デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.437-438(DK120052k) ページ画像

明治11年3月28日(1878年)

本局創業以来共有金ヨリ繰替支出セシ原費ノ消却ハ、家内引用瓦斯ノ利益ヲ以テ之ニ充ツルコトトセシガ、偶々府税ノ内ヲ以テ補助セル瓦斯街灯予算額ト実費トノ間ニ差引余金ヲ生ジタルニヨリ、之ヲ以テ財産目録ニ表レタル損失勘定ヲ塡補センコトヲ、是日栄一、事務長トシテ府知事楠本正隆ニ上申ス。然レドモ府庁其理由ヲ認メズシテ却下セリ。


■資料

瓦斯局書類 自明治十年至同十一年会計課(DK120052k-0001)
第12巻 p.437-438 ページ画像

瓦斯局書類  自明治十年至同十一年会計課   (東京府文庫所蔵)
明治十一年三月廿九日受三月卅日出   五等属 岡田信英(印)
(朱書)
 (工隆)   (印)    (印)出納課
 知事     書記官
        (印)    (印)庶務課
府税之内ヲ以致補助候瓦斯街灯点火費、昨十年中予算定額ト実費ト差引余贏金千九拾円九拾五銭弐厘ヲ以テ起業以来消耗セシ原費償還ニ相充度旨、別紙之通事務長上申之趣遂詮議候処、右府税ヲ以テ姑ク補来候は街灯費ニ限リ候儀、然ルヲ譬予算ト実費差引残余有之候共、敢テ原費マテヲ補塡スヘキハ至当之筋ニ有之間敷、且原費消却之儀ハ昨十年中家内引用瓦斯沽却利益金三千三百八拾余円ヲ以既ニ仕埋之計算ニ相成、尚今後漸々償還之途可相立候間、此度上申之趣御許容無之候テ可然哉ト存候、依之御指令按左ニ取調相伺候也
    御指令按
書面瓦斯局元資償還之儀ニ付損益勘定書相添委曲上申之趣、右瓦斯局経費之儀ハ最初渾テ共有金ヲ以テ支弁シ、尤街灯点火費ハ民費ニ賦課可致之処、当時未タ允当ノ賦課方ヲ得ス、然レトモ共有金ヲ以テ其費途ニ充ル時ハ漸々共有金ヲ消耗スルノミナラス、又元資償還之途モ難相立、不得止街灯点火費ニ限リ当分府庁ヨリ補助之為メ予算ヲシテ其額ヲ定メ一ケ年之目途トナシ、即チ実費ヲ弁給ス、故ニ昨年十月中家内引用瓦斯並テール沽却利益金三千三百八拾余円ハ元資償還ニ充リ、畢竟此償還之余力アルモ補助之然ラシムル所ニシテ、且逐年瓦斯沽却高モ其局ノ見込之通リ増殖シ必償了可相成、就てハ前条之通リニ付、予算高ト実費差引残金之分償却ニ不相充返納候様可取計候事
   年 月 日               長官
                     (東京府庁回議用)
 - 第12巻 p.438 -ページ画像 
    瓦斯街灯費之儀ニ付上申
東京瓦斯局街灯点火費之儀ニ付てハ、民費賦課方法御取設迄之処、府税之内ヲ以テ去十年三月一日ヨリ御支出相成候段同二月廿七日御達有之、其後尚街灯費供給方之儀ニ付同五月中委細相伺候処、瓦斯増築落成迄ハ予算金千百〇三円五拾九銭ヲ以テ一ケ月ノ費額トシ府税之内ヨリ可致支給ニ付、可成丈冗費節省ヲ要シ額外踰越不致様可取計旨同七月十九日御指令ニ付、乃チ昨年三月分より街灯費之定額トシテ右金員府税之内より受取可申筈之処、同月分ヨリ街灯費之内金トシテ五百三拾三円ツヽ月々受取置、猶街灯点火遣ヒ石炭代操替分都合両度ニ金三千百拾弐円六拾七銭三リ府税ヨリ受取、直ニ共有金ノ内ヘ戻入相成居リ候義ニ有之、然ル処今般当局従来之勘定組ヲ改正シ、総て洋式記簿方ニ拠リ其例則ヲ定メ計算相立候儀已ニ経御允裁候上ハ、先ツ本局ノ資産ト負債トノ貸借ヲ明瞭ニシ損益ノ多寡ヲ計較シ、前後建築之原費及ビ損失高共漸次償却ノ途ヲ相立候為メ、昨十年十二月三十一日ニ於テ決算候処、別紙総勘定之通リ共計金弐拾五万弐千弐百三十八円七拾七銭八リハ全ク府下共有金ヨリ借方ノ高ニシテ即チ負債ニ属シ、此内弐拾壱万三千五百三拾壱円三拾壱銭四リハ貸方ノ高ニシテ本局ノ資産ニ当リ、猶残る金三万八千七百〇七円四拾六銭三リハ則チ全ク損失高ニ有之、差向此損失高之口ヲ仕埋了テ然ル後、毎半季損益ノ総計中ヨリ清算シ得タル贏余ノ分ヲ以テ負債之口ヘ償還ニ充ルノ方法ニ趨カセ申度、就てハ前条街灯費予算金千百〇三円五拾九銭之定額兼て御指令之通昨三月分より同十二月ノ分迄、総計金壱万千〇三拾五円九拾銭之内、既ニ月々御渡之実費仕払高金五千百四拾四円九拾銭○壱厘ト石炭代操替分ノ金三千百拾弐円六拾七銭三リトヲ引去リ、残る金弐千七百七拾八円三拾弐銭六厘之高今般更ニ御下渡相成候様仕度、尤右之内金千六百八拾七円三拾七銭四リ去十年十月より十二月迄石炭代操替分トシテ共有金ヘ戻入ノ為メ直ニ上納可仕、尚残る金千〇九拾円〇九拾五銭弐リハ損失高ノ口ヘ仕埋候為メ是亦直ニ上納可仕ト存候間、右二タ口証書ヲ以テ受納ノ手続ニ致シ申度、左候得者去年中街灯費供給方之御指令ニ随ヒ委曲上申仕置候通リ、是迄此業ニ支消セシ総原費償却之方法ヨリ共有金保存之主意相立テ候儀ニ付、前文之次第速ニ御裁可被下候様致シ度、依之一躰之損害総勘定書並街灯費差引勘定書共相附シ此段上申仕候也
               瓦斯局事務長
                      (朱印)
  明治十一年三月廿八日     渋沢栄一 東京瓦斯局事務長印
    東京府知事 楠本正隆殿
                     (東京瓦斯局)
  ○別紙総勘定「明治十年十二月三十一日ニ於テ計算セシ東京瓦斯局ノ資産及ビ負償ノ貸借勘定書」「府下共有金ヨリ受取高勘定書」其他略ス。