要ナル工場未タ完備セサルカ為メ、啻ニ目下ノ急要ニ応スル能ハサルノミナラス、後来国運ノ進張ヲ阻礙スルコト甚シトス、函館港ノ如キ輓近出入ノ船舶ハ其数益々多ク、其形俄ニ大ナルモ未タ船渠ノ設ナキカ為メ、苟モ修理ヲ要スル時ハ遠ク他ノ船渠ニ就カサルヘカラス、些少ノ損傷ニシテ直チニ修補ヲ加フレハ猶ホ用ヲ為スヘキモ、之ヲ廃棄スルモノ多シトス、海運ノ進歩長足ノ勢ヲ呈スル今日ニ方リ、此ノ如キ闕点アルハ豈遺憾ニ堪フヘケンヤ、余輩曾テ本港ニ船渠会社ヲ起サント欲シ種々計画スル所アリシモ、未タ適当ノ地ヲ得サリシカ、今ヤ本港改良工事設計既ニ成リ、旧砲台近方海面ヲ埋メ、一大防波堤ヲ築設セントスルニ至リ、此地タル海底頗ル堅牢ニシテ最モ船渠ニ適セリ、乃チ多年ノ計画ヲ実施スヘキ好機会ヲ得タルヲ以テ、
 - 第12巻 p.52 -ページ画像 
爰ニ船渠会社ヲ創設シ、船舶ノ製造修理ノ需要ニ応セントス、其資金ヲ概算スルニ別紙ノ如ク金百弐拾万円ヲ要ス、此会社ニシテ創立スルヲ得ハ、本港ニ来ル所ノ内外船舶ヲシテ修理ノ為メ遠ク他ニ航スルノ不経済ヲ免レシムルノミナラス、夏時来航ノ外国軍艦ノ如キモ其利便ヲ得ルコト少カラサルヘシ、果シテ然ラハ、我邦航海事業ノ拡張ヲ助ケ、国運進張ニ補アルコト豈少小ナランヤ、然リト雖モ此ノ如キ巨額ノ資金ヲ投スルモ、遽ニ収支相償フニ至ル能ハスシテ、其損失頗ル大ナルヘキハ固ヨリ瞭然タレハ、姑ク大船渠ヲ設ケス、資金五拾万円ヲ目途トシ、単ニ修繕台(パテントスリツプ)ノミヲ設置シ、之ニ適当スル機械工場ヲ具備シ此事業ヲ開始セントス

    函館船渠株式会社目論見書大略
会社種類   株式会社トス
会社目的   船渠台及造船鉄工場ヲ設ケ船舶新造修理諸機械製造
会社称号   函館船渠株式会社ト称ス
営業場所   北海道渡島国函館区船場町拾九番地
存立時期   満四拾ケ年トス
資本金    総額八拾万円、株数壱万六千個、壱株ノ金額五拾円
資本使用概算 資本総額八拾万円、使用内訳左目ノ如シ
 金弐拾五万千五百四拾九円     諸工場倉庫建築敷地購入予算
 金八万六千八百参拾円六拾参銭   船架台及造船台建築費予算
 金弐拾万弐千八百拾七円七拾八銭  鉄工機械七点購入費予算
 金弐拾弐万八千八百弐円五拾九銭  営業運転資金其他設備費
其発起人ヲ承諾セル人名○略ス
 総計五拾八名、直ニ発起人会ヲ開キ、左ノ事項ヲ決議ス
第一項 発起人ハ其持株五拾株ヨリ少カラサルヘシ、其株数ノ総計八千株ヲ超ユヘカラス
第二項 発起人ノ投票ヲ以テ発起人株壱百株以上ヲ引受ケタル者ノ内ヨリ七名ノ創立委員ヲ選定シ、創立ニ係ル諸般ノ事ヲ委托シ、敏活ニ運行整理セシム
第三項 創立委員ハ、発起人タルト否トヲ問ハス当該事件ニ適当ノ材幹ヲ有スルト認ムル者ニ就キ、二名以上五名以下ノ相談役ヲ委嘱シ諸般ノ事ヲ商量スルコトヲ得
第四項 発起人ハ創立費トシテ毎壱株金五拾銭ヲ両回ニ分チ、毎回金弐拾五銭宛ヲ創立委員指定ノ期日ニ差出スモノトス
 但本項ノ金額ニテ不足ヲ生シタルトキハ各自持株ニ応シ追徴スルコトヲ得
第五項 創立費ハ創立委員ニ於テ収支シ、追テ其明細精算ヲ発起人ヘ報告スルモノトス
第六項 創立委員及相談役ハ総テ無給トス
 但旅行等ヲ要スルトキハ相当ノ実費ヲ贈与スルモノトス
第七項 発起人会ハ委員ノ招集、及発起人中三分ノ一ニ当ル人員ノ請求ニ依リ、出席者過半数ニ至リ開会スヘシ
  明治二十八年九月一日
 - 第12巻 p.53 -ページ画像 
   ○明治二十八年八月二十六日附函館防波堤中船渠予定地売渡予約出願アリテ区会ハ臨時区会ヲ開キ、函館船渠株式会社成工ノ上ハ売渡ストノ決議ヲナシ、右同八月三十日附指令文ヲ下附シタリ。玆ニ於テ平田文右衛門ヲ請願委員トシ、港湾改良費国庫補助金三十万円交附ヲ仰ガントシテ運動シ、上京シテ逓信・内務・大蔵・陸軍・海軍各省ニ出頭、右補助金ヲ予算案中ニ編入サレンコトヲ請ヒ、遂ニ二十万円補助セラルヽコトヽナレリ。
    是ヨリ先、船渠予定地売却予約決定後、明治二十八年九月一日、直ニ函館船渠株式会社創立総会ヲ開キ、上掲船渠会社創立趣意書及ビ目論見書大略ヲ決定シ、又創立委員ヲ選挙ス。其結果渡辺熊四郎・平田文右衛門・久保扶桑・遠藤吉平・伊藤一隆・和田惟一・小川為次郎等委員ニ選出サレ、創立事務所ヲ船場町郵船会社内ニ置キ、発起申請書ヲ北海道庁ヲ経由シテ、農商務省ニ提出セリ。他方之ト前後シテ九月中「函館船渠株式会社創立ニ付一時補助金御下附請願書」ヲ内務・海軍・逓信各大臣並ニ北海道庁長官ニ提出シ、四十万円ノ国庫補助金ヲ請願ス。而シテ明治二十九年二月函館港改良工事補助金三十万円ハ二十万円ニ削減サレ、四ケ年ニ分ツテ下附スベキ議案ハ貴衆両院ヲ通過セシガ、船渠会社補助金請願運動ハ之ヲ中止スルニ至レリ。蓋シ此運動ノ為メ上京中ナリシ小川・平田ノ両人ハ、栄一等東京有力実業家ニ会シ、補助金下附ニ関係ナク、会社設立ニ援助ヲ与フベキ賛意ヲ得タルヲ以テ、東京実業家ト提携シ現発起人会ヲ解散セズ設立ヲ続行スルコトヽナレリ。
    斯クテ明治二十九年二月二十七日、東京築地柳花苑ニ於テ東京発起人会ヲ開催ス。(「函館船渠株式会社四十年史」ニ拠ル)
   ○明治二十八年九月一日附当会社目論見書ニ就イテハ、前掲二十九年三月附目論見書参照。
   ○右以前ノ函館船渠創設運動ニ就イテハ「函館船渠株式会社四十年史」第二章「函館船渠株式会社ノ創立運動」参照。