デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.425-430(DK120050k) ページ画像

明治10年3月21日(1877年)

曩ニ決定セル瓦斯製造供給ノ設備拡張ニ要スル器械買入ノ為メ本局傭技師ペレゲレンヲ欧洲ヘ派遣スルニツキ、右器械代金及ビ其運搬方入費金額下渡サレ度旨、ペレゲレン命令状案並ニ大倉組トノ約定書案ヲ添ヘテ、是日栄一、事務長トシテ府庁ニ伺出ヅ。許サル。


■資料

瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120050k-0001)
第12巻 p.425-428 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
    瓦斯器械買入之義之伺
予テ伺済増瓦斯器械買取ノ為メ当局雇工師ペレケレンヲ来廿六日出発欧洲エ差遣度、附而ハ器械代金額之義は、線路改定ニ付ペレケレン書出別冊第壱号之通金高ニ而別紙第弐号之通ペレケレンエ委任致、代金渡シ方並ニ出来之器械引受運搬方取扱之義ハ別紙第三号之通大倉組エ約定為取扱、今般払出金額之義は別紙第四号之通順次大倉組エ相渡候様仕度、仍書類相添此段奉伺候也
  明治十年三月廿一日    瓦斯局事務長
                 渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
                        (東京瓦斯局)

    命令状案
一今般製瓦斯器械並附属品注文買取ノ為メ欧洲エ出張致ス事
  但此出張ハ雇入約定書第四条ノ趣旨ニ従フモノナリ、日数ハ往返四ケ月滞在巡廻ニテ壱ケ月半、合セテ五ケ月半ノ見込タル事
一器械ハ便宜ノ形ヲ撰ラミ誠実ノ聞ヒアル工場エ注文致シ、代金渡シ方器械出来ノ順序期限等約定スル事
  但便宜ニ拠リ予テ差出シタル代金取調書ノ高ヨリ増減スルコトアルベシト雖、可成丈見積リ価格ニ超過セサル様ニ注意スベシ
一器械代金払方並ニ器械出来ニ順ツテ引受ケ船積運送スル等ノ事ハ、英国竜動日本大倉組支店横山孫一郎ニ約シ取扱ヲ致スニ付、右器械日本ニ於テ入用ノ時日ヲ見計ヒ、船積ノ都合ヲ謀リテ前同人エ申談シ、取扱方失誤無キヤウ致スベキ事
  但心得ノ為メ大倉組トノ約定書写一通ヲ付スル事
右之通委任致候条確守可被致、因テ命令如件
  明治十年三月廿六日
 - 第12巻 p.426 -ページ画像 
                    瓦斯局事務長
                      渋沢栄一
    工師 ペレケレン君
                       (東京瓦斯局)

    約定書案
今般府下瓦斯灯用之器械鉄管及其他要用之物品於欧洲購求之為メ教師ペレゲレン欧洲ヘ出張致スニ付、瓦斯局事務長渋沢栄一ト取扱人大倉組ト結約スルコト左ノ如シ
    第一条
一教師ペレゲレン欧洲……ヘ出張需用ノ器械品類ノ注文致スニハ、其品位並ニ箇数等記載ノ絵図ヲ以テ同所大倉組支店横山孫一郎ト熟議ノ上、各製造所ト皆出来ノ期限ヲ約シ一々代価ヲ定メテ、横山孫一郎ヘ悉ク其事務引渡可申事
    第二条
一大倉組横山孫一郎ハペレゲレン之取窮メタル事務引続キ同氏ノ見定メタル物品ニ相違ナキモノヲ同氏約定期限迄ニ請取、約定ノ代価ヲ払渡可キ事
    第三条
一横山孫一郎ハペレゲレンノ見定メタル器械ハ、間違ナキモノト見認メ、同氏ノ見定メタル品ト相違ナキモノヲ受取候上ハ、万一其器械ニ故障有之トモ大倉組ノ責任ニアラサル事
    第四条
一約定日限ヲ無故経過シ、或ハ品位不相当絵図ト相違ノ品ヲ受取候節ハ、大倉組其責ヲ負担スヘキ事
    第五条
一右代価ハペレゲレン来ル廿六日出帆後二十日間ノ内ニ、振出人渋沢栄一ヨリ請取人竜動大倉組横山孫一郎ヘ向為替金送達可致事
    第六条
一為替金英国竜動横山孫一郎ヘ到着後六十日ヲ経テ横山孫一郎ヘ可相渡為替取組可申事
    第七条
一右為替金六十日以内ニテモ製造所約定手金或ハ品物代価皆払之節ハ残リ日数割引之法則ヲ以同国バンクヘ利息払渡可申事
  但此利子ハ英国通例割引之利子ヲ払フモノトス
    第八条
一為替金額六十日ヲ経過シテ未タ器械代価払渡サヽルトキハ、残金或ハ皆金更ニ同国バンクヘ預置、通例預ケ金利息ヲ受取置振出人ヘ相渡可申事
    第九条
一器械買入約定ノ際注文金ノ半額為証拠金製造所ヘ払可申事
  但証拠金半額以内ニテ行届候様精々注意可致事、若半額ヲ超ユルコト有之共其利子ハ大倉組ニテ払フモノトス
    第十条
 - 第12巻 p.427 -ページ画像 
一竜動表ヘ右為替金不着前右物品買入ノ為メ大倉組ニ於テ立替金等有之節ハ、其利息大倉組ヘ可払渡事
    第十一条
一器械製造約定通出来竜動積出シ之儀凡テ大倉組支店ニ於テ取扱ヒ、可積入船ハ帆前船或ハ蒸気船或ハ飛脚船之内ニテ預テペレゲレン示談取極之通積送可申事
    第十二条
一運送船賃並危難請負料共其船ニ依テ高低アリト雖トモ、預メペレゲレン横山孫一郎ト示談ノ上取究メ完全適宜ノ目的ヲ立テ可払事
    第十三条
一購求物品船積航海中非常ノ天災地変等ニテ期限ヲ超過スルコトアルトモ、其証蹟顕然ナルトキハ大倉組ノ責ニアラサル事
    第十四条
一荷物積入航海中万一沈没スルトキハ、危難請負人ヨリ弁償致サスルノ責ハ大倉組ニ於テ引受可申事
    第十五条
一於大倉組諸器械買入代価及海上請負料船賃其外諸要費共、凡テ取引先々之実際請取証書ヲ以テ精算相立可申事
    第十六条
一仕入代価凡見積ヲ以為替金竜動ヘ振込ト雖トモ物品代価諸要費払渡之後残金有之節ハ、振込人ヘ速カニ返却可致、同断金不足ノ節ハ大倉組ニ於テ之ヲ繰替置、該金額ハ竜動普通割合ノ利子相加ヘ大倉組ヘ振込人ヨリ可払渡事
    第十七条
一荷造船積及横浜港ニ於テ陸揚等ニ付テ精々注意シテ其器械保存ヲ要スト雖トモ、航海中其荷物若シ欠損スルコト有之トモ、欧州船積規則ニ基キタルコトナレハ大倉組ノ責任ニアラサル事
    第十八条
一前条取扱英国ニ於テ器械引取リ之ヲ船積シ及日本横浜ニテ之ヲ陸揚スル等ノ手数料トシテ、大倉組ヘ総金高百分ノ二五ヲ相渡可申事
右之件々渋沢栄一ト大倉組ト約定取結候上ハ各款上履行可致候、右条約確守スル証トシテ二通ヲ製シ各署名鈐印シ、双方ニ壱通ヲ蔵シ置候也
  明治十年三月
                  事務長
                  大倉組
                     (東京瓦斯局)

    支出金額分量
一金四万三千円
  是ハ別冊第壱号之内比較表第一条ニ記スル欧洲ヨリ買入品実価ニ帆前船々賃船主ヘ附届ケ金危険請負口銭等総計七千九百四十弐磅十時令九辺耳、壱磅ニ付金五円拾壱銭ニテ交換金四万〇五百八十六円三十六銭七厘トナル、然ルニ器械ノ内先用ノ分ハ必ラス郵船
 - 第12巻 p.428 -ページ画像 
歟蒸気船ヲ要スル旨工師申立ルニ付、見込ヲ以テ増加シ書面ノ金高トス
右ヲ半分宛
  来ル四月十日六月十日両度ニ大倉組エ相渡ス事
                       (東京瓦斯局)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120050k-0002)
第12巻 p.428 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十年 月 日受三月廿一日出 御傭 野口吉平(印)
  (楠本)
 知事(印)    書記官(印)   出納課(印)
            (印)   庶務課(印)
瓦斯増築器械買取之為メ、瓦斯局傭教師「ペレゲレン」ヲ本月廿六日欧洲エ向出発為致度付ては、器械代金額並線路改定ニ付ペレゲレン差出之書冊及器械運搬方取扱ニ付大倉組と約定草案共別紙○上掲之通リ事務長ヨリ申出候ニ付取調候処、不都合之廉も無之候間左ニ御指令相成可然哉相伺候也
    御指令案
東府納
 書面伺之通聞届候事
  年 月              長官御名
                   (東京府庁回議用)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120050k-0003)
第12巻 p.428-429 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
    増瓦斯器械代金御下渡之義伺
一金弐万千八百円 三月廿二日伺済金四万三千円之内四月中金弐万五百円御下ケ残金弐万弐千五百円之内
  (下ケ附箋)
    伺高金四万三千円ハ英貨壱磅ニ付金五円拾壱銭ノ割ニテ英貨八千四百拾四磅八分余ナリ、然ル処四月中四千磅相渡残高概シテ四千四百拾五磅トシ、当分壱磅直段金四円九拾銭許ニ付書面之金高ニテ用弁仕候也
右は増瓦斯器械代金後渡約定之高ニ宛大倉組江六月十日相渡申度、英貨四千四百拾五磅六ケ月渡リ為換券買入之為メ其筋承合候処、即今直段別紙之通ニ而廉価と被存候間右取扱は第一国銀行江相託《(立脱)》シ買入候様仕度、尤英貨洋銀共価直日々変化御座候ニ付増減は追而可申上候間、書面之金額御下ケ渡被成下度、此段奉伺候也
  明治十年五月廿八日
               瓦斯局事務長
                 渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
                       (東京瓦斯局)

    英貨為換六ケ月後渡リ券買入目途
一英貨四千四百拾五磅ヲ買入ルトス
  洋銀壱枚ニ付英貨四シリング、壱ペンス半、トシテ壱磅ニ付洋銀四枚八ト四八四八
  四千四百拾五磅
   代洋銀弐万千四百零六枚零三九
 - 第12巻 p.429 -ページ画像 
  洋銀壱枚ニ付銀六拾匁七分トシテ
   此代金弐万千六百五拾五円七拾七銭六厘
   手数料 此千分之一
   金弐拾壱円六拾五銭五厘
 合計金弐万千六百七拾七円四十三銭壱厘
   英貨壱磅ニ付金四円九拾銭零九九五ニ当ル
                       (東京瓦斯局)


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120050k-0004)
第12巻 p.429 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
    増瓦斯ニ付新竈築造入費金伺
一金千三百円也    此度増費金
  外ニ金五百四拾円   元伺高
 合金千八百四拾円  竈築造費見積
右は増瓦斯入費之内金五百四拾円は、新築竈諸品代トシテ最前伺済之所、今般工師ペレゲレン申立ニ拠テ取調候所最前伺済入費目途ヨリ多分之増額ニ相成候得共、同人先般欧洲出張中実見致し候新様之竈築立候ニ付テは、保存モ宜敷且瓦斯製造上多少之焚夫ヲ省キ焚料ノ石炭ニ於テモ多少之分量ヲ減シ旁便益之築造ニ付、右新発明之竈ニ摸擬仕築造致度候間、地形其他共総テ相増其外摸様替等モ有之、曾向増費相成候得共後来之便益可相成ニ付書面之通増費御聞届ケ相成度、尤寒気相厭候工業ニ付着手仕入費之義は落成之上詳細上申仕候様致度、至急御允裁被成下書面之金額別途御下ケ相成度、此段上申仕候也
               瓦斯局事務長
  明治十年           渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
                     (東京瓦斯局)


瓦斯局書類 明治十年会計課(DK120050k-0005)
第12巻 p.429-430 ページ画像

瓦斯局書類  明治十年会計課     (東京府文庫所蔵)
  明治十年十月二日到着
一翰呈上仕候、陳は小子義今廿六日マルセール出発之仏邦船にて帰航可致積ニ御座候、多分十月十日頃迄には、横浜江到着可致目算ニ御座候、横山君ニは今月九日頃リパプール・ニユーヨルク・サンフランシスコ之道筋にて日本江御出発被成由伝承仕候、然れば我輩江御委任相成候瓦斯局事務之現況は既に同君より御承知相成候事と奉推察候、去七月十九日附之拙翰中ニ申上候数件之注文は万事都合よく捗取申候、此勢にては諸事完全候迄聊も故障出来申間敷と希望致居候、余は拝眉之節ニ譲リ先は御報知迄早々頓首
  千八百七拾七年八月十六日
                ボリユーニ於て
                    ヱツチ・ペレゲレン
  東京瓦斯局事務長
    渋沢栄一殿
        閣下
   本文 横山孫一郎帰朝云々之義大倉組本店ヘ問合候処、今日迄
 - 第12巻 p.430 -ページ画像 
帰着不仕由ニ御座候
                         (東京瓦斯局)


瓦斯局書類 自明治八年至同十一年会計課(DK120050k-0006)
第12巻 p.430 ページ画像

瓦斯局書類  自明治八年至同十一年会計課  (東京府文庫所蔵)
    記
兼て御注文相成候瓦斯器械勘定書英国より相廻候ニ付差出候処、当方ヨリ振込為換竜動ニて割引致利金受取候分取調候ニ原書中割引之日数明細無之候ニ付、当地ニ於テ相分兼候ニ付英国え申遣し日数明細書取寄候上更ニ可申出候間、此段預て御承知置被下度奉願候也
  十一年七月十七日            大倉組 印
    瓦斯局御中
                      (会議所瓦斯掛)

    先般増瓦斯器械欧洲ヨリ買上之為メ最前大倉組ヘ相渡シ候勘定明細書
一金弐万五百円也    明治十年四月十日御下金
  英国為替四千磅   洋銀壱弗ニ付四時令一片ノ四分ノ三
  此洋銀壱万九千六百九拾弐弗三拾銭八厘
            但シ壱弗ニ付六拾弐匁弐ト替
  此金弐万四百拾四円三拾五銭九厘
    外ニ
      金高千分ノ壱手数料
  此金弐拾円四拾壱銭四厘
合高金弐万四百三拾四円七拾七銭三厘
 差引残
   金六拾五円弐拾弐銭七厘
    〆        明治十年四月返納
一金弐万千八百円也    明治十年六月十一日御下金
一金五拾九円弐拾七銭八厘 同年同月十五日御下金
  合金弐万千八百五拾九円弐拾七銭八厘
  英国為替四千四百拾五磅 洋銀壱弗ニ付四時令壱片ノ四分壱
  此洋銀弐万千五百拾四弗ト七拾弐銭
              但シ壱弗ニ付六拾匁九ト替
  此金弐万千八百三拾七円四拾四銭壱厘
    外ニ
      金高千分ノ壱手数料
  此金弐拾壱円八拾三銭七厘
合高弐万千八百五拾九円弐拾七銭八厘
  〆
                      (東京瓦斯局)