デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
2款 東京府瓦斯局
■綱文

第12巻 p.438-441(DK120053k) ページ画像

明治11年8月6日(1878年)

是ヨリ先、本局新埋布瓦斯管ノ線路ヲ丸之内ニ延長シ漸次市街ヘ拡張スルノ計画ナリシガ、丸之内諸官衙ノ需用ハ望ミ少ナキ情況ナレバ、府庁ハ本
 - 第12巻 p.439 -ページ画像 
局ヲシテ線路ノ変更ヲナサシメ其線路ヲ再撰シ専ラ市街便宜ノ地ニ延長スベシト令ス。仍テ是日栄一、瓦斯局事務長トシテ細小ノ管ヲ以テ巨大ノ管ト埋替ヘ、増産瓦斯ヲ売捌クべキ見込ニツキ府知事楠本正隆ニ上申ス。


■資料

瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120053k-0001)
第12巻 p.439 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十一年七月十九日送達         出納課
                     庶務課
瓦斯増築模様替之儀今般御下命之旨趣ニ遵由シ、同局江可御達草案左ニ相伺候也
                        瓦斯局
明治九年四月中会議所建議ニ基キ、瓦斯ヲ増築シ線路ヲ丸之内ニ布設可致手続及候処、当今之情勢ヲ考フルニ、諸官庁其他予テ見込之通充分需用無之、然ルニ瓦斯之儀者前議之通リ可成需用之多キヲ要シ、追追元資之償還ニ相充ヘキハ勿論之義ニ候条、丸之内江設ヘキ線路ヲ転シ市街江取設候方却テ其需用も多ク一般之弁利ニ付、右線路方向相転シ、今後更ニ地理ノ良否ヲ量リ漸々布設シ、汎ク官民之需用ニ可相供積ニテ其設為之見込可申出、尤漸次ニ取広ケ候心得以テ初着手之工事ハ可成短線ニ可取調、此旨相達候事
                       長官


瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120053k-0002)
第12巻 p.439 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東京府文庫所蔵)
明治十一年八月廿日送達          出納課
                     庶務課
嘗テ御決議相成候瓦斯線路、方向ヲ転シ布設スヘキ見込可取調旨過日瓦斯局江御達ニ付、即先ヅ瓦斯局ヨリ京橋手前ニ至リ夫ヨリ白魚橋際迄之間、従前布列細小之管ヲ起堀シ、大管ヲ伏セ替之積取調、此鉄管類凡積金壱万八千八百七拾三円ヲ以テ欧洲江注文致度、尤右御裁可相成候ニ付而者、曩ニ伺済相成候数寄屋橋外ヨリ京橋マテ埋布スヘキ鉄管類、凡経費金弐千九百四拾円八拾九銭八厘ヲ以欧洲ヘ注文方之儀者御取消相成度旨、別紙之通事務長ヨリ上申之趣勘弁候処、初着手之工事ハ可成短線ニ取調旨御達も有之、至極沈著之取調ニ而不都合之儀モ無之候間、御裁可相成可然哉、費途之儀者共有金ヲ以テ別途支給可仕ト存候、依之御指令按左ニ相伺候也
    案
 (朱書)
割印
 丁二八九上申御指令案
 書面上申之趣聞届候事
  年 月 日               長官
丁二八八上申書御指令按
割印
 書面上申之趣聞届候条来着之上金員請取方出納課江可申出候事
  年 月 日               長官

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瓦斯局書類 明治九年乙会計課(DK120053k-0003)
第12巻 p.440-441 ページ画像

瓦斯局書類  明治九年乙会計課     (東府府文庫所蔵)
    瓦斯鉄管布列方之義ニ付設為之見込上申
瓦斯鉄管布設之義者過ル明治九年四月中会議所之建議ニヨリ丸之内江埋布スべキ御決議ニ候処、当今之情勢ニ而者充分需用可相成御見込モ無之ニ付、右線路之方向ヲ転ジ、更ニ市街ヘ布列候方却而需用モ多ク一般之便利可相成候間、今後地理之便否ヲ量リ漸々ニ取広ゲ、汎ク官民之需用ニ可相供積リヲ以テ其設為之見込可申上、尤初着手之工事ハ可成短線ニ可取調旨御達之趣敬承仕候
右者最初建議之通リ瓦斯元ヲ弐百七拾万立方尺ニ増築シ、之ヲ売却仕候ニハ迚モ市中ノミニテハ相捌ケ不申候故、丸之内江其線路ヲ布列点灯致シ、諸官省其他江モ引用候様相成候ハヽ多分売捌ケ可申見込ニ而御決議ニ相成、略其手続ニ取掛リ候処、目今之情勢ハ兼而之見込通リ官庁其外トモ充分需用無之ト御見据相成候上ハ、今更鉄管ヲ埋布候モ実以テ無詮事ニ御坐候
然リト云トモ瓦斯局ニ於而之要望ハ、既ニ其増築ヲ決行候上ハ追々瓦斯需用之者増殖スルニアラザレバ之ヲ売却スルニ由ナク、随而元資償還之途モ不相立訳ニ付、不得已丸之内ヘ布列スべキ線路ヲ転改シテ専ラ市街之方江布設シ、追而弐百七拾万立方尺之瓦斯需用之途ヲ相開キ候ヨリ外到シ方無之事ニ有之候
目下市中ノ情勢ニ付勘考仕候処ニ而ハ、家内引用ヲ要スヘキ市街ハ先ツ第一大区及ビ第二大区、夫ヨリ茂五大区之間ニ可有之、然ルニ瓦斯局より東北之方万世橋浅草迄之街道本管之分是迄埋込有之候モノハ、惣体細小ニシテ瓦斯之圧力弱キカ故ニ、充分各家引用之望ニ応シ難キ勢ヒニ候
就而者此細小之管ヲ以テ巨大之管ト埋替置候ハヽ、其大通リ筋ヨリ左右前後之街衢ヘ引用ヲ要スル時ハ、之レニ枝管ヲ接シテ直ニ何方江モ分引可相成候間、今後充分売却之都合ニ於而最モ可然ト被存候、乍併只今一時ニ右本管之分ヲ埋替候ニハ及ビ申間敷、先ツ差向候処ハ瓦斯局ヨリ京橋手前ニ至リ夫より白魚橋際迄之間従前布列之五六「インチ」ノ小管ヲ堀起シ、其跡ヘ本局構内之分ハ八九「インチ」ヲ埋メ、又大通リ筋之分ハ九「インチ」十「インチ」及ヒ十二「インチ」之大管ヲ伏セ替候儀ヲ以テ、初着手之工事ト致シ置可申候
此他之場所者、追而瓦斯需用之者増殖スルニ随ヒ漸次先々ニト支管ヲ接続シテ其需用ニ応シ候方便宜ニ可有之候ニ付、右堀揚タル五六「インチ」ノ鉄管都合千百本程ハ後日分引之用ニ備ヘ置、且其需用ノ増殖ニ従ヒ接続ノ支管ヲモ購入シ便宜布列候様致シ候ハヽ、将来工業之運ビ方並線路設為之模様ニ於而差支之義ハ有之間敷ト存候
右者瓦斯管布列之順序御下問ニ付、工師ペレゲレン氏江モ篤ト申談候上即今之着手ヨリ向来之目途迄概略具申仕候条、宜敷御詮議之上奉仰御高裁候也
                 瓦斯局事務長
  明治十一年八月六日         渋沢栄一
    東京府知事 楠本正隆殿
 - 第12巻 p.441 -ページ画像 
追而本文見込之趣御決議ニ相成候ハヽ、夫ガ為メ差当リ需用之瓦斯鉄管類別紙ニ委細上申仕候通リ早速欧洲ヘ注文申遣シ、来着次第為取掛候様仕度、右者是迄線路未定ヨリ工事之運ビ追々延引相成候次第ニ付至急何分之御指揮被下度此段申添候也
                        (東京瓦斯局)
  ○右別紙瓦斯鉄管書類略ス。
  ○右本文中ニ記セル瓦斯管新埋布線路変更ニ関スル府庁ノ達見エズ。
  ○当初計画見込ノ新埋布線路ニ就イテハ第一款「東京会議所瓦斯掛」明治九年四月十四日ノ条(第三四一頁)及ビ本款明治九年十月二十四日ノ条(第四〇五頁)参照。