公開日: 2016.11.11 / 最終更新日: 2022.3.15
第13巻 p.401-412(DK130032k) ページ画像
明治19年8月26日(1886年)
会員組織ニヨル共同相場会所ノ設立ハ栄一ノ素志ナリ。今ヤ機熟セルヲ以テ、大倉喜八郎・益田孝等ト謀リ、之ガ計画書ヲ草シツツアリシガ、是日稿成リ、農商務次官吉田清成ニ通告ス。
渋沢栄一 書翰 吉田清成宛(明治一九年)八月二六日(DK130032k-0001)
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渋沢栄一 書翰 吉田清成宛(明治一九年)八月二六日
(京都帝国大学文学部国史研究室所蔵)
残炎難堪候得共閣下益御清暢御坐可被成奉賀候、然者兼而申上候ブールス創立見込書之義其後種々愚案いたし粗末なから意見書一本出来候
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ニ付、両三日中朝夕之間尊邸ヘ持参可仕候ニ付、御熟覧被下度候、尤も大倉・益田とハ両人北海道出立前篤と申談置候ニ付、即同意上陳仕候義ニ御坐候
右之段予メ申上置度如此御坐候 不宣
八月廿六日
渋沢栄一
吉田清成閣下
尚々○下略
○「世外井上公伝」「自叙益田孝翁伝」ニ、明治十九年八月五日、井上馨・山県有朋両大臣ヲ始メ益田孝・大倉喜八郎其他数十名、北海道視察ノ旅ニ出ヅルコトアリ、仍テ本書翰ハ同年ノモノト思ハル。尚井上ハ九月十七日ニ、山県ハ九月二十日ニ帰京ス。
雨夜譚会談話筆記 下・第六三八―六四〇頁〔昭和二年一一月―昭和五年七月〕(DK130032k-0002)
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雨夜譚会談話筆記 下・第六三八―六四〇頁〔昭和二年一一月―昭和五年七月〕
第二十三回雨夜譚会 ○昭和四年二月十六日於丸ノ内仲通渋沢事務所
○上略
先生「○中略明治十一年に成立したのが東京株式取引所であります。以上は株式取引所の出来た歴史であるが、成立したものに対しても少し改善せねばならぬ、第一に株式会社であるよりも、会員組織の方がよい、英国のものがさうである、などゝ云ふ人も多く、ポアソナード《(ボアソナード)》も会員組織がよいと説明し、当時、井上さんが農商務大臣となつて居り、色々外国の事情や実際の取引の有様を調査せしめた。然し制度の改正は遂に出来ず今日に及んで居る。
扨て其の取引に就ては論理上ポアソナードも私も博打でないと主張したものゝ、実際の有様はどうしても投機になるので、第一銀行の経営者たる私が其の尻押をして投機的な株式取引を旺んならしめると、銀行としては面白くないので、敢て近よらぬ方がよからうとて其の方針で進んだ。此間の事情は佐々木君などよく承知して居られる筈である。兎に角私としては株式取引所の設立には色々心配したが、出来上つてからは、第一銀行の経営者である処から、経営其他の関係の地位には一切立たなかつた。
併し株式取引所の投機に流れる弊は完全に取り去ることは出来難いので、先契約の取引をすると米の取引と同様になる、即ち株の相場が上るだらうとて買あふれば金ぜめにすることも出来、安くなるだらうと売つて品ぜめも可能となるなど、暴戻な取引が行はれる。すると此処での有価証券の取引は世人の経済関係でなくなる。私は其後実際には入つてやらぬから、どうかうと云へぬが、理論の上から取引所は株式組織よりも会員組織の方がよいと論じたが、其の通りにはならなかつた。又事実上私達が最初論じたやうに投機的でない取引は行はれなかつたのである。
現在に就ても懸念が多い。然しなくてはならぬものであるから今日の取引の風習は弊害あると共に利益もあると云はざるを得ません。」
○下略
青淵先生六十年史 第二巻・第三一五―三一七頁 〔明治三三年二月〕(DK130032k-0003)
第13巻 p.402-403 ページ画像
青淵先生六十年史 第二巻・第三一五―三一七頁〔明治三三年二月〕
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○第五十一章 取引所
第一節 株式取引所
○上略
株式取引所ノ盛大ニ赴クヤ、又随テ弊害ナキニアラス、政府モ為メニ数々条例ニ改正ヲ加ヘタリ、先生亦同志ト改良ノ策ヲ講センカ為メ、明治二十一年人ヲ海外ニ派シテ「ブールス」ノ取調ヲ為サシメタリ、蓋シ我邦取引所ハ株式組織ニシテ、仲買ナル中間ノ一階級アリテ二重ノ手数ト冗費トヲ免レサルノ不利益アルヲ感シタルニヨリ、外国ニ行ハルヽ会員組織ニ改メントノ考ヲ起シタルナリ、之カ為メ一時「ブールス」論大ニ世上ニ囂々タリキ、然ルニ該取調ノ結果ハ遂ニ其効ヲ奏セスシテ止ムニ至レリ
○下略
吉田清成覚書 (明治一九年カ)(DK130032k-0004)
第13巻 p.403 ページ画像
吉田清成覚書 (明治一九年カ) (吉田子爵家所蔵)
一年以上云々ハ疾ク既上請中
証拠金ヲ十分ノ一以上ヲ以下ト致度云々閣議ニ呈出ス
九月四五日頃
税金ヲ減スルノ案ハ九月七日大蔵大丞ヘ説明ノ上手渡致シ、九日ヲ以柳谷迄返来リ、十日請書ノ上十一日大蔵省ヘ公然ノ手続ヲ以テ付ス
但写壱通ヲ拵伊藤大臣ヘ十日ヲ以差出置候事
一身元金ノ件ハ高橋ヨリ(九日)林徳左衛門ヘ相諭請願次第省限所分スベキ事
一仲買ノ人員ヲ五拾人ト限る件も右同断
一会社手数料ヲ減スルコト
一仲買口銭ヲ増加スル事
吉田清成覚書(DK130032k-0005)
第13巻 p.403-404 ページ画像
吉田清成覚書 (吉田子爵家所蔵)
米商会所改正ノ件ノ内
○一税額ヲ減スルコト
一会所手数料ヲ減スルコト
一仲買商身元保証金ノ額ヲ嵩メルコト
○一売買手切証拠金ノ額ヲ減スルコト
一仲買ノ員数ヲ減スルコト
○一一ケ年以上其会所々在ノ地ニテ同業ヲ営マザル者ト雖、之ヲ許ス事
一仲買者ノ口銭ヲ嵩メル事
○職工学校ノ件
右ハ速ニ農商務省ヘ附属セ〆シメ候上官制取調上請ノ積
但定額ノ内四千五百円ハ文部省ヘ引揚ケタレトモ正シク該校営繕其外ノ為メニ備ヘ有之上ハ右モ同時ニ引継キ不相成候而ハ入費引足不申候事
○山林之事
田中健三郎之事
上山惟清之事山県氏ヘ
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○ブールス制定ノ事
株主関渉書類 明治一九年自一月至一二月(DK130032k-0006)
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株主関渉書類 明治一九年自一月至一二月 (東京株式取引所所蔵)
拝啓当取引所ニ於テ諸公債証書諸株式現場取引之儀数年前僅少ノ取引有之候マテニテ爾後全ク取引無之、然ルニ近来仲買人之内往々直取引相望ミ候も有之候得共、既定之手数料ニテハ其負担ニ難堪ニ付、特別減額相成度旨願出事実無余儀相聞ヘ、且諸株式定期売買手数料之内、実価五拾円拾銭以上百円以下ヲ一区域ニ定メ置キ候処、即今鉄道会社第八回払込株式ノ価格ハ五拾円内外、郵船会社株式ハ六拾円内外ニ居リ候ヲ以テ、是亦仲買人等大ニ不慮ヲ感シ候情況有之候間、実価百円以下ハ弐拾五円毎ニ区別候事ト為シ、従前手数料定額金中右三項今般別冊朱書之通改正之筈頭取肝煎ノ衆議ヲ以テ決定致シ候条、御承認之上本書両通ヘ御調印被下度、此段得貴意候也
明治十九年三月 東京株式取引所東京株式取引所印
吉永治道殿 (印)
森田晋三殿 (印)
深川亮蔵殿 (印)
岡本浅吉殿 (印)
野依周吉郎殿 (印)
岡本善七殿 (印)
山中隣之助殿 (印)
串田孫三郎殿 (印)
牟田口元学殿 代相良印
川崎八右衛門殿(印)
犬塚嘉十殿 (印)
相良剛造殿 印
渡辺勝三郎殿 (印)
渡辺福三郎代理
平尾保義殿 (印)
渡辺治右衛門殿(印)
伊東蔓殿 (印)
黒須仙太郎代理
北島庄兵衛殿 (印)
弘田忠五郎殿 (印)
三好玄清殿 印
今村清之助殿 印
相良大八郎殿 (印)
牟田口淳介殿 代相良印
田中菊次郎殿 (印)
山口雄蔵殿 (印)
寺村鉄造殿
松林義之殿 (印)
河野寿男殿代理
山中隣之助殿 (印)
小松春三殿 代理印
三野村利助殿 印
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原信男殿 (印)
青木善七殿 (印)
伊藤幹一殿 (印)
曾我助顕殿 (印)
沼間守一殿
益田孝殿
山本次郎兵衛殿 代相良印
石井常英殿 代相良印
渋沢栄一殿 栄一
小松操殿 代理印《(彰)》
○以下八十九名略ス
秘書類纂法制関係資料 (伊藤博文編) 下巻・第五五五―五七三頁〔昭和一〇年七月〕(DK130032k-0007)
第13巻 p.405-412 ページ画像
秘書類纂法制関係資料 (伊藤博文編) 下巻・第五五五―五七三頁〔昭和一〇年七月〕
共同取引所創立意見書
米商会所株式取引等《(所脱カ)》ノ構成不完全ニシテ弊害百出シ、為メニ商業枢要ノ機関ヲシテ其利用ヲ失ハシムルガ故ニ、到底其組織ヲ改正セザルベカラザルコトハ、真成ニ商業改良ヲ計ル者ノ是認スル所ニシテ、此案件ニ就テハ嘗テ御下問ニ対シ数回鄙見ヲ上陳セシニ付、今更複言ヲ要セズト雖モ、是迄ノ上陳書ハ其一端ヲ記載スルニ止マリテ、前書ニ陳述セル件ハ後者ニ忽略シタルガ為メ、所謂択而不精ト云フベキモノナレバ、此ニ一書ヲ裁シ首尾併陳シ、宿論ノ大体ヲ総括シ、謹デ御参考ノ一助ニ供セントス。
共同取引所等ノ商業ニ必要ナルハ、今又之ヲ喋々スルヲ要セズト雖モ、此ニ其一二ヲ言ハンニ、売買ノ予約ニヨリテ相場ノ平均ヲ得ル事
(第一)相場自然ノ標準ヲ公表シテ市ニ価格ノ大差異ヲ現ハサヾル事
(第二)等皆此取引所ノ力ニ由ラズンバアラズ。故ニ此設アラザレバ多額ノ売買行ハレズシテ快活円滑ノ商業遂グルコト能ハザルナリ。夫レ取引所ノ要斯ノ如ク商業ニ功アルニ拘ラズ、現今此類ノ会所ハ動モスレバ世論ノ擯斥ヲ受ケテ物議ヲ免レザル所以ノ者ハ、其物ノ非ナルニアラズシテ其組織ノ宜キヲ得ズ、随テ是ニ従事スルノ人鄙陋ニシテ自ラ重ンゼズ、空相場ヲ以テ其場所ノ業務ト誤認シ、之ガ為メ其場所ヲシテ世人ノ軽蔑ヲ招キ、甚キハ一種ノ弊竇ト認メラレ、遂ニ禁止税ニ髣髴タルノ重税ヲ課シテ之ヲ圧倒スベシトノ世論ヲモ生ズルニ至リ其極脱税密商ノ行ヲ為ス者輩出シテ警察ノ煩ヲ累ネ、益々世論ノ厭忌ヲ加ヘテ商業社会ニ其利用ヲ失ハシメントセリ。
景状斯ノ如シ、故ニ米商会所株式所《(マヽ)》ヲシテ商業社会有要ノ物タラシメントセバ、其組織ヲ改正シテ弊害ノ因テ来ル所ノ源ヲ杜カザルベカラズ。之ヲ約言スレバ信用アル人ヲシテ悦テ此業ニ従事セシムルノ仕法ヲ立ツルニ在リ。其人ニシテ信用アリ真ニ商業社会ニ重ゼラレ、其平生為ス所ノ取引実地ノ商業タルコトヲ認メラルヽ者タランニハ、此等ノ人々ヨリ成ル所ノ取引所モ亦実地取引ノ場ト公認セラレ、前述ノ諸弊自ラ跡ヲ絶ツニ至ルベシ。
今海外取引所ノ制ヲ考フルニ、或ハ純然タル民立ニシテ政令ノ毫モ之ニ干渉セザル米国ノ者ノ如キアリ。或ハ其設立ハ政府ノ特許ニ出テ
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テ其人員ノ定数、社員ノ出入等一々政令ノ指示ヲ要スル仏国ノ者ノ如キアリ。此二者大ニ其成立ノ根理ヲ殊ニスルト雖モ、共ニ我国現存ノ米商会所株式取引所ニ異ナル所ハ、彼ニ於テハ会商(我国仲買人ニ当ツベキ者)ノ集合ニシテ別ニ株主ト称スル者ナク、我ニ於テハ株主ノ集合ニシテ仲買人是ニ因テ営業ノ場所ヲ得ルニ在リ。故ニ彼ニ於テハ実地ノ売買人即チ会所ノ主タリ、我ニ於テハ株主之ガ主ニシテ仲買人之ニ属スル者ノ如ク、而シテ株主タル者ハ多ク此会所取引所ノ実地売買ニ関係ナキ者タリ。是ノ如ク東西組織ノ異ナルヨリシテ生ズル所ノ結果左ノ如キ者アリ。
一 仲買人ノ利害ト株主ノ利害ト同一ナラザル事。
二 所引所《(取)》ノ役員ハ仲買人ノ撰ニ出デズシテ株主ノ撰ニ出ヅルガ故ニ或ル場合ニ於テハ便利ナキニ非ズト雖モ、株主ト仲買人ノ間ニ利害ヲ異ニスルノ時ニ当リテハ勢ヒ株主ノ方ニ厚クスルノ傾向アリテ、株金ニ対シ相当ノ配当ヲ為スガ為メニ自ラ手数料ヲ厚クセザルベカラズ、是皆取引所ノ費用ヲ増加スル所以ニシテ売買ノ円滑ヲ妨グル事。
三 株主主トナリテ仲買人客タルガ故ニ、役員ハ売買ノ頻繁ナルヲ企図シテ仲買人ノ員数ヲ増スヲ勉メ、之ヲ鑑別スルニ悚ナリ、是ヲ以テ取引ノ際不確実ノ弊ヲ生ズル事。
四 仲買人ノ位置重カラザルガ故ニ其人自重ノ精神ニ乏シク、来去常ナクシテ自然軽挙ニ流レ、違約犯則等ノ行為ヲ生ジ易キ事。
以上ノ弊害ヲ除去セントセバ海外取引所ノ制ニ倣ヒ、現今ノ株主ノ組織ヲ一変シテ実地売買人共立ノ取引所トスルニ如クハナシ。其方法タル米国ノ如ク純然タル民立ノ仕組ヲ行フハ我国情ニ適セザル所アリ左レバ迚仏国ノ構制モ亦全ク倣フ可キニ非ズ。故ニ此二者ヲ折衷シテ之ヲ現時ノ情勢ニ参照シ、実地適当ノ方法ヲ設立セザルベカラズ。試ニ其要概ト思惟スル所ノ私考ヲ陳ベン。
第一 発令ノ手順
一 現時許可セラルヽ所ノ各地ノ会所取引所ハ其許可年限ノ尽ルニ至リテ再ビ延期ヲ許可セザル旨ヲ速ニ公示セラルヽ事。
現時存スル所ノ者ハ仮令其利用少シトスルモ、其免許年内ニ之ヲ動カスハ政府ノ信用ニ関スルヲ以テ、年期尽ル迄ハ唯当局者ノ監督ニヨリテ其弊害ヲ軽減シ、各自年限ノ尽ルニ随ヒ自然ニ其数ヲ減ジテ遂ニ絶無ニ至ルヲ待ツヲ允当トナス。
二 新組織ノ条例ヲ制定セラレ適当ノ時機ヲ見計ヒ之ヲ頒布セラルヽ事。
既ニ従前ノ組織ニ拠リテ其営業ヲ継続スルヲ禁ズルニ於テハ、更ニ改正セシ新法律ノ頒布ナカルベカラズ。然リ而シテ旧ヲ停メ新ヲ興スニ際シテハ多少ノ紛議ヲ免カルベカラザルニ付、当局ノ官衙ハ最モ玆ニ注意セラレテ適宜ノ処置アランコトヲ企望ス。
第二 取引所ノ免許年限及其場所
一 免許年限ハ少クトモ之ヲ十五年ト定ムベシ。
欧米諸国ノ経験ニヨルニ一般商業ノ進歩ニ従ヒテ共同取引所ノ効用愈其度ヲ加フベキハ必然ニシテ、遂ニ永久保続ノ一大会所トナルベ
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ク、且ツ東京市区改正成ルノ日ニ及ビテハ其家屋モ亦府内美観ノ一ニ備ハランコトヲ期セザルベカラズ。此ノ如ク規程宏大ナル取引所ノ基礎ヲ此ニ起サントセバ、創立ノ費用モ従テ之ニ応ズルニ足ル者ヲ醵集セザルベカラズ。故ニ許可期限モ成ルベク永年ニ渉リテ会商タル者ニ安全ノ念ヲ生ゼシムベク、忽ニ許シテ忽ニ廃スル如キノ虞ナカラシメンコトヲ要ス。然レドモ実際経験上時宜ニ応ジテ小改正ヲ加フルコトナキヲ必セズ、依テ先ヅ初期ニ十五年間ノ許可ヲ与ヘ此間ハ一旦許可セル構成ノ大体ニ変更ヲ加ヘズシテ安全ヲ取引所ニ与フベシ。
二 同種類ノ取引所ハ一市府ニ一ケ所ヲ限ル事。
三 共同取引所ヲ特許スベキ地ハ東京大阪等商業頻繁ニシテ多数ノ会商相集合シテ取引ヲ必要トスル地ニ限リテ之ヲ許可スベキ事。
第三 取引所名称
新設ノ取引所ハ実地売買者共立ノ取引所ニシテ、苟クモ重立タル商品ノ予約売買ニ利アルモノハ漸次此所ニ於テ取引セシムルモノナレバ従来ノ如ク米若クハ公債株式ノミヲ限界トスルモノニ非ズ。但目下ハ公債・株式・米・雑穀・綿・油ノ数品ニ限ルベシト雖モ、従来商業進歩シ取引所ノ必要更ニ拡張スルニ従ヒ時ニ政府ノ許可ヲ得テ取引スベキ物品ヲ増加スルノ目的ナルニ付、此取引所ノ名称ヲ共同取引所ト名ヅクベシ。蓋シ仏国ブールスノ字ヲ意訳セシ義ニシテ、共同ノ文字ハ会商共立ノ場タルヲ示シ、以テ株主ト仲買トヨリ成ル所ノ現制ニ異ナルヲ明ニシ、又取引所ノ文字ハ広ク商品ノ売買ヲ包含スルノ意ヲ示サントスルニ在リ。故ニ此精神ヲ以テ物品ノ種類及会商ノ人数ハ時ニ応ジテ増加スベシトノ意ヲ条例中ニ示サレンコトヲ望ム。
第四 取引スベキ物品
前述ノ如ク当分ノ中取引ノ物品ヲ公債・株式・雑穀・綿・油ノ数品ニ限ルモノハ公債・株式・米ノ如キハ現ニ米商会所株式取引所等ニ於テ扱フ所ノ要品ニシテ、其他雑穀・綿・油ニ至リテモ現今該商人ノ間自然ニ予約売買取引ノ慣習行ハレ、取引所ニ於テ取引スベキ物品ノ範囲ニ組入ルベキノ状態既ニ備ハルガ故ニ、直チニ取引物品ノ中ニ組入レタルナリ。
第五 会員ノ名称
会員即チ取引所ヲ共有シテ実地売買ヲ為ス者ヲ名ヅケテ会員ト称スベシ、是現今ノ仲買ト其性質ヲ異ニスルヲ示スニ在リ。
第六 会商ノ人数
東京ニ設立スル共同取引所ハ先ヅ現今ノ状態ニ於テハ総数ヲ凡三百人トナシ、之ヲ左ノ割合ニ分ツベシ。但時宜ニ従ヒテ増加ノ許可ヲ与フルコトハ之ヲ条例ニ記入セラレンコトヲ望ム。
公債、株式 凡百人
米、雑穀 凡百三十人
綿 凡三十五人
油 凡三十五人
第七 取引所建築費
一、会商ハ家屋建築費及創立費用等ノ為メニ一人金千円ヲ支出スルモ
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ノトナシ、其内五百円ハ創立ノ際即時ニ出金シ、他ノ五百円ハ取引所ノ名義ヲ以テ銀行ヨリ年賦返済ノ借人ヲナシテ之ヲ支弁シ(其負担ノ責任ハ会商各自ニ属ス)実地返償ノ手続ハ毎年取引所ニ収入スル手数料ノ中ヨリ之ヲ支消スルノ方法ヲ定ムベシ。
二、右ノ出金セシ金員ハ其会商ノ所有タルニ付、他日自己ノ都合ヲ以テ之ヲ他人ニ譲与セント欲セバ、其譲受人取引所ノ規則ニ照シテ合格スル時ハ之ヲ譲渡スルヲ得ベシ。
第八 取引所管轄
此取引所ハ農商務省ノ直轄ニ属シ、其取締上警察ニ関スル件ハ便宜ヲ以テ地方庁(東京ハ警視庁)ニ委任セラルベシ。
第九 会商ノ撰挙及資格
此一事ハ頗ル困難ノ疑問ナリトス、其故ハ理論上ニ於テ着実ノ人、実業ノ人、名誉アル人ヲ撰ムベシナド云フコトハ容易ナリト雖モ、実地ニ至リテハ此名義ニ適スル者ヲ定ムルコト頗ル難クシテ、何人ガ之ヲ撿定スベキヤ、且一地ニ一所ヲ許可スルモノナルガ故ニ、之ガ会商タラントノ競ヒ起ランモ亦計ルベカラズ。而シテ之ヲ自由ニ許容スレバ濫弊ヲ生ジ、之ヲ厳拒スレバ紛論ヲ生ズベシ、故ニ其制限法ニ適宜ノ案ヲ設ケテ世ノ之ヲ見ル者ヲシテ満足ノ感ヲ懐カシムルコト必要ナリ。試ニ其方法ヲ左ニ記スベシ。
一、取引所発起人ハ其取引所総員ノ十分ノ二(端数ヲ生ズル場合ニ於テ之ヲ出入スルハ便宜ニヨルコトヲ得ベシ)以上ニ当ル人々協同ヲ為シ連署ノ請願書ヲ上呈スベシ。
二、政府ハ其請願ノ旨趣ヲ条例ニ参照シ、又発起人ノ身元履歴ヲ査竅シ、其確実ナルヲ認ムル時ハ之ヲ許可シ、又請願諸般ノ手続能ク条例ニ合スルモ発起人中ニ不合格ノ者アリト見認ムル時ハ其人ヲ此中ヨリ沙汰スベシ。
三、既ニ許可ヲ得レバ発起人ハ総員十分ノ三ノ人数ヲ各部ニ就テ投票選挙シ、会商連署シテ更ニ許可ヲ請フベシ。其許可ノ手続ハ前項ニ同ジ。
四、右ノ手続ニテ凡半数ノ会商ヲ得ルニ付、余ル所ノ人員ハ発起人及選挙セラレタル人々ニシテ選挙ス、其許可ノ手続ハ前項ニ同ジ。
五、前二項ノ選挙ハ許可ノ日ヨリ六ケ月以内ニ之ヲ行フベシ。
六、既ニ会商トナリタル以上ハ発起人タルト選挙セラレタルトヲ問ハズ、其権利ハ全ク区別ナキモノトス。
七、会商タルベキ者ハ満二十五歳以上タルベシ『ニシテ創立資本及身元金ヲ支出シ得ベキ者ニ限ル』
八、会商タルベキ者ハ取引所所在ノ地ニ於テ、実業ニ従事セシ者ニシテ、且該営業ノ練達ヲ証シ得ル者タルベシ。
九、会商タルベキ者ハ相当ノ資産ヲ有シ、業務ノ履歴上不都合ト見認ムベキ行跡ナキ者ニ限ルベシ。
第十 会商ノ身元金
一、会商ノ身元金ハ五千円以上一万円ニ至ルベキモノトス(許可スベキ地方ノ情況ヲ参酌シテ之ヲ定ムルコトアルベキガ故ニ、条例ニハ五千円以上云々トイヘル融通ヲ附ケ置ク可キカト思ハル)
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二、会商ノ身元金ハ共立取引所ノ共同資産タルヲ以テ一同ノ申合ニヨリテハ公債証書又ハ政府ノ特許ヲ以テ設立スル銀行会社株券ニテモ差支ナシトノ寛恕法アリタシ。
第十一 会商身分ノ変更
一、会商自ラ其業ヲ廃シテ取引所ヲ脱セントスル時ハ其旨ヲ役員ニ届出テ其承諾ヲ得ベシ。
二、取引所ハ会商ノ廃業ヲ承諾スル時ニ、其身元金ヲ本人ニ返附スベシ。
三、会商ハ合格ノ後嗣人ヲ得レバ其業ヲ此人ニ売与譲与スルヲ得ベシ。
四、取引所ハ右ノ譲替アレバ相当ノ手続ヲ為シテ不都合ナキニ於テハ之ヲ承諾スベシ。
五、会商死亡スル時又ハ疾病事故ニヨリテ廃業スル時ハ、其身元金ハ本人又ハ其相続人等ニ返附スベシ。
六、会商其営業上取引所ノ規則ニ背キテ廃業セラルヽ時ハ、其廃業ト共ニ身元金ヲ返附スベシ。然レドモ其行為ニシテ若シ取引所ニ損害ヲ与フルニ於テハ、此身元金ヨリ之ヲ補償セシメ、又ハ時宜ニヨリ其金額ヲ没収スルコトアルベシ。
七、会商ノ出セル身元金ハ株金ト性質ヲ異ニスルガ故ニ、取引所ニ於テ承諾セル後嗣人ヲ除キテ他ニ売買譲与スルコトヲ許サズ。
八、前諸項ノ場合ニヨリテ定員減ズル時ハ更ニ新ナル会商ヲ選挙シテ欠員ヲ補フヲ得ベシ(尤モ総員ハ定限ヲ超ユルヲ許サズ)其身元金差入及政府ノ認可ヲ請フノ手続ハ前条ニ記スル所ノ者ニ同ジ。
第十二 会商手代
会商ハ其取引ニ就キテ各二人迄ノ手代ヲ使用スルコトヲ得ベシ。但手代ノ業務ニ関スル行為ハ之ヲ使用シタル会商都テ其責ニ任ズベシ。
第十三 取引所全体ノ職制及会商各部ノ権限
一、取引所全体ノ事務ハ会長一名副会長二名及各部幹事書記主計等ノ役員ニ於テ相当ノ権限ヲ設ケテ之ヲ処弁スベシ。尤総体ノ議事ニ関スル事項ハ各部会商ノ総会議ニ於テ之ヲ決スベシ。
二、会商ハ株式・公債・米・雑穀・綿・油ノ各部ニ分チ、其部内ノ事務ハ幹事及書記会計等ニテ之ヲ処弁シ、一部ニ限ルノ議事ハ各部会商ニテ議決スベシ。
第十四 会商会議
取引所ノ議事ハ総体会議ト各部会議トニ区別シ、総体会議ハ会商総人員ニテ議決シ、各部会議ハ其部内ノ会商ニテ之ヲ議決スベシ。尤定式臨時ノ開会及議決順序等ハ規則中ニ記載スベシ。
第十五 争訟ノ調停
百般頻繁ノ取引ヲ行フニ当リテハ相互ノ誤解又ハ異見等ヨリシテ紛議争訟ヲ生ズルコトハ勢ノ免レザル所ナリ。若シ一々之ヲ尋常ノ法庭ニ訴ヘテ其是非ヲ定ムルトセバ商業渋滞ノ患ヲ被リ、取引所ヲ設ケテ快活円滑ノ通用ヲ求ムルノ目的ニ副ハザルナリ。且商業ニ関スル事項ハ特殊ノ慣習アリ、又各種ノ商業中各種ノ慣習ヲ異ニスルガ故ニ、尋常詞訟ノ手続ニテ之ヲ決スレバ事情ニ齟齬スルコト或ハ之ナシトスベ
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カラズ。特ニ取引所内ノ紛争ノ如キハ此種ノ事多カルベシ。故ニ此場内ニ於テ営業上ヨリ生ジタル民事ノ詞訟ニ限リ、之ヲ会商中ニテ組織セル委員ニ附托シテ決セシムルノ特例ヲ此取引所ニ与ヘラレンコトヲ冀望ス。且既ニ此権ヲ附与セラルレバ証人ヲ召喚スルコト及其判決ヲ執行スルコト等凡ソ始審裁判所ガ有スル所ノ権利ハ此委員ニ附与セラルヽ事勿論ノ義ナルベシ。抑欧米諸国ノ改府ガ此類ノ会所ニ此特例ヲ与フルハ其実際上又陳ブルガ如キ必要アルニヨル。而シテ今取引所ノ構成精神ヲ彼ニ取ル時ハ、此特権ヲモ此取引所ニ与ヘザルベカラザルナリ。
第十六 役員
一、会長以下重ナル役員其名称職務ハ政府ノ条例中ニ之ヲ定メラレタシ。
二、役員ハ取引所ノ全体又ハ各部ノ首領ニ位シ、取引所ノ特権ヲ実行スル者ナレバ其撰任ヲ鄭重ニシ、条例中ニ其方法等ヲ指定シテ其権ヲ重カラシメ以テ取引所ノ事務整粛ヲ計ラザルベカラズ。今鄙見ノ概略ヲ左ニ掲グ。
一、会長 一名
会長ハ取引所全体ノ事務ヲ総管シ、総会ノ議事ヲ総提シ、各部ノ幹事ヲ統督シ、又取引所ノ書記及其以下ノ掛員ヲ指命スルノ権ヲ有ス。
一、副会長 二名
会長ヲ輔翼シ会長事故アリテ欠席スルコトアレバ之ガ代理タルヲ得ベシ。
一、各部幹事 毎部各一名
各部幹事ハ各部内ノ事務ヲ管理シ、部会ノ議事ヲ総提シ、又各部ノ書記及其以下ノ掛員ヲ指命スルノ権ヲ有ス。
一、争訟裁定委員 七名
会長副会長及各部幹事中ニテ四人ヲ選任シテ之ニ充ツベシ、而シテ此選任ハ会長ノ指名ニ任スベシ。
但シ会長其委員長タルベシ。
一、常委員 五名
常委員ハ副会長一名及各部ノ幹事ヲ以テ組織ス、而シテ其選任ハ会長ノ指名ニ任スベシ。
但シ副会長其委員長タルベシ。
右ノ外検査員等ヲ設クルハ会商其時々ノ議決ニ拠リテ適宜ニ之ヲ置クヲ得ベシ。
第十七 役員ノ撰定
一、会長副会長ハ会商総員ノ投票ヲ以テ之ヲ選挙ス。
二、幹事ハ各部ノ投票ヲ以テ之ヲ選挙ス。
三、会長及副会長幹事ハ《副会長幹事ハ》会商中ヨリ撰挙ス、其既ニ撰挙セラレタル以上ハ取引所ニ於テ自己ノ取引ヲ為スコトヲ得ズ。
四、評議員ハ争訟裁定委員ノ撰定ヲ以テ会商又ハ会商外ノ人ヨリ之ヲ挙グベシ。
外国ノ制ヲ案ズルニ、争訟裁定委員ハ悉皆会商ノ中ヨリ撰挙シ、別
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ニ争訟事務ニ干与スルノ評議員アルコトナク、而シテ法律助言者ハ取引所ニテ依頼スル真ノ顧問員ニ過ギズト雖モ、我国ノ現状ニ於テハ商業者ニシテ始審裁判所ニ相当スルノ事務ヲ掌ルコトハ頗ル不便ノ事アルベク、左リ迚助言者ヲ雇フモ真ノ顧問員ニ過ギザルニ於テハ、現ニ会商争訟ノ場ニ臨ミテ双方ノ陳述ヲ審聴スルノ便ヲ欠クベシ。故ニ別ニ評議員ヲ指定シ置キテ、平素ハ役員ノ助言者トナリ、争訟アル時ニ臨ミテハ争訟裁定委員ノ中ニ加ハリテ之ヲ処弁セシムルコト尤モ現状ニ適スベシト思ハル。或ハ其会商ノ撰挙ニ出デズシテ、会商ノ権利ヲ左右スベキ職務ヲ為スハ如何ニトノ説アルベシト雖モ、争訟事務其他法律ニ関スル事ハ特別ノ学習ヲ要スルガ故ニ、之ヲ撰ムモ亦尋常ニ異ナル者アリ。且会商ハ会長及幹事ヲ撰挙シ、此等ノ役員合同シテ評議員ヲ撰挙スルガ故ニ、此評議員ハ実ニ会商ガ間接ニ撰挙シタル者ニシテ、是ニ信任ノ職務ヲ托スルコト理ニ於テ毫モ妨ナク、事実ニ於テハ甚ダ便ナルガ故ニ此ノ如ク定メンコトヲ冀望ス。
以上ノ役員ハ撰挙ノ後之ヲ農商務大臣ニ届出テ其認可ヲ得テ上任スベシ。
第十八 課税方法
課税ノ割合過重ナル時ハ売買相当ノ利益ヲ以テ之ヲ支出スルコト能ハザルガ故ニ不当ノ浮利ヲ求ムル乎、又ハ之ヲ脱レントスルノ情ヲ生ズベクシテ、其浮利ヲ求ムルガ為メニ投機ニ陥リ、脱税ヲ欲シテ密商ヲ為ス、是今日ニ於テ商業ノ利器タル取引所ガ動モスレバ不利ノ弊竇トナル所以ノ一理由ナリ。故ニ本案ノ共立取引所ニ課セラルルハ会社税即チ其取引所ニ収納スベキ手数料ノ全額ヨリ其幾分ヲ徴収スルノ税法トセラレタシ。
第十九 申合規則
取引所ノ申合規則ハ常委員之ヲ起草シ、会商ノ総会ヲ以テ之ヲ議定シタル後、農商務大臣ノ認可ヲ受クベシ。其定ムベキ要目ノ略左ノ如シ。
一、会商営業細則ノ事
一、役員事務細則ノ事
一、手数料ノ事
一、役員撰挙ノ事
一、役員報酬ノ事
一、書記以下給料ノ事
一、取引所用印鑑ノ事《△》
一、会商共恤ノ事
一、取引所積金ノ事
一、決算期ノ事
一、定式臨時会議ノ事
一、期限報告ノ事
一、過料ノ事
一、役員任期ノ事
一、委員会ノ事
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『第二十 取引所ノ責任
一、或ル会商ノ犯則上ヨリ生ズル損害ヲ取引所役員ノ不注意ニ依リ他人ニ蒙ラシメタル時ハ、第一ニ該会商ノ身元金ヲ没入シ、尚ホ不足ヲ生ズル時ハ其会商一家ノ資産ヨリ償還セシムベシ。
但此場合ニ於テ其会商ヲ取引所ヨリ除名スルコト勿論ナリ。
二、前条ノ場合ニ於テ其損害過大ニシテ犯則ノ会商ノ資産全部ヲ以テ償還スルモ尚ホ不足ヲ生ズル時ハ、取引所ニ於テ其責ニ任ズベシ。
然レドモ本取引所ノ責任ハ各会商出金ノ家屋建築費及ビ創立諸費ノ全額三十万円ノ外更ニ金三十万円ヲ増補スルニ止リ、其全価格六十万円以上ニ及バザル者トス。
三、取引所ノ責任ヲ尽スガ為メニ新ニ徴集スル金額ハ各会商ノ身元金中ヨリ平均ニ取出シ、其身元金ニ生ジタル不足ハ一ケ月中ニ各会商ヨリ補入セシムベシ。』