デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
15節 造船・船渠業
5款 浦賀船渠株式会社
■綱文

第12巻 p.80-92(DK120009k) ページ画像

明治35年5月4日(1902年)

是日、当会社株主総会ハ浦賀港内ナル東京石川島造船所浦賀分工場買収ヲ議決ス。栄一当会社ノ株主トナル。


■資料

(浦賀船渠株式会社)事業報告 第一二回明治三六年一月(DK120009k-0001)
第12巻 p.80-81 ページ画像

(浦賀船渠株式会社)事業報告 第一二回明治三六年一月
                 (浦賀船渠株式会社所蔵)
    分工場授受之件
株式会社東京石川島造船所浦賀分工場買収代金ハ、同社ヨリノ請求ニ依レハ、固定資産代金壱百万円及ヒ三十五年一月以降ノ新設ニ属スル固定資産代金弐万五百弐拾九円拾六銭参厘ナリシモ、当社ニ於テ調査ノ結果、右資産全部ノ代金ヲ九拾九万参千八百六拾円拾七銭五厘ト協定シ、八月三十日ニ至リ所有権移転登記ノ手続ヲ了シ、前記代金ノ内金九拾万円ハ、同社カ募集ニ応シタル当会社新株式ノ払込金ニ充テシメ、残金ハ現金ヲ以テ支払ヒタリ、倉庫品ニ於テモ固定資産物件ノ如ク精細ナル調査ヲ為シ、結局価格金七万九千五百参拾九円四拾四銭壱厘ニ対スル物件ヲ引受ケ、其代金ヲ支払ヒタリ
    増資株式募集及株券発行之件
明治三十五年五月四日株主総会ノ決議ニ依リ増資シタル金九拾万円、即チ壱株金五拾円ノ株式壱万八千株ノ募集ニ関シテハ、本年六月十六日付ヲ以テ株式会社東京石川島造船所ヨリ株式引受申込書ヲ領収シ、同八月三十日当会社ヨリ株式会社東京石川島造船所ヘ支払フヘキ浦賀分工場固定資産物件代金ノ内ヲ以テ右株券ノ払込ヲ為サシメ、十二月二十日付ヲ以テ新株券ヲ発行シ同社ヘ交付シタリ
    登記事項
同年○明治三五年八月三十日横須賀区裁判所浦賀出張所ヘ、株式会社東京石川島造船所ヨリ買受ケタル浦賀分工場ニ属スル不動産所有権移転ノ登記ヲ為ス
同年十二月十二日東京区裁判所ヘ、当会社資本金九拾万円ヲ増加セシ事、右資本増加ノ決議ハ明治三十五年五月四日ナル事、及ヒ各新株ニ付払込ミタル株金額ハ金五拾円ナル事ヲ登記ス
○中略
右之通相違無之候也

  明治三十六年一月
               浦賀船渠株式会社
                専務取締役 塚原周造
                取締役   臼井儀兵衛
                同     渡辺福三郎
                同     阿部彦太郎
 - 第12巻 p.81 -ページ画像 
                同     富岡俊次郎
                同     佐々木慎思郎
                監査役   桜井亀二
                同     池田庄吉
                同     岡本善七

  浦賀船渠株式会社株主名簿(明治卅五年十二月三十一日現在)

            所有株数
     旧株      新株     合計   府県   姓名
                          株式会社東京石川島造船所専務取締役
           六、四九六  六、四九六  東京  平沢道次
           一、四六二  一、四六二  同   渋沢栄一
    一、三八〇         一、三八〇  同   浅野総一郎
    一、三六〇         一、三六〇  同   緒明菊三郎
      一〇〇  一、〇六二  一、一六二  同   田中永昌
    一、一三〇         一、一三〇  同   渡辺治右衛門
    一、〇〇〇         一、〇〇〇  同   安田善四郎
    一、〇〇〇         一、〇〇〇  大阪  阿部彦太郎
             八三四    八三四  東京  西園寺公成
      七四五           七四五  同   塚原周造
      七〇〇           七〇〇  同   榎本金八
      六〇〇           六〇〇  神奈川 安部幸兵衛
      五七五           五七五  東京  桜井亀二
                               ○外三百九十一名氏名略ス
        株主    四百四名
     総計 株数    参万八千株(旧株弐万株 新株壱万八千株)
        資本金額  壱百九拾万円(払込済)

   ○東京石川島造船所浦賀分工場買収ニ就イテハ本資料第十一巻所収「東京石川島造船所」明治三十四年十月二十二日ノ条(第六四三頁)及ビ同三十五年五月四日ノ条(第六五二頁)参照。
   ○増資以後、明治四十二年上期ニ至ルマデノ浦賀船渠株式会社ノ営業成績左ノ如シ。(同会社事業報告書ニ拠ル)

     年次     資本金(金額払込) 利益金(×印損失) 配当率
                   円         円
    明治三五下  一、九〇〇、〇〇〇    四一、一三一 旧株五分 新株八厘三三
      三六上     〃          六、七六六   〇
      三六下     〃          四、六七四   〇
      三七上     〃       × 八六、六六一   〇
      三七下     〃       × 八二、九七九   〇
      三八上     〃          四、四三五   〇
      三八下     〃         四八、九〇五   五分
      三九上     〃         六九、六五三   六分九厘
      三九下     〃         一六、七七二   〇
      四〇上     〃       ×一三一、五四四   〇
      四〇下     〃       × 六七、九一三   〇
      四一上    九五〇、〇〇〇     四、〇二二   〇
      四一下     〃         一八、五九五   〇
      四二上     〃            七七〇   〇

 - 第12巻 p.82 -ページ画像 



〔参考〕浦賀船渠株式会社設立目論見書(DK120009k-0002)
第12巻 p.82 ページ画像

浦賀船渠株式会社設立目論見書(浦賀船渠株式会社所蔵)
    浦賀船渠株式会社設立目論見書
第一 当会社ハ株式組織トス
第二 当会社ハ船渠ヲ築キ、鉄工所造船所ヲ設ケテ、船舶及船用汽機汽缶其他陸用諸機械ノ新造修理ヲ営ムヲ以テ目的トス
第三 当会社ハ浦賀船渠株式会社ト称ス
第四 当会社ハ本社ヲ東京市ニ本工場ヲ相模国三浦郡浦賀町ニ設置ス
第五 当会社ノ資本金総額ハ壱百万円トシ、之ヲ弐万株ニ分チ、壱株ノ金額ヲ五拾円トス
第六 当会社資本金使用ノ概算ハ左ノ如シ
  一金八万円                  地所
  一金五拾八万四千二百二拾円三拾七銭二厘    船渠大小二個築造費
  一金弐拾万九千二百参拾円           鉄工所及造船所
  一金弐万七千九百円四厘            附属品
  一金九万八千六百四拾九円七拾二銭四厘     流通資金
第七 当会社ノ発起人ノ氏名住所及其引受株数左ノ如シ
  金額    株数  住所                  氏名
 五万円   壱千株 東京市小石川区小日向茗荷谷町九十二番地 塚原週造《(塚原周造)》
 同     同   東京市深川区清住町一番地        浅野総一郎
 同     同   大阪市北区堂島港通二丁目十五番屋敷   阿部彦太郎
 同     同   東京市日本橋区本材木町一丁目七番地   渡辺治右衛門
 同     同   東京市日本橋区本材木町四丁目八番地   安田善四郎
 同     同   横浜市元浜町一丁目一番地        渡辺福三郎
 同     同   東京府品川町北品川宿二百二十三番地   緒明菊三郎
 同     同   東京市本所区須崎町百四十二番地     榎本金八
 参万五千円 七百株 横浜市南仲通三丁目五十番地       安部幸兵衛
 弐万五千円 五百株 東京市京橋区築地二丁目廿五番地     籾山半三郎
 同     同   東京市京橋区南新堀町一丁目四番地    中沢彦吉
 参万五千円 七百株 東京市赤阪区表町三丁目十三番地     渡辺忻三
 弐万五千円 五百株 東京市芝区西久保城山町四番地      荒井郁之助
 五万円   壱千株 東京市京橋区新船松町七番地       桜井亀二
右之通発起人共ニ於テ決定仕候依テ各署名捺印スルモノ也
  明治廿九年七月廿八日
                 浦賀船渠株式会社発起人
                     塚原週造《(塚原周造)》(印)
                       ○外十三名連署捺印略
   ○塚原周造ハ当会社創立委員長ナリ。
   ○創立総会ニヨリ決定セル役員左ノ如シ
    取締役 塚原周造   渡辺忻三   安田善四郎
        浅野総一郎  渡辺治右衛門
    監査役 荒井郁之助  桜井亀二   臼井儀兵衛


〔参考〕第三課文書類別 農商会社三明治二九年(DK120009k-0003)
第12巻 p.82-86 ページ画像

第三課文書類別 農商会社三明治二九年 (東京府庁所蔵)
 - 第12巻 p.83 -ページ画像 
    定款訂正届
本月七日附ヲ以テ設立免許申請候浦賀船渠株式会社定款ノ儀、別紙廉書ノ通訂正致候間此段御届申上候也
  明治二十九年十月廿四日
              浦賀船渠株式会社発起人総代
                     塚原周造(印)
    農商務大臣 子爵 榎本武揚殿
    逓信大臣  子爵 野村靖殿

    浦賀船渠株式会社定款訂正廉書
一定款第十一条中「氏名」ノ下ヘ「ヲ署シ」ノ三字ヲ捜入《(挿)》シ「印影」ヲ「印章」ト修正ス
一同 第十六条中「日数三週日以内ニ払《(込脱カ)》ム」ノ下「ベキ」ノ二字ヲ捜入ス
一同 第廿七条・第廿八条ノ間ニ「第五章 取締役会」ナル題目ヲ置ク
一同 第三十七条「取締役会ニ於テ之ヲ定メ」ノ十一字ヲ削除ス
一同 第三十九条「総会ノ議按」トアルヲ「総会ノ議事」ト訂正ス
一同 第四十一条「四分ノ一」ノ下「以上」ノ二字ヲ捜入ス
一同 第四十二条「其旨ヲ」ノ下ヘ「各株主ニ」ノ四字ヲ捜入ス
一同 第四十六条「諸消却金」トアル上ニ「損失金」ノ三字ヲ捜入ス
以上
明治廿九年十月九日内務部第三課主任属
 (久我)  (谷口)
知事(印) 参事官(印)
    (寺田)    (高田)
 内務部長(印) 第三課長代(印) 農商掛
 内三丙六八〇三号ノ二
    浦賀船渠株式会社設立免許申請書進達案
曩ニ浦賀船渠株式会社発起認可相成候処、今般発起人総代塚原周造ヨリ該会社設立免許申請書進達方願出候ニ付、調査候処不都合ノ廉無之ト被存候条、書類及進達候也
  年 月 日                 知事
    農商務大臣宛
           (両名宛)
    逓信大臣宛

    浦賀船渠株式会社設立ニ就キ書類進達願
明治二十九年八月廿七日農商務省指令商第一〇九六三号ヲ以テ発起ノ御認可ヲ得候浦賀船渠株式会社ノ儀、爾後適法ノ手続ヲ為シ九月二十八日創業総会相開キ候ニ付設立ノ御免許ヲ得度、依テ別冊目論見書・定款・株式申込簿謄本及発起ノ御認可書謄本、農商務・逓信両省御進達被成下度此段奉願候也
  明治二十九年十月七日
        東京市小石川区小日向茗荷谷町九十二番地
             発起人総代 塚原周造(印)
 - 第12巻 p.84 -ページ画像 
    東京府知事 侯爵 久我通久殿

    浦賀船渠株式会社設立免許申請書
明治廿九年八月廿七日商第一〇九六三号ヲ以テ発起ノ御認可ヲ得候浦賀船渠株式会社ノ儀、爾後適法ノ手続ヲ為シ九月廿八日創業総会相開キ候ニ付、設立ノ御免許被成下度、商法第百六十六条ニ依リ別紙目論見書・定款・株式申込書謄本・発起ノ御認可書謄本相添ヘ此段申請仕候也
  明治廿九年十月七日
         東京市小石川区小日向茗荷谷町九十二番地
             発起人     塚原周造(印)
         東京市深川区清住町壱番地
             同     浅野総一郎総理代人
                     白石元治郎(印)
         東京市日本橋区本材木町一丁目七番地
             同     渡辺治右衛門(印)
         東京市日本橋区小網町四丁目八番地
             同     安田善四郎(印)
         東京府荏原郡品川町北品川宿二百二十三番地
             同     緒明菊三郎(印)
         東京市本所区須崎町百四十二番地
             同     榎本金八(印)
         東京市京橋区築地二丁目廿五番地
             同     籾山半三郎(印)
         東京市京橋区南新堀町一丁目四番地
             同     中沢彦吉(印)
         東京市赤坂区表町三丁目十三番地
             同     渡辺忻三(印)
         東京市芝区西久保城山町四番地
             同     荒井郁之助(印)
         東京市京橋区新船松町七番地
             同     桜井亀二(印)
         大阪市北区堂島港通二丁目第十五番屋敷
             同   阿部彦太郎代人
                   塚原周造(印)
         横浜市元浜町一丁目一番地
             同   渡辺福三郎代人
                   塚原周造(印)
         横浜市南仲通三丁目五十番地
                 安部幸兵衛代人
                   塚原周造(印)
    農商務大臣 子爵 榎本武揚殿
    逓信大臣 子爵 野村靖殿

  (朱書)         (朱書)
  認第一〇二一号      文書課長 志村

農商務省指令商第一〇九六三号
           東京府東京市
            小石川区小日向茗荷谷町九十二番地
                  塚原周造 外十三名
 - 第12巻 p.85 -ページ画像 
明治廿九年七月廿八日付申請、浦賀船渠株式会社発起ノ件認可ス
  明治廿九年八月廿七日
       農商務大臣 子爵 榎本武揚 農商務大臣之印

図表を画像で表示--

 収受  二十九年七月二十八日 (印)     内之丙五四二五 



    浦賀船渠株式会社設立ニ就キ書類進達願
拙者共今般船渠ヲ築キ、鉄工所造船所ヲ設ケテ、船舶及船用滊機滊鑵其他陸用諸機械ノ新造修理相営ミ候為メ、浦賀船渠株式会社設立致度依テ別冊浦賀船渠株式会社発起認可申請書・同設立目論見書・同仮定款・農商務・逓信両省御進達被成下度此段奉願候也
  明治二十九年七月廿八日
       東京市小石川区小日向茗荷谷町九拾弐番地
           設立発起人総代 塚原周造(印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿

    浦賀船渠株式会社発起認可申請書
今般船渠ヲ築キ、鉄工所造船所ヲ設ケテ、船渠及船用滊機滊鑵其他陸用諸機械ノ新造修理相営ミ候為メ、浦賀船渠株式会社設立致度候間、発起ノ御認可被成下度、商法第百五拾九条ニ依リ別紙目論見書及仮定款相添ヘ此段申請仕候也
  明治廿九年七月廿八日
         東京市小石川区小日向茗荷谷町九拾弐番地
                    塚原周造(印)
         東京市本所区須崎町百四拾弐番地
                    榎本金八(印)
         東京府荏原郡品川町大字北品川宿弐百弐拾参番地
                    緒明菊三郎(印)
         東京市深川区清住町壱番地
                    浅野惣一郎(印)
         大阪市北区堂島湊通二丁目十五番屋敷
                    阿部彦太郎(印)
         東京市日本橋区本材木町壱丁目七番地
                    渡辺治右衛門(印)
         神奈川県横浜市元浜町壱丁目壱番地
                    渡辺福三郎(印)
         東京市日本橋区小網町四丁目八番地
                    安田善四郎(印)
         東京市京橋区南新堀町一丁目四番地
                    中沢彦吉(印)
         東京市京橋区築地二丁目二十五番地
                    籾山半三郎(印)
         神奈川県横浜市南仲通三丁目五十番地
                    安部幸兵衛(印)
         東京市芝区西久保城山町四番地
                    荒井郁之助(印)
 - 第12巻 p.86 -ページ画像 
         東京市赤坂区表町三丁目十三番地
                    渡辺忻三(印)
         東京市京橋区新船松町七番地
                    桜井亀二代理
                    渡辺治右衛門(印)
    農商務大臣 子爵 榎木武揚殿
    逓信大臣 白根専一殿


〔参考〕第三課文書類別 農商会社三明治二九年(DK120009k-0004)
第12巻 p.86-90 ページ画像

第三課文書類別 農商会社三明治二九年 (東京府庁所蔵)
    浦賀船渠株式会社定款
   第一章 総則
第一条 当会社ハ株式組織トス
第二条 当会社ハ船渠ヲ築キ鉄工所・造船所ヲ設ケテ、船舶及船用滊機・滊鑵其他陸用諸機械ノ新造修理ヲ営ムヲ以テ目的トス
第三条 当会社ハ浦賀船渠株式会社ト称ス
第四条 当会社ハ本社ヲ東京市ニ、本工場ヲ相模国三浦郡浦賀町ニ設置ス
   第二章 株式及株主
第五条 本社ノ資本金ハ壱百万円トシ之ヲ弐万株ニ分チ壱株ヲ金五拾円トス
第六条 本社ノ株主ハ大日本帝国臣民ニシテ本社ノ定款ヲ遵守シ株式ヲ引受ケ株主名簿ニ登録ヲ受ケタルモノトス
  但無能力者ハ適法ノ代理人又ハ後見人ニ依リ、法人及団躰ハ代表者ニ依リ株主タルコトヲ得
第七条 本社ノ株券ハ左ノ二種トス
   壱株券 拾株券
第八条 本社ノ株券ニハ其金額・発行ノ年月日・番号・社名・社印・社長ノ氏名印及其株主ノ氏名ヲ載ス
第九条 本社ハ株金金額払込済迄ハ仮株券ヲ発行シ、金額入金ノ上ニテ本株券ト引換フヘシ
第十条 株券ヲ毀損紛失シ或ハ分割併合シ或ハ名義変換等ノ為メ新株券ノ引換又ハ交付ヲ申出ツルモノハ、本社ニ於テ定ムル所ノ手続ニ従ヒ、新株券壱枚ニ付金弐拾銭ノ手数料ヲ支払ヒ、且公告其他ノ費用ヲ要スルトキハ之ヲ負担スルモノトス
第十一条 株式ノ売買譲与ハ本社ニ於テ定ムル所ノ手続ニ従ヒ、其旨ヲ株券及株主名簿ヘ記載シ、且其株券ニ社長ノ氏名印影ヲ押捺スルニ非ザレバ本社ニ対シテ譲渡ノ効力無キモノトス
 株券氏名ノ書換ハ株券壱枚ニ付金五銭ヲ支払フヘシ
第十二条 本社ノ株式ヲ新ニ取得シタルモノハ、株主名簿ニ記載ノ日附以前ニ於テ本社ヨリ前株主ヘ通告シタル総テノ事項ヲ知了シタルモノト見做スベシ
第十三条 株主其氏名・族籍・住所並ニ印鑑ヲ変更シタルトキハ、本社ニ届出テ其名簿ノ更正ヲ請求スベシ
第十四条 本社ハ各事業年度閉鎖ノ際予メ公告ヲ為シ、日数三十日以内株式譲渡ニ係ル株券ハ記名書換ヲ停止ス
 - 第12巻 p.87 -ページ画像 
   第三章 株金払込
第十五条 本社ハ株金ハ設立免許ノ日ヨリ十月以内ニ金拾弐円五拾銭(株式申込ノ際差出シタル証拠金五拾銭《(朱印)》ハ第一回払込ミ加算ス)ヲ払込マシメ、残額ハ明治三十二年十二月三十一日迄ニ払込マシム、其払込ノ期日及金額ハ取締役会ニ於テ之ヲ定メ、少クトモ払込期日二週日以前ニ株主ヘ通知スヘシ
第十六条 株主ニ於テ株金払込期日ヲ遅延シタル時ハ本社ハ其払込ムヘキ金額ニ対シ百円ニ付日歩四銭ノ割合ヲ以テ遅延利子ヲ添ヘ日数三週日以内ニ払込ムヘキ旨ヲ催告スヘシ、而テ其期日ヲ過グルモ尚ホ払込ヲ為サヾルトキハ本社ハ其株主ニ通知シ其株券ヲ公売スヘシ
第十七条 本社ハ前条ノ公売代金ヲ以テ払込金遅延利子及公売諸入費ニ充テ、過剰アレハ之ヲ返附シ不足アレハ更ニ之ヲ徴収スヘシ
 公売ニ際シ株券ヲ差出タサヽル時ハ其株券ハ無効タルベキ旨ヲ新聞紙ヲ以テ公告シ、後ニ新株券ヲ買得者ニ交附スベシ
   第四章 役員
第十八条 本社ハ取締役三名以上五名以下、監査役二名以上ヲ置ク
第十九条 取締役及監査役ハ総会ニ於テ記名投票ヲ以テ百株以上ヲ所有スル株主ヨリ之ヲ撰挙ス
 取締役ノ任期ハ三ケ年トシ、監査役ノ任期ハ二ケ年トス
  但満期之至《(ニカ)》リ再選セラルヽコトヲ得
第二十条 取締《(役脱)》ハ無記名投票ヲ以テ専務取締役(社長)一名ヲ互選ス
第二十一条 社長ハ取締役会ノ決議ニ従ヒ本社全体ノ業務ヲ統理《(マヽ)》ノ株主総会ノ議長トナリ且社外ニ対シテハ本社ヲ代表スルモノトス
第二十二条 監査役ハ取締役ノ業務ヲ監視シ取締役会ニ立会ヒ及会計ヲ撿査スルヲ以テ任トス
第二十三条 取締役ハ在任中其所有ニ係ル本社株券百株ヲ本社ニ預ケ置クヘシ、本社ハ之ニ対シテ禁授受ノ三字ヲ附シタル預リ証書ヲ交付スヘシ
第二十四条 役員ノ満期改選若クハ其補欠選挙ハ通常総会ト同日ニ臨時総会ヲ開キ之ヲ行フヘシ、然レトモ役員法定ノ員数以下ニ減シタル場合ニ於テハ、特ニ臨時総会ヲ招集シ補欠選挙ヲナスヘシ
  但補欠選挙ニ当選シタルモノヽ任期ハ前任者ノ任期ヲ継承スルモノトス
第二十五条 取締役及監査役ハ満期改選又ハ臨時退職スルモ、新任者ヘ職務ノ引継ヲ終了セサル間ハ其責任ヲ免ルヽコトヲ得ス
第二十六条 取締役及監査役ニハ給料又ハ報酬ヲ給与ス、其額ハ株主総会ノ決議ヲ以テ之ヲ定ム
第二十七条 技師支配人以下重要ナル雇員ノ任免黜陟ハ取締役会ニ於テ之ヲ定ム
第二十八条 取締役会ハ本社ノ方針ヲ規画シ業務施行ノ方法順序ヲ定メ諸規則ヲ制定シ重要ナル事項ヲ審按議決シ社務全躰ヲ統督ス
第二十九条 取締役会ハ社長ノ意見又ハ取締役ノ請求ニ依リ之ヲ開ク
第三十条 取締役会ハ取締役三名以上出席スルニ非ザレバ開会スルコトヲ許サズ
 - 第12巻 p.88 -ページ画像 
第三十一条 取締役会ノ決議ハ出席者ノ過半数ニ依ル、可否同数ナルトキハ会長之ヲ決ス
第三十二条 取締役会ノ会長ハ社長之ニ任ス
  但取締役会ノ協議ニ依リ別ニ他ノ取締役中ヨリ之ヲ互選スルコトアルヘシ
第三十三条 取締役会長ハ取締役会ヲ統理ス
   第六章 株主総会
第三十四条 本社ノ株主総会ハ通常総会・臨時総会ノ二種トス
第三十五条 通常総会ハ毎年二回二月・八月ニ之ヲ開ク、開会ノ目的事項・日時及場所ハ取締役会ニ於テ之ヲ定メ、少クトモ開会二週日前ニ其通知ヲ為スヘシ
  但急施ヲ要スルトキハ之ヲ短縮スルコトアルヘシ
第三十六条 通常総会ノ議事ハ前事業年度ノ計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書及配当金・積立金・役員賞与金ノ分配案トシ、他議ニ渉ルコトヲ得ス
第三十七条 臨時総会ハ臨時ノ事項ヲ議スル為メ取締役会ノ決議又ハ監査役ノ意見ヲ以テ、何時ニテモ之ヲ招集スルコトヲ得、開会ノ目的・事項・日時及場所ハ取締役会ニ於テ之ヲ定メ、少クトモ開会二週日前ニ其通知ヲ為スヘシ
  但急施ヲ要スルトキハ之ヲ短縮スルコトアルヘシ
第三十八条 総株金ノ五分ノ一以上ニ当ル株主ヨリ会議ノ目的ヲ示シ臨時総会ノ開会ヲ請求スルトキハ、前条ノ例ニ依リ何時ニテモ之ヲ招集スヘシ
第三十九条 総会ノ議案ハ予メ通知シタル議題以外ニ渉ルコトヲ得ス
第四十条 定款各条ニ規定アルモノヽ外、左ニ掲クル事項ハ臨時総会ノ決議ヲ要ス
  第一 任意解散ノ件
  第二 定款変更ノ件
  第三 債券ヲ発行シテ負債ヲ起スノ件
第四十一条 総会ノ議事ハ前条第一・第二ノ事項ヲ除クノ外総株金四分ノ一ニ当ル株主出席シ、其議決権ノ過半数ニ依リテ之ヲ決スヘシ可否同数ナルトキハ議長之ヲ裁決ス
  但委任状ヲ以テ他ノ出席株主ニ議決権ノ行使ヲ委任シタル者ハ出席数ニ加算ス
第四十二条 総会ニ於テ出席株主定数ニ満タサル時ハ仮決議ヲ為シ、其旨ヲ通告シ再ヒ総会ヲ招集スヘシ、其通知状ニハ、若シ第二ノ総会ニ於テ出席株主定数ニ満タサルモ、其議決権ノ多数ヲ以テ仮議決ヲ承認シタル時ハ有効ト為スヘキ旨ヲ明告スヘシ
第四十三条 株主ノ議決権ハ其所有株数壱株ニ付壱個トス
第四十四条 総会議事ノ要領ハ総会議事録ニ記載シ、議長之ニ署名捺印シ本社ニ保存スヘシ
   第七章 会計
第四十五条 本社ハ毎年六月・十二月ノ終ニ計算ヲ閉鎖シ、計算書・財産目録・貸借対照表・事業報告書及配当金・積立金・役員賞与金
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ノ分配案ヲ作リ、之ヲ通常総会ニ提出スルモノトス
第四十六条 本社ノ損益計算ハ毎期総益金ノ内ヨリ諸経費並ニ諸消却金ヲ引去リ其残額ヲ純益金トシ、此内ヨリ左ノ割合ニ従ヒ積立金・役員賞与金ヲ引去リ、其残額ヲ株主ニ配当スヘシ
  一純益金百分ノ五以上 積立金
  一純益金百分ノ五、乃至十 役員賞与金
第四十七条 準備積立金ハ取締役会ノ決議ニ依リ、公債証書、確実ナル会社ノ株券又ハ債券ヲ以テ積立テ置クコトヲ得
第四十八条 本社ノ配当金ハ株金払込ヲ為シタル翌月ヨリ起算シテ之ヲ割賦スルモノトス
第四十九条 各年度ノ配当金ハ其年度末日現在ノ株主ニ割賦スルモノトス
第五十条 本社ノ社印ハ左ノ如シ(大サ方一寸四分)
  浦賀船渠株式会社印
第五十一条 社印ハ官庁ニ宛テタル書類及報告書・株券・手形其他本会社ノ権利義務ニ関スル一切ノ書類ニ之ヲ使用ス
右之通明治二十九年九月二十八日創業総会ニ於テ確定仕候、依テ之ヲ証スル為メ発起人各自署名捺印仕候也
  明治二十九年 月
               浦賀船渠株式会社発起人
                    塚原周造(印)
                  同
                   浅野総一郎総代理人
                    白石光次郎(印)
                  同
                    渡辺治右衛門(印)
                  同
                    安田善四郎(印)
                  同
                    緒明菊三郎(印)
                  同
                    榎本金八(印)
                  同
                    籾山半三郎(印)
                  同
                    渡辺忻三(印)
                  同
                    荒井郁之助(印)
                  同
                    桜井亀二(印)
                  同
                    中沢彦吉(印)
                  同
 - 第12巻 p.90 -ページ画像 
                   阿部彦太郎代人
                    塚原周造(印)
                  同
                   渡辺福三郎代人
                    塚原周造(印)
                  同
                   安部幸兵衛代人
                    塚原周造(印)
    浦賀船渠株式会社設立目論見書○前掲(第八二頁)ニ付略ス

    御受書
一浦賀船渠株式会社発起認可申請書
     以上
 右御下附相成正ニ領掌候也
  明治廿九年九月一日
        東京市小石川区小日向茗荷谷町九十二番地
                     塚原周造(印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿

    御請書
一浦賀船渠株式会社設立免許書
     以上
 右御下附相成正ニ御受申上候也
  明治廿九年十月廿四日
              浦賀船渠株式会社発起人総代
                    塚原周造(印)
    東京府知事 侯爵 久我通久殿



〔参考〕浦賀船渠株式会社定款 明治三二年八月(DK120009k-0005)
第12巻 p.90-91 ページ画像

浦賀船渠株式会社定款 明治三二年八月
                  (浦賀船渠株式会社所蔵)
    浦賀船渠株式会社定款
   第一章 総則
第一条 本社ハ船渠鉄工所及ヒ造船所ヲ設ケテ、船舶汽機滊缶其他諸機関ノ新造修理ヲ営ムヲ以テ目的トス
第二条 本社ハ浦賀船渠株式会社ト称ス
第三条 資本金額ハ壱百万円トス
第四条 株主ハ大日本帝国臣民ニ限ル
第五条 本店ヲ東京市ニ、本工場ヲ相模国三浦郡浦賀町ニ設置ス○第六条略ス
   第二章 株式
第七条 株式総数ヲ弐万株トシ壱株ノ金額ヲ五十円トス○第八条ヨリ第十三条マデ略ス
   第三章 役員
 - 第12巻 p.91 -ページ画像 
第十四条 取締役ハ三名乃至五名、監査役ハ二名以上トス、其人数ハ株主総会ニ於テ之ヲ決ス ○第十五条ヨリ第二十七条マデ略ス
第二十八条 定時総会ハ毎年一月及七月之ヲ開ク ○第二十九条以下第三十七条マデ略ス


〔参考〕中外商業新報 第五八六二号〔明治三四年八月九日〕 浦賀船渠会社臨時総会(DK120009k-0006)
第12巻 p.91 ページ画像

中外商業新報 第五八六二号〔明治三四年八月九日〕
    浦賀船渠会社臨時総会
浦賀船渠会社は去七日午後一時より日本橋倶楽部に臨時総会を開き、石川嶋造船所と合併の件に付協議せしが、出席者は四十余名権利数委任状共一万七千七百五十株にして、社長塚原周造氏議長席に着き海運造船総監佐双佐仲氏が仲裁者井上良馨氏の代理として列席ありし旨を報告するや、株主中には総会には株主以外の人を臨場せしむるは不当なり、殊に同氏は両社合併に付関係あるを以て議事進行上妨害となる恐あれば願くは退出ありたいとの旨を述ぶるものありしも、議長より種々説明する所ありて列席を認むることとなり、次に議長より合併趣意書(別項参照)を朗読し其賛否を諮りしに、株主中には現今石川嶋造船所の営業成績良好ならず、昨年は無配当にして本年は六分の配当を為したるに過ぎず、殊に調査委員の調査は両社の滊機滊缶其他の材料に関し精密なる調査を為し誤算なきや否や疑なき能はず、又重役が独断にて合併趣意書に調印せるは不当に非ざるや等の疑問を出し、結局調査委員を設けて之が調査を為さしむ可しと発議したるを以て、議長は本日は合併の可否を決する為め総会を招集したる者なれば、調査委員云々の件は後廻しとし合併の件を先決問題としたしと述るも聞かざりしかば、遂に議長は委員設置の可否を起立に問ひ多数にて可決したり、其瞬間、議長は更に権利数を以て其可否を決せんことを申出しも、株主は既に可決したる以上其必要なしとし紛擾を極めしかば、結局調査委員を設くることとなり委員十名を選ぶこととし、先づ安田善次郎・籾山半三郎・細谷安太郎三氏を選び、残り七名は三氏の指名に任かすこととし、午後七時半散会したりと云ふ


〔参考〕塚原夢舟翁(編纂代表者山崎米三郎) 第九三―一〇〇頁〔大正一四年五月〕(DK120009k-0007)
第12巻 p.91-92 ページ画像

塚原夢舟翁(編纂代表者山崎米三郎) 第九三―一〇〇頁〔大正一四年五月〕
 ○第四章 退官後の公生活
    一 浦賀船渠株式会社の創立
○上略
 君は、此の船渠事業と造船事業とは、国家的の必須事業として深く考慮してゐたから、退官後直ちに緒明菊三郎氏や、榎本武揚氏等と共同して、相州浦賀の内港に新たに船渠を掘鑿せんと企て、其の工場敷地を当時陸軍要塞司令部の所在地に卜し、官に請願して土地の交換を行ひ、愈々資本金を一百万円とし、君自ら社長となり、緒明菊三郎・渡辺治右衛門・臼井儀兵衛・浅野総一郎の諸氏が取締役となり、明治二十九年浦賀船渠会社を創立したのであつた。
○中略
 此の工事に取りかゝつて間もない時、同町内に同一事業を経営せんとする者が現れた。それは石川島造船所社長の梅浦精一氏であつた。同氏は渋沢氏の勢力を背景として経営する計画であつたから、君は初
 - 第12巻 p.92 -ページ画像 
めから将来の競争を憂慮し、予め合同経営するを可として渡辺治右衛門氏に説き、榎本氏からも渋沢氏に利害を説明し、君自らも梅浦氏に勧告したのであつたが、梅浦氏は『君が其の撰定した内港を捨て、自分の予定した外港に築渠するなら応諾しよう』と、主張し、遂に交渉不調に終つて了つた。併し愈々開業となると、一般船主は内港の安全を撰んで、外港の船渠に入れるものは甚だ少なく、殊に外国船と外国軍艦は悉く内港に出入し、米国艦隊の如きは、一時浦賀内港を以て入渠修理地と指定した観があつたから、浦賀町は嘉永の昔を想起せしむる程の殷賑を来たした。
○中略
 然るにこれに反して外港の船渠は営業不振の為め、数年ならずして自立し得ざる程の悲運に沈淪し、窮極の結果梅浦・渋沢両氏から、内港に合併されたいと切りに懇望して已まなかつた。けれども君は断然これを拒絶したので、両氏は更に海軍艦政部の井上・角田・松本・石黒・佐双諸氏に依頼して合併を策し、艦政部では双方の資産を帳簿上で調査して合併案を作り、双方とも株主総会を開いてこれを決すべしといふので、稍や圧迫的の遣り方であつたから、君は不快に思つて断然これを謝絶しようとしたが、会社の内部に在つては、重役中の渡辺治右衛門・臼井儀兵衛両氏が賛成の意見に傾いてゐるので、兎に角これを総会に問ふことゝし、海軍よりは佐双佐仲氏が臨場して、愈々開会して見ると、喧騒の中に此の合併案は否決されて了つた。
 是に於て渋沢氏は更に手段を換へて徐ろに合併を策せんとし、先づ以て社長梅浦氏を退職せしめ、其の代りに平沢道次氏(元陸軍主計)を据え、今度は平沢氏から君に向つて百方合併を申出て来た。けれども君がどうしても賛成せないので、更に石川島側は外港全部の買収を要望して来た。そこで折衝の末、実際の価額は百四五十万円であつたのを一百万円で引受ける事になり、浦賀船渠従来の資本金額百万円を更に二百万円に増加して、此の買収問題を解決することになつた。君は最初から買収の意思はなかつたのを、渡辺・臼井両氏の慫慂に依つて遂に玆に至つたのであつたが、果して資本金の増加は当局者の忌む所であつたのみならず、株主の権利を尊重せなかつた所からして、買収後直ちに株主間に反対の声が高まり、形勢甚だ不穏となつて来た。君は此の好ましからぬ経緯を不快に感じ、決然社長を辞して了つた。すると渋沢氏は君の後任として海軍少将早崎源吾氏を招聘することにした。これは明治三十六年の頃であつた。
   ○塚原周造ハ明治十九年三月ヨリ明治二十六年四月ニ至ルマデ逓信省管船局長トシテ在任後実業界ニ入リ、二十九年浦賀船渠株式会社ヲ創立シ社長トナル。二十九年九月東洋汽船株式会社ノ創立ニ与リ其副社長トナル。