デジタル版『渋沢栄一伝記資料』

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公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2018.12.20

2編 実業界指導並ニ社会公共事業尽力時代

1部 実業・経済

3章 商工業
22節 電気
3款 東京水力電気株式会社
■綱文

第13巻 p.34-37(DK130006k) ページ画像

明治30年5月15日(1897年)

富田鉄之助ヲ始メ栄一外二十三名ノ発起ヲ以テ、静岡県深良川・神奈川県中津川・山梨県桂川ノ河水ヲ利用シテ水力発電所五箇所ヲ設置シ、東京及ビ横浜ニ電灯及ビ電力ヲ供給スルノ目的ヲ以テ、資本金三百万円ナル東京水力電気株式会社ノ設立ヲ企テ、是日農商務大臣伯爵大隈重信並ニ逓信大臣子爵野村靖ニ発起認可願書ヲ提出ス。後会社成立シ、栄一推サレテ相談役トナル。然レドモ開業スルニ至ラズ。


■資料

渋沢栄一 日記 明治三二年(DK130006k-0001)
第13巻 p.34 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三二年
十一月二日 晴
朝九時日本橋倶楽部ニ於テ水力電気会社創立委員会ヲ開クニ列ス○下略
十一月二十三日 晴 少シク風アリ
○上略○夕刻夫ヨリ日本橋倶楽部ニ於テ開カレタル水力電気会社委員会ニ列ス、富田・柿沼・銀林ノ諸氏ト談話ス○下略
   ○設立当時ノ日記ヲ欠ク。


渋沢栄一 日記 明治三三年(DK130006k-0002)
第13巻 p.34 ページ画像

渋沢栄一 日記 明治三三年
十月十一日 曇
○上略七時○午後浜町常盤屋ニ抵リ水力電気会社ノ招宴ニ列ス、大倉・梅浦・富田・柿沼・浅田・村田諸氏来会ス○下略


渋沢栄一公私履歴台帳(DK130006k-0003)
第13巻 p.34 ページ画像

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青淵先生六十年史 (再版) 第二巻・第一〇八―一一〇頁 〔明治三三年六月〕(DK130006k-0004)
第13巻 p.34-35 ページ画像

青淵先生六十年史(再版)第二巻・第一〇八―一一〇頁〔明治三三年六月〕
 ○第二十九章 電気業
    第五節 東京水力電気会社
東京水力電気株式会社ハ明治三十年ノ交、青淵先生及富田鉄之助外二
 - 第13巻 p.35 -ページ画像 
十三名ノ発起ニ係リ創立シタルモノニシテ、其目的ハ東京府近県各地ノ水力ヲ利用シ発電所ヲ設置シテ東京及横浜ニ電線ヲ架設シ、両市ノ電灯並電力ノ需用ニ応シ電気力ヲ供給販売スルノ業ヲ営ムニアリ、今左ニ同社発起認可願書ヲ掲ク
    東京水力電気株式会社発起認可願
 私共儀株式会社ヲ組織シ、静岡県駿河国駿東郡深良村深良川、神奈川県相模国愛甲郡宮ケ瀬村中津川並山梨県甲斐国北都留郡島田村桂川等ノ河流ヲ利用シ水力発電所五箇所ヲ設置シ、東京及横浜ニ電線ヲ架設シ両市ノ電灯並電力ノ需用ニ応シ営業仕度目的ヲ以テ、嚮ニ電気事業取締規則ニ拠リ逓信大臣ヘ出願仕候処、今般深良川並中津川ニ水力発電所四箇所ヲ設置シ東京市及横浜市ヲ供給区域ト定メ電力事業ヲ営ムノ件ハ御允裁相成候ニ依リ、先以テ此ノ四箇所ニ付営業着手仕度奉存候、右ハ独リ会社営業ノ為メノミナラス一般公共ニ大便益ヲ与ヘ文明進歩ノ今日一刻モ緩フス可ラサル事業ト確信仕候間、何卒速ニ会社発起ノ儀御認可被成下度、別紙起業目論見書・仮定款並電気事業営業願及発電所設立願ニ対スル逓信大臣御指令書相添、此段奉願候也(別紙略ス)
   明治三十年五月十五日
              東京水力電気株式会社発起人
                      富田鉄之助
                        外二十四名
    農商務大臣伯爵 大隈重信殿
    逓信大臣子爵 野村靖殿
同社ハ本店ヲ東京市ニ置ク、其資本金総額ハ三百万円ナリ


中外商業新報 第四五二三号〔明治三〇年三月一七日〕 一大水力電気事業(DK130006k-0005)
第13巻 p.35 ページ画像

中外商業新報 第四五二三号〔明治三〇年三月一七日〕
    一大水力電気事業
本月六日逓信大臣より水力電気事業営業の許可を得たる東京水力電気株式会社の計画は今を距る七年前に其端を発せるものにして我国の水力電気遠送事業の嚆矢なるが、一昨明治廿八年十一月富田鉄之助・渋沢栄一・今村清之助・原六郎・神鞭知常・村田一郎・森村市左衛門・河瀬秀次・池田謙蔵・大倉喜八郎・渡辺治右衛門・稲井永敏・川崎八右衛門・浜口吉右衛門・進経太・梅浦精一・浅田正文・岸小三郎・米原一平・藤岡市助・奥三郎兵衛・岩出惣兵衛・柿沼谷蔵・佐藤甚兵衛・銀林綱男の廿五氏により発起せられ楠本正隆氏も亦大に与て力ありといふ、次て逓信農商務の両省に会社設立の申請を為したるか、目下水源地にして既に特許を得たるものは深良川筋静岡県駿東郡深良村発電所・中津川筋神奈川県愛甲郡宮ケ瀬村発電所・桂川筋山梨県北都留郡嶋田村発電所等にして優に二万馬力は実用に供給するを得べく、尚ほ他に四大水源地を占有せるを以て今後幾多大工場の勃興するあるも十分に其需要に応するを得べし、特に東京市及横浜市は電力供給の区域として之が特権を得たれば着々歩を進め五百万円の大資本を以て不日工事に着手すべしと云ふ


中外商業新報 第四五六四号〔明治三〇年五月六日〕 東京水力電気株式会社発起人総会(DK130006k-0006)
第13巻 p.35-36 ページ画像

中外商業新報 第四五六四号〔明治三〇年五月六日〕
 - 第13巻 p.36 -ページ画像 
    東京水力電気株式会社発起人総会
東京水力電気株式会社にては其水力電気遠送事業に必要なる水源地即ち静岡県深良川筋・神奈川県中津川筋・山梨県桂川筋等既に先頃其筋の認可を得たるを以て、其後専ら会社組織の準備に付商議を尽せし処愈々其緒に就きたるを以て、今六日午後一時より日本橋倶楽部に於て発起人総会を開き、会社定款の協定、会社資本額、発起申請、株式募集方法等の協議を為す由なるが、同社が至難なる水源地の権利を獲有し而も創始に属する大事業をして此に其緒に就くに至らしめたるは全く富田創立委員長・浜口・浅田・柿沼・梅浦の四専務委員及渋沢・藤岡・村田・大倉・米倉の創立委員並発起人楠本男の熱心なる経営によるものなりといふ、因に記す同社の資本額は多分三百万円に決定すべしと云へり


中外商業新報 第四五六六号〔明治三〇年五月八日〕 東京水力電気会社の発起人総会(DK130006k-0007)
第13巻 p.36 ページ画像

中外商業新報 第四五六六号〔明治三〇年五月八日〕
    東京水力電気会社の発起人総会
東京水力電気株式会社にては前号に記する如く一昨六日午後一時卅分より日本橋倶楽部に於て発起人総会を開き、委員長富田鉄之助氏より創業以来の事務報告あり、次に仮定款を議し、資本金二百五十万円の予定なりしを三百万円に改め、又発起人廿五名の各自引受株は五百株の積りなりしを六百株に増加し、其他二三の要件を議決せしが、直に創立認可を申請し、設立の上は第一に中津川の工事に着手する筈なりといふ


東京経済雑誌 第三六巻第八八六号・第二一九―二二〇頁〔明治三〇年七月二四日〕 東京水力電気株式会社の創立(DK130006k-0008)
第13巻 p.36 ページ画像

東京経済雑誌 第三六巻第八八六号・第二一九―二二〇頁〔明治三〇年七月二四日〕
    ○東京水力電気株式会社の創立
工業の生命とも云ふ可き石炭近年荐に暴騰し、近く明治二十六年頃に比較するも平均六割以上を騰貴し、為めに工業の進歩を妨ぐるの懸念なきにあらず、而して石炭に代りて工業界の需用を満足せしむるが為め水力電気の供給を企つるもの近来往々にして余輩の耳にする所なるが、就中其規摸の雄大なるは東京水力電気株式会社に如かざるべし、同会社は富田鉄之助氏外廿四名の伸商《(紳)》の発起にして、資本金参百万円を以て静岡県深良川、神奈川県中津川、並に山梨県桂川等の河流を利用し、水力発電所五箇所を創置し、東京及横浜に電線を架設し、以て両市の電灯並電力の需用に応する目的にて已に其筋の認可を得たりと云ふ


中外商業新報 第五三五四号〔明治三二年一二年八日〕 東京水力電気会社の創業総会(DK130006k-0009)
第13巻 p.36-37 ページ画像

中外商業新報 第五三五四号〔明治三二年一二年八日〕
    東京水力電気会社の創業総会
東京水力電気株式会社に於ては去六日日本橋倶楽部に於て創業総会を開きしに、出席者四百九十三名(此株数三万七千七百五十一)にして明治廿八年十一月発起以来社務の成行並出費契約事項等満場一致を以て承認し、重役には浜口吉右衛門・大倉喜八郎・梅浦精一・岩出惣兵衛・福嶋甲子三氏を取締役に、柿沼谷蔵・浅田正文・村田一郎氏を監査役に、富田鉄之助・渋沢栄一・楠本正隆氏を相談役に選挙し、無事
 - 第13巻 p.37 -ページ画像 
散会したる由


中外商業新報 第五三五九号〔明治三二年一二月一四日〕 東京水力電気会社の発起人会(DK130006k-0010)
第13巻 p.37 ページ画像

中外商業新報 第五三五九号〔明治三二年一二月一四日〕
    東京水力電気会社の発起人会
東京水力電気会社は先頃の創業総会に於て資本金を三十万円に減少することゝなりたるが、同社の工費は到底卅万円にては完成する能はさるを以て一応発起人に協議せんとし、去十一日午後四時より帝国ホテルに発起人会を開き種々協議を凝したるに、結局資本金は三十万円とし更に三十万円の社債を募集して工費の不足を充たすことゝなりたりと云ふ


中外商業新報 第五三七九号〔明治三三年一月九日〕 東京水力電気会社(DK130006k-0011)
第13巻 p.37 ページ画像

中外商業新報 第五三七九号〔明治三三年一月九日〕
    東京水力電気会社
東京水力電気会社にては昨年十二月六日の発起人総会に於て資本金を三十万円に減少し、外に重役に於て三十万円の社債を起し、合計六十万円を以て創立する事とし、先づ其効用を社会に知らしめん目的にて、資本金中十万円は予備金とし、差引五十万円を以て二千五百馬力の電力を得る見積にて目下藤嶋工学博士の手に於て設計中なる由、而してその水源地方は未だ確定せず、元来多摩川は尤も近き水源地なれども東京市の認可せざるべき憂あり、去迚同川を除きては山梨県の桂川(東京を去る七十哩)静岡県の深良川(六十三哩)神奈川の中津川(三十哩)の三川中より撰抜せざるを得ず、同創立委員中の意見にては多分桂川を採ることゝならん、同社設立認可の申請は昨年十二月二十七日を以て呈出したるが許可の上は直に工事に取掛る見込なりと云ふ、尚ほ取締役には大倉喜八郎・浜口吉右衛門・梅浦精一・岩手惣兵衛《(岩出惣兵衛)》の諸氏を、相談役には富田鉄之助・渋沢栄一・楠本正隆の諸氏を推選するに決したりといふ


竜門雑誌 第一四七号・第四四頁〔明治三三年八月二五日〕 東京水力電気会社の総会(DK130006k-0012)
第13巻 p.37 ページ画像

竜門雑誌 第一四七号・第四四頁〔明治三三年八月二五日〕
    ○東京水力電気会社の総会
青淵先生の相談役たる東京水力電気会社にては去月廿七日午前八時より内山下町台湾協会内に於て株主総会を開き、取締役社長大倉喜八郎氏不在に付梅浦精一氏会長席に就き当期決算の報告あり(現在株主三百八十五名株数三千四百三十六株)利益金四千三百十九円十七銭六厘は後期へ繰越すこととなり、同九時頃散会せり
   ○明治三十九年九月十三日ニ至リ、当会社ハ武相電力株式会社ト合併、東京電力株式会社創立サル。