デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.417-425(DK120049k) ページ画像

明治10年3月1日(1877年)

本局開業以来瓦斯街灯費ハ其点火費徴集困難ニシテ到底瓦斯建設原費ヲ減却シ得ザルノミナラズ、共有金ヲ以テ之ヲ支弁シ居タリ。因テ瓦斯供給設備ヲ増設拡張シ以テ点火費ノ低減ヲ図リ、或ハ家内引用瓦斯ノ売却利益ヲ街灯点火費ニ補塡センコトヲ画シテ既ニ其増築工事ニ着手セリ。又曩ニ東京会議所ニ諮問シテ点火費賦課方法ヲ更正シタリシガ、是年一月太政官布告第二号公布ニ依リ本局維持及ビ賦課方法ニ支障ヲ生ゼリ。是ニ於テ栄一瓦斯局事務長トシテ瓦斯増築ヲ廃停スベキ事ヲ府庁ニ建言ス。依テ府庁其措置ニ関シテ会議所ニ下議スル所アラントス。然ルニ二月ニ至リ府知事楠本正隆該入費ヲ府税ノ内ヨリ支出センコトヲ内務卿大久保利通ニ伺出デ許サル。仍テ是日以後、民費賦課方法ヲ設クル迄府税ヲ以テ瓦斯街灯費毎月
 - 第12巻 p.418 -ページ画像 
千百三円五十九銭ヲ支出スベキコトヲ達セラレ、以テ該入費ヲ補償セラルルヲ得テ、本局増設工事ヲ継続シ、明治十二年十二月十五日ニ至リテ竣功ス。


■資料

瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120049k-0001)
第12巻 p.418-419 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十年 月 日受一月三十一日出 一等属 荒木功(印)
 知事   書記官   出納課(印)   庶務課(印)
瓦斯増築廃停及街灯点火費賦課方法等会議所御下議草案左ニ相伺候也
      (朱書)
      但此立案ハ上局ノ命ニ依リ記草セルモノニシテ主任荒木ノ主意ニ非ス
    案
                        副会頭
瓦斯製造所建設資本金支消及ヒ街灯点火費減少ノタメ、更ニ瓦斯増築ノ上家内引用ニ供シ其利益ヲ得ル方法等先般建議之趣ヲ採用シ、瓦斯局ニ於テ既ニ該事業着手ノ処、今般太政官第弐号ヲ以民費ノ儀ハ地租五分ノ一ヲ超過スヘカラサル旨公布ニ依リ、前議点火費地所ニ課スルノ法已ニ廃案ニ属ス、亦諸官省ニ於テモ経費節減ノ際ニ臨ミ家内引用請求無之哉ノ故ヲ以増瓦斯ノ挙廃停可然旨瓦斯局事務長渋沢栄一ヨリ上申之趣モ有之ニ付、増瓦斯廃否及ヒ現在ノ街灯点火費賦課方法等下議スル左ノ如シ
    第一条
先般ノ決議ニヨレハ現在街灯点火費ノ三分ヲ線路ニ七分ヲ朱引内一般ノ聞小間ニ賦課スヘキノ処、今般第弐号公布ニテハ尋常ノ区入費ノミニテモ地所ニ課シ不足ヲ生スルニヨリ、街灯点火費ノ如キ素ヨリ区費ニ編スルヲ得サルナリ、因テ該費ハ家屋ニ課シ其方法ハ前議ニ基キ費額ノ三分ヲ線路ニ七分ヲ朱引内一般ノ家屋ニ賦課スヘシ、然ルトキハ新ニ家屋ノ聞小間法ヲ設ケザルヲ得ス、則チ家屋ノ借地料金壱円ヲ以テ一ト小間トセバ其権衡ヲ失ハザルヘシ
    第二条
第一条ノ賦課法ヲ不可トスルトキハ現在ノ街灯当分消灯スルカ、将タ旧ニ依リ共有金利子等ノ収益ノ内ヲ以支出スルカノ二途ニ決スヘシ、而シテ之ヲ消灯スルトキハ忽チ道路ノ安全ヲ害シ、警察上ノ要具ヲ欠クニヨリ、仮リニ共有金ヨリ仕払追テ賦課ノ方法ヲ議定スヘシ
    第三条
増瓦斯ハ専ラ諸官省家内引用ニ供スル見込ノ処、今般諸官省経費非常ノ減額ニ依リ自ラ費用節制可相成ニ付、引用諸求ノ目算果シテ齟齬スルニ庶幾ンカ、然ラハ則チ増瓦斯事業ハ断然廃停スヘシ
    第四条
第三条ノ如増瓦斯廃停スルトキハ該事業既ニ着手スルヲ以テ鉄管類並白煉瓦等注文約定ニヨリ、別書ノ通合計金壱万三千八百余円ハ時勢ノ変遷ニ依リ瓦斯局ノ損失ト看做スヘシ
右は衆議員逐条討議ヲ尽シ決議之上具状可致、此旨相達候事
 - 第12巻 p.419 -ページ画像 
 但本議急速臨時会ヲ開キ可申事
   年 号 月 日                長官
(欄外朱書)
 [長官ノ御指揮ニ依リ廃案ス
                      (東京府庁回議用)
  ○右本文中ニ見ユル瓦斯増築廃停意見ノ上申書、瓦斯局書類中ニ存セズ。
  ○明治六年七月二十八日ノ太政官布告及ビ十年ノ改正左ノ如シ。
   太政官日誌 明治六年 第百十四号
   明治六年七月廿八日〔第二百七十二号布告〕
   今般地租改正ニ付、旧来田畑貢納ノ法ハ、悉皆相廃シ、更ニ地券調査相済次第、土地ノ代価ニ随ヒ、百分ノ三ヲ以テ、地租ト可相定旨被 仰出候条改正ノ旨趣、別紙条例ノ通可相心得、且従前官庁並郡村入費等、地所ニ課シ、取立来候分ハ総テ地価ニ賦課可致、尤其金高ハ本税金ノ三ケ一ヨリ超過スヘカラス候、此旨布告候事
   太政官布告 明治十年第一号(一月四日)
   今般地祖ノ儀別紙 詔書ノ通被 仰出候ニ付テハ明治十年ヨリ地価百分ノ弐分五厘ト被定候条此旨布告候事
   (別紙)
   詔書写
   朕惟フニ維新日浅ク中外多事国用実ニ貲ラレス、而シテ兆民猶ホ疾苦ノ中ニ在リテ未タ富庶ノ沢ヲ被ラサルヲ愍レミ、曩ニ旧税法ヲ改正シテ地価百分ノ三トナシ偏重無カラシメントス、今又親ク稼穡ノ艱難ヲ察シ深ク休養ノ道ヲ念フ、更ニ税額ヲ減シテ地価百分ノ弐分五厘ト為サン、有司宜ク痛ク歳出費用ヲ節減シテ以テ朕カ意ヲ賛クヘシ
   太政官布告 明治十年第二号(一月四日)
   今般地租減額費用節省被 仰出候ニ付テハ明治六年七月第弐百七拾弐号布告民費賦課ノ儀明治十年ヨリ正租五分ノ壱ヨリ超過スヘカラス、此旨布告候事
   ○瓦斯局事務長ノ瓦斯増築廃停意見ニ対シテ中止スベカラザル反対意見アリタリ。結局楠本知事ノ計ヒニテ此難問題ヲ切抜ケタリシガ、次ニ府内ニ現レタル増築継続意見ヲ掲グ。


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120049k-0002)
第12巻 p.419-420 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
    瓦斯増築中止スヘカラサルノ議
小官謹テ議ス、瓦斯増築ノ廃議ハ本年第二号公布ニ因テ起ル所ナリ、抑賦課ノ地ニ約スル已ニ程限アリ、今ヤ常費猶支ヘス、況ヤ街灯点火費ノ如キ将タ需ル所ナカラントス、曩ニ決議スル所ノ七分三分賦課法ハ業ニ已ニ廃棄ニ属ス、現在ノ灯費タモ方ニ課賦如何ノ難題タリ、亦タ新築ノ工業ニ於テ夫レ慮ザランヤ、之レ廃議ノ因テ起ル所トス、且諸官省引用ノ需メハ増築ノ目的トスル処ニシテ、今般官省ノ減額ニ就テハ経費節制ノ政随テ行ハル、其ノ目的ノ正鵠ヲ失ルヤ必ス期スル処ナリ、之ヲ廃議ノ因テ就ル所トス、実ニ彼ノ八百万円ノ減額ハ府下一般ノ寒色ヲ現スルニ足サルトセンヤ、夫レ然リ、愚案スルニ独リ然ラストス、当初街灯点火費ノ課賦頗ル難題タリ、因テ一歩ヲ進メテ以テ増築ノ議ニ及フ、増築議定ル、因テ現今灯費七分三分ノ法亦タ随テ決ス、論脈ノ相ヒ連ル夫レ斯ノ如シ、然シテ第二号ノ公布アルヤ其課賦ノ法果シテ行フ可ラス、故ニ賦課難題ノ議再ヒ新タナリ、因テ反テ増瓦斯ノ如何ニ及ブ、之レ論勢ノ自然ト云ヘクシテ其実ヤ已ニ別途ニ帰ス、夫レ新築ノ点火費等素ヨリ土地ニ賦課スルノ目途ニアラサリシ上
 - 第12巻 p.420 -ページ画像 
ハ現在ノ灯費賦課ノ動議ニ於テ更ニ関係アルヲ見サルガ如シ、新築ヲ止ムルモ亦タ現在ノ灯費再ヒ議セサル可ラス、新築ヲ止メサルモ亦タ現在ノ灯費議セサル可ラス、故ニ現在ノ灯費賦課法ノ如何ニ於テ新築ノ興廃ニ波及ス可ラサルモノトスルナリ、且官省ノ引用ハ有無ヲ以テ之ヲ論シ工業ノ得失ハ興廃ヲ以テ之ヲ議ス、減額ノ係ル所太タ過大ナラスヤ、小官ノ如キハ官省ノ引用ハ多少ヲ以テ之ヲ論シ、工業ノ得失ハ大小ヲ以テ之ヲ議セントス、測ルニ官省点火スル其費一ケ月四十円ノ内外ニアラカ《(脱アルカ)》、之レ実ニ力ノ堪ヘサル所ニアラサルナリ、亦商估ノ経済ト殊ナル可キナリ、玆ニ一歩ヲ縮メ偏ニ家内引用ヲ以テ目的ヲ定ムルニ於テハ、亦タ現今ノ覆轍ヲ踏ニアラサルナリ、然ト雖トモ等シク之レ思想ノ説ナリ、故ニ他ノ官省ノ引用ハ皆無トセハ如何ノ質問アルニ至テハ其論勢ノ極ル所ロ、果シテ皆無トセハ姑ラク之ヲ土中ニ付シ時ヲ待ンノミト云ハサルヲ得サルナリ、夫レ瓦斯灯ノ府下ニ於ル早晩必ス起ス可ノ事業ナラズヤ、区費ノ制減額ノ令豈ニ永ク該事業ヲ廃棄スルニ至ランヤ、之レ是レヲ事業上ノ一障礙ト云ヘキカ、夫レ永遠ノ事業ヲ期スルヤ豈ニ其ノ一障礙ナキヲ慮ランヤ、然シテ坐上之ヲ論スルヤ、亦完全ノ期ヲ待ツヘシノ議ニ決スルニ如ハナシ、今ヤ工事既ニ着手シ忽チ其中止ニ決スルヤ、其損耗ニ帰スルノ金額二万円ニ上ラントス、爰ニ其ノ損益ヲ議シテ云、工業ノ費拾万円今マ其目途ヲ果ササルニ於テハ姑ラク土中ニ埋メ縦ヒ現品ノ在ルアルモ年々増殖スヘキ利子大凡八千円ヲ得サルノ損失トス、或ハ云フ二万円ノ十万円ニ比ス真ニ少ナリト雖トモ今ノ之ヲ擲却スルハ真ク損失ニシテ逐テ償フ可ラス、然ルヲ猶遂ニ再興スヘキモノヲヤ、其ノ比較計算ノ如キ其臆測ヲ以テ論スヘキモノニアルラサルナリ、素ヨリ小官ノ経済ノ理ニ疎キ敢テ議ス可カラサルナリ、唯タ勢ノ止ム可カラサルニ出スルモノナリ
  明治十年一月       二等属 村上義雄拝議
                       (東京府庁回議用)


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120049k-0003)
第12巻 p.420-421 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課       (東京府文庫所蔵)
明治十年 月 日受 二月廿六日出 御用懸 岡田信英(印)
  (楠本)
 知事(印)    書記官(印)  出納課(印)  庶務課(印)
 (朱書)
 街灯之入費丈ハ府税之内遣払候旨可及布達候事
瓦斯灯費支出方之儀別紙之通内務省ヨリ御指令相成候間則供電覧候也
                     (東京府庁回議用)

当府下瓦斯灯費之儀民費ニ課シ漸々支消之見込ニ候処、其方法未タ竭サヽル所アルニヨリ是迄共有金之内ヲ以操替置候得共、共有金ノ儀ハ専ラ済貧恤窮之経費ニ充ツヘキモノニシテ向後操替難相成候、因テ点火費賦課方法取設候迄之処民費補助之廉ヲ以府税之内ヨリ支出致度、右者八年御省乙第百四十二号御達府税費途概目外之儀ニ付為念相伺候条、至急御指揮有之度候也
  明治十年二月十二日 東京府知事 楠本正隆 東京府知事楠本正隆
 - 第12巻 p.421 -ページ画像 
    内務卿 大久保利通殿
割印
 書面之趣聞届候事
            内務卿大久保利通代理
 明治十年二月廿四日     内務少輔 前嶋密 前嶋密印

                        瓦斯局
瓦斯街灯費之儀民費賦課方法取設候迄之処、府税之内ヲ以来ル三月一日ヨリ致支出候条、此旨為心得相達候事
 但教師給料之儀者是迄之通共有金之内ヨリ支給候事
 年 号 月 日               長官
                     (東京府庁回議用)


東京府布達全書 明治十年(DK120049k-0004)
第12巻 p.421 ページ画像

東京府布達全書  明治十年       (東京府文庫所蔵)
○甲第二十四号 三月二日
瓦斯街灯費ノ儀是迄共有金ヲ以仕払来候処、追テ賦課方法相立候迄ハ本月ヨリ府税ヲ以仕払候条、為心得此旨布達候事


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120049k-0005)
第12巻 p.421-424 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課      (東京府文庫所蔵)
明治十年 月 日受七月二十日出 御用掛 岡田信英(印)
(楠本)     (印)
(印)知事    書記官      出納課(印)
        (印)
瓦斯局ヨリ別紙之通伺出候ニ付取調候処、第一条瓦斯増築落成迄之費用ハ本年二月十日同局申立書ニ拠リ或ハ現在費ヲ酙酌《(斟)》シ計算候処別紙調書之通減省相成申候、其他両条左之通御指令相成可然哉、草按ヲ以相伺申候
      按
 書面
  第一条
  瓦斯増築落成迄ハ予算金千百三円五拾九銭ヲ以、一ケ月ノ費額トシ、府税ノ内ヨリ可致支給ニ付、可成丈ケ冗費節省ヲ要シ額外踰越不致様可取計事
   但街灯修補之費途ハ共有金ヲ以支給可致事
  第二条
  増築後月費予算ノ儀ハ追而可相達事
  第三条
  但書共伺之通可相心得事
本年二月卅日差出《(マヽ)》ノ書面ハ返付候事
  月 日               長官御名
                    (東京府庁回議用)

    瓦斯増築迄ノ月費予算取調書
      但府税ヲ以支給スヘキ分
一金五百八拾三円弐拾五銭 石炭並製薬代
      是ハ本年二月瓦斯局ヨリ申立書ニ拠リ如斯
 - 第12巻 p.422 -ページ画像 
一金四百三拾四円五十銭   各員月給諸雇給
      是ハ瓦斯局申立書ヨリ現今ノ実況ニ比較スレハ弐円五十銭減スルナリ
一金五拾五円八拾四銭
      是ハ瓦斯局申立書ノ如シ
一金三拾円         諸雑費
      是ハ瓦斯局本年二月申立書ニハ諸雑費並街灯条補見込金百三拾円《(修カ)》ノ申立ニ候得共街灯修補ハ共有金ヲ以テ支出スヘキ事ト存候ニ付、諸雑費ノミ昨九年七月以後後半年ヲ計算シ一ケ月三十円ニ見込則百円減省スル也
合金千百三円五十九銭
  ○二月十日附瓦斯局申立書見エズ。

    瓦斯街灯費之義ニ付上申
東京瓦斯局街灯費供給之方法ニ付而ハ本年三月廿八日附ヲ以向来之要旨奉伺候処、其後私共御呼出ニ而御直諭被下候ニハ、右伺書之趣ハ特リ旧会議所之決議ニのミ拘泥し且共有金保全之一偏ヲ固守候様相見ヘ候得共、畢竟本年一月中再三熟議之末府税を以此街灯費ニ充候義ハ、右街灯費賦課方法難被行時機ニ際し府庁ニ於て深ク瓦斯局之維持ヲ謀リ并而共有金之損耗せさる事をも注意せし一時之保護法ニ有之候間、追而右賦課出来候時ニ至リ候迄ハ只管瓦斯局之充分而已相謀候様ニハ難出来次第ニ付、先即今之目的ハ左之廉々之通相心得取扱可申旨御細諭拝承仕候
第一瓦斯場増築落成候迄ハ月費金千弐百六円九銭ヲ当場之定額費と為し之ヲ府税より御支給可被下ニ付、此場之諸経費ヲ弁給し維持候様可致事
   但右定額金御設立之原因ハ本年三月九日取調上申仕候実際勘定書ニ御憑拠相成候事
第二増築後ハ街灯数増加候ニ付月費金弐千三百五拾円之定額とし同断御支給可被下事
   但右定額金御設立之原因は前同断
第三家内延用之瓦斯ハ増築前後共当局ニ於て精々其増殖ヲ謀リ、右売捌瓦斯代中より其瓦斯ヲ製出せし石炭代(但全般之割合ニ拠りて)を引去り、其贏余之分ハ前後建築原費之償却ニ充可申事
   但家内延用ニ付埋管其外之諸入費ハ勿論建築原費として、共有金より支出勘定可致置事
右之旨を以て此場を維持致候ハヽ追而増瓦斯之後家内延用も増加いたし利益も亦相増可申、然ル時ハ是迄本局之此業ニ付支消せし原費及此際増築之諸費其外共漸次償却之途も相立、随而共有金保存之意も相貫キ可申御趣意と奉存私共ニ於ても適当之御考案と奉存候間、別ニ異見拝陳候義ハ無御座候、就而此高旨ニ拠りて熟慮仕候得は恰も此瓦斯局ハ御府ニ対シ街灯費之定額ヲ設ケて御受負申上、之ヲ常業として余力家内延用瓦斯之売捌キ方ヲ勉メ、其利益を以て総額原費之償却ニ充る之方法ニ相成候様被存、至極其分界も判然いたし、殊ニ此局担任之者
 - 第12巻 p.423 -ページ画像 
共ニも其勉強ニよりて効験も相立候様之思考をも引起候哉ニ奉存候間前陳之趣旨兼而御示諭之高慮ニ相適し候義ニ候ハヽ向後瓦斯局維持之要旨ハ右相伺候通ニ相心得可申旨御明示被下置度候、且又右様御確定相成候上ハ前書定額金受払之順序より、原費並月費等之名義迄も区分致、夫々簿記法も相立事務取扱方ニおゐても、向来一段之簡便法ヲ設ケ、全般之御管理ハ素より御府ニ而御統轄被下候共、日常之細務ハ担任之者共ニテ便宜措置候様仕度ニ付其章程をも取調上申仕度奉存候、仍此段奉伺候也
                瓦斯局事務長
  明治十年五月十二日        渋沢栄一栄一
                瓦斯局副事務長
                   西村勝三(印)
    東京府知事 楠木正隆殿
                       (東京瓦斯局)

    瓦斯街灯費之義ニ付上申
東京瓦斯局維持之義並街灯費賦課方法ニ付而ハ昨九年中旧会議所議員ヘ御下問にて、再三審議之末到底此瓦斯局ヘ関渉せし鉱油現華之二灯を廃停し、而シテ瓦斯器械ハ更ニ増築シ其製造ヲ殖シテ私用売却ヲ拡伸シ漸次価格を低下ニシ、且街灯費賦課法ニ於テハ詰リ前後建設之原費償却之見込も兼用スベキ事ニ付、更ニ相当之額ヲ定メ線路と他との区界相立区入費同様ニ之ヲ収入シ、増築之後ニ至リ私用売却ニ於テ可相生利益ヨリ、弐拾五年若クハ三拾年賦位之限度ヲ目的として原費償却之分ニ充テ、尚余贏アレハ街灯費之価格ヲ減却可致との決案ニ帰シ御府ニ於テモ之を御採用相成候趣ハ其時々拝承仕候、然ル処本年一月ニ至リ太政官第弐号御公布之趣ニより右賦課方法ニ関心之件も有之候間愚見拝陳仕、其御模様ニよりてハ前書増築御着手も如何可有之哉と過慮之次第逐一申上候処、其後尚御熟案被為在、右実費ハ追而賦課方法御取設迄之処三月一日より御府税之中より御支出相成且教師給料ハ共有金中にて仕払可致、而シテ増築之挙ハ前議之通御施行云々敬承いたし候、右ハ格別之御画策を以其要費支出之途相立候義ニ付、詰リ旧議員共決議之件も相貫き、瓦斯局も維持を得、随而共有金より支弁せる前後建築之原費償却之方法も相立候事と奉感佩候、就而ハ右御府税ヨリ御支給之分ハ、即今之処実費ニ拠リ御仕払相成候而可然候得共、増築後ニ於テハ偏ニ実費而已之御支出ニ而ハ建築原費之償却不相立訳ニ付、右辺兼而御領掌被為在、自然其時ニ於テモ尚御府税より此費用御支出相成候義ニ候ハヽ、曾而決案せし概算を以建築原費償却ニも相当候様定額相立御仕向有之度奉存候、将又当時建言仕候丸之内街灯之義ハ、此増築後ニ至リ其点火費ハ別ニ官府江御約束ヲ以御交付相成候義ニ候哉、是以不急之事ニハ候得共為念奉伺置候、畢竟右等相伺候モ私共儀ハ旧会議所議員ニも加リ居、且此場実務取扱も奉仕候義ニ付、向後之御定案も伺定メ置候上ニテ尚更勉力仕度義ニ御座候間、微意御諒察被成下何分之御趣意御明示奉願候也
  明治十年 瓦斯局事務長 渋沢栄一栄一
 - 第12巻 p.424 -ページ画像 
                    (勝三)
            同副長 西村勝三(印)
    東京府知事 楠本正隆殿


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120049k-0006)
第12巻 p.424 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課       (東京府文庫所蔵)
    増瓦斯埋布管落成之義ニ付上申
増瓦斯埋布管之義ハ、瓦斯局より京橋際迄之幹管従前之分ヲ更ニ十二インチより九インチ迄ニ埋布替可仕旨先年来伺済ニ相成候処、本月十五日迄ニハ右悉皆落成仕候ニ付予メ此段上申仕置候、就而者右増築総而伺之中竈器械場等ハ追々落成ニ至リ候得共是等ハ格別差急キ候工事ニモ無之、全ク増築瓦斯売捌ニ於テハ京橋迄充分差支無之候条、此段併而上申仕置候也
  明治十二年十二月十日
                       (朱印)
             瓦斯局長 渋沢栄一 
    東京府知事 楠本正隆殿


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120049k-0007)
第12巻 p.424 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十年七月 日受七月十六日出   御用懸 岡田信英(印)
       (印)      (印)出納課
 知事    書記官     (印)庶務課
       (印)
 (朱書)
 会議頭取ハ昔日之事ニシテ同人之関係スル職務ニ無之故公然達書ヲ下スニ不及、心得之為メ同人ヘ申聞置ハ只注意之事ニ出まてニ而是ハ同人出頭之節其取扱上よく談置可申事
瓦斯点火費返附之儀区戸長江御達之積御決裁相成候、就而相考候ニ瓦斯局事務長渋沢栄一ハ旧会議所会頭ニも有之、且今日之職掌上ニ於而も一応心得居不申候而は不都合ニも可有之被存候間、御達置相成候様致度、草案左ニ相伺申候
    御達案
                      瓦斯局 事務長
 瓦斯点火費賦課之儀去ル八年中申出之上猶旧会議所着手之処、其際不納之向不尠段々及説諭候趣ニ候得共、遂ニ一般課収之運ヒニ不立至、然ル処右賦課斉一ナラサルヨリ下ケ戻之儀申出之者モ有之、就而は今日ニ至一般課収之事到底難被行儀ニ候間、既納之金額千百八拾九円余此度出金者江致返附候ニ付別紙之通線路区戸長江相達候間此段為心得相達候事
  年 月 日            長官御名
 (朱書)
 別紙
 (朱書)
 区戸長御達書写ヲ属ス
                      (東京府庁回議用)


瓦斯局書類 明治十八年会計課(DK120049k-0008)
第12巻 p.424-425 ページ画像

瓦斯局書類  明治十八年会計課     (東京府文庫所蔵)
    街灯点火料線路人民ヘ賦課ノ方法及既納金下戻シ調
瓦斯局ハ明治七年十二月十八日始テ開業シ、其際旧会議所ト区戸長ト協議之上瓦斯線路ノ地主ニ半高表住居人ニ半高ヲ持タセ、地主ハ地位ノ高卑奥行ノ長短ヲ問ハス、表住居人ハ家作土蔵木造ノ別ナク、地主
 - 第12巻 p.425 -ページ画像 
ニハ土地ノ表間数ニ、住居人ニハ渾テ建物ノ表間数ニ割付ケ賦課スルノ法ヲ府庁ニ伺出テ府庁ハ之ヲ許可シタリ、然ルニ往々不納ノ者尠カラス、其之ヲ納メシハ僅ニ千百八拾九円七拾八銭五厘ナルニ依リ、爾後賦課法ヲ定ムル迄ハ府税ヲ以テ支弁スルコトヲ府下ニ開達シ、既納ノ金員ハ各出金者ニ割戻シタリ
                      (東京府)