デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
21節 瓦斯
3款 東京瓦斯株式会社
■綱文

第12巻 p.613-630(DK120076k) ページ画像

明治18年10月1日(1885年)

是ヨリ先、栄一及ビ藤本精一等発起人ヲ募リ東京瓦斯局ノ払下ゲニ応ゼントシ、両名払受人総代トナリテ、七月三十一日払下願書ヲ東京府知事渡辺洪基ニ提出ス。同八月二十八日再願シ許サル。仍テ是日瓦斯局引渡ノ授受ヲ完了シ東京瓦斯会社成立シ、営業ヲ開始ス。栄一委員長タリ。翌年二月当会社資本金八万円ヲ増加シ三十五万円トナス。


■資料

青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第八七―八八頁 〔明治三三年六月〕(DK120076k-0001)
第12巻 p.613 ページ画像

青淵先生六十年史(再版)  第二巻・第八七―八八頁〔明治三三年六月〕
 ○第二十八章 瓦斯業
    第三節 東京瓦斯会社
東京瓦斯会社ハ明治十八年九月先生及藤本精一払受人総代トナリ東京瓦斯局ヲ払受ケ、翌十月一日其授受ヲ了シタルニ依リテ成立ヲ見タルモノナリ
是ヨリ先キ十八年七月該局払下ノ公告ニ基キ、先生及藤本精一其友人ヲ瓦斯局ニ会シ、同盟此業ヲ継カンコトヲ謀ル、後チ衆議一決両人ヲ挙テ払受総代トナシ、併セテ会社組織ニ関スル一切ノ庶務ヲモ委托セリ、又同八月同盟者ヲ第一国立銀行ニ会シ、其払受代金ヲ弐拾四万円授受ノ期日ヲ十月一日トシ、社名ヲ東京瓦斯会社トシ、資本金ヲ弐拾七万円トスヘキヲ決議シ、猶ホ両人ヲ挙テ本社創立委員トナス、同九月瓦斯局払受ノ許可ヲ受ケ玆ニ創業総会ヲ第一国立銀行ニ開キ会社ノ定款ヲ議定シ、委員ニ先生・藤本精一・須藤時一郎・浅野総一郎・大倉喜八郎ノ五人ヲ挙ケ更ニ先生ヲ其長ニ推ス、同十月一日瓦斯局ノ授受ヲ了ス○下略


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0002)
第12巻 p.613-615 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課  (東京府文庫所蔵)
(別筆)
願書写
    瓦斯局払下願
              弐千四百口ノ内
一金弐拾壱万四千円      弐千百四拾口
  但明治十八年八月、同十九年一月七月、同二十年一月七月、同二十一年一月ノ六回ニ分チ一回ニ付金――――ツヽ及第二回目ヨリ未納金ニ対シ壱ケ年七分ノ利子ヲ付シ上納
一金――――呼価以上増金一口ニ付――――ノ割
  但御払下ノ際一時上納
 右ハ今般瓦斯局御払下ニ付書面代価ヲ以テ引受申度、尤右ノ外総テ御払下手続書ノ趣遵守可仕候間御許可被成下度、此段奉願候也
  明治十八年七月三十一日
 - 第12巻 p.614 -ページ画像 
            本所区本所緑町四丁目三拾五番地
                    藤本精一(印)
            深川区福住町三番地
                    渋沢栄一(印)
    東京府知事 渡辺洪基殿

副書写
別紙瓦斯局御払下願書私共望人一同之総代トシテ上申仕候ニ付テハ何卒至急御詮議ノ上御許可被成下度候、尤右御許可相成候上ハ一同集会ノ上篤ト申合セ直ニ瓦斯会社ヲ組織シ、定款及営業規則等ヲモ取調更ニ御准允ヲ得テ工業永続仕度見込ニ御坐候、就テハ他ヨリ同様御払下願差出候者ニテモ私共一同企図仕候会社之組織ニ同意ナルニ於テハ加入差支無之候得共、若シ不同意ノ者ハ加入出来兼候訳ニ付、万一右様之望人有之候ハヽ此御払下ヘ加名之義ハ御取除キ被下度候、此段副願仕候也
            本所区本所緑町四丁目三拾五番地
  明治十八年七月三十一日     藤本精一(印)
            深川区福住町三番地
                  渋沢栄一(印)
    東京府知事 渡辺洪基殿

    東京瓦斯局払下人名書
一金弐拾壱万四千円
      内訳

   金額    口数     住所              姓名
 金弐万五千円 弐百五拾口 深川区福住町三番地        渋沢栄一
 金弐万円   弐百口   本所区本所緑町四丁目三拾五番地  藤本精一
 金壱万三千円 百三拾口  日本橋区本材木町壱丁目七番地   渡辺治右衛門
 金壱万弐千円 百弐拾口  北豊島郡金杉村三百六拾九番地   今村清之助
 金壱万円   百口    日本橋区浜町壱丁目壱番地     藤本文策
 金壱万円   百口    横浜元浜町四丁目壱番地      朝田又七
 金壱万円   百口    深川区清住町壱番地        浅野惣一郎
 金壱万円   百口    下谷区下谷茅町壱丁目拾壱番地   岩崎久弥
 金壱万円   百口    日本橋区小網町四丁目       安田善次郎
 金七千円   七拾口   京橋区銀座弐丁目七番地      大倉喜八郎
 金五千円   五拾口   下谷区車坂町九拾三番地      吉田知義
 金五千円   五拾口   京橋区五郎兵衛町三番地      千葉勝五郎
 金三千円   三拾口   牛込区神楽町弐丁目拾四番地    丸山八十
 金三千円   三拾口   浅草区北富坂町拾九番地      須藤時一郎
 金三千円   三拾口   京橋区大鋸町六番地        喜谷市郎右衛門
 金三千円   三拾口   牛込区白銀町弐拾九番地      渡辺温
 金三千円   三拾口   荏原郡北品川宿六拾五番地     鳥山貞利
 金三千円   三拾口   京橋区南伝馬町壱丁目拾七番地   山中隣之助
 金三千円   三拾口   同区南新堀壱丁目四番地      中沢彦吉
 - 第12巻 p.615 -ページ画像 
 金三千円   三拾口   同区南伝馬町三丁目八番地     河合万五郎
 金三千円   三拾口   日本橋区兜町五番地        三井物産会社
 金三千円   三拾口   本所区千年町四拾六番地《(歳)》  川島八右衛門
 金三千円   三拾口   小石川区関口台町五拾八番地    前島弥
 金弐千円   弐拾口   小石川区関口台町五拾八番地    前島密
 金弐千円   弐拾口   日本橋区本両替町九番地      佐中冶助
 金弐千円   弐拾口   赤坂区赤坂田町弐丁目拾壱番地   苗村又左衛門
 金弐千円   弐拾口   芝区芝西応寺町八番地       鶴岡金兵衛
 金弐千円   弐拾口   野州足利郡小俣村八拾番地     木村勇三
 金弐千円   弐拾口   神田区同明町拾壱番地       吉田幸作
 金弐千円   弐拾口   日本橋区兜町三番地        平松甚四郎
 金弐千円   弐拾口   神田区橋本町弐丁目拾三番地    大野利右衛門
 金弐千円   弐拾口   荏原郡北品川宿御殿山四百拾弐番地 益田孝
 金弐千円   弐拾口   京橋区加賀町九番地        岡部平兵衛
 金弐千円   弐拾口   日本橋区大伝馬町弐丁目拾壱番地  高島勘六
 金弐千円   弐拾口   同区南茅場町拾弐番地       芦田順三郎
 金千五百円  拾五口   麻布区飯倉町弐丁目拾六番地    笹井庄兵衛
 金千五百円  拾五口   浅草区下平右衛門町弐拾三番地   楳川忠兵衛
 金千円    拾口    日本橋区高砂町三番地       大野利左衛門
 金千円    拾口    北豊島郡下石神井村弐百拾壱番地  本橋勝右衛門
 金千円    拾口    芝区下高輪町六番地        渡辺又兵衛
 金千円    拾口    北豊島郡金杉村四百拾弐番地    益田克徳
 金千円    拾口    神田区神田佐久間町四丁目壱番地  吉川長兵衛
 金千円    拾口    京橋区八丁堀仲町八番地      鳥海清左衛門
 金千円    拾口    北豊島郡千住南組七百九拾四番地  川村治兵衛
 金千円    拾口    芝区南佐久間町壱丁目壱番地    沢田甚五左衛門
 金千円    拾口    日本橋区浜町壱丁目三番地     佐羽吉右衛門
 金千円    拾口    麻布区麻布六本木町拾弐番地    柴田清右衛門
 金千円    拾口    同区飯倉町弐丁目拾四番地     深山小兵衛
 金千円    拾口    同区同町拾五番地         村田作兵衛
 金千円    拾口    本郷区本郷三丁目四番地      浅野彦兵衛
 金千円    拾口    荏原郡等々力村弐千弐百拾八番地  豊田周作
 金千円    拾口    京橋区尾張町弐丁目拾五番地    児島喜三郎
 金千円    拾口    芝区三田壱丁目四拾六番地     谷元道之
 金千円    拾口    荏原郡大井村百三拾番地      平林九平衛

  ○右明治十八年七月三十一日附願書及副書ハ更ニ改メテ同年八月二十八日附ヲ以テ願出デ認許サレタルニヨリ、不用ニ属シ下戻サレタキ旨口頭ニテ申出デ、九月二十二日許サル。


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0003)
第12巻 p.615-616 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
    瓦斯局払下願
一金弐拾四万円      弐千四百口
  但明治十八年八月、同十九年一月七月、同二十年一月七月、同二十一年一月ノ六回ニ分チ一回ニ付金四万円ツヽ及第二回目ヨリ
 - 第12巻 p.616 -ページ画像 
未納金ニ対シ壱ケ年七分ノ利子ヲ付シ上納
右者今般瓦斯局御払下ニ付書面代価ヲ以テ引受申度、尤右ノ外総テ御払下手続書ノ趣遵守可仕候間御許可被成下度、此段奉願候也
             本所区本所緑町四丁目卅五番地
  明治十八年八月廿八日        藤本精一(印)
             深川区深川福住町四番地
                    渋沢栄一
    東京府知事 渡辺洪基殿

    副願書
別紙瓦斯局御払下願書私共望人一同ノ総代トシテ上申仕候ニ付テハ何卒至急御詮議ノ上御許可被成下度候、尤右御許可相成候上ハ一同集会ノ上篤ト申合セ直ニ瓦斯会社ヲ組織シ、定款及ヒ営業規則等ヲモ取調更ニ御准允ヲ得テ工業永続仕度見込ニ御坐候、就テハ他ヨリ同様御払下願差出候者ニテモ私共一同企図仕候会社ノ組織ニ同意ナルニ於テハ加入差支無之候得共、若シ不同意ノ者ハ加入出来兼候訳ニ付、万一右様ノ望人有之候ハヽ此御払下ヘ加名ノ義ハ御取除ヲ被下度候、此段副願仕候也
             本所区本所緑町四丁目卅五番地
  明治十八年八月廿八日        藤本精一(印)
             深川区深川福住町四番地
                    渋沢栄一
    東京府知事 渡辺洪基殿

今般拙者共同盟申合瓦斯局御払下出願仕候ニ付而は、瓦斯局御払下手続第九条ニ依リ申合セ買受人名並出金高上申可致之処、拙者共同盟協議候は其御払下手続第一条瓦斯局御払下代金弐拾四万円、第五条家内小器械代金八千円、第七条敷地払下代金六千弐百九拾壱円、第六条営業用貯蓄品代金並営業資金トシテ金壱万五千七百九円、総計金弐拾七万円出金之協議ニ御座候間、第一条御払下代金弐拾四万円ニ対スル内訳株数区別致兼候間右内訳書は相添不申候、此段副申仕候也
             本所区緑町四丁目三拾五番地
  明治十八年九月三日
                     藤本精一(印)
    東京府知事 渡辺洪基殿


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0004)
第12巻 p.616-617 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
明治十八年九月十九日出    二等属 岡田信英(印)
  (洪基)
 知事(印)  書記官(印)  会計課(印)(印)
瓦斯局払下ケ之儀望人一同之総代トシテ渋沢栄一外一銘ヨリ別紙○上掲之通リ出願ニ付御許可相成可然哉、就ては瓦斯会社組織之上定款差出御認可ヲ請ヘキ旨御指令相成度、且納金其他之事ニ係ル命令書は此際御下附相成可然哉、則御指命按左ニ相伺候
会社定款差出候ハヽ調査御認可之際瓦斯営業ニ係ル命令書御下附相成可然哉
 - 第12巻 p.617 -ページ画像 
定款御認許且今回上納可致払下代金納済之上該局引渡方ニ着手可然哉右之順序ヲ以テ取扱可然哉、此段相伺候也
(朱書)
九月廿一日(印) 御指令案
 書面願之趣聞届候条別冊命令書之通相心得請書可差出事

  但会社組織之儀ハ更ニ定款ヲ作リ当庁ノ認可ヲ請クヘキ儀ト心得ヘシ
  年 月 日                知事
  ○右認許指令書第一九四六一号ヲ以テ明治十八年九月二十一日下附サル。


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0005)
第12巻 p.617-619 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
    御請書
    命令条目
芝区浜崎町三番地四番地ニ設置セル瓦斯局地所建物諸器械埋布管共払受人総代深川区深川福住町四番地渋沢栄一、本所区本所緑町四丁目三十五番地藤本精一ヘ払下クルニ付、命令スル所ノ条目左ノ如シ
    第一条
瓦斯局敷地(三四番地)建物諸器械埋布管共別紙品目ノ通代価金弐拾四万円ヲ以テ払下クルニ付、左ノ割合ニ分割シ其期限通リ無相違府庁ヘ上納スヘシ
  金四万円   払下許可之際上納
  金四万円   明治十九年一月二十五日限リ利子金四千六百六拾六円六拾六銭七厘相添上納
  金四万円   同年七月二十五日限リ利子金五千六百円相添上納
  金四万円   同二十年一月二十五日限リ利子金四千弐百円相添上納
  金四万円   同 年七月二十五日限リ利子金弐千八百円相添上納
  金四万円   同二十一年一月二十五日限リ利子金千四百円相添上納
    第二条
前条ノ如ク定ムト雖払下人ノ都合ニヨリ其納期前ニ納金ヲナストキハ其納金額ノ割合ニ従ヒ利子ヲ減却スヘシ
    第三条
家内引用小器械類ハ代価金八千円ヲ以テ払下クルニ付明治二十一年七月二十五日迄ニ上納スヘシ
    第四条
瓦斯局敷地ノ内(三番地)官有地四千百九拾四坪弐勺此代価金六千弐百九拾壱円三銭――ヲ以テ払下クルニ付、其十分ノ一ニ当ル金六百弐拾九円拾銭三厘ハ払下許可ノ翌日上納致シ、残金五千六百六拾壱円九拾弐銭七厘ハ払下許可ノ日ヨリ日数三十日以内ニ上納スヘシ
    第五条
現在ノ石炭及「タール」「コークス」「レトルト」耐火煉化石其他修繕用物品類ノ代価払渡ノ際現在品ニ応シ相当代金ハ瓦斯局引渡ノ際即納スヘシ
    第六条
瓦斯局引渡前ニ属スル家内引用瓦斯代金ハ払受人ニ於テ取集メ府庁ヘ上納スヘシ
    第七条
第一条ノ金額完納ニ至ルマテハ同条払下ニ係ル建物敷地諸器械共悉皆
 - 第12巻 p.618 -ページ画像 
抵当トシテ府庁ヘ差入置クヘシ、但地所家屋等ニ係ル一切ノ義務ハ瓦斯局請渡ノ月ヨリ払受人ニ於テ負担スヘシ
    第八条
前条ノ金額完納ニ至ルマテハ瓦斯局全体ノ摸様ヲ変更シ又ハ重立タル器械ノ減却等ハ其時々府庁ノ許可ヲ受クヘシ
    第九条
第七条ニ掲クル抵当ノ建物器械等焼亡或ハ毀損紛失等ノ事アリト雖右ニ拘ハラス払下代金ハ定メノ通リ完納スヘシ
    第十条
第一条第三条第四条ノ金員完納ニ至ル迄ハ府庁ヨリ臨時監査員ヲ派遣シ、営業ノ実況及抵当現品等ヲ監査スヘシ
    第十一条
前各条ノ金額完納ニ至ラサル中万一営業ヲ廃停セント欲スルトキハ未納ノ金額ヲ一時ニ即納スヘシ
    第十二条
此命令条目ニ背戻スルトキハ払下ノ地所建物諸器械及第三条家内引用小器械等ハ府庁ヘ引揚クヘシ、此場合ニ於テハ第一条ノ既納金即チ瓦斯局敷地(三四番地)建物諸器械埋布管等ノ代金ハ其借用料ニ充テ之ヲ返付セス、第四条敷地ニ係ル既納金ハ之ヲ返付シ其地《(他)》ハ当庁ヘ返納セシムヘシ、但本条ノ場合ニ至リ紛失及破損品等アルトキハ当庁ニ於テ見積リタル代価ヲ弁償セシムヘシ
右之条々遵守可致事
  明治十八年九月二十一日 東京府知事 渡辺洪基
右御命令之趣旨堅ク相守可申、万一相戻候節ハ如何様御処分相成候共決シテ違背仕間敷、依テ御請仕候也
            東京瓦斯局払受人総代
              本所区本所緑町四丁目三十五番地
  明治十八年九月二十一日       藤本精一(印)
            同
              深川区深川福住町四番地
                    渋沢栄一
    東京府知事 渡辺洪基殿
  ○右命令条項ニツイテハ「東京府日誌 巻之七一 明治十八年九月二十一日」ニモ記載アリ。
  ○東京瓦斯局払下代価ヲ左ニ記ス。
   一、建物器械埋布管及ビ敷地(但府有地三、四二三坪)
                       二四〇、〇〇〇円
   一、右利子(年七分ノ割)         一八、六六六円六六七
      内訳 第二回年賦金分         四、六六六円六六七
         第三回 〃           五、六〇〇円〇〇〇
         第四回 〃           四、二〇〇円〇〇〇
         第五回 〃           二、八〇〇円〇〇〇
         第六回 〃           一、四〇〇円〇〇〇
   一、瓦斯局敷地ノ内官有地(四、一九四・二坪)
                         六、二九一円〇〇〇
   一、家内引用小器械類
 - 第12巻 p.619 -ページ画像 
                         八、〇〇〇円〇〇〇
     合計                二七二、九五七円六六七


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0006)
第12巻 p.619 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
    瓦斯局御引渡ニ付御届
一瓦斯局御引渡書目ノ事
  一瓦斯局財産調書
  一蓄気漕瓦斯在高調書
  一各家瓦斯験容器調査簿
  一石炭在高調書
  一コーク、タール在高調書
  一修繕物品在高調書
  一家内引用瓦斯小器械在高調書
以上ノ調書ヲ以テ瓦斯局引渡手続ニ依リ瓦斯局全部ノ財産ヲ瓦斯局長渋沢栄一殿ヨリ引渡相成正ニ請取申候、此段御届仕候也
                    東京瓦斯局払受人総代
                      深川区清住町壱番地
  明治十八年十月一日                   浅野惣一郎(印)
                    浅草区北富坂町拾九番地
                              須藤時一郎(印)
    東京府知事 渡辺洪基殿

    東京瓦斯財産調書 ○略ス
前書之通東京瓦斯局引渡手続ニ依リ引渡候地
                  元東京瓦斯局長
                     渋沢栄一
  明治十八年十月一日   引渡人 代理 小林桂(印)
              引受人    須藤時一郎(印)
                     浅野総一郎(印)
                     東京府二等属
              立会人    岡田信英(印)
                  東京府七等属
                     首藤鎬之助(印)


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0007)
第12巻 p.619-620 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
    御請書
    命令書
                瓦斯局払受人総代
                      渋沢栄一
                      藤本精一
瓦斯営業上主管タル警視庁ノ取締ヲ受クヘキモノヽ外当庁ニ於テ命令スル所左ノ如シ
第一条 従前当庁ニ属スル所ノ瓦斯局ノ事業ヲ継続シ誠実ニ其事務ニ従事スヘシ
 - 第12巻 p.620 -ページ画像 
第二条 新タニ瓦斯管ヲ道路橋梁河渠ニ布設シ、又ハ従前ノ位置ヲ変更シ若クハ伸縮セントスルトキハ、仕様書ニ絵図面ヲ添ヘ当庁ニ願出許可ヲ請フヘシ
第三条 道路橋梁河渠ニ布設スル瓦斯管ヲ修繕セントスルトキハ、着手二日以前当庁ニ届出落成ノ上検査ヲ受クヘシ
  但瓦斯漏洩若クハ輸送方ニ障害ヲ生シ至急修繕ヲ要スルトキハ、着手ノ上届出ルコトヲ得ヘシ
第四条 第二条第三条ノ場合ニ於テハ道路橋梁河渠ヲ原形ニ復シ当庁ノ撿査ヲ受クヘシ、若シ其仕様原形ニ異ナリト認ムルトキハ、之ヲ改修セシム、右撿査後ト雖其工事ノ為メ原形ヲ損スルニ至リタル時ハ直ニ修繕シ、本庁ヘ届出ヘシ
  但時宜ニ依リ当庁ニ於テ工事ヲ施行シ其費用ヲ支弁セシムルコトアルヘシ
第五条 当庁ニ於テ道路橋梁河渠水道等ノ新設改造又ハ修繕ヲ要スルトキハ、其工事ニ支障アリト認ムル所ノ瓦斯管灯基等ハ払受人ニ命シテ之ヲ撤除セシム、落成ニ至リ原状ニ復スル費用ハ払受人ノ負担トス
 前項ノ場合ニ当リ営業ニ損失アルモ当庁ハ之ヲ償ハサルヘシ
第六条 瓦斯代価ヲ増減セントスルトキハ其理由及計算ヲ具記シ当庁ニ差出シ、認可ヲ請フヘシ
第七条 此命令書ニ掲クル条項ニ違背シ当庁ノ督促ニ応セサルトキハ其要旨ヲ遂ルニ至ルマテ営業ヲ停止スルコトアルヘシ
第八条 此命令書ニ掲クル条件ノ外当庁ニ於テ瓦斯事業ニ関シ公達シタル諸件及将来定ムル所ノ諸件ハ総テ之ヲ遵守スヘシ
  明治十八年十月一日   東京府知事 渡辺洪基
右御命令之趣旨堅ク相守可申万一相戻候節ハ如何様御処分相成候共決シテ違背仕間敷、依テ御請仕候也
          瓦斯局払受人総代
            本所区緑町四丁目三十五番地
  明治十八年十月一日         藤本精一(印)
          同
            深川区福住町四番地
                    渋沢栄一
    東京府知事 渡辺洪基殿
  ○右命令書ハ「東京府日誌 巻之七二 明治十八年十月一日」ニモ記載アリ。


瓦斯局書類 払下ゲ 明治十八年会計課(DK120076k-0008)
第12巻 p.620-621 ページ画像

瓦斯局書類 払下ゲ  明治十八年会計課 (東京府文庫所蔵)
印紙(印) 諸器械物品書入質証
今般東京瓦斯局建物及所属地諸器械物品埋布管共御払下ニ相成候ニ付別紙差入置候地所家屋書入証書面之金員完納ニ至ル迄ハ、別冊調書之通器械諸物品ヲモ併テ御庁ヘ抵当トシテ差入候処実正也、然ル上ハ万一納期ノ通リ上納相滞候節ハ明治十八年九月廿一日附御払下御命令書第十二条ニ拠リ御処分相成候トモ決シテ異存無之候、為後日書入質証仍テ如件
 - 第12巻 p.621 -ページ画像 
                東京瓦斯会社
  明治十九年一月廿日        委員
                    須藤時一郎(印)
                   委員長
                    渋沢栄一(印)
    東京府知事 渡辺洪基殿
(朱書)
 別紙諸器械物品調書写ヲ玆ニ綴ラス


東京瓦斯会社定款 明治一八年(DK120076k-0009)
第12巻 p.621-627 ページ画像

東京瓦斯会社定款  明治一八年 (東京瓦斯株式会社所蔵)
  東京瓦斯会社定款(明治十八年十二月十六日許可)
東京瓦斯会社ヲ創立スルニ付、其株主ノ衆議ヲ以テ決定スル所ノ定款ハ左ノ如シ
    第一章 総則
第一条 当会社ノ名称ハ東京瓦斯会社ト称シ、芝区浜崎町三番地ヲ以テ本社ノ位置トナスヘシ
第二条 当会社ノ営業年限ハ明治十八年十月一日ヨリ起リ満三十年トス、但シ株主総会ノ決議ニ依リ営業年限ノ延期ヲ請願スルヲ得ヘシ
第三条 当会社ハ有限責任トシ、負債弁償ノ為メニ株主ノ負担スヘキ義務ハ株金ニ止ルモノトス
第四条 当会社ノ営業ハ東京府内市街及家屋ニ引用スル所ノ瓦斯ヲ製造シ之ヲ売却スルニ在リ、但引用家ノ請求ニ依テ枝管灯器等ヲモ製作スルコトアルヘシ
第五条 当会社ハ前項ニ掲クル事項ヲ本務トナスカ故ニ、其工業ニ必要ナル石炭及薬品灯器管類等ヲ買入レ瓦斯及コークス、タール等ヲ売却スルノ外、他ノ売買事務ニ関与セサルハ勿論一切目的外ノ事業ニ関係スヘカラス
第六条 当会社ニ対シ管轄庁ヨリ命令セラレタル条項ハ堅ク之ヲ遵奉スヘシ
第七条 当会社ノ業務ハ都テ委員ヘ委任シ、管轄庁ノ命令ト此定款ニ依リ処弁セシムヘシ
    第二章 資本金ノ事
第八条 当会社ノ資本金ハ弐拾七万円ト定メ壱株ヲ百円トナシ総計弐千七百株ヲ内国人民ヨリ募集スヘシ、但営業ノ都合ニヨリ株主ノ衆議ヲ以テ此株高ヲ増減スルヲ得ヘシ
第九条 此株金ハ各其引受高ヲ委員ノ指定スル期限ニ於テ入金スヘシ而シテ其時日ハ必ス三十日前ニ通知スヘシ
第十条 株主第一回ノ払込ヲ為シタルトキハ当会社ヨリ仮株券ヲ交附シ、第二回以後ハ其金額ヲ右仮株券ニ記入シ委員及主任者之レニ鈐印スヘシ、但最終ノ入金ヲ為シタルトキハ本株券ト交換スヘシ
第十一条 株主モシ此払込金ヲ怠ルトキハ其金高ニ対シ一日百円ニ付金五銭ノ延滞日歩利息ヲ徴収スヘシ、而シテ此延滞日数六十日以上ニ及フ時ハ当会社ニ於テ此株式ヲ売却シ、其買受人ヲシテ補欠
 - 第12巻 p.622 -ページ画像 
員タラシムヘシ、但此場合ニ於テハ売却ニ係ル諸費及延滞日歩利息ヲ計算シ、不足アレハ原株主ヨリ徴収シ余金アラハ之ヲ還付スヘシ
    第三章 委員ノ事
第十二条 当会社株主ノ投票ヲ以テ三十株以上ヲ所有スル株主中ヨリ人員五名ヲ選挙シ、之レヲ当会社ノ委員ト為スヘシ
第十三条 委員ハ同僚中ノ互選ヲ以テ其長一名ヲ選定スヘシ
第十四条 委員ハ其会議ノ議決ヲ以テ当会社全体ノ事ヲ総理スルノ権アルヘシ、故ニ会社ノ業務ヲ整理スルニ於テハ株主ニ対シテ其責ニ任スヘシ
第十五条 委員ハ会社営業ノ都合ニヨリテハ他ニ向テ負債ヲ起スコトヲ得ヘシト雖モ、其証書ハ必ス委員一同之レニ連署スヘキモノトス
第十六条 委員ハ少クモ毎月二回当会社ニ於テ其会議ヲ開キ会社一切ノ事務ヲ処弁スヘシ、但其議長ハ委員長之レニ任スヘシ
第十七条 委員ハ其会議ノ議決ヲ以テ当会社ノ支配人技術長其他一切ノ傭員ヲ任免黜陟シ、及其給料旅費賞与金ノ配付等ヲ定ムルノ権アルヘシ
第十八条 委員ハ其会議ノ議決ヲ以テ当会社ノ営業ニ関スル諸規則ヲ制定施行スルヲ得ヘシ、但此諸規則ハ管轄庁ノ命令及此定款ノ要旨ニ対シ毫モ抵触矛盾スヘカラス
第十九条 委員ハ其同僚中ノ一名ヲ以テ検査掛ト為シ、当会社営業ノ景況及金銭物品ノ出納等一切ヲ点検セシムヘシ
第二十条 委員ハ上任ノ日ニ当リ所持ノ株式三十個ノ券状ヲ当会社ヘ預ケ置クヘシ、当会社ハ之レヲ格護シ其券状ノ保護預証書ニ禁受授ノ印ヲ押シ之レヲ渡スヘシ
第二十一条 委員ノ任期ハ二ケ年トシ、三ケ年目ヨリ株主総会ノ投票ヲ以テ其中二名宛ヲ抽籤法ニ拠テ順次更代セシムルモノトス、但再選挙ヲ得タルモノハ重任スルヲ得ヘシ
第二十二条 委員中モシ不時ノ欠員アルトキハ委員ハ株主臨時総会ヲ催シテ其代任ヲ選挙セシムヘシ、但時宜ニ依テハ委員同僚中ノ衆議ヲ以テ之レカ補欠員ヲ選テ本員ノ年限丈ケヲ補塡セシムルヲ得ヘシ
第二十三条 委員ハ其長又ハ同僚中ニ職任不適当ノ行為アリト認ムルトキハ株主臨時総会ヲ催シ、三分ノ二以上ノ多数説ニ従ヒ之レヲ退職セシムルヲ得ヘシ、但此場合ニ於テハ其行為不適当ノ理由ヲ株主ニ証明スヘシ
第二十四条 委員ノ勤務ニ対スル報酬ハ第五十二条ノ賞与金ノ内ヲ以テ之レヲ仕払フヘシ
    第四章 傭員ノ事
第二十五条 当会社傭員ノ職名ハ左ノ如シ
    支配人
    技術長
    書記
 - 第12巻 p.623 -ページ画像 
    技術方
    会計方
    物品掛
  但書記以下ノ傭員ハ便宜他ノ課ヲ兼務代任セシムルコトアルヘシ
第二十六条 支配人ハ当会社ノ庶務一切ヲ担当シ諸傭員ヲ督励シテ業務ヲ暢達整頓スルノ責ニ任スヘシ
第二十七条 支配人ハ常ニ当会社ノ会計ニ注意シ、簿記計算及物品出納等ニ於テハ殊ニ之レヲ調理スルコトヲ勉ムヘシ
第二十八条 支配人ハ会社営業ノ為メタリト云ヘトモ他ヨリ借用金ヲ為スヲ得ス
第二十九条 技術長ハ当会社ノ工務一切ヲ担当シ工業ヲ練熟進歩スルノ責ニ任スヘシ
第三十条 書記以下ノ傭員分掌ノ事務及其規程ハ委員会ノ議決ニ拠リ当会社ノ営業規則ヲ以テ之ヲ定メ置クヘシ
第三十一条 当会社ノ傭員ハ諸有金及物品等ヲ規程外ニ出入使用スヘカラス
○中略
第三十八条 株主ハ委員会ノ議決ニ不適当ノ事アルヲ認ムルトキハ第四十三条ノ順序ニ照ラシ臨時総会ヲ催シ、三分ノ二以上ノ多数説ヲ以テ委員ノ全数又ハ幾名ヲ解任スルノ権アルヘシ
第三十九条 株主ハ総会ニ於テ一株毎ニ一個ノ発言投票ヲ為スノ権アリ、但其所有株拾個以上百個迄ハ五株毎ニ壱個ヲ増加シ百壱株以上ハ拾株毎ニ壱個ヲ増加スヘシ
第四十条 株主ハ何等ノ事故アルモ当会社営業年限ノ間ハ其株金ヲ取戻スコトヲ得サルヘシ
第四十一条 株主ハ第六十条ノ手続ヲ為セハ其所有ノ株式ヲ売却譲与スルヲ得ヘシ
    第六章 株主総会ノ事
第四十二条 株主総会ハ定式臨時ノ二類ト為シ、定式総会ハ毎年両度一月七月委員会ノ議決ヲ以テ指定シタル時日ニ之レヲ開キ、臨時総会ハ委員会ノ議決ニ拠リ適当ナリト認ムル場合ニ於テハ何時ヲ論セス之レヲ開設スルヲ得ヘシ
○中略
    第七章 純益金配当ノ事
第五十二条 当会社ノ総勘定ハ毎年両度六月十二月ノ末ニ於テ決算シ、総収益金ノ内ヨリ一切諸経費ヲ引去リ其残額ヲ純益トナシ、之レヲ配当スルコト左ノ如シ
 一、当会社起業資本高百分ノ一
   是ハ純益金ノ多少ニ拘ハラス毎半季ノ決算ニ於テ必ス之レヲ引去リ、当会社ノ家屋諸器械類ノ原資償却金トシテ之レヲ積立テ臨時消費スルヲ得ス、但当会社営業年限ヲ延期スルトキハ起業資本全額ニ充ルヲ其期トスヘシ
 一、純益金百分ノ十 準備金
   是ハ当会社所有ノ地所家屋諸器械等臨時大修繕ノ費用ニ充ヘキ
 - 第12巻 p.624 -ページ画像 
モノナルニ付、起業資本ノ半額迄ヲ目的トシテ之レヲ積立ルモノトス、故ニ非常ノ変災ニテ家屋器械等ニ大破損ヲ生シテ之レヲ修繕スヘキ時及家内引用瓦斯ノ枝管取付費等ハ此金額ヲ以テ之レヲ仕払フヘシ、但右ノ仕払ニヨリテ其額ニ不足ヲ生スルトキハ更ニ後期ノ純益金中ヨリ之レヲ補塡スヘシ
   通常小修繕費用ハ一ケ月五百円迄ト定メ毎月ノ経費トシテ之レヲ仕払フヘシ
   右両種ノ積立金ハ之レヲ銀行ニ委存シ又ハ公債証書ヲ買入レテ之レヲ保存スヘシ、若シ又物品買入ノ為メ営業用資本不足スルトキハ之レヲ流用スルヲ得ヘシ
 一、純益金百分ノ十三 賞与金
   是ハ委員ノ報酬及傭員賞与トシテ毎季純益金ノ内ヨリ引去リ其十三分ノ三ヲ委員ノ慰労金トシ、十三分ノ二ヲ以テ臨時慰労積立金トナシ、其残額ヲ支配人以下ノ賞与ニ充ツヘシ、而シテ傭員ト職工トニ於テハ其割合ニ等差ヲ立テ一般ノ勤惰ヲ鑑別シテ委員会ノ考按ヲ以テ毎季之レヲ給与スヘシ、臨時慰労積立金ハ委員会ノ考按ヲ以テ、傭員及職工ノ内万一災厄ニ罹リ又ハ特別功労アル者ニ対シ臨時相当ニ支給スヘシ
  右数項ヲ引去リタル残高ヲ以テ総株高ニ割合株主ニ割賦スヘシ、但委員会ニ於テ毎季純益金ノ多少ヲ斟酌シテ適当ノ高ヲ後半期ヘ繰込トナスコトヲ得ヘシ
○中略
    第十一章 定款改正ノ事
第六十五条 此定款ハ株主ノ衆議ニ因リテハ増減更正スルコトアルヘシ、尤モ其総会ノ議決ハ三分ノ二以上ノ多数説ニ従フヘシ、但其改正ノ項目ハ速ニ管轄庁ノ認可ヲ受クヘシ
右十一章六十五条ハ当会社株主ノ衆議ヲ以テ相定メタルニ付、一同記名鈐印シテ以テ之レヲ証明致候也
  明治十八年十月
               深川区福住町四番地
                      渋沢栄一
               本所区緑町四丁目参拾五番地
                      藤本精一
               日本橋区小網町四丁目八番地
                      安田善次郎
               日本橋区本材木町一丁目七番地
                      渡辺治右衛門
               深川区清住町壱番地
                      浅野総一郎
               北豊島郡金杉村弐百六拾九番地
                      今村清之助
               神奈川県下横浜元浜町壱丁目壱番地
                      朝田又七
               下谷区下谷茅町壱丁目拾壱番地
 - 第12巻 p.625 -ページ画像 
                      岩崎久弥
               日本橋区浜町壱丁目壱番地
                      藤本文策
               京橋区銀座弐丁目七番地
                      大倉喜八郎
               牛込区白金町弐拾九番地
                      渡部温
               下谷区車坂町九拾参番地
                      吉田知義
               京橋区五郎兵衛町参番地
                      千葉勝五郎
               京橋区南新堀町四番地
                      中沢彦吉
               日本橋区堀江町参丁目参番地
                      吉田丹次兵衛
               日本橋区小舟町弐丁目七番地
                      吉田丹治郎
               京橋区南伝馬町参丁目八番地
                      河合万五郎
               牛込区神楽町弐丁目拾四番地
                      丸山八十
               浅草区北富坂町拾九番地
                      須藤時一郎
               京橋区大鋸町六番地
                      喜谷市郎右衛門
               荏原郡北品川宿六拾五番地
                      鳥山貞利
               京橋区南伝馬町壱丁目拾七番地
                      山中隣之助
               日本橋区兜町五番地
                      三井物産会社
               本所区千歳町四拾六番地
                      川崎八右衛門
               神田区神田佐久間町四丁目壱番地
                      吉川長兵衛
               小石川区関口台町五拾八番地
                      前嶋弥
               麹町区中六番町参拾六番地
                      島田三郎
               日本橋区大伝馬町弐丁目拾壱番地
                      高島勘六
               日本橋区南茅場町拾九番地
                      本野小平
                      代 大野清敬
 - 第12巻 p.626 -ページ画像 
               日本橋区本両替町九番地
                      佐中治輔
               赤坂区赤坂田町弐丁目拾壱番地
                      苗村又左衛門
               芝区芝西応寺町八番地
                      鶴岡金兵衛
               栃木県下野国足利郡小俟村八拾番地
                      木村勇三
               神田区同朋町拾壱番地
                      吉田幸作
               日本橋区兜町参番地
                      平松甚四郎
               神田区橋本町弐丁目拾参番地
                      大野利右衛門
               荏原郡北品川宿御殿山四百拾弐番地
                      益田孝
               京橋区加賀町九番地
                      岡部平兵衛
               日本橋区茅場町拾弐番地
                      蘆田順三郎
               京橋区築地参丁目八番地
                      原六郎
               麻布区麻布東町弐拾八番地
                      林賢徳
               北豊島郡金杉村四百拾弐番地
                      益田克徳
               麻布区飯倉町弐丁目拾四番地
                      深山小兵衛
               京橋区八丁堀仲町八番地
                      鳥海清左衛門
               宮城県下仙台南町通拾九番地
                      小野哲之助
                      代 大野清敬
               小石川区関口台町五拾八番地
                      前島密
               浅草区下平右衛門町弐拾参番地
                      楳川忠兵衛
               芝区芝通新町拾五番地
                      鈴木良輔
               北豊島郡千住南組七百九拾四番地
                      川村治兵衛
               麻布区飯倉町二丁目拾六番地
                      笠井庄兵衛
               日本橋区浜町壱丁目参番地
 - 第12巻 p.627 -ページ画像 
                      佐羽吉右衛門
                      代 諸井藤七
               麻布区麻布六本木町拾弐番地
                      柴田清右衛門
               麻布区飯倉町弐丁目拾四番地
                      村田作兵衛
               本郷区本郷参丁目四番地
                      浅野彦兵衛
               荏原郡等々力村弐千弐百拾八番地
                      豊田周作
               京橋区尾張町弐丁目拾五番地
                      児島喜三郎
               芝区三田壱丁目四拾六番地
                      谷元道之
                      代 岩橋静彦
               荏原郡大井村百参拾番地
                      平林九兵衛
               麻布区飯倉町参丁目壱番地
                      笠井庫次郎
               日本橋区高砂町参番地
                      大野利左衛門
               北豊島郡下石神井村弐百拾壱番地
                      本橋勝右衛門
               芝区下高輪町六番地
                      渡辺又兵衛
               日本橋区本銀町四丁目拾九番地
                      仲万兵衛
               芝区南佐久間町壱丁目壱番地
                      沢田甚五左衛門
               麹町区紀尾井町参番地
                      金沢三右衛門


願伺届録 会社規則乾明治十九年(DK120076k-0010)
第12巻 p.627-628 ページ画像

願伺届録  会社規則乾明治十九年    (東京府文庫所蔵)
  定款改正願書
                    東京瓦斯会社
    定款改正之儀ニ付願
当会社定款第二章第八条左之通改正仕度此段奉願上候也
  東京瓦斯会社定款之内
    第二章 資本金ノ事
第八条 当会社ノ資本金ハ参拾五万円ト定メ壱株ヲ百円トナシ総計参千五百株ヲ内国人民ヨリ募集スヘシ、但営業ノ都合ニヨリ株主ノ衆議ヲ以テ此株高ヲ増減スルヲ得ヘシ
  明治十九年二月十三日
                   渋沢栄一外六十四名
 - 第12巻 p.628 -ページ画像 
                          連署
    東京府知事 渡辺洪基殿
  前書出願ニ付奥印候也
             東京府芝区長 久住秋策


願伺届録 会社規則乾明治十九年(DK120076k-0011)
第12巻 p.628 ページ画像

願伺届録  会社規則乾明治十九年    (東京府文庫所蔵)
  明治十九年二月十五日出
                    農商務課
                    調査課
    東京瓦斯会社定款改正願
                   渋沢栄一
                     外六十四名
      指令案
書面願之趣聞置候事
 (理由)本会社定款第二章第八条ニ拠リ資本金弐拾七万円ナルヲ今般三拾五万円ニ増額スルノ改正也
右ハ事業ノ盛大ニ至リシ故ナルヲ以テ差支無之トス
 但該会社設立ノ際特許ノ儀内務農商務両省ヘ稟議ニ及ヒシニ外会社ト斉シク人民相対云々ノ指令ニ相成タリ、因テ本願定款改正ノ儀ハ稟議ニ及ハサルモノトス
  ○当会社ハ大正十二年九月大震災ニヨリ創立当初ヨリノ書類ヲ焼失シ、営業報告書、株主総会決議録等所蔵セズ。


瓦斯界 第一巻・第三号〔明治四四年八月二三日〕 瓦斯事業と東京市(男爵 渋沢栄一氏談) 時期到来民業に移す(DK120076k-0012)
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瓦斯界  第一巻・第三号〔明治四四年八月二三日〕
  瓦斯事業と東京市(男爵 渋沢栄一氏談)
    時期到来民業に移す
瓦斯局払下に反対した私は一時随分非難されたかも知れぬが次で来りし事実は私の勝利であつた。乃ち瓦斯局員一同の精励に依つて明治十六年から始めて利益を見る事になつた。瓦斯事業の基礎は固まつたのだ。電灯の恐慌も無論一時の夢であつた。乃で此事業を民業に移すの時期は到来したと思つたのである。元来府と云ふ者は一種の公共事業で小さい国であると云つても差支ない。その公共国たる府が余り営利的に走つては面白くないのみならず、最早や払下るにしても従来の投資額に利子位は加えて収むる事か出来るから、寧ろ会社に移すがよからうと云ふので、愈よ明治十八年に二十七万三千円で会社に譲つたのである。数年前に危ふく五万円で投出さるへきものが只忍耐一つで此価を生んだのである。○下略
  ○二十七万三千円ノ内訳ハ前掲「御請書・命令条目」案文(第六一八頁)参照。
  ○当会社創業当時ノ従業員ハ六十一名、東京瓦斯局ノ局員及ビ職工ヲ其儘雇傭セルモノノ如シ。瓦斯料金ハ一千立方呎ニ付金三円(街灯料金不明)需用家数ハ三百四十三戸、屋内灯数ハ六千六百七十八個、街灯数ハ四百基、瓦斯販売高ハ一日ニツキ七万一千五十五立方呎、導管ハ十一哩六十二鎖ナリキ。
  ○東京瓦斯局払受総代人タリシ藤本精一、明治十八年十二月四日病死セリ。仍テ栄一以後総代人ノ事務一切ヲ引受担当セリ。

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竜門雑誌 第二九七号・第一九―二一頁〔大正二年二月二五日〕 ○本邦瓦斯事業の今昔(青淵先生)(DK120076k-0013)
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竜門雑誌  第二九七号・第一九―二一頁〔大正二年二月二五日〕
    ○本邦瓦斯事業の今昔(青淵先生)
  ○本篇は青淵先生の談話とし二月一日発行の帝国瓦斯協会雑誌に掲載せるものなり但し青淵先生の検閲を経たるものに非ずといふ。(編者識)
△本邦瓦斯事業の嚆矢 欧米各国に於ける瓦斯事業の隆盛なること年既に久しく且つ発達の跡整然として見るべきものありと雖も、翻て本邦に於ける瓦斯事業を見るに、其の起源彼に於けるが如く長からざると共に、其の発達も亦た顕著ならざるの憾なくんばあらず、抑も帝国の瓦斯事業は明治維新と殆んど其の時を等ふし、年を閲すること未だ四十年を出でず。今其の起源に遡りて之を見るに、維新の初め子爵由利公正氏が東京府の知事たるの際、仏蘭西に漫遊し、偶々瓦斯機械を見て、其の灯火の美麗にして且つ便利なるのみならず、之を本邦従来の油火に比較するときは遥に安全なるに心を動かし、遂に一小機械を購入して帰朝せり。当時吉原に於ては屡々火災を発して、市民安からざりしを以て、子爵は先づ之を吉原に試み、以て火災の憂なからしめんと企てたりき。然るに機械の到着後直に工場を設立するに至らず、其の儘之を深川仙台屋敷へ放置せり。明治五年頃に至り、外国人との交渉成立し仏人ペレゲレン氏を聘して技師となし、始めて横浜居留地に瓦斯の点火を為さむとするに際し、東京に於ても前に購求せし機械を以て瓦斯の点火を開始するに至れり。此の際由利子爵既に職を去り大久保一翁氏代つて東京府知事たり、当初機械を購入せし金額の出所を尋ぬるに、寛政の昔白河楽翁公が切に市の経費を節約して得たる市の共有金より支出し、其の経営費も亦た之によりしを以て、瓦斯事業は全然之を東京府の管理に帰する能はず、市民より総代を選出し之れが管理上の諮問に応ずることゝしたり。之れ即ち営繕会議所なるものにして、後改めて東京会議所と称し、議員の数二十名乃至三十名を有したり、故に東京に於ける瓦斯事業は東京府の公営に非らずして一種の組織を採りたるものと云ふべし。
△瓦斯事業と青淵先生 回顧すれば余の東京の瓦斯事業に関係を有するに至りしは、明治七年大久保知事の嘱託を受け、共有金の監督を司りしに其端を開けり。即ち瓦斯事業は前述の如く共有金を以て経営せしを以て、共有金の監督を司るに於て自ら瓦斯事業に関係せざるを得ざりしなり。当時東京府の瓦斯事業は瓦斯局なる特別機関を以てせしにより、余は其の局長と云ふ職名を以て、大体の管理に任じたりと雖も、当時余は既に第一銀行の業務に鞅掌する所ありしを以て、之が専任たる能はず、一の名誉職として其の職を見るに過ぎざりき。之れ一は瓦斯事業は将来之を民業に移すべき性質たると、他は此の事業の経営上市民の総代なるの意味をも含有したり。然り而して当時に於ける瓦斯製造の状況は今之を詳にせずと雖も、元より試験的に止まりしを以て、其の規模も小にして、到底収支相償はず、営利的事業と称する能はざりしを以て、之れが事業拡張の必要を感じ、従前の資本金に対し更に七八万円の増額を行ひ、通計十四五万円の資金となし、仏人ペレゲレン氏に専任して一日の瓦斯製造高十六七万立方呎に増加して相
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当の収利を上げんと企図せり。玆に於てか事業稍々其の緒に就き、明治十三年頃より諸官衙を始め、街路の一部に点火を見るに至れり。然れども事業の収支尚ほ未だ相償ふに至らざるにより、更に事業の拡張を為し、其の資本額積んで二十四五万円の巨額に達せり。
△青淵先生払下に反対す 此の如く、其の経営に幾多の苦心を嘗めつつ明治十五年頃に及びたるが、当時欧米に於て電灯業非常なる発達を来たし、灯火界に一大革新を見むとするに至り、瓦斯灯は之が影響を蒙り甚だしく衰頽の悲境に陥るべしとて、本邦に於ても其の余波を蒙り、瓦斯事業に一大頓挫を来たさゞるを得ざりき、之より先き、明治十二年東京府会の創設と共に、東京会議所は共有金を之に引続ぎ、府会に於て大体を監督するに至りたるが、前に述べたるが如く欧米諸国に於ける瓦斯灯の頓挫を見るに及びて、将来に於ける斯業の経営難を憂ふる者を生じ、僅々十五万円を以て市民の某氏に払下げんとの議起り、其の払下代金納入法は即納金を五万円とし爾後十箇年間一万円宛の年賦となすにありき。余は此の提案に対し、極力反対せり。何となれば欧米に於ける瓦斯事業の頓挫は憂ふべき事に相違なけれども、我に於て深く観察研究さへ遂げず漫然と将来を悲観して急遽之を民間に払下げんとするが如きは、之れ所謂風声鶴唳の譏を免る能はざればなり。之より瓦斯事業は終には之を民間に移すべきものにて、府に於て之を経営するは余の賛する所にあらざれども、単に一時の頓挫の為め従来幾多の辛酸と巨額なる投資の下に経営し来れる事業を所謂捨売同様の処分をなすが如きは、既に其れ自身に於て大なる拙策たるのみならず、若し後日其の形勢一変して、瓦斯事業の隆盛を来たすの日あらん乎、東京府は先見の明なき譏を受くるのみならず、又た甚だしき不面目なる状態に陥るは論を俟たざる所なり、仮に一歩を譲り不幸にして瓦斯事業不振の形勢容易に転回せず、電灯の圧倒を蒙ると仮定するときは、之を民業に移すとも収利にして期待する能はざれば、年賦金の償還不可能に終るやも測り知るべからず、之を以て此際払下を実行するが如きは府として採るべきの策にあらず、寧ろ現状を維持して徐ろに時機の到来を待つに如かず。之れ即ち当時に於ける余の持説にして堅く採つて動かざりしかば、当時の府知事松田道之氏の容るゝ所となり、右の払下説は玆に消滅するを得たりき。果せる哉余の予想に違はず、一時困難の下にありし瓦斯事業は爾後年々収利を得、十六年頃には一年の純益六千円に達して欣喜の情禁ずる能はざりしは、今尚ほ余の記憶に存する所なり。
○下略