デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
16節 製綱業
1款 東京製綱株式会社
■綱文

第12巻 p.103-111(DK120013k) ページ画像

明治20年2月1日(1887年)

是日、東京製綱会社発起株主ノ集会ヲ第一国立銀行楼上ニ開キ、栄一、益田孝・渡部温ト共ニ委員ニ撰挙サル。尋イデ三月十五日設立届書ヲ麻布区長ニ提出、四月二十一日芝紅葉館ニ於テ開業式ヲ挙行ス。


■資料

(東京製綱会社)考課状 第一回明治二〇年一二月(DK120013k-0001)
第12巻 p.103 ページ画像

(東京製綱会社)考課状 第一回明治二〇年一二月
    ○株主集会決議之事
一東京製綱会社発起株主ノ集会ヲ明治廿年二月一日日本橋区兜町壱番地第一国立銀行楼上ニ開キ、本社創立及定款ノ事ヲ議定ス
一右総会ニ於テ定款第十条ニ依リ、渋沢栄一・益田孝・渡部温ヲ委員ニ撰挙シ、第十一条ニ依リ委員互撰ヲ以テ渡部温ヲ社長ニ撰挙セリ
    ○願伺届之事
一二月十五日、横須賀造船所製綱機械御払下願書ヲ海軍省ヘ差出シタル処、認許難成旨ノ指令アリタリ
一三月十五日麻布区役所ヘ麻布区本村町百四拾五番地ニ東京製綱会社ヲ設立スル旨ノ届書ヲ出シ、聞届ラレタリ
一横須賀造船所ノ製綱器械御払下不相成ニ付、新製綱機械ヲ英国倫敦ヨリ買入ルヽ事ニ決シ、製綱器械鑑定願書ヲ海軍艦政局ヘ差出シ、聞届ノ指令ヲ得タリ
    ○仮工場建設之事
一英国倫敦ヘ注文セル新機械到着迄、宇田川清兵衛外三人ノ組合ニ係ル深川区平久町弐丁目弐番地ニ設置セル製綱社ノ製綱機械ヲ買入レ麻布区本村町百四拾五番地ニ仮工場ヲ建設シ、営業ヲ為ス事ニ議定セリ
    ○開業式之事
一四月廿一日本社製綱ノ工業ヲ始メ、其開業式ヲ芝紅葉館ニ於テ挙行セリ


青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第四三頁 〔明治三三年六月〕(DK120013k-0002)
第12巻 p.103-104 ページ画像

青淵先生六十年史(再版) 第二巻・第四三頁〔明治三三年六月〕
    第二十五章 製綱業
東京製綱株式会社ハ青淵先生及ヒ渡部温等ノ発企ニ係リ、明治二十年四月一日《(マヽ)》ヲ以テ創業シタルモノナリ、同社ノ目的ハ船舶用ノ綱具ヲ製造販売スルニ在リテ其資本額ハ三拾六万円ナリ、其設立届左ノ如シ
 近来海運日ニ月ニ相開ケ船舶用具ノ需用次第ニ増加致候ニ付テハ、私共製綱ノ為メニ一社ヲ組織仕、軍艦用及商船用等ノ最良ナル綱具
 - 第12巻 p.104 -ページ画像 
ヲ製造仕候ハヽ、聊外国輸入ノ一端ヲモ防キ国家ノ公益ト存込候ニ付、此度麻布区本村町百四十五番地ニ東京製綱会社ヲ設立シ、工業ニ従事仕候条則別冊定款書相添、此段及御届候也(別冊定款略ス)
  明治二十三年三月十五日《(二十年)》
                  総代 渡部温
                  同  渋沢栄一
    麻布区長 太田卓之殿
   ○前掲第一回考課状ニ於テハ右届書ノ日附ハ明治二十年三月十五日トアリ、二十年ヲ正シキモノトス。


(東京製綱会社)考課状 第二回前半季 明治二一年七月(DK120013k-0003)
第12巻 p.104 ページ画像

(東京製綱会社)考課状 第二回前半季 明治二一年七月
    ○株主集会決議之事
一東京製綱会社第壱回株主定式総会ヲ、明治廿一年一月十七日ニ日本橋区兜町壱番地第一国立銀行楼上ニ開キ、前季間業務ノ顛末及諸勘定ノ要領ヲ報告シ、同季割賦金等ノ計算ヲ決議セリ
一同時ニ株主臨時総会ヲ開キ、株金三万円増額ノ議案ヲ提出シ、原案ノ通リ決議セリ
一同時ニ定款修正ノ議案ヲ提出シ、原案ノ通リ決議セリ
    ○願伺届之事
一三月十三日、東京府知事高崎五六殿ヘ資本金増額認可願ヲ出シタルニ、同二十六日ニ追テ一般ノ会社条例制定迄人民相対ニ任ス旨指令アリタリ
    ○新機械到着之事
一英米両国ヘ注文セシ製綱蒸汽機械二月廿三日ヨリ漸次到着シ、五月四日ニ至リ悉皆請取済ニナリタリ
    ○機械追増注文之事
一既着製綱機械ノ外ニ尚細引・網糸等ノ細物ヲ製造スル新機械ヲ六月廿三日委員会ノ決議ヲ以テ英国サムール・ロオソン商会ヘ注文セリ
    ○工師雇入之事
一本社雇製綱兼機械据付工師英国人ウヰリアム・ブルーク氏ハ四月一日当社ヘ到着シ、爾来業務ニ従事セリ


願伺届録 会社規則 明治二一年(DK120013k-0004)
第12巻 p.104-109 ページ画像

願伺届録 会社規則 明治二一年 (東京府文庫所蔵)
    東京製綱会社定款 明治廿壱年壱月十七日改定
東京製綱会社ヲ創立スルニ付其株主ノ衆議ヲ以テ決定スル処左ノ如シ
      第一章 総則
第一条 当会社ノ名号ハ東京製綱会社ト称シ、本社ヲ麻布区麻布本村町百四十五番地ニ設置スルモノトス
第二条 当会社ノ営業年限ハ明治二十年四月一日ヨリ満三十ケ年トス、但株主総会ノ決議ニ依リ営業年限ノ延期ヲ為スコトアルベシ
第三条 当会社ハ有限責任トス、故ニ負債弁償ノ為メニ株主ノ負担スベキ義務ハ株金ニ止ルモノトス
第四条 当会社ハ蒸気機関ヲ以テ各種ノ綱具ヲ製造スルヲ業トス
第五条 当会社ノ事業ハ会員ヲ撰ミ此定款ニ拠リテ処弁セシム
 - 第12巻 p.105 -ページ画像 
      第二章 資本金之事
第六条 当会社ノ資本金ハ拾万円ト定メ、一株ヲ百円ト為シ、総計壱千株ヲ内国人民ヨリ募集スベシ、但営業ノ都合ニヨリ株主ノ衆議ヲ以テ株金ヲ増減スルコトアルベシ
第七条 此株金ハ各其引受高ヲ会社ヨリ指定スル期限ニ於テ入金スベシ、而シテ其時日ハ必ズ十日前ニ通知スベシ
第八条 株主第一回ノ払込ヲ為シタルトキハ当会社ヨリ仮株券ヲ交付シ、第二回以後ハ其金額ヲ右仮株券ニ記入シ、社長及主任者之ニ鈐印スベシ、但最終ノ入金ヲ為シタルトキハ本株券ト交換スベシ
第九条 株主若シ此払込金ヲ怠ルトキハ其金高ニ対シ一日百円ニ付金五銭ノ延滞日歩利息ヲ徴収スベシ、而シテ此延滞日数六十日以上ニ及ブ時ハ当会社ニ於テ其株式ヲ売却シ、買受人ヲシテ補欠員タラシムベシ、但此場合ニ於テハ売却ニ係ル諸費及延滞日歩利息ヲ計算シ、不足アレバ原株主ヨリ徴収シ、余金アレバ之ヲ還付スベシ
      第三章 委員及社長之事
第十条 当会社株主ノ投票ヲ以テ三十株以上ヲ所有スル株主中ヨリ委員三名ヲ撰挙スベシ
第十一条 委員ハ同僚中ノ互選ヲ以テ社長一名ヲ撰任スベシ
第十二条 委員ハ其会議ノ決議ヲ以テ当会社全躰ノ事ヲ総理スルノ権アルベシ、故ニ会社ノ業務ヲ整理スルニ於テハ株主ニ対シテ其責ニ任スベシ
第十三条 社長ハ会社営業ノ都合ニヨリテハ他ニ向テ負債ヲ起スコトヲ得ベシト雖モ、其証書ニハ必委員一同連印スベキモノトス
第十四条 委員ハ少クモ毎月一回当会社ニ於テ其会議ヲ開キ、会社一切ノ事務ヲ調査スルモノトス
第十五条 社長ハ委員ト協議シ当会社支配人以下ノ役員ヲ任免黜陟シ及其給料・旅費・賞与金ノ配賦ヲ定ムルノ権アルベシ
第十六条 社長ハ委員ト協議シ当会社ノ営業ニ関スル諸規則ヲ制定施行スルコトヲ得ベシ
第十七条 委員ハ上任ノ日ニ当リ所有ノ株式三十個ノ券状ヲ当会社ニ預ケ置クベク、当会社ハ其券状ノ預証書ニ禁受授ノ印ヲ押捺シ之ヲ其本人ニ交付スベシ
第十八条 委員ノ任期ヲ二ケ年間トシ、株主総会ノ投票ヲ以テ之ヲ撰挙スベシ、尤再撰挙ヲ得タル者ハ重任スルコトヲ得ベシ
第十九条 委員中若シ不時ノ欠員アルトキハ、株主臨時総会ヲ開キ其代任ヲ撰挙スベシ
第二十条 委員ニ対スル報酬ハ第四十五条ノ賞与金ノ内ヨリ支払フベシ
      第四章 役員之事
第二十一条 当会社ノ役員ハ左ノ如シ
      委員三人内社長壱人
      支配人
      工長
 - 第12巻 p.106 -ページ画像 
      機関手
      庶務掛
      会計掛
      倉庫掛
第二十二条 社長ハ諸傭員ヲ督励シテ業務ヲ整頓シ社益ヲ増進スルノ責ニ任スベシ
第二十三条 社長ノ俸給ハ株主ノ協議ヲ以テ之ヲ定ムベシ
第二十四条 支配人ハ常ニ社長ノ命ヲ奉ジ会計ニ注意シ簿記計算及物品出納等ヲ調理スルコトヲ務ムベシ
第二十五条 支配人ハ会社営業ノ為ナリトモ他ヨリ借用金ヲ為スコトヲ得ズ
第二十六条 工長ハ当会社ノ工務一切ヲ担当シ工業ヲ練熟進歩セシムルノ責ニ任スベシ
第二十七条 機関手ハ蒸気機械ノ運転及其修繕等ヲ掌ルベシ
第二十八条 庶務掛ハ諸文案記録及往復文書ヲ掌ルベシ
  但重ナル記録及往復文書ニハ社長ノ検印ヲ受クベシ
第二十九条 会計掛ハ計算・金銭出納・及簿記ヲ掌ルベシ
  但金銭ノ仕払ハ仮令ヒ至急ノ場合ト雖モ社長ノ検印有ルニ非レバ取扱フコトヲ得ズ
第三十条 倉庫掛ハ製綱ノ原料及製綱ノ仕上ゲノ検査ヲ為シ且其倉庫ノ出納ヲ掌ルベシ
  但会社常用ノ品ト雖トモ貯蓄品ハ総テ掌ル所ニシテ、出納簿ニハ社長ノ検印ヲ受ケ置ベシ
第三十一条 当会社ノ傭員万一勤務上不都合ノ行為アレバ之ヲ放免スルハ勿論、若シ其行為ヨリ当会社ニ損耗ヲ生ズルトキハ其者ニ賠償セシムベシ、而シテ本人其義務ヲ果サヾレバ引受証人ヲシテ之ヲ弁償セシムベシ
  但引受証人ハ弐人為ルベシ
      第五章 株主権利責任之事
第三十二条 当会社ノ株主ハ即チ当会社ノ本主ナルヲ以テ株数相当ノ権利ヲ有ス、故ニ当会社ノ営業ニ差支ナキニ於テハ何時タリトモ諸帳簿諸計算ヲ検査スルコトヲ得ベシ
第三十三条 当会社ノ株主タル者ハ其引受タル株式壱個ニ付株券状壱通ヲ受領スル者トス、其券状ノ書式ハ左ノ如シ
     有限責任 東京製綱会社株券状
   何府県何区町国郡町村何番地何某殿 東京製綱会社ノ定款ヲ遵守シ明治何年何月何日ヨリ本社株式ノ内百円即壱株ノ持主タル事相違ナキ証拠トシテ此券状ニ社印及主任者ノ印章ヲ鈐シ之ヲ交付スル者也
   此株券状ヲ売却又ハ譲渡ス時ハ此株券ヲ本社ニ持参スベシ、本社ハ至当ノ検査ヲ遂ゲ券状裏面ニ社長及支配人鈐印シ、其時日ヲ記載シテ以テ所有ノ転換ヲ証明スベシ
     明治何年何月何日 委員連署
第三十四条 右株式券状摩滅敗裂等ノコトアルトキハ其趣ヲ書面ニ認
 - 第12巻 p.107 -ページ画像 
メ書替ヲ請フベシ、若シ又焼亡紛失スルコトアルトキハ其事実ヲ明瞭ニ認メ二人以上ノ証人ヲ立テ新券状ノ交付ヲ請フベシ、但株式券状ヲ書替ル等ノ時ハ会社ニ於テ定メタル手数料ヲ払フベシ
第三十五条 前条株式券状焼亡シ又ハ紛失スル等ノ場合ニ於テハ、会社ハ之ヲ新聞紙ニ広告シ、三十日ヲ経タル後新券状ノ交付ヲ為スベシ、但広告料ハ其株主ヨリ之ヲ会社ニ支払フヘシ
第三十六条 株主ハ委員ニ職任不適当ノ行為アルヲ認ムルトキハ、第四十一条及第四十二条ノ手続ニ拠リ臨時総会ヲ開キ、出席員三分ノ二以上ノ多数説ヲ以テ解任スルノ権アル者トス、但此場合ニ於テハ其行為不適当ノ理由ヲ証明スベシ
第三十七条 株主ハ総会ニ於テ壱株毎ニ壱個ノ投票ヲ為スノ権アル者トス
第三十八条 株主ハ何等ノ事故アルモ当会社営業年限ノ間ハ其株金ヲ取戻スコトヲ得ズ
第三十九条 株主ハ第五十六条第五十七条ノ手続ヲ為セバ其所有ノ株式ヲ売却譲与スル事ヲ得ベシ
      第六章 株主総会之事
第四十条 株主総会ハ定式・臨時ノ二類ト為ス、定式総会ハ毎年両度即七月・一月ニ之ヲ開キ、臨時総会ハ委員ノ之ヲ要スル場合ニハ何時ヲ論セズ開クコトヲ得ルモノトス
第四十一条 株主人員十五名ニ下ラズ其株数当会社総株高ノ半額ニ下ラサル者ニシテ臨時総会ヲ要スル時ハ、其旨ヲ委員ニ通牒シ之ヲ開会スル事ヲ得ベシ
第四十二条 右ノ通牒ニハ其総会ヲ要スル事件目的ヲ詳細ニ記載スヘシ、而シテ委員ニ於テ理由ナク開会ノ手続ヲ怠ルコト二週間ヲ過クルトキハ、通牒者自ラ招集開会スルコトヲ得ベシ
第四十三条 第四十一条・第四十二条ノ手続ヲ以テ開会シタル総会ニ於テ、株主出席ノ数第四十七条ノ限員ニ満タザルトキハ、此議案ハ全ク棄却セラルベシ
第四十四条 総会ノ議決ハ過半数ヲ以テスベシ(第三十六条及第六十一条ヲ除クノ外)故ニ病気其他事故アリテ会同セサル者ハ、必ズ当会社ノ株式ヲ有スル者(役員ヲ除ク)ヲ以テ代人ニ立テ、之ニ其委任状ヲ託スベシ、此規定ヲ履マサル者ハ決議ノ後異議ヲ発スルモ採用セザルベシ
第四十五条 右代人ニ託スベキ委任状ノ書式ハ左ノ如シ
       委任状之事
   東京製綱会社何某儀何某ヲ以テ代人ト為シ左ノ権限ヲ委任致候
  一何年何月何日何々総会ヘ出席投票発言之事
    年 月 日                何某印
      東京製綱会社 御中
第四十六条 総会ノ議長ハ委員ノ内ニテ之ニ任ズベシ
第四十七条 凡ソ総会ハ其会同者総株数ノ三分ノ二(委任状ヲ有スル代人モ之ニ算入ス)ニ満タザル時ハ延会シ、後五日以内ニ更ニ招集開会スベシ、但利益金配当ニ係ル総会ハ此限ニアラズ
 - 第12巻 p.108 -ページ画像 
      第七章 純益金配当之事
第四十八条 当会社ノ総勘定ハ、毎年両度即六月・十二月ヲ以テ決算シ、総収益金ノ内ヨリ一切ノ諸経費及原資償還積立金ヲ引去リ其残額ヲ純益金ト為シ、其純益金ノ内ヨリ賞与金ヲ引去リ、其残額ヲ株主ヘ配当スベシ、其割賦法左ノ如シ
  一資本金高百分ノ二分五厘     原資償還積立金
  是ハ当会社ノ家屋・諸器械類ノ原資償還ノ為毎季収益金ノ内ヨリ之ヲ積立ベシ、但本社ノ原資金額ニ充ルヲ以テ之ヲ止ム
  但此積立金ハ之ヲ確実ナル銀行ニ預ケ或ハ公債証書ヲ買入レ保存スル者トス、尤営業資本不足スル時ハ委員協議ノ上一時流用スルコトアルベシ
  一純益金百分ノ十七 賞与金
  是ハ委員ノ報酬役員ノ賞与トシテ毎季純益金ノ内ヨリ之ヲ引去リ社長委員協議ノ上之ヲ配当スベシ
  一前二項ノ金額ヲ引去リタル後其残額ヲ総株高ニ割合ヒ株主ニ配当スベシ、但毎季純益金ノ多少ヲ斟酌シテ適当ノ高ヲ後季ヘ繰込ムモノトス
      第八章 簿記計算報告之事
第四十九条 当会社ノ簿記計算書類ハ簡明ナル表式ヲ設ケ、其主任者ヲシテ之ニ遵拠セシムベシ
第五十条 凡計算ハ日表月表季表ヲ製シ、社長点検ノ上委員之ヲ検閲スベシ
第五十一条 社長ハ毎季一切ノ事務及営業ノ実況ヲ編述シタル考課状ヲ造リ、委員会ニ提出シテ其議決ヲ経、株主総会ニ於テ報告ノ後季表ト共ニ印刷シ各株主ニ配付スベシ
      第九章 印章及記録之事
第五十二条 当会社ニ於テ使用スル印章ハ左ノ如シ
東京製綱会社之印章 東京製綱会社 委員ノ印 社長ノ印 支配人ノ印
第五十三条 当会社ノ印章及委員社長支配人ノ印章ハ、其印鑑牒ヲ造リ、之ヲ管轄庁ニ具申シ、改刻スルトキハ速ニ之ヲ再具スベシ
第五十四条 営業規則、及要件録事、株主総会ノ録事、官庁ニ具申スル重要ノ書牒等ノ写ハ委員社長ノ検印ヲ以テ証ト為シ、永ク之ヲ保存スベシ
第五十五条 官庁ニ具申スル諸牒営業上約定書類及金銭出納証書又ハ重要ナル往復文書等当会社ノ名ヲ以テスルモノハ皆社印ヲ押捺シ社長之ニ鈐印スベシ、尤其重要ニ係ル者ニハ委員之ニ連署スベシ
      第十章 株式売買授受之事
第五十六条 当会社ノ株式ヲ売買授受スルニハ必ズ当会社ノ准認ヲ受クベシ、故ニ其売買授受スル者ハ券状裏面ニ社長及支配人ノ証印ヲ受ケサル間ハ、売買授受ノ約アル者ト雖モ、当会社ノ損益ハ株券状ノ名前人ヲシテ負担セシムベシ
第五十七条 株式ヲ売買授受スルニハ左ニ掲グル文例ヲ照ラシテ証書
 - 第12巻 p.109 -ページ画像 
ヲ作リ、之ヲ当会社ニ出シ書替ヲ求ムベシ
      株式売買授受証書文例
   東京製綱会社株式ノ内第何号株券何枚何某所有ノ分何某ヘ売渡(又ハ譲渡)候処実正也然ル上ハ向後右買受人(又ハ譲受人)者従前所有人ノ遵守スル所ノ諸規則及約定等堅ク相守ルヘク候依テ証書如件
                住所族籍
            売渡人(又ハ譲渡人) 姓名印
                同
            買受人(又ハ譲受人) 姓名印
                同
            証人 姓名印
      東京製綱会社 御中
第五十八条 定式総会前十日間ハ株式券状ノ記名替ヲ停止スベシ
第五十九条 株式所有主死亡ノ後其嗣子又ハ遺族ノ名前ニ改メントスル時ハ、其親族二名連署ノ証書ヲ以書替ヲ請求スベシ
第六十条 総テ株券書換ニ於テハ其買受人又ハ譲受人ヨリ当会社ニ於テ定メタル所ノ書換手数料ヲ払フベシ
      第十一章 定款改正之事
第六十一条 此定款ハ株主ノ衆議ニ因リテハ増減更正スルコトアルベシ、尤其総会ノ議決ハ出席員三分ノ二以上ノ多数説ニ従フベシ、但其改正ノ項目ハ速ニ管轄庁ヘ届出ヅベシ
  通計十一章六十一条ハ当会社株主ノ衆議ヲ以テ相定メタルニ付一同記名鈐印致置候也
    年 月 日
                      株主一同記名調印


願伺届録 会社 明治二一年(DK120013k-0005)
第12巻 p.109-110 ページ画像

願伺届録 会社 明治二一年 (東京府文庫所蔵)
    東京製綱会社資本金増額之儀ニ付願
              麻布区麻布本村町百四拾五番地
                     東京製綱会社
右会社之儀、明治廿年三月十五日資本金七万円ヲ以テ前書之場所ヘ設立、麻布区役所ヘ御届済ノ上営業致来候処、今般業務拡張ノ為メ資本金三万円ヲ増額シ都合資本金拾万円ト改定致候、就テハ同年三月東京府令第十三号御達ニ基キ出願仕候間御許可被成下度、別紙定款相添此段奉願候也
              麻布区麻布本村町百四拾五番地
              会社印章 東京製綱会社々長
  明治廿一年三月十三日               渡部温 (印)
    東京府知事 男爵 高崎五六殿
前書出願ニ付奥印候也
           東京府麻布区長 太田卓之 
 - 第12巻 p.110 -ページ画像 
    ○明治廿一年三月現在株主明細表
  株金高   株数    払込金高 住所○略ス 姓名
 壱万千弐百円 百拾弐  六千七百弐拾円   渋沢栄一
 九千五百円  九拾五  五千七百円     渡部温
 九千壱百円  九拾壱  五千四百六拾円   益田孝
 七千円    七拾   四千弐百円     浅野総一郎
 五千六百円  五拾六  三千三百六拾円   大倉喜八郎
 五千六百円  五拾六  三千三百六拾円   渋沢喜作
 四千弐百円  四拾弐  弐千五百弐拾円   小室信夫
 四千弐百円  四拾弐  弐千五百弐拾円   木村正幹
 四千弐百円  四拾弐  弐千五百弐拾円   馬越恭平
 四千弐百円  四拾弐  二千五百弐拾円   鈴木弥兵衛
                         ○外二十三名氏名略ス
 合計拾万円  壱千株  六万円       三拾三名
右之通ニ有之候也
              麻布区麻布本村町百四拾五番地
  明治廿一年三月
                    東京製綱会社 


中外物価新報 第一九五〇号〔明治二一年九月二七日〕 製綱会社開業式(DK120013k-0006)
第12巻 p.110 ページ画像

中外物価新報 第一九五〇号〔明治二一年九月二七日〕
    製綱会社開業式
麻布なる製綱会社にてハ最早諸般の準備全く整頓したるに付き、来月六日を以て開業式を挙行する由、因に記す、同会社の製綱器械ハ昨年益田孝氏が欧米巡廻の砌各地の製綱会社を視察し、遂に紐育に於て最も便利なるものと認めて買入れたるものなれば、製綱事業にハ実に屈竟の良器械なりと云ふ


(東京製綱会社)実際考課状 第四回前半季 明治二二年七月(DK120013k-0007)
第12巻 p.110 ページ画像

(東京製綱会社)実際考課状 第四回前半季 明治二二年七月
    ○株主総会議決之事
一東京製綱会社第三回株主定式総会ヲ明治廿二年一月十七日日本橋区兜町第一国立銀行楼上ニ開キ、前季間業務ノ顛末及諸勘定ノ要領ヲ報告シ、同季割賦金等ノ計算ヲ議決セリ
一右総会ニ於テ定款第十八条ニ拠リ渋沢栄一・渡部温・益田孝ヲ委員ニ再撰シ、第十一条ニ拠リ委員互撰ヲ以テ渡部温ヲ社長ニ撰拳セリ
    ○機械到着之事
一曩ニ英国サムール・ローソン商会ヘ追増注文セシ製綱機械ハ、二月八日ヨリ漸次到着シ、四月廿八日ニ至リ悉皆請取ノ上据付済ニナリタリ
    ○工師満期解約之事
一本社雇製綱兼機械工師英国人ウヰルリアム・ブルーク氏ヲ五月十六日ニ満期解約セリ
   ○二十二年一月横須賀造船所ヨリ製綱蒸気機械一式ヲ払下ゲ、之ヲ別工場ニ増置シテ専ラ業務ノ拡張ヲ図レリ。


(東京製綱会社)実際考課状 第八回前半季 明治二四年七月(DK120013k-0008)
第12巻 p.110-111 ページ画像

(東京製綱会社)実際考課状 第八回前半季 明治二四年七月
 - 第12巻 p.111 -ページ画像 
    ○株主総会決議之事
一東京製綱会社第七回株主定式総会ヲ明治廿四年一月十七日日本橋区兜町壱番地第一国立銀行楼上ニ開キ、前期間業務之顛末及諸勘定ノ要領ヲ報告シ、同期割賦金等ノ計算ヲ議決セリ
一右総会ニ於テ定款第十八条ニ拠リ渋沢栄一・渡部温・益田孝ヲ委員ニ再撰シ、第十一条ニ拠リ委員互撰ヲ以テ渡部温ヲ社長ニ撰挙セリ


(東京製綱会社)実際考課状 第一二回前半期 明治二六年七月(DK120013k-0009)
第12巻 p.111 ページ画像

(東京製綱会社)実際考課状 第一二回前半期 明治二六年七月
    ○株主総会決議之事
一東京製綱会社第拾壱回株主定式総会ヲ明治廿六年一月十七日日本橋区兜町壱番地第一国立銀行楼上ニ開キ、前期間業務之顛末及諸勘定之要領ヲ報告シ同期配当金ノ計算等ヲ議決セリ
一右総会ニ於テ定款第十八条ニ拠リ渋沢栄一・渡部温・益田孝ヲ委員ニ再撰シ、第十一条ニ拠リ委員互撰ヲ以テ渡部温ヲ社長ニ撰挙セリ
   ○当会社資本金及ビ積立金額左ノ如シ。

     年次         公称資本金   払込資本金   積立金
                    円       円         円
     明治二十年末      七〇、〇〇〇  四二、〇〇〇     八五〇・
     明治二十五年末    二〇〇、〇〇〇 一二〇、〇〇〇  二八、〇七五・三二四
     明治三十年末     三六〇、〇〇〇 二四〇、〇〇〇 一一五、二六四・四三五
     明治三十五年末    五〇〇、〇〇〇 四三七、〇〇〇 一四六、六〇四・九七六
     明治四十年末   一、〇〇〇、〇〇〇 八〇〇、〇〇〇 四九〇、〇〇〇
     明治四十二年六月 一、〇〇〇、〇〇〇 九四〇、〇〇〇 五五〇、〇〇〇

   ○同会社ノ利益配当率左ノ如シ。

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             割 明治二十年      一・五 明治二十一年上    一・五       下    〇・五 明治二十二年上    一・〇       下    〇・七 明治二十三年上    〇・三       下    〇・四 明治二十四年上    〇・四       下    〇・五 明治二十五年上下   〇・七 明治二十六年上    〇・八       下    一・二 明治二十七年上    一・五       下    二・〇 明治二十八年上    二・五 自明治二十八年下   二・〇 至明治三十一年上 明治三十一年下    一・六 明治三十二年上下   一・五 明治三十三年上    一・五       下    一・六 自明治三十四年上 至明治三十六年下   一・五 明治三十七年上    一・七       下    一・八 自明治三十八年上 至明治四十一年上   二・〇 明治四十一年下 明治四十二年上    一・八 


   ○創業ノ際ノ定款ハ会社及ビ東京府庁ニ所蔵セザルヲ以テ第一回増資後ノモノヲ掲ゲタリ。
   ○創業ノ際ノ栄一出資額ハ金八千円ナリ。