デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.388-397(DK120043k) ページ画像

明治9年9月30日(1876年)

東京瓦斯局ノ瓦斯増産ニ必要ナル鉄管其他器械類ニツキ、曩ニ由利公正・三浦安等ノ山一組ヨリソノ鋳造方出願アリ、是日栄一瓦斯局事務長トシテソノ引合ニツキ東京府権知事ニ上申シ、尋イデ十一月一日ソノ改正案ヲ提出、即日聞届ケラル。


■資料

瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0001)
第12巻 p.388-389 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課    (東京府文庫所蔵)
 - 第12巻 p.389 -ページ画像 
    瓦斯管鋳造願
               上野国甘楽郡
               中小坂村鉄山借区人
            由利公正 三浦安 代理
                      渡辺質

今般府下瓦斯灯増築相成候鉄管小坂鉄山ニ於テ鋳造仕度、則為試見本差出候処稍試験堪此上機械ヲ備具シ致鋳候ハヽ充分之品出来可申目的判然相成候、就而は今般西洋江注文可相成増築鋳物之分悉皆別紙仕訳書直段ヲ以御用被仰付度、納方之義は〓〓《(右拠カ)》シ受負向十ケ月限皆納可仕候、此段宜御評議奉願候也
                  上野国甘楽郡
                  中小坂鉄山借区人
                   石川県士族
                    由利公正
                   東京府士族
                    三浦安
                    代理
  明治九年九月廿七日          渡辺質
   東京
    瓦斯局事務長御中
                     (会議所)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0002)
第12巻 p.389-390 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
    瓦斯引用鉄管鋳造之儀ニ付上申書
瓦斯管鋳造之儀ニ付由利公正三浦安代理渡辺質より願出候間右直段書為差出、教師ヘレケレーン氏申立候積書と比較之上取調候処、別紙之通相成候間、左之趣ヲ以渡辺質江引合候様仕度奉存候
  引合書案
    第一条
一今般瓦斯管鋳造之事を注文イタスニ付、右着手ノ日ヨリ日数何日間ヲ以テ納付スル見込ヲ申立ヘシ
    第二条
一此鉄管納付ノ後試検ノ上若毀損スルカ或ハ注文ニ齟齬イタシ品等不宜モノハ、幾ケ度モ引換納付セシムヘシ
    第三条
一鉄管代価之儀ハ別紙比較書ニ掲載スル処ノ教師インジ子ールノ直段ヲ目途トナシ、納高ニ応シ其時ニ代価ヲ渡スヘシ
    第四条
一此鉄管納付ノ期限ヲ約定シテ、若違約スルコトナレハ双方共相当ノ償金ヲ出スヘシ
    第五条
一鉄管運輸費ノ如キハ前条直段ヲ以テ一切引請ケ、芝浜崎町瓦斯局ヘ納付スヘシ
 - 第12巻 p.390 -ページ画像 
右之条々今般増瓦斯及賦課方法等御決定相成候ハヽ書面之趣ヲ御引合之上教師江も申談候上条約為取替候様可仕哉、心得方之儀兼而奉伺置候也
  明治九年九月三十日
                事務長
                 渋沢栄一東京瓦斯局事務長印
 東京府権知事 楠本正隆殿
                     (会議所)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0003)
第12巻 p.390-391 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
明治九年十月三日受 十月三日出  大属 荒木功(印)
  (楠本)
 知事(印)               第六課(印)
            (印)
         (要再回印)
   参事       第一課(印)
鉄管鋳造之儀山一組由利公正三浦安ヘ引合方別紙之通事務長より伺出候ニ付篤と検閲候処、鉄管代価教師見積書ト山一組申立之価値ト合計金弐千六百九拾七円余之差異有之候得共、於山一組教師見積書之代価ニ而承諾引受候上ハ素より間然スル処無之候、就而ハ事務長伺出之ケ条ハ引合方心得書迄ニシテ条約書之儀ハ更ニ草稿ヲ以可伺出哉ニ相見ヘ候、然ルトキハ徒ニ時日ヲ費シ此上躊躇可致哉ト被存候ニ付、瓦斯局ト山一組ト之条約案摘示シ左之通御指令相可然哉、相伺候也
 書面伺之趣内外比較表朱書之代価ヲ以山一組ヘ申付、別紙之通条約取結候儀と可相心得事
  年号月日            長官御名印
    瓦斯局ト山一組トノ条約案
今般東京府下瓦斯増築ニ付、瓦斯局事務長渋沢栄一ト山一組由利公正三浦安ト条約スル左ノ如シ
    第一条
 瓦斯管類品目別冊代価ヲ以瓦斯局ヨリ山一組ヘ注文スヘシ
    第二条
 東京芝浜崎町瓦斯局マテノ運搬費等ハ山一組ノ引受タルヘシ
    第三条
 鉄管納付ノ後、試験ノ上若シ毀損スルカ或ハ注文ニ齟齬スル品等不良ノモノナレハ、幾度ニテモ引換納付セシムヘシ
    第四条
 山一組ニ於テ鋳造セル鉄管ハ同組ノ都合ニヨリ時々瓦斯局ヘ運送スヘシト雖トモ、瓦斯局工事ノ都合モ之アリ、一ケ月凡ソ何千本以上ハ必送付スヘシ
    第五条
 瓦斯局ニ於テハ試験ニ堪ヘタル管数ニ応シ、其代価臨時山一組ノ請求ニヨリ交付スヘシ
    第六条
 鉄管類第四条ニ依リ明治九年何月ヨリ向何ケ月間ニ悉皆瓦斯局ヘ納付スヘシ
 - 第12巻 p.391 -ページ画像 
    第七条
 此条約若シ瓦斯局ニ於テ違約ノ節ハ之ガ為メ生セシ費用損毛ハ同局ヨリ弁償シ、山一組ニ於テ違約ノ節ハ既ニ相渡シタル金高ノ利息一ケ年金百円ニ付金拾弐円ノ割合ヲ以違約料トシテ差出スヘシ
右ノ通双方承諾ノ上条約取結ヒ候ニ付保証ノ為メ各自姓名ヲ自記シ之レニ捺印シ証書ヲ作リ、壱通ハ瓦斯局ヘ止メ置、一通ハ山一組ヘ交付スルモノ也
  年号月日           瓦斯局事務長
                    渋沢栄一 印
                 山一組
                    由利公正 印
                    三浦安 印
                      (会議所)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0004)
第12巻 p.391 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
    府下増瓦斯着手之儀ニ付上申書
府下増瓦斯建築之儀ニ付、過般会議処之決案ヲ以テ同所より具陳仕候処、其後(鉄管鋳造○街灯建設之位置○光線比較○一時之出費高○落成期限)等之義更ニ瓦斯局エ御下問ニ寄調査之上過日稟白仕候ニ付、書面之趣は第一類第二類総而内国製相用候御見込ヲ以テ早々着手可致其他毎条聞届候旨去ル七日御指令有之、然ル処右瓦斯創立以来建築費及点火費共年賦課出方法等之儀ニ付猶又会議所エ御顧問有之、衆議決定之上会頭より去ル十日既ニ具状仕候節、私共よりも会議処エ向ひ意見陳述之次第も有之候ニ付、前書増築並賦課方法共御決定可相成以前該事業ニ着手仕候共、或ハ見込相違いたし候辺は無之候哉、右等尚御審案被成下度、且又別紙相伺候鉄管鋳造之儀も今般書面伺之趣内外比較表朱書之代価ヲ以テ山一組エ申付、別紙之通条約取結候儀と可相心得旨御指令相成候得共、右条約案之内第七条中云々山一組ニ於而違約之節は既ニ相渡シタル金高之利息一ケ年金百円ニ付金拾弐円之割合ヲ以テ違約料差出スヘシト有之候処、第五条中云々試験ニ堪ヘタル分ハ管数ニ応シ其代価ヲ交付スヘシト有之上ハ、試験ニ不堪分ハ素より代価ヲ付与セサレハ、第七条中既渡シタル金高ニ対して割合之違約料ヲ差出スヘキ道理無之候間、此廉は双方ニ於而此鋳造ニ付テ取結ひ条約ヲ違背スル時ハ幾分之償金ヲ差出スヘキ事と御改正相成候方後日之紛紜も無之事と奉存候、尤も此結約之義も会議所決議之趣御裁決相成候御指揮之末ニ於而併而着手仕度奉存候、此段開陳仕候也
               事務長
  明治九年十月十二日     渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府権知事 楠本正隆殿
                      (会議所)
  ○本款明治九年六月二十九日ノ条(第三六五頁)及ビ明治九年十月十日ノ条(第三九七頁)参照。


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0005)
第12巻 p.391-394 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
 - 第12巻 p.392 -ページ画像 
明治九年十月 日受 十月十九日出 大属 荒木功(印)
   (楠本)
 知事 (印)          第六課(印)
   参事           第一課(印)
 (楠本)
 (印)(朱書別筆)
 渋沢ヲ呼出事情委敷可申聞事而後何分指令ニ及筈ナリ
瓦斯局事務長より増瓦斯着手之儀ニ付上陳之趣篤と検閲候処、瓦斯灯費賦課方法並事務長ヨリ議員ヘ及陳述候意見等会議所決議之趣御裁決之上該事業着手致度之主意ニ而、少シク前途ヲ通慮スルニ似タリト雖トモ、畢竟職務上注意之厚キヨリ生シタル至極親切之申立ニて敢而不都合之廉無之候得共、右賦課方法之儀ハ既ニ会議所具申之通御決定相成、且事務長意見之旨趣タル増瓦斯之場処街灯費ハ特別之賦課法取設ケ度、予而府庁ニ於テ目論見居候、然れとも未タ公然書面ヲ以相達候訳ケニハ至リ兼候ニ付、予メ前条之趣事務長ヘ御口達相成可然哉ト存候、鉄管鋳造山一組条約書第七条云々未タ事務長ニ於テハ前金下渡之儀了承不致、故如斯質疑申出候哉ニ相見候、然レトモ事務長申立之趣至当之事ト被存候ニ付、伺之通指令可然哉、因テ前両条指令案左ニ相伺候也
東府納
 書面之趣追而可及指令候条増瓦斯事業ハ速ニ着手候儀ト相心得可申、且又鉄管鋳造山一組条約書之儀ハ申出之通聞届候事
                     長官
                       (回議用紙)
    瓦斯鉄管其外条約之儀ニ付上申書
府下増瓦斯之儀今般御指令相成候ニ付、右要用之鋳管其外器械鋳造之儀ヲ山一組エ注文仕候ニ付而は、同組エ打合之上別紙按文之趣ヲ以結約仕度、尤教師ペレゲレーンエも申談之上右代価取調書及納付期限順序書条約按とも相添供検閲候間、至急御允裁被成下度奉存候、此段奉上陳候也
                瓦斯局事務長
  明治九年十一月一日        渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府権知事 楠本正隆殿
                      (東京瓦斯局)

    約定按
今般東京府庁ノ許可ヲ得府下人民ノ共有金ヲ以テ従来ノ瓦斯ヲ増加シ此事業ヲ着手スルニ当リ、要用ノ鉄管其外器械鋳造ノコトヲ山一組ヘ注文スルニ付、瓦斯局ト山一組トノ間ニ於テ協議ノ上左ノ条々ヲ約定セリ
    第一条
瓦斯局ヨリ別冊品目ノ通リ書載ノ代価ヲ以テ瓦斯引用ノ鉄管其外器械ヲ山一組ヘ注文スルニ付、同組ニ於テ結約ノ日ヨリ十三ケ月間即チ日数三百九十五日ヲ以テ注文品ノ総体ヲ無相違鋳造スヘシ
 但本条注文ノ品訳ハ第二条ノ別冊ニ於テ之ヲ詳悉ストイヘトモ、若工事ノ都合ニヨリ譬ヘハ三インチノ鉄管ヲ五インチニ更正シ、又
 - 第12巻 p.393 -ページ画像 
ハ鉄器ヲ増減スル等ノコトアル時ハ従テ其代価モ加損スルニ付、瓦斯局ニテハ第二条納付期限ノ前ニ之ヲ通知スヘキニ付山一組ニ於テ其鋳造ニ不及分ハ便宜之ヲ更正増減スヘシ
    第二条
山一組ニ於テハ右鉄管其外ノ順次鋳造ノ上別冊品訳納付日限ノ通リ、聊モ遅滞ナク必ス東京芝浜崎町瓦斯局ヘ納付スヘシ
 但鋳造済東京ヘ輸送ノ際、川支ヘ其外ニテ事実不得已此日限ヲ延引スルコトアレハ、其分ニ限リテ本文日限ノ外十五日丈ケハ猶予スヘン、且ツ此運搬費其外共都テ山一組ノ受持タルヘシ
    第三条
右納付スル処ノ鉄管其外瓦斯局ニ於テ悉試験ノ上、若毀損スルカ或ハ注文ニ齟齬スルカ又ハ品等粗悪ニシテ使用成リ難キモノハ、山一組ヘ送付シテ幾度ニテモ引換納付スヘシ
    第四条
此鉄管其外ノ瓦斯局ヨリ山一組ヘ注文スルニ付、注文前金トシテ右鉄管其外鋳造費総計金高ノ三分一ヲ交付スヘシ
    第五条
右注文金高ニ対シ品物納付ノ後ハ、其時々試験ニ堪ヘタル品物納付ノ高ニ応シ山一組ノ請求ニヨリ其価ヲ瓦斯局ヨリ払ヒ渡スヘシ
    第六条
瓦斯局ニ於テ若此約書ノ条件違背スル時ハ、破約料トシテ第一条鉄管代価総計金高ノ三分一ヲ山一組ヘ償フヘシ
    第七条
山一組ニ於テ若結約ノ条件ヲ悖違スル時ハ、破約料トシテ第四条注文前金ヲ返付シ更ニ総計金高ノ三分一ノ破約金ヲ瓦斯局ヘ償フヘシ
    第八条
第二条毎月納付スヘキ鉄管其外ノ納高ヲ山一組ニ於テ延滞スル時ハ、増瓦斯建築ノ事業上ニ就テ随テ生ズルノ損失アルニ付、其償トシテ一日ニ付総計金高ノ千分一ノ割ヲ以テ延滞ノ日数ニ応シ山一組ヨリ之ヲ瓦斯局ヘ払フヘシ
 但本文延滞ノ日限満四ケ月ヲ過クルトモ尚此器品納付ノ目的ナケレハ、之ヲ破約ト見做スヘシ
    第九条
此条件ノ双方ノ間ニ於テ結約スルニ付テハ、若双方主任疾病事故アリテ該事務ヲ他人ニ引渡スコトアルモ、跡相続ノモノニテ必此条約ヲ履行スルモノトス
右各条ハ双方協議ノ上約定スルニ付、保証トシテ此書面二通ヲ製シ各自己捺印シテ一ハ瓦斯局ヘ留メ一ハ山一組ヘ交付スルモノナリ
                   瓦斯局事務長
  明治九年十月              渋沢栄一
                      西村勝三
                   鉄管其外鋳造引受人
                      由利公正
前書之通承認候事
 - 第12巻 p.394 -ページ画像 
  明治九年十月
             東京府権知事 楠本正隆
書面上陳之趣聞届候条結約之上尚可届出事○九年十一月一日
                       (東京瓦斯局)
  ○前金渡証書案、内国製造鉄管其他鋳鉄品代価調書及内国製造鉄管其他鋳鉄品種出来ノ月期ヲ略ス。
  ○別冊品目略ス。
  ○瓦斯場増設並ニ瓦斯供給設備拡張ニ就イテハ、本巻所収「東京会議所瓦斯掛」明治九年四月十四日ノ条(第三四一頁)本款明治九年六日二十九日ノ条(第三六五頁)参照。



〔参考〕瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0006)
第12巻 p.394 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
一府下瓦斯灯増築ニ付御入用之鋳造物当組ニおゐて引請御約定致し、上州小坂表江鋳造場等経営ニ取掛リ候処冬之厳寒ニ障ラレ当春融和之気候ニ至リ漸ク建築、続テ鋳造ニ取掛候処初手之儀ニ付試造等大ニ手数ヲ費ヤシ、且当年之暑中例年ニ比シ候得者別而酷熱六月より八月ニ至リ九十五六度より不降熱度ニ有之、炭火之勢力熱度ニ圧サレ銑湯十分ノ鎔解ヲ得ガタク彼是凡八九十日間ハ算外ニ事業延滞仕候、右様之次第ニ付既ニパイプ納入ノ期限ニ相成候得共、物品相揃不申不都合之次第甚以心痛仕候、前条非常寒熱之災厄且初事初手之事業ニ付意外之手後等宜御恕察被成下、総テ九十日間納付延期被成下、来明治十一年六月卅日迄ニ皆納仕度、此段及御頼談候也
                    山一組
  明治十年九月             由利公正(印)
    瓦斯局
    事務長御中


〔参考〕瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0007)
第12巻 p.394-396 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
明治十一年五月廿九日受 五月廿九日出  五等属 岡田信英(印)
 (楠本)
 (印)
 知事 書記官
                    (印)出納課
                    (印)庶務課(印)
由利公正等ヨリ曾テ相願置候小阪鉄山工部省江買上之儀、此程指令之通代金四万八百拾七円拾銭三厘当庁江被相渡候間、此内金弐万七千六百六拾八円三拾三銭三厘是ハ元金弐万六千円並明治十年一月十六日より同十二月十五日マテ利金千六百六拾八円三拾三銭三厘ナリ者勧商局江返弁取計可申、而シテ瓦斯管注文トシテ前渡金壱万三千百四拾八円七拾七銭者当課請取証ヲ以同人江相渡、瓦斯局江返弁候様可仕哉、且瓦斯局心得之為メ御達案左ニ相伺候也
 但本文金額請取証書由利公正等ヨリ可差出積候間、兼而当庁江差出有之候勧商局拝借金之証書者其節引換可下渡ト致候、此段添而上申候也

   御達案
                        瓦斯局
 - 第12巻 p.395 -ページ画像 
 小阪鉄山之儀社中之力ニ而永続難相成故ヲ以テ、社員由利公正等ヨリ該山保続工部省ニ於而後来引請相成度旨歎願申出、此度願之通許可相成、就而者其局ヨリ該社江予而瓦斯管注文之為メ相渡置候金額当庁江送来受取置候間、其局江同人ヨリ返納之手段相尽候様可致、此旨為心得相達候事
  年 月 日                長官
                       (東京府庁回議用)

(朱書)
「第六千七百七十三号」
石川県士族由利公正等ヨリ、曾テ出願セシ上州甘楽郡小坂鉱山之儀ニ付、去月一日御指令之趣本人共ヘ相達候処、別紙之通請書差出申候、就テ者甲号書面ニ記載之物品ハ御指令之通該山ニ属シ差出シ、乙号書面之分ハ私債償却ニ充テ度云々願意事情無余儀相聞候間、可然御詮議相成度別紙書類添及進達候也
  明治十一年三月二十一日
                東京府知事 楠本正隆
    工部卿 伊藤博文殿

(朱書)
「書面願之趣聞届、該山之義ハ爾来工部省ニ於テ官行候間、右買上代金四万八百拾七円拾銭三厘可下渡ニ付直ニ勧商課並其府ヨリ之負債金ヘ返弁為致、別紙之通受書為差出可申候事
 但本文金円之儀ハ其府ヘ可相渡ニ付工部省会計局ヘ可打合受取候事
  明治十一年五月廿四日
                大蔵卿 大隈重信
                工部省御用取扱
                参議  伊藤博文」
                    (東京府)

(附箋)

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 収領之証 一会計局宛 封書壱 六月六日        工部省 



    証書案
      証
一金四万八百拾七円拾銭三厘
右者上州甘楽郡小坂鉄山之儀是迄私共稼業罷在候処、今般願之末官行相成候ニ付、該山附属之家屋器械代トシテ前書之金円御下渡正ニ落掌仕候、依テハ右鉄山稼業中之儀ニ付爾後何等之事件差起候共、聊官之御煩累不相成様私共ニ於テ悉皆引受処分可仕候、仍テ為後証一札差上置申候也
  明治十一年五月
                   由利公正


    大蔵卿 大隈重信殿
 - 第12巻 p.396 -ページ画像 
    工部省御用取扱
    参議 伊藤博文殿
                       (東京府)

〔参考〕瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0008)
第12巻 p.396 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課   (東京府文庫所蔵)
御局瓦斯増加事業要用之鉄管其外器械類鋳造方去ル九年十一月中当組ヘ御注文相成候ニ付、其斯限即本年六月三十日迄《(期)》ニ悉皆納付可致心得ヲ以テ鋳造方ニ従事致居、然ル処開鉱創業之際許多之失費ヲ重子資力匱乏ニテ該業維持難相弁、不得止昨十年十一月十日該山保続之儀府庁ヲ経テ工部省ヘ出願候処、本年二月七日付ヲ以、勧商局ヨリ之拝借金並ニ瓦斯管代前金渡之分弁償之為メ該山差出儀ニ候ハヽ、請書並該山ニ附属スヘキノ家屋器機物品等取調可差出ス旨大蔵工部両卿殿御達之趣ヲ以府庁より御指令相成、即同年三月十六日請書差出シ申候、而シテ亦本年五月廿八日付ヲ以該山之儀爾来工部省ニ於テ官行相成候ニ付右買上可下《(金脱カ)》ケ渡候条、直ニ勧商局並ニ本庁ヨリノ負債金ヘ返納可致儀ト可相心得旨御指令ニ随ヒ、請書並ニ金員受取証書共差出候間此段宜御承知可被下候、前顕勧商局拝借金並瓦斯管代分ハ、稍ク消却相成候共、当組ニ於テ全ク損耗ニ帰スル金額他借共拾余万円之分ハ更ニ消却之道相立不申、既ニ私債主夫々江対シ候而ハ相借金並瓦斯管代金之義務不得止故《(拝カ)》ヲ以懇談依頼ニ及ヒ、該業閉鎖官行出願之承諾ヲ得候次第ニ有之候、最モ御局前金壱万三千百四拾八円七拾七銭之義ハ御指令ニモ有之候義ニ付、此度工部省御下金ヲ以テ府庁より直ニ御局ヘ御渡相成筈ト致候、依而ハ前書心底ニ任セサル不都合ヲ生シ瓦斯増築事業上必御差支モ可有之ト深ク恐縮之至ニ不堪、且曾而結約候条約書之通リ履行可致筋ニ候得共、前陳失敗之末総テ府庁御指令ニ縋リ候義ニ付、前後之情態御洞察被下先前結約之次第御解約被下度、只管及ビ御依頼候、此段呉々懇願候也
  明治十一年六月十九日
                 山一組
                   由利公正印
 瓦斯局事務長
    渋沢栄一殿
                         (東京瓦斯局)

〔参考〕瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120043k-0009)
第12巻 p.396-397 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課      (東京府文庫所蔵)
当局出来之コールタール売捌之義ハ、是迄ハ日々多少ニ不拘望人ヘ売出、残余ハコークヘ濺キ懸ケ焚用致候処、今般別紙願書之通由利公正ヨリ出来高悉皆引受度旨申出候付篤考仕候処、前条之通日々出売残之分ハコークニ濺キ焚用候余残ハ由利公正申出之直段ニ而売渡度、尤是迄小売捌直段ニ比シ壱斗ニ付金三拾銭之低価ニハ候得共、悉皆引請候事故当局ニテハ囲置樽代其外多少之手数相省ケ、且将来瓦斯増製之日ニ到リ必定売捌之便宜ニ可相成候間、試として由利公正申出之価格ニテ、本年八月中マテ出来之分売払約定仕度、仍右願書弐通相添此段奉伺候也
  明治十年二月廿二日
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                 瓦斯局事務長
                 渋沢栄一代理
                     西村勝三
    東京府知事 楠本正隆殿

一私義先般以来タールペーノ製法致候処 御局ニおゐて御出来相成候コールタール必用ニ付、御出来高悉皆私一手ニ御払下被成下度、直段之義ハ壱斗ニ付代金四拾銭宛無相違上納可仕候、此段御聞済被成下度奉願候
 右願之通被 仰付被下置候得ハ速ニ諸向注文ニ応シ差支無之様仕度候間、至急御指揮被下候様呉々奉懇願候也
                     由利公正代理
  明治十年二月              渡辺質
    東京府
      瓦斯局御中